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編集・削除(編集済: 2023年10月25日 04:10)

詩の評、お礼です。  じじいじじい

島様

こんにちは。
詩の評、お礼です。
秀作ありがとうございます。
これを励みにより一層、頑張っていきます。
これからもよろしくおねがいします。

編集・削除(未編集)

島 秀生様 評のお礼です 上田一眞

こんにちは。上田です。

今の僕にはこんな詩しかかけないなあ、詩に拡張性がないなあ、と少し自信喪失気味になっておりましたところ、名作&代表作の評価を頂き、面食らってます。

自分の半生を詩的修辞を多少加えながら書いて残しておきたい、との意図からペンをとっている次第です。

人のこころの片隅にある差別の感情、そうしたものに私自身も長じて侵されました。人間には加害性向も被害性向も同居していますが、その落とし前を付けてあの世に旅立ちたいですね。
そんな思いに浸っています。

今回も深く丁寧に作品をお読み下さり、ありがとうございました。

編集・削除(未編集)

島様、評のお礼  理蝶

島様、いつも評をしていただいてありがとうございます。
こんな分量の詩を今まで書いたことがなかったので、後半部分を書いている時は早く締めなければくらいの気持ちで書いていました笑。
自分で書いたくせに分量の多さになぜかビビってしまいました。もうここまで長くしたなら振り切って深化させたいところにもっと肉付けすればよかったんですね。設定やら展開やらを考えるので満足してしまっておりました。
今後こう言うタイプの詩を書く時は、物語に終始せずもう一歩踏み入るを意識して書いてみたいと思います。
細かな助詞の違和感なども減らしていきたいです。
名作の評もありがとうございます。まだまだこの詩を良くすることができると知れて嬉しいです。
また投稿致しますので、よろしくお願いします。
ありがとうございました。

編集・削除(未編集)

評、3/1~3/4、ご投稿分。  島 秀生

毎度、お待たせをしております。


●akkoさん「季節は巡っていない」  

しっかり書き込もうとするところはakkoさんのいいところですね。
この23行の詩の中にも、たくさんの事が書かれています。

ケヤキ。大きい木を植えられてるんですね。そして冬に落葉したあとも、しぶとく落ちないでいる一枚の葉に、亡き夫の姿を見ています。
そこに感情を移入して、

 無理はない、無理もない
 四月のあの日から
 我が家の季節は巡っていないのだから

と、その理由を解釈されるところがいいし、セリフ調になっているところも、感情の昂ぶりが表現されているようで、ちょうど良い。
そして、そこから翻って我が身を考える5連、

 生きているということ
 今生きているということ

の詩行も、立ち止まって深い思考を巡らしている様子がわかる。(ただ、この問いに答えはありません)
この詩は4連以降もずっしり重くて、いいと思います。

いちおう言うとねー この詩についてだけを言えば、

初連まるごと削除
2連~3連初行にかけては、以下に変更

 庭のケヤキの枝に一枚だけ残る葉は
 裸木の小枝にとどまっている薄茶色の葉は
 我が家での最期の入浴となった日の
 ガウン姿の心細げなあなた
 
 重く暗い冬をくぐり

で、キレイな詩になります。
というのは、今言ったように、2連~終連にかけても、いっぱい想いや思考が籠ってるから、これで充分、読み応えがあるのです。なので、この詩は2連以降だけで、成立できてしまいます。また、この詩に限っていえば、この方がすっきりとキレイになります。

初連をはずした理由にはもう一つあって、
初連と2連以降で文体が少し違うのです(自分で意識ないかもしれませんが)、そのため、キレイにムードが合わないところがあるので、はずしました。

ただ、初連は初連で見るべきものがあるので、これ、別の詩で使ったらどうかな?と思います。

ということで、私の案を一考して頂く条件で、秀作プラスとしましょう。(ちょっと甘いかな? でもちょっと変えるだけで、いい詩になるんだよな)


●埼玉のさっちゃんさん「世間と自分」  

文体はキレイになりましたね。読んでると楽しいです。
だから、基本的には何を書いても様になるはずなので、何を書いてもいいんですが、この話は残念ながらオチがないです。次のステップとしては、「話の立て方」を考えるべしですね。

これ、オチがなかったのには理由があって、「世間と自分」という、大きなテーマを置いてしまったところが間違えているんです。
逆な言い方をすると、そもそも自分という存在は社会の中にあるので、自分の何を書いても「社会」はつきまとってくるものなので、むしろ「世間」でも「自分」でもない、第三者を向いて書く中で、それらは自然と表出していくものとして、書き表わした方がいいのです。「世間」は、面と向かうものでなく、自分につきまとうものとして付帯させて書くべきで、主となる話の方向としては、もっと全然違う方向向いた方がいいのです。
つまり、この詩は文体はキレイなんですが、話の向く方向が間違えています。

たとえば私だったら、
このあとに、

 友人に電話しながら
 そもそも背中を丸めてしまうのも
 眉間にしわを寄せてしまうのも
 北風にせいではないのかと思う
 冬はまだ終わらないらしい

という感じで、話を北風に変えてしまいます。で、タイトルは「北風としわ」くらいにしておくかな。
そうやって主たる話を北風に向けても、詩の途中で、あなたの「ゆっくり行こうよ」の考え方も、平和主義も、心の充電の仕方も、書かれてあって、それらは全体として「北風」に包括されつつも、副次的に書き表せているわけです。
そういう感じで、置くべき主テーマとしてはもっと身近なものに置かれますように。主テーマを大きくしてしまうと、失敗しやすいのです。

うーーん、半歩前かなあー


●晶子さん「遥か彼方」   

 霞んで見えた未来には
 私は行かなくてもいいのだと
 途中から見送っていいのだと
 寂しいけれどほっとしました

ここの詩行が、すごくステキですね。子が生まれた時から、育てる重責をずっと背負ってきた母親ならでは実感ですね。最後までずっと連れて行かなきゃいけないと、思い込んでたんですね。それも愛情ゆえのことですが。過度に背負い込んでたんでしょうね。
いま子育て真っ最中で、悩んでる親にも、この言葉、聞かせてあげたい気がしますね。一人で背負い込み過ぎてないかって、言ってあげたい気がします。
ここはすごく良かったです。

ラストの2行なんですが、打ちミスと思われるものもあるんですが、

 自分の足ですっくと立って
 振り向かないで歩いていけ

こうでしょうね。
いちおう4連の修正をしましたが、そもそもこの詩は子供の旅立ちを「送る言葉」が主眼のものであるので、ここ、4連だけでかたづけないで、4連、5連という規模で書いた方がいいと思いますよ。
言うと、1~3連というのは、ここに繋がるアプローチですからね。アプローチの連はしっかり書けてるんですが、本命の4連は物足りないですよね。言いたいことはわかるんですが、いきなりの大上段の言葉で、情感の伝達としては空回りぎみ(アクセルの空ぶかし状態というべきか)です。ちゃんとクレッシェンドをしませんか?
4連の内容を助走もつけて2分割する、と考えてもらってもいいんですが、ともかくもう1連、書くべきです。
言葉だけは勝ってるんですけどね、実のところ、話の本命部分にバランスの重心が来てないです。一考してみて下さい。
秀作プラスを。


●秋さやか「みずぶえ」  

この比喩はおもしろいねえー
笑い声が水笛のよう、というのは初めて聞く、新鮮な比喩ですね。きっと軽やかにどこかがコロコロと回ってる感じの笑い声。その笑い声聞いてるだけでおもしろくて、こちらも吊られて笑ってしまう感じなんでしょうね。鳴き声がキレイな鳥がどこかで鳴いてる感じかな?

4連、
 ああ今日もよく
 回ってる
 回ってる

は、家事をしながら、こっそり子の笑い声を遠くから聞いてる情景が感じられて、ステキですね。

5連、
 ふるふると滑らかに
 あかるい水と触れ合うように

は、声という聴覚のものを、柔らかい触感や流体で表現されていて、この絶妙さはすばらしいですね。

この詩、1~7連までパーフェクトに良いのですが、そこから後ろがギクシャクするんですよね。
一案ですが、ラストの4連、

 ときどき光の揺らぐ瞳から
 その水が溢れて出してしまうのは
 
 わたしの渇いた言葉のせい
 
 このまま泉を涸れさせて
 透きとおる玉を
 壊してしまったらどうしよう
 
 恐れるわたしをよそに
 みずぶえの玉は
 またすぐ 勢いよく回り出す

または

 恐れるわたしをよそに
 玉は またすぐ
 勢いよく回り出す

こんな感じはどうですか?
泣いたカラスがもう笑う 状態の、明るい子にしてみました。
「回り出した」と過去形にすると、その瞬間の話になってしまうんですが、現在形にすると、習慣としていつもそんな感じの明るい子、ってことになります。習慣性を言う時には、現在形の方がいいです。

あるいは、「玉」にこだわるのをやめて、みずぶえの軽やかな音に、戻してもいいですけどね。せっかく「みずぶえ」だから。

というわけで、後ろだけ一考して下さい。一考して頂く条件の、名作としておきましょう。


●じじいじじいさん「ショコショコ ヒョコヒョコ」  

啓蟄は3/5で、この詩は3/2の作なので、ほぼこれに因んでいる作に思い、読みました。
2連、若干肩すかし感があるんですが、まあ、蟻のことなので、何匹出てきても、みな同じような行動を取る。まぶしがる。というのも、アリはアリですね(アリだけに)。
うむ、今回は4連すべてで、話が展開していっているので、いいですね。じじいじじいさんは、後半でよく息切れするというか、同じアイテムが繰り返されて、話が停滞しがちになるんですが、今回は「花」というアイテムを、4連で新たに出してきたことで、そこから先の情景が展開されて、そこがとても良かったと思います。
秀作を。

ラストの3行については、

 はるのはなにむかって
 いちれつになってあるきだした
 ショコショコ ヒョコヒョコ
 ショコショコ ヒョコヒョコ
 はるをよろこぶアリンコたち

こんな感じの方が良くないですかね??? 一考下さい。
「いちれつ」という言葉を出しました。後半においても、前半にない言葉を新たに入れることで、次の情景が生まれてきます。じじいじじいさんの場合、そうやって「ボキャブラリーを豊かに」を心がけることです。そうすることで、世界が広がりますから。


●荒木章太郎さん「孤高の轍」  

若干、表現が邪魔してる部分がありますが、話は概ね通るようになりましたね。読むこちら側としても、ちゃんと話が追えるようになりました。だいぶ前進です。

冒頭の「父よただいま」は、おもしろいですね。この謎かけみたいな言葉が意味するところは、
2行目~12行目の「僕は父に取って代わった」までの詩行によって、解明されます。
歳を食っていくと、鏡の前に立つ度に、だんだん父親に似てきたなあーと思うのは、男にはままある感慨でありますが、作者は遺伝子レベルおいても何かを感じているようです。このあたりまではグッドですね。

で、問題は2連の初行なんですが、これ、いくつか引っ掛かる点があって、
まず、「反乱軍」として用いてる体言止めなんですが、体言止めは、「今~である」的な意味合いになるので、未来形には使いません。しかし2~3行目の、

 母や妹は祖母の呪いに縛られていた
 父を建てて陰にまわるよう躾けられていた

を見ると、母と妹は、まだ反乱軍になってないように見える。
2連初行段階においては、「反乱」は「僕ら」ではなく「僕一人」なんじゃないでしょうか? その後の詩行を読んでも、母と妹が、2~3行目から転じて反乱を起こしたというようなことは、書かれてないように感じますし、ここはロジックが合わないとこですね。
むしろ、母がまだ反乱軍じゃないからこそ、作者は市役所に連れて行こうとしてるんじゃないんですかね?
2連のアタマを曖昧に書いてしまうと、そこからあとの文意にも、差し支えてしまいますよ。

また、2連初行、「祖父」がいきなり出た上に、これ1回かぎりで消えるんですが、出現回数から言っても説明不足ですね。おそらく今の家族の男尊女卑の封建的な考えや躾は、元凶に祖父があると言いたいのでしょうけど、この1行で伝えるのは無理がありすぎです。3行以上使って、祖父が元凶であることを語られた方がいいです。
あのー、基本的に、一語だけ置いて、事が済んだと思わないことです。それではまず伝わないです。
あるいは、この1行目をキメの1行にしたかったのであれば、その前にそこに至るアプローチとなる詩行、補助説明的な詩行を先に仕掛けておいてから、この詩行でキメをすれば、良かったですね。
現状は、「祖父」の登場がこれ1行で唐突すぎました。

しかしながら、これら2連のアタマの問題をちょっと棚上げにして、
2連6行目の「信号が青に変わると」から以降、終連の最後までを読むと、この部分て、悪くないのです。母の生き方を示し、それを思いやる作者の愛情を感じます。ここはよく書けてると思います。
後ろの方は後ろの方でいいんですよね、この詩。

うーーん、この詩は2連のアタマがすごくネックになりましたねえー
逆にいうと、そこだけやり直したら、いいセン行くと思うので、アドバイスを元に自分で検討してみて下さい。
秀作一歩前とします。


●上田一眞さん「うぐしの涙」  

遠い過去のことは、記憶が曖昧になってることもあって、「昔は良かった」と美化しがちなんですが、はたして本当に良いことばっかりだったかというと、そんなことはなくて、戦後といっても、特に高度成長期以前の戦後は、昔からの因習がかなり色濃く残っていたように思います。一概に、無知から来るものとばかりは言えないんですが、科学的知識の乏しさが、余計に輪をかけて因習を信じ込むに至っていたというか、差別や偏見が、そのあたりの時代は、今よりもずっと強かったと記憶しています。
上田さんは、ここ最近、まさにそのあたりの時代の、差別や偏見のことを捉えて、自身の思い出に乗せて書いてくれていますね。
良いことと思います。その差別や偏見は、今も僕らの根っこに残っていて、きれいに払拭したとは言いがたいものなので、過去の時代のことであっても、今の時代にアピールするものである、と感じております。
また、今だって、インフルエンサーが誤った情報を発信しても、無条件にそれを信じる人たちがいて、悪しき因習が根付くこととなった昔の構造と、それはさして変わらないものであります。そちらの点においても警鐘となるような気がしております。

作品ですが、おそらく断片的な記憶を繋いで、(脚色も加えて)ストーリー化してくれてるのかなと思いますが、子供の時に感じた疑問や不思議がベースになっていて、それは作品の随所でも実感として生きています。また自身の子供の頃と一人の唖者との繋がりということで「人間対人間」の物語になっているのが、「人間を描くべき」詩の使命とも合っていると感じます。
また、情景も入っていて、映像として見えるのがいい。文体もキレイに書けていて、読みやすいです。レベル上がったんじゃないかな。
うむ、良いと思う。名作&代表作を。

ごく小さいとこ、1箇所だけ。
この詩は「現代文+会話部分には方言も取り入れる」形で書かれています。逆な言い方すると、方言部分以外は全て現代文で書いているので、「友がき」は間違いじゃないけど、やめたほうがいいと思います。「友がき」は、歌「ふるさと」を歌う時くらいしか今言わないというか、時代的には、旧かなを使っていた時代によく使われていた言葉で、今は使わないので、間違いじゃないけど、ここだけ不自然になるから、やめた方がいいですね。フツウに「友だち」で、いいところだと思います。


●理蝶さん「壊れかけのUFO」  

物語としては完全にできていて、おもしろいと思います。
特に宇宙人が

 触手も翼も何もない
 僕たち人間と瓜二つ

で、しかも夫婦だという、とても庶民的なところがいいです。
で、人間と全く一緒ではなくて、違いは、ガラスの涙を流すところというのも、絵本に描かれそうなシンプルな絵柄のキャラが想像されて、ステキです。キャラ設定としては申し分ないような気がしています。

ただ、詩としては、いずれかに踏み込みたいところですね。

踏み込めるチャンスはいくつかあって、
まず「一人息子を残してきた」というところは、ウクライナから避難してきた夫婦のようであり、息子は兵役で残っているようでもあります。そういうウクライナ戦争の暗示があっても良かったですし、
民間に親切な人がいる一方で、難民申請を全く通そうとしない、日本政府の冷たい姿勢を描いてみても良かったんです。

また、時代の寵児となった異星人が、忘れ去られていくところも、現代社会の有り様を皮肉っているようで、ここをもっと踏み込んでも良かったのです。マスコミの豹変ぶりとか、一転して今の生活の質素さ、とかをもっと書けば、社会風刺にもなったと思う。
近いことは書いてくれてるんですが、おとなしくその生活に入っちゃってるというか、社会側の残酷なまでの変化、みたいなものにもう少し踏み込まないと、風刺にまで至れてない感じです。
たとえば、円盤の調査研究についても、当初は、円盤を直してあげようとする者たちもいて、スポンサー企業が資金提供していたが、そうした人もしだいに減り、とうとう夫婦でなんとかするしかなくなって、自力で修理に修理を重ね、山さえ越えられない現状に至ってるという、話を追加するのでも、世間の変化がわかっていいと思いますね。要は「世間」を登場させないと、風刺に至れないと言いますか。

また、一旦は内戦から避難するために逃げてきて、地球に来てるわけだから、息子のことを思ってるにしても、どこで心変わりして、やはり元の星に戻ろうとしてるのか。「愛情」で描くのだとしても、息子の話は最初の設定だけで、あいだで、なんにも書いてないから、愛情物語としても、不足してるんですよね。

あるいは、私、最初初連のみを読んだ時、ボロボロになっても飛ぼうとする、人生の比喩かど、フツウに思いました。
一見、異星人ですが、それ自体が、人間の生き様の比喩であってもいいと思いました。

というわけで、
ショートショート的な物語としては、これでも充分おもしろいし、楽しめるんですが、詩的寓話ということになると、もう少し、どっちか方面に踏み込んで欲しかったというのが感想です。この作品て、実はどっちにでも踏み込める入口を持っていた作品なんですよね。

という、もう一段上の希望を添えて、でも名作にしておきます。現時点でも一定以上ラインにはあるので。

細かいところなんですが、
まず初連。(これはあとでリフレインもしますが、)3~4行目のところ、

 どこかが壊れどこかで庇い
 庇った所が壊れ他の所でまた庇う

こうでしょうね。3行目の中を「が」で揃えるんじゃなくて、3行目、4行目とも、後ろを「で」で揃えるべし、ですね。

それから8連の2行目は「墜落を繰り返した」でいいと思うんですが、どうしても「墜落し」にしたい場合は、1文字空けましょうか。

 飛ばそうとしては墜落し を繰り返した

こんな感じ。

それから終連5行目ですが、
辞書ソフト的には、「が」が2つ続くと注意が出ると思うんですが、それ単純なワンセンテンス内のダブりではなく、「夜の気配がし始めた」で→「空」に係る修飾節ですからね。そこは別途に考えていい部分なので、「気配が」でいいと思いますよ。
まあ、「の」でも格助詞の「の」なら間違いではないんですが、「の」の後ろって、あんまり動詞来ないので(古文はともかく現代語では)、もし使うなら、そこも1文字空けたほうがいいと思います。

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悪童の冒険  上田一眞

小学一年生だった
幼馴染みのようちゃんと
兄貴のはるちゃんが
面白いことをしようと言う

さっそく浜で
悪童連五人が額を鳩(あつ)めた
僕は一番歳下のチビだ

リヤカーに
竹竿で作った簡易な舵と
ブレーキを取り付け
木枠で囲ったそいつに五人で乗り
長い坂道を下ろう
場所は国道ニ号線の椿垰(つばきだお*)
二キロ半ばかり続くダラダラ坂だ

ボスのはるちゃんが
事務所のライトバンでリヤカーを運ばせた
市境の戸田山(へたやま**)まで行き
そこから垰の西側を
いっきに下った
そこそこスピードも出て
スリル満点 爽快だった


翌日 登校すると校長室に呼ばれた
校長先生から
お小言を頂戴したが
なぜ叱られたのか分からない
見ると
一緒に坂下りをした悪童が 
肩を並べて一列に立たされていた  

はい 一眞くんもそこに立ってなさい
校長先生に促される
皆がジロジロ見て行くから気恥ずかしい
鼻水は出るし嫌になった

母が学校に呼び出され
平身低頭
米搗き飛蝗のように
ぺこぺこ頭を下げて謝まっていた
駐在さん(警察)から
坂下りを厳しく咎められたようだ

僕は不思議だった
あんなに楽しくて爽快
人に迷惑をかけたわけじゃあるまいに
大人はなぜ怒って止めるんだろう

危険な遊びだ!
と言われた 
でも
車なんて一台も走っちゃあいないんだ(***)

ようちゃんとはるちゃん兄弟は
日本名だけど
半島の人 
いつも意地悪されていた
この地は陸の孤島で封建色が強く
もっぱら保守的で頑迷な土地柄だ
今回も嫌がらせに
誰かが駐在さんに讒言したに違いない

はるちゃんの悔しそうな顔
チビはチビなりにこの状況を把握して
こころが痛んだ

校長先生から 
しばらく学校に来ないでよい
家で謹慎するように
と言われた
小一にして登校禁止処分をくらったわけだ

でも五人はいつものように浜に集合
何事もなかったかのごとく
砂遊びに興じた
悪童連に「敗北」の文字はない
母は呆れ顔だ


不思議なことに 厳父は
母から話しを聞いても
叱ることなく
只管 うなずいていた

僕は悪さの常習犯
いつも追いかけられて
灸(やいと)をすえられていたから
父の態度が
訝しくてしかたなかった

こっそり顔を見ると
父は懐かしそうな表情をしていた
微笑ってさえもいる
何も言わなかったが どうも
僕と同じような体験をしていたように思う

雪の日 坂道で
竹の橇遊びを教えてくれたのも父だ
幼な子の男の冒険心を 
それなりに
評価していたのだろう






*椿垰 地元では低い峠を垰(たお)と呼ぶ
 椿垰は防府と徳山(現周南)の市境にある
 低い峠
**戸田山(へたやま) 防府市富海にある地
 区名
***昭和三十五年当時 国道二号線は開通
 してまだ間がなく交通量は著しく少なか
 った

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すみれ公園の桜  温泉郷

通りに面した小さなすみれ公園には
2本の桜の古木が立っていた
毎年春には見事なペアの桜が咲いた
大通りに近い方の桜が少し小さかったが
満開時の咲きぶりでは
大きい方の桜に勝って花が密に咲き
ヒヨドリをより多く寄せた

台風13号の突風で
小さい方の桜の大枝が一本だけ折れてしまい
地上すれすれまで垂れ下がった
大きい方の桜が心配そうに見下ろしていた

桜の幹の中はスカスカになっていると
駆け付けた区の専門家が診断した
子どもの手をつないだ近所の女性は
風で折れるような桜は子どもに危険だと言った

小さい方の桜は根本付近から伐られて
後には切り株だけが残った
切り株は確かに中心から外側に向けて
8割くらいは空洞になっていた
虫が食ったような歪な模様を描いていた
年輪は内側から徐々に朽ちていくそうだ
それでも水分は外側を通って吸い上げられ
中がスカスカになっても
何年でも花を咲かせることができるのだそうだ

やがて
切り株も公園で遊ぶ子どもがつまずかないよう根こそぎ撤去された

その跡には桜の若木が植樹された
若木はまだ棒で支えられ 枠にはめられている赤ん坊だ
大きくなるのにあと何年かかるのだろう
残された古木が枝を伸ばして見守っている

残された古木も
中はやはり空洞だ
何十年も台風に耐え
何十年も花を咲かせ続けてきた
堂々とした抱えきれないほどの太い幹
空に向かって伸びる威厳に満ちた枝
石のような硬さと痛いほどの手触りの樹皮

今年の春は
悲しく寂しい春になったけれど
枝を思いっきり伸ばして
道行く人が思わず足を止めるような
花をまた
意地でも咲かせてくれるだろう

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生きている 紫陽花

北向きの部屋に
お花は風に俯いて
お父さんはベッドに横たわる
昔は南向きが好きだった
お父さんは最近薄暗いを
好むようになった
私はそこに同じように
日陰を好むお花を活けた

お父さんは最近
水が上手く飲み込めない
そしてうとうと寝ている
お花はその横でいつのまにやら
花瓶の水を飲み干して
やっぱりつやつやしている

お父さんはよく喋る人だった
今は一日中黙って寝ている
お花も同じように黙って
エアコンの風に時々揺れる

これでいいのだろう
これでいい
お父さんもお花も水だけ飲んで
また自然に帰るその日まで
私はお父さんにもお花にも
頑張って生きてるね
なんて声かけて
枕カバーを替えたり
水を替えたり

お父さんもお花も
同じ部屋で同じ風にあたって
やっぱり今日も静かに生きている

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堀端  理蝶

堀は そよ風に触れ
槌目のように細かにされて
あくびの空を 朧に映し出す

鯉は気まぐれにうねり
風がほどこした意匠を崩してゆく
少しすれば そよ風がまた
堀を仕上げに帰ってくる

水辺の立ち木に カワセミが一羽
空を煮詰めた背と ひだまりの腹を抱いて 
水面をじっと睨む 
鉄砲もなしに 打ち出された青い弾丸は
やごを啄み 風に逆らい消えていった
のどかなようで 厳かな彼の昼食

ここには 僕のほかに
誰もいない 誰もいないよ

誰のためでもない
ただここにある景色
街が入り組んでゆく その陰で
ひたむきな命が重なっただけ

せめて邪魔しないように 
僕は静かにいるよ
像にでもなったつもりで
僕は静かにいるよ

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わたし  樺里ゆう

二十二歳の夏だった

出かける直前に話しかけられ
ぞんざいな言葉遣いで返した姉を
父が怒鳴りつけた

わたしはその怒鳴り声を
洗面所で聞いていた
髪をとかしていた手は硬直し
両眼から反射的に涙が湧き上がる

わたしは忍び足で自分の部屋に逃げ込み
ベッドの上でしばらく泣き続けた

幼い頃からそう
父が誰かに怒鳴っている声を聞くと
自分が怒鳴られたわけでもないのに
勝手に涙が出てきて止まらないのだ
だけど二十二にもなってまだ泣くなんて
自分でも驚いてしまう

——インナーチャイルド
昼間の星のように存在する
その時々のわたし

父を大切に思い
父に怯え
父を軽蔑し
父に共感するわたし
父の言うことに忠実であろうとした わたし
父と己の考えが違っていてもいいと気付いた わたし

これらの思いを何一つ
父に言っていない わたし
これからも言うつもりはない わたし——

ふとした拍子に掘り起こされる
無数のわたし

それをみな連れて
わたしは今日も生きている

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ピノキオ 喜太郎

鯨のお腹の中で
ボクは見つけたんだ
赤ワンピースの女の子
金色の髪が少し汚れてるけれど
笑顔が可愛くて
ボクを見つめてる
ボクはね 人間になりたいんだ
キミは 人間もなりたくないかい?
……なりたいんだね
だから笑ってて ボクを見つめてる
人間になれたら太陽の下でお散歩しよう
おじいさんも一緒に三人で
ピクニックも良いね
楽しみだな
その赤いワンピース 少し汚れちゃってるね
大丈夫 ボクがここから出たら
大丈夫 ボクがキミと人間になれたら
洗ってあげる
破れた所は おじいさんに直してもらおう
ボクの名前 言ってなかったね
ピノキオ ピノキオって言うんだけど
キミは?
何か話してくれない?
キミはボクと同じ人形なのに
キミはなぜ話せないの?
キミはなぜ動かないの?
なぜ僕は動けるんだろう
なぜ僕は考えるんだろう
考えるって寂しくなるよ
その笑顔も赤いワンピースも
今の僕には寂しくなるよ

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