MENU
44,039

老子でジャーナル

老子第26章
 重きは軽きの根(こん)たり、静かなるは躁(さわ)がしきの君たり。ここを以って君子は、終日行きて輜重(しちょう)を離れず。栄観(えいかん)有りと雖も、燕処(えんしょ)して超然たり。いかんぞ万乗の主にして、身を以って天下より軽しとせんや。軽ければ則ち本(もと)を失い、躁がしければ則ち君を失う。

 重いものは軽いものの根っことなり、静かなるものは騒がしいものの君(あるじ)となる。だからこそ無為の聖人は、終日行軍しても輜重車(しちょうしゃ:荷馬車?)を手離さず、美しい眺めがあっても超然として居室にくつろぐ。どうして(一万台の戦車を持つ)帝王たる者が、天下に対してわが身を軽々しくふるまおうぞ。軽々しくふるまえば根本であるわが身が身を失い、騒がしければ支配者としての地位を失う。

※浩→「重きは軽きの根(こん)たり、静かなるは躁(さわ)がしきの君たり」。思いものが軽いものの根底・根本となり、じっと制止しているものが、軽々しく動くものを支配者となる。軽挙妄動するものは、どっしりと慎重に構える者に最後は抑えられ、せかせかと動き回る者は、じっくりと落ち着いている者に結局は支配されるということです。「躁」は落ち着きのないこと、動き回ること。「輜重」は行軍に限らず旅行の必要物を載せた荷馬車だとも言われます。王者や貴族は軽い馬車に乗りますが、食糧などを載せた荷馬車があとにつきます。「永観」の「観」は“眺められる対象”、観る者の心を奪うような美しく壮大な物や人。建築物に限らない。「万乗」は一万台の戦車。
 老子は尖鋭なるものよりも鈍重なるものを、激しく動くものよりも静かに安定したものを重視します。ここでも軽きもの・騒がしきものを避けて、重きもの・静かなるものを守る、重心を下に落とした無為の聖人の安らかな処世を説いています。孔子も「君子は重からざれば則ち威あらず」と言っていました。
 「得意淡然・失意泰然」という諺を、私は大学時代所属していたボート部の監督・高島勇先生からお聞きしたことがあります。当時、岡山大学ボート部は“万年2位”という悪評?があったようで、春(初夏?)の朝日レガッタにも夏の中国大会や龍谷大学や金沢大学との定期戦にも、秋の関西選手権にもなかなか優勝できませんでした。予選で敗北、敗者復活戦で準決勝に進み、そこで負けるというパターンでした。監督の高島先生は、こういうときいつも「得意淡然・失意泰然」とおっしゃいました。あとのほうを強調されたんですね。このフレーズの出所を調べてみると、明末の儒者、崔後渠(さいこうきょ)の六然(りくぜん)、自處超然、處人藹然、有事斬然、無事澄然、得意澹然、失意泰然のうちの2つで、得意の時でも驕り高ぶることなく、失意の時でも悠然と構えて取り乱さないことが大切であるという意味の格言でした。野田先生は、「厳しく反省・惨めな明日」とおっしゃって、「反省」のほんとの意味を教えてくださいました。感情的に落ち込んではいけない。「どうすれば成功したか」を考えるのが本当の反省だと。日本は歴史的に「動」より「静」を好んできたようです。「多動」の子どもが学校で適応しにくいのもこういう文化のためかもしれません。ある学校で、授業中に動き回って、教師がいくら注意してもやまないので、「ずっと動いていなさい。でも勉強はしなさい」と言ったところ、その子は「動きながらお勉強したそうです。このほうが頭に入る」と。これはナイスアイディアです。そういえば、最近の歌はどれもハイテンポで、歌詞はほとんど聴き取れません。でも若い人たちはそんな歌をすぐに覚えて、カラオケで歌っているようです。昭和前半生まれにはついていけません。ゆったりした演歌は若い人たちにはまったく人気がありません。紅白歌合戦にも演歌を歌う歌手の出場は少なくなりました。まあ、最近はまったく見ないから問題ありませんが、もはや演歌は“伝統文化”になるなんでしょうか。

引用して返信編集・削除(未編集)

大人の基礎英語4/5

31 <乾杯しようと提案するときには?>
#キーワード
乾杯しましょう。
Let's have a toast.
※注意:「トースト(パン)を食べましょう」は、Let's have some toast.

#関連:「~のために」(付属の言葉)
To 誰々. May you have everlasting happiness. 永遠のしあわせのために!
And to you, 誰々 ! I am so happy I met you !
#定番は、Let's have a toast. To our health.(どんな状況でも使える)

#データベース:乾杯に関する表現
I'd like to make a toast. 乾杯をしたいと思います。
I wish you everlasting love and happiness. 末永い愛と幸せを祈ります。

#練習
親友の結婚式
I'd like to make a toast to the newlywed couple. 新婚カップルに乾杯したいと思います。



32 <「ご一緒にいかがですか」と誘うには?>
#キーフレーズ
ご一緒にいかがですか?
Would you like to join us ?

#関連
あとに名詞が続くと「~はいかがですか?」
Would you like some coffee ?

#応用
私の家に来ない?
Would you like to come to my home ?

#データベース
Would you like some more potatoes ?
もっとポテトはいかが?
What would you like to do on New Year's Eve this year ?
今年の大晦日には何をしたいのかな?
I reserved a table at a nice, cozy restaurant for us !
落ち着けるすてきなレストランを予約しました。



33 <彼女がどこにいるか知りませんか?>
#キーフレーズ
Do you know where she is ?

#応用
Do you know where the rest room is ?
Do you know where the ATM is ?
Do you know where I can catch a taxi ?

#データベース
Do you know why they died out ?
なぜ彼らが絶滅したか知ってる?
Do you know who wrote Snow Country ?
誰が「雪国」を書いたか知ってる?

#練習
Do you know where the library is ?
Do you know where the new supermarket is ?  The library is just behind it.
Do you know where the new supermarket is ?  It's in front of the library.



34 <何かの間違いです>
#キーフレーズ
There must be some kind of mistake.

#練習
Is that some kind of food ? 何かの食べ物?
Do you have some kind of throat candy ? 何かのど飴ない?

#データベース
There must be a lot of snow.
雪がたくさん積もっているはずだ。
There must be a wonderful secret in his box.
彼の箱にはきっとすばらしい秘密があるはずだ。
Do you know rock-scissors-paper ?
ジャンケン知ってる?



35 <ここで彼女の鍵を受け取るはずだったんですが>
#キーフレーズ
I was supposed to pick up her key here.
@ be supposed to = (自分の意志と関係なく)~することになっている
迷惑をおかけしてすみません。
I'm so sorry for the incovenience.

#関連
 pick upは、もの以外にも車で「人を拾う」にも使う
I was supposed to pick up 誰々 here.

#データベース
We were not expect to win it.
私たちが試合に勝つとは思われていなかった。
I was going to make grilled lobster.
ロブスターを網焼きにしようと思っていた。

#応用
I was supposed to call you this morning, but I forgot.
I was supposed to buy you some cakes, I forgot.

引用して返信編集・削除(未編集)

老子でジャーナル

老子第25章
 物有り混成し、天地に先んじて生ず。寂(せき)たり寥(りょう)たり、独立して改めず、周行して殆(つか)れず。以って天下の母と為すべきも、吾れその名を知らず、これに字(あざな)して道と曰い、強いてこれが名を為して大と曰う。大なれば曰(ここ)に逝き、逝けば曰に遠く、遠ければ曰に反(かえ)る。故に道は大、天は大、地は大、王もまた大、域中に四大ありて、王その一に居る。人は地に法(のっと)り、地は天に法り、天は道に法り、道は自然に法る。

 形はないが、完全な何ものかがあって、天地より先に生まれた。それはひっそりとして声なく、ぼんやりとして形もなく、何ものにも依存せず、何ものにも変えられず、万象にあまねく現れて息(や)むときがない。それは、この世界を生み出す大いなる母とも言えようが、私には彼女の名前さえわからない。仮に呼び名を道としておこう。無理に名をつければ大とでも呼ぼうか。この大なるものは大なるがゆえに流れ動き、流れ動けば遠く遙かなる広がりを持ち、遠く遙かなる広がりを持てば、また、もとの根源に立ち返る。かくて道は大なるものと呼ばれるが、大なるものと言えば、天も大であり、地も大であり、帝王もまた大である。つまり、この世界には四つの大なるものが存在するが、帝王がその中の一つを占めているのだ。その帝王は人類の支配者として大地のあり方に法(のっと)ってゆき、大地はさらに天のあり方に法ってゆき、天はさらに道のあり方に法ってゆく。そして、道の根本的なあり方は自然ということであるから、道はただ、自然に法って自在自若である。

※浩→ここも、老子の根本概念“道”につて原理的に説明しています。私は在職中、「倫理」や「現代社会」の授業で、暗誦文にしていた一つです。生徒は、ほとんど意味を解せず、ただ記号を覚えるように必死に暗誦してくれました。のちに野田先生から、まるごと覚え込む(暗誦)の大切さを教わって、暗誦をやっていてよかったと思いました。
 福永光司先生の解説によれば、『老子』には即物的な叙述もしくは具象的な比喩が多く、「玄牝(げんぴん)の門」だの「牝牡(ひんぼ)の合」など、きわめて素朴な表現が目立ちます。『荘子』のような「理」「性」などの哲学的概念は見えていないが、「道」に関してはかなり高度な形而上的試作と理論的反省を示している、と。
 小川環樹先生は、「王」に注目されました。「道」がすべてを覆い尽くし、あらゆるものに行きわたっている点で、王者の旅行に比べられる、と。同時に、精神的な旅行、幻想的な旅行の意味も持つ。『楚辞』の中の屈原の「離騒」は、地上だけでなく天界を周遊することが話題になっている。「遠」の字も注目すべきでって、『楚辞』の「遠遊」はほとんど道家の神秘主義の讃歌で、神秘の世界への旅行を主としている。そういえば、老子その人が函谷関を出て西方へ旅して行ってしまったとされています。「王」にはまた現実的な王者のイメージもある。老子の思想は個人主義で、隠遁者の哲学であると考えられがちですが、同時に政治哲学でもあります。王がもし大だとすれば、その偉大さは「自然」に法ることによって獲得されるのです。「無為の政治」は後篇に出てきます。
 もう少し福永先生の解説にしたがって読み進めます。老子が「遠ければ曰(ここ)も¥に反(かえ)る」と言う発想の基盤には、郷里もしくは家を忠臣とする古代人の行動様式が考えられる。郷里もしくは家を出て遠くに出かける人間は、いつかは必ずわが家(郷里)に帰るということを前提にしていて、その行動範囲がどれほど大きくても、いや、大きくなればなるほど帰るということが切実な関心事となる。老子も万物の根源としての「道」をいつかは帰るべきわが家(郷里)として考えます。万物は人間をも含めて道のはたらきによって生成展開されたものであり、道との隔たりははるけくも遠いのであるが、いずれは道に復帰すべき存在であり、これを道の立場から考えれば、道は往いてはるけくも遠い森羅万象の中に顕現しているが、その「往く」は同時に返ることを含んでいる。「往く」ことが「返る」ことでありうるのは、道が万物の根源であり、根源でありながら万障に顕れて広大無辺、すなわち「遠く往く」からであった。「逝けば曰に遠く、遠ければ曰に返る」というのは、道が万象に己れを顕して、やがてまた己れに帰っていく無限循環を、逝→遠→反の運動として論理化したものであり、「逝」「反」の無限循環の媒介項をなるものは「道」すなわち万象の存在でした。
 大外れかもしれませんが、ヘーゲルを思い出しました。「理性的なものは現実的であり、現実的なものは理性的である」。世界史は、絶対精神が弁証法的に具現・発展したものだとも。偉大な哲学者ですから、古代中国の思想からヒントを得た可能性もなきにしもあらずではないかと妄想しています。

引用して返信編集・削除(未編集)

ハングル講座4/3

第38課 原因や理由、並列の表現
<原因や理由の表現>
#キーフレーズ
「私は知らないことが多いのでもっと頑張らなければなりません」
チョヌン モルヌン ゲ マヌニッカ ト ヨrシミヘヤドェヨ
저는 모르는 게 많으니까 더 열심히 해야돼요.
#公式「~(だ)から」「~(な)ので」(原因や理由の表現)
・語幹 + 니까/으니까(パッチム型)
・パッチムㄹは取って + 니까
@多い=많다 →多いので=많으니까
「このりんごはとてもおいしいので召しあがってください」
이 사과 아주 맛있으니까 드세여.

<並列で文をつなげる表現>
#キーフレーズ
「青菜を入れて塩を入れてふたは開けておきます」
ナムルr ノッコ ソグムr ノッコ ットゥコウン ニョロヨ
나물을 넣고 소금을 넣고 뚜껑은 열어요.
#公式「~(し)て」「~くて」「~で」(並列の表現)
・語幹 + 고 (直結型)
@入れる=넣다 → 入れて=넣고

「このりんごは甘くておいしいです」
이 사과는 달고 맛있어요.
「りんごもあってみかんもあります」
사과도 있고 귤도 았어요.
「たくさん食べたからお腹いっぱいです」
많이 먹었으니까 배불러요.
「カルビも食べたしビールも飲みました」
갈비도 먹었고 맥주도 마셨어요.
「今日もたくさん勉強したので疲れています」
오늘도 많이 공부했으니까 피곤해요.

<ワンポイント> 曜日は漢字語
@日曜日=일요일
(日=일 月=월 火=화 水=수 木=목 金=금 土=토)+ 曜日=요일
月曜日=월요일 火曜日=화요일 水曜日=수요일
木曜日=목요일 金曜日=금요일 土曜日=토요일

<エクササイズ>
1,時間がないのでタクシーに乗りましょう。
シガニ オpスニッカ テクシルr タ’プシダ
시가이 없으니까 택시를 탑시다.
2,お弁当を作るから持って行ってください。
トシラグr マンドゥニッカ カジョガセヨ
도시락을 만드나까 가져가세요.
3,風が吹いて雨も降っています。
パラミ プrゴ ピド ワヨ
바람이 불고 비도 와요.

<ひとこと>
「うける!」「おかしい!」 웃긴다!    ウッキンダ!
「笑わせないで」と親しい間柄や年下の人に言うときは 웃기지나.  ウッキジマ

<発音> パッチムㅇははっきり
 양념 [ヤンニョm] (合わせ調味料)
 前の文字のパッチムがㅇの場合、後ろの文字の子音に影響されて発音がおろそかになりがち。ㅇの発音がおろそかにならないように意識を集中して、すぐにㄴやㅁの発音をする。
 ㅇの発音は舌先を上あごに付けないこと。唇を閉じないこと。
정말 [チョンマr]

<フィナーレ>
「韓国に行きたいのでハングルの勉強を一生懸命します」
ハングゲ カゴ シップニッカ ハングル コンブ ヨルシミ ハr コエヨ
한국에 가고 싶으니까 한글 공부 열심히 할 거예요.
「いいですね!ところで韓国では何をしますか?」
チョッケンネヨ! クロンデ ハングゲソ ムオ ハr コエヨ?
좋겠네요! 그런데 한국에서 뭐 할 거예요?
「映画を見てサムゲタンを食べて服を買います」
ヨンファルr ポゴ サムゲタ’ンウr モッコ オスr サr コエヨ
영화를 보고 삼계탕을 먹고 옷을 살 거예요.
「本当にいいですね!」
チョンマr チョッケンネヨ!
정말 좋겠네요!
「ハングルの勉強頑張ってください」
ハングル コンブ ヨルシミ ハセヨ
한글 공부 열심히 하세요.
「はい」
네.

引用して返信編集・削除(未編集)

老子でジャーナル

老子第24章
 跂(つまだ)つ者は立たず、跨(また)ぐ者は行かず。自ら見(あら)わす者は明らかならず、自ら是(ぜ)とする者は彰(あら)われず。自ら伐(ほこ)る者は功なく、自ら矜(ほこ)る者は長(ひさ)しからず。その道に在(お)けるや、余食贅行(よしぜいこう)と曰う。物或(つね)に之を悪(にく)む、故に有道者は処(お)らず。

 背伸びをしようと爪先立ちをしている者は長く立っていられない。早く歩こうと大股で歩く者は長く歩いていられない。自分が目立とうとする者は誰からも注目されないし、自分の意見を押し付けるような者は人から認められない。自分の功績を自慢するような者は人から称えられないし、このような者は長続きしない。こういう人間の行為を「道」の観点から言うと「余計な食べ物、余計な振る舞い」と言うのである。誰もがお腹一杯食べたあとにさらに食べたいと思わないように、「道」を知った人間はそんなことはしないものだ。

※浩→老子の無為とは、人為人知のさかしらを捨てて、あるがままに振る舞うことであり、あるがままに振る舞って無理をしないことである。おのれの本来のあり方がいかなるものであるかということに透徹した自覚を持って、そのあり方に余計なものをくっつけないこと、捨て得る限りのものを切り捨ててゆくことである。それは物質的な財貨を余計に持たぬことを意味するとともに、おのれの心の中に自己を衒(てら)う気持ち、思い上がりや気負いなど一切の虚栄と虚飾を切り捨ててゆくことを意味する。名声や功業そのものは必ずしも否定されないが、名声もおのずからにして彰れる無作為のそれであってこそ肯定され、功業もそれをおのれの功業として意識する限り、もはや功業としての価値を失うとされるのである。大切なことは、それらがあるがままのもの、おのずからにして成ったものであるということであり、無理に努めた人為のさかしらであれば、それを道の『餘食贅行』(よしょくぜいこう)― 捨てらるべき残飯・なくもがなの振る舞い ― と見るのである。このようにあるがままに任せて無理をしない生き方、無理をしないから息切れのしない無作為の人生態度を説いています。福永光司先生の解説は人気が高いようで、ネットにもちゃんと載っています。
 アドラーは『人間知の心理学』の中で、“虚栄心”について書いています。それに対する野田先生の解説がまた素晴らしく、私もかつて講座で使わせていただいたことがあります。倉敷と津山でも実施しようと機会を待っていましたが実現しませんでした。次の講座で是非実施しましょう。こんなふうに始まります。↓
 アドラーの『人間知の心理学』という本は、それまで専門家向けの論文しか書かなかったアドラーが、一般向けに書いた最初の本です。1927年のことです。もう1つ日本語にも翻訳されている本に『人生の意味の心理学』というのがありますが、あれはアドラー晩年の思想と言ってよく、今日読む『人間知の心理学』は中年の思想です。だから、少しいろんなことに対してのアクセントの置き方が違うはずです。
 ただし、両方ともアドラーが自分で書き下ろした本ではなくて、アドラーが講演した速記録を起こした本です。ですから、必ずしも丁寧に議論が展開されているとは言えなくて、やや粗雑で荒っぽいです。翻訳もとてもわかりにくい。原文のドイツ語も決して名文ではありません。むしろ悪文の見本みたいなドイツ語です。
 1つ1つの文章構成も悪いんですが、1つの文章から次の文章へ行く論理の展開が、ものすごく悪い。読むのにかなり難儀します。でも、読むのに難儀する本は悪い本かというと、そうでもない。読み手の側に覚悟さえあれば、いい本です。
 例えば昔の人は、『論語』を読みましたし、西洋人なら聖書を読みましたが、論語も聖書も決して読んで読みやすい本ではないです。でも、それを読みながら考えるんです。途中の、論理の飛躍がある所を自分で考えていく中で、書いてあることが自分のものになっていくんです。ただ知識やノウハウだけを集めようとする人にとっては、とても悪い本です。でも、知識を集めるのではなくて、自分の中に知恵を作り出そうとする人にとっては、とてもいい本です。
 アドラーを読むときは、いつもそういうふうな態度で読むころです。ここからノウハウを集めて、すぐ日常で使おうなどと考えて読むと、すぐ退屈して読めなくなります。家でアドラーを読む時にはぜひそういうふうに読んでください。
 今回は第10章、攻撃的な性質の性格特徴の第1部、虚栄心(名誉欲)を読みます。
<他人の評価が気になる病気>
 虚栄心というのはどういうものかというと、他人にどう評価されるかというのが1つのファクターです。それから、他人と比べて自分が優れているかどうかというのがもう1つのファクターです。そのことをアドラーは書いています。
>評価を求める努力が高まるや否や、精神生活の中では緊張が高まるようになり、
 評価を求めるような努力ということについては、『クラスはよみがえる』に書いてあります。ほめられたい・賞賛されたいという欲求で動くのは、それはすでに不適切な目標設定です。普通、アメリカのアドラー心理学の本を読んでいると、子どもの不適切な行動の第1番目は、注目関心を引くことだと書いてあります。その、注目関心を引くにのは、よい形で注目関心を引くのと悪い形で注目関心を引くのとがあると書いてありますが、これは区別しておいたほうが便利なので、よいことをして注目関心を引くことを、賞賛を求めるという形にして区別しました。
 これはすでにもう、注目関心を引くという点で病的な行動です。自分の中に、「あるよいことをして他人に認められたい」という心があって、それで動いているとすれば、アドラー心理学の立場からはすでに病気です。
 自分がやった仕事について、それを他人がどう評価するか、自分の仕事をみんなからいいように評価してもらいたいという努力が始まると、精神生活の中で緊張が高まります。だって、他人の評価というのは、自分の力では決められないので、いつも不確定な要素があります。今、一生懸命にある仕事をしたけど、「みんなはこのことをどう思うんだろうか」ということが気になって仕方がない人は、いつも不安がつきまとっているわけです。
 自分の不安を分析していくと、まず99%、それは「他人が自分をどう評価するだろうか」を気にしていることと関係があります。
 不登校児の母親は、とても緊張していて不安ですね。なぜこんなに緊張したり、不安になるのかというと、結局、自分の息子(娘)が不登校をしていることを、世間の人たちはどう思うだろうか、母親としての自分がどう評価されるだろうかということと関わりがあるんです。つまり、母親の虚栄心と関係があるわけです。
 この虚栄心さえなければ、緊張がなくて、とても楽に暮らせるわけです。楽に暮らせるだけではありません。………

引用して返信編集・削除(編集済: 2024年04月02日 06:37)
合計490件 (投稿486, 返信4)

ロケットBBS

Page Top