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選句候補作品鑑賞

25 苗植えよ冬眠蛙ぽろっと出 (ちとせさん) 1 
 下5がユニーク。冬眠場所を間違えた蛙、一読楽しくなりました。季重なりと上5の「よ」が気になりました。上5の推敲をしては。

53 聖夜来てパパの靴下欲しき孫 (小松菜さん) 1
 なるほど、こどもの気持ちの解るおじいさん。靴下は片方だけなんですよね。ひょっとしてサンタはおじいさん。思い出しました。ある国でクリスマスの夜行方が分からなくなったおじいさん。翌朝煙突から黒焦げのサンタさんが。哀しいお話です。

58 行く道はシャンソン如く枯葉舞う (和談さん) 3 
 音楽は不案内ですがシャンソンね。枯葉との取り合わせ。リズミカルな世界、素敵ですね。桜や吹雪ではシャンソンは動くのかな。

62 葱抜いて友いっぱしの農婦なり (ヨシさん) 1
 家庭菜園でしょうか。庭の一角に大根やら人参、もちろん無農薬。虫や雑草と戦いながら近所へのお裾分けを楽しみに汗する主婦。上5が一句の弾みになって句を活かしてますね。

74 功徳積むための石段冬木立 (尾花さん) 2 
 神社仏閣へとつながる石段でしょうか。功徳摘むためとは言いえて妙。人生の階段はせいぜい百段。でも段差があり時には濡れ落葉が。まさしく功徳の積み重ね、その先にあるものを信じて。

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74 1行目、功徳摘むでなく積むでした。

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麺類あれこれ

きしめんの鰹節(かつぶし)躍る十二月
上の拙句をナチーサンさんに取り上げていただきました。きしめんは名古屋の名物ですが、ご承知のように後から鰹節を掛けます。熱い出汁の上で鰹節がまるで生き物のようにくねる様子が面白くて、鰹節躍ると表現しました。専門のうどん屋ではなく名古屋駅構内のきしめんがまたよいのです。名古屋と言えば山本屋の味噌煮込みうどんもいいですねえ。全国各地に自慢のうどんがあります。例えば稲庭、讃岐、大阪、伊勢、五島とたちどころに名前が上がります。変わり種として上州のひもかわ、甲斐のほうとうなんてのもあります。ナチーサンさんご推奨の新宮うどん、志摩うどんですが、申し訳ないことに聞いたことが無いのです。ごめんなさい。これが蕎麦となると頗るマニアックな世界ですので、アイビーごときの手には負えません。

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 名古屋駅構内のきしめんは良く食べました。今頃の寒い夜の待ち時間に。「志摩うどん」としましたが正式名称は「伊勢うどん」かも。殆ど汁の無い太いうどんです。蕎麦はかをりさんの分野ですね。蕎麦談義を期待しましょう。

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選句鑑賞

 1 箒垣に閉ざす古民家冬日影 (ちとせさん) 4 
 確か夏に淑子さんの句だったかで「箒草」「箒木」について勉強させていただいたことを思い出しました。この木、箒だけでなく生垣にも使われるんですね。過疎化で廃屋になった古民家を囲む箒木の垣根、それに沿うように射す長い冬の日差し、一読切なくなり廃村ににりそうな故郷に思いを馳せました。

27 ホスピスはこの橋の先笹子聞く (森野さん) 3 
 現役のころ一度だけホスピスへ行ったことがあります。確か春日井市か日進市。暖かい清潔な個室はうっとりするような雰囲気でした。ボイラーマンだった同僚、昼休み毎日のように息抜きに彼のボイラー室へ。空手を得意とし週末には子供達の指導も。その彼の突然の入院。奥さんは看護婦。1年もせずしてホスピスへ。見舞の私に「本当のことを!」と懇願され何も言えずただ励ました覚えがあります。この句、この橋の先と突き放しておいて座五へ。心憎いまでの句拵え。胸に堪えました。

37 実千両蔵に息づく味噌麹 (アイビーさん) 8 
 やはり入りましたね、最高点。どなたの句かと思いながら1票を。地味ですが奥行きがありどっしりしたところに惹かれました。何度読み返しても飽きが来ない。味噌麹の深みでしょうか。

43 大屋根の影が来てゐる実千両 (林檎さん) 4 
 句柄が大きくてしかも繊細。実に心憎い作品です。実千両に人生を重ねると味わいが深まります。

47 咳一つして圓生のまくらかな (アイビーさん) 4 
 自解にもありましたが圓生は動かないとか。私も落語は好きです。大府でも「子ども落語」が時折市役所で公開されます。何人かの師匠が亡くなり落語界にも世代交代の波が。この句、咳が季語ですが序曲のようなものでしょうか。観客の多くは話の中身は知っているので枕に興味しんしんとか。落語を通して人間性を評価しているんですね。逢うだけでいいと。師匠の中には枕だけ語り退場した猛者も居たとか。迷わず特選に戴きました。気が付けばアイビーさんの句三つ戴いてしまいました。

61 冬の月一光三尊照らしをり (きよしさん) 3
 「過日兄弟姉妹に甥・姪等でマイクロバスで善光寺御開帳詣でをいたしました。不信心観光であったかもしれません。でもお前立一光三尊の回向柱に触れると阿弥陀如来様のお計らいが頂けるような気が致しました。」
 以上は選句後、きよしさんから頂いたメールの一部です。清さんは西尾にお住いの元教員(校長)、先輩です。お宅へは一度伺ったことがあります。等身大の仏像が数体薄暗い一室に安置されていて度肝を抜かれた記憶があります。英語の教師ですので「ことば」には敏感です。「茶々」という野良猫を可愛がっています。畑へ行く度住みついた農器具小屋で逢うそうです。俳句は初心者、雅号を考えています。「≪虚子≫にすれば」と冷やかしています。ご指導よろしくお願い致します。

67 きしめんの鰹節(かつぶし)躍る十二月 (アイビーさん) 5
 私は麺類は大好きですが蕎麦よりうどん派、名古屋へ来てきしめんに出会いましたがまだ馴染めません。うどんの何がいいかと言うとそのつるっとした喉越し感、それと出汁。今でも新宮市の素うどん、妻の好きな三重の志摩うどんの味は忘れられなません。この句の命は中七でしょう。座五がしっかり受け止めています。今日も気温が下がりました。暖かい素うどんが食べたくなりました。

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No.877 ちとせ 12月19日 22:23

 写真見た覚えがあり改めて確認しました。よく見たら箒がずらり。
ご指摘、有難うございました。

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ちとせさんの箒垣の句はアイビーの感想その1(記事・859)で取り上げたところ、作者のちとせさんご本人から返信(記事・877)をいただきました。その記事に実際の箒垣の写真をアップしていただいています。竹箒そのものを垣に使っています。参考までに。

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アイビーの感想 その3

アイビーの感想 その3

43 大屋根の影が来てゐる実千両 (林檎さん)
寺の本堂かなにかの構築物であろうか、影が伸びてきて丁度、境目の所に生垣があって千両が赤い実をつけている。一口に言って端正な句という印象だ。夏とかほかの季節なら、影がここまで伸びてはこないが、冬の日差しであればこそ生垣の所まで伸びてきた。さりげない描写だが行き届いた観察だ。

56 山眠る夜は星ぼしをいただきて (林檎さん)
43番と同様、気品高く端正な句。森閑とした冬の山と、凛とした冬の星の取り合わせが美しい。

66 カタールに歓喜の叫び寒昴 (ふうりんさん)
言うまでもなくサッカーワールドカップでの一コマ。侍ジャパンの大健闘に日本中が湧きたった。ところが、中東のカタールということで時差の関係から、テレビ放送は深夜から未明になる。従って「寒昴」ということになる。

70 強力のおろす空荷へ雪蛍 (かをりさん)
強力は登山の案内人兼荷物運搬の業に携わる人で「ごうりき」と読む。信仰の対象として富士登山が始まった江戸時代からあり、昭和40年代まであったという。小説家・新田次郎は50貫(178キロ)もの巨岩を担い白山登頂に挑んだ男の生きざまを描いた「強力伝」で直木賞を獲った。この句は強力という得難い題材に雪蛍を配した。幻想的な雪蛍。現とも幻ともつかぬ世界に陶然とさせられる。

95 ねんねこや狭き厨の水仕事 (玉虫さん)
季語のねんねこがまことによく利いていると感じた。狭い台所で水を扱う主婦の仕事の大変な様。多くを語らなくてもねんねこという小道具一つで判らせた。実際はどうか分からないが、合理的に設計されたシステムキッチンではなく、昔ながらの農家の台所を私は想像した。

38 米軍のアンテナ消えて大冬田 (小松菜さん)
これは依佐美(現・刈谷市)の鉄塔のことだろうか。長らくこの地域のランドマークであり、例の「ニイタカヤマノボレ」の暗号が発せられたのがここからと言われる。戦後GHQに接収され、平成6年まで使用された。今はすっかり撤去され辺り一面田圃となっている。なんの変哲もない冬田の風景だが、一人ひとりの胸に去来するものはそれぞれだ。

53 聖夜来てパパの靴下欲しき孫 (小松菜さん)
子どもたちには待ちに待ったクリスマス。プレゼントを入れる靴下が小さいので、パパの大きな靴下にして欲しいと孫が言う。なんとも可愛い盛りで、和やかな風景だ。ところで、サンタさんが夜中にプレゼントを持って来てくれると信じているのは、一体、何歳ぐらいまでだろうか。

22 やつと降る聖夜の雪やチャチャ登り (無点)
クリスマスに都合よく雪が降るとは限らないが、ホワイトクリスマスというように、雪があった方がムードは出るのは間違いない。この句は、うまい具合に雪が降り出したのはよいが、座五の「チャチャ登り」が分らない。どなたかお教え願いたいのだが。

51 四季桜咲き紅葉散る和紙の里 (無点)
四季桜と紅葉散と和紙で小原村(現豊田市)であることは自明だが、問題は季重りだ。厳密には、四季桜という季語は無いから季重りにならないとの解釈も可能だが、やや苦しいように思う。私は必ずしも季重りがダメとする立場ではないが、この句の場合は季重りの弊が明らかにあるように思う。皆さんはどう思われましょうか。現実の小原村は四季桜と紅葉散が同時進行しているから、余計悩ましいのだが。

アイビーの感想 完

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かをりさん、肝に銘じます。
家庭の躾ですよね!
でも、でもね。
家庭と教室の縛りの外の・・・
保健室は居こごちサイコー。

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アイビーさん、お纏めと感想を感謝です。
強力の句、ありがとうございます。
新田次郎は結構好きでして、ええ、お察しの通り「強力伝」を意識、いえその作品へのオマージュです。
強力の空荷は晩秋から初冬への象徴、仕事の了。強力方々の安堵感として詠みました。
私は実景も詠みますが、本の世界から想像して詠むのも好きです。コロナ以降。
そういう意味でソファーで散歩です。

玉虫さんへ  うーん保健師や養護教員は空きがなかなか出ず(居心地がいいのかな)
で、現在専門学校の講師ですが、生徒はみんな、みんな可愛いです。
しかし、躾けは家庭でお願いしたいです。

引用して返信編集・削除(編集済: 2022年12月19日 23:05)

玉虫さん、ありがとうございました。
句の背景を伺うとまた一際、鑑賞も違った観点からの味わいがありますね。

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チャチャ登り・・・函館にある坂道の名前です。それもアイヌ語。
きつい勾配を登るので、お爺さんのように背中が。でつけられたらしい。
若き日あの近くで働いて居ました。
クリスマスには、雪が降ると良いね!等と話して待っていました。
待っていると来ないのは今も昔も同じ。
やっと来た聖夜の雪やチャチャ登り・・・やっと降る聖夜の雪やチャチャ登り
どちらが良いか迷ったり。
雪を待つワクワクは、若さ故の事と今は、しみじみ。

ねんねこや狭き厨の水仕事
ス-パーで見掛けるお母さん、お父さんは、かっこよく赤ちゃんを背負ったり抱っこしたり。
それにつけてもあの頃の私と来たら・・・。で、一句。
社宅の台所は狭く、核家族の暮らしでは、背中にくくりつけるしか無かった。
勿論田舎の土間の厨でも同じに。
ねんねこは私をお母さんに育ててくれた、そんな気がして詠みました。

水仙の花と居座る保健室
何故保健室があんなにも好きだったのでしょうか?
居座る程に。
かをりさんが養護の先生だったら、ハイハイ今日はここまでね!
と押し出されたかもしれません。それとも居座らせてもらえたでしょうか?

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アイビーの感想 その1

アイビーの感想 その1

1 箒垣に閉ざす古民家冬日影 (ちとせさん)
不勉強で箒垣なるものを知らなかったが検索してやっと分かった。おそらく豪農か在郷の旧家の屋敷であろう、箒垣で周囲を囲い端然とした佇まいを想像する。季語の冬日差が穏やかな雰囲気を醸し出している。

62 葱抜いて友いっぱしの農婦なり (ヨシさん)
友はかつて同じ職場で働いていたのだろうか、無論、農家の出ではない。久しぶりに再会し、積もる話に花が咲き時の経つのも忘れた。帰りがけ、畑に出て葱を抜いてくれた、その動作がいかにも手際が良く、まるで本職のお百姓のようだ。時間の経過は容赦ない。しみじみとした味わいのある句。
82 底冷えの錦市場にぐじを買ふ (ヨシさん)
ぐじは甘鯛の一夜干し、京都のおばんざいの定番だ。京都といえば錦市場、それにしんしんと冷え込む底冷え、まさに京都の庶民生活の雰囲気を髣髴とさせる一句となった。

59 洗われて干されて大根旨み増す (ABCヒロさん)
懸大根といえば冬の風物詩として、この辺りでは武豊町が有名だ。真っ白ではち切れそうな大根が、日にちとともに萎びてベージュ色に染まってくる。これが大根の旨味で、太陽の恵みを感じさせる。「洗われて干されて」と、対句にすることにより、リフレインの軽快なリズムが生まれた。

35 自信作漏れて陥る枯葎 (神林亮さん)
会心の作と自信をもって出した句が、予想に反し入点が伸びない。誰しも身に覚えがあり、思わず頬が緩んでしまった。そこが俳句の玄妙なところで、奥の深いところでもあろう。作者の亮さんは落ち込んで枯葎に入り込んでしまったが、なに気にすることはない。逆に、員数合わせで出したような句が、思いがけず点が入ることだってあるのだから。

58 行く道はシャンソン如く枯葉舞う (和談さん)
枯葉が舞っている様をシャンソンに喩えたところが何ともユニークで秀逸だ。そういえば、昔イブモンタンのシャンソンがあったのを思い出した。中七の「シャンソン如く」は不自然なので「シャンソンのごと(如)」としたい。

74 功徳積むための石段冬木立 (尾花さん)
神社仏閣の長い石段。私などは寄る年波で最初からギブアップしたい気持ちだ。そんな怠け心を見透かすように「功徳積むため」とピシャリやられては仕方ない。気を取り直して登るとするか。
93 忘れ物多き婿殿ちゃんちゃんこ (尾花さん)
婿殿は直ぐ近くに住んでいると想像される。鷹揚であくせくしない性格の婿殿。忘れ物多きと作者は言っているが、決して非難する調子ではない。むしろ、そんな婿殿を好ましく見守っているに違いない作者。揺るぎない信頼を窺わせ、アットホームな味わいを楽しめる句になった。

39 顔見世や空群青の隅田川 (無点)
隅田川が出てくる以上、この場合の顔見世は東京歌舞伎座の顔見世だろう。顔見世という難しい季語に敢然と挑戦されたことを諒としたい。ただ、空が群青色なのは分かるが、それと隅田川がどういう関係にあるのかが不分明で、読者としては若干、消化不良気味と私は思うがどうだろう。

アイビーの鑑賞3原則 ①作品に対するリスペクトの気持ちを忘れない ②入点の少ない句、無点句であっても取り上げるべきは取り上げる ③いわゆる仲間褒めをしない

以下次号 不定期掲載

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箒垣に閉ざす古民家冬日影 
 アイビーさん感想有り難う御座います。山梨県北杜市光の美術館で箒垣を初めて見ました。古いお宅でも見て良い物だなと思い俳句にしました。

きしめんの鰹節躍る十二月
 名古屋に嫁いできしめんを知りました。息子などは小さい頃大の好物で近くでお祭りの出店があれば小遣い握り締めて飛び出していったものです。関東では「ひもかわ」と言っていましたが今や全国区できしめんで通じまね。注文して運ばれて来るとまさに鰹節躍っていて美味しさがほとばしります。
特選に頂きました。
 アイビーさんのあたたかな感想楽しみに読ませて頂いています。有り難う御座います。

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74功徳積むための石段冬木立
93忘れ物多き婿殿ちゃんちゃんこ
アイビーさん、感想をありがとうございました。
忘れ物・・・の句を投句するとき、どこかで婿さんの目に触れ誤解されるといけないと思い季語に悩みました。 アイビーさんの感想を読ませていただき「ちゃんちゃんこ」で良かったんだと思い安心しました。 ヨシさん採って下さりありがとうございました。

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かをりさんの句とは知らずご無礼を申しました。(本当は知ってたけど)
私めの個人的な感想に過ぎませんので、どうぞご放念下さい。
元句の 大川の空群青や初芝居
よく分かる名句で、この句なら特選で取らせていただいたのに。

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アイビーさん、お纏めお疲れさまでした。
39 顔見世や空群青の隅田川 (無点)
早速、感想をいただき、感謝です。
元句は 大川の空群青や初芝居  でありましたが、
初芝居と顔見世を混同し、慌てて泥縄に顔見世に修整し、墓穴を掘りました。
ここは顔見世の子季語を用いて
大川の空群青や足揃  とすべきでありました。
選句観賞は、また頑張ります。

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36 冬ざるる地球人口八十億 

 正直季語に迷いました。言いたかったのはこの現状に人類が耐えられるのか、ということです。
「冬ざるる」「師走」「「極月」などあげましたがしっくりきませんでした。やはりこのような句材は俳句には不向きなんでしょうかね。
 世界の人口は、1分に156人、1日で22万人、1年で8千万人、増えているそうです。今パソコンの画面でリアルタイムで数字が動いています。8,005,903,332が過ぎて行ったのは10分ほど前。ピークは2,090年の104億人で以後次第に減少するそうです。いずれにしても人の生活が、太陽と地球からの恵みを、超えそうです。このことだけでも今戦争などしている場合ではありませんね。

73 病棟の四階の窓小夜時雨 (悦ちゃんあらさん)
 私は「四階の窓」をこう解釈しました。日本では4と9は忌み言葉としてほとんどの病院では病室としては使っていません。倉庫か執務室です。ここに目を付けた作者は時雨の中何か感じるところがあったのでは。この間近くの駐車場も欠番だったので驚きました。読みすぎでしょうかね。

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アイビーの感想 その2

アイビーの感想 その2

73 病棟の四階の窓小夜時雨 (悦ちゃんあらさん)
何の病気か存じ上げないが、とかく入院生活は単調だ。いきおい、周囲の雨や風、自然現象の諸々に鋭敏に反応する。この辺りの機微は入院経験のある人なら容易に共感できる。早い夕食を摂った後、就寝には時間があるが、さりとて何もすることが無い。無聊だ。何時しか外は雨になっている。

10 お日様に叱られさうで布団干す (風深さん)
よいお天気だ。こんな日に布団を干さない手は無い。この句のキモは何といっても「お日様に叱られさう」というユニークな楚辞に尽きよう。お見事、参りました。

44 高齢叙勲面映ゆし冬薔薇 (きよしさん)
どの分野かは存じ上げないが、晴れのご叙勲おめでとうございます。一つのことをやり遂げた充足感と冬薔薇の取り合わせがまことに効果的だ。その道を極められたきよしさん、今度は文芸の方面でも一家を為されるよう期待して止まない。

72 伊那谷の妻恋ふ鹿の鳴きやまず (森野さん)
互選で7点が入った句。最初、私は動物である鹿が妻を恋うのは、いくら何でもオーバーすぎる表現と思っていたが、作者自身の解説で認識を改めた。伊那谷では夜通し雄鹿のもの悲しい、求愛の鳴き声が止まないという。さすれば「妻恋ふ」の表現は十分に必然性を持つ。

88 鬼平剣客梅安・根深汁 (てつをさん)
私が特選にいただいた句。鬼平剣客梅安と並べるだけで池波正太郎ワールドが展開する。つまり鬼平犯科帳、剣客商売、仕掛人・藤枝梅安の人気シリーズのタイトルをずらり並べた。上五、中七は句またがりになるが12文字で、座五の根深汁できっちり定型に収まった。季語の根深汁が見事。いわゆる季語が動かないとはこのことだろう。ただ句の途中の「・」は要らないと思うがどうだろう。

54 踏ん切りのつかぬことあり落葉焚く (てつをさん)
どうしたものか、思い悩んで踏ん切りのつかない問題と座五の「落葉焚く」との距離感が絶妙。関係がありそうで、無さそうで、この辺りの呼吸が俳句の呼吸だろうか、大変勉強になった。

91 冬の馬場栗毛靡かせ返し馬 (ナチ―サンさん)
勉強家のナチーサンさんらしく、今度は競馬の世界に挑戦した。もともと競馬にハマっているのならともかく、そうではないわけで、新しい分野に敢然と挑戦される姿勢に敬意を表したい。広く視野を持ち、これからも若々しい俳句を大いに期待したい。

4 嬉々として子の破りたる障子貼る (エミさん)
誰しも経験のあることだろう。普段、障子を破れば大目玉だが、障子貼りの時は親公認で破る。それが面白く、恰好のストレス解消にもなる。子ども時代の一コマを活写した佳句。

65 来年も平和であれと日記買ふ (エミさん)
当たり前のことを当たり前に詠む。これが、言うは易く行うに難いのだ。エミさんは当たり前の事象を外連味なく素直に詠んだ。「平和であれ」との字句を入れることによりただごと俳句からの脱却に成功した。

36 冬ざるる地球人口八十億 (無点)
私の子ども時分、地球人口は27億と教わった。それが先頃の報道では80億になったと言う。約半世紀で3倍弱になった計算だ。時事問題を早速俳句にしたところは、なんでも俳句にしてやろうという意気込みが窺われる。ただ季語の「冬ざるる」は最良の選択だろうか。どういう意図があったのか、作者自身の見解を聞きたいものだ。

以下次号 不定期掲載

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選句観賞

選句観賞、誤解釈、方向音痴はご容赦くださいませ。

3 昼を鳴く鴨二つ三つ浜日和 (林檎)
上五の「に」ではなく、助詞「を」が大正解。
鳥の数詞、二つ三つも枕草子風でうんうんと肯きました。
浜日和で冬の陽光、風景がよくみえてきて、おもわずいただきました。

10 お日様に叱られさうで布団干す (風深)
布団を干したくなる句、ありがとうございます。
私の寝室は二階ですので、布団干しは面倒くさいので乾燥機を使っています。
叱られそう、ここに妙あり、冬のお日様の恵をいただきました。

特選 13 水仙の花と居座る保健室 (玉虫)
医務室ではなく、保健室、学生時代の心持ちを詠まれました。
はいはい、私も保健室は居心地がよかったー。長居しましたー。
その居心地の良さを居座ると詠んだ作者の力に敬意。
水仙の花の明るさが、奥行きがでてまたいいです。私は養護教員になりたかったです。

28 冬蝶の手品さながら消え失せり (てつを)
私など、さながらを如くで詠みそうです。勉強になります。
これは上手いですよ、上手い!特選と迷ったのですが、上手すぎたので・・・
冬蝶と手品の取り合わせも、オンリーワンです。

34 枯菊をなほも括りて日の暮るる (風深)
なほも括りて、大量の枯れ菊、これはご自身が菊を生業としておられるか、身近におられるか。
日の暮るるで〆た初冬の写生の秀句です。
こうして句に詠まれれば枯菊も美しくなるのですね。

47 咳一つして圓生のまくらかな (アイビー)
落語好きの私にはとてもたまらない一句です。
圓生は喉が弱かったのかしらかしら、映像で伺うといつも蓋付き湯呑み茶碗があります。
粋でないと詠めない句です。私も粋に詠みたいなあ。

48 一斉に炬燵に走る隠れん坊 (玉虫)
今月は炬燵の句も目立ちました。やはりこの冬に出したばかりのアイテムは心魅かれますね。
其の中で、この句が一番懐かしさが籠り、心象風景が蘇ります。

月に一回、拙い感想を述べておりますと、好みが出来てくる不思議さに驚いております。
あくまでも心魅かれる句のパターンの一つとしてですが、現物をとらえて、自分の心象風景を炙り出しておられる句は好きです。
皆様の句を楽しみ、勉強させていただき、今年もよい俳句の一年でありました。
ありがとうございました。

引用して返信編集・削除(編集済: 2022年12月16日 21:34)

かをりさんの俳句鑑賞に拙句をお取り上げ頂き有難うございます。
落語と噺家と咳の三題噺めきますが、噺家なら誰でもよいという訳にはいきません。咳をして、あるいは湯吞から湯を飲んで芸になる噺家といえばまず圓生です。文楽でも志ん生でも小さんでもしっくりきません。談志、志ん朝も然り。消去法で圓生しか残らなかったのです。

引用して返信編集・削除(編集済: 2022年12月17日 16:09)

1万5千視聴達成!

 15,001を確認してもたもたしていたらもう15,007に。1万達成が「No.720岩座神11月18日 21:29」でしたから約1か月で5,000通ですか。この分で行くと2万は1月半ばですかね。会員数も新年は多分20人の壁を破っていることでしょう。アイビーさん、皆さん、良いお年をお迎えください。

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自句自解

 2 サッカーの決勝の笛泪噴き 1 
 昨年のラグビームードから一転今年はサッカーブーム。ドイツ、スペインのチャンピオン経験国を破るなどベスト8の壁は破れなかったものの日本の実力を見せつけた。他にサッカーの句はふうりんさんのカタールの句のみだったが残すは今夜準決勝のフランス対モロッコ戦と決勝戦のみ。フランスの連覇かメッシのアルゼンチンかそれともダークホースのモロッコか。興味は尽きない。スタンドの歓喜と選手の雄たけびそして涙に感動した一句。 必見・・・15日早朝、3時45分。NHK総合。

23 断捨離も半端に終はりしぐれけり  4
 何年か前から意識し始めた断捨離。書籍類はほぼ処分したが全集もの(子規全集など)と俳誌のみ残った。最後まで迷った写真はほぼメモリーカードに保存、写真はアルバムから剥がして袋に。手紙類は故人のものは主なもののみ残し年賀なども処分した。年賀と言えばほぼ当初の半分に減り今は300枚ほど、一方的な三分の一は今年は辞めようか迷っている。先日82歳になる養護学校時代の教え子から(24歳の時22歳・脳性小児まひ)「あの世の住所は不明です」の但し書きで本人からの訃報が届いた。8月15日での人生のゴールと。参った。なるほど断捨離もこのくらい徹底しないとダメか。

36 冬ざるる地球人口八十億 
 先日地球人口が八十億人を超えたとのニュースが流れた。百億を超えるのも時間の問題だそうだ。ただ限界を超えると歯止めがかかるとか。問題は水の確保と食糧事情。地球温暖化とそれに伴う異常気象。多発する地殻変動、大規模山林火災、また一向に収まらない新型コロナウイルスの蔓延。加えてアメリカに発するインフレなど経済恐慌への危惧。核戦争など人為的なものを別にしても枚挙に困らない。一方、AIなどの発達による進歩も目覚ましい。ドローンをきっかけに空飛ぶ車など数年先には実現するとか。月や火星など宇宙への進出も夢物語ではない時代。何が起こるかもう少し生きて見定めたいものだ。

51 四季桜咲き紅葉散る和紙の里
 四季桜は春と秋に咲くようだ。春に訪れた熱田神宮でも見かけた。大府ウォーキングコースにも数本ある。この秋に通りかかった子供たちに、「この花何?」と問いかけたら一斉に「桜」と。「今の季節は?」には「秋」。再び「桜はいつ咲く?」には顔見合わせて「春」と。そこで「四季桜」についてのノウハウを。この句はそのままで、小原村の映像をテレビから切り取ったもの。

91 冬の馬場栗毛靡かせ返し馬 1
 最近外へ出られなくなりテレビでの取材が多くなった。これもその一句。昔の「雪跳ねて勝ち馬息を整へず」を思い出しながらの句。競馬など無縁で馬券など買ったことも無い。馬場には一度だけマラソンで名古屋の競馬場が会場になった時行った。その折、係り員にゼッケンの留め金の確認をされたこと、スタートで馬場を半周したが思いの他砂がめり込み走りづらかったことなどである。「返し馬」なる言葉も初めて知った。それまで大人しかった立ち上がった馬の表情がしっかり映し出され心に残った。

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尾花さまへ
 お心に掛けていただき有難うございました。
返し馬は、出走前に観客に馬体を見せ(馬券を買う参考?)るために馬場を歩かせますが、全て見せるため反転し向きを変えることのようです。この句の場合、何故か抗って立ち上がりました。出走前の緊張でしょうか。その様子を詠んだものです。美しかったです。

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91冬の馬場栗毛靡かせ返し馬
競馬はよくわかりませんが、乗馬体験の出来る所などで、馬が仕事を終え厩舎へ帰る途中なのか、栗毛を靡かせ意気揚々と歩いている姿を思い浮かべ、とてもいい句だと思いいただきました。

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