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筋肉カウンセリング(2)

【4回目】(前回の1週間後)
<S>
#1 粘液について
 このところ、粘液の量が増えてきている。そして、朝8~9時の間がつらくて仕方ない。学校でも授業時間は我慢しているが、休憩になると尻に挟んでいるティッシュの濡れたのを交換するためにトイレに走る。午後は楽になり、運動中は感じない。
 トレーニングには毎日行っている。授業も休んではいない。少し遅刻があった程度。今の学校はそんなに嫌というわけではない。

#2 中学時代の学業成績
<成績のほうでトップにはならないで、人並みで卒業できればいいということかな?>(認識反射あり)
 そうです。中学2年までは、全科目平均90点くらい取っていました。ちょっと維持するのが苦しくなって、3年生の夏頃に平均80点くらいになるまで手を抜きました。その頃、母が市内の有名普通科高校か国立工専へ行かせようと圧力をかけてきました。普通科も工専も行きたくなくて、勉強をぴたっとやめました。それでも内申がいいと、普通科へ行かされるので、教室の窓ガラスをわざと割って、担任の評価を落とすようにしました。
<腹が痛くなりだしたのはその頃から?>(認識反射あり)
 そうです。おかげで成績はどんどん下がり、結局担任が母を説得してくれて、この学校を受けることになりました。でも、粘液が出るようになりました。
<元気いっぱいでいると、お母さんが、この学校でトップになることを要求するでしょうか?>
 (笑いながら)すると思います。
<もしかしたら、1年棒にふっても来年普通科を受け直せと言われそうなのでは?>(認識反射あり)
 大ありです。
<じゃあ、粘液がお母さんの攻撃から自分を守ってくれている……>
 (笑い)口ではとても勝てないもの。

#3 母親について
<お母さんてどんな人?>
 ポンポンまくしたてます。
<妹や弟は、口で張り合える?>
 そう。自分は、何も言い返せない。小学校のとき、ある有名な塾のことを学校で聞いたけど、母に知れるとそこへ行かされそうなので黙っていた。後で知れて、「なんで言わなかったの!」と責められた。でも一言も言い返せなかった。
<中学の卒業式のときも似てるね。>
 はい。

<O>
 顔色は良い。目も充血していない。身だしなみは相変わらずきちんとしている。眼鏡をはずしていた。

<A>
 粘液の量が増えたと切り出したので、ドキッとした。いよいよ整理用品の出番か。それにしても、学校ではどんどん平気になっているのに、朝方特に具合いが悪いのは、母親に向けられたサインと推察して間違いなかろう。
<人並みに卒業できればいいか>の質問に認識反射があり、それから流れは一変した。あとは堰を切ったように、中学の成績と母親からの圧力について語ってくれた。これまでの症状のすべてが、母親に対する弁解として用いられていたのだろう。

<P>
 母親に「今の学校でなんとかやっていけそう」と言ってみてはどうかと提案したが、今、機嫌をそこねるとまずいので、しばらく様子を見るとのこと。母親の様子見という方針で、一致した。

<SVC>(すべて野田先生から)
・この回は、サイコセラピーになっている。が、人間関係がうまくいっているので、セラピーでかまわない。すでにケースワーキングとカウンセリングの段階は終了していると考えられる。タスクがうまくいっているから。
・今回、症状悪化について語ったのは、ここらで内面に向けてくれと訴えているのかもしれない。
・症状が、「母親への弁解」を目的としているのではなくて、むしろ、「自分のペースで生きること」が目的である。母親への弁解はその手段です。自分のペースで生きて、しかも母親も幸せになれる手段を考えるとよい。ベストは、今の学校に適応すること。帰宅したら、「学校が楽しかったー!」と言ってみるように助言するのもよい。 
 実際は記録ほどすんなり進んでいるかどうかわからないが、ゲッシングも正対もぴたりと決まって、よい流れである。あと2,3回で終結するはず。
・「母の機嫌をそこねるとまずい」というクライエントへの勇気づけとして、「お母さん思いは良いこと」「自分で決められるのは良いこと」など。特に後者は大事。
・症状のほうは、自分で作ったりなくしたりできるのは便利なことだから、使わない手はないことを知ってもらう。


【5回目】(前回の1週間後)
<S>
#1 トレーニングの話
 トレーニングは、3週目に入った。日曜日以外は毎日行っている。肩と背筋を鍛える日が一番きびしい。スクワットは60kgで6回できた。

#2 教室での様子
 最近は、教室の居心地がいい。実習の時間には、同じ班の人とよく話をする。
#3 能力の変化
 持って生まれた(と思っていた)能力が後退して、最近新しい能力を発揮できるようになった。
<具体的に言うと?>
 中学までは、努力しなくても勉強でトップを取れた。今は、勉強は下がって、体を動かすことが得意になった。実習が大好き。この頃は、友だちを追い越す勢いで課題が進んでいる。
<今、成績はどのくらい?>
 1学期末に、赤点が3つ。保健、工業基礎、数学。
<それって、もしかして、合格点すれすれ?>
 (大笑い)そう。
<赤点を一番気にしたのは?>
 母です。で、つい最近ですが、どうやら来年普通科を受けさせることを諦めたようです。
<どうしてわかった?> 
 製図検定に合格するように元気づけてくれたから。

#4 弟とのからみ
 このところ、ゲームでは弟に連勝している。そのため、弟とは戦闘状態です。同じ部屋で暮らす限界まで来ている。弟は派手に攻撃してくるが、負けるとすぐパニックになる。自分は少々負けても耐えて、反撃のチャンスを待つ。弟は妹と気が合うので、いっそ妹の部屋へ移ってくれるといい。弟が、嫌がらせに電気のスイッチを切ると、自分はブレーカーを落として応戦している。

<O>
 声に張りがあり、表情が生き生きしている。

<A>
 初めて症状の話が出なかった。昨年来の一連の症状は、母親に向けられていたことが、いっそう明確になってきた。クライエントもこのことを十分納得したので、次の段階へ一歩進めそう。

<P>
 母親や弟とのコミュニケーションを少しずつ改善していく。
 部屋替えについて親に提案したいと言うので、それなら弟の協力もあったほうが有利ではないかと言うと、「弟の手の内はよく知っている。今度ゲームに負けてやって機嫌を取る」と答えた。


【6回目】(前回の2週間後)
<S>
#1 トレーニングの話
 脚は、他の部員より強いことがわかった。スクワットは70kgが3回できた。レッグプレスは160kgができて、他の部員が驚いていた。これからは、腰の保護ベルトを使ってでももっと負荷を増やしていきたい。胸や腕は他の部員に遅れている。

#2 弟の話
 弟はこの頃、別のゲームに夢中になり、前に負けたことはもう忘れている。トラブルは少なくなり、穏やかに暮らしている。

<O>
 おびえた様子が完全に消えた。視線もきちんと定まり、顔色が非常に良くなった。よく笑う。

<A>
 今回も粘液のことは一度も話さなかった。ほとんどトレーニングの話。身体作りにますます意欲的になっている。学校は欠席も遅刻もまったくなくなった。担任教師が驚いていた。そろそろカウンセリングは終結か。

<P>
 胸と腕を鍛える方法を話題にするか。


【7回目】(前回の1週間後)
<S>
#1 トレーニングの話
<今日は何話そうか?>
 トレーニングのこと。胸が他の部員より遅れている。練習メニューを作ってあげよう。以下、トレーニングのレクチャー。
○「ルーの3原則」
1)筋肉は使えば発達する(能動性肥大)。
2)筋肉は使わなければやせて細くなる(非能動性萎縮)。
3)筋肉は過度に使えばやせて障害を起こす(過能動性萎縮)。
○トレーニングの3つの柱
1)練習
2)休息
3)栄養
○トレーニングと負荷の関係
 筋肥大には高重量・低回数がよく、パワーアップにはスピードを上げられる程度に重量を下げ、反復回数を増やす。持久性向上には低重量・高回数。

<次の日まで疲れは残らない?>
 (嬉しそうに)残ります。むしろ痛みが。
<それはトレーニング仲間では素敵なことですよ。no pain, no gainです。マニアになると、翌日痛くないと不満なんです。お腹は空きますか?>
 とても。家に帰ったら直ぐにラーメンやチーズを食べます。母に買っておいてもらいます。

#2 母親とのコミュニケーション
<お母さんにスポーツ向きの献立をしてもらいたい?>
(暗い表情になる)
<いい方法があるけどやってみる?>
 はい。
<簡単。「ただいまー。腹減った」とお母さんに聞こえるように大きな声で言う。食後に、「おいしかったー」と言う。できそう?>
 直接言うんでなかったらできそう。
<直接要求を言いにくい?>
 はい。
<お母さん思いかな?>
 うーん……。
#3 終結へ向けて
<後、何しようか?>
 弟とは、この頃仲良くやれている。粘液は最近寒くなってきて、何か蒸発していくみたいな感じ。パンツにシミのようなものはまったく残らず、スーッと消えていく感じ。ただ、あとで少し冷たく感じるのがイヤと言えばイヤ。
<メンソレータムを塗ったような感じ?>
 ああ、そうです。だから、そんなにイヤでもない。
<粘液が、自分のプランを親にわかってもらうために役に立ったと思う?>
 (大笑い)
<じゃあ、完全に止めたりしないで、必要に応じていつでも使えるように、少し残しておかない?>
 (大笑い)(力強く)だいたい今は、自分のペースでやっていけそうです。
<それならいつでもカウンセリングは終わりにできます。来週はどうしますか?>
 もう1回お願いします。

<O>
 今も、母親に直接要求を言うのは困難らしい。今回は粘液の話をさらりと、ほとんどこだわりなく話した。

<A>
 CLに話題を決めてもらうと、カウンセリングが順調に進む。久しぶりに粘液の話が出たが、とても軽やかに語られ、すでにこれが主訴でなくなっていることを感じさせた。野田先生のSVCどおりに終結に向かえそうなので、先生の千里眼に驚く。

<P>
 いよいよ終結へ。


【8回目】(前回の8日後)
 予約は前日であったが、クライエントはそれを忘れていて授業が終わるやいなやジムへ直行していた。筆者とロッカールームで出会って、予約のことを話して大笑いとなった。

<S>
<話したいことが何か残っていますか?>
 いいえ、何もありません。一刻も早くトレーニングをしたいです。
<長い間、ご苦労様でした。>
 どうもありがとうございました。

<O>
 動きが飛ぶように敏捷になり、終始にこやかな表情が印象的だった。

<A>
 2か月前の暗いおびえた態度がすっかり消えて、まるで別人のようになったので、担任が驚いた。2回目のSVCに従って、ひたすら人間関係づくりに努めた。カウンセラーとしては、ほとんど何もしないで、ただ筋肉づくりのアドバイザーとしてかかわった。すると事態が一変した。粘液症状の意味が母親の圧力から脱して自力で歩むためのものであったことを理解するにつれて、症状は軽快し、8回目には全治していた。

<SVC>
 カウンセラーは最後は見捨てられるのが、良い終結。そっけなく終わるのがよい。「先生のおかげや、ありがとう」と言うのは、また来る可能性がある。カウンセリングは、クライエントにとっては人生の中では消したい記憶だから。(野田先生)


3,考  察
 筆者にとって、アドラー心理学にもとづく初めてのケースでした。何しろ1か月前にカウンセラー養成講座を終えたばかりの新人で、初めは手探りでやみくもに進めていました。
 カウンセリング初期の、人間関係づくりをすっ飛ばして、いきなり「ライフスタイル調査」にかかっていたところを、A氏から指摘され、次の回からはペースを落として、こちらから話題を設定するのをやめてみました。すると、毎回クライエントが話題を選んで生き生きと語ってくれるようになりました。「症状に注目してはいけない」を肝に銘じて、クライエントが興味を持っているゲームや体づくりの話を興味深く聞いていると、最初深刻だった症状の訴えが次第に減少し変化してきました。トレーニングでパワーがつくにつれて、ほとんど症状の話題は出なくなり、弟との激しい競合が緩和していきました。
 4回目はサイコセラピーになっているという指摘を受けましたが、この時点の自分の力量では、それと気づいてもいませんでした。野田先生もおっしゃったように、クライエントとの人間関係づくりが良好だったので、たまたま成功したものと思います。
 カウンセラーとして、クライエントの症状の訴えやネガティブな感情にふりまわされないようますます修業はしていくものの、真にクライエントが求めているものを、求めている援助を、自分の思い込みで見逃さないように敏感でありたいと願っています。
 さて、クライエントはその後、2年生3年生と無遅刻・無欠席で登校しました。他の部員の追随を許さない熱心なトレーニングの成果を上げ、卒業時には大人顔負けの立派な体格に成長していました。


4,謝  辞
 このケースのスーパービジョンは、初回と最終回は筆者が事例検討会に出席して受けましたが、中ほどの3,4回目は記録用紙を送り、筆者不在で助言はテープに収録したものを返送していただくという形になりました。
 野田俊作先生をはじめ、参加の皆様による暖かなコメントに大変勇気づけられました。また、POSシートも初めての使用で不備な点が多々あり、鎌田穣さん、高橋さと子さんから、懇切丁寧なご指導をいただきました。心からお礼申しあげます。


5,参考文献
○野田俊作監修(1986)、実践カウンセリング、ヒューマンギルド出版部
○氏原 寛・山中康裕 編(1991)、症例研究 寂しい女、人文書院
○国分康孝 編(1990)、カウンセリング辞典、誠信書房
○国分康孝(1981)、カウンセリング・マインド、誠信書房
○小山裕史(1991)、新トレーニング革命、講談社

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中国語講座5/3

第39課 様態補語
#「春節」の挨拶
 Chun1jie2 hao3!
春节好!
 あとに続けるなら、
 「健康でありますように!」Zhu4 ni3 shen1ti3 jian4kang1! 祝你身体健康!
「すべてがうまくいきますように!」Wan4shi4 ru2yi! 万事如意!

<キーフレーズ>
あなたの日本語は本当に上手です。
Nin2 Ri4yu3 shuo1de zhen1 bu2cuo4.
您日语说真不错。 「你」のあとの「说」が省かれている(後述)
@日语=日本語    yuのuは“ü”
@说=(動詞)話す
@的=(助詞) 後ろの形容詞(様態補語)を導く“つなぎ”
@不错=悪くない、良い

<文法>
・「動詞+“得”+様態補語(形容詞)」
 (“得”はいわば接着剤)
彼女は起きるのがとても早いです。
Ta1 qi3de hen3 zao3.
她起的很早。
 ↓
否定文:Ta1 qi3de bu4 zao3. 她起的不早。

・「(動詞+)目的語+動詞+“得”+様態補語」
あなたは歌を歌うのが本当にお上手です。
Ni3 chang4 ge1 chang4de zhen1 hao3.
你唱歌唱的真好。
@唱=歌う 歌=(目的語で名詞)

そのため、形容詞と結合するための動詞“唱”がさらに必要

 “你”のあとの“唱”は省略できる
你歌唱的真好。

彼は中国語を話すのがあまり上手ではありません。
Ta1 shuo1 Han4yu3 shuo1de bu2 tai4 hao3.
他说汉语说的不太好。
  ↓
 省略形は、
她汉语说得不太好。

<ショート会話> クロークにて
荷物を預けてもいいでしょうか?
Xing2li ke3yi3 ji4cun2 yi2xia4 ma?
行李可以寄存一下吗?
はい大丈夫です。いつお戻りですか?
Ke3yi3. Nin2 shen2me shi2hou fan3hui2?
可以。您什么时候返回?
午後3時ごろです。
Xia4wu3 san1 dian3 zuo3you4.
下午三点左右。
かしこまりました、お預かりします。
Hao3 de, jiao1gei3 wo3 ba.
好的,交给我吧。
ではそのようにお願いします。「よろしくお願いします」。
Na4 jiu4 bai4tuo1 le.
那就拜托了。よろしくお願いします。
ああ!あなたの日本語は本当に上手ですね。
A1! Nin2 Ri4yu3 shuo1de zhen1 bu2cuo4!
啊!您日语说的真不错!
聞いてわかりましたか?
Ni3 ting1dong3 le?
你听懂了?
わかりました。あなたの発音はとても良いです。
Ting1dong3 le. Nin2 de fa1yin1 hen3 hao3.
听懂了。您的发音很好。



第40課 “把”構文
<導入>
バレンタインデー=Qing2ren2 Jie2 情人节
@情人 =恋人
@ホットチョコレート=re4 qiao3ke4li4 热巧克力

<キーフレーズ>
荷物をここに置いてください。
Qing3 ba3 xing2li fang4zai4 zher4.
请把行李放在这儿。
@把=~を
@放=置く
@在=(補語)~に
#把構文
 「主語+把+目的語(特定のもの)+動詞+α(補語や助詞など)」
※“把”を使うことで「目的語」(特定のものに限る)を動詞の前に置くことができる。
私は財布を引き出しの中に入れました。
Wo3 ba3 qian2bao1 fang4zai4 chou1ti li le.
我把钱包放在抽屉里了。
荷物を私に渡してください。
Qing3 ba3 xing2li jiaol1gei3 wo3 ba.
请把行李交给我吧。
@给 =(補語)~に

<ショート会話>
皆さんここで少しお待ちください、私は手続きをしてきます。
Da4jia1 zai4 zher4 deng3 yi2xia4, wo3 qu4 ban4 shou3xu4.
大家在这儿等一下,我去办手续。
わかりました。お願いします。
Hao3. Bai4tuo1 le.
好。拜托了。
航空券とパスポートを私にお渡しください(お預かりします)。
Qing3 ba3 ji1piao4 he2 hu4zhao4 jiao1gei3 wo3.
请把机票和护照交给我。
はい。これは私たち2人のものです。
Gei3 ni3. Zhe4 shi4 wo3men lia3 de.
给你。这是我们俩的。
荷物をこちらに置いてください。
Qing3 ba3 xing2li fang4zai4 zher4.
请把行李放在儿。
わかりました。これらはすべて私の荷物です。
Ei4. Zhei4xie1 dou1 shi4 wo3 de xing2li.
欸。这些都是我的行李。
全部でいくつですか?
Yi2gong4 ji3 ge?
一共几个?
4個です。
Yi2gong4 si4 ge.
一共四个。

<発音> fとh
f :上の歯を下の唇に乗せて摩擦させながら発音する。
h:上の歯と下の唇また上下の唇を接触させないように発音する。
@feng1fu4 丰富 豊富だ
@fan3fu4 反复 反復する
@huan1hu1 欢呼 歓呼する
@hui1huang2 辉煌 輝かしい
@fan3hui2 返回 引き返す
@feng4huang2 凤凰 鳳凰
@he2 feng1 xi4 yu3 和风细雨 そよ風と霧雨
@fan3 lao3 huan2 tong2 反老还童 若返る

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筋肉カウンセリング

“筋肉カウンセリング”と呼ばれたケース

1,はじめに
 筆者が初めてアドラーギルドでスーパービジョンを受けたケースです。
 クライエントは高校1年、授業を担当しているクラスの男子生徒です。教室の後ろの隅の薄暗い席に、いつもボーッと座っていて、土色の顔をしていました。授業中しばしばトイレに行きました。欠席・遅刻が多く、1学期末が近づいて出席時間数が気になり、クラスメートにたずねると、彼は工業高校でなく普通科の進学校に行きたかったそうで、この学校が嫌なのではないかと話してくれました。
 2学期になってまもなく、担任から、母親を呼んでいるので会ってほしいと依頼されました。母親の話によれば、父親が警察官で何かにつけ口うるさく、箸の上げ下ろしにまで注文をつけるとのこと。そのため子どもが神経質になってしまったそうです。
 翌日から、生徒本人のカウンセリングを始めました。

2,カウンセリングの経過
 ケースはPOSシートの形式で報告します。守秘義務の関係で、名前はすべて仮名とし、またケースの特徴を損なわない範囲で内容を大幅に改変してあります。

◆クライエント名:高松仁志(仮名 16歳)
◆同居家族
 父親(43歳)、母親(40歳)、クライエント(以下CL 16歳)、妹(-2歳)、弟(-4歳)

【1回目】
>> 状態記述 <<
記述診断:□健常 ■神経症的 □精神病 □身体病 □非行 その他
対人問題:■親子関係 □夫婦関係 □対人関係一般 その他
面接形態:■個人 □夫婦 □全家族 □集団 その他

<Subjective Ploblem>(以下<S>)
#1 主訴
 高校受験準備を始めた去年11月頃から、朝になると下痢してトイレに駆け込むようになった。息苦しくて部屋にうずくまることもたびたびあった。
 入学後も症状は続き、病院で消化器・循環器等あらゆる検査を受けたが、異常はなかった。その後、肛門から粘液が出て困ったので医者に診てもらったら、「しばらく苦しみなさい」と、意味のわからないことを言って何もしてくれなかった。
<それでどう思った?>(以下、カウンセラーの発言は<>で示す。)
 他のことはともかく、粘液はほんとに出ていて困るので、これだけでも何とかしてほしかった。
<これまでに似たようなことは?>
 中学の卒業式のとき、急に腹の調子が悪くなったけど我慢していた。式が終わって家に直行した。すると母が帰ってきて、「どーして勝手に早く帰ったりするの!」と言われた。
<で、どんな気がした?>
 咎められたように気がした。

#2 最近あったこと
 おととい欠席した。最近、吐き気もする。朝8時から9時の間が一番苦しい。粘液も出る。起きた途端に苦しくなってトイレに走った。朝食を食べに台所へ行くと、妹と弟はもう来ていた。少し遅れて父が「お早う」と言って入ってきた。みんな「お早う」と応えた。他には、父とは何も話さなかった。
 学校へ行こうとすると、また吐き気がしてトイレにしゃがんだ。落ち着いてから母に、「今日は休む」と言うと、「そう」とだけ言った。昼前にはかなり楽になり、夕方にはすっかり良くなった。

#3 症状があるために困ること
①計算ができない。
②人の話を聞けない。  
③ものを忘れる。
④トイレに通うのが煩わしい。

#4 治ったら一番に何をしたいか
①自転車で玩具屋や本屋に行きたい。
②プールで泳いだり、体を動かしたりしたい。そうしていると、肛門のことは忘れている。何もしないでいると、どうしても気にしてしまう。

<Objective Problem>(以下<O>)
 落ち着きがない。いつもおどおどしている。視点が定まらない。こちらが話しかけると、体がピクッと反応した。
 顔色が悪く、目のまわりに黒い隈ができている。声は小さい。服装はきちんとしている。

<Assessment>(以下<A>)
 病院の診断結果では異常がないので、今ある症状が対人関係の中で使われていることは間違いなかろう。 
 前日の母親との面接で得た情報によれば、母親はCLが症状を出してからは、他の2人の子どもを放置して、CLの症状除去のために奔走している。母親は、夫が口うるさいので子どもが神経質になっていると言ったが、相手役はどうやら母親のようである。

<Planning>(以下<P>)
 きょうだい競合を知りたいので、次回は「家族布置」を聴取する。

<Supervisor's Comments>(以下<SVC>)
・躓いているのはどのタスクか?仕事のタスクではないか。それなら、運動能力を高める方向でカウンセリングモデルで行なう。(A氏)
・交友タスクではないか。それなら、友だち作りのスキルを学んでもらう方向で、カウンセリングモデルで進める。(B氏)


【2回目】(前回の4日後)
#1 乳児期の病気
 春休みに病院の先生から、「赤ん坊のとき自家中毒だったので、それで神経質になっているのではないか」と言われた。先生、そんなことってあるんですか?
<君はどう思う?>
 そんなことはないと思います。
<それで何か困ったという記憶は?>
 まったくありません。
<なら、関係ないと思ってもいいのでは?>
 はい。
<何か、症状があるんで、助かっているというようなことは?>
(<A>これは愚問。時期早尚で見事に治療抵抗に遭った。)
 ・・・・・・・・(長い沈黙)・・・・・・・・
<ごめん。話したくないことは話さなくていいです。きょうだいのことなら話してもらえる?>

#2 誕生順位ときょうだいの特徴
 自分(16歳)、妹(-2)、弟(-4)。
<妹は、子どもの頃どんな人だった?>
 覚えていない。……よくしゃべる。父に叱られたら、言い返す。よくあんなに言えると思う。うらやましい。
<弟は?>
 よくしゃべる。よく言い返す。母に口先でうまいことを言っては何か買ってもらう。自分は、貯めた小遣いで買うのに。
<君は親をあまりあてにしないで、自分の力でやるほう?>
 (にっこり)はい。

#3 きょうだい競合
 成績、外見、話がうまい、しっかりしている、人の悪口を言う、反抗的などで、弟がトップ。
 運動能力、友だちが多い、明るい、積極的、努力家、きっちりしている、意志が強いなどで、妹がトップ。
 手先が器用、引っ込み思案、従順、まじめ、慎重、神経質、堅実などは、自分がトップ。
 小学校の体育の成績は、1妹~2弟~3自分の順。
<競争したのはどんなことで?>
①運動能力。
②ファミコンゲーム。
 旅をするとき、自分は、傷を癒す魔法使いを大勢連れて出る。弟は、魔法で相手そのものを攻撃しようとする。味方の安否は考えない。

#4 ウエイトトレーニング同好会の勧め
 体を鍛えたいという希望に応えて、筆者が顧問をする「ウエイトトレーニング同好会」への入会を勧めたら、快諾した。

<O>
 時間どおりに入室。目が澄んできて、前回ほど顔色も悪くない。授業のとき、教室で様子を見たら、ずいぶん存在がはっきりしてきた。

<A>
・クライエント自らが乳児期の病気の話をしたのは、原因探しをすることで、今の自分の責任を免れるためか。
・今回は、前半で強い抵抗に遭った。これは強烈な解釈投与をこの段階で行ったため。
・運動能力について語るときは、積極的になった。父親が警察官であることも考慮して、この家の家族価値として、運動能力が優れていることをあげてもよいと考えられる。
・競合相手は主に弟である。

<P>
 親子関係の様子を聞く。

<SVC> 
・性急に進みすぎである。もっと、ラポールづくりに努めること。(A氏)
・今の状態でクライエントを勇気づけできることを探すこと。例えば、学校へ来ていること、ウエイト同好会に入ったことなど。
 粘液対策を話題にする。生理用品、洗浄器などのPRもする。繊維の多い食事に改善することも。
 スクールカウンセラーの役割は、ケースワークをすること。つまり、カウンセラーが解決に乗り出すのではなく、すでに動いている社会資源につなぐこと。この場合は、ウエイト同好会への入会がそれにあたる。
 学校で、カウンセラー自らがカウンセリングをすることの害は、まず、クライエントとカウンセラーが校内で孤立して、被害者同盟ができる。さらに、カウンセラーは結局、学校側の代弁者とならざるをえないので、結果的にクライエントを圧迫することになりかねない。(野田先生)


【3回目】(前回の8日後)
<S>
#1 トレーニングプラン
 おとといジムへ行った。靴を忘れたので、40分ほどやって帰った。脚に意外なほどパワーがあることがわかった。明日からできれば毎日通いたい。
<毎日やれば、3か月もすると見違えるようになるよ。ただ、同じことを繰り返すよりも、きちんとプログラムを組んでローテーションしていくほうが、より効果的です。何かわからないことは?>
 大腿の裏側の筋肉が固くならない。どうしたらいいですか?
<レッグ・カールという種目があるので、明日ジムで直接教えてあげましょう。

#2 粘液対策
 夏に医者から、「肛門の粘液は出るのが当たり前で、出ないと大便が詰まってしまう」と言われた。自分の粘液は無色透明だから、パンツにシミなんか残らない。気になるときはティッシュを詰めている。一度、紙が硬すぎて肛門が切れたことがあった(笑い)。人によっては、ズボンが濡れるほど多く出るそうだが、自分のはせいぜいパンツまで。前は、授業中我慢できなくて、トイレへ行かせてもらっていたが、今は次の休憩まで待てるようになった。運動していると出ない。特に水泳をしているときはまったく出ない。
<今日は、体育祭の準備がこれからあるので、時間が少ししかないけど、何か話しておきたいことがあればどうぞ。>
 またファミコンの話ですが、弟や妹は兵隊8人全部使うが、自分は意のままに使いこなせる2人を有効に使う。攻め方も弟はメッタ打ちにするが、自分はまず守りを固めて、自分の体力をチラチラ見せて、敵をおびき出して、引っかかったとき叩く。以前は、弟に負けてバカにされた。その晩は、夜中にひとりで練習した。近頃勝てるようになった。自分が勝つと、弟は怒って出ていく。弟は、ものの言い方が父にそっくりで恐かった。子どもの頃は2人とも父そっくりの顔をしていた。今はかなり違う。いつ頃からか、何事でも優れているように思えたが、今はかなり追いついたように思う。
 プラモデルの作り方も違う。弟は、マニュアルどおりにしか作らず、仕上がりも雑。手に糊や塗料が付くと嫌がる。自分は、マニュアルも見るけど、いろいろ工夫して、他から部品を持ってきたりして、独創的なものを作ります。仕上がりも丁寧で、その代わり手はいつも塗料で汚れていました。本でも、一度読むとそれっきり。自分は、同じ本でも何度も読む。
<今日はたくさん話してくれてありがとう。さっきのゲームはなんて言うの?>
 ストリートファイターⅡです。

<O>
 ためらいながら話すことがなくなった。顔色がとても良い。催促しなくても自分からどんどん話してくれる。それも嬉しそうに。

<A>
 今日は体育祭の準備のため、開始が遅くなった。それでも約束どおり来室した。粘液の話をとてもフランクにするし、他の人に比べて自分のはさほど大したことはないので、何とか対処できている、と受け取れる。ゲームやプラモデルの話を生き生きと語った。ゲームやプラモデルの話から、クライエントと弟のライフスタイルの違いがよく読める。
 体育祭の出場予定がなかったのを、急遽、綱引きに加えてもらったそうで、ここにも好転のあとが見られる。こうした改善の方向にあることを、クライエントに伝えるのは勇気づけになるだろうか?
 ラポールと勇気づけに専念していると、クライエントのほうから熱心に語ってくれることがよくわかった。

<P>
 トレーニングプラン作りの援助をする。

<SVC>
 このケースは、カウンセリングで進んでいるのか、ケースワーキングで進んでいるのか、はっきりしない。
 クライエントの行為が改善の方向にあることを伝えるべきかどうかの疑問について。
 ひと言言って様子を見るのもよいが、疾病利得があるかどうか、クライエントの行為との兼ね合いで判断すること。うかつに「よくなりましたね」と告げると、症状悪化を訴えてくることがあるので要注意。(野田先生)

・・・・・つづく

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大人の基礎英語4/30

51 <「ここで一番の占い師は誰か」をたずねるには>
#キーフレーズ
Who is the best fortune-teller here ?

#練習
Who is the funniest person here ?
Who is the youngest person here ?
Who is the kindest person here ?

#データベース
This is the best place for fireworks. ここは花火には最高の場所。
When is the best season to eat oysters ? 牡蠣の旬はいつ?
Where is the best place in the world to live ? 住むのに世界で一番いいところはどこですか?
Kyoto is the best place in the world to live. 京都が一番です。
What is the best TV program to learn English ?



52 <「一度やってみたかった」と相手に伝えるには>
#キーフレーズ
I've always wanted to try it. 一度はやってみたかった。

#データベース
I've always wanted to try those sneakers.
ずっとあのスニーカーを履いてみたいと思っていた。
I've always wanted to learn how to make a cake.
ずっとケーキの作り方を習いたいと思っていた。

#応用
I've always wanted to work wirh Matsumoto Sensei on an English program.
I've always wanted to meet you.
I've always to wanted to study English.



53 <「ごちそうします」と伝えるには>
#キーフレーズ
It's on me. おごります。

#応用
(食事が終わりました)
Here is the bill. お勘定です。
Don't worry. It's on me.
※Itを具体的に言うこともできる。
Lunch is on me. ランチをおごります。
Let's split the bill. 割り勘にしましょう。
But don't worry. It's on me.

#データベース
The rest is on me. 残り(端数)は払います。
This time it's my treat, okay ? 今回は私のおごりです。

#フィナーレ
However, last time we came, it was my treat.
Do you want to split it ?
This time it's my treat. Next time it will be on you.



54 <中身が何かをたずねるには>
#キーフレーズ
What's inside ?
※まわりが覆ってあって中が見えないときはinside、中が見えるときはinがつく傾向がある。
(スープに入っているものをたずねるには)
What's in this soup ?

#応用
(トランクを見て)
What's inside this trunk ?

#データベース
What is in his hand ? 彼の(片方の)手の中には何があるんですか?
What's that outside ? 外にあるあれは何ですか?

What's under the desk ? 机の下に何がありますか?
What's behind the wall ? 壁の裏側に何がありますか?
What's behind the sofa ? ソファの後ろに何がありますか?



55 <「今までで一番おいしい飲茶だった」と伝えるには>
#キーフレーズ
That was the best yum cha I've ever had.
(人生最高の飲茶だった)

#応用
Last year I went to a sushi restaurant in Nakameguro.
That was the best sushi I've ever had.

#データベース
It is one of the best videos I have ever seen.
今まで見てきた中で最高のビデオのひとつです。
It's the worst baseball weather. 野球には最悪の天気だ。

#フィナーレ
You are the prettiest lady I've ever met.
You are the most handsome guy I've ever met.
You are the best teacher I've ever met.

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勇気づけの威力(野田俊作)

勇気づけの威力(野田俊作)
・・・シミュレーション夫婦カウンセリング


 92年9/11の事例検討会。
 夫婦カウンセリングのシミュレーションをしました。夫役は岡山の大森浩さん、妻役は宮野栄ちゃん、カウンセラー役はシガリちゃん(田中貴子さん)です。私(野田)はカウンセラーの背後霊になって入れ知恵をしています。


C01:どちらからでもいいんですけれど、何かご夫婦でお話し合いしたいことを言っていただけますか?
妻02:夫婦で話し合いたいってんじゃないんですけどね、この人ね、マザコンなんです。それでね、自分の母親ばっかりベッタリでね、こんなことで夫婦やっていけるのかな、って思って。
夫03:そんな話だったら、私は帰る。

 最初から荒れ模様。そこで、最初のカウンセラーの発言を工夫します。

C01:今日はよりよい夫婦関係を築いてゆこうということでお見えになったんですね。でも、お2人でおいでになるって、とても勇気のいることだったと思います。どうもありがとうございます。あるいは少しハードなお話しになるかもしれないんですが、できるだけ建設的になるように私も協力してゆきたいと思いますので、お2人も冷静ないい話し合いになるようにご協力ください。で、どんなお話しでしょうか?
妻02:(夫に)いいですか、私から言っても?
夫03:私に聞くなんて、なんか、家と全然違うじゃないか。

 夫婦カウンセリングというのがどういうものかを、カウンセラーが定義してあげないと、クライエントは「不満を言い合う場」だと思い込んでしまいます。夫婦カウンセリングとは、「より良い夫婦コミュニケーションを考えるための、冷静で建設的な、研究と実験の場」なのです。最初にそう定義しておけば、そうなります。これは夫婦カウンセリングに限らず、どのようなカウンセリングの場合でも必要な手続きです。こうしないと、カウンセリングを「グチを聞いてもらうこと」だと誤解してしまう人が多いのです。

C04:ご主人は、奥さんにこんなふうにふるまっていただくと嬉しいということなんでしょうか?
夫05:なんか新婚時代みたいですね。
C06:ということは、こういう芽を伸ばしてゆけば、お2人はまた新婚当時のような関係になってゆけるということですね。
妻07:そうなれたらと思って来たんです。
夫08:僕はもう駄目かと思っていて、ここで白黒決着つけてスパッと別れられるかと思って来たんです。
C09:今の奥さんを見て、気が変わられましたか?
夫10:まあ…。

 ここでは、カウンセラーは、夫婦の建設的な芽を見つけて勇気づけています。そうして、これからの話し合いの方向性をより強く定義しようとしているわけです。しかし、最後のC09がちょっと消極的で、夫があまり乗り気にならなかったので、やり直し。

C09:でも気が変わられて、ご主人は仲良くしていく方向で最大限の努力をしてゆく気になられたわけですね。
夫10:まあ、そういうことです。
C11:もちろん、奥さんは、最初から仲良くすることが目標で、そのためにはお互いにどういう努力をすればいいかを考えるためにおいでになったわけですね。
妻12:はい。
C13:これはとてもいいカウンセリングになりそうですね。

 ここから本題に入ります。

C14:さて、お1人づつ、現在最も大きな問題だと考えておられることを教えていただきたいんですが。
妻15:不満は1つだけなんですけどね、自分のお母さんよりも私のことをもう少し考えてくれたらなと思うんです。
C16::奥さんはご主人からもっと愛されたいなと思ってらっしゃるわけですか?
妻17::気持ちでは愛してくれているとわかるんですけれど、もっと行動で表してくれるといいなということです。
C18:ご主人が愛してくださっていることはよくわかるのですね。

 カウンセラーは故意に、提示された問題の中から、ポジティヴな部分だけを繰り返しています。これは、妻への勇気づけよりも、むしろ夫への勇気づけのためです。

C19:では、ご主人のほうが問題だと思っておられることをお聞きしたいのですが。
夫20:今のままでかまいませんがね。むしろ騒がれると、イヤになるんですよね。母親がいることは結婚する時からわかっているんですし。
C21:ということは、奥さんがもっと穏やかに話し合ってくださると嬉しいということでしょうか?
夫22:僕にということもありますが、むしろ母親にもっと穏やかに接してくれるといいんですが。
C23:奥さんのご主人への接し方には満足しておられるということですね。

 ここでも同じことをしています。最初にポジティヴな芽をたくさん発見しておかないと、カウンセリングがヘビーになってしまいます。

 次に、アドラー心理学のカウンセリングの原則に従って、具体的なエピソードを聞きます。

C24:さて、ここ1~2週間で、「これはイヤだ」とか「やめてほしい」とか思われた具体的な出来事があれば、教えていただけますか?
妻25:この前、2人でいっしょに7時半にご飯を食べようねと言っていたのに、この人はお母さんの所へいって話し込んでしまって、時間になっても帰ってこないんです。結局私は1人でご飯を食べなければならなかったんですね。
夫26:なんだ、そんなことを気にしていたのか。
妻27:あなたにとってはどうでもいいことでしょうね。

 このままでは喧嘩になりそうです。そこで、カウンセラーの介入のデザインを考えます。

C28:(夫に)すみませんが、今奥さんがおっしゃったことを、まとめていただけますか?
夫29:どのことを言っているかはわかっていますが、でも、あんなことがこういう場にまで来て言う不満だとは思っていませんでした。
C30:奥さんとの感じ方の違いが1つわかってよかったですね。申し訳ありませんが、奥さんのおっしゃったことをまとめてみていただけますか?なんだったら、奥さんにもう一度説明していただきましょうか?
夫31:いえ、言っていることはわかります。僕といっしょにご飯を食べたいと思っていたのに、僕が母親の所へ行ってしまったので食べられなかったということです。
C32:奥さんがご主人といっしょにご飯を食べたいと願っておられることを、ちゃんと感じとっておられたんですね。
夫33:それはわかっていました。
C34:奥さん、これは嬉しいですね。
妻35:わかってくれているだけではねえ、伝わりませんからねえ。
C36:わかってないほうがいいですか?
妻37:いや、それはわかってくれているほうがいいですが。

 「相手の言ったことを復唱してもらう」とか「相手が言ったことのより深い意味を当ててもらう」とかいうゲーム(“Are you saying?”)は、夫婦や親子のコミュニケーション・トレーニングの初期に使うとよいゲームです。

 それと、C34は、故意に妻の感情をカウンセラーが作っています。妻は別に「嬉しい」などとは思っていないかもしれないのですが、カウンセラーが「これは嬉しいことだ」と定義すれば、多少ともそうなります。放っておくと憎しみしかないのですから、ポジティヴな感情を少しずつでもこしらえてゆかなければなりません。

C38:では、次はご主人のほうから、奥さんに「イヤなこと」や「やめてほしいこと」があれば。
夫39:私が食事の味に文句を言うのがいけないかもしれないんですが、「どうせ私はお母さんのようにはできません」と言うんです。そんなこと思ってもいないので、そう言われるとカチンとくるんです。
C40:(妻に)今のお話をまとめていただけますか?
妻41:言いたくありません。

 機械的にゲームをさせて、こういう話をいきなり相手にふると、このように抵抗に遭います。そこで、妻を支えるために、次のように工夫しました。

C40:(妻に)そんな気はないのについ言ってしまわれたんですね、きっと。
妻41:そうそう、そうなんです。
C42:それはそれとして、ご主人が言われたことをまとめていただけますか?
妻43:この人が「ご飯の味がまずい」って言った時、私が「お母さんのようにはできませんからね」と言うのが、この人はイヤだ、ってことですね。
C44:(夫に)それでいいですか?
夫45:そのとおりです。
C46:こうして冷静にお話し合いさえすれば、本当によくわかり合えるご夫婦なんですね。

 これはシミュレーションですが、実際の夫婦カウンセリングもおおむねこんな調子です。短期間で目に見えて効果が出るので、夫婦カウンセリングは大好きです。いろいろの技法があるのですが、今回は、導入部での勇気づけの役割の話だけにして、あとはまた機会があれば。

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