MENU
1,160,093
固定された投稿

★★ << 2つの掲示板のご案内 >> ★★

◆ここは「MY DEAR掲示板」です。
詩をある程度の期間書いている方、詩に意欲的に取り組みたい方、詩人に向け成長を目指す方はこの掲示板をご利用下さい。
あなたの詩をしっかりと読み、評や感想を、しっかりと書かせて頂きます。
ここから詩人として巣立った人は数知れず、です。あなたの詩を継続的に見守り、詩の成長を助ける掲示板です。

(あのーー、私が言うことでもないんですけど、詩は自由を旨としていますから、どこにでも投稿しようと思えば、投稿できないところはないんですけど、いきなり大きなところに挑戦しても、世の多くのものがそうであるように、ポッと書いて、ポッと通用する、ポッと賞が取れる、なんてことは、まずありえないことというか、相当に稀有な話なのです。
やってみることは止めませんけど、大きなところのノー・レスポンスにがっかりしたら、
あきらめてしまう前にMY DEARに来ませんか?
MY DEARは投稿された作品全部に評をお返しします。
本来、こつこつ実力をつけてから、賞などに挑戦するのが、スジだと思いませんか?
MY DEARはあなたのこつこつを、支援するところです。)

なお「MY DEAR掲示板」では、新規ご参加の際に、ペンネームとメルアドの届け出が必ず必要です。
これは掲示板内の安全を守るため、管理人に限って把握させて頂くものです(他へは一切出しません)
新規ご参加の際は、ページ一番下の「お問い合わせ」フォームから、必ず届け出をお願い致します。


◆初めて詩を書く方や、おっかなびっくり詩を書いてみようかなあーという方、
「MY DEAR掲示板」ではハードルが高すぎるよと感じる方には、別途、

   <<初心者向け詩の投稿掲示板>>
https://www3.rocketbbs.com/13/bbs.cgi?id=mydear

をご用意しております。(上記リンクから飛んで下さい)
こちらは、「メルアド届け出不要・いきなり書き込みOK・出入り自由」ですので、
なんら気にするところなく、いつでも詩を書き込んで頂けます。
誰でも、どんな人でも、気軽に詩に親しんでもらうための掲示板です。学生さん、小中学生の方も歓迎です。
投稿された詩については、詩を読んだ感想を、レギュラーメンバーの誰かが、手短なコメント(5行程度)で返してくれます。

どうぞご希望に応じて、各掲示板をご利用下さい!!!

編集・削除(編集済: 2025年01月02日 01:55)

三浦志郎様 評のお礼です 上田一眞

こんにちは。上田です。
今回の三浦さんから頂戴した評にはたいそう勇気づけられました。
自分の中にも「聞き書き」が果たして詩になるのか。詩的純度を捨てた詩に価値があるのか。疑問があります。抒情を醸す才能に乏しいことからこのような作品に向かう、ということもあります。
一方で昭和精神史を大学で専攻したこともあって、父母の時代を知りたい、あの時代の人間の精神構造を知りたいと、強く思ってもいました。
大学時代、「荒地」の詩人達を知り、詩を持って自分のこころを表現することに思い至りました。長い社会人生活中ではできなかった詩作、ようやくペンを取るとテーマやはり父母の時代に戻っています。そんな折投稿をはじめましたが、評者のお三人に恵まれたとも思っています。
この度のアフターアワーズに書かれた励ましの言葉を糧に頑張りたいと思います。ありがとうございました。

編集・削除(未編集)

三浦志郎様へ 評のお礼です  松本福広

まずは佳作ありがとうございます。
無電柱化の是非を問う姿勢ではない旨も読み取ってくださりありがとうございます。
そうです。肯定も否定もする気はないのです。
それは三浦様があげてくださった是非を語る上での三要件のうち二つは意識的に取り上げていない。
視覚のノイズが減り空が広く見える。その感じ方は間違っていない。
ただ電柱があったことでその恩恵は受けていたし、1連目の風景に懐かしい風景と感じられる思いだって嘘ではないはずで、感じ方は人それぞれになってしまう。
無電柱化を肯定するにしろ、否定するにしろ景観に対する感じ方は人それぞれ……だからこそ、伝え方には工夫が必要だよね。誰だって心の中の青空を悪いものと
誰かに強い言葉で評価されたくはないだろうう……とだけの肯定する気も、否定する気もない姿勢で書きました。
あくまでも、文学的な領域にとどめたいので自分のスタンスはここでは明らかにしませんし、他の方にももちろんお伺いすることもありません。
お互いに同じ青空を見上げて生きる生き物どうし、澄んだ気持ちで好きな空を描けますようにと締めさせていただきます。
ありがとうございました。励みになります。

編集・削除(未編集)

感想と評 11/29~12/2 ご投稿分 三浦志郎 12/8

1 佐々木礫さん 「淡い自我の君」 11/29

大変失礼ですが、具体的には、あまりピンとこなかったのです。 そこで「恋とは不思議なもの」といったひとつのテーゼを用意して読んでみました。事実、この詩には一種の不思議感は漂っていると思います。感知されるのは、この語り手、お相手に対して、遠慮がち、もっと言うと、やや優柔不断。遠くで見つめている感じ。ただし真面目で誠実で丁寧です。それは行間から常に垣間見えます。
それが彼の美点であるかもしれない。ただ、相手の心の不思議、自分の心の不思議、ひいては恋の不思議を考えているかのようです。最後のセリフ。ここに行き着くわけですが、それに至るまでの自分の心の整理、そんな風にも感じています。この詩はあくまで感覚的ということです。
語り手もさることながら、僕はここに綴られた、あるいは語り手にこのように語らせた「君=女性」のポートレートのようなものにも興味がありました。おそらく、無口で静かで水のように心が澄んでいる、そんな女性。タイトルからも、そういったことが知れるのです。これも感覚の世界です。うーん、僕自身は、どうしても“モヤモヤ感”がぬぐい切れず、佳作半歩前で。しかし美しい言葉、行間を持った詩であることは確かです。


2 司 龍之介さん 「心の声を」 11/30

残念ながら、というか、ちょっと淋しいながら、人はこの詩の通りです。正論だと思います。
この詩は順を追って書かれています。初連~2連ですでに結論めいた事が提出されます。以降、各論といった展開。これは良いと思います。3連に来るのが言葉の問題。4~5連では感情の問題。そこで考えられているのがその背景にある、生い立ち、育った環境などから来る先天的・後天的属性の違い。こう考えてくると、初連、2連が充分納得されるのです。そして、「だからこそー」といった感じの総論的最終連です。これを踏まえた上で他者と関わり、社会と関わる。そうすれば、失敗も失望も少ないことでしょう。僕は、この順を踏まえた書き方がとても好きです。噛んでふくめるような説得性を感じます。唯一、惜しいと思うのは正論というか、“まっとう”過ぎて、少し平板なところはありそうです。
具体的事例でも1、2連入れてみると、少しテンションが利くかもしれないです。佳作一歩前で。


3 上田一眞さん 「養母の記憶」 11/30

以前に満州のことやその引き揚げの作品群がありましたが、本作もそれらに連なるもの。連作風な趣があります。もしも詩集を出した場合、ひとつのグルーピングができるでしょう。始まりと終わりがいいですね。何か映画を観ているような心地がします。この詩は回想を綴ったもの。「1」は松脂=航空機代替燃料は聞いたことがあります。「2」「3」は憲兵のことがらです。この兵隊は「泣く子も黙る」、人々を震え上がらせる存在だったでしょう。「3」の事例は、たしか吉村 昭の戦記小説(題名失念)にも、似たようなことが記述されていたのを思い出しました。
「5」 そう、B29は本土以外でも意外と使われていた話は何処かで聞いたことがあります。偵察や雑務ですね。文中「まぁ綺麗!」は、ちょっと不謹慎ですが、夜間飛行中の当機を同様に感じた人はけっこういたようです。実際、記録に残っています。これはリアルで説得力があります。
松脂~B29あたりからすると、戦争も末期という気がします。その割に淡々と書かれているのは、軍部と新聞・ラジオが真実を伝えなかったせいでしょうか。それと本土と満州とでは戦争への皮膚感覚が微妙に違った気がする。むしろ満州の人々が辛苦を味わうのはソ連参戦~引き揚げだったかもしれない。すなわち「6、7」です。僕はこの作品で、ある種、日記を読んでいるような感覚を得ました。この事は当作品に有利に働いていると思います。それと上記した映画的な構成力ですね。それと、もうひとつの意義(アフターアワーズに記述)をプラスして佳作とします。

アフターアワーズ。
(以前もちょっと書いたかもしれないけど)リアルタイムの戦争を語る世代が一人もいなくなる時代がすぐそこまで来ております。
誰が伝えていくのか?たとえ聞き書きでも聞き伝えでもいい、僕たち世代が中継していかない事にはどうにもなりません。そういう意味で、今までの一連の聞き書きの詩は充分支持できるものです。当サイト主宰・島 秀生氏はその志を高くお持ちのかたです。
上田さんにおかれましても、ぜひ伝え続けられますよう。 (時あたかも十二月八日、日本が戦争に突入した日、来年は戦後八十年)


4 松本福広さん 「空の線」 11/30

とても今日的な話題を含んだ詩で興味深く面白い詩です。簡単に言ってしまうと、
「地上電線か地中電線(無電柱化)か」に尽きると思います。この件は防災・景観・コストの三領域で語られるように思います。どちらも一長一短ありで、日本では欧米ほどには無電柱化が進んでいないようです。ただ、東京や観光地では地中電線が推進されつつあります。僕の住む市も観光地を抱え計画案が成立しました。すでに市の中心部の観光で有名な通りは約1キロにわたって無電柱です。
さて、ここまでを予備知識として詩を考えます。
出だしの抒情味がいいですね。3連あたりから本論に入っていきますが、上記したような一長一短をさりげなく述べているようです。「小指に結ばれた~」の表現は秀逸です。僕は電気の技術論は門外漢なので、できません。あくまで文学的なこと。この詩もそういった路線で描かれるのがわかります。確かに電柱・電線は明治の昔から生活に馴染み、風景として馴染んで来た。その恩恵を目に見えるかたちで、日本人は受けてきたのです。この詩はその事を言っている。それはあくまで文学的なこと、です。「どちらか?」の論議は、また別の次元に属するでしょう。佳作です。


5 詩詠犬さん 「わくわく缶缶」 12/1

はい、可愛く、微笑ましく、おもしろく読ませていただきました。こういう詩があっていいんです。
こういう詩には、理論だの精神だのは似合わない。ただ読んで、ハッピーになれば、全てはOKというものです。お子さんでも読めるし、大人は比喩、隠喩といったレベルで楽しめます。ドラえもんの“どこでもドア”と並びそう。いや、それ以上か? ここには、生活、人生で必要なものが殆ど入っていますからね。缶缶に託した人生賛歌と見ました。内容に合わせて、リズムも考えられてる。こういう詩はリズムもいのち。
ホント、わくわくします。また絵が可愛いじゃありませんか! ”挿絵も入ってわくわくと“ お、おもわず、甘め佳作―と。

アフターアワーズ。
僕たちの子ども時分、サ〇マのドロップというのがあって、頑丈な缶缶に色とりどりのドロップが詰まってました「最初はどの色?その次は?」などと、おいしく楽しんでました。おそらく、しあわせの缶缶だったのでしょう。


6 森山 遼さん 「あいさつを しない おじさん」 12/2

「最近の若者はあいさつをしない、できない」とはよく言われることですが(あ、僕だけがそう思ってた?)、年配だろうおじさんがしないのは、良い悪いを通り越して珍しいかも?(まあ、やっぱりしたほうがいいんですがね)何か確固としたポリシーがあるのかもしれない。突然、ラジオ体操に来るようになったのも、ちょっと妙。この書きぶりだと詩の語り手もラジオ体操に来ているのだと思います。語り手の意識の流れを見ると―
「嫌悪→好意→共感」
となるでしょう。どうしてこうなったか?おそらく、自分との共通点が挙げられそうです。
「同じラジオ体操・似たような来歴?(サラリーマン)・同じような年恰好」などでしょうか。
ゆえにー
「嫌悪≦好意・共感」みたいな感覚でしょうか。あいさつは(そういう人なんだ)と割り切ってしまえば、別に腹も立たないレベルかもしれません。それよりも共通点でしょう。
実際にあったことを、正直に、あるいは少し脚色して書かれたものと想像されます。久し振りなので、すみませんが評価はパスとさせてください。


7 じじいじじいさん 「コミュニケーションツール?」 12/2

これ、バレンタインデーのほうがしっくり来る気がしますが。あれはチョコレート会社が仕掛けたもの、という噂が根強くあるし、義理チョコはまさにコミュニケーションツールの役割を果たしていましたが、最近は「やめよう」傾向にあるし。それと同じで、「義理~」=「コミュニケーションツール」とするならば、「義理チョコ」ならぬ「義理クリ・プレ」はこの詩の通りNGでいいと思いますが。世間は省略化・簡素化に向かっていますし。好きな人にはクリスマスもバレンタインもプレゼント、じゃんじゃんあげちゃってください!(まあ、交換が理想的か?)対象年齢を子供から中高生にシフトしてきました。そうですね。高校女子らしい考え方と文の感覚がよく出ていますね。ちょっとオシャレで可愛いです。 甘め佳作を。

アフターアワーズ。
そう考えると、お中元・お歳暮・年賀状などもけっこう縮小傾向にありそう?
(絶滅危惧種とまではいかないと思うけど)


8 静間安夫さん 「絶滅危惧種」 12/2

冒頭佳作。少なくなっていく秋への愛惜が情感たっぷりに語られ胸を打ちます。抒情に包まれながらも、本当にこの通りなのです。
文中「いや増すのだ」←この表現いいですね。年配のかたでないと、こうは書けないものですね。そして思いは秋だけにとどまらず、滅びに瀕しているものたちへの優しい眼差しへと移って行きます。そして作者、静間さん自身気づくのです。ふと(他ならぬ自分自身がその危惧対象なのだ)。ここまでの意識の流れ、呼吸感、行間がとてもいいですね。少し話を大きく取ると、日本人はこういった対象について、とても繊細な想いを持つことができます。この詩によって、今、静間さんはそういった国民性の中心にいるのです。そして終わりの2連です。どうやら結論が出たようですな。そう、書き残すことができる。時代状況や媒体は変わっても文字は無くならない。これは「書く者」の希望、矜持、責務でしょう。その意志表明としてのフィナーレ部分はとても深く美しいのです。

アフターアワーズ。
「わたしそのものが/絶滅危惧種のひとりなのだ…」 あっ、評者ミウラも仲間に入れといてください(笑)。


評のおわりに。

クリスマス音楽はその時期しか聴かないので、どうしても集中的(義務的?)に聴いてしまいます。
僕の場合、毎年決まっていて、あくまで参考に、軽いお薦めに書いてみます。
どちらもちょっと古いのですが―、(知ってる人もいるでしょう)

1 CHRIS REA「DRIVING HOME FOR CHRISTMAS」
  この曲は「MY DEAR」のある皆伝者さん(今は退会)から教えてもらったものです。

2 VANESSA WILLIAMS 「STAR BRIGHT」 FULL ALBUM
  こちらは全てクリスマス曲あるいは、ちなんだ曲集。祈りのように誠実に丁寧に作られたのが
  よくわかります。仕立ての良い洋服みたいな感じ。

では、また。

編集・削除(編集済: 2024年12月08日 19:04)

11月26日(火)~11月28日(木)ご投稿分、評と感想です。  (青島江里)

※都合によりお先に失礼いたします。

◎11月26日(火)~11月28日(木)ご投稿分、評と感想です。


☆「谷川では瑠璃色の美しい鳥が朝をつげる」  森山 遼さん

【転輪王】については、よく知りません。作品の後に注釈をつけてくれたのは、読ませていただくうえで、参考になりました。こちらの作品は、いままで投稿していただいたことのないパターンの作品でしたね。よく知らないことを用いた作品でしたが、比較的スムーズに読ませていただけました。

力づくで、或いはお金の力で。権力というものを振り回して自分の思う通りに、満足できるように行動するアクドイ人たち。好き勝手に飲み食いし、好き勝手なことを言い、どんちゃん騒ぎをする。悲しい思いをするのはいつも弱い立場の人たち。許せないと思うけれど、力が及ばす泣き寝入り……。なんだか現代にも通ずるものがあるような気がしてなりませんでした。このまま終わってしまうのかなと思ったら、ここで転輪王が登場!やってくれましたね!どこか水戸黄門という時代劇にも通じる、正義の人の登場でした。現代の世界にもそういう人がいたらいいのになって思ってしまいました。

並行して綴られた括弧書きの自然の風景の描写も美しかったです。最後にまとめの言葉の「谷と山はいつものように美しかった」という言葉。静かな言葉のように思えますが、転輪王の成敗の後に置かれたことで、とても力強い言葉になっています。自然はいつも美しい、つまり、いつも変わらず信じてくれるものたちの味方だという意味にも汲み取れたからです。

どこか現代の問題にも通じる作品。現代のことを現代のままに書くよりも、このような古典を思わせるような雰囲気に仕上げたことで、より詩の世界に入りやすくさせてくれたようにも思えました。真っ白な長いひげをはやした仙人のような、優しいおじいさんを彷彿させてくれるような語り口。とてもユニークなアプローチでした。佳作を。



☆ 本当の名前  相野零次さん

名前。一般にいうと、誕生した時に親につけてもらった名前、戸籍上にある名前などが思い浮かびますよね。現在では、インターネットの世界でのアカウントという名前もあったりして、いろんな名前があちらこちらに浮遊していますね。「本当の名前ってなんだ」……よいテーマだと思いました。深みを感じさせてくれるテーマだと思いました。

表現について気になったところを。
名前って授かるイメージがあって、個人的には、とても大切なものというイメージがあります。なので、二連目なのですが、「どこかに落ちている」とすると、大切なものという感じが薄れてしまいそうな気がしました。木の葉が落ちるに掛けての表現だと思いますが、個人的には、宝探しのようなイメージで「隠れている」や「埋もれている」という感じにした方がよいのかなとも思いました。

あと、四連目ですが、名前を大切なものとして拝読させてもらいますと、「たくさん見つけているのです」となると、名前は生まれた時に授かる一人ずつ一つのものというイメージとは違ってくるので、見つかったと思えるような機会がたくさんあったというようなことを表現される言葉を選ぶ方が無難かなとも思いました。あとは、最終連。ずっと「君」できていたのですが最後には「君たち」になっています。そろえた方が自然かなと思いました。

ところどころ気になるところはあるものの、全体的にはとても詩的な雰囲気が漂う作品になっていて、澄んだ気持ちになれました。
今回は佳作一歩手前を。



☆サーチライトを躱して  荒木章太郎さん

一連目では「広告塔」のみでどういう場を差しているのかがわからなかったですが、二連目では「いじめに関すること?」となり、そこから徐々に視界が開けてきて、最後にはスマホの世界についてのことなのだと、個人的には感じました。だんだんわかっていく段階の間の取り方がユニークでした。こうなのかな?ああなのかな?と手探りして拝読して一気に最終連で開けていく表現方法、なんだかすっきり感を呼び起こしてくれました。面白いことに、一気に開けたあとで「そうだよな。ブロックすればするほど、しつこくされたりとか聞くよなぁ」など、一気にいくつかの感想がドミノのように浮かんできたりしました。

「嫌よ嫌よも好きのうち」とは
なんて暴力的な思い込みだろう

スマホに夢中になっている場合ではない
電子音の讃美歌が嫌で
プロトコールという監獄から
脱走を試みている最中だ

以上二点、印象に残った作者さんの心のさけびでした。スマホの世界のことを頭に置いて考えると、納得でした。またもう一方の「電子音の讃美歌」「プロトコールという監獄」という表現もインパクトありでした。

スマホの世界ってこうだよなぁって書くのではなく、独自の色々なアイデアを作中に織りこんで読み手に手探りすることの面白みを感じさせてくれる作品でした。佳作を。




☆地下道  温泉郷さん

歩行速度、ありますよね。ただ単純に歩いてゆこうと思うけれど、ついつい周辺が気になりだし、変に気を使ったりすることも。「コツコツ/コツコツ」という音。合間に入れることで、詩の流れについての良いアクセントになっていました。また、字面だけでは伝わりにくい、速度を感じさせてくれました。多すぎると、くどすぎてしまいますが、そう思わせないように考えているなと思わせてくれるところもよいと思いました。

コツコツに関して、二行目の「コツコツ歩く」という表現ですが、この部分は二連目のコツコツで充分伝わると思うので、コツコツ以外の別の表現にしてみるのもよいかと思いました。

「歩行速度は人間関係」と、初行からズバッと言ってしまった後、どこにもズレずにまっすぐに書ききったところもよいと思いました。八連目の歩いているシーンは、この作品の中で一番印象に残る場面でした。いつのまにか、たった一人で歩いていたといて、後ろからまた靴音が聞こえていたというところ。ここに「地下道」を持って行ったところがよかったです。一人で歩くというところのなにげない不安、そして後から誰かがどんどん近づいてきたと感じるところ。地下道では通常よりも足音が響きます。足音の強調、近づいてくるという歩行速度、歩行する本人の気持ちの度合いなど、読み手に印象付けさせてくれるという面でも、もっていきどころがよかったです。全体的には、足音、歩行速度に重ねて、人生、生活していくということも感じさせてくれる作品になっていると思いました。すっきりと整理されつつ、伝えたいことは、しっかりと伝えてくれる作品。佳作を。



☆夢のまた夢  ふわり座さん

「夢のまた夢」……。作品を拝読する前にタイトルだけみて想像したのは、憧れの夢に向かって頑張っているけど、なかなか手に届かないというようなことでした。そして読後に思ったことは、やられちゃったなぁ~(笑)でした。夢でさらに夢を見たということだったのかぁ~と。想像外の展開でした。

夢を描写していく、生活の様子を事細かに描写していく点、タッタッタと読めるのですが、どこか単的に感じてしまいました。夢を描写しているという表現に集中してしまうからなのかなとも思いました。ですが、「僕」のドキドキ感はたっぷりと伝わってきました。

作者さんが楽しんで書かれているなぁという姿がたくさん伝わってきました。楽しむということも詩を書くことを続けることでは、よい要素なので気持ちの片隅に置いておいてほしいなぁとも思いました。今回は佳作二歩手前で。


++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

急に寒くなりました。あっという間に師走になりました。
急いでいると見失いがちな自分をいたわる気持ち。
どうぞ、あったかく、あったかく。ご自愛ください。

編集・削除(未編集)

紗野玲空様  評の御礼です  温泉郷

紗野玲空様 今回も丁寧な評をいただきまして、誠にありがとうございました。また、佳作をいただき大変うれしいです。ネコにインタヴューしてみましたところ、「その日によって違うけど、今日は紗野先生と同じで15番の気分」と申しておりました(笑)。16番のベートーヴェンの書き込みのアドバイスありがとうございました!これを作品にうまく盛りこめることができていたらなあと思った次第です。「ネコにとっては、この曲でなければならないのだ」など、推敲にあたって、工夫してみたいと思っております。この作品は投稿するか迷ったのですが、「ようやくついた決心」で投稿させていただきました。「人に気を使うネコ」というのは、私の好きなモチーフでして、またこのテーマで投稿させていただくこともあろうかと存じますが、これに懲りずにお付き合いいただけますと幸いです。本年は、本当にお世話になり、ありがとうございました。

編集・削除(未編集)

ゆっくりおやすみ  上田一眞

この頃 もの忘れが酷くなったと
零しているけど それは
神様が
あなたを守ってくれているんです  

いま このときを忘れるってことは
この世の哀苦
そして 死の恐怖から
あなたを解き放って
黄泉の入り口に導いているんです

大丈夫 おかあさん    *1
認知症でも大丈夫

人は 生まれるときも
死ぬときも
ひとりぼっちだというけれど
そのときは ぼくが
手をとって
黄泉の路を明るい光で照らすから

体重九十五キロ
いくらぶっ叩いても倒れない
頑丈な息子がいるから
安心して

修羅の道を歩んだわれらだけど
もう 悪態はつかないし
もう どこへも行かないから
安心して

大好きな
アルビノー二のアダージョや
カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲を
聴かせてあげるから 
いまは ゆっくりおやすみ

蝶々飛ぶ
温かいこころのふる里
光輝く
懐かしい故郷へ
安らかな気持ちで戻ってください

おかあさん




*1 おかあさん 私の継母(養母)

編集・削除(未編集)

紗野玲空様 感想お礼です。  松本福広

ありがとうございました。

与えられたテーマ、指定された条件……配られたカードで勝負するしかないのは誰でも平等だと思うので頑張ります!

今回、投稿でも触れていたのですが
感想の中で特に「あー……やっぱりなー……」と思ってしまった部分を引用させていただきます。

>この詩の表そうとする雪の静謐さをいかすには、やはり、紙面の白と無の力を借りた方がいいように思うのです。
絵画や書も、余白が大切ですよね。

>しかし、レイアウトをぱっと見た印象…雪玉を作ろうとして、掴んだ雪をギュッと固めてしまったような〜そんな印象を受けてしまったんです。

>個人的には、詩句の美しい結晶がくっついてしまって、美しさが損なわれてしまわないかしらとふと思ってしまいました。

雪を音とにおいで表現した上で
レイアウトで雪を表現したい……で勝負してみましたが……うん……(苦笑)みたいになりました。

これはこれで、試みとしては「まぁ、こういう作品もありか?」ということで……今回投稿させていただきました。
ご指摘の通り、改善点が多く見られる作品であることは違いないし、他の表現、レイアウトの工夫もしたいところです。


ありがとうございました!

編集・削除(未編集)

柘榴  秋さやか

割れた柘榴を見つめていた

夕焼けを吸うたびに
満ちてゆく内側に耐えきれず
割れてしまったのだろうか

ぎっしりと詰まった一粒一粒の
赤々と透きとおる果肉が
わたしの脈と共鳴しあうように
輝いていた

それは小学校低学年のころ

毎日の習い事が
幼さを味わう余白を
塗りつぶして
頼りなげに寄れた紙を
鞄に詰めてゆく

そうして帰り支度をしていると
個人塾の玄関に飾られた
割れ柘榴が
目に飛び込んできたのだ

無性に喉が渇く

初めて見るその瑞々しい輝きに
釘付けになったわたしは
おもわずひとつぶを
口に含んでしまった

ちいさな果肉が
口の中で弾けると
罪悪感が
からだじゅうに広がってゆく

その種をどうしたか
覚えていないけれど
おそらく一緒に
呑み込んでしまったのだろう

幼い腑に撒かれた
罪の種は
波紋をおこし
沈めていた渇望を露わにしてゆく

みんなと遊びたい
みんなと遊びたい

放課後の校庭の
広さと自由さのなかで

蘇る遠いチャイムの音

さっきまで
無邪気に駆け回るためだった靴を履き
逃げるようにその家を後にした

夕闇の迫りくる下り坂
加速してもつれそうになる足

自分の影に責められながら
自分の影に飲み込まれてゆく

母の胸で告解し
泣くことができていたら
どんなに良かっただろう

烏たちはわたしを見放すように
逆光の山々へと去り

沈んでゆく夕陽はもう
昇らないような気さえした

その日から幾度
ただいま、と言っただろう

いずれ腑の底で
この種が発芽して
血のような花が 開いてしまう前に

渇望を押し殺した
その声の翳りに

母が気づいてくれることを
ただ願って

編集・削除(編集済: 2024年12月06日 19:19)

紗野玲空さま 評のお礼です  相野零次

紗野玲空さま 評ありがとうございます。
苦心して書いた……と言いたいところですが、これも人まねです。
粕谷栄市という人の詩集を買いました。
とてもシュールな散文詩がたくさんあって、面白いです。
最果タヒに続いてお気に入りの詩人となりました。
人まねでも僕の自我が出て僕なりの作品になるのでしょうか。
詩のものまねをするってあんまり聞かないんですけど、どうなんでしょうかね。

編集・削除(未編集)

12/3〜12/5 ご投稿分の感想です。 紗野玲空

都合によりお先に失礼致します。
12/3〜12/5にご投稿いただいた作品の感想・評でございます。
素敵な詩をたくさんありがとうございました。
一所懸命、拝読させていただきました。
しかしながら、作者の意図を読み取れていない部分も多々あるかと存じます。
的外れな感想を述べてしまっているかも知れませんが、詩の味わい方の一つとして、お考えいただけたら幸いです。

******* 

☆「ゆき」 松本福広さま

松本福広様、こんにちは。御投稿ありがとうございます。
急に寒くなってきましたね。
紅葉の季を飛び越えて、街に「ゆき」が訪れるのも、もう間もなくかと感じています。

詩文のレイアウトをとても工夫されたのですね。
ご苦心のあとが、伝わってまいります。
小さい紙面にまとまるようにレイアウトして下さり、申し訳ないような〜心持ちでございます。

縦のラインを強調されたのでしょうか。
「雪の結晶が」「雪の中に落ちる」
「踏まれた土が」「あがっていく」 
雪を踏む足の上げ下げの動作
上から下へ〜 
降る…という雪の様態がレイアウトによっても強調されているように思いました。
レイアウト上での表現、視覚的なアプローチは素敵ですし、作者の意図も理解できました。

詩句もとても的確に選びこまれています。
雪の有り様を素直にわかりやすく描いてくれています。
かぎとれないにおい、聞き取れない音
それらを、「言葉の雪が降り積もる」と締めています。
言葉にしきれぬ雪の多様性でしょうか。
着地も素敵だと思いました。

もう少し踏み込めるのならば、降り積もった「言葉の雪」をぜひ溶かそうと試みてください。
新たな言葉の結晶が生まれるかも知れません。

さて、ここからは私の好みですので、参考までにお聞きくださいね。
詩文から、降る雪についての情感を十分味わうことはできます。
しかし、レイアウトをぱっと見た印象…雪玉を作ろうとして、掴んだ雪をギュッと固めてしまったような〜そんな印象を受けてしまったんです。
個人的には、詩句の美しい結晶がくっついてしまって、美しさが損なわれてしまわないかしらとふと思ってしまいました。

冒頭部分…
 音もないし 
    においもしないけど
       しんしん しんしん

とあります。
静けさと無を感じます。
その後の詩句も、一様に、静謐さの漂いを感じます。
この詩の表そうとする雪の静謐さをいかすには、やはり、紙面の白と無の力を借りた方がいいように思うのです。
絵画や書も、余白が大切ですよね。

オノマトペの数々は特に、1行とした方が詩句としていきるのではないかと感じました。


 音もない
 においもしない
 しんしん しんしん

 大地のぬくもり
 ほのかに抱いた
 冬のにおい

 雪の結晶
 落ちる 消える
 冬の気に抱かれて
 ……

私なりの解釈で読み取った松本さんの詩の結晶を、集めてみました(かなり強引かつ極端に)。
接続助詞を減らし、倒置を用いると、ぐっと雰囲気が変わります。
音楽で言えば1音1音はとてもきれいなのです。松本さん独自のフレーズごとの歌い方、響かせ方を工夫してみてください
(推敲の結果、結局初稿が一番よかったというのもよくあることですが、その過程で詩が磨かれていくと思います)。


三好達治に「雪」という有名な詩がありますよね。

 太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

たった2行。感じ方は読み手により様々ですからここでは言及しませんが、情景は鮮やかに読み手それぞれの頭に浮かびます。
私自身が削ることが苦手で、詩文も長くなりがちなので、このような詩にとても憧れます。

「聞き取れない音」やかぎとれないにおいは…、
もしかしたら、無の言葉が雄弁に語ってくれるのかもしれません。

素敵な佳き作品でした。
ありがとうございました。


**********

☆「花のエキス」 相野零次さま

相野零次様、こんにちは。御投稿ありがとうございます。
相野さんの最近の御詩作…苦心されながら紡がれているのを陰ながら拝読しておりした。
島さんが評の中で「確固とした自我をお持ちなので、他者のことを書いたり、外の風景をスケッチしたって、自我は出てくると思います」と仰っていましたが、正しく、本詩の物語の中には、相野さんの確固とした自我が貫かれており、更には、相野さんが一貫して詩の中で訴えている「優しさを守るための強さ」も見事に描かれている作品だと思いました。
ご自身の分岐点となる作品でしょう。
私が記念すべき作品の評を担当することになり、申し訳なく感じております。

資本主義社会における資本家階級と労働者階級。昨今の労働問題〜理不尽に扱われる労働者、社会格差に対する批判の詩として拝読させていただきました。

「彼ら」としてもいい処を、あえて「男女たち」としている点にまず、相野さんのこだわりを感じました。
「造花の香り」を作る仕事にまつわる比喩、ざっくりと述べてしまうと、香り↔エキス↔己↔仕事…それぞれの言葉が持つ比喩の効果は成功し、後半に語られる「造花」の深い意味に実に見事に繋がっていると思いました。お上手だなあと感心いたしました。
造花の芳醇な香りが、富裕者層、労働者層にもたらす物語が、皮肉を込めてたっぷりと描かれていますね。
構成も内容も綿密に練られて、社会問題に詩情をのせてうたった力作だと思いました。

少し欲を申し上げるならば、例えば5行目がとても長かったり、所々、行の長さが目立つ部分があります。詩文の長さに留意されると、更なる推敲に結びつきますから、より伝わりやすくなるのではないかしらと考えました。
そして、本詩の中で生花の香りを伝えるとしたら、相野さんはどう描くのかしら〜少し興味が湧きました。

余談ですが、某有名香水ブランドのサプライチェーンを取り巻く複雑な社会・経済的状況が問題になったことがありました。ジャスミンの花摘みの為に不当に働かされる子どもたちの権利と保護が訴えられていました。
エジプトのジャスミン産地の女性と4人の子どもたちが1日に収穫するジャスミンの花は約1.5キロ。対価約256円だそうです。
「ここの人間には何の価値もない」
「香水を使うのは別にいい。でも香水を使う人たちには、香水の中にある子どもの痛みを感じてほしい。そして声を上げてほしい」
ジャスミン摘みに従事する女性のこの叫びは、相野さんの詩が比喩に限るものではないと教えられました。

素敵な佳き作品でした。
相野さんは初めて拝読させていただきましたので評価は控えさせていただきます。
ありがとうございました。


**********

☆「ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲が好きなネコ」 温泉郷さま

温泉郷様、こんにちは。御投稿ありがとうございます。
かわいらしく、微笑ましい作品ですね。
いい意味で肩の力を抜いて書かれたのではないかと感じます。
私もゆったりと、好きな音楽を聞くような気持ちで楽しく拝読させていただきました。
とは申しましても、ベートーヴェン最晩年の難解な後期弦楽四重奏曲をお好みとは、なかなか一筋縄ではいかないネコちゃんですね。
悲愴ソナタを弾く私に、ネコパンチをお見舞いする我が家のネコとは大違い。ただ私の弾くベートーヴェンがお気に召さないだけなんですけどね(笑)

好きなものが聞けずに、好みまで他人に合わせてしまう。
ネコちゃんもなかなか大変…。
ネコらしくないネコだなあとクスッとしてしまいました。

この控えめで、ちょっぴり他との付き合いに神経をすり減らしちゃってるネコちゃんは、温泉郷さんの分身なのでしょう。

さて、本詩の核になっているのは、3連の

 ただ ネコにとってこれらは
 やや つらいのだ
 でも「偉いね」といって
 撫でてくれる人もでてきた

5連の

 「ああ 人と付き合うのは疲れるね」
 とネコは思うけれど
 人が自分に対して感じることも
 わからないではないので
 「人も案外 可愛いね」とも思っている

でしょうか。

ネコの立場でさらりと書かれていて、この詩のスタイルですと、こうした軽やかさこそ大切にすべきだとも思います。
しかし、レベルの高い温泉郷さんですので、もう少し踏み込んで、ネコパンチをきかせてほしいな〜とも感じてしまうのです。

ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』に「ベートーヴェンにとって重さは何か肯定的なものであった」といった記載があるようです。

「そうでなければならないのか?」
「そうでなければならない」
第16番に書き込んだ言葉です。
渾身の後期弦楽四重奏曲を終連で響かせるためにも、この曲でなければならないことを強調するネコちゃんの言葉を、もう少し聞いてみたかったです。

ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲、いいですね。
ネコちゃんは何番がお好きなのかしら。
14番が人気ですが、私は15番も好きです。
いつか、ネコ音楽堂で、ネコ演奏家で…ネコちゃんと一緒に聞いてみたいです。

素敵な佳き作品でした。
御作、佳作とさせていただきます。
ありがとうございました。


**********

☆「現実の産声」 荒木章太郎さま

荒木章太郎様、こんにちは。御投稿ありがとうございます。
三浦さん流にいうなれば、「冒頭佳作」です。
章太郎さんらしい、いい詩ですね。

 沈むロマン
 ああっ
 真っ赤なロマンが
 静かに沈む
 ……

初連からいいですね。
最初に読んだ時、「ロマン」という言葉がひっかかりましたが、これは「ロマン」でないといけないですね。
その「ロマン」は沈みますが、

 俺は詩に酔いしれ 
 傲慢な陽を昇らせる

「ロマン」と「陽」共に「太陽」なのでしょうが、その言葉、詩文の対比が見事でした。

2連目で夢をみていたとはっきりわかりますが、夢から現実へと向かおうとする際の情景…最後の「沼が俺を掴む」という表現も素晴らしいです。

3連目
「できない……」
セリフを挟み、意志が沈んでいく描写を3行で端的に切っています。
これは私にとっては「詩ができない」の叫びに聞こえます。
その後の4連目で、沈んでゆく情景が丁寧に綴られていきます。
詩の言葉は遠ざかり〜でもその足音を聴こうとするんですね。素敵だと思います。
でも、現実は目の前にあるんですね。

そして5連目、夜が来る。

 俺は現実を掴みきれず
 夢の外に立つ

力強い言葉ですね。
現実は掴みきれず、かといって夢の中に沈み込むのでもなく、現実と夢の狭間…夢の外に立ち、詩に立ち向かう決意のように私は感じました。(自らも奮い立ちました)

終連、着地も決まってますね。
「フィクション」も「ロマン」も同じく、小説を表す言葉ですが、「ロマン」は感情的、理想的に物事をとらえることを示し、「フィクション」は虚構という意味もあります。
終連で初連の「ロマン」と「フィクション」を呼応させている点〜ロマンは沈むが…「おれはフィクションではない」と潔さが感じられる言い切り方も、とても好ましく感じました。

詩句一つ一つも全く無駄なく、構成も素晴らしいと思います。
新境地の詩の産声を聞かせていただきました。

素敵な佳き作品でした。
ありがとうございました。


**********

以上、4作品、御投稿いただき、誠にありがとうございました。
それぞれに、素晴らしい作品でした。
十分に読み取れていなかった部分も多かったかと存じます。
読み違いはご指摘いただけたら嬉しいです。

町にクリスマスソングが流れ、イルミネーションが輝きます。
表向きは何も変わらない毎年恒例のクリスマス前の情景ですが、世界はきな臭く、災害復興は進まず、キャベツは400円を越え…
自身の詩作は滞っております。
個人的に今回の4篇の詩にとても励まされました。
今回の投稿者の皆様のような詩を書きたいと思いました。
勉強させていただきました。
ありがとうございました。

今回をもちまして、私の本年の担当は最後になります。
少し早いですが、皆様、お身体をお大切に、どうかよいお年をお迎えくださいませ。
  紗野玲空

編集・削除(未編集)
合計5324件 (投稿5324, 返信0)

ロケットBBS

Page Top