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拙作「16.6%の明日」の評価ありがとうございます。
最初はロシアンルーレットの緊迫感、ハードボイルド的な雰囲気を描きたかったのですが
戦争後の兵士のPTSDに舵を切ってしまってブレてしまったのでしょう。
自分の中で絵は思い浮かんではいたけど描写不足だったみたいで。
今週、来週は投稿を休んで
また頑張って行きますので
よろしくお願いします。
本来関係がないはずなんだけど、なんとなく日米関税交渉のリミットが、参院選の投票日とリンクしてる気がする。気のせいだといいんだけど。
米の値上がりを機に、外食の値段も上がったけど、一度上がったものは、米価が下がったとしても下がらないものらしい。
米価にせよ、米国にせよ、「米」に翻弄される2025年です。
●白猫の夜さん「さようなら」
うーーん、白猫さんも、そっちの方へ行きたがる傾向があるんよなあー 私はそこ、あまり好意的には受け取っていないということを言っておきますけど、
それはおいて、映像として、きちんと書き込んでるんで、描けてる力量の方を買って、秀作としておきます。
たぶん、自己昇華的に、書かないと昇華できないものがあるんだろうなあと想像しますが、私はできれば、他のワールドの方を書いてほしいんだけどね。白猫さんは、書ける力量もあるんだからね。
●多年音さん「表彰とか」
「あれ、人がいるよ」は、ふつう、いるはずのないところに人がいたということですよね? 川で遭難してる人を見つけたとか、なんらかの事故に合って、一人で困ってる人を見つけたとか、ですよね? へえーー、人助けしたんですね。それはすばらしい。
マグレにせよ、なんにせよ、多年音さんが見つけなければ、誰も見つけられなかったであろう状況だったから、表彰されたのでしょう。それは、すばらしいです。
ご本人は「瓢箪から駒」的に書かれてますが、「持ってる人」なのかもしれませんよ。幸運を引き寄せる人かも。まだまだこれからもいいことあるかもしれませんよ。
作品ですが、ものの見方がおもしろいですね。校庭や花壇は形が一緒だし動きがない、とか。快晴の日は自分にとっては雨の日と一緒だとか、景色を隅から隅まで見る見方とか、個性的な観点がいっぱいあって、おもしろいですね。独特のものの見方をお持ちだと感じます。表現の世界においてそれは、自分の武器になることでしょう。期待しています。
あのーー、一点。揚げ足を取る気はサラサラないんですが、フツーに疑問点となる部分なので確認しますが、「反回転」とは、「反転」のことですか? それとも「半回転」のことですか? どっちでも成り立ってしまいそうなところではあるんですが、強いていうと「反転」の方が近そうですかね?
塗り終えたら反転、また反転
とめどなく探して反転、また反転
こういうことで、いいんですかね? そこの言葉だけわかりにくかったです。
初回は感想のみになります。おもしろい観点をお持ちなので、また書いて下さい。
●温泉郷さん「細い煙」
5連までの情感は、「文学」の香りがする。さすが、です。
ただ、
あのときの子どもは
タバコは吸わないまま
あのときの母親よりも
年を重ねた
の6連のあとに、自分側の話がもっと始まるのかと期待を感じさせたのだけど、そこからの話はついては、ちょっとしぼんでしまったのが残念。
「不本意な仕事」については書きにくいとしても、7連、8連から想像できる範囲が広すぎて、ちょっと空を掴むんですよねえー、前半との絡みで8連を再度出すというのはわかるけど、8連自体が象徴的すぎて、何のヒントにもなってないのがツライですよねえー
そもそもいつもそうした習慣の人であるのか、その日は何事かあって、そうしてるのか、ここの識別からしてわからない。前半は、なんの前フリもありませんでしたから、いつもそうした習慣の人なんだろう、で読んでしまいましたから。
あるいは、お母さんがメインの話のようだから、お母さんに再度スポットライトを当て直してから、
齢 九十になっても
人生リレーのバトンは
同じ重さになるまで
渡しては
もらえない
と、着地するのもアリです。
6連からあとの展開、いま一度、考えてみて下さい。
ともあれ、5連までの文学の香りはとても良かった。秀作プラスを。
●相野零次さん「食べる」
最初の2行はドキッとしますが、ここも綿菓子の比喩と読むのか、1~2行目は別物と読むのか、微妙なとこですね。
綿菓子ならザラメのはずなので、「甘辛い(?)」という味覚はちょっと違和感あるし、迷いましたが、私は別物に読むことにしました。象徴的なものとして、 命 → 人生 → 甘辛いもの の意として、いちおう受け取りました。
この詩は並列的にいくつかのものが登場するので、1~2行目も、同様に別物と考えておかしくはないですし、逆にここを綿菓子に読んでしまうと、詩の中で綿菓子の部分のボリュームだけ大きくなって、他とのバランスが悪いという面もあります。
(ちなみに、「いのち」「綿菓子」「空気」だけで1つの詩ができそうな気配もありますけど)
話を戻しますが、この詩の中程にある、
光、闇、
僕らを支配しているモノたちに告げる
僕らはそんな臆病じゃない!
ただ少し弱気になっただけ……
は、なかなかの肉声で、迫るものがあって、いいですね。この詩のメインはここのような気がします。
まずは生きるために食べる。「待っていろ! 世の中!!」と言いたげな、内に秘めた闘志のようなものを感じます。
ちょっと荒削り(もしくは未整理)な詩だけどねえー ここがあるから、おまけ秀作にしておきましょう。
詩を離れて余談ですが、
なにを始めるについても体力はいるから、歩くだけでもいいから、食べるのとともに、少しは歩いて体力つけてね。こんな季節でも、夜明け前~夜明けすぐくらいなら歩けるから。
●鯖詰缶太郎さん「惑星のゆくえ」
ご承知のとおり、流れ星は彗星がまき散らすチリなので、「惑星が流れていく」という冒頭の言葉からして、大胆な宇宙構想なのか、謎かけなのか、がありますね。
初連で夜空を見上げてるだけに、2連もその続きと読むのが妥当で、2連冒頭「真夏の夜はパレードね」は、やはりペルセウス座流星群ことかな? と読めますが(ちなみに、ペルセウス座流星群の母天体も彗星です)、浴衣を着ているのか、ドレスを着ているのか、夜目に見る彼女はとても美しく、光る花が咲いているようです。
終連なんですが、連分けした方がいいと思います(だいたいからにして、短めの詩というのはセンテンスは短く切った方がいいのです)。それとぬいぐるみと似てる、が出てくるので、やっぱり星図より星座のほうが、想像しやすいと思うんですが。
さいているんだ。やさしい炎が。
僕にも あなたにも。
それをつなぐと星座が出来る
ちょうど
ちいさい頃に隣で寝てたぬいぐるみに
形がよく似た星座だね、と
透明な地球儀のような
ワイングラスのむこうで
やわらかい惑星がほほえんだ
まあ、提案としては、こんな形。一考してみて下さい。
最後にまた「惑星」が出てきて、初連の「惑星」の意の謎解きをするように、あるいは初連の「惑星」の意を変化させるように繋げていきます。鯖詰さんらしいスタイリッシュな詩風の一作でもあります。
秀作あげましょう。
あなたと僕のあいだで星図(星座)の位置関係ができ上がってますから、「ワイングラスの中で」というような多重化は、短めの詩のこの間合いのないところでは、やめた方がいいと思いますよ。
●こすもすさん「夜更けのラジオ」
概要としては悪くない詩なんですが、うーーん、ちょっと流れちゃいましたねえー
薄く、長く、広がった、という意味ですが。
昔よく聴いた曲が流れてくると、すごく嬉しい気持ちになるのはよくわかるので、そこで重要ポイントを作っちゃえば良かったんですが、均等に最後のオチまで書こうとしたことが、逆に裏目に出てる気がします。
対策としては3つあります。
一つは、どの曲についても、少し入ったところで終わって次に行っているので、逆にどれか一つに絞ってしまっていいんで、もっとぐっと深く掘り下げて描く道。
二つ目は、ずっと曲で追ってきてるので、最後も朝の元気の出る曲をおいて、折々に自分を助けてくれる曲がある、という「曲」についての総括で結びにする道。
三つ目は、二つ目のヴァリエーションになるんですが、終連の原文の意を汲み取ると、今の自分を元気づけてくれているのは、曲ではなく詩かもしれないということで、そこを反映した結びにする道。
いつの間にか
眠りに落ちていた
カーテンの隙間から
朝日が差し込んでいる
イヤホンから
詩を朗読する声が聞こえてきた
心に染みる
それが今の私を元気づけてくれるもの
ちょっと強引ですけどね、曲を並べておいて、最後に「今は詩」っていうことで、いちおうシメにはなります。
まあ、三つの方法の中から考えてみて下さい。
いちおう言うと、詩って、別に最後まで書かなくてもいいのです。それよりも深く入った読みどころを作るってことを、ちょっと意識してみて下さい。
おまけ秀作を。
●松本福広さん「献体」
2024年度末にひとつの悲しい事例が起きる。献体の前でピースしてSNSにて発信されたニュース。
こんなことがあったんですねえ。医学生の中にもこんな人がいるのかと、ショックを受けました。どんな気持ちで献体してるか、わかってないんですね。教えてないのか、聞き流しているのか、言われても理解が及ばないのか、つまるところ、人を思いやる気持ちの欠落を感じる。この人、医者にしたらアカンのとちゃう? くらいの怒りを感じるものがあります。
献体する人のご意志の理解についてもそうなんだが、それ以前に、そもそも人のご遺体全てに対して、してはいけない行為だということをまず言っておきます(詩は献体の話から始まっているけど、献体の話以前にもうアウトです)。人の命の尊厳というものをわかってない気がする。こんな人がメスを握るべきではない。
献体って、遺体を切り刻まれてバラバラにされるので、そんなのやりたい人なんか誰もいない。献体を頼んでくる組織もあるが、献体の数は全然足りていないので、医の道の研究のために、病気でなくなる人を一人でも減らすためにと、そりゃあ誠心誠意頼んでくる。ひとえにそこに賛同してくれる少数の人の善意で成り立っているものであって、献体が勝手に、いくらでも供給されてくるものだとでも思っているんだろうか。
それから、YouTubeの中で、献体されたご遺族の話のところ、わかりにくかったかもしれないが、献体自体は本人の意志でできるものなのだが、故人の遺体が切り刻まれることに対して、また通常の葬式ができないことに対して、家族の反対に合いがちです。家族のいる人は、本人が家族の理解も取り付けておかないといけない。たぶん、そういうこともしてるはずだから(事前にしていなかったとしても、遺族は結局、事後承諾的に受け入れがたきを受け入れることになる。それは医の道のためにという一点で受け入れるのだから)、事件が「本人のみならず、ご遺族の気持ちも踏みにじることになる」というのは、まさに正しい。
なんか、文句言いたいことは山ほどありますね。
こういう事件があったというのは、私は見落としてたんで、問題提起として詩に取り上げてくれたのは良かったです。まさに詩が取り上げるべき「人」の問題だと思います。食事会のことは知らなかったので、そこも良かった。
名作&代表作入りを。
評をいただきありがとうございます。
街にあった電話ボックスを見てこの詩を書こうと思いました。普段使われることのない公衆電話が人間に対してどのような思いを持っているのか。その思いを表現できればと考えました。
公衆電話から見た人間の身勝手さをもう少し詩の中に加えるべきでした。勉強になります。
擬人化の詩はこれからも書こうと考えております。
ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
1 森山 遼さん 「錨を上げよ船を出せ」 6/27
まず、冒頭、恐縮ですが、僕の知識も定かではないので、消極的に書くにとどめます。
7行目「広がらん」……どことなく違和感あるような?
10行目「~となりた」……「なりし」のほうがいい?
あと、以下の把握で合ってますかね?
若葉……双子の人物の名前。やがて野の花となり、ローレライの歌を歌う。
後にローレライという人間(?)になって王子と結ばれると確信される。
王子の船の難破とその悲劇はローレライ伝説に則っている気もします。
ひとつのキーワードである「ローレライ」を調べると、、そもそもライン川にそびえる岩山のことで、そこから美女伝説風の「ローレライ伝説」が生まれ、詩や音楽のモチーフになったようです。結論として、この言葉は非常に多岐にわたり、その分曖昧性もありそうです。ただし、この言葉はライン川と関係深く「海」といった感覚は見当たりませんでした。何か違うメディアからのモチーフ化といった気がします。僕のわかるのはここまでですので、すみませんが評価は割愛させてください。
わからない点が多々ありましたが、作風において、何か新しい方向性の予感のようなものは感じました。
2 鯖詰缶太郎さん 「魔法」 6/27
冒頭「前提」とあります。まず、僕の感覚で言うと、この言葉はその前にそれに該当する事象があるのが”前提”と思ったりするわけです。別の意味感覚で使っているとも推測できるのですが。
「呪文」と「魔法」。一般論として、どちらも密接な関係にあり、この詩として、個別性を以ってキーワードになっています。まず初連・2連で感知したことは、呪文の属性の良し悪しによって、魔法も変わって来るということ。そして呪文には正・負それぞれの機能・効能があるということ。
それ以降、最後まで読むと、案外これは呪文と魔法に託した、生の行方ではないか、と思ったりするわけです。
無理やり当てはめてみると……。
呪文……人々の言動?
魔法……天の差配、運命のようなもの?
一本にしか見えないあの糸……一度きりの人生?
この詩は解釈するに、時間がかかりそうですが、読み手において、何事かが感知されれば、その人にとって、あるいは有意義なものとなる。そんな気がしています。甘め佳作を。
3 じじいじじいさん 「やっぱりだいすき」 6/27
ちょっと面白い親子の場面ですね。4連あたりまでは、(何が始まるんだろ?)といった奇妙感、不気味感があります。大人の感覚で読むと「そんなバカなー」ってことになりかねないのですが、そこはそれ、子どもの感覚の詩であることを加味しましょう。あるかもしれません。ましてや暗くなりかけた雨の中です。このあたり、こども詩のリアルと解しましょう。
後半は、パパとわかっての、驚き、安心。「だいきらい」と「だいすき」の交差の気持ち。このあたり、子どもらしさが充分語られています。細かいことですが、文中「パパとてがつないであるいてくれたから」は、普通に考えると、ちょっとヘンな文法なのですが、案外、子どもらしい未熟の演出か?つまり、意図したもの?これも上記したこども詩のリアル?だとすれば、なかなか芸が細かいです。佳作半歩前を。
4 こすもすさん 「公衆電話のつぶやき」 6/27
非常にシンプルな仕掛けの詩です。こすもすさんとしては、少し珍しい部類に属するかもしれません。確かに電話ボックス少なくなりました。公衆電話が自ら擬人し、思うところ、その独り言を言ったとするならば、ほぼ、この文中に尽きるでしょうね。しかし、ある日突然の忙しさ。システムダウン。ありそうな事例ですよね。実際、災害時にも大変活用されたとか。まあ、今の社会で、この事例ですと、人々のこの行動はごく当たり前で、うなずけるのですが、公衆電話さんからすれば人間の身勝手さ、と映ったかどうか?そんなことも僕は考えてみました。そんなことに触れても面白いかも?塩味、皮肉味が効いたかも?佳作一歩前で。ですが、作品群バリエーションとして、あっていい詩だと思います。
5 松本福広さん 「16.6%の明日」 6/28
まず「引金を弾く」は「引金を引く」でいいのではないでしょうか。もちろん、詩の場合、平文と違い、言葉の選択自由度は広いので、作者が敢えて意図する場合はこの限りではありませんが。
この詩には2つのポイントがあるように思います。
1……拳銃には6発弾丸が装填できる。弾は1発だけ。6回引金を引けば確実に訪れる死。
2……1回だけ引金を引くと、死の確率は6分の1。
そして主人公は、結果としての生と死が「アタリなのか、ハズレなのか?」考えあぐねている。
そんな大意と思えるのですが、それに付帯してくる細かい事情に分からない点が多いです。
その点を列挙します。「帰ってきたあの日」「俺は帰ってきてから」「寝る前の日課」「酒に逃げられれば」「仲間と飲んだ酒」―などです。このあたり、読みのストレスが生じます。僕の読み込みが足りないかもしれませんが、読解の助けとして、もう少しストーリーに有機的に接続させて、流れを明快にしたほうがいいでしょう。タイトルも同様の気がします。この詩は散文的であり小説的でもあるので、なおさらという気がします。佳作二歩前で。
6 香月さん 「旅立ち」 6/28 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。
これは一種の失恋詩ですが、なにか久し振りに正統的な失恋の詩を読んだ心地が致します。
その文脈を見ると「しようとして、しなかった、できなかった」ことが多いことに気づかされます。
思うに、この人は“優し過ぎた”のかもしれない。そして純粋過ぎたのかもしれない。単純に書いてしまうと―。
「優し過ぎた→自分を抑えて相手を気遣う→気弱→(ある種の優柔不断含む)→貴女ははりあいなく去ってゆく」
噂によれば、(いい人なんだけど……)と言って女性は去ってゆくもの、とか申します。
この詩を読んで、そんなイメージを描いていました。終連にみる相手への願い、(失恋だけど、相手のことを思って)「旅立ち」といったタイトルにした点が、その証左のように思えてくるのです。詩上、僕はこういう人物像を応援したいと思います。また書いてみてください。
7 静間安夫さん 「戒厳令の夜」 6/30
前回の移民・難民の詩に続いて、世界を大きく捉えた詩です。静間さんの中でジャンルというひとつの峰を成すかのようです。たしか五木寛之に同名の作品があったと記憶しています。
このタイトルだけで、なにか、のっぴきならない事態、すぐ隣にある危険と恐怖。それでいて詩的。磁場のある言葉群です。実際、歴史はこういった昼と夜を経験しています。この詩にもある通りです。「プラハの春、北京の春、アラブの春」。この詩はある軍事クーデターをモデルとしながらも、あくまでフィクションの立ち位置であると見ます。僕もそういったアプローチが好きです。そこに静間さんの構想力・筆力を含んだ詩的作成地図を見ておきたいと思います。民主化運動VS軍事政権の構図上に浮上する出来事・場面は概ねこの詩の通りでしょう。急転直下といった事態の急変が活写されています。もしこれが事実を扱ったものならば、僕は沈黙しますが、フィクションとして書いたとするならば、軍事政権の首班が「少将」だと身分が低すぎる気はしてます。もっとも、かつてカダフィ“大佐”という人物もいたので、何とも言えないのですが。暴力的な政権では階級は関係ないのかもしれない。あらすじを読んでいくと、少し事態が極端で詩的な誇張があるかもしれないが、エッセンスは外していないと思います。最後に静間さんの政治・世界諸相の詩への導入の仕方に触れておきます。単純に書くと、自己の考えを声高に主張しない。あくまでー事実・フィクション問わずー客観としての出来事を綴る。判断材料を提出する。後は、読み手の考え・判断に委ねる姿勢ですね。なるほど、自己の思考表出もあるには、あるんですね。この詩で言うと、終わり2連です。しかし全くもって正統。願いとして静かで優しい。結果、嫌みがないわけです。
どうぞ、こういった立場をキープされますようー。佳作です。
8 社不さん 「回る」 6/30
僕にとっては、一風変わった恋愛詩として読めました。失礼ながら、何処を読んでもハチャメチャ、荒唐無稽なんです。しかし、それがこの詩の本質なんです。ひるがえって良さと言ってもいい。
その奇想天外な書きぶりは「君」へのモーションの度合い。「それぐらい、君に夢中なのさ!」
といった想いを詩的代行したものと捉えることができるでしょう。もうひとつ、注目しておきたいのは、この詩行群が一定のフィーリングで統一されている点を挙げましょう。カジュアルで、軽快で、ユーモアあり、可愛らしさあり、しかも一生懸命。読んでいて、わけわからんけど、凄く爽やかな気分になれるのです。良さと言っていいと思います。評価始めは佳作二歩前よりお願いします。
アフターアワーズ。
大勢に影響ないので、こちらに書きます。終連の「目が回ってる」は、改行して、一行独立連がいいかも、です。タイトルと絡めてのキメ文句として、です。
9 白猫の夜さん 「星の夜明け」 6/30
詩的ペンネームさんの、この詩的タイトル。それだけで魅かれますなあ。
ファンタジー。少し童話寄りの。そういった作品です。初連で「行くの、いくの」とあるので、どこか女性を想像していましたが、「僕」とありました。すると主人公は幼い男の子かもしれない。天上と下界との人々のやり取りが描かれます。階段や星々の様子も印象に残ります。そうこうするうちに朝が来たようです。タイトルに繋がっていきます。もちろん、この作品は日常的なファンタジーとして読んでもいいのですが、いっぽうで悲しい解釈の仕方があって、この男の子は亡くなり、霊魂が天上に昇り、やがて星になるファンタジーではないか、という点です。終わり近くに「最期」という言葉があります。これは殆どの場合、人の死に使われます。それとも作者さんは「最後」と書くのを間違えて記したのでしょうか?いや、そうではないでしょう。作者さんが、この詩のヒントとして「最期」を置いた、と僕は勝手に思っています。そう考えると、天上と下界で盛んに手を振り合ったのは、互いの最後の挨拶だったのかもしれません。最後まで読んでそう感じた時、これはもう一度、冒頭に戻って読み返したくなる、
そんな気分にさせる詩でした。 佳作を。
評のおわりに。
さて、7月。もうすぐ七夕(たなばた)。有名な祭事として僕の中で浮かぶのは東北・仙台、次いで
神奈川・平塚ですが、夏の風物詩としては、ちょっと地味かな、と思ったりもします。
ですが、夏への扉といった予感は充分ありますね。 では、また。
近所にあるポスト
子どものころ
よく年賀状や手紙を出した
ただ
大人になってからは
あまり行かなくなった
最近では
スマホやパソコンで
すぐに
メールやSNSメッセージを
送ることができる
片や
手紙やハガキは
ポストや郵便局まで
行かないと
相手に届かない
「もう手紙やハガキはいらないのだろうか」
たまに
手書きの手紙やハガキを
受け取ることがある
大きな字
小さな字
太い字
細い字
綺麗な字
癖のある字
滲んだ字
様々だ
字を見ていると
想像してしまう
出した人が
どんな思いで
これを書いたのか
みんな
それぞれの思いを
乗せている
手紙やハガキに
少し錆びついた
ポストは
今日も待っている
そんな人たちを
なんにもない 全て どこかに置いてきてしまった
僕は今 地球のどの辺? わからない 僕は人間じゃない 言葉だけの存在だ
手も足もない 身体もない首もなければ心もない ないないづくしで何も書くことがない
ないという言葉で存在している ないというのとあるというのが完全に一致している
だから僕はここにいる
誰かを見ている 必死に生きる彼らを見ている
何かが生まれる 彼女を見ていると何かが生まれる
心だ 感情が生まれる 感情こそ人そのものだ
僕は今 生まれたのだ 人が僕を生かしたのだ
まずどんな感情が生まれたのだろう 愛おしいという感情だ
一生懸命がんばる彼らに 微笑む美しい彼女に 羨ましさを覚えている
妬ましさも湧いてきた 悔しさとやるせなさ 仲間に入れて欲しいという渇望
僕は紛れもない人間だったのだ
今そのことに気づかされた ようやく悟ったのだ
人間として僕は生きなければならないのだ
二本の足で歩いて
二本の手で掴み
首を回して辺りを見回し 状況を把握して最善を尽くそうとする
それが人間だ それが僕だ 僕という一人称が生まれたことにより 僕は世界の一部となった
有象無象の中の一人となった
一羽ではない一人だ
一輪ではない一人だ
一人となったことでみんなが生まれた
みんなのなかの一人となった 孤独という概念が生まれた
僕は今孤独だ 夜だ 今は夜だ
時間という概念が生まれた 僕は人だから年老いていく
今日から明日 明日から明後日 そして一週間 一か月 一年 年老いていく哀しみと喜び
四季も生まれた 春夏秋冬 世界は人を正しくそこへ住まわせる
人間が生きるにふさわしい世界を 世界を作り上げている
誰が? 誰が作ったというのだろう この地上を あの青空を 水平線を
海にはさまざまな生物が生きている 魚や虫も人間の祖先だ
小さな小さな存在からだんだん大きくなって 小さくなったり大きくなったり
愛を戦いを繰り返して 気の遠くなるほどの歳月を経て ようやく人間が生まれたのだ
長かった とても長かった 僕はようやく人間として生まれたのだ そして旅立たねばならない
いつまでもここでじっとしていられない
人間として何かしなければならない その使命とは?
それはまだわからない わからないことこそがこれからの僕の課題だ
わからないことに答えを出していくのだ そのために脳があるのだから
遠回りしてきた 何十億年もそして生まれた僕
一人の人間の寿命は百年にも満たないかもしれないが
受け継いでいくことによって何千年にも何万年にもなる
人がいつ人でなくなるのか 人もいつかいなくなる だって地球にも寿命があるのだから あと何億年かしれない
そのときには人という種は絶滅しているかもしれない それらすべてが人の科学という妄想かもしれない
僕には何も証明できないから これ以上語るべきことはない
僕はただ 今日を終えて明日を迎えるだけだ 何もなかった だが 何かあった 僕は人間だったのだ
七月には
君の腕は真っ白だった
八月には
君の腕は小麦色に日焼けしていた
今年の夏は楽しかったと
君は言った
二十五歳の夏
楽しかったと
君は言った
君は言った
ひとり
君は言った
ひとり
歌うようにひとり
寂しむように
ひとり
君は言った
かつてない夏
かつてない正午
君は瞳をふせて
君は微笑んで
ひとり
ひとり ひとり ひとり
昨日 今日 明日
夏 冬 秋
産まれてからずっと
君は 僕らは
ああ
永遠に
君は 僕らは 人は
血を吐く
楽しいと言う
一瞬が去り
一瞬が来たり
遠くまで行く
どこまでか ずっと 遠くまで行く
強靭に
強靭に?
強靭に言う?
あなたの嘘をかぞえてみたら
いつの間にか両手じゃ足りなくなった
鏡の向こうのわたしは笑顔をつくる
積み重ねた想い出の輪郭を撫でていたら
優しい朝日が顔を覗かせたよ
今日は言えるかな
愛を込めて さよならを
必死に伸ばした両手の先が
あっさりと虚空をすり抜けた
見えるけど見えないもの
欲しくて欲しくてたまらないのに
手に入れることは絶対にできない
この結末は分かっていたのと呟く隣で
いままでの日常が静かに崩れていく
あなたの嘘をかぞえてみたら
いつの間にか両手じゃ足りなくなった
鏡の向こうのあなたはいつも微笑むけれど
鏡を見つめるわたしの頬には消えない涙の跡
越えられない境界の両側に映り込む
滲んだふたりの面影は
いまも変わらずに寄り添って
悲しいけれど もう時間だから
今日は言えるかな
愛を込めて さよならを
願いを込めて さよならを
******
※ミラージュ(mirage):蜃気楼、幻想、幻影の意
青島 江里さま 評ありがとうございます。
子供が人形遊びしているようなイメージで書きました。
もう少し内容を煮詰めたほうがいいように思いました。
長い角を生やして
かき分けて
進むことは
ここでは無理だ
駅を降りた人波は
大学とオフィス街へ向かう
視線はやや下方を向き
均一の速度と密度
維持された軌道と
守られた意識
駅に向かって
逆行するわたしは
視線は高く保つしかなく
接触や衝突を避けて
微妙に軌道を調整し
孤独な緊張で
通り抜けていく
わずかな隙間と間隙を
見極め 抜けていく
モーセのように
波が譲ることは
決してない
直前の険しい目が襲う
ああ これでは
夢想できない
通り抜けるという
単調な作業
わたしは
長い角を生やしたい!
くるりと
向きを変えて
波に合流する
前にも
横にも
斜めにも
安定したリズムと呼吸
視線は自然に下がる
ただ
歩けばいい
幻を見てもいい
あの不思議な
ラストシーンの
砂漠の泉
水を飲みに来た
やせ細った
オリックスの長い角
幻の長い角
ふとみると
誰もが みな
長い角を生やしていた
わたしも
長い角を生やして
群れの先にある
静寂の泉へと向かう
(注)映画「ナミビアの砂漠」のラストシーンより