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不登校の11歳の女の子のことです。家事の手伝い頼んでもしてくれないことが多い。そのときは何も言わないで私がします。こういうとき、「がっかりしたな」とか「やってほしかったのに」と、私の気持ちを言ってもいいでしょうか?
A
「がっかりしたな」と言うと、子どもは「私は役に立つ力のある人間だ」と感じるかどうか、「この親は信頼できるいい人だ」と感じるかどうか、「この世界は安全で住み心地のいいところだ」と感じるかどうか、自分で判断してください。
家事はしてほしいものです。そのことについて一度、関係ないときに話すんですね。もめている現場で話し合わないで、落ち着いて冷静に話せるときに話すのが大きなコツです。
「お皿洗いしてもらえる?」「イヤよ」「じゃあ他に何してもらえる?」「猫の世話する」とか。子どもにしてもらいたいことで、子どももしたいことを探す。冷静な状態で話をして決めたい。
もしもそれが実行できないときは、その場で「猫の世話すると言ったでしょう」と言わないで、また落ち着いて話せる別のときに、「あなた、あれはイヤみたいね。じゃぁ他に何か代わりをしてくれる?」と聞く。(回答・野田俊作先生)
Q
高2の息子のことです。6月から学校を休んでいます。何のために勉強しないといけないのかわからないので悩んでいたみたいです。ここ(アドラーギルド)に来る前にいろいろありましたが、今はゆっくり待とうという気になりました。
A
良かったですね。子どもの人生は一度子どもにお返しして、子どものほうで判断してもらって、向こうから「これを手伝ってほしい」と言ってきたら、手伝ってあげる。
子どもが悩んでいるとき、登校拒否なんかそういうケースですが、僕たちは助言するよりも、教訓を垂れるよりも、まず子どもにくつろいでもらおうと思う。エネルギーが出てくれば、また動くだろうから。疲れているんだから。
くつろぐには何をすればいいか。部屋に閉じこもってじーっとしているとくつろがないんです、人間て。ゲームでも1人でテレビ見ていてもくつろげない。明るいおしゃべりするとくつろげると思わないですか?親が「学校行かないと大変よ」という気持ちで話していると、明るいおしゃべりができないでしょう。明るいおしゃべりをしているとくつろげる。どうでもいいこと、「おじいちゃんが宇宙へ行ったね」とかが、楽しくおしゃべりできる状態があると、子どもはすぐに充電できて、すぐに飛び立てる。学校まわりの話をするとだいたい暗くなるから、やめたほうがいい。くつろげるように、明るい楽しい家庭を持てるように。そこでエネルギーを充電できるように。これが第1段階です。
それができて、十分に子どもが明るい雰囲気の中で暮らせるようになったら、第2段階です。子どもから話を聞きます。子どもはきっと最終的な答えを知っているんです。はっきり意識してないかもしれないけど知っている。上手に話を聞けば、教えてあげなくても自分で見つけ出すでしょう。子どもがどう考えているかを話せるようにすることです。(回答・野田俊作先生)
Q
家族会議のルールについてお願いします。わが家は複合家族です。子どもと親以外の家族がたくさんいます。全員が参加しないといけないでしょうか?
A
「いけない」と言うと動きにくくなるでしょう。全員参加が「望ましい」です。一応、言葉がわかる家族が来ることにします。乳児は来なくていいだろう。どっかで寝ていていい。ボケばあさんもいいだろう。その真ん中へんの普通に言葉の通じる家族は、全員集まるのが望ましい。「全員集まらなければならない」だと、「全員集まらないからやめよう」のほうへ動きやすい。「熱心な人だけ集まって」と言うと動きやすい。でも、どっちもまずいから、できたら全員集まるようにしてほしい。(回答・野田俊作先生)
Q
3人きょうだいの真ん中の女の子のことです。毎日、せかせるように1日が終わります。不適切な行動ばかりです。こちらが注意するのが良くないとわかるんですが。だからと言って、のんびりして大らかで優しいところを適切な行動だと理解したら、この子は怠慢な子になりそうで注意してしまいます。何かいい方法を教えてください。
上と下の子はそれほど心配なくやっている。だからこそ真ん中の子が不適切な行動をするのでしょうか?
A
注目を与えなければいいんです。子どもはこっちが注目を与えないと決心すると、どうしても注目を与えたくなるところまで不適切な行動をいっぺんエスカレートさせます。それでも注目を与えないと、この親は本気だと子どもが思ってやめるんです。いつもこのお母さんは、その前に負けている。
とにかく子どもといっぺん話をします。「あなたがグズグズしているのをお母さんは嫌いだけど、やっぱりそれはあなたの問題だと思うから、これから一切口を出さないようにします。それでいいですか?」。子どもは嬉しいから「いい」と言う。やりだすと、子どものほうは、不適切な行動で親の注目を引く以外に手を知らない。だから不満になって、もっと不適切な行動をする。親はそのうちきっと手を出す。手を出すとズルズル元へ戻る。タバコと一緒ですね。禁煙を破って1本吸うと、もう駄目。その1回を辛抱しないといけない。
ジェーン=ネルセン先生の子どもの話です。「朝8時30分までにすべての子どもはご飯を食べる」と家族会議で決まった。「8時30分までにパジャマを着替えて、ご飯を済ませてほしい。1秒でも過ぎたらもうご飯はありません。いいですか?」。子どもは「わかった」と言ったけど、こんなときはきっと反抗者がいる。その子(一番下の小学1年生)は何日目かに、8時31分にパジャマのままで来た。お母さんは「ごめんね。今日はもうご飯ないの」。子どもは、怒って棚の上の鍋を見つけて台によじ登る。お母さんは黙って降ろす。子どもは癇癪を起こしながらまた登る。お母さんは冷静に降ろす。45分間登ったり降ろしたり。子どもは、とうとう泣きながら朝ご飯を食べないで学校へ行った。「あー疲れた」。それから1週間は守った。1週間後に、またその子が8時31分にパジャマで起きてきた。また台に登る。お母さんは「あー、また今日も45分か」とがっかりしたけど、冷静に降ろした。すると子どもは、「この親はやっぱり本気だ」と言って、それからは守った。いっぺんそんなことがある。
不適切な行動から抜け出してもらおうとすると、子どもは親を試します。場合によってはかなり厳しく試す。それは覚悟する。それには負けないこと。
もう1つ。不適切な行動がないのは(ものによるけど)適切な行動ではない。のんびりおっとりしているのは適切な行動だと親は言うけど、それではあかん。もっと違うこと、何でも親にしゃべってくれるとか、家のお手伝いよくしてくれるとか、何か全然今問題にしていることと関係のないところで適切な行動を探す。
典型的なのはおねしょです。おねしょは不適切な行動だと思うが、おねしょがない日に、ないのは適切な行動だからといって、「今日はおねしょなかった。良かったね」と言うと、「おねしょしなさい」と言っているのと同じです。普段おねしょしていて今日はしないから、言ってもらえる。全然おねしょしない子は、「今日はおねしょないね。良かった」と言ってもらえない。不適切な行動がないのを適切な行動とは言えない。のんびりおっとりしているのを適切な行動として勇気づけても、子どもは一向に勇気づけられた気にならない。全然違うところで勇気づける材料を探してほしい。(回答・野田俊作先生)
Q
3歳と5歳の男の子の母親です。朝、保育園に行く前になかなかご飯を食べず、着替えもせず遊んでいます。仕事に早く行かなければならない私は、時間ばかり気になってイライラしてしまいます。穏やかに話さなければと思って、「そろそろご飯食べよう。お母さん早く行けないから協力してね」と言っても、我慢していたものが吹き出すように大きな声をしてしまいます。あとでいつも反省するのですが、この悪い癖をどうしたらいいですか?
A
こんなときに話をするからあかんのです。前の日の夕食のときくらいに、「明日の朝どうしよう?」と話をする。「ちゃんと行く」「もし行かなかったらどうしよう。ご飯をなかなか食べないときに、どうしたらいいと思う?」と、子どもと話をする。
そこで決まったら、決まったとおりにする。何が決まっても、決まったとおりにする。「ほっといて」と言ったらほっとく。「お母さん先に1人で仕事に行って」と言ったら1人で仕事に行く。「うるさく言って」と言ったらうるさく言う。「ご飯なしで幼稚園に行く」と言ったら、ご飯なしで行ってもらう。何であれ、現場で真っ最中に話したら、感情的になります。だから、別の時間に話すこと。
できれば「家族会議」をするのがいいですね。定期的に話をする習慣を作っておいたほうが便利です。子どもが小さい間は、月1回は間が遠い。2週間に1回くらい。1回30分くらいで、家族の問題について家族全員で話をする。
ただし、その日に全部決めようと思わないこと。30分経ったら、何も決まってなくても終わりにする。次の会で30分やって、また決まらなければ終わり。決まれば決まったとおりにする。興奮して冷静に話し合えなくなったりしたら、そこで終わりにする。
とにかく家族全員参加して、「このごろ何か困っていることないか、何か決めないといけないかな?」と言って話をする。話をしたら、とにかくそのとおりにやってみる。具合が悪かったら、「あれはちょっと具合が悪いから改善して」と、だんだん改善していくといい方法が見つかるでしょう。(回答・野田俊作先生)