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齋藤純二様。
拙作にご批評をいただき、ありがとうございました。
ギターのお話もしていただいて、嬉しく思いました。YAMAHAのアコギは世界的にも評価が高いですね。それもNシリーズ。確か中島みゆきさんも使用していることで知られていたでしょうか。Nのインレイ入りのはかなりの上位機種ですね。40年も使用されているとは! 相当な値打ち物、ヴィンテージギターになっていると言っては大袈裟でしょうか。
私は大昔にロックバンドをやっていました。止めてからはアコギを触ったりもしていましたが、それほどは詳しくなくて、たぶんギターのインレイの細工や素材に詳しい方、それから手芸・工芸品制作の素材の知識のある方に取っては、「アバロン」はお馴染みの名前なのかも知れないなと、今回調べてみて思いました。
作品中のエレキギターは、PRSというメーカーですが、カタログを見た当時の、レギュラーラインの最上位機種ということでした(現在はラインアップが変わっているようです)。新車が買えるというのは少し誇張をしています。実は軽の新車と書いた方が事実に近いのですが、手の届かなさを表現するなら新車でいいかなと思いました。
このエレキギターには、フレット上の鳥の形のインレイと、ヘッドのマークにアバロンが使われています。ボディに螺鈿細工が施されているわけではないのですが、杢の模様と全体の色合いや質感が、青緑色主調のアバロン的な美しさを醸し出しているので、アバロンというカラー名にしたのだろうと推測しています。レギュラーラインでなく、特注のギターだと螺鈿細工が施されているものが多くあるようです(これはもっと高価!)。
作品については、詩行の言い回しに、ちょっとたどたどしい部分がないだろうかと危惧しておりました。許容範囲内ではあったのだろうということで、佳作との評価に感謝しております。
では、またよろしくお願いいたします。
畳の臭いが鼻をくすぐるワンルーム
暗い箱の中では頭が冴える
喉元までせり上がった言葉と音符
紙の前じゃ生まれないものがここにある
心臓を叩いて、早くしろと急かした
焦りにも似た高揚感が鳴り止まない
世界なんかは変わらなくて
確かに聴く人のいる歌が
100万人には届かなくて
君の心を抱きしめたい歌が
あと少しでこの部屋を満たすんだ
ヒットチャートには乗らないだろうけど
ギターの音色がこの右脳を揺らしてる
齋藤純二様
今回も私の詩に丁寧なご感想を頂き、誠に有難うございます。佳作
との評をくださり、とても励みになります。
そうですね…もうすぐ一年になるのですね。あっという間です。
ああでもない、こうでもない、と試行錯誤の連続ですが、
出来栄えはともかく、私にとって充実した時間です。
今までと違って、はっきりとしたテーマを持って書いている
からだと思います。それもこれも「季節の花」というテーマを
齋藤様がアドバイスしてくださったおかげです。本当に有難うございます。
次回は「締め」になるように頑張って書きます。
今後とも、どうかよろしくご指導のほどお願い致します。Liszt
ひまわり Lisztさん 6/21
連載11作目、これまた力作ですね。
志願兵として戦場に向かった息子が戦死、自分の教えがそうさせてしまったと振り返るシーンはなんとも、言葉を失ってしまうほどにやるせない気持ちになりますね。やはり命より大事なものはないということ。この国の豊かさの象徴であるひまわり畑が戦車で押し潰されてしまうのなら、せめてひまわりの絵画を守り抜くということが、登場するふたりを歩かせるための生きる意味になって、家族、自国への哀愁の中を進ませていのでしょう。戦争、反戦を我のものとして考えさせる作品を書く、詩にはこのようなテーマを強く持たせ表現していかなければいけない、とあらためて詩を書くものとしての役割を痛感しました。
よく書けていますね。小説のように読者をリアルな世界へ誘い、感情を抑えつつ表現しながらもメッセージの強さに詩を感じました。内容を批評するなんて考えもしないくらい読み入ってしまいました。
評価は「佳作」です。
勝手にシリーズ化を促がしてしまった私がまたズケズケと言うのもなんですが、次を締めの作品としましょう。一年間、私のワガママにもお付き合いいただき誠にありがとうございました。ご苦労様です。いや、まだこのシリーズは終わっていないですね。次回、どのような花木を添える作品になるのか楽しみにお待ちしております。
前置き 秋冬さん 6/21
えーと、ちょっと作品を整理しますと、話す人をAさんとしまして、そして僕がいますね。僕は聞き手ですね。笑わないでと言われて話を聞いて、笑いたくなる僕。笑わないでと言うのだからAさんの失敗談や何かやらかしてしまった話しだと思うのですが、そこで笑う僕。すると「笑わないで欲しい」とその前置きがワガママだと語る僕という人物の思考の歪みが見えてしまい、えーと、これはどうなっているんだ、となってしまいました。二連では「泣かないで欲しい」とAさんが前置きをするのだから、僕に対してキツイことを語り出しそうだけれども泣いてしまう。僕は泣きたくて泣いたのだろうと。ここは前置きの誘導とは無関係な気がします。そして、中盤からは前置きのズルさが語られていますが、なんだろう、どうしても話が噛み合っていないように読めてしまいます。最終連「笑って欲しい」「泣いて欲しい」と発してから話し出したら、それこそワガママになってしまう気がします。これを「素直」に結びつけることは無理があるのではないかと思いました。後出しジャンケンも「前置き」と真逆かな、と。私はパーを出すよとパーを見せておいて、だからあなたはグーを出して負けてくれ、みたいな設定の方がしっくりくるのでしょう。前置きの「ズルさ」について整理して推敲されてください。「前置き」の着眼点のユニークさとパッションは感じましたので、どうかご一考ください(齋藤さん、どんだけ読み違いしてんだよ、って時はスルーしてくださいね)。
福岡堰の雨桜 小林大鬼さん 6/22
前回ご投稿いただいた「偕楽園」も雨が降っていましたね。茨城つながりの雨の詩情が今回もしんみりと伝わってきていいですね。特に今回は濡れた雨桜の景色と甥っ子の産毛の濡れているという重ねの景色と場面だけを語り、余計な主観がない語りが最高にこの作品の表現鮮度を上げていると思います(甥っ子の誕生に読者は穏やかなほっこりも感じますよ)。
何の抵抗もなく自然と拝読できるよさがピカイチでした。ちょっと短い評というか感想になってしまいましたが、もちろん「佳作」です。
光 妻咲邦香さん 6/22
僕と君。なんだか寂しくて君と喧嘩したいとう感じで捉える読者が多い作品であろう。しかし、僕は君?! なのかなと私は読んだ。捉え方は読者の自由ということで。君はもういないのに、それでもどこかにいる君に話しかけている。語り部の自問自答(ひとり会話)として読めてしまう。僕が君と喧嘩をしようと語っているが、君への言葉が自己愛に思えてくる。なんだかんだ言って僕は君に優しい。付け加えて君の性格やら人格がくっきり出てこないというのもその理由のひとつとなって。現実に居ない者を作中で作者が想像して書くと、そうのようなニュアンスで映し出されてしまうパターンなのか。また、もういないはずの君と決着をつけようというだから、「正しい道」は自身の主観と客観からの模索、あるいは道徳心の変化、時間による導かれる道の変化、葛藤が宇宙への道なのだろうか、と哲学的な思考になりつつ拝読できた。
だから喧嘩をしようよ
蝶が一羽、
空に向けて飛び立ったよ
星を花と間違えて
それにしても、この言い回しは最高だ!
この決着をつけることからの逃避したい心理もあるのかな、と。読後、僕と君がすっきりと決着したら花火みたいな爆発が見られる、なんて思いながら楽しめる作品であった。
僕が君へずっと一方的に気持ちを語りかけるスタイルの作品、テンポと口調の強さがずっと同じ圧だったので、少し減圧(真空?)が欲しいかな、と。言葉じりを少し変えたり、読者の思考をどこかへ飛ばしてしまうイミフな表現(引っかかり)を入れ、間を感じさせる語りがあると、僕が言い切って終わってしまうことから回避できる気がする(想像できる間が欲しい、かな)。
(んっ、なぜか、である調で評を……)
評価は佳作一歩前。
話し相手が欲しかったんだ cofumiさん 6/22
目が覚めたはずの世界がなんだかファンタジーになっていようですね。話し好きの蜂が語るが実はまだ夢の世界なのかな、と思いつつ拝読しました。自分の鼻を弾いてしまう〜。この出だしもいいですね。そして、豚、仔象、猫が登場。それぞれ愉快な世界で楽しいです。猫の自転車漕ぎ(僕の自転車)は、おいおい手も足も届いてないだろ、とそんな場面を勝手に想像したら私の笑いのツボにハマってしまいました。豚のウインク、目に写ってこれまた笑ってしまいました。話の流れ、口調、テンポといいユーモア満載で場面を想像しやすく素敵な作品です。
そこで、題名の「話し相手が欲しかったんだ」なんですけど、言いたいことはわかります。しかし、作品のトータル的なニュアンスからすると、少しズレている気がします。これらの動物の登場は、これから出勤(通学)するのに、なかなかその気にならないという抵抗を描いていますので(そう読めてしまいました)、話し相手が欲しいというよりは、いい朝のスタートを切りたいという心理だと思うんですよ。そのいいスタートはいいコミュニティから来るものでしょうが、微妙なところでしっくりしませんでした。終盤、自分から(みんな挨拶が欲しかったんではなく)積極的に挨拶していいスタートを切ろう、というシメへ繋いで欲しかったかな。うーん、これも個人的な意見になってしまいますが。終盤の二連、推敲してみてください。
評価は佳作一歩前です。
港の恋物語 プラネタリウムさん 6/22
うーん、なんだかカモメが飛んでいそうな風景が目に浮かんできそうですね。この語り部はなかなかのモテキャラで、港が好きな相手と物語りが途切れては次の物語りが始まってしまうという、やはり魅力があるひとなのでしょう。そしてその物語りを楽しんでいるのではいかと感じます。恋上手で別れ上手ですね。演歌みたいな未練は流れてこない音楽が聴こえてきそうな作品で、別れるまでロマンチックな時間を過ごしていると想像しますね。
もう戻って来ないと分かっている君の「またいつか」と書き置きさに、期待させる微笑みがこぼれるというくだりは、大人なその反応に綺麗さまで感じる場面はほんとうに素敵です。
ああ、私も海近い街で住みたいと強く思ったのでした。まあ、恋物語は皆無でしょうけど。
物語りを楽しく拝読させていただきました。
評価は「佳作」です。
それと散文型での作品となっていますが、連で括る作品のように改行をした方がいいですね。ご自身で作品のカタチを作ってください。もし紙面が1行100字になっていましたら、めちゃ行の長い散文詩になってしまいます(まあ、1行100字はないと思いますが)。レギュラー陣も自身の字数で設定しています。
(例えば)
溶けたアイスを舐めたかったのに、鴎の
羽ばたきに驚いて落としてしょげた青空
があったね。地平線を眺めて、手を繋い
で夢を語り合った夕焼けだって覚えてる。
冷たい風に君の赤毛が揺れて美しかった。
アバロン Osadaさん 6/23
アバロン、日本の感じで言うと螺鈿細工になるのでしょう。これ日本人の職人の技術もすごいですよね。茶道の道具にも螺鈿が入っているものがあり、棗に螺鈿なんて入っていたら目がきらりんってなってしまいますね。今回のOsadaさん作品では、エレキギターでの螺鈿使用による高価な楽器の話になってます。色がアバロンということで、ググってみますと、ありますねボディ全体が賑やかになっているものが。もともとエレキギターって重たいのですが、そこまで飾られているとかなり重量級な感じでしょう。異次元のエレキギターって感じを受けました。私もYAMAHAのNシリーズというアコースティックギターを40年ほど使っているのですが、ヘッドのところにデカい「N」の文字がありまして、そこが螺鈿細工されているんですよ。毎回そこを見て、ああ綺麗だななんて思っています。と、言うわけで螺鈿細工の物が私もけっこう好きです。腕時計のダイヤルが螺鈿になっている物も好きですね。あの蒼き(みどりも)色の淡い輝きがなんともいい。
おっと、と。作品について語らなくてはいけませんね。失礼しました。ギター好きのOsadaさんはギターのカタログを見ていて、一目惚れしてしまったエレキギターを見つけてしまったのですね。実際に見て触れて試してみないとそのエレキギターの良さは分からないと思いますが、このような直感は意外とハズレない気がします。そして、興味を持ったエレキギターの色「アバロン」について調べ出す。この作品の構成が読者も一緒にそのエレキギターについてわかっていくという出だしは良かったです。しかも、英語のスペル違いで寄り道した話も面白いです。けっきょく「アバロンってアワビかよっ」という表現もユニークで、それでも気に入ってしまったエレキギターだから、「アワビ、いいじゃん」となってしまうところも、わかるなあ〜、グットです。
しかし、しかしですね、高価すぎて手に入れることが現実的ではなかったのですね。そこで、終連ではロッカー口調での諦めの語りがきっちりとシメていい感じの作品になっていました。うーん、新車が一台買える値段ですか。このエレキギターをゲットするのは夢レベルかもしれませんが、叶わぬ夢ないでしょう。アバロンのギターをいつの日か、かき鳴らしてしまいましょう!!
評価は「佳作」です。
。。。。。。。。。
めちゃ暑いですね!
涼しい環境で水分補給を!
「手紙」に感想と評価をありがとうございます。
返って来るはずの証明書入りの手紙を住所の不備で郵便局管内で見失い、なくなってしまったことが、
この作品が生まれたきっかけです。
三浦様の出せなかった手紙の解釈〜そういう見方もあるのかと気付きました。自分も詩を作りながら、
無意識に言葉を選びながら、人によって異なる捉え方が出来るような詩を描いたのかも知れません。
人も街も色を失い
匂いもしない
過去も未来も
無機質な風の中に
押し流されてゆくだけ
日本を飲み込む
身勝手な情報の渦
ごらん
乱立する箱の狭間を
人の形をした影が蠢いている
この度は、拙詩「松島や」に評をいただき、ありがとうございました。
「程がいい」とは、最高のお誉めの言葉です。
佳作までいただき、大変嬉しく感じております。
ありがとうございました。
また、直前の訂正でご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした(連続2回、本当にすみません)。
二年前に訪れた松島…ほとんど記憶になく、そのまま、ありのままを詩におとしました。
「松島や~」は相模州田原坊の吟と『松嶋図誌』にあるようです。
(松島や ああ松島や~ではなく、松島や さて松島や~のようです)
芭蕉の『奥の細道』には、「扶桑第一の好風にして~」と、松島の美しさは漢詩などを引き合いにし綴られており、俳句は記されず、「いづれの人か筆をふるひ詞を尽さむ」と結ばれています。
(「島々に 千々にくだきて 夏の海」との松島を詠んだ句が『蕉翁句集』にあります)
私が松島の地を踏んだのはそれから約330年後、芭蕉の想いも響き、色々な意味で言葉には尽くせないものがありました。
美しい景色の前に、言葉を響かせ、詩を紡ぐことの難しさを痛感しました。
学びを深くし、様々な詩のスタイル、構成を身につけていきたいと思います。
励ましのお言葉、ありがとうございました。
今後ともご指導のほど、よろしくお願いします。
眉間に皺を寄せて
牛の舌を凝視する
赤い炭火 禿げた頭をてからせる
黒縁眼鏡 丸顔の親父
焼き網の上
太い指に菜箸握り
慣れた手付き
丁寧に 素早く 肉を返してゆく
しわがれ声で お喋りに興じる
出勤前のマダムたち
上司の愚痴に 口角泡飛ばす
会社帰りのサラリーマン
無表情の親父は 客に目もくれず
ただ黙々と
寸胴鍋のテールスープ
ゆるりゆるり かき混ぜる
暖簾のしみ 黒光りした柱
壁に貼られた 色褪せた切り抜き
親父そっくり 調理衣の初代
人知れず 沈黙の中語られる 老舗の歴史
麦飯 牛たん テールスープ
伝統が培う優しさ 体中の血と共に駆け巡る
旨味 塩梅 言葉も滅する妙なるものの
滋味深く ほんわか湯気に包まれる
カウンターの前
親父は脇目も振らず 肉を焼く
無愛想な顔に
人情の皺 刻み込んで
みかん色 裸電球の火影は揺れる
「伊達の夢」 盃重ね
穏やかにたゆたう 重たい頭
仙台の夕餉 仙台の夢幻……
客のざわめき 熾火のはぜる音
巨大な飾り駒 「王将」背後に従えて
きらっと 静かに光った 親父の目
そのふくよかな厚い手は 休むことを知らない
あなたが寝静まったころ
そっとベットから起き上がる
朝まで起きないあなた
玄関で寝巻を脱いで
ウィンドブレーカーと手袋
懐中電灯とビニール袋
そっと表に出る
近くの神社の草むら
石灯籠の消えそうな灯り
どくだみを取りにいく
昼間の茂み
夜もそのまま
袋一杯に詰める
鼻を刺す匂い
飛び散るしずく
寝室に戻り
寝ているあなたにそっと
どくだみを擦り付ける
あなたの首にどくだみ
首を絞めるようになぞる
生きたまま
たくさん
たくさん
消毒してあげないと