新之助です。
お待たせしました。皆さんからの選句に基づき、下記のように今回の秋の句会の成績を発表します。
1. 高得点者
16点:てつを、アイビー
14点:新之助
2. 高得点句
6点:灯のつかぬ家の数多や身にぞしむ(てつを)
4点:枝豆の丹波の香り口に入れ(泉也)
異国人行き交う嵯峨は竹の春(泉也)
身に入むや今は寂れし繁華街(アイビー)
案山子とも襤褸ともつかず積まれをり(アイビー)
煙突は湯屋の名残や鳥渡る(アイビー)
身に入むや友に似ている病歴に(新之助)
月浴びていつもの松が高く見え(新之助)
3. 作品別・作者別の加点状況
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てつを 16点(努力賞の加点も含む)
1. 灯のつかぬ家の数多や身にぞしむ(6)(◎野の風、泉也、◎アイビー、新之助)
2. 無縁墓や千手かざせる曼殊沙華(2)(◎アイビー)
3. 小鳥来るいつも決まってお八つ時(3)(野の風、新之助、泉也)
4. 歯痒さのつのる吾が歩や石叩き(2)(野の風、新之助)
5. 画然と田園を染め分け早稲晩稲(2)(泉也、アイビー)
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泉也 13点
6. 身に入むや人間魚出でし浜(0)
7. 秋の雨浴びつつ入る露天の湯(2)(野の風、新之助)
8. 枝豆の丹波の香り口に入れ(4)(野の風、アイビー、てつを、新之助)
9. 異国人行き交う嵯峨は竹の春(4)(野の風、◎アイビー、てつを)
10.久に訪ふ丹波綾部は柿の秋(3)(アイビー、てつを、新之助)
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アイビー 16点(努力書の加点も含む)
11.身に入むや今は寂れし繁華街(4)(野の風、泉也、◎新之助)
12. 芙蓉咲く長者屋敷の飾り井戸(1)(てつを)
13, 案山子とも襤褸ともつかず積まれをり(4)(野の風、泉也、てつを、新之助)
14, 楽しげな声が漏れくる秋簾(2)(てつを、新之助)
15. 煙突は湯屋の名残や鳥渡る(4)(野の風、泉也、◎てつを)
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野の風 12点(努力書の加点も含む)
16, 身にしみてひとつぐらいの傷もよし(2)(泉也、新之助)
17、 園児らのつになってゆくあきうらら(1)(新之助)
18、 干し柿を楺んで一口味見せり(2)(アイビー、新之助)
19、 頂に花一つつけ秋茄子(3)(泉也、アイビー、てつを)
20, どうしよう冬瓜もらってどうしよう(3)(泉也、アイビー、てつを)
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新之助 14点(努力賞の加点も含む)
21, 身に入むや友に似ている病歴に(4)(野の風、泉也、アイビー、てつを)
22, 噴水の虹見る幼なの笑顔かな(1)(野の風)
23, 露草や老いに力を与えけり(2)(アイビー、てつを)
24,月浴びていつもの松が高く見え(4)(◎泉也、アイビー、てつを)
25,水澄めり小川の底に鯉潜む(2)(野の風、アイビー)
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上記の成績については、得点を注意して計算していますが、万一、誤りがありましたら、遠慮なく
ご指摘下さい。
誤りがないようでしたら、これまで通り、しばらくの期間は、皆さんの特選句や興味を持たれた句
についての感想やご自分の句の背景など、お知らせ頂く時としたく存じます。
よろしく、お願いします。
てつをです。
連日猛暑が続いていますが、皆さんには如何お過ごしでしょうか。
拙い進行でしたが皆さんのご協力により夏の句会が無事に終わりました。
季節も8月に入り、次の「秋のミニ句会」の時期を迎えることになります
ので、どなたか幹事役を引き受けていただきますよう立候補をお願いいた
します。
順番からいって私アイビーの番だと思います。御異存がなければアイビーが立候補します。
野の風です。
皆さんの感想興味深く読ませていただきました。
野の風の感想です。
臥す妻に送り語らふ団扇風 (泉也)
病気で寝こむ妻に優しくゆっくり団扇を揺らして語りかける。泉也さんの奥さんへの
愛情がこの句から読み取れます。
七変化あわれお前も老いるのか (新之助)
私の庭にもいろいろの色のあじさいが咲きました。しかしいつの間にか枯れて色あせてしまいました。私にとっても老いを感ずるこの頃です。
団扇もて虫をはらひて投了す (アイビー)
囲碁だろうか、それとも将棋だろうか。団扇で虫を払った瞬間、負けを認め、投了する様子が目に見える様です。くやしかったのでしょうね。
団欒のよすがでありし団扇かな (てつを)
団扇を揺らしながら親しい者たちが集まって夏のひとときを楽しく時を過ごす、幸せのひとときですね。.
新之助です。
アイビーさん、小生の次の句について、質問されたので、お答えします。
☆薔薇の香に包まれてをり守武碑
この守武碑は、伊勢神宮の近辺にある神宮会館の裏手にあたる「薔薇園」の中に郷土の俳人「荒木田守武」の著名な句である
「元旦や神代のことも思はれる」の句碑が収められております。
ご承知のように、薔薇は春と秋に咲くので、小生は初夏である今年の5月に、この場所を訪れて本句を詠ったものです。
ご参考まで。
新之助さんから懇切な説明をいただきました。伊勢神宮は何度も行きましたが,守武碑のことは存じませんでした。今度行ってみたいと思います。有難うございました。
アイビーの感想です。
郭公の声が励ます野良仕事 野の風さん
郭公が身近なところで鳴いている状況に驚かされる。私の住んでいるあたりは郭公ならぬ烏がわがもの顔で威張っている。郭公が鳴いているような環境なら、さぞ野良仕事も捗ったことだろう。
平凡が一番なりと缶ビ-ル 泉也さん
あれこれ試行錯誤してはみたが、結局は平凡が一番と悟った。結論が出たところで飲むビールの味は格別だ。これは人生のあらゆる局面でも言えることだ。
薔薇の香に包まれてをり守武碑 新之助さん
荒木田守武の碑があったとはまた珍しいものを見つけたものだ。薔薇が香るところとは何処なんだろう。知的好奇心が刺激される一句。新之助さんに是非、伺いたいものだ。
団欒のよすがでありし団扇かな てつをさん
一家団欒のよすがとしての団扇。嬉しいにつけ、悲しいにつけ家族の歴史を見続けてきた団扇。一体どんな家族のヒストリーがあるのだろうか。想像してみるのも一興。
てつをです。
泉也さんの自作あれこれ、新之助さんの選句の感想を読ませていただきました。
小生の選句の感想です。
2、郭公の声が励ます野良仕事
小生も二か所に畑があり、そのうちの一か所は小さな山の麓にあります。このため、
鳥獣被害に悩まされていますが、同時に四季様々な鳥が訪れ癒してくれます。この句の
ように正しく励まされています。それにしても郭公の声とは羨ましいです。小生の場合
は初夏になると夏鶯(老鶯)が涼やかな声を聞かせてくれます。
以前に詠んだ句です。「老鴬を朋に労農ひもすがら」
6、臥す妻に送り語らふ団扇風
病の床に臥している妻に風を送りながら励ましている夫の姿に胸が打たれます。
「送り語らふ」とさらりと言ってますが何とも夫婦愛に満ちた心温まる俳句だと思い特選
にいただきました。
12、紫陽花や天界に咲く花かとも
紫陽花の花は七変化とも言われるように色んな表情を見せてくれます。作者はこの様に
着目されて「天界に咲く・・・」との措辞を配されたのかと想像しましたが、読み手とし
てそこからの先の深読みが出来ず特選にするかどうか悩んだところです。
18、絹よりも木綿がよろし冷奴
私も木綿派です。絹は頼りなくてどうもいただけません。ただ、私はこの句は単に豆腐
の好き嫌いを言っているのではなく、人間社会のあり様や人生の生きざまを詠んでいると
感じました。
労せずして莫大な利得を稼ぐ「絹のような社会=生きざま」とこつこつと額に汗して労働
対価を得る「木綿のような社会=生きざま」として捉えました。特選にいただきました。
以上
新之助です。
てつをさん、今回の夏の句会の幹事お疲れ様でした。
お陰様で、小生の俳句の欠点も分かり、良き学びができました。
総合成績で良い成績の野の風さん、アイビーさん、てつをさん、おめでとうございます。
それでは、小生の選句の感想を述べさせて頂きます。
他の皆さんの感想文も是非聞かせて下さい。待ってます。
なお、泉也さんの自作への背景も楽しく拝見しました。
☆どつかりと青田見下ろし津軽富士(野の風)
津軽は妻の出身地ですので、何回も津軽富士を拝見しています。
青田との関係で詠われた本句は、津軽富士が大きく見えて素敵です。
☆平凡が一番なりと缶ビ-ル(泉也)
小生はウイークデーは小さなグラスでワインを飲み、土日には、缶ビールを飲んでします。
缶ビールを飲む姿を平凡と詠われた作者の気持ちに共感しました。
☆絹よりも木綿がよろし冷奴(アイビ-)
冷奴として、どちらが良いかは、個人により、相違すると思いますが、
小生もなめらかな絹より、ごつごつした感じがする木綿の方が、
冷奴としては、美味しく感じますので本句に共感しました。
☆団欒のよすがでありし団扇かな(てつを)
今回の兼題の「団扇」は意外とむつかしく、感じました。
小生は、ある女性との見合いの席でその女性が小生を団扇で仰いでくれた思い出を
初恋の人として、句にしたのですが、下5に「忘られず」との思いを下5に記載する
という失敗をしました。
その点、本句では団扇の効用を「団欒」に求め、さりげなく詠われており、
さすがと思いました。
泉也さん、ご指摘ありがとうございます。
18番の句の得点の計算に誤りがありました。次の通り訂正をお願いいたします。
ご迷惑をおかけしましたことお詫び申し上げます。
18、絹よりも木綿がよろし冷奴 5点 新之助 泉也 野の風 ◎てつを
その結果、
Dブロックの合計点は12点となり、高得点者は13点の野の風さんとてつをの2人となります。
以上
てつをさん
夏の句会お世話有難うございます。お陰で愉しませてもらっています。
いつもの泉也の自作あれこれです
臥す妻に送り語らふ団扇風
今妻は逝って一人ですが、兼題が「団扇」とでて思い出した情景を詠みました。
投句してから中七「語らひ送る」とすればと。後の祭りでした。
曇天に紅の燃え立つ夾竹桃
句意は明確なのですが、燃え立つが一寸オーバー表現でした。海沿いの道に咲いている夾竹桃をペタルを漕ぎながら眺めた景色です。その時「燃え立つ」と感じたものですからそのまま詠みました。
平凡が一番なりと缶ビール
90を超え平々凡々に暮らしている自分を詠んだ句です。夕食時、毎日缶ビール1本。ただし糖質ゼロの缶ビール。
こうして気楽に毎日過ごせるのを喜んでいます。
炎昼や問答無用高鼾
この所高温多湿の毎日、知らぬまま寝ていていて鼾している自分です。
この句も投句してから全て漢字にすればと思いました。上五「炎昼や」を「炎天下」と。
平竿の秀先見つめる波止は夏
この句も昔の自分です。自転車で20分ほどの波止に良く行きました。浮釣りでなく、脈釣りなので秀先の微妙な動きを見つめている状態をよみました。下五「波止は夏」これうまくできたと私は思っています。
処でてつをさん、18番の句 結果発表の欄、誰かの◎が抜けているのか、それとも点数まちがいなのか、点数と選者の数が合っていないと思うのですが、一度調べてくれませんか。よろしく。