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涼しかった昨日
入浴剤入りの風呂で 温まった
残り湯は洗濯に使えるかな
迷っていると 夫から
肌に直接触れても良いもの
洗濯くらいできるだろう
あ そうか
ちょっと考えたら わかること
思い出したのは
小学生の頃の食器洗い
私はすすぎを
それはそれは丁寧にした
洗剤を残すなんて恐ろしい
ほんの少しでも体に入ったら
たいへん
すっかり大人になった今なら
それほど怖がらなくても良いと
もう わかる
万一少し残っても
食べ物に直接触れる食器用
病気になんてならないし
ましてや命は落とさない
だからあの頃ほど すすがない
これも ちょっと考えればわかったこと
そんなこんなで過ごしてきたら
良いか悪いかだけでなく
間に見つけた もう一つの言葉
「悪くない」
たった四文字の言葉であるけど
いつか 立ち上がってくれないかな
できることなら
この言葉と仲良くなりたい
きっととても優しくて
とてもとても 温かいから
器用でないし
頭の回転も速くない
なのに慌て者だし
気の利いたことのひとつも言えない
そんな私の斜め後ろで
悪くないよ
と 笑って欲しい
拾う
拾
拾という漢字のおぼえ方
「手を合わせて拾う」
なんという うつくしい行為だろう
手を 合わせるように
そのものへゆっくりと差し出し
両手で包み込むように拾い上げる
祈りのようなやさしい光景を
あたらしい漢字を習う少年は
強くひいた鉛筆の線といっしょに
ノートにしまい込んだ
青年期
拾いたいものがたくさん増えた
風景画の額縁をこえた場所
あらゆるものの住処をさぐる公式
触れる人によって幾通りにも色を変える
言(こと)という葉
なにかを拾おうとする
だれかの心
目に映るすべてに敬意を込めて
どれも両手で拾い上げたかった
たいていは形を残さなかったけれど
だれかに分けられるくらいは満ちていた
かがんだ背中に
時につめたい風を感じても
壮年期
追われるように拾いつづけた
どんな場所でも呼吸するわざ
おおくのひとが持っている
色も形もおなじもの
つめたい風に吹かれた記憶の
ひとつひとつ
繕いすぎた自尊心
竜巻のようにめまぐるしい日常で
両手にひとつでは間に合わない
片手にひとつ
一度にふたつ拾おうとした
そのうち抱えきれなくなったので
前に拾ったものを手放した
だれかと分け合うこともせずに
中年期
片手で拾ったものを捨てきれずに
夕暮れの道を歩く
むかし拾ったものをもう一度拾おうか
それはいつでも
自分の足もとにあったのだが
通りかかる幾人かが指さして
(これはあなたのものではないですか?)
とたずねてくれるが
そのたびに
(いいえ、ちがいます)
とこたえてしまう
むかしのように拾えるだろうか
足もとなのに
手をのばせばはるかに遠い
道の反対側で
だれかに似ているようで似ていない少年が
手を 合わせるように
そのものへゆっくりと差し出し
両手で包み込むように拾い上げた
夕陽が照らし出す先はまだ見えない
道は半ばだ
地下鉄の一駅 わずか2分
ドア近くに立つ
無意識のガラス越しに
汚れたパイプの走る黒い凸凹の壁
朝見た憂鬱な国際映像が重なり
右手の指で
ガラスを叩いてしまう
練習中のアルペジオで
繰り返し 繰り返し
ん?
右側のベビーカーの男の子と目があう
2歳くらいかな
こちらをみて喜んでいる
こんな瞳はきっと
世界共通だね
もう一度 アルペジオ
男の子は
喜んで笑顔を向けてくれる
お母さんは?
ガラス越しにそっとみると
スマホをいじっている
もういちど
今度はやや長めに
アルペジオの繰り返し
男の子は
左手に持っていた
赤いマグカップを揺らし始める
僕の手をじっと見ている
じゃあ
これはどう?
こんどは和音で
ガラスをたたいてみる
マグカップの揺れが止まった
うーん
あまり反応はよくないね
アルペジオの
指の動きがお気に入りだ
彼の眼にはどう映っているのだろう
何かのクモのような
生き物にでも見えているのかな
電車が駅に近づくまで
男の子のマグカップと
セッションを楽しんで
駅に着く前に
小さく お別れの挨拶
ドアが開く直前
男の子は
はじめて
アーという声を出して
小さな手を
こちらに伸ばした
うーん
うれしいけど
タッチは
お母さんに叱られるかもね
もう一度
内緒の小さなバイバイをして
地下鉄を降りた
地下から階段で地上に出ると
染みも境目もない青空が
どこまでも延びている
街路樹のユリノキの葉に
朝日が反射して
秋の微風に揺れている
君たちみんな
何が何でも 大きくなれ
大きくなって
どこかで乗り合わせたら
また 一緒に
セッションをやろう
長くここで評者も務めてくれた、Kazu.さんこと、坂井一則さん。
(ちなみにKazu.さんの「穴」は、 2010年に最も読者を獲得したネット詩と評されています。同一人物です)
闘病生活を続ける中で、今回「中日詩賞奨励賞」を受賞されたことを称える記事です(中日新聞)。
もう病院に通う以外、外出することもできなくなっているんですが、脳腫瘍手術以降も
2冊の詩集を出し、術後2冊目の詩集となる『あなめあなめ』で同賞を受賞されました。
『あなめあなめ』は、
脳腫瘍に伴う失語症で、言葉を発せられない日も多い中で、紡がれた詩集です。
まさに魂の詩人ですね。頭が下がります。敬意しかない。
そして、彼がわれわれの仲間であり、友人であることを誇りに思います。
悲しみが目の前を流れる川なら
僕はどうやって渡るのだろう?
コツコツと木材を集めて加工して
橋を作り達成感に包まれて前向きに渡るのか
ただ何も考えずに川に足を踏み出し
身体一つで渡ろうとするのだろうか
流されて溺れもがき苦しみの中に落ちるのか
想像したほどでも無い穏やかな流れに
あっけなくなるほど渡り切ってしまうのか
今 目の前の川は大きく流れも早く荒々しい
きっと何も考えずに渡れば深い傷を負うだろう
腰を下ろして川を眺める
橋も作らず 無謀な行動もとらないで
ただ流れが穏やかになり水量も減って
渡れる様になるまで待つのもありだなと思う
無理して悲しみを消し去ることはない
せっかくの感情の中で悲しみに浸るのも悪くない
せっかくだから………泣いてみようと思ったが
もう泣いているのに気づいた
川の流れが打ち消してくれるから大声で泣こう
野朝顔
大きく開いた野朝顔は青紫色のらっぱだ
つらなって初秋の朝の澄んだ空へ
次々とのぼり
起床ラッパを鳴らす
梅雨どきに植えたひと株が
伸びる伸びる
丈高い樹のてっぺんまで
つるつる伸び
地面を這っては
ふしぶしに根をおろして
今や小さな森になった
植物は動くのだ
高いところへ高いところへ
日の当たるところへもっともっとと
人間の無限の欲望と同じ
今朝は三十数個も咲き
森はまるで青い滝
水音さえ聞こえるよう
そうして
心の弱い人に生きる力をくれる
夕方
花はピンクに変わる
たくましい花の
やさしい色
花の本当の心だ
消灯ラッパが鳴る
きょう一日の無事を
あなたに感謝して
おやすみなさい
*野朝顔・・・琉球朝顔
現状を知るために
僕はこのボールを投げる
誰もキャッチしなかったら
それはそれ
それが今の自分の立ち位置
でもね
投げたボールの放物線を眺めるだけでも
何かの足しになれば
もしも君がボールをキャッチしてくれたなら
僕はよろこびと共に少しの勇気をもらうだろう
この道を行く力になる
伝えよう
遠回りでも
まだ生きる理由を
僕は呼吸を整える
すでに走り出した道を
より遠くへ行くため
そう
遠くを目指してるようで
実は君に近づいてる
さよならのようで
より深く君を知る
未来
もう一度僕らが
顔を合わせる機会が訪れたなら
似顔絵を描こう
会えなかった時間を埋めるように
顔のしわ一本いっぽんに
君が生きてきた時間を
抱きしめるように
雨音様、免許皆伝に際してお言葉をいただいていたのに、お礼が漏れてありました。
お礼が非常に遅くなってしまい、大変申し訳ございません。
雨音様をはじめとするレギュラーメンバーの皆様と同じ欄に作品を並べられることを光栄に思っております。
最近ようやく免許皆伝していただいたんだなあとじんわり実感が湧いて来たところです。
また、今号から 理蝶 改め 田志健斗 としてお世話になります。
読み方は たしけんと です。
よろしくお願い致します。
「キレイ」ってなんだろう?
わたしはふとっているのでクラスのだんしから「デブ」とか わたしのあだな「ブーちゃん」ていわれる
わたしはブーちゃんといわれているけれど
べつにいやじゃない ふとっているから
わたしはいじめられていないし
いじわるもされない
なかよしグループもいるし
みんなとなかよくしている
みんなもわたしとなかよくしてくれる
ひとりをのぞいては
クラスでひとり わたしをキライというこいる
そのこはねふけいさんからキレイといわれているんだ かおがねキレイでスタイルもいい
でもねクラスのなかまはずれなんだ
それはねわたしにわるくちをいうからなんだ
「わたしはキレイっていわれてるけど
あなたはデブでブーちゃん」とかいうんだ
そのこはかおがキレイだけどそれでいいかな
ママにきいたんだ
ママはおしえてくれた
「そのこはかわいそうだね かおはキレイだけど ココロがキレイになってないかな」
「キレイはかおだけじゃないよ
こころのなかがキレイじゃないとねキレイっていえないな そのこはねココロのなかがいつかキレイになったら ほんとうのキレイになれるね」とおしえてくれた
わたしはすこしだけ「ほんとうのキレイ」が
わかったきがした
「課長、おはようございます!」
「おっ、早いなお前、今日の出張やる気十分じゃないか」
「ありがとうございます!
新幹線に乗る前にコーヒー買ってきましょうか?」
「○○さん、お久しぶり、元気そうじゃない!」
「あら、△△さんこそ なんか若返ったみたいよ!」
「相変わらず口がうまいのね。でも、実を言うと
今日からの同窓会旅行に備えてエステに通ったのよ!」
数多くの人たちが
コンコースで待ち合わせ、
笑いさざめきながら
あるいは心地よい緊張を感じながら
日本中のあちこちへ旅立っていく
よりにもよって
そんな光と喧騒にあふれ
活気に満ちた場所のすぐそばで
彼女は見つかったのだ
コンコースの脇に並んでいる
コインロッカー
そのひとつの中に
老女は身を屈めるようにして
横たわっていた…
犯罪に巻き込まれたのだろうか?
でも遺体に外傷はなく
もしかしたら何らかの訳があって
困り果てた家族が
スーツケースを棺がわりにして
狭苦しいコインロッカーに
押し込んだのかもしれない―
しかし真相は闇の中だ
遺体を基に
その姿を復元したポスターを見ると
故人は痩せて白髪混じり、
ベージュ色のカーディガンを着て
自分の身元を教えてほしい、と
遠慮がちに訴えている…
ところが情報はさっぱり集まらない
老女はいったいどこの誰なのか?
今もってわからないまま
三回目のお盆が近づいている
だから 彼女の魂は
ここに留まるより仕方ない
コンコースの脇でむなしく
待ち続けるよりほかないのだ
残された者の務めは
未だ現れない
遺骨の引き取り手を捜して
魂の帰るべき場所を
見つけてやることだ―
遺骨を納めるべき場所に
納めてやることだ
ここを終の住処としないために…
だが その仕事は容易ではない
果たして
彼女がターミナルを旅立てる日は
来るのだろうか?
懐かしい人に再び巡り会い、
たとえばこんなふうに
語りかける日は来るのだろうか?
「おじいさん、やっと追いつけました。
これからは、ずっとずっと
いつまでも一緒にいれますね」