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編集・削除(編集済: 2026年05月30日 02:08)

感想と評 9/22~9/25 ご投稿分  三浦志郎  9/30

1 上田一眞さん 「ふる里の渚」 9/23

作中に何気なく年齢が匂わされています。投擲(とうてき)といった言葉も年配者ならではです。
逆に「シカト」は、あくまで口語の俗語ですから、文学上は別表現を考えたほうが無難でしょう。
「   」括弧で括ってセリフ調にすれば使えますがね。
「百の石を割った」―これ、何ですかね?僕の知らない社会的行為かと思って調べたけど、出てきませんでした。あくまで詩中でのプライベートな行為と捉えておきましょう。あるいは隠喩。学友への怒りの象徴と見做すことはできそうです。「沐浴」と共に、何か修行僧の「行(ぎょう)」のようなものを感じました。石を割ったり沐浴したりは多少比喩的フィクションと思われますが、ふる里の渚を歩いた、そこで味わった孤独感、寂寥感は事実で、この詩の本質であるでしょう。佳作を。


2 おこぜさん 「大いなる秘密」 9/23 初めてのかたなので、今回は感想のみを書きます。

よろしくお願い致します、と同時にごめんなさい。これは正直何のことなのかはわからなかったですね。
核となる言葉を拾います。まず「原因」。僕の勝手なイメージでは、この言葉は60%以上、負の方向性に使われると思っています。次に「罪」。以降、比較的暗い言葉が続きます。そういったトーンの詩です。途中、突然「彼女」が出て来るのに驚かされるのですが、案外、これが詩の核だったりしそうです。総合して判断できることは、個人に起こった出来事、現象、体験を抽象的にイマジネーションを交えて成立したものと想像されます。真意は作者のみわかるといったタイプの詩でしょうか。様子を見ましょう。 また書いてみてください。


3 詩詠犬さん 「同心円」 9/23

敢えて後半から行きます。すなわち「今朝、小雨のなかを」からです。同心円って実生活ではあまり意識されないので、これはいい気づきですね。なるほど、自然が伝える同心円の形としては、最も身近で好適なものでしょう。シャレていて抒情味もあります。正確で規則的ではあるが、すぐに消えていく。その虚しく続く営為にむしろ憎しみを覚える。―その奇妙な心持ちに、興味深いという意味の面白さがあります。ひいては、ここに「詩」があるわけです。そこで前半です。後半のコアに比べると、前半成立の裏付けがはっきりせず、印象が弱い。後半とどう接続あるいは、バトンを渡しているかが見えてきませんでした。僕の考えでは後半だけでも最低限、詩は成り立つ気がします。でも、それだけじゃつまらないので……策としては……
①  後半のみを肉付けする。(事項をひとつに絞って深化させる)
②  前半は後半に接続しやすい“同心円”的な話柄を別途考える。
まあ、①も②も結局は同じことかもしれないけど。  佳作一歩半前で。


4 じじいじじいさん 「すすき」 9/23

「みたあ」は「みたい」のミス打ちでしょうね。詩は全篇“いなほ”についての事なんですが、タイトルは「すすき」というのは、何か理由があるんですかね?
「みちのいろがへんしんしてる」は夏の色との違いを簡潔に印象的に総合的に描写して、良いフレーズですね。子ども的な感覚もあります。まだちょっと早いけど、まあ、先取りということで。
「いなほ~~いなほ」の流れで続けて「みち」のショート。最後はピチッと止めてますね。文体もリズムもこれでいいです。
甘め佳作を。


5 エイジさん 「生命を抱く」 9/23

まず「飲水料」ですが、「飲料水」か「飲水量」のどちらかではないですかね?
この詩はこの通り読みます。僕は寝る時は“ただ寝るだけ”なんですが、ここでは、その単純な行為にも気遣いや工夫が必要になってくる。そういったことを考えていました。場面や心情を噛みしめると胸が痛みます。僕はこの詩に感想は書けても評価するなど、
とても無理なことです。
ただ、言えることはあります。
どうぞ、このタイトルのように、しっかり抱きしめて、けっして手放さずに、詩で繋いで。


評のおわりに。

9月も今日でおわります。カレンダーを10月に換える。すでに書き込まれた予定を眺める。
(なかなか、あるなあ―) 仕事系・詩系・音楽系・健康系、ひとつ記念日。
だいたいそんなところ。これじゃ10月もすぐおわる! ではまた。

編集・削除(編集済: 2023年09月30日 12:32)

おばあちゃんの手  上田一眞

時が濾過したひかりの中で
うわ言のように唄い
眠りの内に
蝶々と遊んでいるおばあちゃん

小春日和の陽だまりの中
目覚めの時間は短いが
僅かな覚醒のときを見つけ
…ぼくのお嫁さんを連れてきたよ
と話しかける

おばあちゃんは
慈愛の目で彼女を見つめ
そして〈手のくるぶし〉をさすりながら
ぼくの〈手のくるぶし〉の出っ張りを指さして

 私と同じ
 私と同じ
 私と同じ

と嬉しそうに
僅かに涙ぐみ
何度も何度も繰り返す

幼くして母を亡くしたぼくたち兄妹を
おばあちゃんは深い情愛で包んでくれた

時の流れに逆らえぬとしても
どうしてぼくらから死神は
大切な大切なものを奪って行くのだろう
肉親を亡くすことが
〈成熟〉するための条件だとしたら
ぼくは大人になどならなくてよかったのだ
母を亡くし
おばあちゃんのいまわの際もほど近い

幼い日
母と一緒に訪れたこの家で

 ようきた
 ようきた
 ようきた

と優しく迎えてくれたおばあちゃんの姿が
水晶のような輝きを増す
そして
愛惜の涙にくれ
ぼくはひたすら真っすぐに
おばあちゃんの〈手のくるぶし〉を見続ける

編集・削除(未編集)

虹のスープ  妻咲邦香

友だちは欲しかったけど
仲良くなると怖いから駄目
正しいことは知っているけど
息が苦しくなるからお終い
薬じゃ治らない恋をした
自分で自分の手を握って
大丈夫だよと言って欲しかったし
言ってあげたかった
私が違う人だともっと良かった
もしくはただの凡人だったら

誰も困らせたくないから静かに笑ってる
あなたの涙にも少しばかり気付いてる
夜より確かなものはないけれど
昨日とはもう違ってる星の位置
月は相変わらず悪戯な目配せで
お湯を注いで始まる根菜のスープ
人生は笑っちゃうほど短い

世界の中心は何処かにあったけど
誰も彼も見失った
私の知ってる大事なものは
大事な人にも壊せない
壊せない、壊せない
私が壊すんだから
この手で、わたしが
こわすんだ、から

 (虹は土から生まれた
 (丈夫な根を張り巡らせて
 (知らない街へと伸びていく
 (そして誰かに収穫される

自分で自分に差し伸べる
その手をいつか振り払う
いつまでも変わらないもの
見つけられたら信じられる
色とりどりの根菜
虹は土に帰っていく
誰に言われなくともそうする

ただこれ以上
悲しい人を増やしたくないから
静かに笑って立っている
栄養の今少し足りないこの場所で
立派に育った虹のように

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位置を知るとは  積 緋露雪

石原吉郎に「位置」といふ大変有名な詩があるが、
石原吉郎の位置はSiberiaの大地での
絶えずソ連兵に銃口を向けられた中で育まれた
人間の位置といふものは蒼穹を肩で支え、
つまり、自分の位置は自分で宇宙を支へなければ
確保できぬといふもので、
その厳格凄惨な位置に堪え得た石原吉郎の凄みは
「位置」といふ詩一つでも闡明するが
果たしてそれを我が身に置き換へればどうなるかといへば、
それは明らかに弛緩したGumのやうに伸縮する蒼穹を
これまたなよなよした肩で背負ひ
猫背になりながら
足下ばかりを見ながら歩く
曖昧な位置のみが指定されるに違ひない。

然し乍ら、それでは済まぬ状況は簡単に突如として訪れるものだ。
それは銃口のあるなしの大きな違ひによるともいへ、
例へば吾が強盗に遭ひ、
銃口を向けられたなら、
果たして石原吉郎のやうな死の覚悟を持って
ソ連兵の銃口を見ながら
蒼穹を背負ふ覚悟があるかと問はれれば、
吾は
――ある!
と、名言出来るに違ひない。
それは吾もまた、銃口に漸近する
吾自身に責められ続けられる自虐の苦役に
半世紀もの間、曝されてゐるので、
石原吉郎の体験とは違った形ではあるが、
その凄惨な自虐の苦役の体験から
断念といふ狂気を学び取るしかなかったのだ。

吾の位置は約めていへば
大宇宙の中で断念した此処である。
それ以外いふに及ばず。

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大袈裟なぬくもり

いきなり俺をあたたかい光で包むのは
どういうことだろう
俺は今まで冷たい道を歩いてきた
愛なく友なくさりとて孤独もなく
ましてや詩人はいるはずもなく
なのにどうしたわけかこのぬくもり
大袈裟な半ばサプライズな
嬉しいが喜びたいが
思うように感情が受け入れられずにいる

俺はささいな喜びでいいんだ
大きなものは…あるにはこしたことないが
きっと大きな喜びというのは
小さな喜びを集めたものだから
だからそれらをなるべく多く集めて
生きていたいんだ

色々と心配をかけてきたようだ
愚かなこともたくさんした
今だって愚かで馬鹿で阿呆だ
ああ大袈裟なんだよこのぬくもりは
俺を誰だと思ってるんだ 俺だぞ俺!

鳥が飛ぶように生きていたい
鳥が鳴くように歌いたい

大切なものを失った人は心にぽっかり穴があく
そんな人達にとって大袈裟なぬくもりは救いかもしれない
失った時ほとんどの場合は取り戻せない
そうして苦しみながら顔では笑って生きていくしかない
大袈裟なぬくもりよ
今こそ我の上に降りたまえ
神よ、どうして私をお見捨てになったのですか
生きていくしかないのか、俺は……

編集・削除(編集済: 2023年09月28日 07:46)

静かな想い  エイジ

透析施術一時間前
僕の部屋のベランダから
真ん前に立ちはだかる
向かいのマンションに整列する
何戸ものドアをぼんやり見ていた

一戸一戸のドアの向こうに
それぞれ全く違った
人の生活があるはずだ
各々のドアの向こうから
波のようにやって来る
様々な想いを静かに受け取る

ある家は三世代世帯かも知れない
ある家は独り暮らしかも知れない
皆一様に静かに暮らしているが

九月の穏やかな温かさの中
植林に蝶や蜂がホバリングする
隣の空き地にグラウンドが出来る予定
工事の音がただこだましてくる
そんな中をゆったり漂う
静かな想い

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雨音様、批評のお礼です  U.

お礼が遅くなりまして、申し訳ありませんでした。
「おまけのおまけ」、ありがとうございます。
少し書き過ぎですね、引き算の件了解しました。
引き算のご指摘は、今までも何度かありました。
毎度同じことを行ってしまって、情けないことです。
何度か読み返し、校正しているのですが、
月に1編のペースで書いてきましたが、自分には多いのかもしれません。

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闇の中で 紫陽花

私のおじいちゃんは船乗りだった
世界中を巡るそんな船乗りだった
おじいちゃんの海の話は
霧から始まることが多かった

狒狒の島の話も
ちょうど濃い霧が
立ち込める場面から始まる
太平洋のど真ん中の日没
船は進んでいる
日本では秋風が吹くころ
海の上ではいつもの
海風が吹いている
街の明かりもないので
前後左右真っ暗だ
時間の経過も分からなくなる
そのうち少し眠気が襲ってくる
狒狒はその時を狙っている
漁師が投網を投げるように
白い柔らかい
オーガンジーのような
霧を狒狒は被せてくるのだ
船は捕らえられたように
霧の奥へ奥へ真っすぐ
迷いなく進んでいく
砂地に乗り上げたような
何かに船首を掴まれたような
そんな感覚の後 船は止まる
おじいちゃんは
誘われるように外に出る

船から降りて
陸のようなところに降り立つ
何しろ白い霧で何も見えない
けれどここが島なんだと感じる
霧の奥から音もなく誰かが来る
赤い服を着た女性だ
遠くからでも人ではないと感じる
女性はにこやかに近づいてきて
話しかけてくる
奥に食べ物があるから
一緒に食べましょう
この世のものとは思えない
綺麗な姿と声に比例するように
おじいちゃんの恐怖が最大になる
その時おじいちゃんには
霧と闇の境目にある船が見えた
おじいちゃんは
恐怖で動かない体を
必死に動かし闇に向かって走る
狒狒は追ってくる
近くにあったはずの
降りた船が遠い
女性は今や狒々の姿で
追いかけてくる
お腹を空かせた狒々は
特に男性が好物だという
狒々に追いつかれる瞬間
おじいちゃんはなんとか
船に戻れたそうだ

私も暗闇の中にいると
方向性を見失う
何か強いものに
取り込まれてしまいそうな
そんな時がある
それがいいものか
悪いものか判別もできず
私は暗闇の中
私をしっかりと信じることが
できるだろうか
狒々に食われてしまわないだろうか
そんなことが心配になる
夜が長い季節がやってきている

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乗り換え駅 喜太郎

終着駅まで一緒だと思っていた
僕は乗り換えだと言われ
二人いきなり途中駅に降ろされた
君の前には乗り継ぎの電車が来ていた
前から彼女は乗り継ぎを考えていた
気づかなかったのは僕
乗り換えなど考えてもいなかったから
一人きりの駅のホームに立ちつくす
次の電車はいつ来るのだろう
その電車には乗れるのだろうか
気づけば君の乗った電車は もう見えない
あの電車には誰が待っていたのだろう
今となっては もうどうでも良い事
君の乗り継ぎのうまさにため息しか出ない
元々 僕は各駅停車でのんびりが好きで
君は急行電車が好きだったみたいだ
どのみち合わなかったんだな
ただ待っていても仕方ない
僕は駅を出て線路沿いの道を歩き出す
次の駅まで歩いてみよう
一人で歩くのも新鮮なものだ

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抱きしめてください  滝本政博

優しくしてあげてください
あのときのわたしを
あんなに頑張って走ったのだから

ここから逃げていったのです
休ませてやってください
冷たいお水をあげてください
めーめー泣いたからって
そんな目で見ないでください

あのときのわたし
黄昏てゆく街をひとり
自転車で走って逃げた
氷った体で
光る猫の目で

住宅街を
商店街を
街灯のともりだした広い道を
遮断機を越え
角を曲がり
未知の街を
さらにその先へ
夜も更けて疲れていたって知らないふり
何処までも行ったのです

パトカーに呼び止められるまで
力の限り走りました

優しくしてあげてください
あの時のわたしを
抱きしめてください

編集・削除(編集済: 2023年09月30日 06:02)
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