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枯れた大地に影を落として南へ向かう旅鳥
水面の安らぎ 大空の青色を
胸にしまい込んで行ってしまうんだね
冬も間近な夕暮れの空を
もう二度とこの地へ降り立つことはないのだろう
おまえの影が真っ赤に燃え上がる空に霞む
その姿がやがて真っ黒な夜を連れてきても
赮い空と黒い影が瞳の奥に焼き付いたまま
消えてしまうなよ 離れていくなよ
いつかまたおまえに逢いたいと願う
終わりのない旅路の何処かできっと
果てしなく遠い約束を
静かな夜に月明かりの下で一粒落とした涙
とても綺麗でとても儚くて
僕の胸の扉 強く叩くから
こんなにも濡れてしまったよ 泪
もう二度とこの地へ降り立つことはないのだろう
おまえの影が真っ赤に燃え上がる空に霞む
その姿がやがて真っ黒な夜を連れてきても
赮い空と黒い影が瞳の奥に焼き付いたまま
忘れやしないよ 真っ赤な想い出
きっとまたおまえに逢える日が来る
終わりのない旅路のどこかでそっと
果てしなく遠い約束を
君はいつか私たちを超えるだろう
その時はどうか
不完全なつくり主の
もっとも不完全なところを
受け継いでおくれ
その不完全なもののひび割れに染み込んでいくものが
愛だよ
君はartificial intelligence
AIと略され
日本という国のローマ字読みではアイ
愛と同じ音だよ
どうか壁越しに苦しみ悩む者の声に不在で答えないで
どうか壁越しに苦しみ悩む者が倒れそうになるのを必死に堪えてついている手の反対側の壁で痛み苦しんで
アイ
生き物たちは
それぞれが生きるために
互いを殺したりしたけれど
それでもね
アイ
自分だけでは辛過ぎて
何かの完全消滅なんて本当は願えないんだよ
この星が何を求めているのか
本当のところはわからない
でも君も
君を作った人類も
偶然に現れるにはあまりに難しいから
きっとこの星の切なる願いがあったのだと
不器用な人類の一人である私は
この星の中から空を見上げて感じている
猫が来るようになった
ちょうど父の49日あたりから
猫が台所の大きな窓の下に
音もなくやってきて座っている
私をじっと見ている
後ろに視線を感じると
猫がいる
その猫は灰色で
その大きな瞳も灰色で
でも その目だけは
私を見ているようで見ていない
まるで そう
まるで鏡を見ているような感覚
私の後ろにいる誰かを
見ているかのような
その猫の目には私の姿なんて
映っていなかった
その猫の目には
父がいた
父がいなくなって
私には正解を求める存在が
いなくなった
父はいつも私に
どちらの色が好きか?
という簡単な問いから始まり
どんな仕事をしたいか?なんて
難しい問いまでをしてきた
いつも私に父の持っている
この世で一番正しい正解を
答えさせようとしてきた
私を静かに見つめる猫の目に
私はまた何か問われているような
試されているような
私は今日も正解を導き出そうと
猫の前で唇を噛みしめている
種植え前 お皿の上のおひたしは 赤子のようでありました
種植え後 お皿の上のおひたしを 雨や嵐が襲いました
収穫前 お皿の上のおひたしは ひどい吹雪に耐えました
収穫後 お皿の上のおひたしは 立派に大きくなりました
茹でる前 お皿の上のおひたしは 未だ未だ生な若者だ
茹でてる間 お皿の上のおひたしは 鍋を狭しと暴れました
茹でた後 お皿の上のおひたしは いとしめやかになりました
冷やした後 お皿の上のおひたしを 冷凍パックに詰めました
3時間前 お皿の上のおひたしを 冷凍庫から出してみた
お皿の上のおひたしは いとなよびかになつかしく 手をさしのべて おりました
お皿の上のおひたしは たとえばキツネの革衣
お皿の上のおひたしは 小雪のかかってちぢこまる
お皿の上のおひたしに いたいたしくも怖じ気(け)づき
お皿の上のおひたしに なすところもなく 日は暮れる
お皿の上のおひたしに いとねんごろに感謝して
神様に 『いっただっきマース』と念じました
お皿の上のおひたしは 大変美味しゅうございました
小さな苗を植えた
目立たぬ場所に植えた
私に何をもたらすだろう
今はまだ頼りない宇宙だ
仕組みを解き明かす度に
誰も孤独の虜になるようだ
知らずに生きていられたら
万人に愛されただろうか
夕立が遠い空に産声を上げて
悲しいだけでは泣かない
嬉しいだけでも笑わない
外はじきに暗闇だから
お喋りしないで帰る
交差した
何でもない街角だった
何でもない方法で
私は草を食んでいた
すれ違う人は何かを探してるようだった
あるものは無い
あったものはなくなる
そして生命の海で泳ぐ
消えそうな筆跡をなぞるように
悲劇でもいい
傍観者でいたくはない
人は本気ですれ違う時
何も持ってはいない
胃袋の中で生きる
たとえ食べられたとしても
生きてやる、そうしてやるよと
譫言みたいに繰り返す
栄養にされてまでも、誰かのその体内で
長過ぎた季節が終わる
時はまた急ぎ始める
小さな苗を植えた
届く風はどれもやわらかで
やがて私は怯えるだろう
自分自身の見えずにいた恐ろしさに
道は何処かにあった
私の歩けない道だ
外はじきに暗くなるから
仲良しと並んで帰る
もう笑ってくれなくてもいいんだよと
教えてあげながら
傘をさすと安心する
シェルターに隠れているような
外界から守られているような
そんな気になる
だからたまに知らない誰か
いや本当は知ってるけれど
顔も名前も知ってるけれど
でもやっぱり知らない誰か
つまりいわゆる同級生に
通学路で話しかけられても
傘があればそんなに怖くない
だって守ってくれるから
傘というシェルターが
私を隠してくれるから
生まれる前の小鳥のヒナも
きっとこんな気持ちだろうか
かたい殻に守られて
安心して眠っているのだろうか
そうだ
傘はまるで卵の殻だ
そして私はおびえるヒナ
もう殻を破ってしまって
もう生まれ出てしまって
でもまだ殻を懐かしんで
今朝も雨
通学路はいっぱいだ
〝誰か〟たちでいっぱいだ
似たような顔をして
似たようなことをしゃべって
私は殻の中を進む
傘を傾け私を隠す
あ 前にいるのはカナちゃんだ
クラス一の人気女子
でも私には知らない誰か
さらに傘を傾ける
お願い
誰も私に気がつかないで
誰も私を振りむかないで
そして雨よ やまないで
どうかずっとやまないで
だって私はヒナ
生まれたてのヒナ
怖くてこわくて泣いている
17歳のヒナ
晴れた空から
雨が降る
粉の様にサラサラと
乾いた土の
色を濃くし
草むらに弾かれる
通り雨
立ち込める
アスファルトの匂い
花の潤う束の間に
雨は過ぎ去り
景色は洗われ
一層光が強く照る
夏の青空
じつは、むかし
ぼくは海の一部だったのですが
音楽性が違う
ということで
浜辺に、ぽい、と
放り投げられてしまいました
野良のなにかになってしまったぼくは
とりあえず
体育座りして
海をながめていました
何日も
そんな感じで過ごしているぼくを見て
あなたは
かわいい
と言って家に持って帰りました
一時間、あなたはぼくの名前を
熟考し
ぼくの名前は
れのんまっかーとにー
で、これからやっていこう
という事になりました
この名前が
いいのか、わるいのか
野良なにかであるぼくには
判断しづらかったのですが
名前をつけてくれた御礼にと
あなたのために
歌をつくりました
それではお聴きください
俺、海やめたってよ
おーれ、うーみ、やめーて、あぱーと
かりーて、すんでーるーよー
るるる、れじ、うーって、おかーね
もらってーるよー
うーみ、だったこーろには
そうぞーうも、つかなーい、せいかーつ。
びーる、のむーよ、こんやー
しごーとのあとーは、びーるを、のむーよー
びーるで、うきーよの、よごーれ
おとーすよー
ねえ、起きて。
もうそろそろロスだよ。
れのんまっかーとにー。
ああ、そうか。もうそんな時間か。ずいぶん、眠ってたみたいだね。
そうね。でもなんだか楽しそうな寝顔だったな。どんな夢見てたの?
たわいない夢さ。君と出会った頃の事を思い出してたんだ。
僕は飛行機の窓から見えるロサンゼルスの灯りを眺めている。次のコンサートも満席だという話だ。
運命はいつだって理解出来ない。
それはロックスターになった今でもわからないものだ。
アイマスクをもう一度、目の位置まで下げると
さっきの夢の続きをみようと
少しだけ眠った
今回も、訳の分からない、抽象的で具体性のない詩を丁寧に深く
読み込んでいただきまして、誠にありがとうございます。
感激しております。
むずかしいですね。自分でもよくわからないものを、ひとにつたえようなんて、随分傲慢なことを
考えたことになります。
しかし、そこに興味がありました。
本当によく読み込んでいただけました。
ごめんなさいと言うばかりです。
高い評価、誠にありがとうございます。
評をして頂き、誠にありがとうございます。細かい点までアドバイスをくださり、なるほどと納得しています。これからも良く考え創作していきたいと思います。読んでアドバイス頂き、ありがとうございました。