有子曰く、其(そ)の人となりや孝悌にして上(かみ)を犯すことを好む者は鮮(すくな)し。上(かみ)を犯すことを好まずして乱をなすことを好む者は、未だ之れあらざるなり。君子は本(もと)を務む。本立ちて道生ず。孝悌なるものは、其れ仁の本(もと)なるか。
人柄が「孝悌」すなわち両親ときょうだいを大切にする人で、目上の者に逆らいたがる者はあまりいない。目上の者に逆らいたがらない者で、「乱」すなわち無秩序状態を起こしたがる者は、絶対にいない。「君子」すなわち紳士たる者は根本を大切につとめる。根本が確立してこそ道理が生じる。「孝悌」すなわち親・兄弟への敬愛こそ、「仁」すなわち広く人間に対する敬愛の根本であると言ってよいであろうね。
※浩→今日は弟子の有若(ゆうじゃく)が師匠の代役です。有子は孔子より13歳若く、弟子の中では長老でした。孔子の説く「愛」、すなわち「仁」はいわゆる博愛主義でないことがわかります。博愛主義(兼愛主義)は墨子の思想で、それは無差別・平等な愛でした。孔子の「仁」は、まず身内で実践しそれを順次広げていくという愛で、抽象的な博愛主義よりも現実的・実践的であるように思われます。儒学は江戸時代には朱子学が官学とされ、封建道徳を支えたこともあり、目下が目上に従うという考えは民主主義の現代にそぐわない感じもしますが、親を大切に思い、きょうだい仲良いということは現代でもそうありたいです。むしろ、現代では「家庭崩壊」とかいうことがあって、こっちのほうが問題でしょう。家庭の乱れは社会の乱れに通じますから、アドラーが家庭教育と学校教育を重視したことも十分すぎるくらい納得できます。アドラーは、家庭育児と学校教育で「共同体感覚」を育てると、究極的には戦争のない平和な世界を建設できると考えました。論語のこの1節とぴったり符合するように思えます。
『南総里見八犬伝』でおなじみの、「仁義礼智忠信孝悌」の内の「孝悌」の出所でもあります。『里見八犬伝』はたびたび映画にもなり、歌舞伎でもたびたび上演されています。三代目市川猿之助はスーパー歌舞伎という新しいスタイルでも上演して、人気を博しました。多くのファンがいて私もその1人です。現在の猿之助が不祥事を起こし、私が大好きだった先代猿之助さんも昨年他界されて、歌舞伎ファンとしてはまことに寂しい限りです。ただ、先代猿之助さんもお孫さん=団子さんが大活躍で、人気が一時地に落ちた感のした澤瀉屋の勢いを盛り返してくれるでしょう。その団子さんは、名作『ヤマトタケル』を東京で上演したのち、名古屋~大阪~博多と巡演しました。ただ、この作者の梅原猛さんを野田先生はあまりお好きじゃなかったんです。
96 <「自分のやりたいことがわかった」と言うには>
#キーフレーズ
Now I know what I want to do.(ようやくわかったというニュアンス)
#データベース
I know what you mean. 言いたいことはわかるよ。
Do you know what to do next ? 次にどうしたらいいかわかりますか?
(Do you know what I should do nexrt ?)
#応用
Do you know where Amy is ?
Do you know what we are going to do next ?
97 <「ここで手荷物を預かってもらいたい」ときどう言うか>
#キーフレーズ
Can I leave my luggage here ?
@ leaveは「ある場所から離れる」
@ Can I ~?で何かを依頼している
#データベース
May I leave a message ? 伝言をお願いしたいのですが。
Are you leaving for school ? 学校に行くところなの?
@ leave for ~ = ~に向けて離れる(=出発する)
#練習
May I leave a message for Amy ?
I'd like to check out, please ?
Where are you leaving for ?
I have to leave for Singapore.
Can I leave my luggage here ?
98 <「これの色違いがあるかどうか」を聞くには>
#キーフレーズ
Do you have this in a different color ?
#データベース
Do you have these wash towels in green ? このタオルで緑色のありますか?
This coat comes in three colors. このコートの色は3色あります。
@ come = 提供される
#応用
I recommend this shirt. We have this in many different colors.
Do you have this in blue ?
Do you have this in a different size ?
I've made up my mind.
99<タクシーの運転手が「タイはいかがでしたか?」と感想を聞くには>
#キーフレーズ
How did you like Thailand ?
@ How do you like ~? は感想を求めるときの定番
ホテルのフロントの人は、How was your stay in Bangkok ? と言っていた。
「タイはいかがでしたか?」をHow did you like your stay in Thailand ?と言ってもよい。
#データベース
How did you like Roman Holiday ?
「ローマの休日」についてどう思った?(映画の感想)
How do you like your papaya smoothie ?
「あなたのパパイヤスムージーはどう?」(相手が飲んでいるものについてたずねる)
How do you like my shirts ? 「このシャツどう?」(着ているものの感想を聞く)
How do you like my dancing ? 「私のダンスどう?」
How did you like being on this show ? 「この番組どうでした?」
100 <「これからも連絡を取り合おう」と伝えるには>
#キーフレーズ
Let's keep in touch.
@ in touch = 接触している状態
#データベース
We'll be in touch. 連絡取り合いましょうね。
How will we stay in touch ? 私たちどうやって連絡し合えばいい?
#発展
I'll be in touch with you. 私から連絡するね。
Please get in touch with me. 今後は私に連絡して。
第一 学而篇
子(し)曰く、学びて時に之を習う、また説(よろこ)ばしからずや。朋友(とも)あり遠方より来たる、また楽しからずや。人知らずして慍(いか)らず、また君子ならずや。
学問をして然るべきときに何度も繰り返しておさらいすると、その都度に理解が深まり自分のもとして体得される。それこそ人生の喜びではないか。
こうして学んでいると、志を同じくする友だちが遠い所からやって来て学問について話し合う。それこそ愉快なことではないか。
しかしながら、自分の学習が常に人から認められるとは限らない。人から認められないことがあっても、腹を立てない。それでそこ紳士ではないか。
浩→「学ぶ」とは学問することですが、具体的には儒教の重要な教科書、「詩経」と「書経」を読み、礼と楽を勉強することでした。「時に」は「然るべき時」の意味で、「ときどき」のことではないです。
アドラー心理学の学び方は3とおりあると野田俊作先生から教わりました。1つは書物やお話を聞いて、2つはそれを日常生活で実践して、3つめはともに学ぶ仲間と交流して。私たちも、野田先生の講義や講演で学び、日常生活で“横の人間関係”を実践して(いるつもり)、旧倉工講座や旧津山工業講座のような学習の場と、そのあとの打ち上げパーティーで、ご馳走と美酒にホロ酔いながら、ともに学ぶお仲間との交流をはかっていました。そして、現在(2024年6月)、22年ぶりにもとの勤務校・岡山工業高校でこれまた相棒・K先生のマネージメントによって講座が復活して、ほんとに「朋友あり遠方より来たる。また楽しからずや」が実践できています。これはもう奇跡としか言いようがありません。そもそも私たちの講座のルーツは、1992年にアドラー心理学カウンセラーの資格を得た私が岡山工業高校に在職中の1993年9月に、それまで校内研修会だった講座を公開にしたことに始まります。詳しい経過は「浩の自叙伝」にあります。その後、2002年の定年退職後は岡山市内では県生涯学習センターや京山公民館などで、有志の方々のご厚意により継続され、2009年に一旦終了しました。その後2010年に、ともにアドラー心理学を学んでいた倉敷工業高在職中のK先生のご厚意により再開しました。ここ数年の大アドラーブームとはまったく無縁で、倉工教育相談室の先生方と、以前の講座からのお客様でひっそりと、2017年2月まで続きました。つづいて、K先生が転勤された津山工業高校で、同校相談担当の先生と有志の先生方が参加されて、毎月、校内で研修講座を開きました。2023年9月に開講30周年を迎えました。
私は、「人知らずして慍ら(いから)ず、また君子ならずや」の部分がまだまだ実行しにくいです。そもそもスポットライトを浴びるのが大好きな目立ちたがり屋ですから、認められないことがあると内心しょっちゅう怒っています。齢すでに80を超えましたが、まだまだ修業が必要です。
第8課 「~が…です」(形容詞の表現)
<キーフレーズ>
>広場市場が好きです。
クァンジャンシジャンイ チョアヨ
광장시장이 좋아요.
天気がいいです。
ナrシガ チョアヨ
날씨가 좋이요.
気分がいいです。
キブニ チョアヨ
기분이 좋아요.
<公式>「~がいいです」
・名詞(パッチムなし) + 기 좋아요
・名詞(パッチムあり) + 이 좋아요
文末に?を付けて語尾を上げる↑と疑問文。
<応用>
(みかんとりんご)どちらがいいですか?
オヌッチョギ チョアヨ?
어느쪽이 좋아요?
みかんが好きです。
キュリ チョアヨ
귤이 좋아요.
果物は何が好きですか?
クァイルン ムォガ チョアヨ?
과일은 뭐가 좋아요?
りんごが好きです。
サグァガ チョアヨ
사과가 좋아요.
<発展>
お腹がすいています。
ペガ コパ’ヨ
배가 고파요.
お腹がいっぱいです。
ペガ プrロヨ
배가 불러요.
量が多いです。
ヤンイ マナヨ
양이 많아요.
量が少ないです。
ヤンイ チョゴヨ
양이 적어요.
値段が安いです。
カpシ ッサヨ
값이 싸요.
値段が高いです。
カpシ ピッサヨ
값이 비싸요.
<問題>
1,市場は人が多いです。
シジャンウン サラミ マナヨ
시장은 사람이 믾아요.
2,この店は服が安いです。
イ カゲヌン オッシ ッサヨ
이 가게는 옷이 싸요.
3,私はマッコリが好きです。
チョヌン マッッコrリガ チョアヨ
저는 막걸리가 좋아요.
<ひとこと>
かっこいいです。
モシッソヨ
멋있어요.
かっこいいですねえ!
モシンネヨ!
멋있네요!
かっこいい(ひとりごと)
モシッタ
멋있다.
<ハングル部屋> 漢数詞
一 일 イr
二 이 イ
三 삼 サm
四 사 サ
五 오 オ
六 육 ユk
七 칠 チr
八 팔 パr
九 구 ク
十 십 シp
23=二十三 이십삼 イシpサm
百 백 ペk
千 천 チョン
万 만 マン
億=억
兆=조
37800=三万七千八百 삼만칠천팔백 サmマンチrチョンパrペk
ゼロ(零)=영 ヨン
電話番号では、공(空) コン
010-285-6439
공일공의 이팔오의 육사삼구 コンイrゴンエ イパルオエ ユkササmク
月の読み方=漢数詞+월(ウォr)
一月=일월, 二月=이월, ..... 十一月=십일월, 十二月=십이월
例外:六月=유월, 十月=시월
<料理のことば>
箸=적가락 チョッカラk
スプーン=숟가락 スッカラk
皿=접시 チョpシ
茶わん=공기 コンギ
鍋=뚝배기 ットゥッペギ
<フィナーレ>
18000ウォン=万八千ウォン 만팔천 원 マンパrチョ’ノウォン
□3回目 10月15日 母親のみ
(S)
毎晩夕食の支度を手伝ってくれる。献立も様々に工夫してくれるし、電子レンジも私は温めるのにしか使っていなかったが、息子は説明書を見てはいろいろの機能を駆使する。男の子が台所にいるなんて許せなかったが、最近は助かっている。この頃は、よく話し合えるようになった。父親が商売をしているので、手伝ってはどうかと勧めてみた。何とも答えなかった。
学校から休学の手続きをするよう勧められた。内緒でしたくないので、息子に「どうしようか?」と尋ねた。「それなら休学にしておいて」はっきりたのんできた。「あんた、やめるんじゃなかったん」と言うと、「いや、わからん」と。
大検用の予備校へ説明を聞きに出かけたが、途中で目まいがしたといって結局帰ってきた。相変わらず、昼頃まで寝ている。テレビを見て笑ったりしている。以前は部屋の隅へ引っ込んでいたのに。先日、何か月ぶりかに友だちの家へ遊びに行った。ご機嫌で帰ってきた。 休学届けに、カウンセラーの意見書を添えなければいけないそうで、それを作ってほしい。
(O)
かなり表情が明るくなった。態度に余裕がある。息子の様子を楽しそうに語れる。
(A)
まだ不満を残しながらも、息子のありのままを受け入れ始めている。「父親の商売を手伝うかと勧めた」と言ったのはとても良いことだと思う。勇気づけの仕方をティーチインするチャンスだと思う。大検は、あるいは乗り気でないのかもしれない。もしかすると、来年1年下のクラスへ入ってやり直すかもしれない。このことを言うと、3月生まれだから、1年早すぎたのかもしれないと。脈ありの様子。
“勇気づけと勇気くじき”(『アドラー心理学トーキングセミナー2』)の一覧表をコピーして、プレゼントした。
(P)
子どもが自分で決められるのを援助できる親になってもらう。
(SVC)
経過報告書にカウンセリング目標がはっきり出た。これで定型にぴったりはまった。(Kさん)
□4回目 11月1日
予約がかち合ったので、初回の来談者を優先させてもらった。10分だけ経過を聞いて、次週来てもらうことにした。
(S)
とても良くなっている。朝早く起きて退屈な様子ですが、夕食の支度はきちんとやってくれている。塾の案内が頻繁に来るのを怒っていた。土曜日にスーパーへ買物に行くというので連れて行ったが、高校生の下校と重なって、自分の学校の生徒が見えたら急に「苦しくなった。もういい。」と言ってすぐ帰った。
(O)
ますます明るくなっている。このごろ、息子が7時には起きるので「1日が長いなー」と皮肉を言ったと、やや嬉しそうに照れて語った。
□ファイナルレポート
11月8日
(S)
朝はどんどん早く起きるようになった。1日が退屈だろうなと思う。雑誌「高1コース」を私に買いに行かせては読んでいる。自分で買いに行けばいいのにと思う。
<息子さんのために役に立つことがあって、良かったですね。>
テレビを見て大声で笑っている。こんな状態なら、学校へ行けるのではないか。
<部屋の隅に引っ込んでいるのとどっちがいいですか?>
それは今のほうがいいですが……。ほかの普通科へは転校できないでしょうか?
<1年から受け直せばできるでしょう。学年途中の転校は普通、一家転住の場合だけみたいです。>
息子が学校へ行かなくなって以来、家を空けられなかったが、先週2泊3日の旅行へ行ってもいいと言ってくれたので行った。留守中、夕食を作って父親に食べさせたそうです。娘ならこれでいいのに、どうも男の子がこれではねえ……。
<そうでしょうか?>
今心配なのは、運動もしないで家に篭もっていたら、鬱病やノイローゼになりはしないかということです。几帳面なタイプの子がなりやすいと、本に書いてあった。うちの子が当てはまるような気がする。
<そうして心配していると、本当になるという話もありますよ。>
そうですか。だいぶ楽になってきましたから、しばらく何とか、自分でやっていけそうです。
(O)
不安を訴える割には、顔色は良く表情も明るい。
(A)
少し子どもの状態が良くなると、1日も早く外へ出したいし、料理好きの男の子をまだ本心から好きになれないらしい。買物については、言葉できちんと頼んでいるからとりあえずは引き受けていればいいと思う。今はまだ、頼み方の注文をつける時期ではなかろう。息子のために何かしたい親なので、買物の使いでも役に立っていることに気づいてほしい。学校や将来の進路については、まだ相談に乗れる段階ではなさそう。鬱病やノイローゼへの不安がなければ、当面穏やかにやっていけそうだとのこと。
休学手続き以後、関係が好転しているのは、親が現状のままの息子を受け入れ始めたからではないか。
鬱病やノイローゼについて、少し説明する。親が追い詰めなければ、病気にならないのではないかと。病気になって、親に期待を捨ててもらいたいほどでもない。
自分でやっていけそうだとい言うので、ここらで「凍結」してみることにした。
(SVC)
1)買物や料理が、子どもの自主決定に役立つことを言ってあげるとよい。(Wさん)
2)終結が少し早い。凍結にしても早い。母親が躁鬱気質の「ドライバー」だとこういう終わり方をする。このあと、10分ずつでも経過報告をしてもらうほうがよい。今後、親子関係がどれだけ良くなっているか、少しは疑ってもよい。(野田先生)
3)日常会話の具体的な様子をもう少し聞いて、親子コミュニケーションの改善を確認してから終結へ持っていくとよい。全体としては良い流れです。(Kさん)
4)鬱病や登校拒否のために、母親にできなくなったことは何か?治ったら何をしたいか?「特殊診断質問」をして、母親にライフスタイルをつかんでもらうと、母親がもっと楽になるのではないか。(Nさん)
5)休学届けに添える「意見書」の書き方のコツ
受け取る人を勇気づけするなら、わかりやすく書く。
勇気くじきするなら、難しく精神医学用語や心理学用語を駆使して絶対理解できない内容にするとよい。これ以上登校を強制すると発病の恐れがあると書く。(野田先生)
3、考察と謝辞
このケースもまた、父親の影がうすく、母親が支配的という、平均的な日本の家庭です。もちろん、それを子どもの不登校の原因であるとは考えません。アドレリアンは原因探しをしませんから。母親の様子から、たぶんこの親子の関係は、注目関心の段階から権力闘争の段階を行ったり来たりしているものと思われます。母親の要求の1つである、「外向的な男らしい子であれ」に反発して、家事料理などを好むので、実際母親に、「この子が女の子であったらよかったのに」と思わせるなど、期待をはずしています。そうなると、母親がその線で、期待をさらに強要すると、次の段階である復讐期に入る危険もありますが、さいわいまだその時期には至っていないようです。
したがって、子どもに料理を手伝ってもらうなど、家事への協力を通して、子どもの価値を再発見していくにつれて、関係が改善され、最初、部屋の隅に閉じこもっていたのが、次第に部屋の中央へ出てきて、親子の対話はもちろん、積極的に夕食の支度などもするようになり、明るさと自信を取り戻していったようです。
しかしながら、凍結を決めた最終回においてさえ、一面で子どもとの関係改善を喜びながら、他面まださまざまな期待を子どもにかぶせている状況があり、なるほど、野田先生のコメントのように、終結が早すぎたと思います。カウンセリングは、いつまでもクライエントに寄り添うのではなく、クライエントの「自助を援助する」という原理に、少し教条的にこだわりすぎていたかもしれません。実際、最終回でいつくかの不安材料を出しているのは、もうしばらくカウンセリングを必要としていることの現れであったかもしれません。自分でできそうだというクライエントの言にそのまま従って、凍結したのは、やはり、根強く残っていたロジャース派カウンセリングのなごりかもしれなくて、とても消極的でした。「ま、そうおっしゃらずに、あと2~3回ほど、様子を聞かせていただけませんか?」と、延長に持ち込むべきでした。『スマイル』のような親教育セミナーへの参加予定が立たない場合は特に、しばらく仕上がりを確認する必要があると思います。
さらに、初回にIPが来ていたにもかかわらず、それきり逃がしてしまったことはとても残念です。いきなり35歳のイメージを求めていますが、それきり次の回から来なくなりました。提案を急がず、もっとIPとのラポールづくりに努め、カウンセラーは親の味方ではなく、IPの味方であることをはっきり打ち出しておけばよかったです。せっかく、面接開始早々に「私立の特別コースのほうがよかった」と、今の学校の代替案らしきものを示唆しているのだから、親教育とは別路線で、直接本人を援助していけたのではないかと悔やまれます。予備校の大検コースに行ってもなお不安だと訴えていましたが、筆者は、この「不安」でIPが母親を操作しようとしていることを読み落としていたと思います。未熟でした。
しかしながら、このカウンセリング中に1回、凍結後に1回、休学届に添える意見書を書きましたが、その書き方を野田先生から丁寧いに教えていただけたし、アドラーギルドの事例検討会では、いつもよりずっとたくさんの方々から、毎回ご親切なコメントをいただけたことで、とても勇気づけられました。ここにあらためて感謝申しあげます。
---参考文献---
・野田俊作監修(1986)、実践カウンセリング、ヒューマンギルド出版部
・野田俊作(1993)、続アドラー心理学トーキングセミナー 勇気づけの家族コミュニケーション(アニマ2001)
・野田俊作監修(1986)、SMILE 愛と勇気づけの親子関係セミナー、ヒューマンギルド出版部
完