2026・6月度みんなのネット俳句会 互選結果
金賞 37 【ちとせ 】 立ち漕ぎの生徒眩しや更衣 (11点)
銀賞 33 【ヨ ヨ】 新茶入れ朱泥急須の淡緑 (9点)
銅賞 17 【弥 生】 歓声はきっと缶蹴り夏木立 (7点)
々 23 【岩 宮】 子らの言ふじじ反抗期冷奴 (7点)
々 25 【ふうりん】 忍冬咲いて愁眉を開きけり (7点)
次点 39 【にゃんこ】 父の日に黒いクレヨン画の眼鏡 (6点)
々 73 【かをり 】 水無月や碁石をあらふ父の息 (6点)
々 84 【てつを 】 捩花や断ちきりたきは負の連鎖 (6点)
※銅賞の3句はそれぞれ特選1のため同点としました。
※参考
総合点
ヨヨ21点、かをり19点、ちとせ17点、弥生14点、アイビー12点
2026・6月度みんなのネット俳句会 互選結果一覧表
1 ✤ 1点 【岩宮】 明易し夢の続きは又今夜 ✤ 胴長おじさん
2 ✤ 2点 【あんのん】 鯵大漁釣果の報にうそ少し ✤ ダイアナ、アイビー
3 ✤ 0点 油虫探し求めて朝が来る
4 ✤ 2点 【ダイアナ】 ドアフォンの上に雨待つ雨蛙 ✤ にゃんこ、ふうりん
5 ✤ 1点 【ヨヨ】 行かないで心地よき風五月尽 ✤ ラガーシャツ
6 ✤ 3点 【和 談】 初孫の六月賞与初傲り ✤ ちとせ、◎ヨ ヨ
7 ✤ 5点 【かをり】 裏富士の雲ほどけたり桜桃忌 ✤ ちとせ、ヨシ、てつを、森野、アイビー
8 ✤ 3点 【アイビー】 えいやあと五句を投ぜり心太 ✤ ヨシ、弥生、コビトカバ
9 ✤ 1点 【コビトカバ】 お局の小言も交わす若葉風 ✤ ふうりん
10 ✤ 2点 【アイビー】 鬼平になつたつもりの鮎の飯 ✤ ラガーシャツ、岩宮
11 ✤ 0点 降りぐせの梅雨空罵りペダル踏む
12 ✤ 0点 カーテンの向こうに聞こゆ四十雀
13 ✤ 0点 燕子花あやめ菖蒲か紺光る
14 ✤ 0点 各駅の車窓に見つけ花柘榴
15 ✤ 1点 【てつを】 かはたれの雲の澱みて栗の花 ✤ ちとせ
16 ✤ 1点 【あんのん】 蚊遣香先を知りたし栞ぬく ✤ ダイアナ
17 ✤ 7点 【弥生】 歓声はきっと缶蹴り夏木立 ✤ ヨシ、◎てつを、にゃんこ、ナチーサン、ラガーシャツ、かをり
18 ✤ 1点 【茶々】 黄菖蒲の八重咲き揃ひ踊りかな ✤ ふうりん
19 ✤ 1点 【胴長おじさん】 貴婦人の頃が懐かしバナナかな ✤ ナチーサン
20 ✤ 0点 酷暑かな歳時記忘れた自然界
21 ✤ 1点 【ちとせ】 子育てらし威し鳴きすや夏烏 ✤ ふうりん
22 ✤ 0点 子燕の口犇めいて餌を求め
23 ✤ 7点 【岩宮】 子らの言ふじじ反抗期冷奴 ✤ ちとせ、にゃんこ、森野、ダイアナ、あんのん、◎ナチーサン
24 ✤ 3点 【ダイアナ】 彩雲の流れて初夏の十四夜 ✤ 森野、ヨ ヨ、岩宮
25 ✤ 7点 【ふうりん】 忍冬咲いて愁眉を開きけり ✤ 弥生、てつを、森野、ヨ ヨ、◎ダイアナ、岩宮
26 ✤ 1点 【てつを】 召集の命下りしかウリハムシ ✤ 和 談
27 ✤ 0点 焼酎瓶買物篭に鎮座して
28 ✤ 0点 樟脳の匂ふ押入れ衣更
29 ✤ 2点 【ラガーシャツ】 初夏晴れに熊鈴の鳴る遊歩道 ✤ ちとせ、ふうりん
30 ✤ 3点 【ちとせ】 白壁に青田広がる散居村 ✤ ヨ ヨ、岩宮、かをり
31 ✤ 0点 白南風や部下のデートを目撃す
32 ✤ 2点 【ちとせ】 新じゃがを束子で擦るつるり膚 ✤ ふうりん、岩宮
33 ✤ 9点 【ヨヨ】 新茶入れ朱泥急須の淡緑 ✤ 胴長おじさん、ヨシ、てつを、◎和 談、ナチーサン、ラガーシャツ、◎茶々
34 ✤ 2点 【ラガーシャツ】 素麺や喉ごしも良しその細さ ✤ 和 談、茶々
35 ✤ 2点 【森野 そぼつ降る泰山木の咲く寺苑 ✤ ヨシ、ヨ ヨ
36 ✤ 1点 【ふうりん】 ダービーを取つて競馬の二連勝 ✤ アイビー
37 ✤ 11点 【ちとせ】 立ち漕ぎの生徒眩しや更衣 ✤ 胴長おじさん、◎ヨシ、てつを、◎ふうりん、あんのん、◎アイビー、コビトカバ、ナチーサン
38 ✤ 4点 【ヨヨ】 頼りたき身内は遠く梅雨間近か ✤ 胴長おじさん、アイビー、和 談、ラガーシャツ
39 ✤ 6点 【にゃんこ】 父の日に黒いクレヨン画の眼鏡 ✤ 胴長おじさん、ヨシ、◎弥生、岩宮、茶々
40 ✤ 1点 【胴長おじさん】 父の日や空白の文字のみ占めて ✤ 森野
41 ✤ 0点 夫剪定羽抜鶏ごと羅漢槙
42 ✤ 1点 【にゃんこ】 梅雨曇ますます重き貨車の列 ✤ ちとせ
43 ✤ 0点 梅雨間近繙いてゐる闘病記
44 ✤ 5点 【かをり】 手鏡に映る水無月風過ぐる ✤ 弥生、にゃんこ、森野、ヨ ヨ、あんのん
45 ✤ 1点 【アイビー】 でで虫のオブジェの上の蝸牛 ✤ にゃんこ
46 ✤ 0点 でで虫を見らば口つくあの唱歌
47 ✤ 0点 てふてふに蕾のあらば柿の花
48 ✤ 1点 【森野】 天国と思へる一歩冷房車 ✤ 弥生
49 ✤ 4点 【ヨシ】 剥く手間も美味しさのうち夏蜜柑 ✤ アイビー、ナチーサン、かをり、茶々
50 ✤ 0点 搭乗の手続はスマホかたつむり
51 ✤ 2点 【ラガーシャツ】 登山帽ウェストン碑より動き出し ✤ ◎かをり
52 ✤ 2点 【ナチーサン】 樋伝ふ雫を染めて柿若葉 ✤ ふうりん、岩宮
53 ✤ 0点 夏風にだるだるせざるを得ない吾
54 ✤ 0点 夏蝶の色深まりて海賊旗
55 ✤ 1点 【和 談】 夏場所や土俵が命藤凌駕 ✤ 茶々
56 ✤ 0点 夏野菜紫小かぶカリカリと
57 ✤ 2点 【森野】 何にでも神宿りてか花は葉に ✤ ◎ラガーシャツ
58 ✤ 3点 【弥生】 なみなみと注ぐ地酒や江戸切子 ✤ あんのん、かをり、茶々
59 ✤ 3点 【ヨシ】 俳句本開いたまんま明易し ✤ コビトカバ、◎岩宮
60 ✤ 1点 【アイビー】 バイク見て柴犬吠ゆる夕薄暑 ✤ あんのん
61 ✤ 2点 【弥生】 博学なシニアガイドや街薄暑 ✤ アイビー、コビトカバ
62 ✤ 0点 初夏の藤無料ガイドの五稜郭
63 ✤ 3点 【かをり】 薔薇切るや呼ばれし気して振り向かず ✤ ◎あんのん、コビトカバ
64 ✤ 0点 昼下りエアコン洗い野球観る
65 ✤ 2点 【てつを】 壜に香を詰めて帰らむ花蜜柑 ✤ ◎にゃんこ
66 ✤ 1点 【弥生】 プードルがよく似合う場所薔薇の園 ✤ コビトカバ
67 ✤ 0点 深くまで木曽駒は碧夏の風
68 ✤ 1点 【岩宮】 襖戸の何やら重き梅雨入かな ✤ ヨ ヨ
69 ✤ 2点 【ヨシ】 故里の四方の山々新樹光 ✤ ◎ちとせ
70 ✤ 0点 細麺を食べて至福の涼夜かな
71 ✤ 1点 【ナチーサン】 またまたか横綱不在五月場所 ✤ 和 談、
72 ✤ 5点 【アイビー】 待つといふ揺るがぬ知略蟻地獄 ✤ ヨシ、てつを、あんのん、◎コビトカバ
73 ✤ 6点 【かをり】 水無月や碁石をあらふ父の息 ✤ 弥生、てつを、ダイアナ、あんのん、コビトカバ、ラガーシャツ
74 ✤ 3点 【あんのん】 満ち足りて留守居の夫に買ふ鰻 ✤ ヨ ヨ、ダイアナ、茶々
75 ✤ 2点 【森野】 耳遠き夫に老鶯届く今朝 ✤ 胴長おじさん、かをり
76 ✤ 1点 【ヨシ】 耳鳴のしては止まらぬ走り梅雨 ✤ 森野
77 ✤ 0点 ジメジメもめげぬ六月の花嫁は
78 ✤ 0点 山開き誰となく詠む俳句かな
79 ✤ 3点 【ヨヨ】 柔らかに万緑生みし大地かな ✤ 和 談、ラガーシャツ、岩宮
80 ✤ 1点 【茶々】 湯上りのあやめ紺染め浴衣かな ✤ 和 談
81 ✤ 0点 夕闇に皐月のあかり庭照らす
82 ✤ 1点 【コビトカバ】 幽霊海月毎日同じ事をして ✤ 弥生
83 ✤ 1点 【ヨシ】 よく見れば愛しき花よどくだみは ✤ 茶々、
84 ✤ 6点 【てつを】 捩花や断ちきりたきは負の連鎖 ✤ にゃんこ、◎森野、ダイアナ、アイビー、ナチーサン
85 ✤ 1点 【あんのん】 リズムごとつかず離れず夫婦生く ✤ 胴長おじさん、
86 ✤ 1点 【岩宮】 老鶯をしかと聞きたる木立かな ✤ かをり
87 ✤ 2点 【ナチーサン】 若葉風入れ墨の香の流れけり ✤ 弥生、にゃんこ
88 ✤ 1点 【弥生】 わんぱくの怖くて好きな蜥蜴かな ✤ ナチーサン
89 ✤ 2点 【胴長おじさん】 山滴る惚けないことは惚れること ✤ ダイアナ、アイビー
90 ✤ 4点 【ヨヨ】 数独を競ふ夫婦や走り梅雨 ✤ 胴長おじさん、てつを、和 談、かをり
91 ✤ 1点 【ダイアナ】 洞爺湖を見下ろすホテル五月晴 ✤ ちとせ、
煩雑を避けるため、二つの記事を一つに纏めました。文責アイビー。
19 悪態をついて大根くれにけり
一読にやりとした。気の置けない隣人どうしの日常とはこんなもの。近年せわし
い日常に追われ近所付き合いも疎遠になった。
特に都会では。子供が少なくなったからだろうか。子ども会も危機に瀕していると
いう。嗚呼、昭和は遠くなりにけり、か。
48 雪解や石炭殻を突き崩す
最近あまり見かけない風景だが良いところに目を付けた。石炭殻を想像する。昭
和の昔まで遡ることに。蒸気機関車に思いが至
った。雪国だろうか。「突き崩す」の座五が心に響く。
85 ぱつと吐く楮打つ手に息白し
こうぞはくわ科の落葉低木で春に淡黄緑色の花や6月頃に実が楽しめるそうだ。
樹皮は和紙の原料になる。この句は和紙を作る過程を詠んだもの。そうと知れば一
読して景色が見えて来る。動きのある臨場感溢れる句だ。
95 針供養小瓶に入れる針と塩
針供養になぜ塩が登場するのか解らないが何か宗教的な意図があるのだろう。し
かも小瓶に入れるという。ここでネット先生に針供養について教えていただいた。
12月8日、2月8日(事八日)にコトのカミ神(年神様、田の神様)に針を豆腐やこ
んにゃく、餅などに挿して寺社などで供養する行事のようだ。塩のことはどこにも
出てなかったからその地域のものだろうか。
※上記4句は無点句だが私なりには次点の句である。どの句にも捨てがたい味があり心惹かれた。
87 ポケットにみすゞの詩集クロッカス (菫さん) 1
「みすゞの詩集」に不案内で採らなかったが座五のクロッカスとの関連で心に残
った句だ。読み直してみて何か懐かしい気持ちに
させられる落ち着いた良い句だと思う。
88 儺やらひや度し難き者それは吾 (てつをさん) 2
≪鬼やらひ己の鬼は追ひきれず≫ の拙句を思い出した。「度し難き者」言い得
て妙。ホントですね。でもほとんどの人はそれに気づかない。先日こんな句を作っ
たが如何かな。 ≪福は内鬼も内とや節分会≫ ある寺社での節分会を見ての作。
94 空セ貝手窪に並べ春隣 (ウグイスさん) 1
良いですねこの句。手窪ですか、なにかほのぼのとしてきますね。
つい、ですます調になりました。
嚶鳴庵で句会があった日ですから今週の水曜日、22日でしたが佐布里の梅林を覗いてきました。寒波も緩んでお誂え向きの梅日和になりましたが、佐布里の梅も丁度見頃で結構な人出でした。週末はいろんなイベントもあるようで、お暇のある方は覗かれてはどうでしょう。佐布里は愛知県の知多市ですが、それ以外の地方にも梅の名所は数多くあります。是非、各地の梅情報もお知らせください。
昨日の嚶鳴庵俳句教室においでのみなさま、遠方からありがとうございました!
この掲示板の案内をしておきましたので一人でも多くの方がこの場所にたどりつけたら、うれしいです。
俳句は、切磋琢磨して巧くなるもの、いろいろな句にふれて、選んで腕は磨かれてゆくもの、ごく一部の人は顔もなんとなく
存じ上げていますが、匿名で、作風もいろいろ変えて提出できるのが利点、もし、成績がイマイチなら、次の月に、がんばればいい
だけ、継続は、力なりと言います。あきらめるな、くじけるなの精神で楽しめばいいと思います。
まだ、私も、ひよこもひよこの青二才です。嚶鳴庵俳句教室は、新年度も続きます。詳しい予定が決まり次第、ご案内して
いきますのでよろしくお願いします。
こちらこそお世話になりました。実は管理人の私も存じ上げない常連投句者もいるのです。俳句はこうでなければいけないと言う人がいない句会ですので、皆さん自由に伸び伸びと投句されておられます。所属句会には出すのを憚られる句でも、ここなら大丈夫です。是非チャレンジしてみて下さい。
第34回伊藤園おーいお茶俳句の募集が2月28日までです。最高賞金が50万円と高額で、その他色んな特典がありますので、吾と思わん方は応募してみて下さい。専用の応募はがきでもよいですがインターネットからでも応募できます。
公式サイトのアドレスは https://itoen-sinnhaiku.jp
アイビーの俳句鑑賞 その4
6 和紙透くる柔き光や春立ちぬ (ナチ―サンさん)
和紙は近年、世界遺産に登録された美濃和紙などを始めとして再評価されている。洋紙には無い自然の光沢と柔らかさが見直されたのだ。愛知県では小原村(現、豊田市小原地区)が和紙の産地として知られる。その柔らかさを強調するのに、紙を透かす光が柔らかいとワンクッションおいて表現した作者。駘蕩たる春のイメージを醸し出すのに成功した。今月のトップに並んだ秀句。
42 雪降りて樹木の描く楕円の美 (和談さん)
雪が樹木の枝に綿帽子状に降り積もった様を「楕円の美」と把握した作者。この句の肝はいつに「楕円の美」にあると言って過言でない。やや分かりにくいと言う人もあるかも知れない。その場合でも、作者の感性が優先されるのは当然で、4点を得たことに自信を持ってよいと思う。
69 狐火やいまよみがへる資本論 (てつをさん)
狐火は、夜間に明りが一列に点り、数が増えたり減ったりするする原因不明の現象で、冬の季語。資本論は言うまでもなくカール・マルクスの著作で、20世紀を席巻した。だが現実には唯物史観に立脚した国家運営は悉く破綻し、辛うじて中国と北朝鮮が命脈を保つのみだ。だからと言って資本論を、単なる知識階級のノスタルジア、あるいは前世紀の遺物として葬り去ってよいのかという、深刻な問いかけと解釈したい。現実社会を覆う閉塞感、貧と富の二極に分化する社会構造。答えは容易には出ない。闇夜に浮かぶ狐火のように捉えどころがない。
29 空っぽの箱につまづく春浅し (えっちゃんあらさん)
73 決められぬ本音を置いて二月尽 (えっちゃんあらさん)
いずれもえっちゃんあらさんの高点句。ちょっとした人生の機微をついた秀句だ。句に込められた寓意は様々な解釈が出来るが、私たちが日常で遭遇する色んな局面で思い当たる節は多々あるのだ。作者自身は「いや、そんなことはない。深読みのし過ぎ」と言うかもしれないが、一たび読み手に渡った俳句は作者の手を離れる。これは宿命だ。
80 五十路なり出しては仕舞ふ春の服 (無点)
この句も無点だが人間の機微をついた面白い句だ。五十路はジャスト50歳のこと。色香はまだまだ衰えていないが、さりとて溌溂とした若さも無い。非常に微妙な年齢が50歳なのだ。春の衣服を出したのはよいが、派手過ぎないか、いやこのくらいは着こなさなければ、心は千々に乱れる。「出しては仕舞ふ」が無性に可笑しい。
(完了)
ところで明日の22日は嚶鳴庵句会でしたね。兼題が節分とバレンタインデーでしたかね。
アイビーさんへ はい、そのとおりです。返信が遅くなり申し訳ございません。
どうやらパソコンに寿命がきたようです。 次回からの投句は無理っぽいです。
えー残念です。毎回名前変えての投句でしたが、私なりに当てていました。束束子、帷子?とか。偶に頂く白桃で詠正さんの句がすきでした。携帯はお持ちでは無いのですか。何とか続けて頂きたいです。
アイビーの俳句鑑賞 その3
35 紀の字もつ父と呑みたる建国日 (かをりさん)
「紀」は紀元節の「紀」にちなむ名であろうか。とすれば2月11日が父君の誕生日でもある。考えて見れば、父親とじっくり腰を据えて酒酌みかわすことはありそうであまり無い。お互いに照れくさいのが先に立ってしまうのだ。久しぶりに親子で酒酌みあわすこともよいものだ。知らなかった父の一面にも触れ、あの時の父の心境はこうだったのかと理解できるようになる。筆者の知人にも「紀」の付く人がいるが、こちらは昭和15年生まれで紀元2600年にちなむ。
47 立春の光に濡れて鎖樋 (市原さん)
鎖樋は寺院などでよくみられる、装飾的な雨樋で下に天水鉢などで雨水を受ける仕組みになっている。雨上がりの陽光に鎖樋が濡れて光っている。見逃しがちな一瞬に詩情を得た作者の鋭い感性に敬意を表したい。「立春の光に濡れて」という楚辞が見事だ。
53 義母の味すなはち夫の納豆汁 (尾花さんさん)
納豆はどちらかというと東日本のもので西日本では馴染みが薄いように思う。まして納豆汁となるとまるで見当もつかない。縁あって結婚した夫婦でも食文化の違いは一夕には克服できるものではない。夫から納豆汁を所望されたが、作り方が分からない。夫の説明を聞いて作るには作ったが、どうもちょっと違うようだ。ここにおいて、夫のソウルフード納豆汁とは夫の母親、つまり作者から見れば義母の味に他ならないと結論が出たようだ。
58 節分や揉みあう漢国府宮 (茶々さん)
コロナの影響で中止になっていた国府宮の裸まつりが久しぶりに行われた。漢はおとこと読む。素直に外連味なく詠んだところに好感が持てるが、国府宮の裸男の揉みあいは天下に周知のことで、もっと違う視点が欲しいような気がしないでもない。あと、三句切れを解消するため少し語順を変えてみたい。「揉みあう」と「漢」を逆にして
節分や漢揉みあふ国府宮 としてはどうだろうか。
82 コロナ癒え味染みわたる七日粥 (ふうりんさん)
この句には二通りの解釈ができると思う。ひとつは、あれほど猖獗を極めたコロナ禍も、此処へ来てようやく収束の兆しが見えつつあることだ。行動の制限が外されることの開放感。もう一つは、自分自身がコロナに罹患し、ようやに快癒したという解釈だ。私は後者の解釈をしたい。この解釈であれば、中七の「味染みわたる」が断然生きてくる。少し塩味の利いたお粥がこんなに旨いものだとは、という腹の底からの喜びが伝わってくる。
76 白葱のにゆつと飛び出て舌を焼く (無点)
今月は無点句になったのが不思議なほど面白い句が多かった。この句などもそうで、鍋物などにありがちな光景を軽妙に詠んだ句だと思う。白葱がにゆっと出るという表現がユニークだし、誰しもが「あるある」と共感を呼ぶこと請け合いだ。
(以下次号、不定期掲載)
アイビーの俳句鑑賞 その2
11 頃合いに次の熱燗運ばるる (ABCヒロさん)
小料理屋か何かの光景であろうか。手際よく料理を運び、熱燗が途切れる頃合を見計らって出す。心憎い気配りだ。これが逆のケースになると悲劇だ。料理は来ない、酒はとっくに空になっているのに燗がついてないと来ては、座は白けるばかりだ。そこのところを上手く采配するのが女将の腕だろう。おかげで論壇風発、酒席はいやが上にも盛り上がる。
15 夫婦して続く寒波に老いの愚痴 (令淑さん)
今年の冬は、初っ端の豪雪でてんやわんやしたから、随分寒かった印象がある。いつまで寒い日が続くんだと、夫婦して愚痴ともボヤキともつかぬことを言いあっているのが可笑しい。寒い冬とか暖冬とか言うが、これは多分に印象に左右されることが多い。気象庁の統計では真逆の結果になったりするから印象も当てにならない。
21 豆まきの投げは大きく声低し (いちごさん)
当節は近隣からクレームが来るから節分の豆まきもおちおち出来ない。いきおい声を潜めて「鬼は外」とやる仕儀となる。どうも世知辛い世の中になったものだ。野球のピッチャーではないが、モーションは大きく振りかぶるのに、豆を撒く掛け声は蚊の鳴くような声になり、まるでしまりが無い。動作と声のギャップをマンガチックに捉えユーモラスな句になった。
28 きりきりと二月の風に揉まれけり (菫さん)
私が特選にいただいた句。2月、暦の上では春なのに一段と風は冷たい。正に早春賦の「春は名のみの風の寒さよ」を実感させられる。この風の冷たさを表現するのに作者は絶妙なオノマトペを用いた。ありきたりのオノマトペでは平板になるし、奇抜過ぎれば読み手が共感しない。その点、「きりきり」は言い得て妙だ。「きりきり」を発見した作者の感性に拍手。
34 一斉に笛を合図に野火走る (森野さん)
野焼きは個人個人でするよりも字単位で一斉に日にちを決めて行う。経験豊かな長老の合図で点火するのだが、野原は十分に乾燥しているから瞬時に火が回る。まるで火が生き物のようだ。その様を「走る」と表現した作者の目は的確だ。
57 三年振りスキー出来たよ筋肉痛 (無点)
惜しくも無点となったが捨てがたい味のある句。作者の年齢を存じ上げないが、なにせスキーをするのが3年ぶり
という。上手く滑れるかどうか不安だったが、そこは昔取った杵柄、案ずるよりなんとかで3年前と同様に滑れた。
作者の気持ちの高ぶりが、やや粗削りな句の調子と却ってマッチしているように私は感じた。
(以下次号、不定期掲載)
57 三年振りスキー出来たよ筋肉痛
ネタバレで返信迷いましたが儘よです。御年73、出来たんですよ、嬉しくての句です。上級コースも、ちょっとスピードに慣れない感がありましたが。後の筋肉痛大変でした。アイビーさんお取上げ有り難う御座います。