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あたまのわるい私は
いつも霞がかかったように
うつくしいものが
よく見えない
あたまのわるい私は
散らかった部屋のように
うつくしい言葉を
見つけられない
あたまのわるい私は
寒さにかじかんだ手のように
うつくしく
言葉をつづれない
例えば
老婆の手のような
プラタナスの葉や
陽光の欠片のような
たんぽぽの花や
龍の鱗のような
硬い柊の葉や
愚直なロボットのような
働き蟻の姿を
眼に留めて
風に飛び散り
消えてなくなるような
けし粒をかき集めるが如く
空を這いまわる雲や
風雨を呑み込んだ奇岩に
見る人が形を与えるが如く
とらえどころのない靄に
形をもたらそうとして
現れたものは
できのわるい紙風船
隙間だらけで
歪んだまま地に落ちる
それでも私は
なおも
紙風船を膨らまそうとする
あたかも命の息吹を
吹き込むかのように
そう
あたまのわるい私にも
ひとつだけ言えること
言葉に命を
与えてみたい
命を吹き込まれた
言葉そのものこそが
この世界に隠された
見えない次元の影法師
ほんの時折にしか現れない
真実への扉だから
隙間だらけの紙風船に
あたまのわるい私は
なおも
息を吹き込む
四月一日
夜のSL広場で
酔っ払いのおっさんが
一人でずっと騒いでた
誰かあいつを知らないか
名前なんかは知らないよ
呑み友達ってそうだろう
なんつうの
女性経験っつうの
あんまりなさそうだったから
ここは俺が兄貴となっていろいろ教えてやろうとさ
思っていたわけよ
弟みたいなもんだから
おっさんとでもしとくか
まあ俺もおっさんだけど
あいつはちょっと変だけど
いい奴なんだよ本当に
まあ俺もいい奴だから
いろいろ話してやったわけ
そんで俺元漁師っつったら喜んじまって
人をとる漁師になろうなんていいだしやがった
本当に変な奴
でもね
時々淋しそうな顔すんだわ
俺も淋しいからね
なんとなくわかるんだわ
俯いて
たぶんあん時は泣いてたな
えりとかさばとかいいながら
そしたら神の子になるとか言って急にいなくなっちゃうんだもん
心配するべ
大丈夫かよって思うべ
やめた方がいいよ
神様になるなんて
石投げられるぞ
大嘘つきって
でもあいつはいいんだって
大嘘つきでいいんだって
人がつかなきゃ誰が大嘘つくんだって
馬鹿が
もし見かけたら言ってやって
神様になんかにならなくていいから
俺はお前の呑み友達だから
待っててやるから
また来いよって
言うだけ言っておっさんは
SLの中に消えてった
消えてった
空から降ってきた誰かの涙が
傘を伝って落ちて来る
ありがとうとか
さようならとか
許せないとか
春の雨は冬の寒さを残しながら
夏への希望を含んで
夏の雨は何もかもに色をつけ
空にも心にも虹をかける
秋の雨は冷めかけの珈琲に似て
残したものをどうしようかと思いを巡る
冬の雨は静かに時間の上に降り
一粒一粒が語りかけてくる
過去を振り返ったり
過去が追いかけて来たり
グチャグチャの本棚を整理するように
上手く並べられたら
心も落ち着くのかな
さいたさいた
おうちのにわに
きいろいはなさいた
チョウチョやアリンコ
いっぱいあつまる
やさしいえがおの
きいろいはな
さいたさいた
クラスのなかに
えがおのはなさいた
おとこのこおんなのこ
いっぱいあつまる
やさしいえがおの
なかまってはな
さいたさいた
せかいじゅうに
へいわのはなさいた
せかいのひとたち
いっぱいあつまる
やさしいえがおの
へいわってはな
きいろいはな
なかまってはな
へいわってはな
どれもみんな
しあわせってはなのたねから
さいたはなだね
みんなもさかそうよ
いつだってどこだって
しあわせってはなは
だれでもさかせられるから
静かな夜には
裸の胸がよく似合う
抱き合って
抱きしめ合って
一つになるのに
裸の胸がよく似合う
毛が生えてても
生えてなくても
固くても
柔らかくても
膨らんでても
へこんでいても
ほくろがあっても
よく似合う
始まる時でも
終わる時でも
愛し合ってても
憎んでいても
静かな夜には
何もない夜には
お腹が空いてても
喉が渇いても
月が見えても
見えなくっても
雨が降っても
晴れてても
二人きりになったなら
本当に
本当に
裸の胸がよく似合う
今この時だけは
手紙よ手紙
迷子の手紙
人から人へ届けるはずだった
切手が泣いている
手紙よ手紙
迷子の手紙
誰かの思いを伝えるはずだった
インクが滲んでいる
手紙よ手紙
迷子の手紙
忘れられるのが一番辛い
消えるのが悲しい
異邦人のムルソーをなぜサイコパスとか発達障害というのだろう
人間は本来こんなものだ
むしろ彼以外が不自然だ
彼は当たり前の人間だが文化や慣習が彼を異様に見せている
母が亡くなったからと言って いい大人が喜劇映画を見るのをためらうか
「全て健康な人間は多少とも愛するものの死を願うものだ」
それはそうだ
女友達と海水浴どこもおかしくない
太陽が眩しすぎて拳銃の引き金に指を触れていたら引くことだってあるかもしれない
彼を殺したのは社会だ
海が海であるということが
こんなにも 目にしょっぱいのは
わたしだけじゃないと おもった
海は広い この世界も広い
砂浜歩きながら そんなことばかり
かんがえていた
走ってみた 思いっきり
すぐに息がきれた
なんで一人で
ここを歩いているのだろう
でも気づく 思い知る
ひとりをえらんだのは
ワタシってこと
砂浜に よく意味のわからない
よむこともできないような
だれかの文字をみつけた
少しならんで歩いてみた
くつをほうりだして
砂がくすぐるから しばらくは
笑っていた なのに 少ししたら
涙がでてきた わらいすぎたのかな
おかしいな
こんどだれかをすきになるのなら
だまって ふたりで うみを
まいにち ながめていられるよな
そんなひとにしよう
土の匂いで育つ赤ちゃん
絵本にくしゃみして
知らない人からのプレゼントを
家族に報告する
『洋服はただの膜だ』
『これは自立した心だ』
『いくつかの用事を終わらせるのだ』
赤ちゃんも大変ね。
宇宙の端っことピアノの黒
なにがちがうの?と言われれば
言い争って、ぶってぶって
おそろいの涙を流す
そんな赤ちゃんが沢山いる
彼らは人から産まれてきて
呼吸を持っている
そんな赤ちゃんだ
始まり WILLIAM & CATHERINE
マイルストーンホテルの結婚披露宴は―、
少し風変わり。その集いは微笑ましい趣
向でお開きとなる。ホテルの隣は遊園地。
挨拶を済ませた新郎新婦に来客が続く。
幸せなふたりの為にメリーゴーラウンド
だけは、ひとときの貸切になる。ふたり
は伯爵(COUNT)とその夫人のように睦
まじく馬車に乗る。バンド仲間の演奏が
賑やかに、この遊具に調和する。新婦は
ジューン・ブライド。人々は周りを囲ん
でライスシャワーで祝福する。笑顔と歓
声が巡る。来園客も微笑んで眺めている。
やがて新たな人生が回り始める。
二十年後 WILLIAM & CATHERINE
夫はツアーにライブにレコーディング。
実に多忙だが、この日だけは仕事を入れな
い。夫婦は結婚記念日にこのホテルを訪れ
る。夫人をエスコートしてディナー。ほろ
酔い気分で、メリーゴーラウンドに乗るの
が毎年の慣例になっている。ふたりは想い
出している。ここからスタートしたことを。
回り続ける“ふたり時間”を祝い楽しむ。
四十年後 WILLIAM & CATHERINE
子供たちも巣立って、夫婦は再びふたり
だけになった。結婚記念日に、このホテル
と遊園地を訪れるが、ローラーコースター
に乗るには少し老いたようだった。もうふ
たりとも恐くて自信がない。メリーゴーラ
ウンドは快く受け入れてくれる。ファンだ
ろうか?手を振ってくれる人々がいる。
ふたりの“想い出アトラクション”。
六十年後 ONLY CATHERINE……
その日。パートナーはすでに亡く、独りに
なったその人は息子の車に乗せてもらい、
やって来る。もうホテルで食べたいものも
なく、紅茶だけが目の前にあった。杖を突
きながらメリーゴーラウンドに向かう。
披露宴の時を想い出して馬車に乗る。隣に
パートナーはなく、代わりに息子が一緒に
乗ってくれる。そんな風景を係員は不思議
に思うのだが。理由を話せば、きっと―、
やさしい気持ちになるだろう。
(ふたりの時間はこの乗り物のようだった)
あの人の音楽を想い出しながら、
老婦人はそんな比喩を味わっているだろう。
歳月は楽しく巡ったのだった。
* ベイシー……COUNT・BASIE、アメリカのジャズ音楽家、
ビッグバンドリーダー。本名はWILLIAM。
1984年、79歳没。
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メリーゴーラウンドをモチーフに書くのは、これで三作目になります。
おそらく、その回る感覚が自分の時間意識と連なっているのかもしれません。
私もベイシーさんが乗るメリーゴーラウンドに手を振る一人であります。