県北より、雨にもめげず二人のお客さん。左の上級者さん、花柄の残り地で、金蠅が仕立ててあげた半巾帯を結んで見えたので、とても嬉しい。右の初心者さんは、呉服屋さんで店員五人に囲まれて恐ろしい思いをした話をしてくれる。そんな話を聞くたび、お吟は商売人にはなれないなあと思う(笑)。
単帯その人らしく着こなして 富安風生
電車で海を渡って、猪熊弦一郎現代美術館を訪ねる。四国は香川の丸亀駅には何度も降り立ったというのに、丸亀城と骨付き鶏のお店にしか興味がなく、駅前に、↓こんなユニークな美術館があるのに気付かなかった。
猪熊弦一郎の一番有名な作品は、三越の包装紙「華ひらく」だろうか。 白地に赤で有名な三越の包装紙「華ひらく」のデザイン。このデザイン画を受け取りに赴いたのが当時三越に勤務していたやなせたかしだったという逸話も(笑)。
猪熊弦一郎は、パリでマティスに師事していた。マティスから、「おまえの絵はうますぎる」と言われ、「人に良く見てもらうためではなく、思ったことを素直な虚飾のない姿で表現することが大切」と知る。
しかし、マティスの影響からなかなか抜け出せなかったそうだ。展示の、色彩に溢れた抽象画を見て、お吟さん、マティスの『ジャズ』の色彩とバランス感覚の清新さを、しみじみ思い出した。
花柄の食器尽づくしやパリ―祭 檜紀代
紅型が仕上がる。和服というのは、柄が、左右非対称だから粋なのであるが、この沖縄の紅型、なにからなにまで左右対称の柄である。衿まで、うしろ中心に向かって左右対称になっており、驚く。で、民族衣装をちょっと検索してみると、世界中ほぼほぼ左右対称。驚くのは、和服を見た世界中の人の方なのだ(笑)。
二の腕の思はぬ白さ更衣 檜紀代
ジャズピアニストさんが岬の名曲喫茶へ行きたいと言ってくれたので、お連れする。倉敷の茶房の、ジャズを歌う店主も一緒に。リクエスト出来ると聞いて、「交響曲第6番 『田園』」と用紙に書かれた。ここは、私語厳禁なのである。お吟は、句集などめくりつつ、居眠りもしつつ、、、。トイレから帰って、もうとっくに『田園』は終わっていると思っていたら、まだ終わっていないとピアニストさん。39分の演奏だという(笑)。
帰りしな、『田園』がお好きなんですか?と訊ねると、「倉敷の茶房のレコード鑑賞会で、ベートーベンについての講義があるから、その予習です」とのお返事。ほんとうに謙虚で真面目なお人だ。レコード鑑賞会へは、何も知らないお吟も参加する。なに、お針の道具さえあれば、退屈とは無縁なり♪
笹百合の人近づけば横を向き 檜紀代
