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銀行で順番待ちをしている母親の
腕の中で幼子が
飽きてしまったのか
体を弓のように逸らして暴れて
イスに頭をぶつけた
さっきまでの威嚇するような泣き声から本格的な大泣きに変わって
周りの大人達は小さな暴君の一大事に右往左往している
母親は大丈夫ですと
まわりに気を遣いながら
痛かったねぇと優しく撫でた
幼子よ
なぜ君は
そんなにも柔らかく産まれたのか
産まれる時の安全性向上のためかも知れないが
産まれてからが
危ないじゃないか
頭蓋骨に隙間までつくって
まだ立つこともできないうちに産まれてくるなんて
まるで産まれることさえできたなら
この世界が君を守ってくれるなんて
信じきってるみたいじゃないか
幼子よ
だから大人達は君の柔らかさに怯えて思わず手を差し出すのだ
恐る恐る君を抱くのだ
この世界を信じきっている
暴君のような君を
君は怒りながら泣く
なぜ私は自由に動いて全てを舐めて確かめられないのか
君は泣く
なぜイスは硬く私に当たったのか
ありとあらゆる納得いかないものと
その全てを忘れるほどの喜びの中で
君は世界と接触し
傷をつくり治しながら
君の細胞と世界がともにうごめくことで
この世界の声を聞いている
母親から渡されたおもちゃを振ることも忘れて
音を旅する記号
そぞろ歩きの
メディアム・スロー
心湧きたつ
ジャンプ アンド ファースト
NOTES(音符)が
階(きざはし)を登り降り
五線の広野を
響きの中で拓いて行く
瞬時に現れ
消えゆく道を導き
幸いをもたらしてくれるだろうが
かたときも逡巡は許されない
ビートの地平に
フレーズの風の中
私は器を操り
音符を興し
音符に守られ
愛器と共に往く旅人になろう
CHART(譜面)が
旅の先駆けにして案内者
痩せ尾根の向こうを目指す
音旅の守り人
背後には跡形もない
前途のみがある
音旅は続く
その祝着を期している
たとえ私一人がこの一雫の水を惜しんでも 世界は何にも変わらない
馬鹿だとみんなが嗤ってる
野原で転んで膝擦りむいた 助けたタンポポ笑ってる
馬鹿だとみんなが嗤ってる
テレビのニュースで人が死ぬ 遠くの国なら関係ない
名前も知らない遠い人 目にも入らぬただの草
関係ない 関係ない みんながそう言う 関係ない
踏んでる草も関係ない 殺した虫も関係ない
魚を食べる 肉食べる 野菜は嫌いだ捨てちまえ
あたりまえだろおれたちは 言わずと知れた人間様
だからなんだと大地が割れる 陽射しはグラグラ照りつける
そんなときだけわかってる 敬意と畏れを抱いてる
だけどそれきり諦めて 天災だからと考えない
結局だあれも気がつけない
今この一雫の水を大切に想っても 津波が引いてくわけじゃなし
あたりまえだろそんなこと おまえは馬鹿だとみんなが嗤う
自分もたかだか自然だと 自然の中の一部だと
本当のことには知らんぷり 不便になるのは嫌だから
関係ない 関係ない あたりまえ あたりまえ
大きな森に逃げ込んで 思い込みで目が見えない
本当は不安な胸の内 みんなでいれば怖くない
そうしてますます目が見えない
だからせっせと灯を灯す
ギラギラ機械の灯を灯す
ギラギラギラギラ照らされて ピカピカ輝く思い込み
科学だ 進歩だ 人間だ ステレオタイプの九官鳥
ほれ見ろ あそこのあのビルを
アホウドリさえ飛び立った
それでも進歩も大切だ だからみんなで考えよう
フザケ半分でもいいよ シャレで世界を憂うフリ
本気で憂うヤツなどいるもんか それがどうやらいるらしい
成程そういうこともある 色んなヤツいておもしれえ
どちらが優れているのでなく どちらが正しいわけでもなく
ほほぅと唸る愉しさを 互いに交換すればよい
小賢しうるさい奴もいる まあ、まあ、ひとつ聴いてみる
野原に根差す意志がある 堅く貫く意志がある
虐げられた夜の扉を開かんとする信念は 風を熾して種を運び
対話の種をひらく光は 時空を超えて文化に宿る
あちら側とこちら側 立たねば知り得ぬ景色もあろう
向こうに立つのに邪魔なもの
それはいつでも翻り こちらに立つには大事な指針
正義だ主義だ経験だ 事実 真実 科学の粋
それらを信じるあっち側
感謝 寛容 可能性 伝説 神話 普遍性
それらを信じるこっち側
いやいや二極だけではない
そっちもどっちもバッジは様々
十人十色の千色万花
正義や信念とかいう思い込みに気をつけて
彼の話し終わるまでの僅かな数秒間
知らない国の音楽でも聴くように
彼の話を聴いてみよう
君の話も聴いてみよう
いつでも何かのキッカケが
平凡な野原にだって埋もれているかもしれない
どんなことにでも まさかがいつでもありえると
偉そに誰かに教えてやり 良い気分になってやろう
不純な動機でいいんだよ 私が良ければそれでいい
そんな気持ちはいつもある 色んな気持ちが誰にもある
人の心はまったくお天道さん 雨降り晴れて火事オヤジ
がっかりすること多いけど 明日は明日の風が吹く
今日のアイツは明日にはいない 今日の私も明日にはいない
変化が見えずにイライラしても ちょっとちょっとは進んでる
少し多めに見てやるか 少し多めに見てください
あたりまえ ありえない みんな言ってる ジョーシキだから
そんな思い込みの向こうに花が咲く
誰にも綺麗な花が咲く
よく晴れた朝の光にタンポポは花開く
当たり前とはそういうことなのだ
私たちに決めつけられることなんて
実はひとつもないのだろう
唯の一つもないのだろう
齋藤純二様
拙作へご批評をいただき、ありがとうございました。
後半をどうするか迷ったのですが、ご指摘について考えてみたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
誰か人と仲良くなることは
氷がとける、というのとも
少し違う気がする
分厚くて固い 氷よりも
もっとさわやかで
もっと素早い
例えるなら そう
紅茶の中の砂糖
入れた途端さっととけて
すぐに見えなくなってしまう
打ち解けるまでに
長い時間がかかるのだとしたら
それは
カップの場所を探すのに
少し手間取っているというだけのこと
気おくれや先入観が
少し邪魔をしても
ぜんぶ 砂糖と一緒にとけていく
カップを回せば
琥珀色の液体が
すべてを包んできらりと輝く
アイスブレイクのブレイクは
壊す、ではなく
休憩、かもしれない
私は今日も新しい友だちに
話しかけにいく
この子が大切な人になるかもしれない、
と思いながら
「アイスブレイク」する
頭の中には
一組の紅茶のティーカップ
どうぞ、と渡すように
おはよう、と笑って言った
このたびは、日本現代詩人会入会おめでとうございます。
実生活をゆく人の中にあるもの寂しさ。隠そうとしても滲み出てしまうもの。ふだんの生きていくことについての内容が、とても印象深い秋冬さんのスタイル。ご入会により、益々その世界が広がり、磨かれますように。
本当におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
私の名前は紫陽花
今でいうところの
きらきらネームだ
幼稚園の頃まではよかった
平仮名で書けたから
私の靴にも帽子にも
お道具箱にも
ひさえって書いてあった
みんなひさえちゃんって
呼んでくれた
嬉しかった
小学校に上がると
問題は起こり始めた
なんて読むの?と
聞いてくれる子はまだいい
いきなり
読めないね
漢字ばかりで
日本人じゃないの?
大学入試の時に
名前を書くのに手間取って
落ちるよ?
名前の漢字は綺麗なのに
顔が綺麗じゃないね?
学校で病院で店で
何千回も何千回も
読み方を聞かれた
そしてその都度
私の名前に感想を頂いた
うんざりした私は
ある日平仮名で
名前を書くことにした
私はまた幼稚園の頃のように
自由になれた
嬉しかった
ひさえになって10年経った
私の名前を付けてくれた
父が亡くなった
私の何かも無くなった
そんな気がして
私は紫陽花に戻ることにした
今度は聞かれる前に
にっこり名乗って
父が付けてくれた
素敵な名前なんです
と感想を聞く前に
言ってしまおう
秋冬さん、この度は日本現代詩人会入会、年間新人に選出おめでとうございます!
とても素晴らしいですね!秋冬さんの作品はひとつの出来事に真摯に向き合い、
鋭い感性を活かしながら表現する、読後も忘れられない余韻のある作品が多く
MYDEARで評を書きながら学ばせていただいておりました。
これからも益々のご活躍お祈り申し上げます。
かつてのわたし
小中学生だった頃のわたしは
自分がよく映る鏡を
探していた
他人という鏡を
小学六年の頃
誰某くんがわたしを好きだいう噂を聞いたら
その人のことを少し意識するようになり
中学三年の頃
やたらと目が合う人がいて
彼の後ろ姿を
授業中につい見つめていた
どちらも性欲は伴わず
世間で恋と呼ばれるものだったのか
今もわからない
ただ あの頃のわたしは
自分が綺麗に映る鏡を覗き込んでは
自分という存在を
少しずつ
踏み固めていったのかもしれない
その意味で言うなら
あの頃のわたしは
他人とちゃんと向き合っていたとは言い難い
しかし今のわたしが
他人の目に映る自分なんざどうでもいいと
思えるのは
かつてのわたしの
おかげかもしれない……
なんてね