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◎ 8月9日(火)~ 8月11日(木)ご投稿分 評と感想です。
☆風鈴 ゆきさん
読み進めている途中も、読み終えた後も、風鈴の音が遠くまで広がるようなあたたかい気持ちに包まれま
した。佳作です。
物忘れが多くなったことへの不安。そんな不安をさりげなくそばで寄り添い、お話を聞いてあげて答えて
くれる娘さんの優しさ。ひとことも「私の娘はとても優しく話を聞いてくれるのです」などどいう言葉を
用いることなく、ただただ「ああ、よくしてくれているな。」と思うことを選んで並べて作品を作り上げ
ています。おそらく、意識的にそのように並べたわけではなく、日ごろからの娘さんへの感謝の気持ちが
そうさせているのではないかと感じさせてくれました。
忘れてしまうということの不安。「寝ぼけていたから」だとか、いろんな理由をつけてもまだまだ抑えき
れない不安をなくし、過去の記憶をしっかりとつなぎとめてくれようとしているのは、「20年も前に
旅行先で買った風鈴」だというその題材はとてもナチュラルで素敵だなと思いました。
一本の糸のような「チリン」という風鈴の音が、寄り添ってくれる娘さんのえくぼを「私の母にそっくり
なえくぼ」と思わせてくれるのだと、しっかりと、今はいないお母さんの時代を思い起こさせてくれるの
だと。かぼそい風鈴の音が、しっかりと作中の「私」を支えてくれている、包んでくれているのだと。
「私」と「娘さん」「お母さん」の三人を、しっかりと一線の記憶となって結び付けてくれているのだ
と・・・そのようなあたたかな気持ちに包まれました。。
☆鐘の音は求めている 荻座利守さん
「熱線」「爆風」というワード、また「鐘」というワードから、原爆の日について書かれた作品だと思いました。
こちらの作品、アプローチの方法が独特の表現で、一連目では、「数字になってしまいました」としてあり、戦争の
詩だと感じさせることはありませんでした。徐々に徐々に近づけていき、三連目の「爆風」で気付かせるという感じ
でしょうか。全体の連で、直接、戦争関連だと感じるワードは、上記の二語のみ。ですが、また、そこから一歩踏み
込み、今度は戦争は悲惨だや、その状況を描くことなく、違う方法で戦争にアプローチされています。五連目からラ
ストまで、ひたすら問いかけの連続です。
こちらは「戦争について無関心であるな」や「何をもって平和というものに向かい合っていくのか一番大切なのか」
などという思いを響かせているように感じました。それは、人への問いかけでもあり、と同時に自問自答にもなって
いるように思いました。テンポよく一気に読ませてくれました。
鐘の音は
今でも求めています
答えよりもまず
問いを持つことを
「答えよりも問い」だと。上記の連は、特に印象に残りました。
まるで鐘の音のようです。力強く、胸に響いてきました。
アプローチや切り口が独特でしかもテンポよく一気に読ませてくれる、読んだことのあるようで読んだことのない感
覚の作品でした。今回は佳作を。
☆眩暈 SUIZさん
眩暈、立ちくらみ。似たような体験をしたことが幾度かあります。寝不足がたたって引き起こすことが多かった
ですね。
四連目の音の入れ替わりの表現。その通りでした。私の場合は、固定電話で話し中に倒れて、耳鳴りの音との入
れ替わりでの電話のツーツー音でした。床で受話器を握りしめたまま、強い頭痛と共に倒れていました。記憶が
よみがえりました。
さて、この作品の言いたいことの全容は、最終連にありそうです。ものすごく簡単に言いまとめてみれば、眩暈
で倒れて怖い目をしたけど、復活できてよかった!そのような思いを、作者さんなりに表現してくれようとして
くれたということだと思います。
日常にあるふつうのことをふつうでないようなものに、作者さんなりの独自な手法で表現してくれているように
感じました。そのような気持ちは伝わってくるのですが、詩を全体的に見渡してみると、気になる点が出てきま
した。
詩全体の七連中、最終連をのぞく六連のすべてが、「~した」や「~だった」になっており、ほぼほぼ行動の記
述になっているところです。気持ちに関する連、或いは気持ちに繋がりそうな連が少なすぎるような気がしまし
た。
最終連の気持ちに関する記述も、「恐怖」と「喜び」のみ。できるならこの単語に頼ることなく、作者さん独自
の表現で、そのようなことを感じさせてくださるようなものになっていれば、今よりもよいものになっていくと
思いました。
とはいうものの、全六連の所作の描写は、読み手を惑わせることなく、わかりやすいものになっていて、途中で
考え込むこともありませんでした。とてもていねいに描かれていると思いました。日常のよくあることを、そう
でない世界に変えて表現しようとする試みが強く感じられた作品でした。今回は佳作二歩手前で。
☆幻想と不安の空 小林大鬼さん
空に映る雲や煙というものは、人の想像力を掻き立ててくれますね。空想という言葉がありますが、空を想うで
空想になるんだって。なるほど、空を想うと景色を通して、色々な気持ちが、世界が生まれてくるなぁ・・・。
今回の作品は、そんなことをふと思わせてくれる作品になっていると思いました。
一連目で気温や時節、二連目で視線の位置と風景。この三行で読み手に、どんなところでいるのかを、きっちり
伝えることができていると思いました。
三連目がこの作品のメインディッシュになると思うのですが、言葉に無駄はないのですが、お見本のようにまと
まりすぎたように個人的には思いました。特に「大噴火した桜島の形になる」ですが、こちらの方は、少し書き
崩した感じにされる方が、インパクトの強いものになるのではないかなと。「桜島の形」としてしまうと、最悪、
地図を思い浮かべてしまう方が出るかもしれません。桜島の噴煙がどのようなものであったのかということを、
作者さんの言葉で表現されると、最終連の「不気味」という言葉に更に重みが加わるのではないかと思いました。
自然と空が何かを訴えているように感じさせてくれた作品。今回は佳作一歩手前で。
☆忘れないで。 プラネタリウムさん
誰にも知られないという存在であると感じることや、僕はここまでのもの・・・。そういった諦めのような
物悲しい気持ちが、詩行のありたこちらから伝わってきました。
連分けはきっちりされているのだけれど、個人的な感想としては、ぎゅうぎゅうに詰め込まれた感じと、テン
ポとしてもあたふたとした感じになっているように思えたので、各連の要点を考えつつ、整理し直してみると
よいかなと思いました。
そうすることで、読んでいる途中で息を吐くという、余裕から生まれてくるリズムで、伝えようとする内容も
更にぐっと読み手に感じてもらえるような気がしました。
「僕は下手くそな透明人間」・・・面白い表現の仕方ですね。ダメじゃなくて下手くそなんだっていうところ。
自らを卑下することなく、上手にできないだけなんだって。やったらできる可能性があるんだ。不真面目なん
かじゃない透明人間なんだよ・・・そう思わせてくれました。
二連目の「空気だけが聞いている」もよかったです。誰にも知られることのない存在を、強くアピールできて
いると同時に、ものすごく情けなくて寂しい、行き場のない気持ちを表現できていると思いました。
内容的には空想の世界を表現されているようですが、裏を返せば、自分は存在感がないと思い詰めている人々の
辛さと寂しさを表そうとしている作品になっていると思いました。今回は佳作二歩手前で。
☆夏詩 秋冬さん
今年の夏は異常な暑さです。酷暑や炎暑。危険という言葉まで表示されているこの頃ですね。
外回りのお仕事をされている方の、日焼けの色は例年以上に濃くなっているように思います。
それだけ日差しがきついことを物語っていると思います。
作品は、外回りの様子と感じたことを描いていらっしゃいますね。
辛い・・・でもがんばらなくちゃ・・・という気持ちが伝わってきます。
辛いという気持ちを淡々と並べてしまったり、殴り書きのように描いてしまうと愚痴になってしまいます。
こちらの作品は、愚痴にならないよう、ギリギリの線まで踏ん張って、抑えて、詩を書きたいんだという
気持ちを胸の内に据え置きながら描かれているように思いました。
五連目は印象的な表現です。また、後々の連に紐づけされていくような源の連にもなっていると思いました。
命の短い蝉が全身を震わせて全力でなく様子。勤務中の孤独と猛暑に語りかけてくれているように思わせて
くれました。
次の連では、立ち止まると吹き出てくる汗から、生命について感じさせてくれ、次の夏空と雲からは、自然
の大きさを。次の連では大空と比べてちっぽけな存在だと思わてくれる、命懸けの「蝉」と「俺」に繋がっ
ていきます。次の連では命について感じたことが述べられ、麦茶を飲む所作で、命を繋ぎとめる気持ちを
代弁している・・・そのように感じました。一連一連、しっかりと繋がれていて、必死に生きているという
テーマも感じられました。
麦茶を飲む連から最終連。必死に生きていると感じられているテーマから突入していったのは、
でも必死にがんばらなくてはということでもなく、世の中に対する不満でもありませんでした。
学生時代に共に頑張った仲間はどうしているのだろうという投げかけでした。
蹴って走った仲間も
同じ空を眺めているのだろうか
あの頃に戻りたいという表現も用いず、どうしているのだろうかという表現。そうされたことで、みんなも
同じように頑張っているのだろうからという気持ちと、自分だけじゃないと信じたいという、さまざまな気
持ちが混ざり合い、非常にけだるく切ない気持ちが沸き上がる表現になったと思います。また、情けない自
分を真夏の炎天下にさらしたような背景と重ねあわせることで、生身の悩める一人の人間の姿を浮き彫り立
たせている作品に仕上がったと思いました。
あとは、特に問題ないのですが、七連目。「夏空に/たゆたう夏雲」夏という言葉が一つの繋がりで重なっ
ているので、「夏空と入道雲」にしてみたり、「大空と夏雲」にしてみる方が、情景のイメージの広がり
も、更に広げることができると思いました。今回は、ほんのりあまめの佳作で。
☆Fatal Error 山雀詩人さん
「致命的なエラーです」とは、具体的にはどういうエラーなのでしょうね。「詳細をみる」というところを
クリックしても、おそらく専門的用語が並べられていて、結局はトンチンカンで終わってしまうでしょうね。
PCの画面が固まってしまって動かないという、よく似たような経験は、私にもありますが、突然のことなので、
とても焦ってしまいます。やはりシステムがうまく作動しない時は、ペーパーレスと声高に言われている時代、
全部が全部をゆだねてしまってよいのだろうか?という疑問を感じることも多かりしです。
作品は、このような事項も織りまぜられて描かれていると思いますが、面白いと思ったのは、作者さん自身の
純朴な感性。
コンピュータって
ほんとに機械なのかな
こちら、大人の方が書かれている作品なのだけど、子供のような目線ですよね。立派な大人の方に失礼だと思い
つつも、ものすごくかわいらしくて。そこから展開される独特な思いに吸い寄せられてどんどん読めてしまいま
した。
気になったのは、最終の二連のみです。個人的には、先が読めてしまう着地だったのですね。作品の流れ的には、
笑えて終える着地点でもあると思うのですが、コロナ禍の影響でもあるのかなぁ、私は、脳がシステムエラーっ
ていう表現もなんだか笑えなかったのですよ。山雀さんは、筆力のある方だと思うので、もう一歩踏み込んだ表
現方法に期待したいです。
山雀さんは、適度な軽さを作品に盛り込みつつ、社会へのちょっとした皮肉や、自身の思いを、読み手に押し付
けることなく、うまく笑いに包みながら、「そういう発想もあるのだなぁ」と、読ませてしまう魅力の持ち主で
もあると思います。こちらの作品とは関係ないですが、箸の音を書かれた作品には、なんて豊かな発想力だと、
驚いちゃいました。子供の感性を忘れずに持ち続けている方でもあるのかなぁと思いました。気になった最終連
の二連のみ。これからますますの詩の腕のアップデートの期待を込めて、今回は、佳作半歩手前で。
☆ひと夏 麻月更紗さん
ひと夏の短い恋を描いてくれたのですね。
この恋の行方は、片思いもしくは失恋のいずれかで、両想いとなることはなかった、或いはそうなることを
許されることことはなかった恋なのだと感じました。
連の中頃で「生々しい」「ゲリラ豪雨」という言葉を使用していることからわかるように、初恋のように
甘酸っぱさを感じさせるようなものではなく、正反対に近い状況の恋だったのだろうと思いました。
書きたいと思われることは、難なく伝わってくるのですが、個人的に気になったのは、「ゲリラ豪雨」という
表現でした。「ゲリラ豪雨」→「呆気なく流れて行った」辺りの表現でした。
生々しさを出すためにこの言葉を選択されたのだと思いますが、本当に個人的になるのですが、最近のTVの
被害の様子を思い出してしまい、恋とは結びつかなくなってしまったのです。「呆気なく流れて行った」の部
分ついても、冷静に流れていく様子を見るというイメージが沸かず、大声で叫び声をあげたりしそうな、そん
なイメージが沸いてしまったのです。この「ゲリラ豪雨」、代替えを考えてみたのですが、「スコール」では
きれいにまとまりすぎるので、「激しい雨」くらいに留めておくのもいいかなと。そんな風にも思いました。
あとは、四行目の「幻影」ですね。もう一つのアイデアとして、「陽炎」に置き換えてみるのもありかなと。
激しくて熱い気持ちや短さを同時にイメージさせることもできますし、季節感も出すことができるのではない
かと思いました。
終盤の「やがて雨はやみ/雲間から日がさしてきた/けれど濡れた頬にはまだ/雨粒は残ったまま」・・・
こちらの表現は、この作品の中で気持ちの中に残る表現になっていると思いました。
雨上がりですべてはかわいていくけれど、私の外側も内側も、まだ涙はかわいていないのですという気持ちが
静かに伝わってきました。今回は佳作一歩手前で。
☆六畳人間 藤代望さん
少し前にコロナにかかってしまったそうですね。大変不安な思いをされたと思います。お元気に執筆されることが
できてなによりです。ご回復されて、色々やりたかったことがある中のひとつに、詩作を選んでくださったこと、
とてもうれしいです。藤代さんが一生懸命心を込めて書いてくださった作品、私なりに、何かしら詩作にプラスに
なれるようなことを考えつつ、一生懸命書きました。よろしくどうぞ。
タイトルがコンパクトにまとまっていて、しかもユニーク。読み進めていくことと同時に、タイトルを思い浮かべ
ると、六畳一間で休んでいる人の様子とうまく重なりました。
自転車でなくて、三輪車としたところがいいですね。三輪車とすると、子供のよく遊んでいる時間帯が想定され、
夜でないところがはっきりわかりました。
「ベルの音が夏空に近づく」・・・この表現もいいなと思いました。楽しくて、ベルを鳴らしながら勢いよく三輪
車を漕ぐ子供の様子が思い浮かびました。そして、その音とのギャップを感じるような、六畳一間で寝ている人の
姿。寝ている人の強いだるさと、部屋の静けさなどを感じることができました。
「熱いのに寒いのは初めて・・・」という表現も高熱を想定できました。そして、ふだんは通り過ぎがちな辺りの
様子から感じられたこともしっかりと書き込まれていますね。そして、最終連では、寝込むことになってから、気
がついた現実をしっかりとうけとめるように、そして、健康のありがたみをしっかりと受け止めるように、掛け布
団を抱きしめるという言葉で表していますね。普段の生活をしっかりと受け止めるという意味合いも含まれていて、
読み手にも受け止めやすい表現になっていると思いました。
ただ、読み直してから、ひとつ。この作品にある大きな落とし穴を見つけてしまったのです。作品の後に、コメント
を残してくださっているのですが、このコメント無しと考えて読んでしまうと、寝込んでいる様子を書き留めている
作品だとわかりにくい作品になってしまっていることを。外でいるのか中にいるのか、熱いのは外でいるからなのか、
どういうことなのかということなど。
じっくり私なりに考えて、私だったらこうするかなという案は、こんな感じです。
アパートの駐車場
三輪車
ベルの音が夏空に近づく
発熱する
ぼんやりとそれを聞いて寝返りを打つ
溶けゆくからだを脳みそで受けとめる
発熱していることと、寝ていることがしっかりとわかれば、すべてが繋がると思ったので、加えてみました。
こんな感じで、藤代さんが使ってみたい言葉で表現されれば、周りの良い表現ももっと映ってくると思いました。
今回は佳作一歩手前で。
コロナを乗り越え、詩生活を再始動できてよかったですね!投稿おつかれさまでした。
☆風の通り道 Osadaさん
雉の鳴き声と蜜柑畑の風景。広い世界の中で、ひとつに切り取られた風景の中には、それぞれの物語があること
をこの作品は教えてくれます。
始まり方も印象的。TVのドキュメンタリー番組の始まりのようです。雉は写真で見たことしかないのですが、そ
の写真の雉が見事に動き出しました。そうなんですね。雉は「ケーン」と鳴くのですね。私の近辺ではとんびが
「キーン」と鳴くのですが、その鳴き声のように、耳に響く鳴き声なのだろうなと思わせてくれました。
詩のメインの舞台になるのは、「無花果の樹と萱の茂みの間の/涼しい風の通り道」ですね。知っている人しか
知らないこの狭い通り道にあった家族の物語。単なる風の通り道ではなく、家族の記憶へと続いてゆく道である
と表現されている点。懐かしいけれど、どこか寂しくて胸が痛くなるような気持ちが伝わってきました。
八連目から最終連。みんなが行ってしまった国・・・つまり天国について。自分は手を伸ばしても届かない国。
雉の飛び立つ姿を見ると、翼を持つ雉は、そこまで飛んでいけそうな気持ちになりそうです。そして、風の通
り道と、雉の飛んでいく空を繋がる部分に立つと、天国から見つめてくれている家族の顔がうかがえるのでは
ないか・・・そんな気持ちにもさせてくれました。あと、少し細かくなりますが、蜜柑畑から飛び立ちの飛び
立ちですが、飛び立つとした方が流れが引き締まると思いました。
懐かしくも、どこか寂しくなる思い出の接点と空に住む家族への気持ち。同じように昔からこの地で住む雉を
作中に取り上げ、一つの接点にして、面影豊かな叙情を完成させていると思いました。佳作を。
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駅の化粧室に、誰かの善意で飾られたであろう、食品のビンに活けられた花がありました。メインの野草が
美しく。更によく眺めると、なんと!驚くことに大ぶりの四つ葉のクロバーが二輪も。自分だけのためにで
はなく、みんなのためにって活けてくれたのかもしれません。よのなかにはこんな優しい人がいるのだなぁ。
仕事の後、よれよれになっていた気持ちに水を与えてもらえたような、そんな一瞬に出会えたこの頃です。
暑い日々が続いていますが、どうぞお元気で。
みなさま、今日も一日おつかれさまでした。
昨日のこの場所に
私は戻れるでしょうか
昨日のこの場所に
もう一度戻って
再び今日という日を
この場所で迎えることが
できたならば
今見ているものとは
まったく違った景色を
見ることでしょう
昨日のこの場所で
微笑みながら
手招きするあなたのもとへ
再びもどって
あのときの私に
まとわりついていた
尊大さや傲慢さを
破り捨てることができるならば
この先の
未来に残された全ての時間を
差し出してもいいでしょう
昨日のこの場所は
今と同じように見えながら
全く違う場所
もう戻れない場所
昨日のこの場所で
私を見つめていたあなたは
すぐそばにいるように見えながら
何万光年も離れた星ほどに
遥か遠くに佇んで
寂しそうな
淡い微笑みをうかべて
手招きしています
幽かにまたたく星のような
霞みゆくあなたの微笑みに
照らされるたび
追憶に胸を貫かれた私は
震えおののくのです
今日のこの場所に
何も残されていないこと
誰も待っていないことを
改めて気づかされ
ただ呆然と
立ち尽くすだけなのです
しんしんしん
深い森の響きのなかで
ゆったり揺れるよ
ハンモック
お父さんの得意だった
アコースティック・ギターを想いながら
眠そうな子供たち
響くよ 響くハーモニクス
コン カアン コン
スラップでアクセント お父さん
四小節のメロディーが
森の中を循環してゆく
緑に溶けゆく音符たち
目を擦っている子供たち
森の奥深く
リスが住む樹の下で
まどろむ まどろむ子供たち
いつも眠るハンモックの上で
お父さんはいないのよ
病気で昨日旅立った
さあさあさあ 眠りましょう
我慢する必要はありません
お父さんは天にいます
だから おやすみ子供たち
休暇届を出しましょう
眠れ 眠れ 子供たち
生きる
ということの
真ん中に
いられずに
落っこちてしまわぬよう
端の方に
なんとか
しがみついている
真っ当に
生を感じることもできず
死んではいない
そのことを認識はできても
胸を張って
生きているとは
とても言えない
まだなにも知らない
生きるということの
真ん中に
指ひとつでも
触れられるまで
しがみつく
この手を
離すわけにはいかない
ある日、時計の針が遅れて
貴方が直してあげると言った
余計におかしくなったけど
その日から時計は飾りになった
呪文の文句は覚えてても使わない
貴方も本当は飛べるのに、羽根は使ってないよね
塩加減間違えた手料理だってもくもくと食べる
いきなり泣き出した時は目の前でオロオロする
狭いベッドで毛布を引っ張り合って、負けたら叩いて起こす
みんな奇跡だよ、この星で覚えた新しい奇跡
たまたま綺麗な朝焼けも、次が来るまで一緒に待てるよね
つまらないことで小突き合ったりしながらも
折りたたみ傘を黙って鞄に忍ばせたりして
約束はしない
遥か昔、生まれた時にもうした筈だから
言葉に変えたものは引き出しの奥、押し込んだままだけど
貴方みたいに綺麗さっぱり忘れちゃうのは嫌だな
あんなにあった愛なんてとっくに使い果たして
今は石鹸みたいに小さくなった
大丈夫、もっと大きなものが残ってるから
だから隣りを歩くよ
時々歩みを止めて、背中を眺めるよ
初めて見つけたあの日みたいに
壊れた時計に時なんて要らないから
何もかも余計なことしいの、私たちのしでかすこと
それでこの星を回していくんだから
まだ開かない扉の前、なんて格好してるの?
似合わないのはお互い様と思わず口走った
そんな自分を恥じながら位置に着く
そう
わざわざ巻き戻して「初めまして」と言うための今日は
最初で最後の無駄遣い
勿体ないものしかないよ
明日からは
中途半端な田舎では
あまり星は見えない
ベランダから空を見上げても
にぎやかなマンションの明かりたちのせいで
星はポツリとしか見えない
都会の夜空はどんなだろうか
地上にはたくさんの星空
でも、空は真っ暗闇のひとりぼっち
そんな夜空をあなたは
見ているだろうか
メールを送れば答えは返ってくる
だけど
離れていることを
感じていたいのかもしれない
なんとなく
あなたは空なんか眺めない
わかっていても
唯一つながる空の下
夏の大三角形を
探してみる
あの頃に
戻れずにいる
君と僕
空白のままに
月日は流れて
あの頃の
真っ直ぐな一本道は
いまではもう
迷路のようになってしまい
君がいた
あの頃に
もう二度と辿り着けない
かつて見上げた
真夏の青空には
二本の飛行機雲
いつまでも
何処までも
果てしなく
続くものだと思っていた
あの頃の
面影も薄れ
儚く消える
空白のままに
月日は流れて
良い書き方だと言っていただけて嬉しいです。
出口なし。
まさにそんな感じです。
人生って大きく見るとそういうものな感じがしています。
そしてどんよりとした中、それでも踏み出していくという一筋の光のようなものも自分なりにえがいたつもりです。
今回初めての評をいただきありがとうございました。