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(あのーー、私が言うことでもないんですけど、詩は自由を旨としていますから、どこにでも投稿しようと思えば、投稿できないところはないんですけど、いきなり大きなところに挑戦しても、世の多くのものがそうであるように、ポッと書いて、ポッと通用する、ポッと賞が取れる、なんてことは、まずありえないことというか、相当に稀有な話なのです。
やってみることは止めませんけど、大きなところのノー・レスポンスにがっかりしたら、
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本来、こつこつ実力をつけてから、賞などに挑戦するのが、スジだと思いませんか?
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三浦様、
このたびは「超新星爆発」に評をくださりありがとうございます。たくさん調べて下さったようで、感謝申し上げます。
今回は科学詩を書くにあたり、文体をちょっと変えてみました。実は、今までこのようなタッチの詩を書いたことがなかったので、どんな反応になるかどきどきしていました。でもご評価いただけて嬉しいです。
もう一つ迷っていたのが、「詩の末尾に単語の解説を入れるか、入れないか」です。
「詩の中で説明してるし、わかってくれるかな…」と思って入れませんでした。今はこれでよかったと思っています。伝わったみたいで安心しました。
荘重にして雄渾、頂いたお言葉を嚙みしめたいと思います。この一篇で自分の可能性が広がった気がします。本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。
ご批評に感謝いたします。今まで見ていただいたものには要領を得ない作も多かったため、ようやく一定のものを投稿出すことが出来た事を嬉しく存じます。
MY DEARへの投稿を再開し、先輩方へ見て頂くようになり、読む点、書く点双方で「では抒情詩とは?」というテーマが常にあります。
これは古典から現代詩に目を通しつつ、また日々の景観を見て読み解いていく上でも通底するもので、こちらへの投稿とはその問への解答の試みであると考えています。永久に解の出ない問でしょう。
……これは完全に個人的な感懐に過ぎないのですが、特に三浦様は余り尖らせた(あるいは軽率な)ような表現には「これでは分からない」と仰ってくださるので、課題点の自覚という面で非常に勉強させて頂いております。
まだまだ途上の勉強でありますが、お付き合い下されば幸甚と存じます。
改めて、御批評ありがとうございました。
お待たせしました! 3月7日から3月9日のご投稿分の感想と評です。
「雪」 紫陽花さん
紫陽花さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「雪」の評を送らせていただきます。
「南国育ちの彼女の上には
いつの頃からかずっと
冷たい雪が降っているという」
南国と雪の対比がすっと入ってきて、結晶の形をした謎が
読み手の手の平に落ちてきました。
主人公にはその雪が見えない。同じ空を見上げているのに。
ここに切なさとかなしみを感じました。
この詩の中の「雪」は「彼女」の痛みや寂しさなのかもしれない。
それをわかってあげたいのに、知りたいのに「彼女」の方から
打ち明けることはない。助けを求めて来ることもない。
主人公の歯がゆさが「もしも」の中に昇華されていきます。
陽気に楽しく、美しく踊る姿が見えます。
最後は虚しさではなく
「雪が冷たいから
見える景色もあって
雪が冷たいから
会えることだってある」
と、希望よりも確かな気づきで終わっています。
清々しい余韻が残る一篇でした。
御作、佳作とさせていただきます。
「38」 鯖詰缶太郎さん
鯖詰缶太郎さん、はじめまして!
ご投稿くださり、ありがとうございます。
はじめての方は感想のみとさせていただきます。ご了承ください。
僭越ながら御作「38」の感想を送らせていただきます。
目の前の現実と向き合う。自分自身を見て、どうなの?と問いかける。
タイトルの「38」は年齢でしょうか?38歳、老いと言うには早すぎる年齢。
これは自分の心の中のせいなのか、どうなのか。
いや、そうではなくて地肌が透けて見えてきた前髪など、変化著しい容貌を
どうにかしなければいけないんじゃないか。
主人公は嘆くでもなく、憂うでもなく、目の前の自分の状況をよく見て、気づいて
対処しようと動きます。
その様子がコミカルに見えて、面白く魅力的に感じました。
暢気に
詩をしたためている場合ではないような気がする
と、書きながら自分自身の変化を捉えて、その戸惑いも焦りもしっかり描いたところに
鯖詰さんの力を感じました。
自分の変化と向き合いながら、無理することなく進んでいく展開が魅力的な一篇でした。
「クリスマス イヴ」 森山 遼さん
森山さん、今回もご投稿くださり、ありがとうございます!
前回の「さよなら さよなら かこの わたし」という作品の評を書かせて頂いたとき
森川遼さんと表記してしまいました。ご不快だったと思います。気が付くのが遅くなりまして、大変失礼いたしました。
僭越ながら、御作「クリスマス イヴ」の評を書かせていただきます。
この詩に登場する「君」は人ではなく、植物。桜の樹ではないかと。
世界と対峙する姿は、冬の寒い空に向かって枝を伸ばしている樹の姿を想像します。
>君もあるいは
永遠の対峙
あるいは
永遠の直立を望む
永遠の直立、は樹木の生命力の強さを思わせ、冬の厳しい凍結に立ち向かうような
それも糧に出来る強さを感じました。
「クリスマス イヴ」というタイトルから華やかな寂しさを感じました。
悲しい瞳、苦しい瞳、をしているのはそんな樹木を見上げる主人公ではないか。
など、想像が想像を呼びます。(見当違いでしたら、すみません)
この凍結は春によって溶解して終焉します。
余韻のある終わり方。季節の移り変わりの香りを感じられた一篇でした。
御作、佳作とさせていただきます。
「グッドラック」 山雀詩人さん
山雀詩人さん、今回もご投稿くださり、ありがとうございます!
僭越ながら御作「グッドラック」の評を送らせていただきます。
後味のスッキリした一篇でした。
朝から自分の顔を見て、もの憂げな気持ちになる。その気持ちが
鏡に映る自分の眼差しから感じます。
>今日もまた過ぎるのか
いつもと同じ日が
と、ため息を吐くように思った後、いや待てよ、と
考え直します。ここからの加速が爽快なのです。
>幸運な人の万一は不運と言うが
不運な人の万一は幸運なんだ
と、気づく流れは、先ほどまでもの憂げだった眼差しが
一気に輝き出す様子を見ているようで、希望を感じました。
グットラックの言葉がこちらにも向けられたような
明るい気分になりました。
御作佳作とさせていただきます。
「ゴーギャン」 やまうちあつしさん
やまうちあつしさん、はじめまして!
ご投稿くださり、ありがとうございます。
初めて方は感想のみとさせていただきます。ご了承ください。
僭越ながら御作「ゴーギャン」の感想を送らせていただきます。
>わたしたちはどこからきたのか
わたしたちはなにものか
わたしたちはどこへいくのか
この言葉はゴーギャンの大作の名であり、遺書的な言葉だったそうですね。
南の楽園を描きながら、その当時のゴーギャンは娘を亡くして、自身も心身ともに厳しい状態だったと。
この詩の主人公も心身がつらい状況のようで、自分とゴーギャンを重ね合わせているように見えます。
「君」は愛する人であり、なくしてしまった人ではないかと。
詳細が描かれていない分、様々な想像が出来て、読み手は自分自身を重ね合わせたり、一歩引いて
ひとつの場面の解釈から物語を想像する。
もう一連、主人公の心境、描写がありますと、この詩の魅力がさらに広がるように感じました。
物語を感じる、想像が広がる一篇でした。
「取り敢えず種を蒔く」 ロンタローさん
ロンタローさん、はじめまして!
ご投稿くださり、ありがとうございます。
はじめての方は感想のみとさせていただきます。ご了承ください。
僭越ながら御作「取り敢えず種を蒔く」の感想を送らせていただきます。
取り敢えず、と言う言葉は、何から取り組んでよいのかわからない時に
ふっと力を抜いてくれるような、出来ることからやってみようと思える
言葉で、口癖のように使っています。
>解決策も突破口も見いだせない
息苦しい状況をなんとか生き抜くための言葉。
前向き、という無理な笑顔を作るよりも、淡々とやるべきことやる。
>何となく惰性であっても
取り敢えず生きるしかない
疲弊と諦観がこもった言葉のように感じました。が、次の連で
この作品の雰囲気が変わります。
種蒔きをする。比喩ではなく、本当に畑で種を蒔く。
命を育てようとする、自然の恵みに触れようとすることに
これから先、どんなことがあってもやっていける、という
強みがあるのではないか、と思いました。
息苦しい世の中で、さわやかな息吹を感じた一篇でした。
「朝を待つ」 香月さん
香月さん、はじめまして!
ご投稿くださり、ありがとうございます。
はじめての方は感想のみとさせていただきます。ご了承ください。
僭越ながら御作「朝を待つ」の感想を送らせていただきます。
一定のリズムでさらっと読めるので、何度も読んでいくうちに
歌い出す自分がおりました。明るいリズムと違って、この詩は
>いつ明けないと知れない夜
を耐える主人公がいます。その気持ちを自ら慰めるように
また一興、と苦しみを笑顔で拭います。
こんな風に考えられる人は人生を楽しく苦しんでいける、
苦しみさえも楽しめるのだろうな、と思いました。
それが空元気、やせ我慢、だとしても。
自分で自分を育てる、生きて行けるようにする。
叱咤激励より当たり前のことと、少しの慰めによって。
心がつらいときに読みたくなる一篇でした。
「矛盾だ」 大杉司さん
大杉司さん、今回もご投稿くださり、ありがとうございます!
僭越ながら御作「矛盾だ」の評を書かせていただきます。
自分がどう思われているか、気にして考えてしまうことって
ありますよね。答えなんて出ないのに、考えて悩んでしまうことも。
>人の気持ちなど
分からないし
上手く読み取れない
そんな奴が
「どう思われているか」
なんぞ考えることは矛盾だ
矛盾だ 矛盾だ
矛盾とわかっていても、つい気にしてしまう。
自分勝手な思い込みだとしても、考えずにはいられないのは
なぜでしょう。矛盾の中で生きているといってしまえばそれまでですが。
>これからは
どう思われようが
どう捉えれようが
気にしないでいよう
と、何度決めて、出来なかったか。明日も同じだろう これからも同じだろうと
主人公の言葉に納得して、こう考えているのは自分だけではないのだなと、安心したりもして。
無駄な考えが無駄にならないと気づいたきっかけが詩作だったことを思い出し。
矛盾であればあるほど、わからなければわからないほど、人生の面白さ増していくのではないか、と思いました。
共感から気づき、作品との距離がぐっと近く感じる一篇でした。
御作佳作一歩手前とさせていただきます。
凛です。
三浦様、この度は『雨になる』をお読みくださり、また丁寧な感想まで頂き、ありがとうございます。
この詩は雨に対する私の想いを、出来るだけ率直に書いた次第です。
ただ、それだけではただの感想文になってしまうと思い、題に含みを持たせたり、行を全て13音にしたりと、詩独特の雰囲気を作り出そうといたしました。
その点、評価していただき大変嬉しい限りです。
次回からも、よろしくお願いいたします。
凛です。
島様、この度は『月と僕と』をお読みくださり、また、忌憚なき感想まで頂き、ありがとうございます。
どうやら、私はこの詩で1番重要な部分をお伝えできなかったようで、自分の言葉の拙さ、実力の無さを実感致しました。
「るんとうるるんとう」は、何かの名詞というわけではなく、月を見ることができた僕の、踊り出すような心の音を、「るんとうるるん」それとは反対の悲しみの心の音を、それぞれ言葉にした次第です。やはり音を言葉にするというのは難しいものですね笑
さらに、詩のリズムを重視するあまり、詩自体があっさりとしてしまったことにつきましても、次回以降の改善点とさせていただきます。
大変勉強になりました。またよろしくお願いいたします。
あなたはつづき
かつていた
誰かのように歩き
かつていた
誰かのように迷う
纏っているのは
誰かの悲しみのつづき
そうやって続けていれば
いつかは悲しみ終るかな
いや
それは無理かもしれない
その分
誰かの笑いのつづきを
微笑みのつづきを
大笑いのつづきを
苦笑いと泣き笑いのつづきを
おなじくらい愚かで浅はかな
わたしたちのために
大聖堂はいつまでも
完成しないでいてほしい
し損ねたことや
伝えきれなかったことは
顔も名前も知らない人が
遠くの国で拾ってくれる
明後日にいる誰かは
たぶんあなたのつづき
いとしさの
そして
はかなさの
島様、拙作への丁寧なご批評をありがとうござました。
詩句の一部を置き換えることで作品の着地点が変わることがわかりました。
今後の参考にさせていただきます。
草臥れたカーキの行進
煙たい小屋の通りには雑踏
生活のために涸れた声と鳴らす鍋
人は烏より狡く街に息づくのだが
それは命の強かさを何よりも示している
あれだけの事があったのだ 何がなんでも生きなければ
土埃をふざけたくらい巻き上げたジープ
数人どかどかと通りに降りてくる
垂れ目のサングラスは高い鼻に誇らしげに乗っている
濃い飴色のレンズはこの国の陽光では手持ち無沙汰だ
短い煙草から新たな煙草へ火が移る
こっちのはもう用済みらしい、放り捨ててしまう
そう、もう用済みなんだ あの煙草のように
小箱にコインを せめてもの愛を
give me mercy
しかし彼らは「俺たちにできるのは明日晴れることを祈るくらいさ」
そう言って十字を切って去ってゆく
あぁ生きなければ 右足を引き摺り歩く
今日眠る場所まで少しずつ
生きなければ 今生きているのだから
あれだけの事があったのだから
今はただ絶望が去っただけ
人が生きているから湧き出る希望が
砂漠の湧水のようなその希望が
この体を満たすまで
生きなければ 生まれたらどうせ死ぬのだから
あれだけの事があったのだから……
pause…
僕は映画を止め天井を見る
こんな時代があった
確かにあったのだ
僕の知らない景色や悲しみが確かに訪れていたのだ
それらはもう「歴史」と呼ばれるようになったが
静かに腕を組み息をする
弛み始めた体に 触れた腕が気づく
ああ、まずここに満足な体はあるのだ
心で病めているのだ
落ち着いて心を見つめることが出来ているのだ
そうだ
はぁ生きなければ ではなく
さぁ生きなければ だ
もうじき日が登るはずだ
さぁ、生きなければ
三浦先生、評価をありがとうございます。
私には、まだまだな詩を書いてしまったと感じました。
今後、どう表現していくべきかを今一度振り返りながら投稿させていただこうと思います。
お先に失礼致します。
1 妻咲邦香さん 「嘘」 3/10
嘘という概念は無味無臭、ことによると人畜無害で存在しているのかもしれない。牙を向くのはそれを人間が利用する時!?そんな感覚で、この詩と向き合ってみましょう。
そう考えると「悪いのは私」―全くその通り!(笑)。で、でも、ちょっと待ってくださいよ。
その牙は他者の誰にも向けられていない。むしろ自分に向けている。しかも皮肉的に、屈折的に、時に気づかいながら……。誰も自分に対して賞も罰もくれない。詩行通り「どうでもいい」世界にこの人ははまり込んで、この人は「嫌いな歌、嫌いな花」と関わります。でも、それも嘘だと言う。つまり本当を”逆翻訳“して伝える。そこで注目するのは「いつか誰かが」以降です。此処でイメージできるのは主人公の女性が好きな人への逡巡の結果、皮肉や韜晦(本心をくらますこと)や嘘を意識するといった心境でしょうか。けっして嘘だけではない屈折したもろもろといったところでしょう。後半は日本人特有の「~あとは察してよ」みたいな部分を含むのが大変おもしろいです。妻咲さんらしいスパイス満載の御作です。循環スタイルも効果的。嘘から始まって逆に本心が仄見える。女性の複雑な心理を描いて佳作。
アフターアワーズ。
恋愛においての、女性の他愛ない嘘は許せちゃうな。なぜって、女性はやっぱり弱い存在。身を守らねばならないから―。
2 じじいじじいさん 「めざましどけい」 3/10
はい、今回、擬声語の出だしが春にふさわしくフレッシュでいいですね。
「鳥の声で目覚めて~」みたいな文章はよくあって、たいていは、そこから別の局面に向かう方が多いのですが、本作は鳥の声に特化し、発展させ“めざましどけい”にもなぞらえます。ここがこの詩の個性と言えます。2連の最終2行が端的にそれを表現し、僕はここが意外と好きなんです。それと、
「おひさまもトリのみんなに/おこしてもらうのかな?」
―ここは子どもらしい発想が活きていますね。3連目は会話フィーリングを採用して変化もついて微笑ましくもあります。
読んでいて爽やかだし、子どもになりきって書かれた感じが良かったです。甘め佳作を。
3 埼玉のさっちゃんさん 「時間旅行」 3/10
連無し詩ですね。9行目までは問題ありません。それ以降、この旅行について……
〇海外or日本。
〇日常の風景(コーヒー、読書、本の世界)。
〇目覚ましのベル、時間旅行≒夢?
この3項目が曖昧に入り組んで、互いに“連絡しあわない”です。詩の核が見えてこない。
たとえば、本の世界は日常の中で、ある意味時間旅行に充分なり得るし、夢の世界はなおさらでしょう。どちらかひとつに絞って書くか、あるいは、いっそ想像・幻想の世界に遊んじゃうか、どちらかでしょうね。このタイトルは概念的にも、想像性からも、けっこう捉え方が難しいものがあります。それに耐える構想力が必要になってきそうです。佳作一歩半前で。
4 晶子さん 「進め」 3/10
今は卒業式シーズン。もう大体終わったのかな? そのあたりでしょう。
これは卒業式にあたっての男子が思って書いた、僕にはそんな風に読めたのでした。
もっと言うと―晶子さんの作品には時として、ご家族(ここではお子さん)にまつわる発想の詩がありますが、そんな感覚を感じるのです。そういう推測に立つと、こういったシンプルさや率直さは頷けるものがあるのです。3連目に「更新」とありますが、これは事務的・メカニカルな気分を含んだ言葉ですが、ここで使われたのは、かえって新鮮、そんな風に思っています。
「古い皮のままでは/祝うべき春に似つかわしくない」―その通りですね。
逆に終わり近くの「赤ちゃん比喩」はちょっとびっくり! 皮関連で、“赤ちゃんのような初々しい皮膚感覚で”のような謂いと思われますが、ちょっと唐突感無きにしもあらずか? 佳作一歩前で。
5 エイジさん 「思い出の公園より」 3/10
この詩は前作との連作的効果が期待できるでしょう。それも、これらは等身大的な実話と僕は勝手に解釈しております。この詩のおもしろさは、そのまんま、手紙になり得る点でしょう。最初に一点だけ。3連目は「ほころばせました」―ひらがなにしましょう。
「遠慮がちに」といった形容詞(副詞?)が好意を以て迎えられるような文章です。そこには気づかいがあり優しさもある。誠実や真心といった言葉も浮かんで来ます。これはほぼ恋愛といったところでしょう。前後を挟む風景描写もタイトルの場所を含みながら、詩の基調に歩調を合わせて美しい。前作は半歩前。異例ながら二作合わせて佳作と致します。
アフターアワーズ。
ちょっとヘンなことを書きます。突飛ですが、詩は全ての文章ジャンルを取り込める―と仮定したとします。例えば、ビジネス文書でさえ詩になり得ると―。そう考えた場合、手紙とは余裕で詩になり得るわけです。偉大な作家の手紙が「書簡集」として文学化するという、詩から遠くない例もあります。僕らは全然偉大ではありませんが、発想の一端にはなってもいいと思う。読んでいて、そんなことも感じた次第です。
6 cofumiさん 「君を知らない」 3/10
これすなわちラブソング。その中でも、少しヒネリを利かせていますね。出だしの「君」がすごく可愛いいです。しかし「僕」は不安定。その例としての時計のくだりですね。なるほど、ここは持っている時間感覚の違い、「君」のそれがどの辺にあるのか?等も象徴したものでしょう。
2連―さらに続く疑問の事例も雰囲気あるものを選ばれています。特に「桜のような爪」いいですね、芸が細かい。
「あー僕には」から「。。。」経由して「皆目わからない」に至る呼吸感というか無風感が、なかなかにおもしろいです。「君」本人が出て来ないのもなかなか効果的。それ以降は割と普通っぽく終わるので、ちょっと何とかしたいところ。「アイ、ラブ、ユー」はちょっとベタか?終わり3行も改めて書くには当然過ぎるわけです。案として……(あくまで参考に)
〇 「アイ、ラブ、ユー という」までを削除して繋げる。
〇 終わり3行を削除する。
これで4行残しの3行更地化。ここの3行以降に何を書くか? です。
ところで「知らない」=「知りたい」でしょう。その「~したい」気持ちを前半のノリ感覚で綴ってもらうといいかもしれない。この詩の素材というか、主人公はまだ若い男の子でしょう。初々しさが捨てがたいです。前半は大いにこれでいいんです。ぜひ後半を考えてみてください。
佳作一歩前で。
7 凛さん 「雨になる」 3/13 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。
よろしくお願い致します。「今日、雨になるから、傘持ってお行き」の「雨」ではなく「僕は雨になる」(=なりたい)の「雨」の隠喩。普通は前者を思うのですが、これは後者。そこがおもしろいのです。
普通、雨になりたい、とはあんまり思わないんです。そこがこの詩の個性になっています。
まず各連ごとに違う表情の雨が出てきます。好き、憧れ、願い、によって、水を掬い取るように、それぞれの雨の持ち味を掬い取っています。これは賛歌であると同時に、心はタイトルに集まっていくのを感じます。僕はこの詩が好きです。金子みすゞの男性版のような雰囲気があります。
この1作を見る限りでは、素直な、いい書き手さんと思うのです。また書いてみてください。
8 侑輝さん 「幸せ」 3/13 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。
僕の幼い頃の記憶によれば、好んで石を蹴る子はサッカー少年に多かった気がします。
それはともかく、まずは現実描写から心模様の隠喩への移行が、ごく自然に行われる点に注目します。この詩の中心的な所作は「石」を「蹴る・転がる」ですが、詩中「石=幸せ」であり、蹴り、転がる(転がす)ことは、幸せを追い求めることを暗示します。もっと言うと、僕には、そうやって幸せを“育てている”ようにも思えたのでした。それを証拠立てるように後半には入道雲の下、一本の長い道が現れます。「蹴る・転がす」は当然のように歩みを伴います。歩みには当然のように道が必要になります。「蹴る・転がる。道」は全て幸せの要件に繋がれ、詩は構成され展開していきます。「ゴール」も重要でしょう。これら行為のハッピーエンドにも象徴されるでしょう。特筆しておきたいのは、この詩が極めて自覚的に書かれている点です。それにしても、幸せというものを石蹴りに絡めて発想した詩を僕は初めて読んだ気がします。ユニークということです。最後に技術論的なことを書くと、多少、引き算も使うと、詩はより引き締まると思います。また書いてみてください。
9 暗沢さん 「明るいほうへ」 3/13
「凍晴れ」―凍てつくように寒い快晴の日、とありました。冬特有の気高く美しい天候と見ました。
この詩の真意的解釈はなかなか難しいのですが、大意として冬空あるいは季節としての冬が瓦解していくさまが、まずあるように思います。と同時に、来るべきものとの行き違い、入れ違い、軋轢、確執。「紛糾」という言葉が二回出てきますが、それは冬自身のそれと、来るべきもの(春)とのそれであると僕は理解しています。そういった自然界の細かい“都合”は「仰ぎ見る必要は無い」のでしょう。理由は7連にある通りです。そしてここは暗沢さんの優しさと見ます。結論として、人は細かい自然に捉われず、自然のままに受け入れて行くのが一番の生き方ということでしょうか。タイトルが示すほうへ。春、ということでしょう。一面、詩とは意味を“沈ませるもの”でしょう。
本作はその沈ませ方に価値があり、格調ある文体に価値があります。 佳作を。
アフターアワーズ。
掲載された阿部青鞋の句が見つかりませんでしたが、この人の句は大変ユニークでした。
叙情・抽象どちらの詩にも近いような。この人が現在の俳句界でどのような評価を受けているか、
多少心配しながらも興味深いものがあります。
10 朝霧綾めさん 「超新星爆発」 3/13
科学詩です。理系分野が幼児のような知識の僕は全て調べました。さて、無事に評が書けるのか?
まず初連。「一生に一度」―これが全く誇張でないことが理解されました。こういった現象を”市民レベル、僕たちレベル“に降ろしてくれた表現、好感が持てるのです。それが6連目までの流れです。それ以降、詩に乗せた解説編。いや、こういうのもないと、この詩は読んでて困るのですよ。印象深いのは「新星」とありながら、実は星の最期である点でしょう。7連のことですね。ここは印象に残りますなあ。後は残骸として宇宙の記憶に留まること。「静かに身体を横たえる」がその事情を詩的に語っています。エンディングも壮大にして感動。概観すると、科学的解説をそれと意識させず、ごく自然に詩化しています。そこは朝霧さんの力量。文体は荘重にして雄渾。これはセンスであり調整力。理系がさりげなく文系へと降りてくる。結果の佳作です。
評のおわりに。
1 僕は野球というものをまず観ないのですが、今回のWBCは例外で、気になり見聞きしております。心理はサッカー日本代表と同列か?なんでもフロリダまで行っての勝ち抜き戦だとか。
対メキシコ戦。スポーツで“対メキシコ”を思い出すのは、オリンピックでサッカー日本代表がメキシコを破ってメダルを獲ったことです(1968年 超古い!)。今回もそうありたい。今までにないタフな戦いになりそうです。みんなで応援したいです。
2 この世界は興味がないと知らずに終わってしまう事、多々あり。趣味の領域ではなおさらの事です。
それを承知で書きます。アメリカのシンガーであり作曲家のボビー・コールドウェル氏が亡くなられました。七十一歳。闘病生活をしていたらしい。亡くなるにはまだ早かった。やや年配のかたは煙草「パーラメント」のCMに彼の曲が盛んに使われた記憶があるかもしれません。僕の知っている範囲で、嫌いな曲などただのひとつもない。都会的で洗練されて、曲もビジュアルも、男の僕からしても「かっこいい」のひと言でした。曲にはジャズの影響が感じられます。そこが凄く良かった。残念です。今はとても悲しい。 では、また。