6月句会の互選結果を発表します。
6月のトップは6点を得たふうりんさんの「夏場所」の句でした。続いて8点句の弥生さんの「涼し」の句でした。
以下、6点句がダイアナさん、水尾さん、にゃんこさんの句が同点でした。
10点句 16 夏場所や母のベッドの背を起こし (ふうりん)
8点句 18 辻ひとつ入りて涼しき京の路地 (弥生)
7点句 56 畦道は暮らしの道よ行々子 (森野)
6点句 17 万緑や嬰赤くなり伸びをする (ダイアナ)
6点句 69 推敲の末は昼寝の大鼾 (水尾)
6点句 82 いきさつを聞かむ古茶の葉開きけり (にゃんこ)
個人別総合では、ふうりんさんと弥生さんが、ともに14点で並びました。
6月度みんなのネット俳句会互選結果一覧 ◎は特選、特選2点並選1点で計算。 令和7・6
1 ナイターの我がナガシマや永久 (玉虫) 3 ちとせ、◎えっちゃ、
2 群生を茅花流しや銀色に (和談) 2 ◎ヨヨ、
3 家飲みに麦酒生き生き冷えてゐる (コビトカバ) 1 弥生、
4 おはようと挨拶しそうアマリリス (ちとせ) 2 森野、てつを、
5 五月雨にあやめの紫紺煌めいて (茶々) 4 えっちゃ、ヨヨ、ふうり、みにょ、
6 梅雨寒や九人目となる理髪店
7 本が好き白詰草の野に飽きず (尾花) 2 えっちゃ、森野、
8 うつ病のうつ捨てるため山登る (ABCヒロ) 4 えっちゃ、ナチー、◎弥生、
9 若葉風けふもご機嫌古農機 (てつを) 5 ダイア、ちとせ、弥生、アイビ、水尾、
10 解体をぢつと待つ家夕薄暑 (ヨシ) 3 にゃん、弥生、水尾、
11 著莪咲きし一乗谷に置く思ひ (森野) 2 尾花、水尾、
12 茄子植うる妻の白髪の目に余り (ナチーサン) 1 和談、
13 半夏生最後尾っに来て米を待つ
14 草引くや屈む背中に青時雨 (ヨヨ) 2 ちとせ、和談、
15 白百合に埋め包まれし母眠る (ラガーシャツ) 1 みにょ、
16 夏場所や母のベッドの背を起こし (ふうりん) 10 茶々、◎ラガー、◎玉虫、圓人、森野、弥生、ABC、ヨシ、水尾、
17 万緑や嬰赤くなり伸びをする (ダイアナ) 6 かをり、玉虫、ふうり、ABC、◎アイビ、
18 辻ひとつ入りて涼しき京の路地 (弥生) 8 尾花、ダイア、にゃん、ちとせ、かをり、森野、コビト、ABC、
19 河骨の咲いて荒蕪の湿地かな (アイビー) 1 ちとせ、
20 夾竹桃白し聖職者の庭よ
21 病む父や遠くでニュース梅雨入りと
22 万緑や文武に長ず松代藩 (和談) 1 かをり、
23 梅雨寒やここも更地か古本屋 (水尾) 5 ◎森野、てつを、みにょ、アイビ、
24 何回も振り向く別れ夏の空 (コビトカバ) 4 ◎にゃん、えっちゃ、ラガー、
25 新品種ひたち乙女は薔薇美人 (茶々) 1 ふうり、
26 亀の子の脱走癖の面白し (玉虫) 1 ヨヨ、
27 不機嫌な空地上には梅雨茸
28 ザーザーと洗車する夫半ズボン
29 若竹や母国知らずにパンダの子 (てつを) 1 ナチー、
30 夫偲ぶ友に鬼灯花数多 (森野) 1 圓人、
31 風過ぎて薔薇の香りやバスを待つ (尾花) 2 ◎水尾、
32 今もなほ動かぬ時計梅雨晴れ間 (えっちゃんあら) 1 ラガー、
33 庭中をわがもの顔に著莪咲けり (ヨシ) 2 ヨヨ、みにょ、
34 あれ食べてみたいと言ふの四葩かな
35 次の世は蝶に生れこよ火取り虫 (ナチーサン) 2 尾花、えっちゃ、
36 蔓草や絡みて高く五月雨
37 ひと月の健診終へて早苗道
38 母の日に贈る絵入りの感謝状 (ふうりん) 1 かをり、
39 烏飛ぶ宝珠のごとく枇杷咥え (アイビー) 2 茶々、てつを、
40 空梅雨や己が道行く三男坊 (圓人) 2 尾花、ナチー、
41 薔薇園の少女も婆もプリンセス (弥生) 2 ナチー、みにょ、
42 一晩に一寸を伸ぶ夏野菜 (にゃんこ) 2 かをり、圓人、
43 同志寄り閉ざす旧会梅雨走り
44 叱られし事忘れたる螢かな (玉虫) 5 ラガー、コビト、弥生、◎ヨシ、
45 凛と立ち藍艶やかや花菖蒲 (ちとせ) 2 茶々、みにょ、
46 カセットを交換した日ソーダ水 (コビトカバ) 3 ◎ダイア、玉虫、
47 活けられて高き品格百合匂う (ABCヒロ) 4 ラガー、ふうり、◎和談、
48 梅雨入りやダメライフなもレットイットビー
49 若者に習ひを問はれ青嵐
50 入梅が夫婦げんかの今日の題 (水尾) 2 ラガー、玉虫、
51 クレマチス咲いて老舗の若女将 (ヨシ) 5 尾花、ダイア、ナチー、弥生、アイビ、みにょ、
52 更衣先延ばしする老夫婦 (ナチーサン) 1 圓人、
53 合歓の花長電話して夫の愚痴 (えっちゃんあら) 2 てつを、ABC、
54 赤き花髪に浴衣の城下町 (尾花) 1 茶々、
55 山登る三度もこけてこりゃいかん
56 畦道は暮らしの道よ行々子 (森野) 7 ◎ちとせ、てつを、玉虫、圓人、ナチー、アイビ、
57 さくらんぼそわそわ妻のクラス会 (ふうりん) 1 森野、
58 田舎道蛙の合唱いま昔 (ヨヨ) 1 和談、
59 空海も見し海原の卯浪かな (アイビー) 4 ◎尾花、ヨヨ、水尾、
60 ほの蒼く街煙りゆく梅雨はじめ (弥生) 2 にゃん、かをり、
61 合唱終へ師の誉め言葉代田風
62 蚊遣火や老いを受け入れ然を生く (圓人) 2 ◎ナチー、
63 曇天の水面とろりと梅雨の入り (にゃんこ) 2 ◎コビト、
64 シルバーのアクセ選べば夏来る
65 夏やさい自助自立への老いの鍬 (和談) 3 茶々、ダイア、◎圓人、
66 蒼き葉に楚々と朱を置く花柘榴 (ちとせ) 3 ヨヨ、◎てつを、
67 尺取りや老の脳味噌掻き回す (玉虫) 1 コビト、
68 五月雨に軒下で丸く猫も待つ
69 推敲の末は昼寝の大鼾 (水尾) 6 にゃん、ラガー、玉虫、ふうり、ヨシ、アイビ、
70 果と吾の夢を包みて袋掛け (てつを) 5 ◎茶々、圓人、◎みにょ、
71 白南風や補助輪外しこはごはと
72 逃げだした蛸捕らへられ元の箱 (ヨシ) 1 にゃん、
73 青二才おのれの翳や桜桃忌 (ABCヒロ) 尾花、
74 朝ドラに犬見向きせず半夏雨
75 滴りて水子地蔵の貌濡らす (ナチーサン) 3 てつを、ABC、水尾、
76 五月雨に濁る事なし清水川 (ラガーシャツ) ふうり、
77 廃屋の庭に南天花こぼれ (森野) 2 ヨヨ、ヨシ、
78 学生の眩しき街や更衣 (ダイアナ) 3 ちとせ、コビト、ヨシ、
79 ドクダミや風雨に耐ゆる十字花 (ヨヨ) 4 茶々、ふうり、和談、ヨシ、
80 次々と我抜くシニア登山杖 (弥生) 1 コビト、
81 食欲は常に全開冷奴 (ふうりん) 2 和談、コビト、
82 いきさつを聞かむ古茶の葉開きけり (にゃんこ) 6 ダイア、てつを、かをり、圓人、ナチー、ABC、
83 ジャスミンの紅茶召しませ夏座敷 (アイビー) 3 茶々、ダイア、ふうり、
84 突然にめだかは向きを変へりをり (圓人) 2 えっちゃ、アイビ、
85 拾ひたる桑の実フッと吹きて食ぶ (玉虫) 2 弥生、ヨシ、
86 蛇口からじゃかじゃか水が立夏かな (ちとせ) 1 にゃん、
87 夏旅や卓球台は洒落た黒 (コビトカバ) 1 ラガー、
88 湯の町の路地は静もる夏隣り (和談) 3 ダイア、えっちゃ、ヨヨ、
89 短夜の夢の数々ただ悲し
90 緑蔭や洪鐘(おおがね)までのをとこ坂 (尾花) 3 かをり、玉虫、アイビ
91 あの頃のわれに逢ひたし夏柳
92 特売のチラシわんさか入梅前
93 鎮魂の碑を巡りゐる田植歌 (ナチーサン) 1 森野、
94 父の日にうな丼囲ひ絆かな (茶々) 1 和談、
95 気象図の斜め線引き梅雨に入る
96 海底に数多の遺骨沖縄忌 (ABCヒロ) 2 森野、コビト、
97 糖尿のぎりぎりライン走り梅雨
98 川に沿ひ沢蟹崖を上り下り
99 エルビスの曲の流るる五月かな
100 近づきてキミガヨランの葉がチクリ
101 高速路茅花流しの銀の波 (ダイアナ) 2 ちとせ、和談、
102 表札の擦れし名前姫女苑 (弥生) 1 尾花、
103 相撲道語るも楽し泥鰌鍋 (ラガーシャツ) 4 にゃん、玉虫、ABC、アイビ、
104 雨纏いここぞとばかり四葩起つ
105 梅雨寒のラジオ抑揚無きニュース (にゃんこ) 4 ABC、ヨシ、水尾、アイビ、
投句者はヨヨ、えっちゃんあら、ABCヒロ、ふうりん、森野、ヨシ、和談、ラガーシャツ、弥生、コビトカバ、にゃんこ、てつを、尾花、ダイアナ、ナチーサン、アイビー、ちとせ、玉虫、茶々、圓人、水尾の21名。ほかに選句参加・かをり、みにょん。
間違い等、不都合な点をご連絡下さい。
こんにちは。森野と申します。
夕菅の句、お採り下さりありがとうございました! 夕菅の花は我が家より徒歩2,3分の、日本油脂の引き込み線跡に、毎年咲いてくれています! 父が亡くなった頃、夕菅を加え野の花を摘み、義姉と散歩がてらお墓参りによく行きました。 近頃はあまり気にも止めていなかったのですが、先日、萩さんが訪れて下さったとき、垣根越しに背伸びして見ましたところ、優しいクリーム色の花が見えましたので、見てきて写メ送ってとお願いしました。 2,3日後に私も見て見ようと行ってきました。 吾亦紅や撫子もありましたが、草刈りの人達が居られましたので、刈り取られてしまったかも・・・!
これからもよろしくお願いします。
初めての投稿、有難うございます。かくいう私は夕菅という植物を実際に見たことが無いのです。貴重なお話を興味深く伺いました。これからもよろしくお願いします。
【猛暑日や首に取り付く保冷剤】 (和談) 2 ◎束束子
私の大先輩にあたる小山幻堂先生は、俳誌「ホトトギス」の常連として有名だった方で歳時記にも掲載されるほどの実力者でした。
ある年の初句会で「便所にも行かねばならずお元日」の句を出され、恐ろしいほどの激震に見舞われたことを覚えております。
厠とか雪隠、トイレ、はばかり等の言葉を使わず句の格を落としておいて「お元日」で締めくくった巧妙な手法に驚いたのですが、
それからというもの、私の句作には「材料を選り好みしない」という変化が生じました。
沢山の俳句を勉強すると分かりますが、美しく飾ったものや、奥ゆかしさがある句に人気が集まる傾向にある。例として
【穏やかな海より上がりくる初日】 このような言葉だけで飾った句は美しいので高点句になることが多い。でも実際に潮騒の波打
ち際に立った時、この句に果たして中身があるのかな?という疑問に包まれる。 句の鑑賞ほど難しいものは無いが、多少の稚拙さが
見られても中身があるほうがいい。
掲句は【猛暑と保冷剤】の対比で成功していて、それを繋げているのが「首」。今は水に浸すだけで涼しい衣などが開発され、小型
扇風機なども使われている。しかし、保冷剤をタオルに入れ、それで首筋を冷やしているところに特選の価値があります。
かくいう私も5cm四方の保冷剤を2個タオルに包み、首に巻き、10cm四方の保冷剤は腰骨の内側へ置いて熱中症を防いでますの
で、この句には共感を覚えました。 扇風機やクーラーの風が直接顔に当たるのが嫌いだし、長時間もクーラーに当たっていると心筋
梗塞の症状が出るので31度以上にならなければクーラーは使わないようにしております。
【立秋や数学九十点の夢】 (萩) 3 束束子、ヨシ、アイビー
小学校で90点を取るのは難しいことでは無いが、高校などでは幾何や微分積分などがあって90点を取るのは至難の業である。
夏の暑さから逃れて涼しい秋へと季節が移れば、心が洗われて数学も「すらすらと解ける」と思うのだが、どっこい、秋から冬に
かけては数学というものはとんでもなく難しいものに変貌するのである。
ちなみに私の得意科目は数学と国語 高校ではどちらも80点以上は取ってました。
不得意科目は英語。 これは常に40点以下 いわゆる赤点で追試、追試
理由は戦前生まれで「敵国語」という 好き、嫌い以前の原因から。とにかく外人が大嫌いなのです。
高校では全国統一の学力テスト 各科目ごとに成績が高点順に上位30名が廊下へ張り出されましたから、
同級生の誰が1位で、誰が30位なのかが一目瞭然。
結構上位でしたから「もてた といえば もてた」ほうでした。 フフフ
「90点の夢見」を句にされた萩さんに脱帽ですね。 素晴らしい句です。
数学ぎらいのアイビーにとって異次元の世界の話のように思えます。半田市の住吉公民館の橋本館長は私の中学時代の恩師で、担当は数学でした。先だってもひとしきり恨み言をまくしたててきました。疾うに80歳を超え、なお矍鑠とお元気です。何よりも現役の館長というのが凄い。しかし教え子の私の数学ぎらいは筋金入りです。いつか、
数学を三年呪ひ卒業す
なるメイ句をものしたこともありましたね。
立秋や数学九十点の夢
この句は、中1の孫との会話から出来た句です。 平均点には遠く及ばないらしい彼女。 100点なんて夢のまた夢とあっさり言う。
90点とれたら「キャァー、ヤッタネ-(Vサイン)」と。 数学は苦手だけど、毎日眠い目をこすりながら学校だけは行っているから祖母としては陰ながら応援です。
束束子さんにコメントいただいてとても嬉しいです。これからも頑張ります。
森野さんが再々詠まれる夕菅は武豊町でも見られます。
この画像は、今年の7月17日の夕方にスマホで撮ったものです。
武豊町民会館(ゆめたろうプラザ)の横に、かつて日本油脂(株)が使っていた線路があり、その廃線跡に毎年花を咲かせています。
向日葵のような鮮やかな黄色ではなく、アイビーさんの言うレモンイエローがピッタリのしとやかな色。廃線という人の出入りのないところだから、昔からの野山の草花が残っているのでしょうね。
森野さんもウオーキングされるので、この辺りはよく行かれると思います。夕菅が咲くとメールで知らせてくれるので私も出かけ写真にしてきました。20~30本くらいは咲いていたと思います。(森野さんはこの掲示板を見てないので代弁します)
武豊とは知らなかった。日本油脂の廃線ですか、なるほど。ありがとうございました。
パソコン不具合により更新をさぼっていて申し訳ありません。ようやく回復がなりましたが、その間かをりさん、ナチ―サンさん、束束子さんから有意義なご意見をいただきました。有難うございます。ほかの皆さん、特に今回好成績を収められた蓉子さん、玉虫さん、ヨシさんから一言いただきたいものですね。
蔵書印薄れし父の書を曝す
父は五人の子を育てなければならない、労働者でした。
乏しい小遣いで少しずつ本を買って、将来子育てを終え
仕事を退いたらユックリその本を読む積りと話していました。
残念ながら病気の為に、僅かの本を読んだだけでした。
蔵書印を押す程の本ではありませんでしたが。
その蔵書印は
年々薄くなってしまいました。
私はその頃の父より歳を重ねています。
父の蔵書印に託した、夢?を愛おしく思っています。
・・・これだけのことを17音ではあっさりと表現できる
俳句って素敵とおもいます。
これからも勉強していきたいと思います。
皆様、ご指導ください。
アイビーの感想です。例によってアイビーの鑑賞3原則に則ての駄文です。お気を悪くされませぬよう願います。異論、異議、大歓迎です。
いつの世も憂苦に満ちて河童の忌 (ちとせさん)
河童忌は文豪芥川龍之介の忌で7月24日のこと。生前、河童が好きで揮毫などに好んで描いた。また俳句でも一家をなした。虚子との交際はよく知られる。ぼんやりとした不安にさいなまれ自死した龍之介に、上五中七のフレーズが利いている。ただ、「河童の忌」としたのは疑問。「河童忌」と一続きにすべきかとも思うが。
水やりのため息ひとつ酷暑かな (エミさん)
花か野菜か、水やりはエミさんの日課なのだろう。せっせと丹精込めて水をやるのだが、それにしてもこの暑さはどうか。思わずため息を漏らすエミさん。暑さは和らぐ気配すらない、うんざりした気持ちをため息で表現したところが巧い。
炎天や石の布袋の太鼓腹 (蓉子さん)
べんべんたる太鼓腹は、今ならメタボと言われるが、かつては有徳人の象徴だった。雨の日も風の日も、凍える冬も炎暑の夏も、いつも機嫌よく笑っている布袋。石製品だから当たり前だが、凡俗の身には到達できない境地だ。読者の側に、布袋様のイメージが定着していることが共感を呼んだ。作者の計算通りだろう。
底紅や姉妹の奏づ吹奏楽 (無点)
惜しくも無点句となった。底紅は木槿のこと。木槿と姉妹の楽器演奏を取り合わせた句だが、いま一つ読み手に状況が伝わらなかったようだ。具体的に楽器の名前を出すとかすれば、姉妹は何歳くらいなのか、読み手に想像が働くのではなかろうか。
廃線に夕菅ほのと灯り来し (森野さん)
夕菅は夕萓とも書くが、レモンイエローの可憐な花を咲かせる。夕方に咲く花の性質から、「ほのと灯り来し」
という表現が生きてくる。さらに舞台装置として廃線を配したあたりが心憎い。この句は何処に旅行された時の句なのか、作者の森野さんの自句自解をお願いしたいところだ。
しゃべるたびマスクはずれて秋暑し(ABCヒロさん)
本来マスクは冬の季語だが、コロナからこの方、通年ものになった感がある。立秋とは言え暑さ厳しい中、ただでさえ鬱陶しいのに人前ではマスクを外せない。しゃべる度にマスクがずれるから、その都度直さなければならない。残暑が募るばかりだ。まことによく分かる一句。
甲虫捕りに出かけてそれっきり (束束子さん)
男の子はとにかく虫類が好きだ。まして貫禄たっぷりの甲虫と来れば、寝食も忘れて追いかける。女の子はそんなことは無いのは、虫好きは太古から男にのみ刷り込まれた遺伝子なのだろうか。その方面に詳しい方、どなたか解説していただきたいものだ。座五の「それっきり」が可笑しい。
以下、不定期掲載
こんにちは。
アイビーさん、掲示板の運営いつもありがとうございます。
プールの句を採っていただきありがとうございました。この句は、幼かった子供たちを思い出して作りました。
まだ柔らかい子供の髪や肌からプールの匂いがして、、プールに入ると疲れますしウトウトしているという句です。
かをりさんに、愛情を感じ取っていただき嬉しいです。
私は初心者ですから、見たまま思ったままを自由に作っていましたが、勉強をはじめてから、どんどん難しくなってきました。
でも、楽しいので頑張ります。
このような勉強の場を与えて下さって感謝します。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
26 ぜいたくや日ごと夜ごとに髪洗ふ
私も薄くなった髪の毛は毎日洗う。この女性と思われる人はそれを贅沢と詠んでいる。多分、戦前戦後の生活を回想してのも
のと思われるがどうだろう。衣食住、全てに贅沢になった。それでも若手とは一線を画してはいるが。
30 向日葵や萬はあらうか目の前に
この句を見て例の子規の鶏頭の句を思い出した。作者は向日葵の絨毯を目の当たりにして圧倒されたのだ。思わず萬と。千で
は無く。私の次点の句の一つ。
34 秋立つ日ひとりもいいさ誕生日
「ひとりもいいさ」に共感した。事情があって寂しい誕生日になった。しかも秋立つというその日に。この日の晩酌はさぞほ
ろ苦かったと想像する。飲み過ぎたかも。
40 花錆びて梔子匂ふ狭庭かな
梔子は実が熟しても口が開かないと言う。庭にはその梔子が熟して香を放っている。花は何時しか萎れ無残な姿をさらしてい
る。作者は縁側に坐って物言わぬ梔子との会話に時を忘れているのかも知れない。
47 空港へ車窓に盆の月連れて
お盆の帰省だろうか。親御さんの待つ田舎へ子供を連れてしかも盆の月まで連れて。中七から下五への描写に惹かれた。
54 裏木戸を四十女の帰省かな
帰省にもいろいろあるが中七に悩まされた。私の田舎もそうだが、村中に血縁が多く常に他人の目がある。裏木戸からそっと
我が家に入る四十女。それだけの事情があるのだろうか。なんとも深みのある選に入れたい句だ。
66 炎昼や梅干しゃぶり庭師かな
例年に漏れず今年も酷暑が続いている。家主の心遣いか梅干しをしゃぶりながらの作業。「さあ一服、お茶にしましょう」の
声が聞こえてくる。中七が新鮮。心温まる作品だ。
73 恥じらいも無きやビキニ娘浜の夏
ビキニが流行したのは何時の頃だろうか。海に行かなくなって久しいが、この作者、家族とでも海水浴に出かけたのだろう
か。そこで見かけた風景に圧倒されたようだ。それとも目の保養になったか。いずれにしても切れ字「や」は浜の夏の前に持
ってきたい。
ご指摘のこと気になっていました。投稿前には揃っているんですが何故か乱れています。次回はプレビューで確認の上投稿します。
よろしくお願い致します。
何時も精力的に投稿していただき感謝に堪えません。一点、お願いがあります。それは折角のメッセージが不規則に改行されているため読み難い憾みがあります。おそらく別の稿からコピペして投稿されたものと思いますが、両方の書式が違うための現象かと想像します。投稿画面にコピペする際に[back space] のキーを使って、文頭を揃える工夫をされるようお勧めします。
私の「炎天や石の布袋の太鼓腹」の句に、思いがけず多くのご支持を頂きましたこと、有難うございます。
何時も皆様の句を見て勉強させて頂いていますが、まさか私の拙い句がトップになるとは想像もしていませんでした。この句は、私がいつも通る道に、墓石などを製造する石材店がありまして、そこの店頭に陳列されている石の布袋様を句にしたものです。ユーモラスな太鼓腹、雨の日も風の日も空を見上げて円満なお顔をしています。何の技巧もなくただ見たことをそのまま詠んだだけです。今後ともよろしくご指導願います。
【選句と得点について】
5人~9人句会 10点
10人以上句会 7点
40人程度句会 3点
200人級句会 1点
参加人数が多くなると得点数が減るのが普通。 10人以下の句会だと7句出句で10句選が普通。 この場合は10点取れれば御の字
ところが10人になると出句が5句で選句が7句と少なくなるので総合点で7点も取れれば「よし」となる。
更に人数が増えて40人ぐらいの俳句会となると3句出句で5句選と厳しくなってくる。こうなると総合点で5点は上位に入ってくるから3点も取れればいい。
そして200名を超す大きな大会ともなると2句出句で選者選になるので殆どの人は0点となり、1点か2点を取れば喜んで帰ることになる。
私は月に200句ほど句を作りIT俳句会には「わかり易く、深みのある句」を厳選して出すようにしております。中日新聞や芭蕉祭、みたま祭などの各地大会には「未発表」という制約があるのでIT俳句会とは競合しない200句中のピカイチ句を選ぶ。しかし、投句者数が数百人、数千人もの規模にもなると入選しないのが普通なので、まだまだ勉強が足りないと思っております。
IT俳句会の目標は5句出句7句選なので、目標はトータルで7点以上、加えて「5句が全部 点を得る」こと。 しかしこれがなかなか難しいのです。
ちなみに今回の句会では16名が参加してますが、5句が全て点を取れているのはアイビーさん、玉虫さん、山口さんの3人だけで(間違ってたらごめんなさい)いかにパーフェクトが難しいかが分かりますね。
点数などはどうでもいいのだ、誰かが私の句を拾ってくれればい。 と鷹揚に構えている人は大成しない。 点にこだわり「歯をくいしばって句作に励む人」は矢張りいい句を作る 1点も入らない句とか説明しなければ解らない句は「駄作」と考えて作り直すしかない。 これが40年間俳句を作り続けてきた私の感想です。
自切の尾離れ見てゐる瑠璃蜥蜴
点にこだわり「歯をくいしばって句作に励む人」
最近かをりも意識してますが、肩に力がはいってしまい、スローカーブも不調です。
先達のお話はとても参考になります。
先だってより選句数の問題が論議を呼んでいました。私の体験的に申すなら、2句出句なら3句選、3句出なら5句選、5句出なら7~8句選、10句出なら15句選というのがおおよその目途と感じています。つまり出句数の150%が選句数という法則らしきものがあるように思います。この法則に則れば、当句会は5句出で、、多くても8句が妥当となります。投句者が20人を越えたら再考することになっています。
アイビーさん、お疲れ様です。
盆の雑用、今日明日から目白押しなので、取り急ぎ選句の観賞を。
6 長き旅終る椰子の実初嵐
島崎藤村の「椰子の実」ヘのオマージュの句ですね。
伊良湖岬に滞在した柳田國男が恋路ヶ浜に流れ着いた椰子の実の話を藤村に語り、藤村がその話を元に創作したものである。とか・・・
初嵐がとても効いていて、初秋の透明感がでました。
24 黒揚羽弔旗の如く翅立つる
実は弔旗、検索して画像で知りました。多分時事の句でありましょう。
時事をモロ使いは川柳ですが、黒揚羽を以って弔旗。
これぞ、真っ当な慶弔句としていただきました。
27 碁敵を待ちて昼寝の高鼾
詠み手は寝ているのでこれは違うよ、というのは当たりません。
寝ている自分をも客観視する、堂々たる高鼾。
うらやましいのは、碁敵ならぬお友達がいることなんですねえ。
◎32 開けずとも木箱に匂ふメロンの香
果物と木箱、もう最近ではメロンでしょうか。
蜜柑箱や林檎箱とは違う、ここを感じました。
選句のとき、飢えて渇いていたのでいたのです。
お腹が減っていたのです。しかも格調高くお腹をぐーとならせてきたのです。
60 転た寝の子よりプールの匂ひかな
学校のプールは規定で塩素くさいですよね。
こうして短詩に詠むと、夏の午後の暑さも滲みでて。幼子の塩素も愛おしいです。
教室にプールの水の匂ひ来る 茨木和生 を彷彿とさせますが、愛情はこちらの句が優ります。
61 O型の儂に胡桃を割れと云ふ
これはオンリーワンの世界。優等生では読めませんまだまだガキ大将よ、降参ですよ(笑)
またこんなんを、よろしゅうに。
76 蚊帳に寝て子どもが聞いてならぬこと
もう昭和40年代、祖父母の家に行っての夏の三大謎は、蚊帳、井戸、外厠。
蚊帳で8時に寝ると、何時だかわかりませんが、低い声の祖父母の会話。
夫婦間のこと、お金のこと、近所のこと。
日本の昭和の夏をいただきました。
急ぎましたので、誤解釈、誤字脱字(いつもですが)、ご容赦くださいませ。
新宅の主の句を二句採れていい感じです。
リアル句会と違い、すぐには謝れませんが、深読みは楽しいので不愉快に受け取られないように続けます。
アイビーの句を2句も採っていただき恐縮です。何時もながらかをりさんの鋭い読みに敬服しております。深読みのし過ぎと思わなくもないのですが、一たび作者の手を離れた俳句は、もう作者の所有物ではありません。かをりさんの解釈の方が俳句として深みを増すように思われ、作者としては面映ゆいような心持です。