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島秀生様、「無駄遣い」に評を頂きありがとうございました。
私の場合の投稿は、完成品というよりも、どちらかというと漫画でいうところのネームを見せて、こうしたいんだけどあとこれに何を足したら良いか?と相談する感覚に近いです。なのでわりとすぐ指摘頂いた内容を参考にしてパッと書き直してしまうことが多いです。評価は一般論で全然構わないし、わからないで全然構わないのですが、最終的に何処まで譲れるのか、何処で線を引くのか、その決め手となる指針が欲しいというのが正直なところです。自分でもこれはちょっとどうかなあ?と思いながら投稿してる部分もあり、最初から解答だけで書いてしまったらどうやっても面白くならないとわかってるからそうしているという部分もあります。
ちなみにこの詩は、実は同棲カップルの結婚式当日のことを歌ったものだったのですが、正解はわりとどうでも良くて、最後の最後にそれまでの謎が一気に解けるような構成にしたかったので、中盤あたりでそれをどう匂わせるかとか、ミスリードを効果的にさせる方法とか、サンプルのレビュー的な意味合いでの感想が欲しかったのでした。改めて今読むとかなりとっ散らかっているし、余計な部分も多いので焦点が絞り切れてないのを感じます。結果として非常に有意義な意見を頂けましたこと感謝致します。
私の場合ストーリーはそういったレトリックな部分にしか無いのかもしれません。秀作プラスもありがとうございました。またよろしくお願いいたします。
残り6作は、日曜朝に。
●エイジさん「眠そうな子供たち」
1~3連まで、凄く良いと思います。ちょいとギターのテクニックも見せながら、それも「お父さんの得意だった」の象徴になるから、違和感なく組み込んでいます。
また今回のオオマトペは、上手に取り入れてきました。キレイです。1~3連までは凄くいい感じに書いてるなあと、感心しながら読んだんですが、終連がボロボロに思う。
終連が、ものすごく乱暴というか、大雑把に書きすぎと思います。
お父さんは天にいます
↓
だから おやすみ子供たち
この流れだと、子供たちも死んじゃいますよ。
あいだの言葉をはしょりすぎだと思う。要するに、お父さんはいないけど、今もそこでギターを弾いていますよ。だから安心してお休みなさいってことを書かないといけないんじゃないんでしょうか?
だから おやすみ子供たち
↓
休暇届を出しましょう
いきなりサラリーマンになりました。
ここ、サラリーマンにする必要あったんでしょうか? 終連に来るまでは、もっと小さい子がまどろむ姿をイメージして読んでたんですが・・・。なぜ、休暇届???
まず標準的に直すべきは、こういった部分です。
でもこの詩って、終連の持って行き方によっては、ぐんと良くなる、化ける余地をもった詩なんですよ。ここまで叙景詩的に来てますが、終連でテーマ性を持つのも良いのです。
例えばお父さんの死因が、戦争や事故といった理不尽なものである場合に、ここで語ってるお母さんが、それを子供たちにふっと教える、という形を取っても良いし、また、これを話してるお母さんがシングルマザーとして、これから子供たちを一人でもしっかり育てる気持ちを示してもよい。
叙景詩で終わらずに、終連でテーマ性を持ってくるのもアリの詩なんです。
まあ、どうするかはお任せしますが、ともかくせっかく1~3連をキレイに書いてきたのに、この終連はダメでしょうって感じです。終連、やり直してみて下さい。
1~3連だけ評価して、おまけ秀作にします。
●水野 耕助さん「生きるの真ん中に」
5連、良いですね。
まだなにも知らない
生きるということの
真ん中に
指ひとつでも
触れられるまで
この詩行、とても良いと思う。その気持ち、気概や良しです。
また、その前のステップとして、
死んではいない
そのことを認識はできても
この認識も、大事なものだと思います。
「どっこい、生きてる」、それが大事です。
世の中、捨てる神あれば拾う神あり、なんですけど、生きてないと拾ってもらえないのですよ。
終連の気概もいいですね。しがみつくこと大事。しがみついてると、なんとかなるもんです。
うむ、よく書けてます。今後どう発展していくか?ということはあるんですけど、現時点における「水野さんの詩」的には、これはパーフェクトに思います。秀作プラスあげましょう。
●妻咲邦香さん「無駄遣い」
ランダムな部分、部分の重ねとして読んでも、1本の芯となる情感は見える詩なので、わたし的にはOKですね。つまり、全体として伝わる芯はあるのでOKですが、思うに、妻咲さんの詩って、起承転結があるような、ないような詩が多いので、ストーリーで読ませる人じゃないのかもしれませんね。少なくとも読み手側からは、ストーリーが見えないことはままあります。この詩も全体のストーリーは見えないし、たぶんそれは書いた本人しかわからない状態ですが、全体を通しての、一貫した情感があるし、パーツパーツが結構楽しめるし、最後、ハッピーエンドだってのはわかるから、読みどころとしては、それで充分満たしてる、という感じです。
話が正しく理解できてるわけではありません。とりわけは、
わざわざ巻き戻して「初めまして」と言うための今日は
最初で最後の無駄遣い
タイトルともなっているこれの意味は、分からずじまいです。
なんとなく、元の鞘に収まったのかな?と想像するばかりです(←違うかもしれません)。でも、そこの意味はわからんけど、地球が回ったのならいいやって、割り切ってハッピーエンドに浸れるから、読後感は気持ちいいです。作者の嬉しさが伝わってきて、こっちにも嬉しさを分けてもらえる詩ですね。(本当は意味わかってないから、「つられて笑う」みたいな世界ですけど)
パーツで特に印象的だったのは、
狭いベッドで毛布を引っ張り合って、負けたら叩いて起こす
今は石鹸みたいに小さくなった
この2ヵ所です。
というわけで長短ありますけど、いい肉声がふんだんにあって、情感はしっかり伝わったことを評価し、秀作プラスを。
●麻月更紗さん「星空」
相手のことを具体的に想ってる、そのリアル感あるところは良いと思います。
メールを送れば答えは返ってくる
だけど
の気持ちは、そこちょっと表現おかしいけど、たぶん物足りない気持ちがあるんでしょう。また、
あなたは空なんか眺めない
と、相手の具体をわかっているところが、両者の近しさを表わしていて、良いです。
また、初連と2連の、真逆ではなくて、自分のところも星がよく見えてないけど、都会はもっと見えないだろうの比較の仕方も、珍しい形だなと思った。
2連2行目の「星空」は「星」でしょうね。
地上にはたくさんの星
でも、空は真っ暗闇のひとりぼっち
そんな夜空をあなたは
見ているだろうか
こうだろうなあー
3連、「なんとなく」と思っていても、「なんとなく」を書いてはいけない。
また3連は、つまるところ、相手が遠くにいることを恋しく思っているのであって、
離れていることを
感じていたいのかもしれない
この表現の仕方だと、意味合いが逆になりませんか? 3連は一考要に思いますよ。
良いとこ、悪いとこ、玉石混交ですけど、全体の印象、詩情は悪くないんで、おまけ秀作にしましょうか。夏の大三角形も良かったし。
でも指摘したところの表現は、もうちょっと詰めて下さい。
●ロンタローさん「あの頃のこと」
2連の、二人の道が迷路のようにこんがらがって、元に戻れないんだという表現は、とてもよく伝わりますし、わかります。
うーーん、実のところ、ただこんがらがってるだけなら、根性入れて、辛抱強く解きほぐしていけば、解きほぐすことは不可能ではないんですけどね。人ってそもそもが変わっていってしまうものなので、解きほぐしたところで、もう元の場所にはいないってことがあるんですよ。難しいんですよね、そこんとこが。
3連は、正直いうとかなり違和感がありました。自衛隊の編隊飛行でもないかぎり、飛行機雲が2本、同時並行ってことはまずあり得ないからです。空に2本見えることがあっても、それは、空のあっちとこっちって感じにバラバラにしか、旅客機の場合、出ないはずです。万が一あっても、着陸と離陸で、向きが真逆のはずなんですよ(その場合も高度はかなり離れます)。それに飛行機雲って、そもそもが端っこが切れてるものなので、どこまでも続いてるようなものではないのでねー。
そうした現実の飛行機雲に照らし合わせて考えると、ここの記述は全くそぐわないのですが、ただ、ここは3連の展開部であるから、夢想があっていいし、空想の図としての絵づらはとてもキレイなので、想像で書いた絵と、割り切って読むとキレイではあります。まあ、条件付きで可といったところです。
構成上でいえば、この詩は3連でうんと盛り上げなきゃいけないとこなんですが、どっこい、それが理由で私は3連はさほどでもなかったです。風景図としてはキレイなんですけど、比喩としてどうなんだ???って疑問は残りました。
そこはまあ小さな疑問なんですけど、それより、どうしても引っ掛かるのが、初連と終連のテンションの差なんですよね。
初連を読むと、戻ることが非常に難関なりに、戻りたい意志を感じるのだけど、終連を読むと面影も薄れて、戻る意志がなくなってる感じに読める。なんていうか、もう過去のものにしてしまって、哀愁の目で見てる感の、終連なんですよ。
もし、そうでないならば、終連の前半3行は変えられた方がいいと思う。ここがそういう雰囲気を出してしまっています。
はたして初連のスタンスの方に終連を合わせるのか、終連のスタンスの方に初連を合わせるのか、そこはご本人にお任せしますけど、ともかく両者のスタンスが食い違って読めてしまうのは、よくないです。
未練が残ってるのであろう、そのお気持ちはわかりますが、作品として、書く方針は定められた方がいいです。中盤はまあ彷徨ってもいいんですけどね、最初と最後の芯は通さないと。
うーーん、全体としていいセンは行ってて、悪くはないんですけどね、あと一息、詰めてほしいなあー、というところです。半歩前にします。
●秋さやかさん「はつこい」
ダイナミックな展開ですね。実のところは、飛行機雲と鳥の高度はまるで違うし、雲を辿ったところで太陽の距離とはまるで違うし、太陽に向かっていたものが落ちたら、下に月があるという位置関係もまるで違うのですが、しかしながらここまで一つも合ってないと、逆に空想物語として、わりきって読めるから、おもしろいです。逆に常識にこだわってると、この物語は書けないですから、割り切れるところが凄いですね。
思うに、星座だって、人間が勝手にいろんなものに想像して、ありもしない名前をつけてるんですから同じことですよね、この雲うさぎの物語だって。
お話、とてもおもしろいですし、特に雲うさぎの「動」が旺盛ですので、動きを追うように、読む方も、どんどん読み進みたくなります。良い魅力を持ってる作だと思います。
欲をいえば、「恋をした」のところで、その感情を噛み締めるようなタメがもう少しあるといいですね。大袈裟にはいらないんですが、1行で行き過ぎてしまうので、もう1行くらい気持ちのタメがほしい感じがしました。
2連の「戸惑ってたら」のとこもそうですね。「戸惑ってたら」の前に、「ここ、どこ?」「どうしよう」みたいな、ちょっとタメがあるとベターですね。
あと、タイトルなんですけどね。詩的にはひとひねりしたいとこではあるんですが、せっかくメルヘンチックにまとめているので、タイトルもそれっぽくていいように思います。
この詩における最もインパクトある言葉は、オリジナルの「雲うさざ」という言葉なので、この言葉を使って、「雲うさぎの恋(全部ひらがなでも可)」とした方がインパクトがあると思います。
いえば、雲うさぎは生まれたてであるので、雲うさぎにとって太陽は初恋ですが、お月様の雲うさぎへの恋については、月は前からいるだけに初恋とは思えない。よって「はつこい」だと片側しか指さないのに対して、「雲うさぎの恋」であれば、両方を指すことができるという点でも、こちらが良いように思います。
気になったところは以上ですかね。
このお話は初恋にやぶれても、また希望が湧く話でいいですよね。かわいそうなことの後に、良いことがあって、読後に「ああ、よかった!」の読後感が湧くのが良いです。お話自体はよくできていると思う。ちょいおまけ秀作プラスを。
もう真っ白な世界で
子供たちよ
太陽に照らされて
つくられた影に
私たちを思い出してくれ
愚かな者は 深海に 都市と共に
沈んで行って見えなくなる
今はまだ緑の上の
つくられた影に
後ろめたさを感ずる私を
君たちよ
ふと思い出してはくれないか
代わりに私も思い出そう
私が立てる土に
埋もれ去った幾人を
海の夢を見た
砂浜に立つ小さな小屋の前
膝を抱えて座っていた
荒れた海は
大きな波を浜に打ち寄せていた
横には、あなたの気配
あの頃
二人の幼い心は
互いの存在を信じて疑わなかった
こうして、肩寄せ合っているだけで
満ち足りていた
空はただ青く、海は穏やかに広がっていた
そして、二人の指が触れた
時が経てば、幼い心も少しずつ大人になる
当たり前のことに気付かず
いつの間にか
隣に、あなたは居ない
心の隙間に砂が入った
海が遠ざかっていく
青い空の中、嵐の前触れの風に
雲々は、千切れて夏の尾となり渦を巻く
海を渡る遊覧船が、白い泡粒を残し、うすく消えていくとき
海の底で眠っていた秋は、白い泡粒となって出てくる
私は、取り残された貝殻ように
乾いた砂の中で窒息するでしょう
胸の中に小さな氷の欠けらがある
夏の終わりの夜空で凍える星の震えは
空っぽの身体の中で、虚しく共鳴した
凍えた身体は
あの時、飲んだのと同じ
あなたの好んだバーボンで紛らわし
怪しく揺れる琥珀の液体に
焼け爛れた胸の中
それでも、氷の欠けらは溶けないのです
齋藤さま
「君が出て行った」に評をどうもありがとうございました。いつも丁寧に読んでくださってとても嬉しく思います。最近、また色々と書き始めていますが、いつもどこかで詰まってしまうのでそのままにしてある中途半端なままの詩が沢山あるのに気がついて、自分なりに完成させようとしている所です。また投稿するかと思います。どうぞ宜しくお願い致します。
青島さま
お礼が遅くなりまして申し訳ありません。何度もお礼を投稿しようとしたのですが、エラー(不審なリモートホストを検知しました)と出て、投稿出来なかったのです。
「風鈴」に評を頂きましてどうもありがとうございました。「風鈴の音が遠くまで広がるようなあたたかい気持ちに包まれました。」とあって、とても嬉しく思いました。
夜の土浦
窓を覗くと
電線に
びっしりと
敷き詰められた
かのように
椋鳥の大群が
無数に留まる
一羽一羽の
並んだ影が
重く連なり
鳴き喚き
夜が深まる
に連れて
静かになる
出発の朝
椋鳥の
騒めきが
突然止まり
皆が一斉に
嵐の如く
夜明けの空に
飛び立ってゆく
どんよりとした
曇天から
雨が滴り
落ちてゆく
君は座っている
石畳の上、足を投げ出して
急な階段、手摺りに凭れるようにして
座っている
座って、僕を見ている
真っ直ぐに
作りかけの猛獣のような目で
悟り切った爬虫類のような息をして
見ている
それは僕ではなかっただろう
それでも見ている
石畳の上に、座っている
夜は濡れている
濡れて光っている
鞄の紐が肩からずり落ちて
でもそんなことお構いなしに
座っている
冷たい風も来ないままに
優しい時も待てないままに
見ている
黙って
見つめている
僕を
僕じゃないものを見ている
呼んでいる
今日、消え失せてしまうものを
呼び寄せている
弔うように
嘲笑うように
電車の音がする
季節が徐々に引き裂かれていって
中の肉が顕わになって
血生臭い匂いがする
その匂いを嗅ぎながら
君は僕を見ている
見て座っている
石畳の上
全部投げ出して
持っていたもの全部
鞄や化粧道具や飲みかけのペットボトル
投げ出して、転がって
急な階段
滑るように、落ちていく
君の周り
君以外全部
転がり落ちていく
街も景色も何もかも
それを君は見ている
僕も見ている
夜も見ている
夜は濡れて光って、いる
居酒屋の引き戸が開いて
ビールケースの空の瓶、が
触れ合う、音が、する
僕の、カメラ
は
壊れ、て
いる
すっかり窮屈になった本棚
ガラス戸の向こうには
幽玄と混沌が広っている
それは、作者の生きた証
それは、読者の生きた証
どちらも、その人を象るパズルのピース
作者が消えてなくなった後
尚も輝く
彼や彼女の道しるべ
読者が消えてなくなった後
傍らに残る
彼や彼女の断面図
パズルのピースが増えるほど
奥深くも、明快で難解に、
なっていくのだろう
今宵も本棚と言う名の額縁に
そっと、ピースをはめ込んだ。
____________________________
初めまして、 松宮 定家 と申します。
初めて投稿させていただきました。
よろしくお願いいたします。
可哀相なちいちゃん偲んで、
かげおくりをいたしましょう。
さらの紙に似た日向に立って
横一文字、四人並んで
かげおくりをいたしましょう。
いち、にぃ、さん、で瞬きこらえ
数え上げます、そのあいだ
瞬きするの、禁止です。
ずるっ子いたら、連帯責任
また、いちからやり直し。
しぃ、ご、ろく、で瞬きこらえ
なな、はち、く、と瞼ふるわせ
とおっ、と、いっせい仰向けて、
平(ひら)たいお空へ、五人のひと影
昇っていった。と思いきや
解夏のお空は丸くて高い。
中の空まで昇ったものの、
高さ届かぬ彼の子の影が
つないだ手々を諸共に
真っ逆さまに落っこちた。
土煙もなく貼り付いた
日向にべったりと、黒。黒い影。
ほくろみたいな影を前して、
賢しい子らは、知らぬ存ぜず
素知らぬ顔で、散ってった。
誰か下敷きになったわけでなし、
怪我したわけでもあるまいし。
矢庭な日向のでっかいほくろ
はじめ大人らも狼狽したが
流石大人だ、こりゃ踏んでも足は取られぬと
合点いけば、果(はて)には今じゃ日向の影も
舗装の下。コンクリートの下。
どっこい、姿失くしたのをいいことに、影のやつ
根っ子の真似してずんずん浸り
この町、あの街へと拡がって、挙げ句には
黒海染めて、チリくぐり抜け
わたいらの影を、いっそう深いものとする。
近頃影が一際重く感じられるのは、そのせいなのかもしれません。