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★★ << 2つの掲示板のご案内 >> ★★

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編集・削除(編集済: 2024年09月10日 18:37)

感想と評② 8/26~8/29 ご投稿分  三浦志郎  9/4

10 もりた りのさん 「片足立ちの鶏」 8/29

筆致は男性的にして勇壮。詩のキャラクターから言って、これでいいと思います。
ただ、この詩は額面上は普通に読めるのですが、この詩の背景にあるものが何なのかがわかりません。4連の主旨によると「鎖に繋がれているくらいなら、一本足のほうがマシ」の理由は何か?終連の主旨はどういった事か?―がわからないです。ただその理由は終連に集中しているようです。「あいつ」とは何か?何故、右足を失くしたほうがいいのか、「あいつ」には敵意を持っているようです。「鶏~敵意」となると「闘鶏」(現在は多くの県で禁止)が思い浮かぶのですが、それならば、足首を失うのは敗北に等しい。というわけで背景がわかりません。最後に何か注釈を付けた方がいいと思います。評価はパスさせてください。


11 朝霧綾めさん 「まるい夜」 8/29

なかなか良いフレーズが多い詩です。「大人びた濃紺の夜」「夜はおかあさん/私たちはその子供~平等な丸い世界」「夜が微笑みながら去ると/まぶしい朝が」「まるくするために~学校に行く」など、なかなかいいですね。夜と朝について何かしっかりしたイメージを持って書かれているのを感じました。ここで言われている「夜のまるさ」について考えてみます。
朝(昼間)=仕事・学校などのアクティブ。 夜=安らぎ、解放、静寂。大雑把にそんなイメージがあって、一日の終わりを丸くするために、人は朝出てゆく、そんな側面は考えられそうです。その象徴としての最後のセリフでしょうか。終わり方、印象的。これでいいと思います。佳作を。


評のおわりに。

トンボ・森・向日葵。今回、評者にとっても身近な素材があったことを嬉しく思っています。
夏に相応しいアイテムでありました。ところが、すでにしてもう9月。
自分的なスケジュールで言うと、少し落ち着いてきたフィーリングですな。 では、また。

今回BGM 「ラベンダーミストの女」 「ボサノヴァ・ビーチ」

編集・削除(編集済: 2022年09月04日 05:18)

三浦志郎様へご感想の御礼 暗沢

ご感想ありがとうございました。
モチーフ(着想元)となったのは古今和歌集等で各季節で編まれている歌の数でした。
新古今にしろ西行にしろやはり春秋は多く夏冬は少ない。
夏の暑さに耐えながら来るべき詩歌の季節を待つ詩人の姿、夏の濃い影を用いる墨汁に喩して秋の詩歌への蓄えとする。という表現を狙いたかったのですが、上手く書けていなかったようです。読み手が上手くイメージできなければ仕方がありません。
ぎこちない失敗作でしたが、今後の詩作へのヒントにしていきたいと思います。まだまだ読み手に不親切、言葉の組み立ても下手なようです。
お久しぶりの御評価ありがとうございました。

編集・削除(未編集)

島様 評のお礼  荻座利守

この度は私の詩の「昨日のこの場所」に丁寧な評をいただき、ありがとうございます。
名作との評をいただき、たいへん嬉しく思います。
仰る通り、確かに表現に少し工夫が足りませんでした。
ハッとする表現を入れるのは、まだまだ難しいのですが、もっとよく考えるようにしようと思います。
今後とも宜しくお願い致します。

編集・削除(未編集)

島様へ、評の御礼  秋さやか

島様、お忙しいなか評をいただき有難うございます。
いつもとても参考になるご指摘に感謝しております。
確かに位置関係ひとつも合ってないですよね笑。
一枚の青空のなかに、みんないれば良いかなという感覚でした。昼の月にしたところだけの配慮、、。

もともと学生の頃に書いたとても短い詩を改めて書き直したものでした。
当初は「うさぎに恋したおつきさま/亡き骸そっと抱きしめた」で終わるバッドエンドだったのですが、
希望を持てるものに変えました。変えて良かったです。
バッドエンドもそれはそれで気に入ってるのですが。

島様にご指摘いただいた内容を参考に、再度修正してみました。
また宜しくお願いいたします。
ありがとうございました。

編集・削除(未編集)

感想と評② 8/26~8/29 ご投稿分  三浦志郎  9/3

9 ふわり座さん 「夢のまた夢」  8/29

極端に作風が変わりました。
9行目までが夢で、それ以降は現実のように読めてきます。しかもいいことづくめ。このあたりの気持ちと所作は日常性が出ていて、なかなか上手く楽しく書けていますね。彼女は実際にいて、なかなかいいセンなのかもしれない。最後は(チャンス!)と思いきや、こちらも夢のどんでん返しです。そこで、ハタと気づくのはタイトルの事。ちょっとした仕掛け。なかなか考えられていて、おもしろいです。とにかく、過去2作との作風上の差が凄いので評価が難しいですが、もう付けないとまずいので、今後の含みを持たせ、佳作二歩前からということで。

編集・削除(未編集)

お詫び。

すみません。評①は普通に入ったのですが、②が何故か、まとめて入りません。
様子を見ながら小刻みになりそうです。ご了承ください。

編集・削除(編集済: 2022年09月03日 18:46)

感想と評② 8/26~8/29 ご投稿分  三浦志郎  9/3

7 じじいじじいさん 「ひとつ」  8/29

解説風になります。 「あれ!、このタイトルでいいの?」と最初は思ったんですよ。読んでいくうちに得心しました。「どうぞ~ごめん~ありがとう」―どれも日常潤滑油的言葉です。ところで、当たり前の事ですが、言葉とは単に存在しているだけで、それを使うのは人の気持ちですね。その際、心―この詩で言う「ゆうき」を必要とする場合がある。大人でさえです。子どもにとってはより大事。
この詩は言葉そのものより、それらを押し出す気持ちのほうを言っている。それが「ゆうき」であり、詩中から取って「ひとつ」。そんな風に思っています。「だいじにしていきたい」。 甘め佳作を。

アフターアワーズ。
不特定多数の人に声をかける環境に現在いるのですが、以前は「どうも」で済ましていたのが、
ちゃんと「ありがとう(ございます)」という人が増えた気がします。 「ありがとう」。


8 晶子さん 「看板」  8/29

冒頭佳作ですね。たとえば、晶子さんが毎日当たり前のように通った道、そこに当たり前のようにあった看板。古くから掲げられ野ざらし。(赤い)文字も消えかけ“たとえ派手なキャッチコピーがあったとしても、かえってそれが惨めさを誘うような”古さなのでしょう。この詩の一番の価値をあげておきます。「通り過ぎる人達に君は見えなくて」にも関わらず、晶子さんの詩性は観ていた。しかも言葉によるこの愛惜です。3~5連は素晴らしい。作中語尾の「~ね」「~だよ」も利いている。素朴ですがいい詩です。

アフターアワーズ。
ある、ある!、物にもよりますが、赤って案外、脱色しやすいです(ある物品にて体験済み)。
もう一つ。始めるのは賑やかで派手だけど、終わらせるのは難しい。これ、案外、日本人って苦手かも?

編集・削除(編集済: 2022年09月03日 18:37)

島様へ感想の御礼  ふわり座

島様 ご感想有り難うございます。
アドバイス有り難く思います。
詩を書き出して間もないので感想
いただけるだけでとても嬉しく思います。
これからも頑張っていこうと思います。
よろしくお願い申し上げます。

編集・削除(未編集)

感想と評① 8/26~8/29 ご投稿分  三浦志郎  9/3

お先にすみません。


1 おおたにあかりさん 「オニヤンマ」 8/26

接客業でしょうね。物販店とか飲食店とか。時ならぬトンボの飛来に驚き不思議がる主人公です。
それもオニヤンマ!その大きさには「うわって」なるでしょうね。この詩はふたつのエピソードがあって、ひとつはトンボの事、ふたつはトンボの事を話してくれた人の想い出。僕は後者のほうが趣深い。「先祖が帰ってきた」と説明されていますが、それと同じ感覚で、おそらくはそのトンボが連れて、その人の想い出が帰ってきた、と見るのがこの詩は優しい。いっぽうでトンボの伝説が語られ、こちらもおろそかにはなっていない。すなわち心地よい両立です。終連はトンボと共に想い出もそうなった、の謂いでしょう。何気ないストーリーがあります。詩中「トンボ」で通してますが、冒頭のみ「とんぼ」なのは何か意味があるのか、どうなのか?ないとすれば、推敲で統一したほうがいいかも? おおたにさんらしく佳作。

アフターアワーズ。
日本トンボ界最大、王者。僕、トンボ大好き。だいいち、カッコイイし。スズメバチも食べるそうです。益虫。ホバリングするが退くを知らず、そのめでたさや。ナンバー2のギンヤンマもごひいきに……。


2 エイジさん 「貝がらと海の音(夏の夢想) 8/27

はい、トンボの次は貝がらです。夏らしくていいですね。当然のようにジャン・コクトーの名詩「耳」(堀口大学名訳)が思い出されます。エイジさんにもそこに基礎イメージがあったかもしれません。
コクトーの場合は主旨はあくまで「耳≒貝がら」ですが、こちらは実際の貝がらと海の臨場感です。
全体を包むロマン感にあって、2連。ここはおもしろい。ここに見る地図幻想はおもしろい。異彩を放ちながら詩に寄与する感じ。センスあり、読み応えあり。詩を引き締めています。「地球中」はあまり使いませんねえ。「地球上」でいいでしょう。終連のセリフはいいですねえ。それだけに終行はちょっと説明的で普通な印象です。むしろ終行削除でセリフだけで終わってもいい。解釈充分取れるでしょう。もしも、座りが悪いと思うならば「夏の幻聴」みたいな、短く印象的フレーズで締めるのも可でしょう。
さて、まとめです。割とありがちイメージなんですが、上手く料理されてると思います。その要因は2連の地図感と貝がらのセリフにありそうです。佳作です。上記、手を打ってもらって、より佳作と。


3 cofumiさん 「ナニガ大事ナノカッテネ」 8/27

この詩の主人公はけっこう幼いと感じます。小学生高学年くらいか? cofumiさんにしては異色というか、思い切った振り幅というか……。スパイダーマンはなんとなくわかりますが、2連の「ご飯と味噌汁」はどこから来たんだろ? 興味的疑問であります。3連はいいと思います。終行は子どもなりの自我があります。詩行が空想的に飛びやすいのは、子どもの持つ奔放な想像力からかもしれません。読み終わってタイトルも含め、考えてみる。この詩にとって「ナニガ大事ナノカ」が―すいません―僕にはちょっと見えてきませんでした。夜の空かも?「僕なりの世界」かも?佳作一歩前で。

アフターアワーズ。
どうでもいいことなんですが、虹の色って国によって違って、アメリカ6色、ドイツ5色だそうです。


4 荻座利守さん 「川向うの森」 8/28

冒頭佳作。この詩の導入として4連に書かれた漢字一字の自然を重視したいと思います。それぞれの自然界の論理、それがないまぜとなって森がある。すなわち、森はあらゆる自然界の属性の
ひとつの具現、そう見ることができます。その事が僕にとってのこの詩の収獲のひとつです。
その具現をこの詩は「森の思想」としています。ここまでで佳作の半分を担います。残りの半分は何か?人間との関わりにおいてのこの詩の立場でしょう。では、どういう人間の立場か?ここに詩は言葉を介在させます。森が持たない言葉を持って人間はアプローチしようとする。こうして、人間と森はゆっくり時間をかけ共生してゆくのでしょう。そんな主旨の詩と認識しています。この森との課題は詩人も一役かうことでしょう。そんなことも読んでいて感じました。

アフターアワーズ。
今回、ある詩集選考で、森のことを考える機会がありました。この詩はちょうど折りが良かったのです。ところで、森について惜しむらくは、海の思想が入らないことでしょうか。あ、ないものねだりでした(苦笑)。


5 さくたともみさん 「向日葵」 8/28 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。 よろしくお願い致します。

夏にありがちな天気雨か、大気不安定の大雨でしょうか。虹が架かったからやんだのでしょう。
「頭を垂れた~熱心な敬服」「重い重い~下を向くばかり」は、花の描写としては、ちょっと個性的でおもしろいのです。そこで向日葵です。「あら、お可哀想に」一語で向日葵の気分がよくわかる。
向日葵も色々な品種が出て、丈の低いのもあるんですが、これは昔ながらの、抜きんでた高さのもののようです。「奢れる者は久しからず」とまでは言いませんが、向日葵の得意の絶頂を軽やかに、愉快に書かれました。また書いてみてください。

アフターアワーズ。
僕らの子どもの頃は、(身長が低かったせいか)、向日葵はとにかく巨大で、不気味ささえ感じたことがありました。


6 暗沢さん 「晩夏の企て」 8/28 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。
よろしくお願い致します。

丁寧なご挨拶、ありがとうございました。タイトル、キメてますね。ですが詩の内容はわかりませんでした。タイトル晩夏に対する「来る時節」だから、これから来る秋のことに思いを馳せているようです。ただ、まだ暑さは続いているようです。
墨汁が出て来るので、初連は何か書道を連想させます。2連では「硯」とあるので書道のイメージは持続されていますが、次に「紅錦繡」とある。これは赤地錦の織物のようなものでしょう。ここの繋がりはわかりません。3連では日影に入って容器にきれいなインクを注いだ?インクとあるので、背景は現代のことを古語で書いた、そんな風に取れるのです。もしかすると、この3連は全く別のことを書いたミニ連作、そんな風にも推測できるのです。もし、返信がもらえるならば、解説してくれるとありがたいですね。(現代文で)また書いてみてください。


つづく。

編集・削除(編集済: 2022年09月03日 18:23)

評、8/19~8/22、ご投稿分、残り。  島 秀生

実をいうと、いつも評の4分の3を書き上げてから、
2分の1の評を掲示板にアップして、あと1日待ってねって、言ってまして、
だから、その1日にあいだに書いてるのって、実は残り4分の1だけなんですよ。

今回の例でいうと、全12作で、9作の評ができた段階で、掲示板に6作の評をアップし、
そこから、3作はすでに出来上がってるので、残りの3作をやるわけですが、
今回、あまり解釈に困るものもありませんでしたので、早めに完了しました。

というわけで、前半分に比べて、後ろ半分を慌てて書いているというわけではありませんので(← たぶん、これが言いたかった)、
ご心配なきよう。


●朝霧綾めさん「銀の柄杓」  

もちろん柄杓があるところまでは知られていますが、その後の展開がダイナミックな発想でした。そしてそのダイナミックな発想に溺れず、先走らずに、丹念に仕上げたのが良かったです。ダイナミック且つ丹念の勝利です。
名作あげましょう。マグレにしても、よく書けてる。異議ないです。

特に良いのが、

 いたいほどの清冽さで
 清水はのどに流れこむ
 寝転ぶ私の唇から、こぼれた星々が
 あごをつたい、草の上に落ちて
 きらきら光る

この7連です。まあ、言っちゃうとだらしない飲み方なんですが、それが逆に星たちの美に変化して描かれるところが、意外性ある美の表現で醍醐味でした。
また、言えば、星を取って食ってるようなもんですから、天空にあるものと人とが、具体的に激しく接触してるところがいいのです。「あごをつたい」も皮膚感覚的に伝わる表現で、いいですね。

また、7連がクライマックスとすると、そこほどではありませんが、5連の、

 星々が柄杓にぶつかり
 からんからんと音がする

も、クライマックス前の小さな山的に、良かったですね。
他もよく書けてるし、丁寧な仕事しましたね。1~2連の導入部も丁寧に仕上げてきたので、気持ちよく作品に入れました。そこ、雑に書くとありきたりになっちゃう部分だったんですが、きちんと仕上げてきたのが良かったです。

これ、現時点での朝霧綾めさんの代表作だと思いますよ。ベリグーです。


●もりた りのさん「音のしない羽音」  

この台風の雨でどうなるかわかりませんが、先週から、つくつくぼうしの声が聞こえるので、ああ、秋だなあーなどと、やっと涼しい時間があるのを喜んでたんですが、よく考えてみると、一匹、二匹しか鳴いていないつくつくぼうしがこうやって聞こえてくるということは、他の蝉が、みんないなくなったってことだなあと思っていました。
この詩はちょうど私が見落とした、その夏蝉の終わりの頃を書いてくれていますね。

作品ですが、まず初連の感慨が悪くない。出だしとしてグッドです。そして一匹の「死にかけ」のみならず、二匹、三匹と出会ううち、4~5連の感慨、

 蝉よ
 飛んで行け
 どこにでも飛んで行け
 見えない世界に飛んで行け

になるのがステキですね。
6連の軽く眩暈を起こすところも、文学的で私は好感。
この眩暈のところから、対象が蝉から自分へと反転します。
ショートヴァージョンとしては、狛犬に入る前の、8連で終わるのもアリです。

ラストの2連は、肉声的で砕けた言い方になってくるんですが、そこはテクで上手におさめています。私はこの終わり方もアリと思う。この言葉使いでもって、おさめて見せるとこも、たいしたもんです。
詩の内容には若者的な絶叫のパッションがありながら、テクも持っている。やっぱり、もりたさんて何者?と思ってしまう。タイトルのつけ方もグッドでした。
名作を。


●ふわり座さん「冒険は戦いの中に」  

ふわり座さんは、私は初めてですので、今回、感想のみになります。

まず、言いたいことがきちんと書けてるとこがいいです。すなわち、自分の思いをきちんと捉え、整理して書いておられる、書くことができる、そこがいいです。

その上で、望みたいのは、世の中の多くの人は、説教されるのがキライだということです。押しつけられるのを嫌います。まったく逆説的なのですが、人に向かってしゃべると逃げ、自分に向かってひとりごと的にしゃべっていると、逆に寄ってきて、聞いてくれます。
なので、この詩においてもスタンスを変えられた方がいいです。「言う方」と「聞く方」という構図でしゃべるのではなく、ただ自分の生き様のみ語り、共感してもらうことです。「歩きだそう」と人に言うのではなく、「私は歩き出す」ただそれだけでいいのです。
言葉は、自分に向けることです。全く逆説的なのですが、その方が人に伝わります。

これはどういうことかというと、直接、人に言葉をかけるというのは、往々にして表面的なつながりのアプローチにしかならないのです。でも詩は、もっと深いところで、人と接点を持ちたいわけです。これがその方法だということです。


●江里川 丘砥さん「地面と空」  

うーむ、これは挑んでくれましたなあー
いつもは主語=自分なんですが、今回は、「地面」を擬人化しての主語になっています。初めての試みではないでしょうか。

2連は、

 人は踏み歩き
 車は転がる
 タイヤ痕を残していく
 灼熱を照り返すアスファルトになっても
 わたしはそこにいる

この方が良いかも。
2行目と3行目はセンテンス別なんですけど、中身の近似により、連続行だからわかる形です。

4連のマンホール話はおもしろいと思った。

 マンホールにはきれいな絵がつき
 写真に撮られ
 一瞬の話題となっては
 また踏まれていく

まさにこのとおりですね。現代を的確に捉えていて、ここ良かったです。

ここでちょっと、この詩の設定を考えてほしいんですが、
たとえば「地面=私」の設定を、アスファルトの下の茶色の土にすることもできたんですけど、
初連の「アスファルトになっていた」や、5連の「ひび割れてもまた直る」、6連の「太陽を一面に受けとめて・・・色を映す」など見ると、アスファルトになっても、アスファルトも含めて「地面=私」の設定なんです。

その設定で考えると、わからないのが終盤です。

 空には見えないその色を
 一番遠くから見ていてあげる

は、「その色」を指すと思われる直前のものは、「根の張る土」なんですが、「地面=私」であるなら、それを「一番遠く」と呼ぶのがわからない。また、「地面=私」であるなら、

 ~見ていてあげる
 
 太陽が壊れて
 空も地面もなくなるまで

の終連もよくわからない。
終連においては、「私」は「地面」ではなくなっていて、別の超越した存在の視点から、見ている感じです。
7連の終行から終連にかけての3行は、私よくわからなかったです。飛躍してもいいのですが、ちょっとここはプロセスを踏まずに、急に飛躍した感じで、ついていけない。意味を取り得なかったです。7連の立て方からして、一考が要に思いました。
また、奇抜な展開を取らなくても、黙々と人に踏まれて在る。それも地面の在り方だという考え方もアリです。地面は、空さえあれば、充分なのかもしれませんよ。

時々、こういうトライがあっても良いと思います。自分の詩の幅が広がりますのでね。
ただ、いちおう言うと、私が前回課題で言ったのは、いつもの書き方の中で、ふいっと風景のシーンも入るといいね、くらいの意味だったので、いつもの書き方の中で、どこかの連として試みる。あるいは出だし部分か、終わりの部分で試みる、という感じで捉えてもらえればと思います。
今回のは一転して、最初から風景を相手に書き出されているので、そんな極端の変更を望む意味ではなかったので、そこだけは、どうぞ誤解のないように。
それを理解した上での、叙景詩トライなら良いのですが。

1~6連までは概ね書けてると思います。地面の立場から、幾重にも視点と心理を探ろうとするところ、そこの思考力は、江里川さんらしくて良いです。
今回は秀作にとどめましょう。でも、敢えて不得手なところに挑戦してくれた心意気や良しです。


●荻座利守さん「昨日のこの場所」  

感慨は、非常によくわかりますね。
「昨日」と書いてますが、まあこれは過去ということでしょう。
あの時、ああしておけば、あの人は去らなかったのにと、自分の不遜を恥じることがあります。あの人が去らなければ、自分の人生はまた違うものであったかもしれません。悔いはいつまでも胸を刺します。

5連の、

 この先の
 未来に残された全ての時間を
 差し出してもいいでしょう

これは素晴らしいですね! 却って若い時なら言えるかもしれないけど、中年以降になって、この言葉はまず言えるもんじゃない。どれだけ愛してるんだろうと思う。素晴らしいな、この言葉。

8連は、その人の解釈次第なんですが、私はこの段階になると、もう手招きはしてくれてないんじゃないかと思うので、

 寂しそうな
 淡い微笑みをうかべています

案です。これを過去の幻影と思えば、手招きしてるし、現在の距離だと思えば、もう手招きはしてくれてないだろうと思った。そこはどちらでも。作者の解釈次第です。

余談ですが、いま最新の天体観測では何百億光年レベルのものが見えるそうですが、肉眼で見える星となると1~2万年光年、見える銀河では200~300万光年レベルらしいので、この詩において「幾億光年」と言わずに「何万光年」という言い方をしてるのは、肉眼レベルに合わせてて、正しいです(偶然かもしれませんが)。

それにしても、人生って、なんでこう、何度も失敗するんでしょうね? よく失敗するとこも含めて自分だから、しょうがないっちゃあ、しょうがないんですけどね。そんな自分も受け入れた上で、なんとか今後は、失敗の回数は減らしたいものです。

共感するところ、少なからずアリの詩でした。
うむ、名作を。過不足なく書かれていて良いです。
欲をいえば、表現でどこか光りたいんですけどね。やっぱり星のとこかな? 終盤かな? どこでもいいんですけどね。どこかで、ハッとする表現ひとつ入ると、完璧です。欲をいえば。


●廣末湊さん「窓」 

廣末さんは私は初めてですので、感想のみになります。

うーーん、疑問を持つところから入るという点に関しては、悪くないです。
ただ、「外の世界はこんなにも広い」とか「世」とか、大きなものを大きなまま捉えようとするのは、ちょっと違うと思います。絵や写真の画面が、サイズが限られるものであるように、詩も、一つの詩で、全部を包括できるはずがないのです。もっと細かく捉え、テーマも一作一作で絞り込むことが大事です。そのためにはまず、「外の世界」とか「世」とか、全部をひとまとめにした言葉を使うのをやめるとこから、始められることです。

この詩で申し上げれば、人の目はいろんなものに目移りし、迷うのに、窓をきっぱりと一点を捉えていることを、むしろ褒めてあげて下さい。窓は偉いと。

それから、詩だから短く書くと、最初から思い込まずに、まずは伝えたいことを、センテンスになってもいいので、きちんと全部書こうとすること。そちらの方が大事です。
また書いて下さい。

編集・削除(編集済: 2022年09月03日 16:45)
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