MENU
1,707,939
固定された投稿

★★ << 2つの掲示板のご案内 >> ★★

◆ここは「MY DEAR掲示板」です。
詩をある程度の期間書いている方、詩に意欲的に取り組みたい方、詩人に向け成長を目指す方はこの掲示板をご利用下さい。
あなたの詩をしっかりと読み、評や感想を、しっかりと書かせて頂きます。
ここから詩人として巣立った人は数知れず、です。あなたの詩を継続的に見守り、詩の成長を助ける掲示板です。

(あのーー、私が言うことでもないんですけど、詩は自由を旨としていますから、どこにでも投稿しようと思えば、投稿できないところはないんですけど、いきなり大きなところに挑戦しても、世の多くのものがそうであるように、ポッと書いて、ポッと通用する、ポッと賞が取れる、なんてことは、まずありえないことというか、相当に稀有な話なのです。
やってみることは止めませんけど、大きなところのノー・レスポンスにがっかりしたら、
あきらめてしまう前にMY DEARに来ませんか?
MY DEARは投稿された作品全部に評をお返しします。
本来、こつこつ実力をつけてから、賞などに挑戦するのが、スジだと思いませんか?
MY DEARはあなたのこつこつを、支援するところです。)

なお「MY DEAR掲示板」では、新規ご参加の際に、ペンネームとメルアドの届け出が必ず必要です。
これは掲示板内の安全を守るため、管理人に限って把握させて頂くものです(他へは一切出しません)
新規ご参加の際は、ページ一番下の「お問い合わせ」フォームから、必ず届け出をお願い致します。


◆初めて詩を書く方や、おっかなびっくり詩を書いてみようかなあーという方、
「MY DEAR掲示板」ではハードルが高すぎるよと感じる方には、別途、

   <<初心者向け詩の投稿掲示板>>
https://www3.rocketbbs.com/13/bbs.cgi?id=mydear

をご用意しております。(上記リンクから飛んで下さい)
こちらは、「メルアド届け出不要・いきなり書き込みOK・出入り自由」ですので、
なんら気にするところなく、いつでも詩を書き込んで頂けます。
誰でも、どんな人でも、気軽に詩に親しんでもらうための掲示板です。学生さん、小中学生の方も歓迎です。
投稿された詩については、詩を読んだ感想を、レギュラーメンバーの誰かが、手短なコメント(5行程度)で返してくれます。

どうぞご希望に応じて、各掲示板をご利用下さい!!!

編集・削除(編集済: 2025年01月02日 01:55)

星を隠す  人と庸

ふたつの相反する事がらの
ちょうど真ん中に立ってみる
(ただしいとまちがっている)
(たのしいとくるしい)
(うれしいとかなしい)
(すきときらい)

道標(みちしるべ)のようなふたつの光の
どちらからも遠いところに立ってみる
(ただしくもなくまちがってもいない)
(たのしくもなくくるしくもない)
(うれしくもなくかなしくもない)
(すきでもなくきらいでもない)

そこはまるで星のない夜のようで
みながすこしずつ隠しごとをしているこの世界に
とても似つかわしく思えるのだ

 ※

けれども今日の冷えきった夜空は
なにも隠しはしなかった
オリオン座のつづみ形
牡牛の顔のV字形
おおいぬの鼻のしめった光も
双子の頭の不公平なかがやきも

星たちは季節も時間も方角も示しているのに
わたしには標(しるべ)が見えず
きみにはわたし以外に寄る辺がない
そんな一人と一匹でどこへ行こうか

刃物のようにつめたい風は
意識をも切り裂いて 傷口からは
どこまでも歩いていく意志が流れ出る

かつてはそうだった

今はただ転ばないために
足を前に出し続ける
意志よりも希望よりも先に

 ※

(ただしさはくるしさになり)
(くるしさはまちがいをうみ)
(まちがいはたのしくもあり)
(たのしいとかなしくなったりする)
(そして)
(すきでありきらいであっていい)
(それらをうれしさがとおくからみつめている)

 ※

きみは走り出す
足は地面を何度も蹴って宙を舞い
この道がどこまでも続くと信じている

わたしも走る
地面からむりやり剥がした足は重いけれど
この道に終わりがあることだけは知っている

きみもわたしも笑わない
きみもわたしもしゃべらない
わたしたちだって隠すことがうまいのだ
きっとうまく生きていけるだろう

下り坂に転がされるように走っていると
星々はいつのまにか眼下に広がっている
あの星たちはみちびくためのものではない
その数だけの意識があるというしるしだ
そしてそこでは 様々な
相反する事がらが交錯しているのだろう

立ち止まったわたしたちの熱い呼気で
それらを少しかすませる
隠しごとをするには 今日は
明るすぎる夜だから

編集・削除(未編集)

2/11〜2/13までにご投稿分の評と感想です。  井嶋りゅう

遅くなりましてすみませんでした。
荻座利守さま、先月のピンチヒッターありがとうございました。大変助かりました。感謝致します。
2/11〜2/13までにご投稿分の評と感想です。
ご投稿された詩は、一生懸命書かれた詩ですので私も一生懸命読ませていただいておりますが、上手に意味を読み取れなかったり疑問を書いたり頓珍漢な感想になったりする場合もございます。申し訳ございませんがそのように感じた場合には深く心に留めず、そんな読み方もあるのだとスルーしていただけると助かります。どうぞ宜しくお願いいたします。


*****

「サイダー」上原有栖さん

上原有栖さん、こんばんは。
とてもすがすがしくなる詩でした。私が子どもの時飲んだ炭酸水と言えば、サイダーかコーラかファンタで、コーラは歯が溶けるから子どもは飲んではいけないと言われ、主にファンタオレンジばかり飲んでましたが、たぶん人生で初めて飲んだ炭酸水はサイダーだと思います。今もたまに飲みます。何となくですが、サイダーは味方みたいなイメージあります笑。この詩のように、思い出はサイダーと共にあるということ、とても共感いたしました。あと、ラムネのビー玉も思い出しましたね。

背伸びしたいのが子供の時代で
童心に返りたいのが大人の悲哀か

この比較、良いですね。大人の切なさが伝わってきますよね。童心と言えば私は夏祭りでした。去年ひまわり祭りでヨーヨーを釣りました。楽しかったです。このように、自分だったら、と色々思い出すことが出来て、とても楽しい詩でした。ありがとうございました。

*****

「感情」相野零次さん

相野零次さん、こんばんは。
まず「受け止めれる」「乗せれる」という言葉は、ら抜き言葉になってますので日本語として正しくないですので直しておいてください。
さて。「〜辛い」「〜嬉しい」途中に「〜苦しい」が入り、またしばらくすると「〜難しい」、そして「〜狂おしい」「〜恐ろしい」など、感情を表すシンプルな言葉が少しずつバリエーションを増やしていく。そして「愛だ」と断言する。この書き方はあえてだと思うのですが、私としましては非常に良かったです。とてもシンプルで、ごちゃごちゃと感情を書いていないところが良くて、すっと心に入ってきました。何と言いますか、人間の表情を見ているような感覚がありまして、言葉では表せないものが伝わってきました。ちょっと涙が出そうになりました。とても好きな詩でした。佳作といたします。


*****

「女」喜太郎さん

喜太郎さん、こんばんは。
訳アリ男女の切なさが描かれていますね。お相手にはすでに別のかたが存在しているのでしょうか。何度諦めようと思っても諦められないという結果だけが突きつけられて、堂々巡りの朝を迎える。切ないですね。いっそのこと、絶対諦めないと決めることもいいかもしれませんね。今までと逆の気持ちを持つ、そうすれば案外すんなり現実が変わるかもしれません。耐え忍ぶ感じが演歌の世界に通じていましたね。


*****

「時間よ止まれ」じじいじじいさん

じじいじじいさん、こんばんは。
もう少しで卒業だからと、使い捨てカメラで放課後の教室で写真を沢山撮った中学3年生の冬を思い出しました。まだ携帯電話がなかった時代でした。あの日はまだ雪が降っていて教室はとても寒かったんです。思い出って色や温度も一緒に思い出されてきますよね。4連目に「この時の笑顔は一生の思い出」とありますが、ほんと、そうだと思います。この詩には視覚での思い出が多いですが、きっと体感温度や匂いなどもあったはずで、その辺が書かれてあったらもっと良かったかなと思いました。懐かしいことを思い出させていただき、しばし過去に浸ってしまいました。ありがとうございました。佳作一歩前といたします。


*****

「開花」佐々木 礎さん

佐々木 礎さん、こんばんは。
大作でしたね。強い感受性や生きづらさ、伏し目がちな眼差しなどを感じます。一見脈絡がないように思えるものも、読み進めて行くと何となく辻褄が合うように思えてきて、飛躍表現もすんなり入ってきました。読めば読むほどしっくりとくる、面白い書き方だと思いました。表現へのこだわりや愛着、丁寧さも感じられました。佳作といたします。
ひとつ。このような書き方の詩は、もしかしたら私よりも適任の評者さんがいるかも知れません。三浦さんや島さんや水無川さんなど、私よりももっとこの詩について具体的な読み込みやアドバイスが叶いそうです。せっかくの大作で勿体無いと感じるところもありますので、このようなアドバイスをお伝えさせていただきます。参考になれば嬉しいです。


*****

「喪失」温泉郷さん

温泉郷さん、こんばんは。
ちょっとしたミステリーでした。ふとよぎる疑念が空間を歪ませる。黒い影となって自分の内側に迫ってくる。あの日あの時のあの人の表情言葉背中靴音。見逃したはずはないのに何かを見落としている、そんな感覚が伝わってきました。違和感異空間の中にはもしかしたら希望もあるかもしれない、いやないかもしれない、黒か白か、あの橋を越えて自ら結界を破ってしまえばとペダルを漕ぐけれど、変わらぬ灰色の空間の中を走っているだけ、そのようなやり切れなさのような感情を受けました。とても面白いと思いました。
さて、私は冒頭に、ちょっとしたミステリーと書きました。なぜそう思ったのかを書きます。この詩のタイトルは「喪失」。あの人と別れた詩。納得したはずのその別れ際の顔に疑念を抱き始め、心情のなりゆきがミステリー展開であるのですが、実は肝心のあの人の別れ際の顔が見えないのです。泣いてたのか笑ってたのか空虚だったのか?などなど。なので

まさか?
もしかして?

と書かれている意味を、プラスにとらえればいいのかマイナスにとらえればいいのか、正直どちらかなと思って読みましたが、歪んだままで終了しているので混沌としたままの感情なのだろうと私は読みました。この辺の書き方については人それぞれになるかもしれず、あいまいのままで想像の幅を広げておきたいかたと、そうではないかたと、いるかもしれません。今回はじゅうぶんに楽しめましたので佳作といたします。


*****

以上、6作品のご投稿でした。
どうもありがとうございました。
ここ数日、あたたかくなったように感じます。
花粉も飛び始めています。
なるべく対策をして乗り切りたいと思います。
その後の地獄の夏はどうしたら‥。

編集・削除(未編集)

黄色い囚人陽気に踊る  佐々木礫

「先生、もう狂ってはだめでしょうか。そして、一生病院で暮らすのです。精神病者と一緒に笑うのです。いや、私も精神病者として笑うのです。
 私は白痴が嫌いです、というより怖いです。その恐怖のあまり、私はいっそのこと自分が白痴になってしまいたいと、思わずにはいられないのです。心理障壁を乗り越えて、頭のおかしい若者として社会に汚点を刻む勇気が湧いて来るのです。
 爆破してください先生!私の頭を今すぐに!」

*** 

 黄色い囚人陽気に踊る
 黄色いタイツを着て踊る
 充血した目でトライアンドエラー
 同じステップを繰り返す
 ドン、ドンタカタン
 ドン、ドンタカタン
 足は四股踏みドンタカタン
 黄色い囚人陽気に踊る
 今日のお空は晴れ模様
 しかしお部屋でドンタカタン
 黄色い囚人陽気に踊る
 リズムが崩れて額に汗する
 ドン、タカドンタンドンドン?
 黄色い囚人陽気に踊る
 はち切れそうな肺で息する
 ハァタカドンタンハァドンタン
 黄色い囚人陽気に踊る
 右手でナイフを振り回して叫ぶ
 「ハァドンタカタンドンタカタン!」
 黄色い囚人陽気に踊る
 前髪ナイフで切り裂いて
 おかっぱ頭で陽気に踊る
 黄色い囚人陽気に踊る
 おかっぱ頭で「ドンタカタンハァ」
 目を見開いて「ドンタカタンハァ」
 狂気の囚人陽気に踊る
 黄色い狂人まだまだ踊る

編集・削除(未編集)

夜の山道  こすもす

真夜中に山道をひとり歩いていた
その道はとても細く
深い森に覆われている
雨に濡れた枯葉が
靴にまとわりつく
冷たい風が頬を刺す
森からは
夜行性の動物の
不気味な鳴き声が
聞こえてくる

何度も引き返そうと考えたが
振り返っても
辺りは何も見えない
気を取り直し
目の前にある
暗闇の道を進む
どのくらい歩いただろうか
登っているのか
下っているのか
わからなくなっていた

はるか遠くに
街の灯りが見える
その瞬間ただ走った
街の灯りが近づくにつれ
寂しさや不安が
道の後ろに落ちてゆく
辺りの空気が
暖かくなってゆく
街に辿り着くと人影が見えた
その人に声をかけようとしたとき
目が覚めた
窓から朝の光がさしこんでいた

わたしがひとり歩いた山道は
昨日の昼に車で通った道だった

編集・削除(編集済: 2025年02月26日 22:00)

水溜り  樺里ゆう

転勤を機に
中学生の頃以来 九年ぶりに
自転車に乗りだした

雨上がりの朝
水溜りの上に車輪が割り入ると
蜘蛛の巣のように
花火のように
しぶきが広がり
透明で涼やかな音がする

そして思い出した
中学生だった私も
この光景が好きだったことを

静かな鏡面を
やわらかにくだく
それが雨上がりの楽しみだったことを

人間の脳って 本当は
ぜんぶ覚えているのかもしれない
普段 思い出さないだけで

何かの拍子に
記憶の引き出しが開けば
かつての私に何度だって
出会い直す

忘れていた私に
出会い直す

その瞬間
私は 
私を取り戻したような気になる

編集・削除(未編集)

18歳と364日 喜太郎

明日で私は19歳になる
今日で18歳とはお別れ
18年間と364日間の間
私は生きてこれた
きっと多くの人の助けや
きっと多くの人の思いが
私の命を繋いでくれたから
時には少し大人に見られて
時には少し子供に扱われて
迷ったり悩んだり反抗もしたし
恋もして
愛と言う愛しさが少し分かりかけた時
失恋もした
理由の無い流した涙は孤独の夜
それでもまだ素直に泣けたから
だけど気づいたら作り笑顔を少し覚えてて
涙も笑顔の下に隠す事を覚えて
身体が大きくなると見えるモノもたくさんで
でも心は狭く息苦しく感じてしまうのは何で?
明日 私は19歳になります
きっと普通のいつもの朝が来て
心の中でもこんなものかと感じるんだろうな
そんな感じで良いのかな まだ今の未熟な私には……

編集・削除(未編集)

欲望のソネット  松本福広

乙姫様が開けては行けない玉手箱を
お土産に渡したのは何故なのでしょう?
ゼウス様はどうして開けてはいけないパンドラの箱をもたせたのですか?
食べてはいけない知恵の実を
どうして神様は作ったのですか?
食べてはいけない知恵の実を
どうして神様は植えたのですか?
どうして人は兵器を作り
そのボタンを押すに至ったのでしょうか?
自分の気持ちを満たす為誰かを殺したい欲望を
人間は何故持ったのでしょうか?
なぜ…………
私たちは…………

楽園は微笑みながら永遠に暮らすには
何も困らないのでしょう。
それでも
神様はヒトに寿命たるものを
授けました。
美しく飾られた永遠の庭園に
長い時間閉じ込められた
可愛い小鳥たち。
鳥籠などないけれど
庭園の空しか知らない。
時間は転調を望んでしまう。
知らなかった空で
知らない歌の中で
私の新しい歌を。

鳥は此処ではない何処かを
望むようになって
青空以外を求めてしまう。
その鳥は誰よりも
力強く羽ばたくのでしょう。
翠色に塗られた空を
あるいは、桜色の空を。
その鳥は色々な空を知り
色々な気持ちが芽生え
色々な歌を知る。
かつての仲間たちが
懐かしい歌を歌っているのを見て
「まだ、そんな歌をうたっているの?」
あざけるように。

編集・削除(編集済: 2025年02月26日 05:34)

受け取ってもらえなかった愛は  津田古星

あなたに受け取ってもらえなかったわたしの愛は
どこへ消えたのだろう
清らかな愛も ささやかな心遣いも
行き場を失った恥ずかしさに
風に吹かれて
空の果てまで飛んでいったのか
地中深く隠れてしまったのか

あなたが果たさなかったあなたの約束は
どうなったのだろう 
真摯な約束も 軽い口約束も
傷ついて 途方に暮れて
水に流され
どこかの岸辺に打ち上げられたのか
海の底に沈んでしまったのか

愛も約束も 消えてしまうはずはない
恨みや憎しみに変わることなく
薄衣のようにふわりと
あなたの肩を被い
あるいは
小鳥のようにちょこんと
あなたの肩に留まって
きっとあなたを見守り続けている
愛を受け取らなかったあなたを
約束を果たさなかったあなたを
幸多かれと

世界中の
受け取られなかった愛や
果たされなかった約束が
地球に満ちて
見守り続ける
平穏であれと

編集・削除(未編集)

月下の旅路  白猫の夜

とある望月の宵のこと
月は眺めておりました
ひとりがひとりの手を取るのを
その手が握り返されるのを
しかと見つめておりました

今から語るはとあるお話
突如真ん前に飛び込んできた
ふたりの人間の物語


神無月の晩のこと
虚ろな瞳で月を見あげて
涙を流す貴方の御手を
今宵 拝借致しまして
共に天へと参ることに

手を取り合って
髪を靡かせ
竹の林を駆け抜ける
頭をよぎった記憶はまるで
走馬灯でありました

共に堕ちれる地獄なら
天国に他ありません
幼い貴方は仰りました
ですが私は答えなかった
悲しげに笑った貴方の顔を
きっと来世も忘れるまい

いつの間にやら薮から飛び出て
真ん前にあるは大きな月
足元はおあつらえ向きとばかりに
広がる真暗の崖にございます

今更怖気付いた私の腕を
くいと引っ張って促したのは
ほんのり頬を染め上げた
あの頃のような貴方でした

ほら 一緒に
ひぃ ふぅ みぃ
思っていたより怖くはないね
だって今宵は満月だろう

嬉し涙を上に 上に
額を合わせて 足を絡めて
ひとつに混ざり合ってしまえば なんて
過ぎたことでありましょうか

ほら 一緒に
ひぃ ふぅ みぃ
互いに目を閉じ音を聴く
背後に近づく死の気配

ほら 一緒に
ひぃ ふぅ み

あの時貴方のお誘いを
断ったことを悔やんでいます
虚ろな心を抱かせたこと
心の底から悔やんでいます

胸の上にある肉体の
鼓動が遅くなっていくを
温かな赤に包まれて
安堵したように眠る貴方を
動かない腕でかきいだく

互いに冷たくなりゆく体温に
安堵したのは私もです
ようやく貴方をこの世界から
救い出すことが出来ました

優しい者が割り食う世界に
貴方は決して似合わない
身勝手だとはわかっていますが
貴方の救いになれたこと
その見届けが出来たこと
それこそが私の救いでした

どうか来世は幸せに
私のあずかり知らぬところで
平穏に暮らしてくださいましね


息を引き取ったのは同じ刻でありました
なんとも偶然
いえ 必然と言えましょう
望月の見守る神無月に
世を儚んだ二人の旅路
願わくばふたり一緒にと
希わずにはいられません

編集・削除(未編集)

日本語  静間安夫

「おい、ところで、おまえ今年いくつになった?」

「失礼ね、女性に歳を聞くなんて。だいたい、あなたと同い年に決まってるじゃない。同じ年にこの門の両側に植えられたんだから」

「それもそうだな…うっかりしていたよ。お互いに当年とって150歳ということか」

「そうよ、それにしても時が経つと、いろいろ変わるものね…50年前、100年前には、こんなに大勢の外国の人が、このお寺に参拝に来てくれるなんて、思いもかけなかったわ」

「たしかに。今日は天気もいいし、参道は観光客でいっぱいだけど、かなり外国人が多いね。ほら、門の前で押し合いへし合いしながら写真を撮ろうとしてるのも外国人だよ。ちょうど俺たちが満開になったからかな?誰かが『○○寺門前の紅白の桜』とかいってSNSに写真をあげたのかもしれない」

「まぁ、オーバーツーリズムとか、いろいろ問題はあるけれど、でもこれだけたくさんの海外の人が、日本の風景や文化に興味を持って見に来てくれるのは、やっぱり嬉しいことよね」

「俺も同感だ。今や日本は世界の人たちにとって遠い極東の国ではなく、かなり身近な国に感じられるようになったんじゃないかな?併せて、日本の文物に対する理解も深まってきたと思うよ」

「きっとそうよ。でも、そんな時代になったにしては、肝心の日本人が自分たちの良さを本当にわかっているか?っていうと随分あやしいものね」

「まったくだ!だいたいからして、一番大切なものを自ら粗末にしているからね」

「そうそう、世界中を見回しても、これほどオリジナルで素敵な言葉を祖先から受け継いだ国民は少ないかもね」

「そのおかげで、どれほど心豊かな生活を送れているか、あまり気付いていない。例えばだ、産まれたばかりの女の赤ちゃんに親御さんが俺たちの名前をつけようとしたら、少なくとも候補が三つあるわけだ。まず漢字一字の『桜』、次にひらがなの『さくら』、それにカタカナの『サクラ』だ。この国の言葉は、同じ音を三つの違った文字で表すことができるからね…どうだい、桜ちゃん、さくらちゃん、サクラちゃん…どの名前にもそれぞれのニュアンスがあって、それぞれに可愛いらしい。一つに決めるには、ご両親もさぞ悩むことだろう」

「ほかにも例は幾らでも挙げられるわ。昨日うっすらと粉雪が舞ったけど、お雪さん、おゆきさん、おユキさん…なんて三人いたら、あなた、どの名前の女性にも、会ってみたくならない?」

「その通り!ただ、おまえが妬かないでくれればだけど…まぁ、それは置いといて、同じ yuki という発音でも、表す文字によって語感が違うからその名前を持っている人のイメージも変わってくる。このことひとつとっても、日本語がいかに繊細な表現力を持っているか、わかろうというもんじゃないか」

「そうした繊細さが豊かな文学を生み出したのはもちろんだけど、それだけじゃないわ。もともと人間が物事を考えるときは、言葉で考えるのだから、日本人が考えて創り出したものは、全て、日本語の力が関係してるはずよね?だとしたら、この国の人たちが古くから丹精込めて生み出し、受け継いできた、数々の工芸品や織物が、なぜあれほど類まれな美しさと繊細さを併せ持っているのか、その理由がわかる気がするの」

「伝統工芸だけでなく、日本の工業製品の品質の高さも同じ理由だと思うよ。とりわけ現場技術の分野では観察した事実を丁寧に表現し、微妙なニュアンスまで含めて伝え合うことが重要だけど、まさにその際、日本語が大きな力を発揮しているに違いない」

「こうした背景がわかれば、最近の極端な英語教育推進論がどれほど危険なものか、おのずと気が付いてしかるべきよ!そうじゃなくって?日本語の勉強が中途半端なうちに、英語の勉強に重点を移してもいいことなんかないわ!」

「まぁ、そう熱くなるなよ…ただ、おまえが言ってることはもっともだ。たしかに、将来の日本人が、みな、自由自在に英語が話せて、英語で思考できるようになったら、ビジネスの分野で相応の効果は得られるだろう。でも、その反面、日本語の能力が下がってしまったら、日本人独自の発想や創造力は間違いなく失われる。そのリスクは十分考えるべきだ」

「そうなったら、日本人は世界の中でアイデンティティをなくしてしまうかもしれないわ。これと言って特徴のない平板な国に次第になっていき、それこそ50年後、100年後には、大勢の人が海外からお参りに来てくれる様子を見ることもできなくなってるかも…もちろん、私たちが枯れていなかったとしての話だけど」

「だからこそ、俺は、日本人のアイデンティティとは何か?と問われたら、『それは日本語です』と日本人自身に答えてほしいのさ!」

編集・削除(編集済: 2025年02月24日 11:26)
合計6415件 (投稿6415, 返信0)

ロケットBBS

Page Top