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(あのーー、私が言うことでもないんですけど、詩は自由を旨としていますから、どこにでも投稿しようと思えば、投稿できないところはないんですけど、いきなり大きなところに挑戦しても、世の多くのものがそうであるように、ポッと書いて、ポッと通用する、ポッと賞が取れる、なんてことは、まずありえないことというか、相当に稀有な話なのです。
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亡き父に
戦時中一番怖かった体験は?
と聞いたことがある
〈機銃掃射〉
と即座に答えが返って来た
太平洋戦争末期
招集された父は北鮮・豆満江の任地から
済州島の要塞に移った
重砲部隊
大砲を曳く軍馬の世話が任務だった
慣れない仕事だが
馬は可愛く
世話をするのは楽しくてやり甲斐があった
馬とともに済州島の山野を巡り
温順な島の自然に親しんで
気散じすることも出来た
ある日 馬のストレス解消に
営舎の外に出たときだ
ドッドッド
バッバッバ
突然 敵グラマンの急襲を喰らい
十二・七ミリの焼夷徹甲弾を打ち付けられた
慌てふためき
必死になって赤松の林に隠れた
機銃掃射は繰り返し繰り返し
しつこく続いた
怖くて言葉を失った
チビリそうになった
時間の感覚を失うほどの衝撃
馬が犠牲になった
父に懐いた若い牝馬だった
その晩
営舎で凄まじい暴力が待っていた
人の命より馬の方が大事だった
本土から運んできた大事な軍馬を
貴様はなぜ命がけで守らんのか
新兵などいくらでもいるが
馬は手に入らん
バクン!
新潟出身の伍長に上靴ビンタを食らい
目から火が出た
古参兵にも死ぬほど殴られて
父は気絶した
そして左耳が聞こえなくなった
軍医の手当てを受けたが
終戦までの間
とうとう
左の聴力は戻らなかった
*済州(チェジュ)島 朝鮮半島の南西にある火山島
韓国領
「アロエがくれたもの」に評をありがとうございました。
良く書けたところがこんなにあって、良かったです!
行の終わり方については青島さんからもご指摘いただいたことがあります。
主語ともども、悩ましいところです。
課題、ありがとうございます。
ハードル上がるんですね、頑張ります!
アロエを見るたびに雨音さんを思い出しそうです。
今回もありがとうございました。
こんばんは。上田です。
この度も少し長めの作品を投稿しました。話しをして下さった方は僕の会社の上司であり、釣りの師匠です。
マリアナ沖海戦では空母を狙い撃ちにされ、大鳳、翔鶴という正規空母を沈められて搭載機も全滅、惨憺たる戦いであったと聞きました。また、日本軍の潜水艦もこの海戦でほぼ全滅したようですね。後のレイテではもう日本軍には力がなく重要な艦船をつぎつぎに沈められて行ったと知りました。
作中プロレスラーが出てますが、彼は日本プロレスで力道山とタッグを組んでいた吉村道明氏です。隼鷹で通信兵をし、船に乗る前、通信学校でも一緒だったと言っておられました。
僕の上司は一命を取り留めたが、戦闘で亡くなったものの他、マラリアやテング熱などの病気、食い物のない中、餓死して行ったものも多かったと聞いてます。その当たりのことも次に「メレヨン島」を題材に書いてみたいと思っています
1 上田一眞さん 「ある通信兵の戦い」 11/3
今回も貴重なお話、ありがとうございます。いわゆるマリアナ沖海戦ですね。日本がめちゃめちゃやられた戦いです。次のレイテ沖海戦で連合艦隊はほぼ壊滅しますね。隼鷹は翔鶴・瑞鶴に次ぐ立派な主力艦です。記録を見ると、煙突に直撃弾を受けて隣接の艦橋も破壊された。死傷者60名以上となってます。この体験者はその時に海に投げ出されたものと推測できます。この詩の話の克明さがよくわかります。ここで注目したいのは、隼鷹の奮戦もさることながら、空母を守って必死に応戦したり、救助に駆け回る駆逐艦の姿です。不利な艦の環境をものともせず、けなげに下働きする。話の当人が救われたのも駆逐艦。兵員に後年プロレスラーになった人がいたというのは凄いです。もしかして力道山だったら、さらに凄いですね。海に投げ出されたのは一見、危険な艦から離れるようですが、海とて地獄。敵機の機銃掃射あり・力尽きてブクブク沈んでゆく者あり・フカ、サメに喰われる者あり。ここに書かれている通り地獄でしょう。この詩の通り、運だけが明暗を分けたと言えるでしょう。
アフターアワーズ。
僚艦飛鷹はこの時沈没してますね。隼鷹は生き残り、しかし載せる飛行機がすでに無く、輸送艦として使われ終戦を迎えています。沈まなかったのは幸せなフネだったと言えます。
2 えんじぇるさん 「ピアノ・リサイタル」 11/3
タイトルの割にピアノの件がさほど出て来ないのが、かえって今日的、現代詩的です。
「綺麗」が焦点。現に全ての連が「綺麗」で始まっています。
まずは(前夜)。その面白さは後半行が代表するようです。案外、衣裳選びのことかもしれない。
次に(当日)が主流を占める。案外、ここでは演奏へのアプローチと内面のあり方が記されているように思いました。特に「白鍵と黒鍵」の連に端的に表れているようです。屈折を含みながらも駆け抜けようとするもの。演奏時の一部始終ですね。音楽、よろしく、かくあるべし。結局、これは定義付けの詩なんですが、その仕方が独自の感性、表現に裏打ちされたユニークさ、面白さを充分感じたのです。文体は「肯定+BUT」で目を惹きます。現代詩的表現を味わうのに好適なものを感じる。(結果、しばらく考えて)、佳作とします。
アフターアワーズ。
ハズレ覚悟で書くと、案外娘さんのリサイタルの一部始終を語ったものだったり、―と想像しても、かえって微笑ましいです。
3 水野耕助さん 「ダンス・ダンス」 11/4
「ダンス」×3回だと村上春樹の小説タイトルになっちゃうので、ここは2回ですね。
シンプルに意志が届きやすい詩に仕上がっていますね。本当にダンスが好きで、真剣にプロを目指す人は本当にこういった気組みでやっていると思われます。たまに街の片隅で必死に練習している若者を見受けます。たぶん精神の根底にこれに似た気持ちは当然あるでしょう。このように額面通りに読んでもいいし、各連を比喩表現と捉えて、読み手各人が「ダンス」の部分をそれぞれの対象に置き換え代入して読んでもいい。どちらで読んでも共感は得られるはずです。どちらにも基調になるのは、英語で俗に言う「KEEP ON~~ING」ではないか、と思うのです。この詩から伝わってくるのは上記に書いたような「持続」と、もうひとつは「徹底」ですね。この人に「ま、いっか」はなさそうです。それがあるか、ないかで大成度はまるで違ってくるでしょうね。非常に気持ちの良い詩です。技術論的には、シンプルな中にもうひとひねり欲しい気もしますので、佳作一歩前で。
4 エイジさん 「モダン・ネオ・ロマンティシズム」 11/4
少しエッセイ風味の詩と言えるでしょう。前半は秋の風情を交えながら喫茶店内の情景が良い雰囲気で書けていますね。喫茶店に詩を書きに来たといった設定なのですが、ここに自己の詩が引用されるとは、おもしろいアイデアですね!あまり例がないですが、上記設定からすると、ある意味必然であり臨場感ありです。しっとりと静かな語り口にも好感です。ただ後半は少し急ぎ過ぎたかな?(エッ、もう帰っちゃうの?)の感なきにしもあらず。帰る前に、もうひと山あってもいいでしょう。佳作半歩前で。
アフターアワーズ Ⅰ
こちらに書きます。このスタイルでももちろんいいんですが、僕は散文詩型にしたものも同時に持っていていいと思う。あとタイトルは大き過ぎか? 自作詩周辺か喫茶店系のものをピックアップしたほうがいいように思います。ただ、“エイジさん事情”があるのかもしれず、その事情を知らない他者はそんな風に考える、ということです。
アフターアワーズ Ⅱ
スティーリーダンがBGMに鳴り続ける喫茶店なんてあったら、僕だったら3時間位はいたいですね(追加オーダーしなきゃ!)スティーリーダンは、まあ、ロックなんですが、いろんな要素があって、ジャズの人に一目置かれることはあっても、けなされたことはただの一度もない。むしろ好んで、カヴァーされるほどです。バックに入るのは多くはジャズ~ファンク系。アメリカンミュージックの奇跡と言ってもいい。僕が好きなのは、「KID CHARLEMAGNE」です。また歌詞が「詩」になってるんですね。ちょっと難解、皮肉、危険、挑発的です。逆にセザンヌ「トランプをする人々」は知らなかったので調べました。裏話。
5 晶子さん 「桃太郎」 11/5
日本人なら誰もが知ってる桃太郎。これはちょっと奇譚といったところでしょうか?
これ、最後まで骨のままで読んでいいんでしょうかね?それとも洗濯女が拾ってくれれば、肉体を持って転生する、そんな風にも読めるんですが。それまでの夢や願望や心意気を思ったといったところか?そんな風に読めました。もしも肉体が再生するのであれば、この詩の何処からなのか、がちょっとわかりませんでした。それはともかくとして、あの桃太郎が骨であるというのが、すでにして奇譚であり、この詩のユニークであり、従来の説話から発して創造性まで発展するかもしれないのです。ちょっと評価は外させてください。
6 まるまるさん 「床を 拭く」 11/6
ちょっと古い表現になりますが「台所は主婦の居場所、オフィス、仕事場」なんて感じもするし、
いにしえは奥方そのものを指しました(御台所―みだいどころ)。なにやら、そんな雰囲気は受け取れるのです。「台所は そこに居るママ そのものだから」以下、連終わりまで、や終連のひとつ前などに、そんな気分がさりげなく感じられます。ちゃんと息子さんにご主人―家族もいます。幸せな台所。「一日の終わりに/私は台所の床を拭く」なども今どきの行為としては珍しいし健気です。喜びを感じてますね。わずかながら清々しいプライドも―。一日、お疲れさまでした。美味しかったです。 甘め佳作を。
アフターアワーズ。
ちょっと思い出しましたが、石垣りんに、「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」、って詩がありましたね。
評のおわりに。
家屋の老朽化、床が抜けないように本を大量に処分しました。その取捨選択の辛さ、難しさ。
( 司馬遼太郎は一冊とて処分しないゾ! ) では、また。
こんにちは。上田です。
この度は拙作「小さな祐と…」をお読み頂きありがとうございました。また、佳作という高い評価を頂戴しましたこと、望外の喜びであります。
この作品は私の父と息子を連れて釣りに行った情景を題材に致しました。自分で言うのも変ですが自身で書いた作品の中で最も好きな作品です。その作品に高い評価を頂いてとても嬉しく思いました。
これを励みに、また投稿しますのでご批評下さるよう宜しくお願い致します。
「小さな祐と…」上田一眞さん
上田さん、お待たせしました。今日は雨が降っています。
先日27度くらいまで気温が上がったのに、今日は寒いです。
そんな中、今回の私の評のスタートは上田さんのなんとも暖かい気持ちになる
作品でした。優しい時間がとても愛おしいですね。
日向の匂いも、海の匂いも、小さな人の柔らかい匂いもするような気がしました。
直すところはないと思いますし、これはもうこのまま大切にしていただきたい
作品です。愛でできた作品ですね。
佳作を。
「夏の終わりに」U.さん
U.さん、今朝の雨はとても静かでおしとやかです。お待たせしました。
夏が終わりましたね。この夏は暑かったから、秋の訪れが本当に愛おしかったです。
その秋の訪れをとても素敵な表現で展開されてますね。
空の青さ、アキアカネ、プールの鎖、栗の実、空気の妖精、そして、
枯れた草の匂い、と秋を寿ぐ気持ちが静かに綴られていました。
私とあなたの登場の仕方のバランスもいいですね。
二連をまず見直して欲しいのですが、
「空の青の青さ」は少し工夫してもいいかなと思います。
メールはメートルですね。
ここがちょっと残念でした。佳作一歩手前です。
「街を歩く」江里川丘砥さん
江里川さん、お待たせしました。私はこの評を書くときに必ず聞く
youtubeのクラッシックがあるのですが、この作品はとても今聴いている曲に
あっています。
とてもまっすぐに心に届く、心の近くに歩いてくるそんな作品ですね。
佳作です。少しおまけです。
これから何回か推敲を続けて欲しいですが、きっと書きたい気持ちに
背中を押されて、サラサラっと書かれた作品ではないかなと思っています。
そのまっすぐさに心を打たれます。
一つだけ、考えてみて欲しいのですが、十五連の「ぼくの町に」から始まる連ですが、
ここだけ、行の分け方に変化をつけてみてはどうかなと思います。
具体的に言うと、ここだけ行を長く取ってみる、と言う感じでしょうか。
ぼくの町に帰り着くと
月夜に照らしだされたいつもの町が
待っていた
とか、配分はご自身の匙加減ですが、そうすると、他の連との差別化が生まれて
リズムに変化がつきます。全体として、縦に長い(縦書きなら横に長い)作品で
淡々としているので、やってみてもいいかなと思いました。
江里川さん、14連がとにかく素晴らしかったです。
「アロエがくれたもの」まるまるさん
まるまるさん、こんにちは。お待たせしました。
タイトルにグッときました。ワクワクしてしまいます。
そしてその期待に裏切られず、最後まで拝見しました。
こちらは佳作です。まるまるさん、次回から少し厳しくなりますので、
ご承知おきくださいね。(段階的にハードルは上がっていきます)
ひと鉢のアロエが8つになって、それが減っていく過程も良いし、
その少し淋しく心細くなってしまった気持ちにも共感しました。
さらに、そこからの切り替えも上手でしたし、最終連はとっても効いています。
バランスがとても良かったですね。リズムもよし。
次回に向けては、主語を減らしていくこと、と、体言止めを少し減らすこと、
になると思いますので、少し工夫してみてくださいね。
実はですね、告白します。私もアロエを持っていて、そして、驚きの大きさに
なっています。私は25年ほど持っています。植物キラーな私ですが、
この子だけは生き残りました。ですので、余計に臨場感がありました。
::::::
季節が変わっていく、ただそれだけですが、でもそれだけでもありませんね。
一年の間に4回も季節は変わるのに、世界も日本も変わっているようで変わりません。
戦争や紛争がなくなって、誰もが安心して眠れるような世界になって欲しいです。
空気が澄んできましたね。みなさま良い時間をお過ごしください。
数学に対して或いは拒否反応があるかもしれない青島様に数学をテーマにした詩を評価するという難儀をさせ立てしまい申し訳ありません。
保留は青島様の正直な評だと思い重ね重ね恐縮しています。
どうも私は万人向けの物が書けない欠陥があり、今回はそれがまともに出てしまいました。
Nスペでもこの望月新一氏のことが取り上げられていたので、もしやと思ったのですが、甘かったです。
青島様においては全く訳の分からないものに対して評価するという困難なことをさせてしまい申し訳ありません。
しかし、私が数学好きであることは伝わったようで、それは良かったです。
困難なことをさせてしまい重ね重ね申し訳ありませんでした。
評ありがとうございました。
佳作との評価ありがとうございました。
ユニークな作品と言っていただき、
僕としては嬉しい感想です。
楽しんで読んでくださり、僕も嬉しいです。
青島様 こんばんは。丁寧にお読み頂いてありがとうございます。こちらは、私の愛読書のルイスキャロル作の不思議の国のアリスから妄想したものでした。物語の中で帽子屋はいつも三月ウサギとお茶会をしています。月にいるうさぎが、もしも三月ウサギだったらきっと大変なお茶会になるだろうなあという話でした。三月ウサギは、「三月のウサギのように気が狂っている」(Mad as a March hare) という、当時はよく知られていた英語の成句をもとにキャロルが創作したキャラクターです。 この成句は繁殖期である三月に雄のノウサギが見せる落ち着かない振る舞いを示しています。帽子屋は当時イギリスでは水銀を使用して帽子を作っていたので当時の帽子屋というと、おかしな言動をする人という意味がありました。水銀中毒により。なので、三月ウサギは悲しいんだけど、やっぱり行動のおかしさもあるので、いきなり人間に招待状を送っておりました。徹底的におかしな妄想で遊んでました。
友人にもこの詩を読んでもらうと、やはり三月うさぎ?なんで三月?と言われたので。私の愛読書の押し付けになったなあと思ってました。
次回は、注をつけて分かりやすくしますね。また、よろしくお願いします。
私も暑いので、日曜月曜と冷やし中華を食べてました。今日は少し寒いですが。
青島様も体調気を付けてくださいね。風邪をひきそうな朝晩の寒さです。
【10月31日(火)~ 11月2日(木)ご投稿分、評と感想です。】
※都合により、お先に失礼いたします。
◎2つの靴下 喜太郎さん
二つでひとつが当たり前のもの。結構周りにあると思います。今回は靴下について書かれていますが、この内容はあきらかに人の世界にもあてはまるように思えました。人のことと言えば、身近な話題として、二人組の芸人さんのことを思い出しました。一人は売れっ子で、相手は、もう片一方の人とか呼ばれたり。比べられて、そっちは仕事がないよねって言われたり。あとは、兄弟で上はできるけど、下はちょっと・・・。同じ兄弟だけど違うよね・・・と、言われたり。二つで一つって、寂しくないようで寂しかったりする。こんなことを考えていくと。そのようなことが、読み進めていくうちに思い浮かんできました。
作者さんは経験者さんなのだろうか、それとも身近の身近にそういう人がいたのだろうか。そのようなことを思わせるくらいに、メインの言葉の数々は心に迫ってきました。
片っぽの靴下は捨てられるだけ
ただのゴミなんだよ
君は泣きながら初めて僕に怒鳴ったね
片足だけでも温める事がでる
片足だけど可愛くできる
きっと必要としてくれる人はいるはず
その為に美しい心は捨ててはいけない
ゴミという単語からの必要という言葉。とてもあたたかい。
全体的に見て、少し整理ができそうなところもありそうなのですが、このような胸にせまるようなたくさんの表現に遭遇した時、少し整理というくらいのことよりも、その表現の方が圧倒的に勝ってしまう。そう感じさえてくれることがあります。今回がそうでした。この言葉を拝見して、誰かの気持ちがあたたまればいいな。そう感じさせてくれました。今回は、ふんわりあまめの佳作を。
◎帽子屋と喧嘩した三月うさぎは 紫陽花さん
童話の世界を感じさせてくれる作品。喧嘩したけれど、離れてしまって初めて知る寂しさなどを感じました。
えっと、思ったことをいろいろ・・・・・・。
こちらは想像された物語風な作品となっていますが、月はうさぎと関係するのですが、帽子屋とはどういう関係なのか知りたいなと思いました。また、童話風味なので、てっきりお茶会はうさぎと帽子屋がテーブルで向かい合って座ってしているのだと思ったら、本の中を飛び出したとなっていました。そのあたりがわかる表現があればいいなと思いました。
ものすごく単純なことなのですが、どうして三月うさぎは三月なのか?そのあたりが、なんとなくてもいいので、わかると楽しいなと思いました。意味もなくその意味を作中に探ってしまった単純な私でした(笑)
月に飛んで行って、月からあたらしいお茶について帽子屋に招待状を出すところは、メインになるところかもしれないと思ったのですが、途中から人間にも招待状がくるよという内容で着地しているところ。できれば、人間よりも、もう少し帽子屋さんと三月うさぎさんの繋がりについて強調できれば、離れている距離からくる寂しさや会いたさに関する表現が深まるのかもと思いました。かわいらしくやわらかなイメージが半端なく伝わってくる作品。今回は佳作二歩手前を。
◎脳の肉眼 積 緋露雪さん
「宇宙際タイヒミューラー理論」という論文があるのですね。世間を騒がせた画期的な考えのようですね。日常の90%以上と言っても過言ではない、公私共々文系の空気の輪の中にいる私にとって、今回はテーマ自体がハードル高すぎました(笑) 内容を絡めてお話をすることは困難だと感じました。力不足で申し訳ございません。今回は保留でお願いします。
考えに考えたあげく、いつもとは別方向な感じで、内容がわからない人が拝読するとどうなるのかという方向で感想をお返しすることにしました。何でもいいので、今後の何かのお役に立てるとよいのですが。
「脳の肉眼」というタイトルはよかったと思います。もしこれが「宇宙際タイヒミューラー理論考」のような感じになっていたりすれば、その時点で、数学アレルギーのガチガチの文系人間はスルーしてしまうと思います。「脳の肉眼」って何?そこから入ることができたことは、とてもよかったと思いました。
難しそうなテーマの長文を読む。これは多くの人が、よっぽどの関心がない限り、かなりの確率で、苦手だなと感じると思いました。一人でも多く、誰かに読んでもらえたらということに重きを置きたいとする場合、二つのことを思いました。
ひとつは「脳の肉眼」を引っ張っていく感じで、さりげなく「宇宙際タイヒミューラー理論」について絡めていくということ。もうひとつは、これだけは外せないという文面だけを選択し、今よりも更に短めに濃縮するということでした。
特に読み手を意識しない場合は、自分の書きたいことを遠慮なく、自由に表現するということが満たされるので、それはそれで、よい点になると思いました。対象にすることが変わってくると、書き方や表現も変わってくるようにも感じました。
積さんは数学がとてもお好きなのですね。数学アレルギー的な私からは、ほぼ理解できない内容で申し訳ないです。ですが、好きで熱弁されている気持ちの温度は、しっかりと伝わってきましたよ。
◎ハロウィン 大杉 司さん
最近は、明るいニュースがものすごく少なくなりましたね。物価高で、必需の食料品にも
相当な負荷をかけられて、皆が皆、相当な倹約生活を強いられていますよね。また、賃金が上がらないことや、過酷な労働条件が加われば、それは大変を通り越してしまいそうです。希望が見えない世界、それを作中の「廃人」というワードから感じました。
ストイックも、どんなに強い人であっても、永遠に続けていこうと決めつければ壊れてしまいますよね。だからこそ、息抜きする必要があるのだと。ただ、たった一人では勇気が出ず、大勢が参加するイベント、例えば、ハロウィンのようなイベントで発散し、楽しむのだと。
馬鹿騒ぎで楽しんでいる間はいいけれど、それはとても短い時間だということ。その部分には、締め付けられるような胸の内側を感じました。そして、明日になれば廃人に戻る。この部分には、無理やり受け入れなくてはならない虚しさを感じさせてもらいました。
廃人のような生活についてからの、最終連の言葉。
それまで何も考えるな
今が楽しいならそれで良い
これは、予想外の展開。一見、投げやりのように見えますが、そうではなく、どうにかして生き延びてやるという底力のようなものを感じさせてくれました。遠くを見すぎてしまうと、力尽きてしまうような日々。ゴールを近くにおいて、ひたすらどうにか生きてやろう・・・・・。そのような意味にも捉えられるようにも思えました。大げさに、「生きてやる!石にかぶりついてまでも!!」のような表現とはまた違う、妙に説得力をもたらす表現になっていると感じました。
全体的にまとまった作品になっていると思いますが、読んでいて単調に思える部分も多めなだと思うので、あと少し、作者さんの表現したいカラーを肉付けしてみるのもよいかなと感じました。今回は佳作一歩手前で。
◎幽霊の木 妻咲邦香さん
わかりやすい言葉が伝えるもの。身近な言葉で。だけど、意味するものは結構奥が深くて、明確にはできず、ぼんやりとした感じ。それでも充分だいたいのことが伝わってくる。というか、はっきりわかりすぎてはいけないものかもしれない。もしくは、形にするには、言い表しにくいものかもしれない。
そのような思いの全体像をうまく表現してくれている言葉が「幽霊」であるように思えました。
幽霊→怖い→寒い→冬
幽霊→死→悲しむ、恐れる
幽霊→死→土にかえる
幽霊→姿がなくなる→人として生きる心もなくなる
幽霊→今はいない人→過去→懐かしむ
幽霊→人の生と死→何度も繰り返す→先人たちの記憶
幽霊→天国→心配事を忘れて天界で暮らす
このキーワードになる「幽霊」の一言で様々なイメージが広がり、掘り起こされるものも生まれていると思います。読み手にこのような思いにまで持っていかせるという表現は、やはり、作者さんの筆の力によるものだと思いました。
また、作中に幾度も出てくる「詩を忘れる」は、人の心を忘れるという意味にもとらえられるし、「詩を書きたいけれど、このままずっと書くことができない自分」という風にも捉えられることができて、読み手各々に、共感できる世界が広げてゆく幅を持たせてくれるようにも感じさせてくれました。
作中でしめされた「幽霊みたいな木」という表現。「みたいな」もわかりやすい表現だと感じました。「幽霊の木」では想像がつきにくいのですが、一般的に「柳」のような木を想像することもできますよね。
詩を書くこと。人としての心を、人として生きることのできる最期まで表現すること。見えるようで見えない、ぼんやりとした、ゆく先のあれこれ。どこか淋しいような悲しいような、そのような空気も感じさせてくれました。あいまいさのようなもの。どこの何についてかはっきりとは言えないもの。とっぷりと暮れてゆく余情のようなものも感じさせてくれました。
特に印象に残った表現は、「誰にも教わらず、教えてもらえず/ここから先はもう言葉などは役に立たなくて/土の匂いをただ懐かしむ」でした。はっきりとは言い表せない切ない世界、どうしようもないものに対する気持ち、切なさをたっぷりと感じさせてくれた作品でした。秀作を。
◎俺に何の関係がある? 司 龍之介さん
とてもユニークな作品。面白いスタイルの作品。難しい四字熟語ばかり並べているかと思えば、蓋を開けてみれば、美女を表現するものばかり。日頃はほとんどと言っていいほどなじみのない熟語。(まぁ、これは単純に私自身が美女という言葉と接触が少ないだけかもですが・・・笑)こんなにたくさん集めることができたなぁと、感心したり。蓋を開けてみて、面白おかしく笑ってみたり。
「どうせ俺には関係のないこと」等と、思いっきり突き放したり、相手にされないといっているので、美女を皮肉るのかと思えば、そうではなく、美女は好きとくる(笑) この正直さにとても好感がもてたりしました。そうかと思えば更に、
女性は凄いな
綺麗になるために努力して
お金もかけてその姿勢だけで十分美しいけど
男の俺も何か頑張らなくちゃと思う
更にその上、
男の俺も何か頑張らなくちゃと思う
それは恐ろしく不可能だけど
努力はしようと思う
人生に一輪でも多くの花を咲かせるために
と、このようにものすごくポジティブな表現が重なり続けての爽やかな着地。本当にいい意味で予想を裏切られました。「どうせ美女なんて縁がない→美女なんて顔だけだろ→俺は俺の道を行く!」なんていうのが、割とよくあるパターンなのですが、すっかり生真面目な言葉の行進が続き、よい人100%に感じられるように終わっているところが面白く。楽しいエッセイを読んでいるかのような気持ちにさえなりました。表現を飾らす、素直な気持ちを軸に表現されている作品。展開が面白く、楽しく読めました。佳作を。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
11月なのに夏日?!かき氷に冷やし中華?秋はどこにいるの?と、思った数日。寒さと暑さのジェットコースター。遊園地でも気温でも、ジェットコースターは苦手です。
落ち着かない寒暖ウェーブ。おからだご自愛ください。
みなさま、今日も一日おつかれさまでした。