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編集・削除(編集済: 2025年01月02日 01:55)

8/2〜8/4までのご投稿分の評と感想です。  井嶋りゅう


8/2〜8/4のご投稿分の評と感想です。

*****

「夕立」小林大鬼さん

小林大鬼さん、こんばんは。
傘の中にいると、雨音がやけに大きく響きますよね。くぐもったような雨音が私は好きなんです。たまに木の枝からぼとぼとと傘に雨が落ちてきて、ふと立ち止まったりします。雨の中に閉じ込められているような、傘をさしていても雨粒が跳ねて、肩や足が濡れて、世界には雨と自分しかいないような雰囲気が漂っていて、寂しさや孤独感が伝わってきました。投げやりな感じや虚しさのようなものではなくて。心の中にある感情にふと気づいた帰り道、というような雰囲気でした。「私」という時を、雨に濡れながら踏みしめて歩くこの詩の行間がとても良かったです。佳作一歩前でした。


*****

「アルツハイマーのワルツは今」SUIZさん

SUIZさん、こんばんは。
んー、前回とはちょっと違って、今回はなんというか、こちらが置いてきぼり感を味わってしまったんですよね。どんどん独り言で進んでしまってるというか、合いの手を入れる場所がないというか。森田童子は知っていても「僕たちの失敗」しか知らないからなあ、とか思いながら。ワルツがなんたるかというのを知ってるかたはついていけるのかもしれませんが、知識がなくてすみませんでした。私には自由に踊ることが出来そうにありませんでした。ごめんなさい。また次回、ご投稿ください。


*****

「恋」紫陽花さん

紫陽花さん、こんばんは。
いいですね! 70歳のみちこちゃん、デイサービスのお迎えの男性に手を繋いでもらってご機嫌のみちこちゃん、2匹の蝿が恋をしていると言うみちこちゃん、まだまだ恋を諦めていないみちこちゃん。いいですね、みちこちゃん最高ですね。こちらまで勇気をもらえるし、元気になりますし、にこにこしちゃいます。紫陽花さんの描くみちこちゃんは、紫陽花さんの愛情も伝わってきて、とても魅力的なみちこちゃんです。みちこちゃんのファンになりそうです。
最後にソーダのシュワシュワが出てきますが、素麺からソーダに切り替えるのは難しかったんですが、ソーダは青春の味がしますので、もしかしたら弾けるキラキラを描写したかったのかな、と思いました。タイトルは「みちこちゃん」でも良いと思いますね。
冒頭のおじいさんとのやりとりも、いいんですよ。「恋したことないのかな」という呟き、リアルです。実はきちんと恋をしたことない人って、居ると思います。だからセクハラめいたことも平気で常識ぶって言ってしまう。私の身近にもいて、やっぱりどこにでもいるんだなあ、と思いました。
はい、とってもとっても良い詩でした。みちこちゃんにも宜しくお伝えください。佳作プラスです。



*****

「純愛少女」プラネタリウムさん 

プラネタリウムさん、こんばんは。
3連目「そう信じることは笑わないでしょ?」って、いいですね。いつかまた必ず会えると約束しながら互いに嘘だと分かっている、という。結ばれてはいけない二人だったのでしょうか。優しい嘘なのかも知れないし、希望のある嘘なのかも知れません。もしかしたら嘘でもないのかも知れません、互いに生きている限りは。実は、死の匂いがしないでもなかったんですよね。「別れる」というよりも、「居なくなる」というほうがしっくりきたんですよ。でも違っていたらすみません。永遠にふたりのあの時間を守り続けるという決意、最初で最後であるかのような純愛を生きていく永遠の少女。切ない強さを感じました。


*****

「モノクロな町の僕の人生」cofumiさん

cofumiさん、こんばんは。
夜の特別な時間に、自分の始まりを思い出しているような静かな詩ですね。何となく、縁側に座ってお月さんを眺めているようなイメージで読みました。風鈴が思い出したように鳴って、赤ちゃんもおじいちゃんも猫も昼間の喧騒を忘れて眠りにつく背景を感じながら「僕」は月の影に腰掛ける。この「月の影に腰掛け」という表現、素敵ですね。映った影のところにちょうど座っていたかのように思えて、月に支えられているかのようで、お母さんの子守唄を思い出しながら夏の終わりを感じているような雰囲気がありました。残暑は厳しいですが、ひと足早く秋の匂いを感じさせてもらえたような気持ちになりました。素敵な詩でした。


*****

「何処へと」水野耕助さん

水野耕助さん、こんばんは。
この詩は読み手によって想像することが違うのでしょう。読み手が毎日一生懸命頑張っているものに置き換えて読むと思います。それは例えば詩だったり、例えば仕事だったり、例えば両親の介護だったり、例えば、例えば、と。この詩は「何」と限定した書き方をしていないので、頑張ってるんだけど上手くいかないんだよなあ、というすべてのかたの心に届く詩だと思いました。本来、詩というのはそういうものであったよなあ、と改めて考えさせてくれる詩だったと思います。(いや、限定していても伝わる詩ももちろんありますので念のため) 良い書き方だったと思います。
いつまで頑張ればいいのか、本当に何処かへ辿り着けるのか、立ち止まることなど許されない中で何処へ向かえばいいのかこの一歩は、という憂鬱と言いますか、空虚と言いますか、出口なしと言いますか、かさかさとしたどんより感がよく伝わってきました。良かったです。佳作一歩前でした。


*****

「やめたい」としかずさん

としかずさん、こんばんは。
後ろから3行目にあたりますかね、「次は何をやめるのか」ここは、「次は何を始めるのか」では、ないんだなあと思いました。始めることもやめることも本気ではないような、あるいはそう思わせる軽さがあるような気がするんですが、人間をやめるまで追い詰められてしまってますので、相当な嫌悪があったのでしょうね。ただ、その嫌さが、どのような出来事からくる嫌さだったのか、この詩からは伝わりづらいかもしれませんね。すぐにやめたくなる衝動、と書いてありますので、軽々しいものと勘違いされてしまう可能性がありますので、ちょっと心配ですね。
ところで、書き方のお話なんですが、視覚に訴える書き方をなさっていますね。たまにこういう詩も見かけるんですけれども、できればこの空白部分は言葉で表現されるほうが良いのではないかと思います。もったいないと思いました。宜しければご一考ください。


*****

「直感」深尾貞一郎さん

深尾貞一郎さん、こんばんは。
ラストの2行「鉄を好きだと言うことは/いつわりだと感じている」そう思うことが出来て良かった、と思いました。鉄が暴力そのものであると感じていた1連目の子供時代から大人になって鉄工所で働き始めた2連目、だいぶ慣れたような様子がうかがえますが、3連目で損得で物事を考える人をまともな人だと皮肉っていますね。この皮肉があるから1連目の子供時代はまだ健在だと伝わってきました。そしてラスト2行をつぶやく正直さがやっぱり良いなあ、と思いました。いってみればこの詩はすべてが皮肉であって、鉄が苦手な「わたし」が鉄工所で働くという、人生自体が皮肉でもあるのではないかと思いました。
淡々と目の前の作業をしているなか、2連目にあるAMラジオから聴こえてくるピアノが何とも異質で、わたし、鉄工所って実はリアルで見たことあまりないんですが、ふっと光景が浮かんできて、ピアノと鉄工所という、およそ馴染みのなさそうな取り合わせがすごく良かったと思いました。現実に染まりきらない揺るぎのなさがクールに描かれていたと思います。良かったです。


*****

「ふわぁふわぁ」じじいじじいさん

じじいじじいさん、こんばんは。
タイトルは「ふわぁふわぁ」ですが、作中では「ふあぁふあぁ」なんですね。作中のほうをタイトルにしたほうがよくないですか?というのが私の意見です。萩原朔太郎の詩で「猫」だったかな?猫の鳴き声をあらわすのに「おわあ」と表現されてるんですが、それを思い出しました。内容は全然違いますけれど。
今回の詩もじじいじじいさんの詩だなあ、と思いました。ふあぁ、とあさがおが確かに咲いてそうですよね。あさがおが咲いた、ではなく、あさがおがおきた、というのは良いですね。可愛いです。こうやって、あさがおと太陽は会話をしているのかもしれませんね。そっか、太陽はママなんだ、あさがおはこどもたち。地球上ではママと子供。なるほどですね。可愛らしい詩を読ませていただきました。ありがとうございました。


*****

「夜明け」妻咲邦香さん

妻咲邦香さん、こんばんは。
最近の妻咲さんは、書き方を少し変えられましたね。ワンランク上がったように感じられます。
惹きつけられる詩連がいくつもあるんです。3、4、5連が特にそうでした。3連目の「何もかもが優しくて/それでいて自分勝手で」この表現は秀逸だと思いました。この詩はずっと、帰ろう、と言ってるんですよね。どこへ帰ろうとしているのかは最後にきちんと明かされるんですが、私が気になったのは、どこから帰ろうとしているのかな、だったんです。それこそこの詩には、色んな風景が出てくるんですよね。でも、語り手はこの色んな風景をどこから見てるんですかね?私にとっての唯一の手がかりは初連の2行目「窓は開けたから」だったんですが、この窓から見てるんですかね?そうなると「温かいスープまである」のに(あるいは作ったのに)どこへ帰るんだろう、となるんですが、「確かに愛された記憶の中に」と終連にあるので、君と過ごした時間へ帰ろうなのだろうと思ったんですが、こういうふうに思うのには、問題は初連にあるのではないかと思います。初連の文章が微妙に成り立っていないように思います。単純に文章として意味がとれなかったんです。この初連がはっきりと意味がとれていたら、どこからという疑問はなかったかもしれません。
あと、何となく最後の晩餐のようなイメージも湧くんですが、どうなんでしょう?それから、5連目はすごく良いのですが「もう食べられないよと寝言を言うピューマ」だけは、んー、詩的というよりは擬人化がすぎるかな、と思いました。その他はとても良かったと思います。今回はこんな風に感じました。佳作一歩前ですね。


*****

「思い出」秋冬さん

秋冬さん、こんばんは。
今回は、すっと終わってしまったような詩でしたね。こういうふうに、ふっと思い出す瞬間て、ありますね。私も歩いているとき、そういえばこんな暑い日の夕方だったなあ、とか、あの日も刺すような冷たい空気だったなあ、とか、思い出すことあります。記憶って体感とともに刻まれてることありますよね。(音楽とともに刻まれてることもあります)
1連目の「丁寧に追い越していく」というところですが、丁寧に追い越していくとはどういうことなんだろう、と思いました。たぶん、ゆっくりとこちらを気遣うように、という意味ではないかと思いました。ここだけ、ん?となったので出来れば違う表現をおすすめします。思い出はいつかすべて良い思い出に変わるのではないかと、私は思っています。秋冬さんもこのかたとの思い出が辛いものから懐かしいものへと変化する日常を歩んでいらっしゃったんでしょうね。それはとても素敵なことだと思いました。佳作2歩前とさせていただきます。


*****

「立秋」麻月更紗さん

麻月更紗さん、こんばんは。
何だか、不思議な詩ですね。自分の足元が揺らぐような感覚を受けました。植木に水をまく女性が何だか非現実的で、その女性を盗み見るかのようなイメージがあって、真夏のきらきらした不穏(ほめています)が、たぶん日常的なことを書いているのでしょうけれど、とっても良かったです。ちょっとした違和感が、この短い詩の中心を支えていて、「夏はまだ終わらない」というラストが、確かにまだまだ夏は終わらないだろうな、という日常に感じる気持ちと、本当に終わりはあるのか、という大きく恐ろしい疑問がやってきました。私の好きな詩でしたね。あ、最後から2行目の「けれど」はなくてもかまいません。もう少し読んでみたい詩人さんですね。佳作一歩前でした。


*****

「夏の日に」ゆきさん

語り手と作中の「彼」は、師匠と弟子、のような関係性でしょうかね。背景の焼けただれているかのような夕焼けと、その中を歩く重い足取りの「彼」が言う、一杯やるか、の光景は、一見すると仕事終わりのお疲れ様の一杯であるかのようなんですが、そういうなるべく日常に近いシチュエーションでの現役引退報告が、粋でもあり、哀しくもありました。「あれは病人の影だった」というところは胸にささりました。黒い影と居酒屋の明るさと「彼」の笑顔と退職報告と励ましが、夕焼けと共には決して溶けてしまわない切ない光景として、いつまでも語り手の心の中で沈まずにあるのでしょう。最初に師匠と弟子、と書きましたが、もしかしたら同僚だったのかもしれませんね。佳作とさせていただきます。


*****

「両手で「はい」と受け止める」まるまるさん

まるまるさん、こんばんは。
とっても良い詩でした。パソコンの使用をゆずり、掃除を少しして帰る。色んな理由があるけれど結局はいい人でありたいがための行動で、帰り道はストレスでもんもんしている様子。すごく分かるなあ、と思いました。6連目「根に持っていた 誰かのせい」ここがすごく良いです正直で。7連目「自分と自分のすれ違い」ここも良いですね。本当の自分と表面をととのえた見せかけの自分との葛藤をあらわす表現ですね。そしてここから心境が微妙に変化していく様子がうかがえます。見慣れた案内状が今回も届き、何だか急に行きたくなる気持ち、お誘いしてくれたかたへこたえたくなる気持ちが、ふいに沸き起こることもリアルでした。別に心変わりと呼ぶほどの変化ではないけれど、人ってたまにそういう気持ちになること、ありますよね。ネガティブになったりポジティブになったりが繰り返されているのがこの詩なんですよね。この心の変化が、忠実に描かれているような気がしました。とても良かったと思います。佳作ですね。私も「はい」と両手で受け止められる人間に、早くなりたいです。

*****

以上、14作品でした。
ご投稿ありがとうございました。
台風が近づいているようですが、今は特に荒れている様子は感じられません。
ですが、油断大敵。皆さんどうぞお気をつけてくださいね。

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道端の石ころ エイジ

ある晴れた真夏日
気が付くと道端にいた
誰かに蹴飛ばされて
とこり とこり とこ
転がって
ここに来たのだ
仕方ない
何もない田舎道
ここでじっといるとしよう

はるか頭上を
アゲハチョウが羽ばたいていく
綺麗だな 夏の蝶は
道端に落ちている
僕のことなんか
眼に入らないだろうな

あっ 何人か人が来た
「危ないっ」と
僕は声に出して叫んだと思う
今度は靴で弾かれた
ぴしゃっ
僕みたいな道端にいるものも
楽じゃないな

嫌なことがあっても
じっと我慢して
道にとどまっている
自分の信念は曲げない
ひたすら耐えるしかない僕は
道端の石ころだ

明日はどの子が蹴飛ばすだろう
明日はどの子が拾うだろう
そして僕を安全な家へと
持ち帰っておくれ
仏壇に供えておくれ

いつか誰かが優しく
手に取ってくれるかもしれない
頬ずりして
愛でてくれるかもしれない
そう願う僕は
やっぱりまだ道端の石ころなんだ

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こゆびから  じじいじじい

がっこうのかえりみち
たいようくんとふたりきり
たいようくんがあるくのやめた

なんだろう?
いきなりこっちをむいて
まっかなかおで
なきそうなかおで
「すきっ!」っていわれた
そっとこゆびとこゆびで
てをつないでくれた

「わたしもすき」
やっとこえがでた
はずかしいけどすごくうれしい
いつのまにかこゆびから
てのひらとてのひらで
てをつないであるいてる

じかんよとまって
ふたりだけのかえりみち

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夏の草むしり  ロンタロー

明けても暮れても
草むしりばかり
野菜畑で
駐車場で
生い茂る雑草を汗みどろになって
ただひたすら刈り取っている
思考は停止したままで

花も果実も野菜も育たないが
雑草だけは情け容赦なく生い茂る
どこかムダ毛処理と似ている
不毛な作業を延々と行なっている
これが現実なのだと割り切って

温室育ちの万年青は
歳を取っても変わらない
厭世的な理想主義者
幼い反抗心を抱いたまま
桃源郷を夢みて不毛の地へ

景色はいつまで経っても変わらない
どんより重たい雲が垂れ込める
相応しい言葉を探すも見つからない
雑草と虫たちとの格闘に終始する
虫たちの命に想いを馳せることもない

しばらくは除草の日々が続きそうだ
これが夏の風物詩?だと割り切って
草を刈って刈って刈りまくるぞ

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古城のある岸辺  妻咲邦香

何故、離れるのか
何故、一緒に眠らないのか
私の魂よ

何故、君だけが自由で
何故、私だけが叫ぶ
さよならも言わないで
涙も流さずに
何処へ行ってしまうのか
こんなに求めているのに


 何故、眠るのか
 何故、一緒に来ないのか
 私の肉体よ

 何故、拒むのか
 何故、黙っているのか
 声も届かず、目は閉じたまま
 どんな夢を見ているのか
 私にも見せないで
 近くにいるというのに


古城に夜が来ないまま、私が夜になり
古城は朝も知らぬまま、私が朝になる
何故、一つでいられたのか
何故、巡り会えたのか
此処でこの手を離しても
また会える時が来たなら
その時はきっと思い出そう
そして再び歩き出そう
もう一人の私と共に

さらば古城を離れ行く舟の
君こそが私にとって
かけがえのない
たった一つの

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虫干し    晶子

実家の本の虫干しをしなけりゃならない
気をつけなければ
死番虫のせいなのか
私たちの扱いが荒かったのか
糸綴じ本の糸が緩んで
ばらばらになってしまうことがあるから
ずっとあると思っていた
私たちの歴史の本が
離されることはないと思っていたページたちが
いとも容易く離れていくことがあるから

必要ならば破れていない部分を切り開き
これまで懸命に繋ぎ止めていた糸を切って
新しい糸で
また新たに綴じ直し
しっかり締めなければならない
残された私たちの手で

死番虫よ
私たちの紡ぐ歴史はお前と共にあるけれど
失うということを教えてくれる者だけれど
蒸し暑いこの国の夏に
お前たちは増え過ぎる
もういいだろう
お前たちが多くを貪り過ぎるから
遠くに見える木陰さえ
喪服の色に見えるのだ

編集・削除(編集済: 2022年08月12日 22:06)

風の通り道  Osada


ケーンと
雉はひと声鳴いて
蜜柑畑から飛び立ち
向こうの丘の藪に降りて
灰褐色の翼をたたんだ

空は丘に別れを告げるように
ずっと遠くまで青く
夏の終わりの太陽の下
無花果の樹と萱の茂みの間の
涼しい風の通り道に
立っていたのは誰だったのか

蜜柑畑で過労で倒れても
木陰で休んで何でもないと笑い
また働いた父だったのか

幼い私を見守りながら
額の汗を手甲で拭い
摘果作業をする母だったのか

電信柱の上に止まって
弁当を狙う烏に話し掛けながら
草取りをする祖母だったのか

あるいはまた
流れて行く白い雲を掴もうと
空に向かって手を伸ばす
幼い私だったのか

それから
幾つも
幾つも
幾つも年月は
過ぎて行ったけれど

ケーンと
雉はひと声鳴いて
蜜柑畑から飛び立つ

空は丘に別れを告げるように
ずっと遠くまで青く
みんなが行ってしまった国へ
白い雲が流れて行くから

私は今日もまた
涼しい風の通り道に立って
空に向かって思い切り
手を伸ばしてみる

編集・削除(編集済: 2022年08月21日 13:53)

六畳人間 藤代望

アパートの駐車場
三輪車
ベルの音が夏空に近づく
ぼんやりとそれを聞いて
溶けゆくからだを脳みそで受けとめる

熱いのに寒いのは初めてだ
あべこべな身体で気づくのは
現実が本当のことだらけってこと
蝉が外で鳴いてたり
夏の匂いが今までしていたこと
君がそばにいたことも

脳みそが記憶の受け皿になっていて
少し壊れて
いくつかこぼれ落ちていっている
それでも平気
掛け布団を抱きしめて
もう行儀悪く寝れるんだ
身体があるってことなんだ


お久しぶりです、少し前にコロナウイルスにかかってしまいました。また陽性者が多くなっておりますのでみなさまもお気をつけください。

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島秀生様、評の御礼と説明

「雨の焼きそば屋」に感想と批評をありがとうございます。

まずご指摘されていた2つの欠陥を説明します。

五月一日祖母が亡くなった〜母から聞いたのは雨の水海道駅

つまり水海道駅に着いて、初めて祖母が亡くなったことを聞いたばかり。
葬儀の予定はこの後知らされました。葬儀云々の話になるとは。

またなぜ店を探したのかが書かれていないとの事ですが、
五月一日は日曜日〜水海道駅周辺は食事をする所を見つけるには
携帯で探すしかありません。その一軒が焼きそば屋でした。

ここには描かれていませんが、亡くなった祖母は専業主婦で、
祖父が家を建ててから、千葉を出ることはほぼありませんでした。

そのため、自分には祖父母の家で過ごした記憶しかないので、
思い出の店はありません。古い焼きそば屋を切り盛りするお婆さんが
自分の祖母の姿と重なり、また生活感溢れる店が祖父母の家とも
重なったのだと思います。炬燵に入る老夫婦の姿も含めて。

ただそこまで詩に盛り込むのはその時には考えておらず、
説明的で長くなりそうなので、余計なものを省いたかと思います。

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夏生様 詩の評の御礼

「軒下の燕達」に感想をありがとうございます。

職場の軒下には燕の巣があり、毎年この時期になると、
燕が飛来して子育てに忙しい毎日を送っています。

その度に詩を書いています。燕を見るたびに家族を思いながら。

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