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青島江里様
拙作、「思い」の評とご感想をありがとうございます。
佳作との評をいただき、今後の励みとします。
本作、弓を射る詩の二作目です。
武道の凛とした雰囲気を、どう言葉で表すか、
硬すぎても、それはそれで詩にはなりますが、
今一つ面白味に欠けました。
なら、一つ、月を射ってみようと、
ここから影絵のイメージが湧き、月は意識に芽生え逃げだします。
書いていて楽しい詩でした。
次回も、ご指導のほどお願いいたします。
評をいただきありがとうございます。
最近、すぐには答えを出せないものが多くあることに気づきました。
物事を一つの面だけから見るのではなく違う角度からも見るようになったことがその理由です。
この詩はこのような思いを「もやもや」という言葉で表現できればと考え書きました。
あまり難しく考えないほうが精神衛生上良いとのご指摘はそのとおりだと思います。
ほどほどに、もやもやとつきあうぐらいがいいのかもしれません。
今後ともよろしくお願いいたします。
結び目を解くように読んでいただきまして、ありがとうございます。実は今回の作品はよくわからないところから出てきたのです。まるで空中からロープが下りてきて、そこにつかまっていたらいつのまにか吊り上げられ、下を見たら、げんなり、するような光景が広がっていた、というような状況だったのかもわかりません(そしてそのロープを足らしたのが「あのひと」なのか「あなた」なのか、結局最後まで不明なままでした)。一人相撲のむなしさを描きたかったのかも、わからず、それが「お代は要りません」という投げやりなフレーズになったのかもと。・・・兎にも角にも三浦様の的確で明瞭な言葉が、腑に落ちました。またよろしくお願いいたします。
まずは評をありがとうございます。
「何者かになりたい」でも、何者ってなんだろう?そんなことを、そういう時期を通り過ぎて生活のことばかり考えている人間が書いてみたのですが……それだけだと悲観的なタッチが強すぎる。いい意味での軽さを与えたいし、詩らしくメタファーも用いたい。それから「どんぐりの背くらべ」思いつきで足した要素なのです。
それが悪くないとおっしゃっていただけた語り口に繋がったのなら……と胸を撫で下ろしています。
松本の気概は「甘め」の言葉をとるところから頑張りたいです。
さてさて……出来ることなら、客観性や見方を鍛える意味でも、評者の皆さま全員に当たりたいと思うようになってから、なるべく、ばらけさせてきました。でも、来週の分がまだ書けていません……。
もしかしたら、また来週お世話になるかもしれません。その際はよろしくお願いします!
1 上原有栖さん 「青葉の季節」 10/3
モチーフは同じ森ですが、前回の奇譚的に対して今回は凄く正統的なセンで書いています。
コントラストといった効果も意図したかもしれない。「凄く正統的」と書いたのには、ちょっと裏があって、逆に言うと、それだけ、ありがちなモチーフ、テーマ、背景、場面、登場人物、技巧なんです。つまり、目新しいものは特にない。よくあるタイプの詩である。しかし、それだけで片付けていいものでしょうか?そうはいきません。僕が推測するに、今回、正統的なるものを、ご自分なりに把握、検証、吟味、復習され、作品として再生してくれたものと考えます。それが証拠に、その一字一句に、一点の曇りもなく解釈不能もない。その詩句は全て整理整頓され、その文脈は親切すら感じさせます。話柄は自分と相手(少女たち)のことですが、その事情話がどちらにも偏ることなく、風景の中に自然に溶け込んでいる。その語るところは両者にとっての普遍。全体に大人しい詩ですが、ほのかに主張を感じたのは「大人も隠れて夢を見ているのよ/それが分かるのは あなた達が大人になった頃」―ここですね。ああ、いいですね。この考えの方向性は両者の普遍に向くことができる。どうやら、結論が出たようですな。評者の結論も佳作としましょう。
2 松本福広さん 「なにものどんぐり」 10/3
この詩の発想と骨子は、あのことわざ「どんぐりの背比べ」に多くを負っている気がします。
変わりばえなく、抜きん出た者のない大衆社会、自分も其処に存在するといった自嘲的認識が詩行の多くを覆っています。かなりの長さの詩なので、どんぐり的立場からの社会諸相、自分のありようは、ほぼカバーされているように思います。それと、こういった主旨をこういった語り口で書くのも悪くないですね。もうひとつ見ておきたいのは、「箱庭」という感覚です。これも抜きん出たい、自分らしくありたい、といった指向からすると、足枷になるでしょう。
この詩は悲観部分が多いのですが、それだけではない。状況にもがきながらも、自分らしく、一歩上を行こうとする意識は充分感じられるのです。そこは充分読み取っておきたいです。背景がどうであれ、人間、最低、気概だけは持っていたいもの。甘め佳作です。
3 多年音さん 「台風出勤」 10/3 初めてのかたなので、今回は感想を書かせて頂きます。
過去作をいくつか読み、傾向概観させて頂きました。日常性にある”隙間を上手く狙って来る“。
そういったことをカジュアルでセリフ寄りの文体で書いて来る。結果、軽快でユーモアを感じさせますが、いっぽうで心理にやや屈折もある。そういった中にも深いものは差し出される。サイズはJUST SIZE。これは長短どちらにも向かえるスタイルな気がします。もちろん内容優先で、サイズは二の次になりますが、どちらかというと長めに書くのをお勧めしたいです。これ以上短くなると、話はちょっと違って来る気はしてます。
さて、それら踏まえての今回です。冒頭から3連。こんな台風の出勤に、こんな事思うヒト、誰もいませんよ(笑)。そこが凄い、そこが、この日の、この詩の”隙間狙い“ですね。次の連では一転、ライブ実況中継です。ひっくり返った奴、じいさん、には悪いんですが、ちょっと面白い連です。「真剣~ユーモア」といったところか?最終部分は、動物には無い、人間の意志への賛歌であり鼓舞でしょうね。面白い作者さんかもしれない。また書いてみてください。
4 トキ・ケッコウさん 「あのひと」 10/4
登場人物は三人と見ます。まずタイトルの「あのひと」。次に作品語り手の「わたし」。そして「わたし」が話しかける「あなた」。
あのひとは、どうもちょっと“困ったひと・めんどくさいひと”のイメージがつきまとうかのようです。
で、注目すべきは「もういいんじゃないですか?」以降、詩の半分を使って「あのひと と あなた」
の関係について示唆しています。当然、「わたし」も深く関わっているからこそ「わたしに預けて」と言えるのです。解せないのは「お代は要りません」です。このトライアングル状態をどう解くか?
なにか三角関係を匂わせる気味はありますが、そのあたり、よくわかりませんでした。ただし、総体のトーンとして、「切なさ、やるせなさ、疲れ」のようなものは読み取れるのです。初めての評価ですので、佳作二歩前でお願いします。
5 こすもすさん 「もやもや」 10/4
もやもやは病気の一種でもあるそうですが、ここではその方面は除外します。
タイトルのように、なんとも、もやもやした詩なんですが(失礼!)、
「もやもやとうまくつきあうこと」
此処がこの詩の最大ポイントと思われます。最重要事項、最優先事項、即座判断事項でない限り、
けっこうありそうな話ですし、無理に黒白をつけない方が、むしろうまくいくケースも少なくないでしょう。何故でしょうねえ?
おそらく物事に、長所・短所、裏表、カウンター(意味:逆の、対抗の)などの両面性・多面性が余計もやもやさせるのでしょうか。
まあ、この詩のようにあまり難しく考えないほうが、精神衛生上良いと思いますね。「何か事例や具体例をー」といった所感は書こうと思えば、書けるのですが、―そして、そう思う人は必ずいるはずですが―、今回はやめておきましょう。
僕は必ずしもそうは思わないからです。特にこの詩の場合、例が思いつかないからこそ、もやもやしている要素はあるでしょう。
さりとて、僕も読んでて、ちょっともやもやして来ました。評価もやや、もやもやして、佳作一歩前で。
6 相野零次さん 「りんご」 10/5
たとえば、相野さんの家の台所かどこかに、たまたまりんごがあったのでしょう。相野さんは手に取り、じっと考えます。詩ができるまでにさほど時間はかからなかったでしょう。すでに意味・解釈を越えていますが、形式上、ストーリー上の法則性のようなものはあって、それが、お相手としての「君」であり、背景としての「世界」です。この二つがないと、さすがに詩は成立しにくかったと思う。
これらを両核として、“感性飛ばしフレーズ”で繋いでゆく。どんなスタイルの詩でも拠り所は欲しい、といった趣きでしょうか。
うーん、こういった詩の評価は本当に難しい、正直、わからないんですよ。
やや、もやもやして佳作一歩前で。
7 光山登さん 「点火のとき」 10/5
前半は自己の悲哀が隠喩風に語られます。後半は「物思いを~」以降、具体的な場面によって転回されます。ここでは主に直喩が使用されています。全詩行が火のイメージを持ってタイトルの傘下に入っています。その統一感が良いと思います。終連がタイトルに呼応するものでしょう。
「再点火」といったところでしょうか。いいことです。「あざやかな赤いギター」もタイトルに似あいます。強いて言うならば、「のような」「のように」の字句が、目立たないながら、わずかに多い気はしました。推敲時に調整することをお勧めします。始めの評価は佳作二歩前からお願いします。
8 静間安夫さん 「めぐり逢い」 10/5
ああ、この古書店、憶えてます。以前の作品に登場しましたね。
構成に沿って見ていきます。「この誤解ではなかろうか」までは、まずまず一般論として共感できます。この詩の本題に入って来るのは「無論、書籍も~」以降と考えられます。従って、それ以前は少し省略的に書いてもいいと思います。さて、その本題です。こちらも、まず一般論を掲げて、だんだんと個別性(その人の個人事情)をあてはめていく。この手際でいいと思います。メインになる詩への充分な助走になっていると思います。詩はゼウス像出現の驚きと書物を通じての絆を感じ、大いなる感動を謳い上げています。壮大な詩でありました。この作品はこの詩を以って結論と見ていいでしょう。さらに想像をたくましゅうすれば、この詩こそ個人の名を借りた静間さんの詩であるでしょう。たとえば、この詩のみ、ポンと置いたのでは、読み手は少し戸惑うでしょう。その助けとしての散文部分は必要になってきます。背景解説ですね。さらには、やはり文学的香気が出てきますよ。ただ、サイトの性格上、詩が主になる事は条件になります。佳作です。
9 晶子さん 「向日葵」 10/5
向日葵も品種様々で、小さいものから身の丈2ḿ以上になるものもあるようです。この詩の主人公向日葵は大きいほうかもしれません。でないと、初連のような感慨は持ちにくいでしょうから。
「昔日(せきじつ)と現在(いま)」―その栄光と悲哀に、今さらながら気づき驚く。そこに純粋と謙虚を見ておきたいと思います。前連、後連微妙に違いはありますが、どちらも趣き深い。およそ花の盛りを謳歌する詩あまたあれど、このように花の終わりを詠う詩は貴重にして、よりいっそう趣き深いものがあります。そして、けっして卑下していない。むしろ「今も好きよ」と言っている。自己愛とは多分に胡散臭いものですが、この詩に見るそれは、全く清廉にして気高いです。憧れます。
僕個人が感じたことは寓話としての「悔いない老後」そんなイメージなんです。 佳作です。
(あーなんだか、すがすがしいー)。
評のおわりに。
今年はなんやかんや、「暑い」と言われながらも、涼しくなるのも、けっこう早かった気がする昨今ではあります。
とりあえず、半袖と長袖のチェンジか? では、また。
◎9月30日(火)〜10月 2日(木)ご投稿分、評と感想です。
☆ある小説の中の二人 ゆづは さん
この詩の世界を織りなす感覚。あぁ、なんとなくわかります。一冊の本の中に実際の世界があるのです。活字ではない世界です。うまく言えませんが、実のところ、私も過去に、このような感覚に包まれたことがあり、その感覚の一部を持って、詩を書いたことがあります。作者さんはこの感覚の世界に栞を持ち込み、更に独自の空想の世界を広げられていますね。
栞がまるで天の川のような役割をしているように思えるところもユニークですし、開いているページが現代で、その先のページが未来と思えるような感覚もユニークでした。実態としての本の世界の中でのことなので、時間を動かすのは読者というのもこれまたユニーク。
この感覚をうまくいかせていると思ったのがこちらのフレーズ。
誰かに読まれるその時まで
一人は 折れた頁の隙間で
再び永い眠りにつき
時間が止まって、読者の誰かが時間を動かしてくれるまで報われることはないのだとしたところ。どうしようもなさと切ない気持ちが伝わってきました。
ユニークな感覚。詩にうまくいかされていると思いました。特異な世界ではなく、どこにでもある日常を彷彿させてくれる現実の世界の空気感が、より一層、近づきやすいものにしてくれていると思いました。佳作を。
☆思い aristotles200 さん
岩山の影から月を見ている
手には弓と矢
あの月を、射ようと思う
不可能ではない
こちらの言葉を目にした際、「え?今から岩山の影から月を射るって??しかもそれは不可能ではないって??どういうことなの??」という気持ちになりました。
どんどん読み進めていくと、とうとう月は射貫かれてしまったではないですか?!
いったいこれは??と思っているところに
その光景を前に
軽く、頷くと
狩人は帰路につく
天空には
満月がのぼり
行く道を照らす
地上には、狩人の影
こちらを目にして、あぁ、空想の世界だったんだ!と頷いてしまいました。仮にこのままで終わった場合、月を見て空想している人の作品でジ・エンドになってしまうのですが、続く総集編ともなるような最終連のしめ方がよかったです。
思いは
不可能を可能とする
そして
不可能は不可能のまま
変わることはない
ド直球の言葉なのですが、前半で空想の世界をほどよく融合させているためか、説教じみた感じが全く出ていないですし、不思議と説得力があります。全体のバランスとして、空想の世界が幅をしめているので、本来なら頭の部分が大きすぎる作品になりそうなのですが、この最終連が巧みなつながりで全部を支えているので、そういうことを感じさせない作品になっていると思いました。内容に際しての作品の長さも、短すぎず長すぎずで、読み手を楽しませてくれました。佳作を。
☆イルカの少年 荒木章太郎 さん
作者さんの心情がガンガン感じられる作品でした。スマホの中の世界。会ったこともないのだけど、日々重ねるごとに、なぜかいつも誰かがいるように感じ、中には、ある日突然に消息を絶ってしまい、どうしているのかと心配しあったりする存在もあったりして。いいねの数に一喜一憂するということもあったり。そんなwebの世界について戸惑ったり、流されないように冷静に一旦立ち止まっている作者さんの様子が浮かんでくる作品でした。
個人的に気になったところは、三点ありました。
一点目は
いいねはいるね
いるねはイルカ
いいねはいるというという印ということはわかるのですが、いるねはイルカというところが、いいねはイルカのマークであるということなのかなとは思ったのですが、個人的にはには、少々分かりづらかったです。
二点目は
架空の海を泳ぎ疲れた
君と出会うために
現実の海を泳ぎ疲れた
僕を救うために
僕はイルカの少年だった
架空の海というのは、webの世界だということはわかったのですが、次の行の現実の海については、一瞬、実際に海で泳ぐシーンが浮かんだりしました。なので、現実とするよりは、「社会」や「現代」など、時代を醸し出す言葉をあてるといいのではないかなと感じました。
三点目は
「イルカの少年」というフレーズです。もう少し言葉を加えた方がいいかなと思いました。なぜかというと「イルカに乗った少年」とも「イルカになった少年」とも捉えることができてしまうからです。タイトルにもなっているので大切なフレーズだと思います。作者さんがしっくりとくる言葉が見つかればいいなと思いました。
五連目以降、とてもよかったです。溢れんばかりの作者さんの思いが綴られています。心の声が響いてきました。特に「主体を他人に委ねるな」や「もう愛されることを求めない/君の存在を愛する」などは、熱量のある力強さを感じさせてくれました。今回は佳作一歩手前を。
☆抱擁 喜太郎 さん
今回の作品は、抱擁という所作一択集中で描かれた作品ですね。背景や何者にも頼らず、その所作のみ。結構、難しかったのではないかと思います。
大事な君だから
大切な君だから
大好きな君だから
「大」の連呼。気持ちを強調するのには効果的であるのですが、個人的には、好意を寄せる人にとっての表現を「大事」「大切」「大好き」で並べて終わるのは、せっかくの「大」の効果もかえって平坦な感じにさせてしまう気がしました。しかも、この一連目は、最終連でリフレインされています。なので、詩全体に3つの「大」のつくワードのうちのいずれかを残し、あとは、その思いを感じさせてくれる表現を考えてみると、平坦なイメージの縮小にもよいかなと思いました。
四連目は言葉と言葉のつなぎ方がスムーズにいっていないような気がしました。
あくまでサンプルの一つとしてですが、以下のように手を加えてみました。
君を潰して粉々にしてしまったから
指と指の間からサラサラと
溢れる様に消えてしまったんだね
強く握り過ぎたから?
痺れの残る両手をついて
僕は泣いたよ
作品の全体として示したいものが、失恋であることや、相手の気持ちを察することに不器用だった「僕」が感じられました。三連目と四連目は失ったことへの比喩だとわかるのですが、現実の世界へのスライドする橋渡しの役割の言葉を加えると、現実味や、生々しさがより鮮明になるのではないかなと感じました。
メインになる三連目と四連目ですが、抱擁を「潰す」と「握る」に置き換え、不器用さを表現したところは、大当たりだと思いました。これら各連から、強い喪失感、そして、とめどない孤独が感じられました。
所作一択集中型、結構、難しかったと思います。色んなことに挑戦するのは、とてもよいことだなぁと思いました。これからも書きたいと思うことに、作者さんの世界磨きとして、ノビノビと挑戦してくださいネ。今回は佳作二歩手前を。
☆紡ぎ手 Ema さん
石原慎太郎さんは、作家として、政治家としてもご活躍された有名な方ですね。今回は、作品の評価については、場合によっては、人それぞれの思想の部分に関わってくるかもしれないので、作者さんの心に残る人についての思いという視点からの感想を書かせていただきますね。
作中に出てくるキーワード「普通」・・・・・・ひとくちに普通がいいとか、言うのは簡単ですが、それを支えているもの、いくものがあるからだということを、改めて感じさせてくれました。そしてみんなが納得のいく普通の難しさや、実現すること、そして保ってゆくための気苦労も。
普通というのは、ただなんとなくそこにある。当たり前のようにあるという意味が強く全面に出ていることが多く、ほとんどの人々が通り過ぎるのですが、深堀りしていけば、必ずその裏側やことがらの芯の中に、支えてくれている人、しっかりと見つめてくれている人がいるといるからだということがわかります。作者さんは今回、一人の人を通して、深くそのことを心に刻むことができたのだということを、詩を通じて伝えてくれましたね。
また、その普通を守り、支えてくれた人を通して、その熱意はその方の姿かたちがなくなろうとも、実証として後世の人々の心に刻むこと、そして、その人たちの新たな手により、紡いでいくこともできるのだと、しっかりと読み手に伝えてくれました。詩の最後の方で登場してくる「かけがえのない普通」というワード。とてもとても深い言葉だと思いました。
かたちのない心を動かすことは、人の心を動かしたいからという目的を持ってではなく、誰かや何かのためにという、まっすぐな思いからくるのだということも感じさせてくれる作品でした。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ようやく暑さも落ち着いてきましたね。
酷暑を乗り越えた稲穂の波が美しいこの頃です。
みなさま、今日も一日おつかれさまです。
滝本政博様、評価していただきありがとうございます。
独特な文体が強みになると言ってもらえて嬉しいです。
これから詩を作る中で更に自分の文体を洗練させていきたいです。
僕はロスト(失う)した
君をロストした
恋をロストした
愛をロストした
そしてまた見つけようとしているがどこから探せばいいのかわからない
そもそもなぜロストしたのかいつどこでロストしたのか思いだせない。
誰かに教えてもらう必要があるかもしれない。友達もロストした。ペットもロストした。だめだ聞ける相手がいない。
そうして僕の人生は得ることが何もないまま過ぎ去ろうとしていた。いけない!
神様はまだロストしていないはずだ。いや、神様ならロストしていたとしてもまた復活させることができるはずだ。
僕はめくら滅法に走り続けた。疲れたころに海が見えた。しめたと思った。海ならまだ生物をロストしていないかもしれない。
あたっていた。イルカやクジラはまだ生きていた。もう先は長くないようだが。そもそもなぜこの世界の生物がほとんどロストしたのかまだ説明がつかない。ある種の細菌に侵されたというのが一般論だ。僕はたまたま免疫を持っていたから助かった。
僕はイルカに話しかけた。早く心を開いてくれロストする前に、そうして神様を呼んでくれ。
僕の祈りが通じたのか一人の神様があらわれてくれた。僕は何をすればいいですか? このロストしていく世界で僕は何を。
全てを記憶せよ。ロストする前の記憶をタイムカプセルとして残せ。
はい、わかりました神様。
僕は日記を取り出して今日のことをなるだけ克明に記録した。
僕の使命はこのロストしていく世界の記憶を少しでも残すことなんだ。
10/7~10/9ご投稿分の評です。 滝本政博
「カメレオン」 喜太郎さん 10月8日
いいですね。佳作といたします。
予定調和の感じがなく、カメレオンと言うことで、色についての展開に合わせて、筆力で捻じ伏せて最後までダイナミックに描かれています。
考えながら、感じながら前に進んで書いてゆく感じがいいです。
途中、出てくる捕食者達とは何か、何の比喩なのか?そのあたりの関係性がもっと描けていたらさらに良くなったと思うのですが、どうでしょうか?いや、普通に読めば気にせずに読めるのですが、カメレオン対捕食者の関係、考えさせられます。
昨今の世相を眺めるとき、出鱈目な政治によって弱体化した市民が立ち上がり団結して……という姿も見えてくるような気がいたします。
最終連の二行は希望の兆しがあります。
気になった所は。「どうしても」が二度「そして」が二度、「やがて」が四度使用されていますが、削除出来るところは削除し、または別の表現に変えたりして、なるべく重複をさけてください。癖になってしまうと怖いので、こういうところは推敲時に潰してください。また、これはそういう意見もあるということで聞いて欲しいのですが、私の感覚では詩の中に「そして」は使用したくないです。場面を転換して前に進めるのには便利な言葉なのですが、う~ん、どうしてかな、安易すぎるからでしょうか。個人的な意見ですが一考してください。
「雨上がりの光芒」 多年音さん 10月9日
作者の人間性でしょうか、親しみやすくどことなくユーモアのある書きぶりで好感が持てます。
生は誰にとっても楽なものではない。
傘を忘れた作者は雨に降られた。
そしていま、雨は止み陽が射してきたのであるが……。
モノローグ。悪態のつき方が芸になっていて、リズムがよく、独自の文体があります。
詩において文体とは大切な武器であります。他との詩とを区別する個性であります。詩とは文体であるという人すらいます。まあ、それは言い過ぎだとしても、今後も磨きをかけ大切にしてください。
タイトルの「雨上がりの光芒」は攻防とのダブルミーニングなのかな。そんな風に考えると面白いです。
一連二行目の「徐にこちらを向く」の徐(おもむろ)は、動作が静かでゆっくりしている様子なのですね。私はいままで、突然・不意の意味に思っていました。それは誤りということで、いい勉強になりました。
最終連において作者は「上ばかり見て石に転びかける」のですが、
ここストップモーションのような効果があり面白いですね。
また、最終行の「まぁ、見てない自分が悪かった」は、以外に冷静だなと笑いました。
雨音さま 評ありがとうございます。
イメージとしては伊藤潤二のホラー短編です。
B級ホラー、スプラッターも好きなもので。
でもいささかやりすぎたと反省しています。