辻井伸行くんのソロ・リサイタルを聴いてきた。倉敷に来てくれるのを機会に音協に入会したので、真中あたりのよい席が取れた。一部の、ベートーベン ピアノソナタ 第23番 ヘ短調 作品57<熱情>は、ベートーベンが耳の疾患に絶望した個人的体験にもとづき、人生のドラマを創作に反映していた時期に作曲されたそう。不運を克服してゆくフィナーレの演奏は、力強く壮絶である。辻井くんの指がどうにかなっちゃうんじゃないかと、心配するほど。
二部の後半で、とつぜん彼が弾くのをやめて立ち上がったときは、指が?と、どきっとした。彼の指でなく、ピアノの弦が切れたのだった。「弦が切れました。弾きつづけることはできないので、少しお待ちください」と、、、。
辻井くんをテレビで見かけるたび、「身体に気をつけて。怪我をしないでね。指を痛めませんように。」と祈るような気持ちになるが、今日集まった二千人の老若男女もお吟と同じ気持ちで、彼に大きな拍手を送り続けたに違いない。彼の演奏は、時にさえずりであり、時に雪解川の激しさである。森羅万象を音に変えることのできる天才だ。
三度のアンコールが終ってもまだ拍手が続くので、辻井くんは、ひょこひょこと歩いてピアノの蓋を閉めて、またひょこひょこと消えて行った(笑)。ありがとう♪
氷上へひゞくばかりのピアノ弾く 篠原鳳作
猫髭さんのお住まいの近くの上井草のお茶人さんから、嬉しいメールが届いた。
去年、「久米島紬」とメモの添えられた大切な方の形見の紬をもらったお茶人さん、洗い張りしてお吟宅へ送ってみえた。「久米島紬はコカコーラのような色しか知らないが、、、?」と訝っておられたので、あまりに色柄風合いの素晴らしい紬だったので、図書館で調べて、
「久米島紬の基本になる色は、黒褐色・赤茶色・黄色・鶯色・灰色の5色で、すべて島の植物から生み出される自然の色である。」の一文を見つけて、お知らせしておいたのだ。すると、数か月を経て、こういう結末に♪
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あの灰色がかったブルーの縦縞紬(久米島紬疑惑?)の残布をいざり機で結城紬を織る現役最高齢の女性に見せたところ、
織姫「経に玉糸、緯に紬糸…そしてこの色。
久米島紬を否定する要素はこの生地に何一つ見当たらない」
茶人「久米島紬と言えばコカ・コーラのような色を思い浮かべますが?」
織姫「あ、あれね?量産品でしょ?一番よく取れる色で、
糸染め処理がいっぺんに出来て楽なんですよ。
(残布を振りながら)これは久米島五色に藍をかけたんだと思いますよ、
ちょっぴりね。私達(結城紬)でもお客様からリクエストがあればたまにやりますよ。
白地に水色の絣を入れたいような時に、藍を使います。
久米島は糸から機まで全部、一人の職人がやりますから。分業じゃない。
縦縞に狂いのない十文字絣が入ってる。織った人は手機の使い手ですよ。
この着物もらったお客様は大事になさるといい。」
手機織る母春暁の夢に出で 浅見画渓
和裁の集まりの日。金蠅が白大島からリメイクしたコートが出来あがっていた。取りにみえたゴージャス系のマダムに羽織ってもらう。泥染など濃い色の大島のリメイクは見飽きた感があるが、この白大島は新鮮に見える。
金蠅といえば、やはりこの一件でしょ(笑)。
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夫 「誰にめしを食わせてもろうとると思うとるんじゃ!」
金蠅「毎日毎日台所に立ってご飯を作っている私です!」
根三つ葉の屑も香に立ち夕厨 石塚友二
倉敷の茶房にてお針の会。去年から少しずつ縫っていた、ここの茶房の座布団カバーが、六枚全部縫いあがった。正絹の生成りの紬なので、木綿のようにはへたれないと思う。汚れた場合、ほどいたら二枚の布になるので、悉皆屋さんのように洗ってまた縫ってあげると約束した。長生きしなくっちゃ(笑)。
ラスカルさん、色紙の寄せ書き風30句を、Kはとても喜んでくれました。なんとKも、お吟とのラインのやりとりを分かりやすく構成してプリントしてくれてました♪
春の宵足の先まで五七五 K
ラスカルさん、心強いお言葉、ありがとうございます♪
今日は倉敷の茶房にて句会。ランチは、菜の花のサラダ・豆餅のお焼き・春野菜のシチュー。珈琲と焼き林檎。近所の方が、「頭を使わないとまずいと思いはじめて、、、」と句会を見学にみえる。もちろん、投句一覧表を渡して、「よろしければ、選句をどうぞ。自分が好きな句を選べばいいんです」と。ラインにも入ってもらって、来月の予定もお知らせして、、、(笑)。
頭悪き日やげんげ田に牛暴れ 西東三鬼
