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編集・削除(編集済: 2024年09月10日 18:37)

晩夏の企て  暗沢

来(きた)る時節の彩りを 記す詩歌の墨瀋(ぼくじん)は
炎天忌(いみ)じき烈日の 深い翳りで出来ている

古い人びとの知るに及ぶは 固め集めた陰翳を
磨る硯より紡ぎ織り成す 紅錦繍とその秘術

玉の緒くたす夏日向 翳りへ逃れつ懐に
かくし抱いた玻璃の容器へ 陸離を紡ぐインクを注ぐ

mydearmasikaku@gmail.comにて投稿の旨、昨日連絡をさせて頂きました。どうぞよろしくお願いいたします。

編集・削除(未編集)

向日葵  さくたともみ

陽光と青を透かした雲から雨粒が降ってくる
雫は頭を垂れた草花の熱心な敬服の上に、存ぜぬ顔で居座っている
頭上に見事な虹が架かっても、
そこらを埋め尽くす草花はみな重い重いと言って下を向くばかり
あら、お可哀想にと向日葵だけが高いところで気楽に構えている

向日葵よ、お前もやがて重い重いと泣いて枯れゆくのを知っているのか
太陽を追うことに疲れ果てる己の末路を知っているのか

じっとり湿る風に吹かれながら、
目下のことなど知らんぷり
今日も背丈を競いましょうと仲間にからから笑いかけている

編集・削除(未編集)

川向こうの森  荻座利守

町はずれの川向こうに
黒々とした森があった

森は遥か古代からの
生き残りであった

森には思想があった
森は数百年
数千年ものあいだ
ずっと考え続けていた

だがそれは
樹 草 苔 虫 鳥 獣
土 雨 雲 風 陽 月 
みなそれぞれ異なる
時と想いが
重層し
円環して

人とは全く異なる
言葉と時間で
考えられたものであった

それ故に
人はその思想を理解できず
その思想が存在することさえ
知らなかった

しかし時おり
森の思想を
知ろうとする者も
幾人かは現れた

だが森にとって人は
おさなご同然であったため
その思想を充全に
理解できた者はなかった

それでも森は
何も不満には思わなかった
少なくとも
森に思想が存在することは
知られたのだから

人には人の
言葉があるのだから
この先何世代にもわたって
すこしずつ
理解してゆけばいい

森には森の
時間があるのだから
この先じっくりと
理解されるのを
待つことはできるだろう

川向こうの人間が
この先
森の思想の存在を
忘れないかぎり

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ナニガ大事ナノカッテネ  cofumi

ようこそTVの中の人。
TVをつけていれば
僕の部屋には
人が溢れている。
チャンネルを変えて
スパイダーマンを呼ぼう。
一緒にビルをよじ登るんだ。

ようこそTVの中の人。
チャンネル間違ったら大変だ。
殺人鬼が画面から足を出す。
テレビキャスターのお姉さんは
いつも礼儀正しい。
きっとご飯と味噌汁を
交互に食べるんだ。

僕の世界を邪魔する人。
人なのかな
いや、物かもしれない。
楽しいはずの遊び
友達と遊んでるのかスマホに
遊ばれてるのか。

ルービックキューブは6色。
虹にはなれないんだ。
色んな人がいるからいいって
先生がいつも言ってた。
ルービックキューブは
色を揃えるんだ。
赤は赤の世界。
青は青の世界。
僕にだって僕なりの世界。

僕はTVを消した。
夜の空って綺麗なんだ。

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貝がらと海の音(夏の夢想)  エイジ

海から貝がらを拾ってきた
遥か遠くから
流されてきたであろう貝がらを
僕は大事に握りしめ
そっと耳に当てている

そっと目を閉じると
ヨーロッパ大陸の面する
遥か北大西洋から
アフリカ大陸を伝い
南大西洋へと流れ落ち
カラファテ ウシュアイアを回り
ポリネシアの三角を横切り
太平洋を流されてきた……
かも知れないという
途方もない夢をみる

一つの貝がらから夢は膨らむ
貝がらの記憶を辿って
地球中を旅できる

耳に当てた貝がらの
なかで響く波の音
ごおーっという音は
遠い遠い貝の頃の
音の記憶を届けてくれるよう
あの殻の奥底からの
果てしない音

ある真夏の日
僕は海で貝がらを拾った
大事に握りしめ
耳に当てている
僕がそっと目を閉じると甦る
貝がらのひと夏の思い出

「楽しい航海だったよ
 色んな海の景色を見てね」
僕にはそう言ってるように思える

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「白楊」の雨音さんの評のお礼 冬本広嗣

ご丁寧な評をありがとうございます。
ご指摘のとおり白楊はポプラをイメージしました。
まだ未熟な作しかできませんけれど今後の励みになります。
またご指導いただけましたらありがたいです。

編集・削除(未編集)

青島様、お礼 麻月更紗

青島様

遅くなりました。
この度も評をありがとうございました。
ご指定ありがとうございます。ゲリラ豪雨には確かに考えるものがありますね。
雨の表現はいろんな表現がでかきるので、もっも言葉を推敲しなければと思いました。
とても勉強になりました。
ありがとうございます。

編集・削除(未編集)

評の御礼  齋藤純二様

初めまして、浮遊と申します。
ご丁寧かつ示唆に富むご感想をいただきまして、ありがとうございました。
友人から「あなたはいつも同じような作品を好んでいる」と言われたことがあり、
それが母体回帰/脱出というテーマをもった作品だとのことでしたので、ご感想拝読してヒヤっとしました。
長めの作品を書けるように、言葉を扱う筋肉をつけていけたら良いなと思っております。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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歴詩篇「忠誠と裏切りの果てに」  三浦志郎  8/26

鎌倉幕府
執権・北条義時
それに次ぐ三浦義村

表の協調 
裏の駆け引き
互いに
真の盟友と呼べたかどうか

        *

* 鎌倉・鶴ケ岡八幡宮では由々しき惨劇が―
儀式に臨む三代将軍源実朝が甥公暁の凶刃に倒れた
公暁は実朝の首を高々と掲げ こう叫んだ

「親のかたきはかく討つぞ!」

公暁は謀殺された前将軍頼家の遺児
義村は公暁の乳母夫 公暁の後ろ盾は三浦
公暁をたきつけたのは三浦

「御父上を討ち実朝様を立てたは北条ですぞ」

義村 公暁を唆す
実朝暗殺の
裏にいる
深くいる

義時は逃れた
太刀持ちを代理に任せ八幡宮参列を外れた
実朝と自己の身の危険を察して
体調不良を訴えて(仮病だったろう)
どこで秘密は漏れたのか?

公暁は駆けた
実朝の首と共に三浦邸へ

(三浦がわしを将軍にしてくれるわ!)

義村 (実朝と共に義時を―)
の謀略外れ
御家人筆頭の正義に戻らざるを得ない

(弑逆人は討たねばならぬ)

同時に
自己の暗躍の揉み消しを命じる
長尾定景(後の上杉謙信の遠祖)を召し

「公暁殿の首 頂戴せよ」

裏切りである
かつて同族をも裏切った
義村 心中 事もなげに
裏切りと忠誠が両立する

義村 公暁の首を義時に差し出し
盟友としての顔を繋いだ
あるいは 権力を知るもの同志
相謀っての企てだったかもしれない
二人は裏の全てを知りつつ
胸に秘め 提携はなお続く

        *

幕府は存亡の危機―承久の変を
三浦の忠誠を得て乗り切り
義時は病死
義村は長命
三代北条泰時が執権を継承した
義村にとって泰時は若輩にして元・義理の息子
滅ぼそうとすればできたはずが
彼は権勢を誇ったがそれをしなかった
「御成敗式目」制定にも名を連ね
忠誠に実があったのか
老いて機鋒が鈍ったか

        *

世評 「三浦の犬は友を喰う」と言われた

忠誠と裏切りの果てに
義村 今も本性 明らかでない
歴史の向こうで霧の中
当時の人々にも謎だったろう
わが身を晦ませ世を翻弄したか
存外 見抜いていたのは
かつての“盟友”義時だったかもしれない  

        *

*「北条を倒すことこそ
我ら積年の願いではなかったか!」(三浦光村)

義時・義村すでに亡く
それぞれ代が替わり
北条・三浦
紐帯はすでに過去
後年は覇権を争った
宝治元年
三浦は北条に滅ぼされる
そんな歴史だけが残った

鎌倉時代も中期に入っている




                * 源実朝暗殺の真相は今もって謎と言ってよく、
                  ひとつの仮説から本作品を構成した。

                * 大河ドラマ「北条時宗」の初回に出演した、
                  俳優・遠藤憲一のセリフ。

編集・削除(編集済: 2022年08月26日 16:48)

オニヤンマ おおたにあかり

開店準備が終わり
レジの前に立った時

すぃーっと飛んできた
大きなとんぼ
田舎育ちのわたしが
うわって言うくらい大きな

何処から入って来たのだろう
窓を開けていたかな
ここは入りづらい
二階の店舗なのに

ふと思い出す
前もこんな事あったなあ

あの時も大きなトンボに
おおさわぎして 逃げ回った
「秋を知らせるトンボだよ
それに昔の人はね、
先祖が帰ってきたって
有り難がったんだよ」
って優しく捕まえて
外に逃がしてくれた人が
いた

すぃーっすぃーっと
店内を見回るよに
円を描いてるトンボ
向こうからお客様の呼ぶ声
返事をしながらそちらへ走る

トンボはその間に
どこかにいってしまっていた
「コレ、オニヤンマていうんだよ」
得意気に教えてくれた
あの人の笑顔がまた浮かんで

すぃーっと
消えていった
何も後には残さずに

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