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喫茶店のカウンター席で
少し苦味の強い珈琲を啜りながら辺りを見回すと
カウンターの真上一直線に吊られた
細いステンレスの棒に
ドライフラワーふた束が仲良く並んで
吊り下げられている
そしてそれらに並ぶように吊り下げられた
焦茶色の小さな鳥籠ひとつ
鳥籠のなかには青い髪の毛を生やし
半分人間なのか鳥なのか判別つかないぐらいに
造形された鳥の人形が
銀色に光る瞳でこちらをじっと凝視している
あゝ青い鳥よ青い鳥
青く燃える羽根は両脇に閉じられたまま
白粉のように白い腹と顔をこちらへ向けて
「幸せはもう見つけたかい」
君のその目の覚めるような橙色の嘴からは
そんな声が聞こえるよ
頭のなかで反響しあいながら
無機質な眼差しに
背筋を少しぞわりと撫でられながら
少し緩くなった珈琲をまたひとくち啜った
アイスティーを飲む
ごくごく とは飲まない
ちびちび とも飲まない
アイスティーを飲む
ただただ 飲む
琥珀色の円筒形に
氷が無造作に 浮かんでいる
ごくごく とは飲まない
ちびちび とも飲まない
アイスティーを飲む
とにかく飲む
悲しくも 楽しくも
可笑しくも 苦しくも
なんにもない なんにもない
明日も そして明後日も きっと
アイスティーを飲む
ごくごく とは飲まない
ちびちび とも飲まない
そして いまも
こうして
アイスティーを やはり のむ
母方の伯父の家があった温品(ぬくしな) *1
この地は幸いにも
小高い丘陵地が防壁となって
熱線と爆風を遮り
災禍を免れた
昭和二十年八月六日 午前八時十五分
米爆撃機エノラ・ゲイより投下された
一発の原子爆弾
このとき
広島惨劇の扉が開いた
被災者を救助するため 伯父は
すぐさま
大八車を牽き
もう一人の伯父とともに市街地に向かった
恐ろしい光景が二人の網膜を焦がした
火傷を負った何百 何千もの人の群れ
焼け爛れ
剥げた皮膚を手の先に垂らし
崩れた顔が水を求める
そして 苦し紛れに
川に入って
そのまま溺死した
累々たる死体が重なり合う太田川
河面はくれないに染まっていた
赤子を抱いた若い女性が
呻いていた
水 水 水
水を下さい
この子を助けて と呟きながら
母親は果てた
母の願いも虚しく
赤子は既に骸となっていた
伯父たちは
街の北部
横川駅近辺で救助活動を続けた *2
暫くして
コールタールのように黒くて重い
大粒の雨が降りはじめる
原爆投下直後
広島市一円に降った〈黒い雨〉 *3
それは
危険な驟(はし)り雨だ
強い放射能を帯びている為
水を求めた多くの命を奪った
伯父も
もう一人の伯父もこの雨水を浴び
被爆した
*
この惨禍
なぜ広島の人々が
被らねばならなかったのか
無垢な赤子が
なぜ尊い命を奪われねばならなかったのか
平和記念公園の慰霊碑には
安らかに眠って下さい
過ちは繰返しませぬから
と揮毫されている
これには
私は些か違和感を覚える
違和感の源泉たる「過ち」の一語
戦前はその国体からして
今の平和国家日本と
著しく思想や倫理観が乖離している
戦禍は
軍国・拡張主義の所産なのだから
総体として
日本人の「過ち」と言わねばなるまい
だが 戦争にはもう一方の当事者がいる
彼らは碑文のように核を捉えていない
米国は
原爆投下を是とし
抑止力の名のもとに
今も強大な核戦力を保持している
核は最終兵器であり
かつ 残酷極まりない悪魔の兵器だ
赤子とともに
泥水を飲んで息絶えた若い母親を
二度と出現させてはならない
人類に対する冒瀆であり
重大な罪だ
バイデン大統領閣下よ
戦略核 戦術核ともに一切の核兵器を廃棄せよ
それが被爆者に対する
責任ある態度というものだ
プーチン大統領閣下よ
所有する核で
他国を恫喝するなどもっての外だ
五五八◯発もの核は
直ちに廃棄し
我欲のウクライナ侵攻を即時中止すべし
金正恩総書記閣下よ
妄想に取り憑かれた核開発を中止せよ
民を忘れたあなたの保身は見苦しい
世の全ての為政者たちよ
人々の顔にケロイドをつくり
煉獄の火炎と黒い雨を齎(もたら)す
核の保持・使用を許容してはならない
*
今日は
広島原爆の日だ
七十九年前と同じように
陽射しは強く
天は高くどこまでも蒼く美しい
百日紅の赤い花が
風にそよいでいる
改めて
惨劇の犠牲者と
彼らを救おうと努力した
今は亡き二人の伯父に
哀悼の誠を捧げたい
*1 温品(ぬくしな) 現広島市東区温品
*2 横川駅 現広島市西区横川町にある駅
*3 〈黒い雨〉井伏鱒二著『黒い雨』に詳しい
街の呼吸を
しずかにきいている夕凪の時間
こんな尊い夕暮れにも
ひとは絶望をしてのけるんです
よく膨らむ肺も まじめな心臓も
濡れたくちびるも 自由のきく四肢も
みんな与えられて
そしてまた
それら全てがこのうつくしい夕暮れに
染められているというのに
ひとは絶望をしてのけるんです
とめどない日々に
じっと耐えるための筋肉
千のバーベルをすり抜ける
鍛えようのない すき透る筋肉
それだけは 僕に与えられなかったんです
そのせいで僕は 大切なものを
ゆっくりと ただし確実に
失ってしまったんです
西の空に 易いこたえを
求めにいってはやはり
だめなんでしょうね
凪が終わると
とたんに風はつよく吹きつけてきました
風は僕をぶったつもりだったのかしれませんが
それすらも
やさしく頬にひびいてくるのでした
島様、いつも評をしていただきありがとうございます。
自分なりに推敲を重ねましたが、中々綺麗にまとめきれないままに投稿をしてしまいました。
リズムに乗れてない、たしかにおっしゃる通りどこかぎくしゃくした詩ですね。表現や内容は気に入っていたものが多いだけに悔しいです。もう少し手直しをがんばってみます。
自分の詩のスタイルがどこにあるのか、中々掴みきれずにいますがどうか温かい目で見守っていただけると幸いです。
いつもお忙しい中丁寧に評を下さって本当に感謝しております。まだまだ暑い日が続きますが、熱中症や夏バテにはお気をつけ下さい。
これからもどうぞよろしくお願いします。
夏生様、お忙しい中評をしていただきありがとうございます。
ことばに限らず、あらゆる物事には人の数だけの意見があって、何が正しくてまた自分が何を正しいと思いたいのかもわからなくなってしまいます。
そういう苦悩をことばを一例にして書いてみました。せめて自分の大事なものについては、しっかりとした意見を持っていたいと思いますが、それも中々難しくて揺らいでしまうことが多いです。詩を通して自分が何を美しいと思って何が素晴らしいと思っているかを整理できる、これは詩を書くことの良いところの一つだなあと思います。
外に立っているだけで本当に倒れてしまいそうな暑さですが、どうぞお身体にはお気をつけてお過ごしください。
また投稿しますので、よろしくお願いします。
ありがとうございます。自分の詩がまとまらないのは自身の特性にあると決めつけていました。私のベースは抒情系なのですね。自分が何者か分からずもがいていたような気がします。そう振り返ると確かに本作は抽象系で描こうとしていました。島先生のお陰で新しいレンズを手に入れ、詩の世界が広がりました。まずは抒情系の詩人さんの作品を読んでみます。そして抒情系の書き方を習得して詩的身体を作り上げたいです。
本当にありがとうございました。
この大空に目クジラが住んでいた
頭から星を吹き
自ら川を作りながら
夜空を進んで海へと向かう
俺だって道なき空に住んでいた
地に足が着かないから
周りから目くじら立てられて
地上で馴染むことができない
空でいったい何をしようか
たいてい航路を描くらしいが
目クジラのうしろについて
海へと向かって行く事にした
星の粒子は波となり
波打つ白波ながれ星
大地を濡らす流れ星
祈りを捧げる人達の
願いを叶える仕事に就いたが
願いは叶わず目クジラが立つ
自分で川を作りながら
夜空を進んで行くしかなかった
大願は各自の海で遂げるらしい
目クジラが誰かの海に辿り着く
せっかく空に慣れたというのに
今度は海へ還れというのか
俺の海はどこにあるのか
あなたは最低なことをした
私を慰めてしまったから
私が流す予定だった涙を
吸い取ってしまったから
燃え上がるはずだった感情に
勝手に水をかけて
勝手に肩の荷を下ろしているから
あなたは最低なことをした
今更赦しを求めたから
そうしてあなただけ楽になったから
しぶとく生きることだけが取り柄の雑草に
あなたは水をやってしまった
それなら引っこ抜かれた方がましだった
狼に人間が餌をやったら
そいつは噛みころされるんですよ知らないんですか
満月の夜にせいぜい悲鳴を上げているがいい
あなたは最低なことをした
救いようもないくらい最低なことをした
生まれるはずだった狂気をころしてしまったから
しぬはずだった命を生かしてしまったから
そうしてあなたは
自分は優しい人なのだと信じて疑わない
島 秀生様
連日の猛暑で体力も気力も厳しい時期に丁寧な評をくださりありがとうございます。
前回も同じようなご指摘をいただき改善出来ていないので、もっとしっかりと向き合わなくてはならないなと思いました。
ご指導いただいたことを改善しながらなので時間がかかってしまうと思いますが、また投稿します。
ありがとうございました。