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芝の広がる ひろい公園にひとり
あさひが しょうめんから わたしを ながめている
わたしの あたまのなかの
とりとめもない言葉の数々を
あさひは 黙ったまま
きいているのか いないのか
あさひは かもくだ
とても かもくだ
ことばなど どうでもいいように
黙って 輝いている
いや ことばの存在すら 頭の片隅にもないように
輝いている
だけども 聴こえてくる
あさひの うたごえが
これまでの あらゆる できごとについて
そして これからの ことについて
ゆたかに ゆたかに うたっている
そして わたしのことも
うたって くれている
始発の発車アナウンスがあり
辺りを見渡すと
読書をする人
音楽や配信やラジオを聴いたり観たりする人
メールなどチェックするなど
各々で
20分間の自由時間を楽しんでいる
職場などに向かう準備体操みたいなものだ
そういう私も
最近は携帯電話からラジオを聴いている
知らなかった色々なジャンルの人の話しや
好きな人の深い話しまで聴いて楽しんでいる
こうした心の拠り所が
充実した毎日を送れるのだと思う
生きていれば色々な事に遭遇する
悪いことばかりでなく
良い出逢いに巡り会うこともある
固定観念にとらわれず
自ら楽しいと思えることを発掘し
生きていけたらと常日頃考えている
この20分間は
そうした己を見つめ直す時間なのかも知れない
そう頭の中で考えていると
あっという間に乗り換える駅に到着した
飛び込んできた朝の日差しが眩しくて
思わずもう一度目を閉じたら
葉の影がくっきりと黒く瞼に焼きついた
閉じた瞼から差し込む光
放射線状に溢れては溢れる
滲むように僅かに眼球を刺激し
朝のまだ無垢な冷たさと
暑く熱された風とがない交ぜとなって
私の肌を愛撫する
まるで朝の挨拶をするかのように
何度も瞼を開けたり閉じたりしているうちに
身体は憂鬱さを通り越して
まるでバネ仕掛けのように
真っ直ぐ前へと起き上がった
雪解けの北陸を行く日 *1
色彩のない原野を急行列車は走った
車窓の向こうは
黒い土と水だけの広大な田畝
荒涼たる烈風の国
どんよりとした緞帳のごとき雲
一本の道に歩く人とていない
春だというのに
ところどころ雪が残り
まだ緑も来ない
ああ ここはいったい日本なのだろうか?
名前の知らぬ駅をいくつも過ぎ
ようやく
芦原(あわら)に停まった
小松まであと一時間 買い求めた
胡桃を掌で鳴らし
車席に身を深く沈める
時をとり崩すこころの砂時計
虚ろな意識のなか
へんてこな想念が湧く…
この地に生を得ていたなら
どんな人生を歩むのだろう
*
早春 北陸はいずこも
モノトーンで透明な景観をもつ
色が乏しいだけ 鋭く
あるものの存在が磨かれている
強く猛々しい
父なるもの
北国の風土が生み出した
〈日常性〉を振り払い
〈非日常〉を切り開こうとした
多くの卓越した人々
実業家 哲学者 思想家 作家
倅を追い立て
北国へのひとり旅に導いた亡き父
柔らかい温州蜜柑の地しか知らぬ
男に 荒削りな大地を見よ
そこに育った人を知れと
企図したに相違ない
「転向文学」で名高い
文学者 中野重治 その青春が *2
脳裏に去来した
こんな抒情詩がある
あなたは黒髪をむすんで
やさしい日本のきものを着ていた
あなたはわたしの膝の上に
その大きな眼を花のようにひらき
またしずかに閉じた
(後略) *3
豊かな調べ
好きな詩の一つだ
*1 1965年春山口県より石川県小松までひとり
旅をした
*2 中野重治 福井県出身の作家・詩人
*3 中野重治作「わかれ」より
さあ 眠りなさい
わたしの赤ちゃん
世界はこんなにも荒れ果て
いまだ あなたに名さえない
隣町の夜空に無数の灯り
舞っている 降りて来る
遠くからはきれいな灯り
ほんとうは悪魔のかたち
その下では
炎と瓦礫と多くの死
明日にも
わたしの住む街に降って来る
けれども
あなたの頭上には
ミサイルは降らない
小さなからだを
弾丸が貫いたりはしない
今は
守護者が歌う子守歌
だから 眠りなさい
わたしの赤ちゃん
明日には
あなたが産まれた街を出る
いつか楽土に辿り着く
そして世界へ祈りましょう
そして未来を見守りましょう
SAFE INSIDE
よい夢で眠りなさい
わたしの赤ちゃん
幸福の名が与えられ
この子を
ミサイルも弾丸も
けっして犯すことはできない と
結婚前の旧姓が
すんなりと読んでもらえない苗字で
間違えて読まれたり書かれたり
26歳で夫の姓になったら
今度は漢字一文字になって
音読みで読むところを
訓読みで読まれたりして
その上 電話で名告ると必ず聞き返されて
漢字から説明しなくてはならない
時には「日本の人?」と言われることもあり
夫は「失礼な」と怒るが
どこの国の人でもいいではないですか
こんな生活の中にいたせいか
息子が幼い頃から苗字に関心を持ち
珍しい苗字を調べたりしていた
小学校の卒業文集を読んだら
自分の姓についてからかわれた体験が書かれていた
人の名前を使ってからかうことの低劣さを
他山の石として
人を名前や容姿で判断しない中学生に
なりたいとあった
物事の本質を過ることなく
小学生時代を送ったのだなあと
我が子ながら感動してしまった
名前は自分と他の人を
区別する記号に過ぎない
名前には意味と願いが
込められているとは言え
夫のように自分の姓や先祖に
誇りを持つ気持ちが強過ぎれば
自分が日本人ではないと思われると
不快に感じてしまう
そこに偏見が潜んではいないか
私は何も考えずに 夫の姓を名乗って
拘らないつもりでいたが
今でも高校時代の友人が一人だけ
私を旧姓で呼んでくれて
それがなぜだか嬉しい
学校や職場で認められ、愛されていた自分を
思い出せるからだろうか
チンチン チンチン
五月蝿い、いい加減にしてくれ
朝晩が涼しくなり
窓を開けて寝られるようになってきた
何が良いって
エアコンを点けないのが良い
何でも高くなっているのに
給料だけは変わらない
こんな時に電気代だけでも
下がってくれれば有難い
早速、窓を開けた途端
チンチン チンチン
この風鈴の音だ
昼間はまだしも夜はなぁ
耳の遠くなった爺さんだ
風鈴の音が聞こえていない
仕方がないから
直接言いに行ったが
呼び鈴まで聞こえないのか出てこない
翌日、大家の所に話に行ったら
あんた知らなかったのかい
あの人、夏に倒れて入院して
一昨日、亡くなったんだよ
チンチン チンチン
それなら仕方がない
身内が片付けに来るまでの辛抱だ
爺さん、あんまり鳴らすなよ
台風の豪雨で不覚にも
リュックの中の詩集が
濡れてしまい
乾かしたらヨレヨレの
波模様ができた
詩の言葉はそのままだが
歪んだ活字
くすんだ紙
ほのかな雨の匂いが
詩の言葉に
余計なイマージュを加える
「優美な恐怖」は優美さを失い
「孤独な頭蓋」はどことなく情けなく
「囚われた雄牛」は薄茶に変色した
仕方なく もう一冊を買った
新しい本
詩の言葉は変わらない
新品のページから
言葉がすっと入ってくる
初めて
濡れて汚れた詩の言葉が
質量を備えたことを知る
色 匂い 占めるべき面積
それは 濡らしたり
汚したりすることで
質量を獲得したのだ……
汚れた本を
マントラのように
繰り返し朗読する
ようやく
紙から言葉が飛び立った
質量を紙の中にだけ残して
詩の言葉は
濡れたければ自分で濡れる
ヨレたければ自分で皺を作る
雨の匂いは自分でつける
飛びたければ
自分で飛んでいく
(注)ダメにした詩集「長田弘詩集 現代詩文庫13 思潮社」
「もったいない」とのご意見、ありがとうございます。確かに人に見せていない部分をあえて出すことはないのです。出すにしてもサラリと流すようにした方が良いのですね。
この反省をバネに成長したいと思います。ありがとうございました。