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おかえり
音楽が帰ってきた
1人がいなくなり
部屋の整理をしていると
音楽が
出てきた
ただ
意味もなく
実感もなく
沈んでいた
あの時期に
ふと
いつも立ち寄るショップで
イライラ任せに
でたらめに買った
1枚
突然
静謐さ
祈り
永遠
が流れ出てきたとき
自分の中にあるものは
見つけなくていい
探さなくていい
それは
自分の中にあるから
それでいい
と語りかけられ
それから
繰り返し
繰り返し
ただ
聴いていた
この音楽が
再び
この部屋に流れる
1人去ったこの空間に
なぜ
こんなにも永く
この音楽から
離れていたのだろう
いや そうではない
封印したのだった……
どうしても
そうしなければ
ならなくなった
実務の世界に
入ったときに
音符に転換されない
乾いた二次元
その平面で
ただ 結果を求められ
生き延びようと
自分の中にあるものを
封じ込めてきた
でもそれは
ちゃんと
まだ あった
音楽 帰る
おかえり 音楽
──ラジオで聞いた話なんやけど…
と先生が切り出した
四角い空間に四角い机
丸になろうか三角になろうか
それともこのまま四角くなろうか
考えあぐねている生徒たち
──企業が新入社員を採用するとき、これまでは学歴が一番重視されてたけど、今はちがう基準で考える傾向があるんやって。
その基準とは 一から順番に四つあって
学歴は四番目だという
一は いちひき
一に魅き
一番に魅力
──勉強で得た知識も大事やけど、今はそれぞれの人間の持つ魅力っていうのが…
話の途中で窓の外に目をやってしまう
(あの雲の峰のどこかにいるんやろうか
おとし物をした人は──)
だから 二番目と三番目は忘れてしまった
まちの稜線は四角の連なり
空は直線に切り取られてる
だれかが書いた電線が
狭い空をさらにこまかく区切ってる
まちは空席を許さない
四角い空き地が現れたら
すぐにまた 四角い建造物が積み上がる
壊しては
造り
壊しては
造る
めまぐるしい人間社会のいとなみの底を
こどもたちは毎日往復する
かたい地面を踏んで
直線に進み
直角に曲がる
だからこそ この
何ものにも切り取られない
何ものにも区切られない
果てしない草原
果てしない空
まるでこれが世界のすべてのような
そんな景色が見渡せる場所に立って
丸や三角や四角の型を抜け出して
心は果てしなくひろがっていった
ひろくひろくひろく
たかくたかくたかく
十四歳の心はこんなにも飛びやすい
それを 校外学習の感想文に書いた
まだふわふわと飛んでいる心で
何ものにも縛られていないと信じ込んで
そしてそれが今
四角い教室で読み上げられている
そこここでクスクスという忍び笑い
丸や三角や四角の型を抜け出して
煙のようにひろがっている
笑っていないのはひとりだけ
飛んでいた心は
今はただただ机を見つめてる
一番感動した部分をあらわす一文が読まれたときは
どっと笑いが起こった
もう机にめりこむくらいに頭を垂れて
匿名で読まれているのが救いだが
先生を恨む気にもなってくる
──みんな笑ってるけどね…
読み終えた先生は言った
──こういう文章を書ける人がいちひきやと先生は思うなぁ。
しんとなった
顔を上げたのはひとりだけ
四角く切り取られた空に
雲は型を抜け出そうと湧いている
✻「いちひき」は中学校時代に実際に先生から聞いた話を元にしていますが、その話の裏付けは取れていません。
「一引き二才三学問」ということわざがありますが、この「一引き」は、ここでの「いちひき」とは違う意味合いです。
とある夏の日 母は早朝
涼しいうちにひと仕事終えようと
山の畑に出かけて行った
一眞 起きなさぁ〜い
家を出るとき
ひと声かけてくれたが
母の声はやや遠く
掠れたように聞こえた
机上にうつ伏せになり
勉強もせずに
うつらうつらしていると
突然
お隣りの駐在さんが家に駆け込んで来た
お母さんは何処に行かれた?
ただならぬ気配
駐在さんの顔面から
汗が吹き出し
切迫した空気が放出されている
*
僕は畑への一本道を急いだ
懸命に走った
お母ちゃん!
激しく胸がざわついて
揺れるこころに不安が降り積る
胸騒ぎの嵐に
眼前が昏くなり
何度も何度も躓いて転ぶ
坂の向うは暗くて長い隧道
そして 母の畑に続く道
畑も 捜したのに
山も 捜したのに
隧道も 捜したのに
たくさんたくさん 捜したのに
母の姿はどこにも無かった
まさか
・・・
*
母は鋼材の下敷きとなり
圧死した
*
戸板で運ばれ帰って来た母
包帯に包まれたあじさい色の顔
血まみれになった
無惨な身体
さぞ苦しかったであろう
僕の手からこぼれ落ちた命の雫
我がこころを沸騰させる圧死
天女に付き添われ
母は天空を駆け上がる
母を追い 駆け上がろうと藻掻いたが
天女に峻拒され
大地に縫い付けられた僕は
空しく仰向けになった
再び聞こえた
母の声
一眞 起きなさぁ〜い
掠れていたが声は刃となって
鋭く僕の胸を貫いた
ここは母が没した
橘坂 *1
無情の色なき風が
吹き荒れ
母の声がこころのうちに谺する
*
僕には
それから向こう一ヵ月の記憶がない
*1 橘坂 防府市富海 旧山陽道にある坂
秋になったら
詩集を読みましょう
懐かしい空気に包まれて
他人事のような思い出に浸る
秋の夜
思春期からずっと
寄り添い続けてくれる
静かな言葉たちは
散る銀杏が大地をあたためるように
淋しい眠りのなかへ
降り積もってゆきます
音楽は絶え間なく
そこにあり続けるでしょう
けれど詩は
どこにあるのでしょう
いつか
心許ない夜の片隅で
あなたが手を伸ばしてくれるのを
ただそこで待っています
ささくれだった
指先でなぞる星座のように
静かに輝く言葉たちは
絶え間なく耳にする音楽や
絶え間なく目にする小説には
きっとかなわないけれど
途切れとぎれ
明滅しながら
けれど一番強く
光を放っていることに
気づいてほしいのです
秋になったら
靴 桜塚ひさ
誰しもそうであるように
体は選べなかった
みっともなくて不服でも
受け入れるほかなかった
が
靴は選ぶことができた
道に合わせ
天気に合わせ
おしゃれな靴より
シンプルな靴を
きれいな色の靴より
汚れにくい靴を選んできた
それでも
しばしば選びまちがえて
ひどい靴ずれに苦しんだり
自分で選んだつもりで
巧妙に流行の靴を選ばされていたり
急坂を上るのに
重すぎる靴を選んで
行き詰ったり
生きることは靴を選ぶことだ
今はもう
靴はいらない
室内履きをはいて
揺り椅子にすわり
うつらうつら
翼のある靴の
夢を見ている
空がすき 本当にすき
こんなに青いのに
本当はとうめいなのが
わたしの脳みそを軽くこえていて
だいすき
空がすき 本当にすき
びっくりするほどの青で
無限の星をかくしてしまう大胆さが
だいすき
空がすき 本当にすき
あばたひとつない
つめたくて清潔な肌が
だいすき
空がすき 本当にすき
いったいいくつの詩歌が
ここから湧いてきたのかしらと
うっとりながめるけれど
そんなこと気にも留めていなさそうなところが
だいすき
空がすき 本当にすき
空から告白されたなら
今の彼氏をふるくらいに
だいすき
片方の松葉杖をついて
少女が炎天下を一人歩いていた
俯いているわけではなかった
足元に広がる
原子一粒一粒を見据え
コツコツと道を確かめながら
何事も痛み分けばかりと省みていた
自業自得か
アスファルトの
照り返しが悪いのか
自責と他責のバランスを取りながら
カラスは輝くという理由だけで
足元に落ちていたコインを
表裏を確かめることもなく
奪い取っていった
さすがに動揺した少女は
靴紐を解いて
不自由を開放させて
理不尽と運命を結び目にすることをやめた
五分五分
ゴブゴブと
音を立てるのは
この暑さで液状化した俺達だ
色々な型に合わせられる液体は
平等であると
勘違いする優しさが
彼女に日傘を渡そうとする
浅はかな水溜まりだ
そんなものにはまらないよう
コツコツと注意深く歩いていた
危険な暑さだ
ゴクゴクと水を飲ませる
ペットボトルの水になる
覚悟がないことは
お見通しであると
コツコツと疑い深く歩いていた
心配性な親に育てすぎられたせいだろうか よくちょっとした迷子になりたくなる
そのうち帰るよなんていう曖昧が好きだ
今日はモネの庭に来ている
モネの庭の職員さんが説明している
庭は3つに分かれています
水の庭 ボルディゲラの庭 花の庭
ボルディゲラの庭の奥には
小道があってそこからよく
迷子になる方がいます
ついこないだもお電話で 私どこにいますか
と問い合わせがありました
その方は庭に続く柚畑にいたんですが
本当に多いんです
ボルディゲラの庭に入ると小屋がありますそのリヴィエラの小屋に着いたら
来た道を引き返してください
迷いません 奥に行くとよく迷います
それでは皆様楽しんできてください
そんな説明を聞いて
まず水の庭から進んでいく
水の庭から30分ほど山道を上がると
風の丘がありそのまま下りて
無事ボルディゲラの庭に着く
ここは地中海の自然を意識した
造りになっており
アオノリュウゼツラン ナツメヤシなど
温暖な気候で育つ植物が多い
そして熱帯性の青い睡蓮
そんな景色を横目に見ながら
私は先程聞いたリヴィエラの小屋に着く
あんなにも脅されたのに
どうしても奥へ行きたい
地図には奥から回っても
水の庭に帰れるルートが書いてある
ちょっとだけ迷子になりたい
私の好奇心が勝ち
私はリヴィエラの小屋をゆっくりと過ぎる
睡蓮が咲く池には黄色と黒のオニヤンマ
オニヤンマが私の前をすーっと飛ぶ
私もつられるように前に進む
そのうち花ウコンの大きな株が見えてきてその横に看板が見えた
水の庭→とある
どうやら私は迷子になりそこなったらしく なんの心配もなく元いた水の庭に戻った
水の庭のベンチにさっき迷子になるよ
という説明を一緒に聞いた
女性が座っていた
ボルディゲラの庭綺麗でしたねと
声をかけると 迷子になるのが怖くて
ずっとここにいたという
私は少し迷子になりたくてと彼女に言う
彼女は私は絶対迷子になりたくないと言う
どちらからともなく 2人は
少し目を丸くしてふふふふと笑いあった
ご多忙の中、ありがとうございます。
表題の件、ご連絡させていただきます。
故星(ふるさと)
5連目
それでも
時折、思うことがあります。
遠い未来に
故郷をもつ人と
もたない人が
交差する時が来るかもしれないことを。
の2行目が
「時折も思うことがあります。」と
誤字があったため、訂正させていただきます。
申し訳ありませんでした。失礼いたします。