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編集・削除(編集済: 2024年09月10日 18:37)

歩く男

ひとりの男が歩く
どこへ向かおうというのか
夕日が沈む先へ歩く
水平線の向こうまで歩く
手には国語と算数の教科書を持っている
男はもう一度勉強したかったのか
 
空っぽのリュックサックには乾いた砂ぼこりが入っている
何十年前に買ったリュックサックなのか
乾いているのは男の心かもしれない 
心の砂漠に水を与えよ

男は一心不乱に歩く 迷いがない
かつかつという音が聞こえてきそうな歩みだ
男は未来へ歩こうとしている
過去の自分と決別するために歩いているのか

男は薄汚れている
シャワーを浴びせて身体を清めてやれ 
汚れているのは心か
心は澄んでいた 表面は汚れているが 中まで浸透していないらしい

男は微笑んでいた
最初は悔しそうな表情で歯をくいしばっていた
今は違う 何が男の笑みを誘発させたのか

風が吹いていた とても柔らかな風が
そよそよと春の森の木陰から吹いてくる風だった
誰が贈ったか知らぬが男は大層うれしそうだった

男が歩いている
猪突猛進に近い歩き
ずんずんという音が聞こえる
これはいけない張り切りすぎである
ふさわしい歩き方がある
もう少しゆっくり落ち着かせねばなるまい

雨を降らせた
小雨程度だ
男は張り切りすぎたせいでだいぶん汗をかいている
汚れていたし暑いようだ 涼しくしてやろう

男の歩みは決して止まらない
常に歩いている
そう心臓が常に動いているのと同じように

男の行く道は穏やかだったり険しかったりする
自然な歩みで乗り越えてゆけたなら……
と安らかなまなざしで歩めば正解である

男を支えるのは二本の足だけだが
手伝ってあげるのは我々の役目だ
男の行く末に 幸あれ

編集・削除(未編集)

雨音

雨音がしている
どう表していいのかわからない
この音
そして この音をきいたときに沸き起こる
この 例えようもない きもち

そんなとき いつも おもう
この思いは わたしだけが感じるものなのだろうか
それとも ほかの人も 
同じように抱く 感情なのだろうか

私は思う
どうも みんなも同じような気持ちを抱いているのではないか と
なぜ ときかれても そんな気がする としか言えない

そして もしそうであれば 
この感情は これまでの人々が抱いた思いが
幾重にも積もり積もったものなのかもしれない
だから それは
重く 切なく 愛おしい のかもしれない

そんなことをおもいながら
いま この雨音をきいている

編集・削除(未編集)

錆びた下弦の月夜  荒木章太郎

錆びた指で
寂れた弦を爪弾く
砂漠から吹いてきた
乾いた息を引き取って
鳴らした下弦の月よ
青い光奏でて
俺の中の怪物を
つまびらかにして
目を凝らせば
薄汚れたパンダのぬいぐるみか
黒いのは汚れではなく悪だ
愚かな影だ
抱きしめて口づけてみる
動機ばかり気にして
動悸がして青に同期する
全ての音が調和した頃
ぬいぐるみを朝で焼いた

編集・削除(未編集)

組曲 海峡  上田一眞

Ⅰ. 父とともに〔昭和三十五年五月〕

一眞
お父ちゃんと下関に行こうか
おばちゃんに会いに行こう 
お菓子貰えるよ

 わぁ 本当にぃ
 嬉しいな
 チンチン電車に乗れるね

**

 わぁ すごい
 お父ちゃん大きな河じゃね
 すご〜く 流れちょるよ

一眞
そこは河じゃなくて海
海には潮の流れがあるんぞ

 うそ〜 お父ちゃん 
 海は あねぇに速よう流れんもん
 それに向こう岸もあるけえ
 絶対 河じゃ

**

一眞
歩行者トンネルがあるから行こう
向こう岸は九州ぞ

 お父ちゃん 河にトンネルがあるの? 
 変なの

 このトンネル暗いし長いね
 もう帰ろ おしっこ出る
 …わぁ 漏れる



Ⅱ. 壇之浦〔昭和五十五年五月〕

往古 壇之浦と呼ばれた 下関・みもすそ川
祖父終焉のこの地を
祥月命日にあわせて訪れた

戦前 祖父は
釜山水上警察署の船に乗っていた海の男だ
潮騒の音(ね) 囂(かまびす)しい
下関で
人生の最後を迎えたのも
何かのえにしがあった故であろう

今日は大潮
海峡はごうごうと音をたてて流れ
大河アマゾンのポロロッカや
中国・銭塘江の大逆流 海嘯を彷彿させる

壇之浦 早鞆の瀬戸
名高い源平の古戦場であるとともに
潮の速さは我が国屈指のもので(*1)
十ノットにも及ぶ

過ぐる日
祖父が命がけで操船して通った海峡
渦巻く潮が
その苦闘を物語る

**

水面のすぐ先に
対岸の門司・めかりが見える
人の顔が分かるほど近い
海底トンネルを使えば歩いて渡れる

幼き日 唐戸(*2)の菓子問屋に勤める
伯母からチョコを貰い
その帰りに
父と二人で歩いた「関門トンネル人道」

とぼろ とぼろ と
手を引かれ
へっぴり腰で歩いたためか
途中でおしっこをしたくなって
父を慌てさせた

あれから 二十年の歳月が流れた
海峡は
今日も暴れ河のように
激しく流れている



Ⅲ. 引き揚げ〔昭和二十年十一月〕

1. 対馬海峡

終戦の年 昭和二十年晩秋
上田一家の乗る船は
関門海峡西側入り口にある小島
六連島(むつれじま)にいた

家財道具一切を載せて
朝鮮・釜山を出港
西風厳しい
対馬海峡の波濤を越え
ようよう ここまでたどり着いた

対馬海峡周辺は船乗りが最も恐れる
三角波が多発する
魔の海域
船は波に突き上げられて
激しいローリングとピッチングを繰り返し
笹舟のように
揉みくちゃになった

落差のあるうねり
谷部に入ると
波のてっぺんが遥か頭の上に見える

みんな船酔いにやられ
顔面蒼白
手足の痺れとともに
激しい嘔吐で体力を失い ふらふらになった
酔い止めに用意した正露丸など
全く効果がない


2. 試練

八月十五日
敗戦は突然やって来た

それとともに
朝鮮半島や外地にいた日本人には
語るも辛い
試練が待っていた
“日本本土への一斉引き揚げ”
これが喫緊の課題となったからだ

冬場も近づくと
日本海と周辺海域は季節風が吹き荒れる
海には浮遊機雷も多い
命がけの難業が予想される

祖父は一大決意をくだして
奉職していた水上警察の警備艇を使い
対馬海峡から響灘
関門海峡 周防灘を経由して
郷里 山口県・富海(とのみ)村まで
帰郷することにした

警備艇に乗る家族は六人と一匹
大人の男三人 女一人 子供二人 猫一匹

まだ戦地から帰還していなかった
末っ子の父を置いての引き揚げだ
それほど状況は切迫していた

武装大発(*3)を改造した
内航用の小型警備艇で外洋に出る

四メートルを優に超える
対馬暖流の荒波に揉まれると
舷側の低い警備艇は
浸水・転覆の危険性がある
追波による捲りも怖い

最大の難所は 関門海峡
当時 米軍機による機雷封鎖がなされ
繋留型機雷だけでなく
投下された機雷がうようよ浮遊している

これらが
多くの船舶を餌食にしていた
自然の暗礁も多く
危険極まりない海峡だ


3. 関門海峡

朝方 六連島沖で潮待ちした
暫くして
引き潮時の“東流れ”が始まり
満珠島・干珠島方向に
潮の路が出来た
波間に遊弋する鴎が一斉に飛び立った

 いざ決行!

祖父は操舵に専心
機雷に触れると
警備艇など木っ端微塵になるから
慎重に操船した

伯父に
狩猟用の村田銃を持たせて
海面を見張らせ
浮遊機雷が近づいたら撃つように命じた

ただ 狙撃して
機雷を爆発させることができるか
保証はない
いちかばちかの賭けだ

機雷封鎖された関門海峡も
小さな和船は行き来していたから
それが一縷の望みだった

河の流れのような海峡の潮に乗り
渦巻く波間
ずぶ濡れになりながら
漆黒の深みに〈みほとけ〉の光を見た
そう感じた
門徒でもない家族が〈称名〉を唱え始めた

 なまんだぶ
 なまんだぶ
 なまんだぶ
 なもあみだぁんぶ

潮流に煽られてコントロールを失い
右へ左へ
転覆すれすれの状態が続く
スクリューの空回りが不気味な音をたてる

いくつかの黒い機雷の影をやり過ごし
触雷はなんとか免れて
海峡を走り抜け
周防灘に入った

沿岸沿いに宇部沖を行く 
三田尻を過ぎ 江泊岬を左に見て
富海の街並みが視界に入ったのは
午後四時過ぎだった

野島の島影
八崎岬
そして 鼓海とも呼ばれる
穏やかな富海の入り江に入ったとき
安堵の胸を撫で下ろした

我にかえると
ズボンやモンペが濡れて冷たい
緊張で
大人全員が失禁していた

祖父にしてみれば事業にしくじって
追われるように出奔した
富海だが
それでも生まれ故郷は懐かしい

 スナメリが啼いた

浜辺に降りると
白い砂が温かい

汀の砂地で無心に遊ぶヤドカリ親子を
秋の斜陽が
優しく照らした

ここは西方浄土に違いない



〔追記〕

祖父は家財を富海の海岸に下ろした後、直ち
に釜山に引き返した。
警備艇を水上警察に返すためだ。釜山にはも
う職場のだれもいないことが分かっているの
に、危険を顧みず船を届け、今度は引き上げ
船で仙崎港に帰って来た。
度し難いほどの律儀さだ。


*1 日本三大潮流 鳴門 来島 関門 の一つ
*2 下関市唐戸町(からとちょう)
*3 武装大発動艇 帝国陸軍の上陸用舟艇

編集・削除(編集済: 2024年08月23日 19:13)

くれ様 おめでとうございます!

くれ様

このたびは新詩集「持ち物」のご上梓、誠におめでとうございます!
くれさんのあの日以降の日常、想いとしっかり向き合えたらと思います。

くれさんの益々のご活躍をお祈り申し上げます。

編集・削除(編集済: 2024年05月03日 23:35)

連休  温泉郷

めんどくさがり屋の君に
僕はいつもごまかされる

ああ トルコ旅行にいきたいなあ
ブルーモスクが見たいなあ
と無理を承知で絶望的に僕がいうと
本を読んでいた君はこういった

  ああ いいわね
  行きましょう 行きましょう

でも 今は忙しくて無理だなあ
円安でばか高いしなあ
やっぱり あの山の温泉に行こうか
今ならインバウンド客も来ていないよ
と僕がいうと
君はページから眼を上げずにこういった

  それも いいわね
  行きましょう 行きましょう

でも 腰がまだ少し痛いんだ
あの最後の鎖場は無理かもしれない
やっぱり 手近で悪いけど
公園に行ってのんびりと
カイツブリの親子でも見ようか
と僕がいうと
君はページをめくりながらこういった

  それも いいわね
  そうしましょう そうしましょう

君はどこでもいいのかい?
と少し怒って僕が聞くと 君はこういった

  わたしが行ったことがなくて
  あなたも行ったことのない場所に
  一緒に行ければどこでもいいの

どこ?

ここ

君は本から眼を上げて
僕の眼をまっすぐに覗きこんだ
君の虹彩が僕の虹彩を見ていた
僕の虹彩も君の虹彩を見ていた

連休が来た
僕たちはトルコに行ったつもりで
公園のベンチで池のカイツブリ親子をみている

いいかい
ここはトルコの公園なんだからね

ケケケケケケと甲高い鳴き声が聞こえてきた

トルコにもカイツブリっているのかな?
と僕がつぶやくと
本から眼を上げないで君はいった

  何いってるの
  ここはトルコの公園よ
  さっきの鳴き声もトルコ語だったでしょ

編集・削除(編集済: 2024年05月03日 15:35)

くれ様 おめでとうございます

このたびは、新詩集『持ち物』ご上梓お祝い申し上げます。
様々な思いを形にして残し、たゆまず前へ進んでゆかれるお姿をいつも尊敬しております。
これからも益々のご活躍をお祈りいたします。

編集・削除(編集済: 2024年05月03日 12:37)

カントと小石、宇宙と人間  理蝶

くらくらするほどの確率と
ひもとけないほど絡まった因果が
あらゆる不思議の親

人智のうつわでは 
到底受けきれない偶然が
夜空の奥に満ちている

はらいたで忘れられる かみさま
はらわたを撒いても消えない かみさま

認識の向こう側を領された
人くさい かみさま 

きっとかみさまはいないけど 
ここにかみさまはいる

路端の小石が 
カントを解することができるか
問うまでもないように…
ねえ、ぼくらは今宇宙にいるんだよ

ひとをあきらめて ひとを受け入れた時
驚くほど近くに
かみさまがいたことに気づくだろう

にくしみ のぞみ よろこび ねたみ
そんなもの全てが 大宇宙にただよう
うすい花びらに見えるだろう

そしてかみさまはよく見たら 
自分の顔をしていることに気づくだろう

編集・削除(未編集)

くれ様 おめでとうございます。

この度は、詩集『持ち物』のご上梓、おめでとうございます。

これまで、あの日の記憶や思いをお力を注いで詩というかたちにされてこられたくれさん。後世へと語り継いでゆかれるという、ご貴重な時間の場面、場面で、幾度も誰かの手によってページが開かれてゆくのだと思うと、本当にすごいことだなぁと思わずにいられないです。おめでとうございます。

今後の益々のご健筆とご活躍をお祈り申し上げます。

編集・削除(未編集)

くれ様 詩集ご上梓おめでとうございます  山下英治

くれ様 詩集ご上梓おめでとうございます。

毎日アップされる震災詩に対する熱意に驚かれております。

これからの一層のご活躍を祈念いたします。

山下英治

編集・削除(未編集)
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