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やってみることは止めませんけど、大きなところのノー・レスポンスにがっかりしたら、
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編集・削除(編集済: 2025年01月02日 01:55)

妄想の海リメイク  相野零次

男は今日も妄想の海へ潜る
男の日々の目標であった
最初は潜ることがほとんどできずに
浮かび上がってしまっていた
男は水面を立ち泳ぎして深呼吸をし
頭から海へ入った
足を上にして
ドルフィンキックで潜っていく
様々な光景が見える
最初は今日の光景だ
やがて昨日、そのまた昨日の光景が
その先は少しずつ闇に包まれていく
深い海の底へと向かう途中 周りにはさまざまなものが
ぼんやりと光っていた
魚だけでなく人間もいれば犬や猫がいる
猿や鹿など他の動物もいる
大きなキリンやゾウがいたりもする
建物が見える
家やビル
機械が見える
車や飛行機
妄想の海には
さまざまな役割を宿した
仲間と呼べるものたちが無数に存在した
男は人間のサラリーマンとしての役割を背負っていた
その役割があるからこそ
潜っていれるのだ
役割が無ければ彼らや彼女らは潜っていけない
すぐに浮かび上がってしまう
それぞれの役割の大きさに応じて
潜れる深さも決まるようであった
そして
それらはさまざまな色で光っていた
白、黄、オレンジ、青、緑、
虹のような光も見えた
幻想的な光景であった
かと思えば
闇に包まれた死体や機体の残骸も見えた
生の役割を終えたものたちであった
徐々に男の身体にかかる抵抗が強くなっていく
息が苦しくなる
今日はここら辺りが限界か
男はさらに潜ろうとしたが
身体がいうことを聞いてくれなかった
男は自分の現在の役割の深さがここまでだ
ということを自覚しながら
今度はゆっくりと浮かび始めた
無理はいけない
無理をしすぎたり
大きな失敗をしてしまえば
志半ばにして死を迎えてしまうこともある
それは一概に悲劇と呼べるものばかりでない
ある一定の役割を終えた
または天寿を全うしたものもいる
ときおり死体に近づいて観察すると
まだ若い同じようなサラリーマンの無残な姿……おそらく自 殺か事故にちがいない……や、安らかに永久(とこしえ)の眠りにつく老人の姿もあった
それは他の動物や機械たちにも見て取れた
ゆっくり潜ってときに浮かび上がってそれらの光景を観察するのも楽しみであった
今日や昨日、最近の出来事もあれば
数週間前や何年も前のこともあった
かと思えば
常識では考えられない不可思議な光景も見えた
頭が猿やイノシシの人間が大勢で踊っていたり
羽根の生えた車や足の生えた飛行機が飛び交っていたり
それは俗にいう夢というものであった
妄想の海の中で起こるさまざまな出来事に飽きることはなかった
男はいつまでもこの光景に微睡んでいたかった
しかしそうもいかない
身体は徐々に浮かんでいく
周り全体が少しずつ明るくなっていく
覚醒のときが近づいているのだ
男は歯がゆかった
しかしもう一度潜ろうとしても
体力も肺に残る酸素も限界であった
男は浮かび上がりながら
明日の仕事のことを考えた
明日は大事な取引がある
これを成功させれば
もっと深く潜れるようになれるかもしれない
潜った底には何があるのだろう
初めての妻との子を授かったときのことを思い出した
それは結婚して子作りに励んでいるころだった
潜っている最中
ひときわ輝く光の球が見えて
いったい何だろうとそちらへ向かった
すると妻がかわいらしい男の子を抱いていたのだった
それは 後に現実となったのだ
男はそれを見つけたときの喜びを今でも覚えている
その光に包まれた思い出は今でも
かけがえのない宝物だ
さながらそれは大きな真珠の珠として扱うことができた
妄想の海のなかで
好きな時に取り出すことができた
男は潜ることに疲れたときは
それらを取り出してゆっくりと眺めて楽しんだ
今日は大事な取引の最中ということもあって
潜ることに集中していた
取引が成功すればまた大きな真珠を手に入れることができるにちがいない
その光景を思い浮かべ男ははにかんだ
男は他にも想い出という名の真珠をたくさん持っていた
まだだ
まだまだこんなものじゃ俺は満足しないぞ
男の最終的な目標はこの妄想の海の一番底
すなわち海底であった
果たしてそんなものが存在するのであろうか
かつて目指したものたちがいるのであろうか
男はまだ若く野心と生きがいに溢れていた
その資格があるともいえた
男の鍛え上げられた肉体が
水面へと浮かんでいく
淡い光が徐々に強くなり
覚醒のときが近づく
全ての生きとし生けるものはもちろん
無生物すらも妄想の海を持っている
自らの役割を果たす為に
自らの思い出を掴み取るために
日々妄想の海の底を目指すのだ

編集・削除(未編集)

三浦志郎さま 評のお礼です  相野零次

三浦志郎さま 評ありがとうございます。
この詩はマインクラフトや地球防衛軍といったゲームの世界をイメージしました。
街を破壊されて平然としているのには理由づけがいりそうですね。
妄想シリーズ、今後も続けていきたいです。

編集・削除(未編集)

井嶋りゅう様 評のお礼です  相野零次

井嶋りゅう様 評ありがとうございます。
あまり深く考えずにさらっと書いたのがいい方向に出たようです。
佳作ありがとうございます。

編集・削除(未編集)

俺が創るのは君の額縁  荒木章太郎

君は服を脱ぎ
惜しげもなく
デッサンのモデルになる

俺は服を着込み
物惜しみして
裸にすらなれず透明になる

肌に常識の定規を当て線を引く
精密画なら面目は立つが面白くはない
傷ひとつない自画像を描く為に
刺青を彫るなんて

世間が「あるがまま」を求めていた
俺は自己啓発で磨いた
あばら骨を取り外して
額縁になることにした

君の心を映すために
君のアートをハートで受ける

編集・削除(未編集)

三浦志郎様 評のお礼です 上田一眞

こんばんは。上田です。
この度は私の作品「緋鳥鴨」を丁寧に、しかもポイントを押さえてお読み頂きありがとうございました。
佳作を頂戴しましたこと、この上ない喜びであり、詩作をする上での励みであります。
また、「私の強み」という表現で「テーマに向かってブレることなく正面から取り組む。その熱意と誠実さ」が美点だと評価して下さいました。
とても嬉しく思いました。
また、さらに高みを目指して精進したいと思います。今後とも宜しくご指導下さるようお願い致します。

編集・削除(未編集)

三浦志郎様 感想のお礼 こすもす

初めまして。こすもすです。
丁寧なご感想をいただきありがとうございます。
2連目も1連目と同じように幻想的に描いたほうがよいとのご指摘は勉強になりました。
また、もう少し書いたほうがよいとのご指摘も今後の詩作に生かしたいと思います。
これからもよろしくお願いいたします。

編集・削除(未編集)

三浦志郎様  御礼  静間安夫

今回も私の詩を丁寧にお読み頂き、誠にありがとうございます。
そうですね...設定に“いかにも感”が出てしまって新鮮味が
感じられないですね。考え直してみます。
今後とも、どうかよろしくお願い致します。

編集・削除(編集済: 2025年03月01日 20:57)

眠り  秋さやか

まだ落ちない 
まだ落ちない

そろそろ
落ちそう


落ちる

もう













そんなふうに
いつのまにか
眠りに落ちていることが怖くて
意識と無意識の境目を探ろうと
布団の中のわたしは
何よりも真剣だった

真剣に
切実に
眠ろうとしていた
幼かったわたし

得体の知れない恐怖を抱えて
たそがれ泣きの延長に
いたのだろうか

目が覚める保証など
どこにもないのに
どうして気安く眠れよう

うすらうすらと
虹が消えてゆく
ひこうき雲が消えてゆく
わたしが消えてゆく

意識と無意識の境目を
知ることはできないのだと
残酷なほど明るい朝日に
諦めたとき

わたしはすこし
鈍くて脆い大人になった

そうして今はもう
なにも怖くないけれど

ただ時々

白昼にうとうとと
ついうっかり落ちた眠りから覚めると
今が朝なのか夜なのか
ここは一体どこなのか

わたしは
誰だったのか

からっぽな空へ
放り出されたような感覚に
早く脈打つ鼓動

どんどん遠のいていく
今しがたまで浸かっていた夢の
名残惜しさを振り切って

過去と
未来を繋ぐ記憶を
必死で手繰り寄せながら

幼稚園バスのお迎えに
慌てて駆け出してゆく

編集・削除(編集済: 2025年03月10日 09:33)

感想と評 2/21~2/24 ご投稿分 三浦志郎 3/1

1 相野零次さん 「幻想の街」 2/21

先のコメントでリアリティ云々の件が出ていましたが、今作に限って言うと、リアリティの範疇をはるかに超えているので、今回その件は除外となります。
幻想の中で創る街。面白いのは人間も他の生きものもいない。ここまで来ると、―下品な言い方をすると―どう書いても作者の自由ということになるのですが。発想の角度を変えてみると「入れ物だけを創った」とすると、うなずける部分も出て来ます。文中あるように「ジオラマ造り」です。さながら脳裏で創った“幻想ジオラマ”。なんかタイトルにも似合いそう。メインは怪獣たちの破壊し尽くすシーンです。なかなかよく書き込まれていて、ちょっと特撮物を見ている気分になります。「好きな子の家」の件はちょっと注目できます。終わりの部分にも触れられていますが、自分の過去の現実に基づいて幻想したことがわかります。いっぽうで破壊シーンもさることながら、実は意外と思考・心情が語られている点です。ここに注目したい。凶暴な怪獣群に一人で立ち向かうことはできない。されるがまま。これは仕方がない。ただ奇妙なのは、この事態を肯定的に―もっと言うとーむしろ喜び楽しんでいる点です。壊されるより壊されないほうがいいに決まっているのです。ところがそうではない。このあたりの心情理由は触れてもいいかもしれないです。実体が無いから壊されても、また想像すればいい、と言ってしまえば、それまでなんですが、そのあたり、読み手は釈然としないだろうし、作者においても検討の余地はありそうです。佳作一歩前で。


2 こすもすさん 「灰色の街」 2/22  初めてのかたなので今回は感想のみお書きします。

よろしくお願い致します。第1連、すごく良いですね。すごく好きです。「笑みがない~無表情」「夢や希望がこぼれ落ち」などの適度な幻想のさじ加減のことです。現実をわずかに浮遊する感じです。儚げで、優しげで。いっぽう、2連はほぼ現実的叙景です。このちょっとしたトーンの違いが誠に惜しいのです。1連目が良いだけに、2連もそのムードをキープして欲しかった。タンポポにまつわる軽やかな幻想のことです。手の空いた時に考えてみてもいいでしょう。そうすれば、この詩はかなり愛すべき作品になると思うのです。あと感じたのは、淡白というか、もう少し書いてもいい。ちょっと遠慮しちゃったかな?そんな印象があります。そのあたりも含めて、また書いてみてください。僕の感触としてはとても好感が持てるからなんです。


3 上田一眞さん 「緋鳥鴨」 2/22

この評を書くにあたり、参考がてら緋鳥鴨の画像を見て楽しんでおりました。可愛いもんですね。ただしここに登場するそれは、やや剣呑か?おそらく、天敵か仲間に危害を加えられ警戒心いっぱいなのかもしれない。そんな場面での出会いといったことでしょう。
そうと察した上田さんの、いたわり、気づかい、優しさ、励ましの賦であります。出会い部分の簡潔な書き方。中間部のやりとりには具体性を持たせ、「夕焼け~」以降では気高い語調にして鴨を励ますと同時に詩の世界を一気に広げていきます。あたかも鳥が助走して空へ羽ばたくが如しです。「穢土」「疾く」「濫觴」など、古格な味わいの言葉も相応しく活きています。上田さんの強みとはテーマに向かってブレることなく正面から取り組む。その熱意と誠実です。今回もそれがあります。佳作を。


4 荒木章太郎さん 「いの中の蛙」 2/22

このタイトル言葉の意味を改めて調べてみました。曰く「狭い範囲の中だけで生活し、外の広い世界や多様な知識について理解がない状態」とあります。これをまず脳裏の片隅に置いておきます。
ところで、荒木さんの得意技として、同音意義語を上手く使い詩の中核に据えることが多いです。
あとは、自己の人間性について深く考える属性も加味していいでしょう。以上の2つを前提に僕が勝手に以下に推測したものです。
〇 「井」……上記の定義通り、自己のいる狭い世界。
〇 「異」……異端、超個性、アヴァンギャルド。この世界も狭いものかもしれない。
この二つを自己に置き換えて思考しているように僕には思われます。自分の持つ地図と照らし合わせてみる。 しかし、この二つは社会の風当たりがやや強いかもしれない。5連にそれを感じました。とりわけ「異」への反応です。ただ後半、それは「風穴をあける」
つまり何かが変えられるかもしれない、そんな予感も含んでいます。さらにもうひとつ。これは僕の勝手な推測ですが「羊達」です。
これは眠る時に数えるおまじないの事ですが、同時に「羊達」=「社会的に馴致された常識的でおとなしい人々」もっと言うと「スクエアな(英俗語・つまらない)人々」のことではないか?「異」の対立概念になりそうです。そんなせめぎ合いの中にこの詩はある、そう見てます。そんな中の荒木さんです。佳作です。


5 森山 遼さん 「キリスト教 存在を残して意味を消せない」 2/24

僕はキリスト教について幼児のように無知です。まあ、不勉強と言った方がいいでしょう。
従って、キリスト教周辺の知識上のコメントはしません、というか、できません。あくまで、この作品に即し思った事を書きます。
文字通り感想のみです。この宗教は現今は知らず、過去において各宗派が互いに相容れず、激烈な闘争を展開したようです。まあ、肉食人種だからそういうこともあったのでしょう。そんな歴史を初連で感じました。2連及びニーチェのくだりを読むと、これはキリスト教批判の詩として僕には読めるのです。何故ならば、ニーチェは反キリスト主義者だからです。ところが、ニーチェを「危険思想家」だと言う人も出てくる始末で、もう何が何だかわからなくなりました。教義や思想の解釈は難しいものです。ただ、ちょっと感じたのは、やや強い書き方をしているので、思想性も絡みますので、今後少し注意が必要かもしれません。そういった背景から評価は保留にします。


6 静間安夫さん 「日本語」 2/24

大分古い本を挙げ恐縮ですが、著名な数学者・藤原正彦氏(作家・新田次郎氏のご子息)の著作に、「祖国とは国語」があります。国語とは対極にいると思われる数学者にして、この著作です。当時ベストセラーになりました。「国語なくば数学すら成り立たず」といった主旨でしょうか。こんな例を引くまでもなく、僕はこの詩の主旨に大賛成であります。日本人の細やかな国民性に最もフィットした言語でしょう。いや、その感性こそがこの言語を完成させたと言えるほどです。
さて、この詩のことです。折からのオーバーツーリズムを背景として桜の木に擬人化しての問答。この設定の“いかにも感”と、述べていることの”正論“性。この狭間にあって評者はジレンマというか、大変悩むわけです(笑)。しかしながら、漢字・ひらがな・かたかなの用例を出しながら語った点は日本語の持つ特質を立体的に論じ注目されます。さらにその属性が文物、文化、工業にまで論点が広がるのは、この詩の裾野の広さと言っていいでしょう。最後は英語が話題になります。「まぁ、そう熱くなるなよ」―とありますが、僕も同感ですね。危険ということはないと思いますがね。まあ、程度問題でしょう。ここは視野を大きく取って、英語を引き合いに出しながらも、昨今の日本語への浅学、乱れを心配していると解釈したいと思います。佳作半歩前で。


7 白猫の夜さん 「月下の旅路」 2/24

まず初連と2連に語り手が存在するようです。3連「神無月~」以降、物語を語るように、女性の独白詩の体裁を取っています。これは男女の心中を描いたものでしょうが、今どき「ひい ふう みい」とは言いませんから背景は江戸時代や明治時代を感じさせます。文中「貴方」が男。最初の「ほら 一緒に」は男の生のセリフでしょう。気になるのは「幼い貴方」とある点ですね。そして先に死んだのは男のようで、しかも女が手をかけた、と取れなくもない。このあたりの前後関係が今ひとつはっきりしませんが、作者自身がそういった事は意図して避けたような気がしてます。それを補うように、たっぷりと心情吐露が成されています。ショッキングな事態を扱っていますが、主人公のひたむきな想いと、美しく優しい文体で終始したお陰で、悲しくも美しい作品になりました。佳作を。
しかし、今まであまりなかったモチーフでした。


評のおわりに。

いよいよ三月。早いものです。
僕にとっては、環境というか、風景が少し変わる春です。
みなさん、よい春をお迎えください。では、また。

編集・削除(編集済: 2025年03月02日 18:51)

我らのボール  温泉郷

台風一過の海岸
大きな波がせり上がっては
浜に広がり
ひいてはまた
せり上がる
せり上がった波の腹は
濃緑の鏡面のように
ツルツルに輝いている

台無しになった旅行
ぼくと弟とK君は
無言で波を見ていた
風はまだ強い

弟がどこからか
少し空気の抜けた
黄色いゴムボールを見つけてきて
せり上がった波の鏡面に投げつけ
崩れる波より先に逃げてきた

ボールは波に飲み込まれて
消えてしまったが
浜に広がった水の中から
また ポツンと現れた

今後はぼくが
ボールを拾って
引いていく水を追い
波がせり上がるのを待って
鏡面に投げつけて逃げた
ボールはやっぱり戻ってきた

野球少年のK君も
早い球を投げつけて逃げた
ボールはやっぱり帰ってきた

弟、ぼく、K君の順に
ボールを波に投げつけては逃げた
その度にボールは帰ってきた

いつしか
黄色のボールは
「我らのボール」と名付けられた

波がせり上がるタイミングは
もう僕らにはお手のものだ
我らのボールは
必ず帰ってくるのだ

弟がK君のように
速い球を投げようとした
ああ!
ボールはわずかに高く
波頭をかすめて後ろへいった
ボールは沖へ沖へと流されていく

弟は泣き出しそうな顔をした
ほくは 弟に何か言いたかったが
何も言わなかった
K君も何も言わなかった

我らのボールは
濃緑の海を沖へと渡っていく
黄色い点が海面を滑り
うねりの影に消えていく

弟はしばらくして
「ごめん」と言った

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