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(あのーー、私が言うことでもないんですけど、詩は自由を旨としていますから、どこにでも投稿しようと思えば、投稿できないところはないんですけど、いきなり大きなところに挑戦しても、世の多くのものがそうであるように、ポッと書いて、ポッと通用する、ポッと賞が取れる、なんてことは、まずありえないことというか、相当に稀有な話なのです。
やってみることは止めませんけど、大きなところのノー・レスポンスにがっかりしたら、
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たびぽえ大賞ご受賞、誠におめでとうございます。
新鮮な現代性と端正な抒情との出会いが御詩にはございます。
これを機に、ますますのご活躍を期待しております。
おめでとうございました。
妻咲邦香さんが
「旅」をテーマの文芸&情報誌「たびぽえ」主催の
第2回たびぽえ大賞を受賞されました。
妻咲邦香さん、おめでとうございます!!
本年第1号の吉報ですね。
晴れて「受賞詩人」の仲間入りです。
ひとり裏町の路地を
散策している途中
たまたま立ち寄った古道具屋の
奥まった棚の上で
それは煌めいていた…
「クリスタル江戸切子
矢来紋 酒器三点揃」
いったいいつから
そこにあったのだろう―
まるでわたしが見つけるのを
待っていたかのよう
江戸の情緒を豊かに纏った
瑠璃色の器に
わたしはすっかり
魅入られてしまった
財布の中身を
あらかた はたいて買い求めると
大急ぎで、けれども
大切に割らないように
それこそ細心の注意を払いながら
アパートの部屋に持ち帰り
こうして
座卓に置いて眺めている
窓から差し込む
冬の夕陽は
刻一刻と衰えていくけれど
かえって
切子の瑠璃色は深まり
いっそう温かみを増してくる
殺風景な ひとり暮らしの
わたしの部屋に
ほのかな香りと彩りが
添えられたよう―
いつまで眺めても
見飽きることはなさそうだ
今、このときも
ついさっき点けられた
蛍光灯の明かりを受けて
矢来紋の周りに
光の煌めきが
幾つも幾つも戯れている―
夕陽に照らされていたときとは
まったく別の姿に見えるのだ
ガラスであるがゆえの
この変幻自在の美しさこそ
切子の器の本領ではなかろうか?
些細な衝撃で
粉々に砕けてしまうかもしれない
不安と引き換えに
切子が手にしている
脆くて危うい美の有り様なのだ
わたしが こうまで
この器に惹かれる理由も
そこにある
老境にさしかかった
孤独な寄る辺ない
不安な毎日を
せめて心豊かに
潔く生きようとしている
わたし自身の姿を
重ね合わせているから…
さぁ
そろそろ
いい頃合いだ
とっておきの地酒を
新しい器に注ぐとしよう
―待てよ、ここまできて
はじめて気がついた―
ひとり暮らしのわたしには
お猪口がひとつ余計だと…
しかし
構うものか
わたしの連れ合いは
わたしの孤独、
それで結構だ
孤独とさしで
切子に満たした
馥郁たる酒の香りを
ゆっくり楽しむことにしよう
息子は就活をしている
俺は終活をしている
駅前の吉野家、オレンジの旗の下
カウンター席に並んで腰掛ける
一言も交わさず、牛丼を掻き込む
馴染みのあるタレの香りが二人を覆う
牛のように黙りこみ
それぞれの思いを反芻する
息子は週末を夢見ている
俺は終末を見つめている
咀嚼して思い出すのは
トンネルの中
ひたすら重荷を引かされた日々
荷台を引き続けてきた日々
トンネルを抜けた先に空は開かれず
ただ次のトンネルが待っている
それでも
牛丼を掻き込める幸せを噛みしめる
息子には希望を持つことを祈っている
ただそれは口にはしない
心の中で咀嚼している俺が
見透かされてしまいそうだから
家畜の肉を食べながら
次に運ばれる先を思う
俺の終わりと
息子の始まりが交差する
この駅前の一角で
オレンジの旗が揺れている
オレ達の旗を持つ
殺意は時に無自覚に無邪気に生まれる
ある意味で人が根源的に備わっている狂気
その殺意はアノンという薬を毒へと変容させる
アノンは形なき薬である
人と人が関わる上で様々なバリアがある
それは年齢だったり性別だったりする
時にアノンはそれを越える効果をもたらす
また明日……そんな一日の終わりに温かい約束を
アノンは形がない
それは善人にも悪人にも好都合だった
形なき毒は人に投与しやすい
無味無臭である
そして、毒物を特定するのが難しい性質をもつ
アノンは即効性で拡散をみせる
そして、体内を蝕む……主に心を蝕む
抗うつ剤が脳内の神経物質に作用するように
周囲の人間に攻撃性を生み出し
投与された人間は毒によって死ぬのではない
自らその道へ選択をするよう追い詰められる
道なき道、道閉ざされた暗黒へと
アノンは周囲の攻撃性を生む
アノンの毒性は拡散する
攻撃は新しい攻撃を生む
時に社会問題となるが人々はその毒に気づかない
投与した側も姿なき毒に取り扱いを間違える
アノンに対応する術は
現在ではゾーニングが推奨されている
まずは一言 隣人に挨拶を
青空が解像度で表現できないことを忘れていたのを
思い出してほしい
※
anon(アノン)とは、「匿名の」を意味する anonymous という単語を省略したネットスラングです。
今回はその名の通り、匿名性をテーマにしたものです。
聡明なあなたは
私がしばらく帰らないことを
薄々気づいていることでしょう
そして二度と帰らないことも
やっぱり、薄々気づいているでしょう
笑いなさいな
悲しみなんて
芸術以外には
何の役にも立たないのだから
そう、あなたは芸術家
だから描きなさいな
その悲しみを
どうでもいいことばかりです
何もかもどうでもいいのです
結局どこかには行き着くのです
泳ごうが流されようが
どこかには辿り着くのです
笑おうが悲しもうが
いつかは土に還るのです
わかるでしょう?
感動は長続きしないということが
悲しみも喜びも
一旦寝て明日になればまた一から
築いていかなければならないことが
そしてその一日が
道になるということが
私たちの道は分たれた
それは素晴らしいことです
私は幸せになり
あなたは作品ができる
今までいろんな女を描いてきたのでしょう
私を描き尽くしましたか?
それならいいのです
別れの曲は美しいと決まってるから
あなたの作品もそうなのでしょう
どこかで見かけるかもしれませんね
あなたの作品が流れ着いて
私のところまで
そうしたら私は
あなたの無邪気さに
クスッと笑うでしょう
新しい朝がきた
希望の朝だ
陽の光に胸昂らせ
大きく背伸びをしよう
昨日までの自分には別れを告げて
靴を鳴らして歩き出す
そらタッカ タッカ 行進だ
明日の勝利は周りを鼓舞して掴み取れ
もう後ろを振り返るな 下向くな
前へ前へと突き進め 旗を振って前進だ
自信に満ちたその顔見れば
足を引っ張る意地悪天使も
そそくさと退散していくだろう
白いガーベラのブローチが
左の胸に光り輝いている
彼女は生まれ変わった
祖国を憂いて涙した
あの日の少女はもう居ない
数多の人々の想いと願いと血を背負い込み
少女はこの後 聖女となった
青の砂の砂時計を逆さまに
ポットの蓋はそぅっと閉じるの
揺れる茶葉の香りを封じて
すっと目を閉じるとそこは
小さな魔法使いのおうち
あら、どうぞいらっしゃい
今日のお菓子はタルトタタン
紅茶はもちろんアッサムで
ミルクティーにしても美味しいわよね
とんがり帽子に黒いローブ
扉の傍に小さなほうき
テーブルにはレースのクロス
カップとポットとカトラリーと
青の砂の砂時計が
タルトタタンを囲んでる
ロココの椅子に座れば始まる
秘密の魔法のティー・タイム
砂時計とが繋ぐ時間だけ
小さな魔法使いと私との
少し美味しい内緒の時間
最後の一滴がポットからぽとん
ティーカップにはクラウンが浮かび
小さな小さな魔法使いが
ふふんと魔性に微笑むの
今日の魔法はおしまいね
ではまた次のティー・タイムに
知らせは砂時計を見てちょうだい
鼻をくすぐる華やかな香りに
ふっと目を開き手を伸ばす
ポットの蓋を開けるとひろがる
なんて落ち着く香りでしょう
机の上には砂の落ちきった
紫の砂の砂時計
それでは私もいただきます
ではまずタルトタタンから
♫遠くで汽笛を聞きながら
何もいいことがなかったこの街で…
年寄りには懐かしい
アリスのヒット曲
この曲を聞くと
ある街の情景が目に浮かぶ
堺
私は二十年前
この街で一年弱を過ごした
父が他界して直ぐ
単身赴任
初めての地で
初めての営業第一線を経験した
会社人には
そのキャリア形成の過程で
越えねばならない切所がいくつかあるが
この地
この職がまさにそれであった
言葉の壁(方言と建築用語)克服
ゼネコン廻り
設計折込み活動
製品クレームへの対処
配下販売店の揉め事処理
さらに
扱っている会社の生産品は
お世辞にも出来がいいとは言えず
販売に窮した
流暢で洒脱なセールストークなど
出来るはずもなく
押し出し 貫目不足を露呈した
そして
顧客相手に
呑めない酒を喉に流し込み
大嫌いなスナックで歌を唄った
セールスの経験は
勉強にはなったが
自己のスキルアップには
なんら貢献してくれなかった
生活は荒れ
あっと言う間に十キロ増えた
ストレス太りだ
*
立春の頃
車で帰宅する途中
石津川の交差点に差し掛かったとき
空に父の顔がポカリと浮かんだ
父さんここは堺だ
堺の湊だ
この地に僕がいるなんて
信じられんだろ
こう語りかけ
生前父がよく話してくれた
ご先祖から伝えられた幾つかの逸話を
思い出した
遠い昔
廻船業を営むわが家の船が
丁銀や豆板銀を積み
防州・富海(とのみ)港を出帆して
塩飽諸島を越え
泉州・堺を目指した
小さい帆に二丁櫓の飛脚船〈飛船〉では
遠い堺まで
とてつもなく困難な航海であり
曰くのある
秘密の航海だった
*
堺を後にする前の日
防波堤に立つと
海霧が身体に纏わりついた
遠くで霧笛が鳴った
暫くすると
霧が晴れ
一陣の風が砂塵を巻き上げたが
見えぬ壁に阻まれた
堺の街には言い得ぬ結界がある
いやいや そうじゃない
結界はわがこころの内にあって
ただ 人を寄せつけなかったのだ
♫遠くで霧笛を聞きながら
何もいいことがなかったこの街で…
古い燈台を前に
そう口ずさんだ
岸壁で拾った石ころを海に向かって放つと
波の輪が広がり
連鎖してこころのなかにも広がった
輪は
途中で途絶え
こころのなかの波紋も消えた
私は海辺に立ち盡くした
顧みれば
激動の一年だった
しかも
決して幸せな一年ではなかった
このアメーバのような街にとって
私は異物
ひとりぼっちであることが
ことさら身に沁みた
私は虚空に向かって
石を投げ
漆黒の闇がそれを受け取った
マントを羽織った子供が空を飛んでいた
全身黒タイツの男が美女を追いかけまわしていた
飛行機からパラシュートで人語を喋る鳥が飛び降りていた
ここは漫画の世界だった
水たまりから大きな人型のスライムが立ち上がり
雨の中から二次元でペラペラのライオンが吠えた
何もかも無茶苦茶で理不尽だったが
漫画なのでそれは許された
突然
空が斜めに引き裂かれた
老人の顔をした大きなゾウも巻き添えを食らって引き裂かれた
老人のゾウは絶命した
この理不尽な漫画の世界にも命は存在した
引き裂かれたのは空ばかりではなかった
地面も家も公園も学校も全て引き裂かれていった
絶叫しながら逃げ惑うデタラメな住人たち
一体何が起きたのだろう
巨人だ
とてつもなく大きな巨人が この漫画のような世界を
いや この漫画そのものを引き裂いていたのだ
よほどこの漫画がつまらなかったのだろうか
巨人は憤慨しながら本をばらばらに引き裂いた
ばらばらにされた本で暮らしていた命はほとんどが失われた
ああ なんということだろう
巨人はそれだけでは怒りが収まらなかったのか
本を焚火にくべ始めたのだ
憐れ 本は全て灰になってしまった
灰は木枯らしに撫でられてびょうびょうと飛んで行った
それは嘆きの声のようだった
怒っていた巨人はそれで満足したようだった
額の汗をぬぐってにたりと笑った
そのときだった
怒っていた巨人の世界は全て海に沈んだ
巨人はしばらくもがいていたがやがて窒息して死んでしまった
魚たちだけが生き残ったようだった
そこも 漫画だった
それも 漫画だったのだ
バケツ一杯にくまれた海水の中へ漫画が丸ごと放り込まれたのだ
それもまた別の巨人か他の何かの手によって行われたのだった
この不可思議な漫画のような世界は
合わせ鏡のように無限に続いているのだ
いつから存在するのかはわからない
誰が作ったのかもわからない
しかしそんなことは誰も気にしない
ただ この漫画の世界で皆がそれぞれ思い浮かべた通りのことを実現し、行っているのだった
創造も破壊も自由だった
登場人物のあいだに優劣はなかった
だからなのかほとんどの漫画の世界は崩壊の一途を辿るのだった
もしこの漫画の世界のルールが
現在の現実の世界にも適応されたのなら
一瞬で世界は崩壊してしまうのだろうか
誰かの活躍や閃きで留まることができるのだろうか
それは誰にもわからない
今日も漫画の世界はおもしろおかしく理不尽に崩壊している