美容院にてヘアカット。カラーリングしてもらっていると、「あとで部屋に来てね」と先生にささやかれる。何事かいなと思いつつも、頭に黒いタオルを巻いてもらって、スタッフさんに奥へ連れて行かれる。先生は夫を亡くし愛犬を亡くしたのち、階段から転げ落ちるという不幸に見舞われたけれど、ふさぎ込むことなく、広すぎる美容室の奥半分を住まいにリフォームして、可能な限りスタッフさんに助けられながら美容室を続けるという。
バリアフリーの綺麗なワンルームの真ん中で、ケーキセットを頂く。すると猫がやってきた。なんとも不思議なまん丸の顔をしている。「あらあ、まんまるじゃないの~」「どうしてそんなにまんまるなのぉ~」「まんまるで可愛すぎぃ~」と、立て続けにお吟さん黄色い声をあげてしまう。すると、ゴヤの「マハ」みたいな恰好で横になった。小声で語尾をあげて話しかけられると、褒められていると勘違いしてリラックスするらしい。猫好きのおばちゃんなどがいきなりさわりにゆくと、逃げて帰って来ならしい。
「マハ」のポーズから、無防備なへそ天になって、両手両足を伸ばしたと思ったら、両足を伸ばしたまま、人間が腹筋するみたいに両手をそろえてお辞儀するみたいに座ったでないの!!!もう、目が点!
スコテッシュフォールドという洋猫らしい。可愛らしいものを見せてもらった。可愛らしすぎて写真に撮るのを忘れてしまった(笑)。
洗濯すもう晩秋のものばかり 対馬康子
ピクルスもさることながら、横浜海軍カレーなるもの、美味しそう♪
今日は和裁の集まりの日。Sが、娘の嫁ぎ先の姑さんへのプレゼント、江戸小紋を仕上げていた。お茶をされるので喜ばれそう。「忘れずに一言添えて送るのよ」と助言したら、「ええっ~私、文章書くの苦手」と、器用貧乏のくせにそんなこと言う。あら、困ったわねとお吟さん、車から色鉛筆と荒目のハガキ大の水彩紙を持ってきて、そこらにあった安物の抹茶茶碗と茶筅と茶さじを並べて、ささっと描いて俳画にして、「はい、この裏に一筆書くこと!」と(笑)。
柿渋染の紬の衿付けに飽き飽きしていたから、ちょうどいい気分転換なり。
放屁虫三年四組下駄箱に 湯浅洋子
ピクルスは新宿中村屋のアグレッツィに限る。アグレッツィはロシアの胡瓜の酢漬けのことで中村屋の創業者相馬夫妻が盲目の詩人エロシェンコを庇護していた時に出会った料理のひとつで、インドのボーズが作った昭和2年の衝撃の味と言われたインドカリーの付け合わせに用いられ、カリーの辛さを和らげる爽やかな酸味が抜群の相性で、わたくしは今でもカレーを作る時は新宿中村屋の地下の売店「ボンナ」でアグレッツィ(540円)を買ってくる。わたくしは小学生の時に父に連れられて中村屋のインドカリーを食べて衝撃を受けて以来、カレーと言えば中村屋のインドカリーが至高の味で、付け合わせはアグレッツィとチャツネと粉チーズである。
中村屋のカリーと並んでマイルドなカレーで衝撃を受けたのが横須賀海軍カレーで、これは娘のお呼ばれ会の付き添い先で海軍だったお爺さんの作ったカレーで、中村屋以外で出会った衝撃の味で教えを乞うと、イギリスのB&Bのカレー粉と上質の豚バラ肉を使うのがコツだとわざわざ大船の肉屋まで紹介されて買いに行ったが、鎌倉の輸入雑貨店で買ったカレー粉と豚バラ肉のスライスと玉葱のスライスが味のポイントで、子どもたちもお代わりをするほどの辛いのにマイルドな飽きの来ない旨さで、実は固形マギーブイヨンが下味で効いているのは後で気が付いた。中村屋のカリー粉はもちろん使うが、高いので、B&BとSBと横須賀海軍カレー粉をブレンドするのが猫髭式カレーのポイントで、勿論付け合わせはアグレッツィで、仕事で海外に行くたびに甘くないピクルスは買ってきたが、みなそれぞれ美味しいとはいえ、中村屋のアグレッツィがやはり甘くない酸味の爽やかなピクルスとしては一番シンプルでいい。とにかく甘味料多寡があらゆる料理に言えるので素材の甘みを殺す味付けが気持ち悪くてほとんどのソトメシは不味いので自分で作るウチメシに如くはない。このウチメシソトメシという言い方はうちのカミさんの造語で、社内報のアドバイザーだった時に広告会社がわたくしの文章を面白がり、自分たちも使っていいですかと聞かれていいよと答えたら、まさか世間の流行語のひとつになるとは思わなかった。わたくし自身が作ったキャッチフレーズで一番記憶に残ったのは「映画館のない街はさみしい」と鎌倉から映画館が消えたことを書いたエッセーの一文で、TVのなかった頃は映画館の桟敷が家族で行くイベントだったので昭和の団欒が消えてゆくのはやはりさみしい。大洗や那珂湊の湊町にも二つは映画館があって、いつも行列が開館前には続く時代が昭和で、昭和34年前後は映画館の数でも映画の質でも日本が世界一だった。今の日本映画もTVドラマも昔日の影すらない。過ぎてみれば昭和という時代は戦争もあったが世界に誇る文化もあった。いま世界に誇るのは漫画とアニメだけである。
倉庫カフェに出没。窓いっぱいの黄金色が美しい。ヨーロピアンブレンドを淹れたドイツの珈琲カップを写していると、二匹の蜻蛉がハート型でやってきた♪
稀といふ山日和なり濃竜胆 松本たかし
倉敷の茶房で句会。90歳の句友を迎えにゆくと、早々と炉開き椿が二輪咲いていた。弁慶草・水引・金水引・ほととぎす・紫苑など、お茶人の庭は楽しい。辛夷の実が色目よくユニークなので、お煎茶の会で使いましょうということになった。一番形の面白いのを見つけて唾をつけておいた。
兼題「角」では、
角とれしじいじとなりて敬老日 K
角とれぬまゝに敬老記念品 K
角が取れた方はもちろん無点、取れない方は五点。そのうち二点はお吟さんの特選である。記念品とまで言って面白い。欲しくもないのに貰って憮然としている顔が見えてくる(笑)。
