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幼少  秋さやか

夏草の匂いが
立ち込めて
体じゅうに充満していた

痛そうなほど 
あかあかと滲む
夕暮れの空

皮膚に纏わりつく
生温い風が
自分と世界の境目を
絡めとってしまいそうで

逃げるように走り出せば
生い茂る夏草のなかへ
躊躇う間もなく転倒した

その先へ
放り出される虫かご

体の一部が
分解したような気がしたのは
虫かごを持っていたことを
忘れていたから

いま起きたことも
またすぐ忘れ
なにごともなかったように
立ち上がると

突き刺すような視線を
夕日に向けて
出口を探した

空がゆっくりと
瞼を閉じてゆく途中

どこかから
きこえてくる
遠汽笛

夏草の匂いが
いっそう濃くなる

震える鼓膜
を伝わって
震え出す胸の奥

また
置いて行かれてしまう

最後に見た
母さんの顔は
笑っていただろうか
泣いていただろうか

叫びたい衝動を押し込めて
捕まえたばかりの蝶を 
虫かごから放てば

不器用に羽を
風へ馴染ませながら
風へ帰ってゆく

まだ 
畏れを知らない
膝小僧からは
胸の熱さの逃げ場のように
血が流れ出している

いつか指先の
ほんの小さな ささくれさえも
許されないものに
なってしまうことを
まだ知らずに

無力だけれど
無敵でいられる夏を
膝小僧だけが
正しく
記憶し続けるだろう




ーーーーーーーーーー----------
島様、いつもお世話になっております。
実は先日、詩の記録用に使っているブログに、
細密鉛筆画家の篠田教夫さんからコメントをいただきました!!
島様から評をいただいた、「海辺の断崖」についての詩を読んでくれたようで、
必要であれば作品画像を使用しても良いという連絡でした。
洞察力のある素敵な詩と思います、という感想まで添えていただき、感激してしまいました。
まさか篠田さんが見てくれるとは思いもしなかったので、私の執念が通じたようで(笑)、本当に驚きでした。
島様に提案していただいたタイトルを使わせていただきましたので、目に止まりやすかったのだと、とても感謝しております。
島様、本当にありがとうございました。

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海の記憶  雪柳(S. Matsumoto)

ふるさとを想う時
思い出すのは いつも
海と 浜辺に響く笑い声
毎日のように 渚で潮風に吹かれて
波と 砂と 日暮れまで遊んだ
楽しかった幼い頃
その砂浜が
今は消えてしまっているという
遠い日の幸せとともによみがえる
懐かしい海の風景は
もうないのだ
昔の愉しかった時間もまた
流れ去って戻らない
まるで 夢で見た出来事

この世界に
永遠なものは何もない
生まれ出て うつろい 消えてゆく
皆 そのような存在

過ぎていったものは
もう会うことのないまぼろし
今在るものも 人も
それを映す心も
そのまま留め置く術はなく
存在すること 生きていることは
夕暮れがつくる影のように儚くて
寂しさに
悠久の時の 魔法や奇跡を
思い描いてみたりする

海は 姿を変えながら
それでも 
ずっと波打っているだろう
生まれては消える そんな中の
もうひとりのわたしのような
誰かの記憶にも
きっと 同じ幸福な時間を刻むだろう
いつか未来の 時のどこかで
また会ったねと
懐かしげに
昔語りを聞かせるように
時が繰り返す はるかな物語の中で

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百合桜 様へ  島 秀生

百合桜 様へ

ご投稿ありがとうございます。
MY DEAR管理人の島 秀生です。
すみませんが、百合桜さんは、新規登録がまだではありませんか?

掲示板の上にも書かせて頂いておりますが、
掲示板内の安全を守るため、
どなたにおかれましても、初回投稿の際に、
管理人の方へ、ペンネームとメルアドの届け出をして頂くルールになっております。

百合桜さんは、まだだと思いますので、
至急に届け出を、よろしくお願い申し上げます。

すみませんが、3日以内に届け出をお願い致します。

編集・削除(編集済: 2022年06月24日 00:43)

アバロン  Osada


ボディの色が気に入ったので
エレキギターが欲しくなった
カタログにはメーカーの最上位機種と
色の名前は「アバロン」とある

検索すると「AVALON」がヒットした
イギリスの何処かにある伝説の島だ
美しい林檎が実り 妖精達の歌う楽園
聖剣エクスカリバーはここで作られ
アーサー王の遺体が眠っている

えらく格好いいけど
何でそれがギターの色なんだ?

カタログのカタカナ表記が気になった
この綴りだと「アヴァロン」では?
英語のスペック説明文を読んでみると
Colorは「ABALONE」じゃないか

英和辞典にはメキシコ貝と
それから アワビ?
ずっこけたけど
何故だかますます気に入った

貴婦人の色香が漂うボディライン
明るく枯れたブルーグリーンの下地に
虎の縞模様のような暗緑色の杢目が
びっしりと走るアバロンカラーの電気六弦琴
こいつは暴れてくれそうだ

問題は飛びっ切り高価だってこと
新車が一台買えそうです

気分はアーサー少年なんだけど
引っこ抜けない聖剣エクスカリバー
妖精達の歌声が遠ざかって行く

やっぱりこいつは伝説の島
遥かな沖の岩礁で採れる
アワビでも食って諦めよう

編集・削除(編集済: 2022年06月23日 15:19)

Twitter始めました。 富士伊真夜

Twitter@fujiimaya0820

レギュラーメンバーさんも
Twitterやホームページしている方みえます。

興味がある方はのぞいて見てください。

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港の恋物語 プラネタリウム

港町には物語が生まれやすいんだって、誰もが知ってる。コウカイが多いからだって。


最後から7人目の恋人は汐風がよく似合う君。

溶けたアイスを舐めたかったのに、鴎の羽ばたきに驚いて落としてしょげた青空があったね。地平線を眺めて、手を繋いで夢を語り合った夕焼けだって覚えてる。
冷たい風に君の赤毛が揺れて美しかったのは特に。

「船を見送るのが好き」だと、君は汽笛の音に耳を澄ませて目を閉じる。瞼の裏にどんな景色が広がるのか知らないまま、黙って船乗りに手を振った。さっさと出航してしまえ、と諦めて帽子のツバをそっと摘んだ。
見ていられないほど真っ直ぐな船出。
「もう行こう」と言ったのはどっちだっけ?

船を送り出し続けた夜の終わり、『また、いつか』と書いた置き手紙を、朝日にそっと残して君は部屋から消え去った。
もう戻らないことはわかっていて、それでも次を期待させる優しさに笑みがこぼれる。周りを見れば、君の匂いまでもトランクケースに詰め込んだのだと気が付いたよ。
君らしくて、心底憎い。
もしも本当に『いつか』が部屋のドアを叩いたら、きっと腰を抜かしてしまうから……

二度と帰らないで。


昨日までと同じように、午前7時に路面電車が家の前を通り過ぎて誰かをどこかへ連れていく。楽しげに笑う乗客に、お達者でと合図を送った。

……そうして、波音が耳をくすぐる港町へ降り立ったのは最後から6人目の恋人の貴方。

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話し相手が欲しかったんだ  cofumi

朝目が覚めたら
夢の中に出てきた話し好きの蜂が
鼻の先に止まっていた
人差し指で躊躇なく弾いたつもりが
案の定自分の鼻先をやってしまった

起き上がろうとしたその足元には
豚が座り込んでいた
頼むからどいてくれと
手で追い払う仕草をしたが
頭に花冠を乗せ愛らしさを強調した豚は
つぶらな瞳でウインクをした

仕方なくするりと殻を脱ぐように
布団から抜けだし
シャワーを浴びようとバスルームへ行くと
バシャバシャと仔象が水を浴びて
シャボン玉の中で遊んでいた
お気に入りのボディソープは空っぽだ

あきらめて裸のまま窓を開けた
毎朝見かける野良猫が
僕の自転車にまたがり手を振ってきた
「君はいつも言い忘れていることがある。
朝は おはよう
お昼は こんにちは
夜は 今晩は
帰ってきたら ただいまだろ。」

なぁんだ みんな挨拶が欲しかったのか
そんな簡単なこといつでもしてやるさ
その日以来 挨拶で始まって
挨拶で一日が終わるようになった

そうか
僕は 話し相手がほしかっただけなんだ

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光  妻咲邦香

僕と喧嘩をしようよ
君の星とはこんなに離れてるから
たとえ光の速度で移動出来たとしても
明るい話題も届く頃には暗くなっちゃうね

僕と喧嘩をしようよ
あまりに時間がかかるから
君は怪獣になっちゃってるかな
それとも僕が怪獣になってるかな
正義のヒーローなんて何処にもいないんだよ
最初からそういうもんさ

宇宙以上に正しい道などあるものか
時に残酷な仕打ちもあるけどね
君とはその点で分かり合えなかった
だから喧嘩をしようよ
今日こそ決着を付けようよ

声が届かないよ
もう爆発しちゃったのかな
正しかったのはたぶん君の方で
僕は間違っていた
愛はあるんだね
認めたくはないけど
愛はあるんだね
でもそう言ってた君はもういないんだね

ああやっと声が届いたよ
愛はやっぱり無いって言ってた
もう遅いよ
愛はあるんだよ
何処かに絶対
何処だかわからないけど
あるんだよ
やっと認めてあげたのに
君はもういないんだね
明日は僕も爆発しちゃおかな

ねえ喧嘩をしようよ
僕と喧嘩をしようよ
宇宙にも雨が降るんだってね
だから君は、降らないって言ってよ
僕は傘を差してそっちに向かうから
どっちが上でどっちが下だろう?
どう差したらいいんだろう?
そんなに言うんなら、降らない雨の中
君を見つけたら無理やり傘を差しかけるよ

だから喧嘩をしようよ
蝶が一羽、空に向けて飛び立ったよ
星を花と間違えて
こんな夜遅くに
何処まで行くんだろう
明日この星が爆発しちゃうって
知ってるからかな
そうなる前に君と僕
決着を付けようよ
今日のうちにね

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福岡堰の雨桜

水門の停留所を降りて
小さな焼そば屋は混み合っていた

茨城県百景福岡堰と刻まれた石碑
小貝川が流れる緑の堤に
満開の雨桜の小道が果てしなく続く

こんな雨の中でも
花見に行き交う傘と人々の波

雨に濡れる鮮やかな桜の写真を
撮っても撮っても切りがない

桜の隧道と幾つもの橋を潜り抜けた先に
懐かしき屋台が連なり人々は足を止めていた

聳えたる福岡堰を越えて
雨桜は菜の花の小道に変わる

小貝川が流れる
どこか異国のような田舎道

林の中の小さな伊奈神社が
人知れず佇んでいた

雨桜の華やぐ夢に
酔い痴れたその日に
二人目の甥っ子が生まれたと
母から翌日に電話があった

携帯に送られた写真には
微笑む母親に抱き抱えられた
蕾のような小さな命

子猿のような赤ん坊の
芽生えたての産毛の髪はまだ濡れていた

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前置き  秋冬

話す前から
笑わないで欲しいと
言うのはワガママだ

話す前から
泣かないで欲しいと
言うのはヒキョウだ

前置きされると
身構えて
笑いたくなるし
泣きたくなる


ほら
やっぱり笑った

泣かないでって
言ったのに


まるで
僕が悪者のようだけど
笑わなかったら
つまんない人
泣かなかったら
冷たい人と言われる

いずれにしても
前置きはズルい

笑って欲しい
泣いて欲しいと
言ってくれればいいのに
みんな素直になれないから
後出しじゃんけん
みたいな
前置きをする

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