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編集・削除(編集済: 2024年09月10日 18:37)

スタンダード  妻咲邦香

田舎は好きだよ
水車小屋のある風景
二つの色の小川が交わる
水草がゆらゆら揺れて
いつまでも離れなくて
いつまでもゆらゆらで
そういうのって見たことないかな

コンビニだったら幾つかあって
意外でしょ?
大きなショッピングモールと
ちょっと有名なお寺が
大通りの真ん中に
雲は低く立ち込め
山に帽子のように乗っかる
ちょっと誰かに似ている

最近出来たお洒落なカフェは
お休みの日が多くて
小さな庭がよく手入れされている
スコーンが美味しいんだよ
でもサンドイッチは二種類しかない

誰かと過ごした日々は暖かで
小さな花のようだった
壊れることも出来ないままに
あと十分で日が暮れる
その人はもういないかな

街とそんなに変わらないよ
住んでる人とか、いい人はいいし
そうじゃない人もいる
空気だけは綺麗で
夜は星がよく見えて
知らない子供が挨拶してくれる

何をしたいかなんて
今はまだはっきり言えないけど
スタンダードって柄じゃない
僕には永遠に描けないだろう
君に刺さるものなんて

壊れることも出来ないままに
あと十分で電車が来る
それを逃したら君は
一時間以上待たなくちゃならない

壊れることも出来ないままに
壊れることしか出来ないままに
僕の壊したものが何だったのか
それさえもわからないままに
小さな花だけが絶えず生まれ変わる
同じ花かもしれない
それもわからずに
あと一分で電車が来る

もう見えている

編集・削除(未編集)

絶望は 空から 降ってくる

絶望は 空から 降ってくる
バラ色の キャンディや 
虹色の ドロップスとともに
絶望は 空から 降ってくる

編集・削除(未編集)

雨音様 評のお礼です ルナ

雨音様
こんにちは。お忙しい中評価していただき、ありがとうございます。
生まれて初めて書いた詩だったのでドキドキでしたが、優しいお言葉のお陰で次回作は連を意識して挑戦してみようと前向きに捉えることができました。
ありがとうございました!

編集・削除(未編集)

Blues

僕たちの意識の中に
山がある 海がある 町がある
彼がいる 犬がいる 君がいる
触れる 見えている 僕がいる

だから世界はここに在る
当たり前だろそんなこと
だって誰にも見えている

はてと立ち止まる人がある
心の中と外の世界
感じているのは意識の世界
それならどちらも同じ世界

それは人間だけのもの 
狭くて小さな一部分
その外のことを僕らは知りえない

なんでだろう

人間同士で決めつけているだけだから
鳥の目で見たこともないくせに
虫と話したこともないくせに

人間には見えないもの 触れないもの
それらはみんな「無い」ものになる

答えがなくてなんだかよくわからないもの
それらもいつしか「無い」ものになる

人間至上と旗を立て 「在る」ものだけを追い求め
ガリガリと削り続けてきたんだね

中央広場で栄光の旗が靡《なび》いてる
天《そら》高く鳴り響くトランペット
拍手喝采 歓喜の嵐 
どこまでも続くパレード

その広場の路地裏から 
Bluesが滴《したた》り落ちている

誰の耳にも届くことのない 
Bluesが滲《にじ》み漏《も》れている

繁栄の陰に捨て置き去られ 
「無い」のだから聴こえない

路地裏の角からパレード眺める少年の
眸《ひとみ》の奥に雨が降る 永く重たく雨が降る

あったかいおうち おいしいごはん
やぶれてどろどろにならないくつ

ほんとうはあの子たちみたいにくらしてみたいけど
口からこぼせばママがなく パパがなく

だからぐぐっとのみこんで うたうことしかできないの
いつもいつでもくちびるかんで
血をなめたらまたのみこんで 
うたうことしかできないの

みいんなみんなうたってる
みんなみいんなうたってるよ

人の心の柔らかさ誰も忘れてしまったか

歓喜掻き消す|一閃《いっせん》の 稲妻 刹那 沈黙の
その隙間を深く|抉《えぐ》ればいい

見て見ぬ振りと知りながら
それでも僕らは目を逸らす

そのうち何も感じずに

麻痺して仕方無しと謂う
麻痺して仕方無しと謂う
麻痺して仕方無しと謂う

人の心の柔らかさ 君も忘れてしまったか

編集・削除(編集済: 2023年03月28日 15:28)

再会  やまうちあつし

思い出し笑いよ
いつの日か

いくつかの
別離の後の
いくつもの
沈黙の先に

やってくる
明後日の群れ

名前を忘れても
台詞を忘れても

同じ匂いの風が
頬を

こころが
くすり、と揺れる

思い出し笑いよ
ごきげんよう

編集・削除(編集済: 2023年03月28日 08:45)

ワニとバイオリン 喜太郎

赤いワンピースを着た少女が
バイオリンを弾いている
少し悲しげで
少し楽しげで
柔らかな音色は沼地へ漂う
誘われるように一匹のワニが現れる
ワニは少女の家の前で止まる
気づいた少女はワニを部屋に招く
ワニは言う『僕はあなたを食べてしまう
だからここでバイオリンを聴かせてください』
少女はワニの口先を包み込むように抱きしめた
ワニの前でバイオリンを引く少女
ワニは被って来た帽子を胸に抱き
音をそっと聴く
そしてひと夜を共にする
沼地へと帰るワニを見送る少女
少女の赤いワンピースの後ろには
ワニの尻尾が揺れている

編集・削除(未編集)

春雨 埼玉のさっちゃん

雨の日は憂鬱だった
春雨の調べを聴くまでは
ある春の雨降りの日
私は傘をさし長靴を履き
重い体を引きづりながらバス停へ向かう
バスを待つ間
傘に当たる雨音がポツポツポツと
まるで音楽を聴いているようで
数秒の間目を閉じ耳をすます
今まで気にもしなかったが
なんだか楽しく感じてきた
何気ない事でも
発見出来た春雨の日も悪くないと思う

編集・削除(未編集)

夜はすべてを知っている  朝霧綾め

 夜はすべてを知っている

愛しているはずの恋人の胸で
眠った女が
静かに涙を こぼしていたこと

深夜まで勉強をする 中学生が 
ふいにシャーペンの先で
自分の手首を傷つけたこと

草むらの陰に 捨てられた子猫が
一晩中段ボールの中で
鳴き続けていたこと

砂漠で迷った旅人が
途方に暮れて
星空を仰いだこと


 夜はすべてを知っている

遅くまで電気のついた教室で
丸付けにはげむ先生が
「よくできました!」と書いたこと

明日はじめて会社へいく青年が
真新しいスーツとネクタイを
興奮を抑えて 枕元に置いたこと

さっきまでけんかしていた
ライオンのきょうだいが
一緒に月を見上げて仲直りしたこと

たくさんのベッドの中で
たくさんの子供たちが
無心に眠っていたこと

あるところには小さな灯りがあり
あるところには穏やかな暗さがあって
そのどちらにも
いきものの呼吸があるということ

編集・削除(未編集)

青島江里様 評のお礼です 紫陽花

青島様、思い出への共感ありがとうございます。
こちらの瀬戸内は、波が穏やかで何時間でもぼーっとしてられます。そこで私はこんな妄想をしています。
オノマトペ 工夫してみたいと思います。
また、よろしくお願いします。

編集・削除(編集済: 2023年03月27日 22:26)

孤独を知らない君  凛

ひどく寂しい午前三時
風の音や虫の声さえ聞こえず
世界中で僕だけが息をしているような
そんな孤独な夜

ああ月よ
君が羨ましい
どんなにか細い君だって
どんなに歪な君だって
いつでも星々に囲まれて
たとえ姿を消したって
星々は君を待ち続ける
そんな君は
孤独を感じることはないのだろう
これまでも
これからも

僕はまだ
世界中でただ一人

編集・削除(編集済: 2023年03月27日 22:19)
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