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ここから詩人として巣立った人は数知れず、です。あなたの詩を継続的に見守り、詩の成長を助ける掲示板です。
(あのーー、私が言うことでもないんですけど、詩は自由を旨としていますから、どこにでも投稿しようと思えば、投稿できないところはないんですけど、いきなり大きなところに挑戦しても、世の多くのものがそうであるように、ポッと書いて、ポッと通用する、ポッと賞が取れる、なんてことは、まずありえないことというか、相当に稀有な話なのです。
やってみることは止めませんけど、大きなところのノー・レスポンスにがっかりしたら、
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毎日同じ屋根の下にいたら
相手の嫌なところも見える
相手も私の嫌なところを見ている
だったらお互い様だね
夫婦は一心同体とか
いえいえ そんなことはない
わたしの心はわたしのものだし
わたしの身体はわたしのもの
他愛のない会話や事務的な報告
それで毎日が過ぎてゆく
何で二人は結婚したんだっけ
何で人生を共にしているんだっけ
苦しく困難な時
わたしはあなたの誠実な姿勢と
へこたれない強さと
家族を思うやさしさに
頭を下げ
あなたはわたしの
素早い決断力と
確実に物事を処理する能力を
認めてくれたから
車の両輪のように働いて
前へ進めてきた
その歴史が夫婦ならば
まあ合格点をつけても ばちは当たらないね
と思っていたら あなたが
人として最高のふるまいを見せた
75歳にして自分を省みず
人の命を救うという行動を
わたしは こんな日が
いつか来ることを
実は知っていた気がする
だから わたし達夫婦なんだね
寂しさを伝えます
友達ででもあれば女のあなたに伝えます
日暮らしが鳴いていた
夏の終わりも
寂しかったです
風の強かった三月に見た
飛行機雲も
寂しかったです
後ろの陸の方が
曇天でした
昔 ひとりで歩いた
東京の夜道も
寂しかったです
二つのヘッドライトが
僕を照らして
行き過ぎました
そう言えば
九月に足が冷たくって
ドイツ語の勉強をしていたときも
寂しかったです
冬の夜に 猫が鳴いていたときも
友達が帰ると言ったときも
休みになって東京を去る時も
いつも 寂しかったです
こんなことは誰でもなんでしょうが
僕は 今までずっと寂しかったです
ある駅のホームに立っていた
辺りには霧が立ち込めている
霧の中から列車がやって来た
行き先のプレートには「未来」と書かれている
重い足取りで列車に乗る
すぐ後にもう一人乗ってきた
私と同じくらいの年の女の人だった
彼女は少し離れたところに座った
顔色が悪い
かなり疲れているようだ
話しかけようとしたが
思いつめた表情を見てやめた
出発した
私と彼女は何も喋らないまま
窓の外を見ていた
トンネルに入る
かなり長そうだ
列車の照明が消えた
辺りは真っ暗になり
走る音だけが響く
その音を聞いているうちに
私は眠りに落ちていった
目が覚めると
列車はトンネルを抜け
ターミナル駅に着いていた
彼女はいなかった
窓の外を見ると
別のホームに立っている
顔色は戻り
笑みを浮かべている
さっきとは別人のようだ
「何があったのだろう」
ホームに列車が入って来る
行き先のプレートには「希望」の文字があった
彼女はその列車に乗った
羨ましく思いながら
去ってゆく列車を見ていた
列車はターミナル駅を出発した
私だけを乗せて
「未来」に向かって走ってゆく
私を待つ終着駅
駅の名前はまだわからない
日曜日の朝
洗濯物を干した
黄色や緑のシャツやパンツ
その向こうには
公営住宅がみえる
そして その向こうには
うす青色の空があり
その上には灰色がかった雲が
浮かんでいる
日曜日の朝の気分
洗濯物の匂いのような 朝の気分
これまで何度 この気分をあじわったことだろう
小さい頃は
野球教室や世界の旅が
ブラウン管に映っていた
今は ほとんどテレビをつけないが
頭の中で 依然その音が鳴っている
とりたてて 何がどうということはないのだが
無性に 虚しく哀しいのは
なんでだろう
昼前になると
炒飯の匂いが
午後の憂鬱を連れてやってきた
そして その憂鬱は
汚れたティッシュのように
わたしのなかに
徐々に折り重なっていった
やがて 辺りは
暗く沈みかけ
わたしは
夕日のホリゾントをバックに
ひとり 佇んでいた
そして 私は
いまも ひとり
夕日に 佇んでいる
青島江里様 今回もご丁寧に評価していただき
ありがとうございます。
あまめでも圭作ということとても嬉しいです。
これからも一生懸命書いていこうと思います。
ありがとうございました。
拙作「海なる夜に舟を出す」を丁寧に読んで下さり、また佳作の評を頂きありがとうございました。青島様が調べ物をされず素のままで感想を書いて下さったおかげで、これからも自己表現の手段として、詩という手法を使っていくという強い決意を持つことができました。とても感謝しております。私は「経験から学ぶこと」を大切にしてきました。それは体で理解した感覚が得られるからです。そこで、本作では、自分がこれまで学んだ哲学が、どれほど自分のものになっているのかを確かめるために、詩で表現してみました。
本作は私にとって大切な作品の一つになりそうです。まだまだ、自分の詩を愛せるようになるためには、他者の眼差しが必要です。
今後とも、ご助言、ご指導の程どうぞよろしくお願い致します。
青島江里様
佳作との評価をいただき、ありがとうございます。とても嬉しいです。
ご指摘の通り、主題をそのまま出せば詩になりません。
寄せて、寄せて、近づけて、ゴール付近でまた反転させました。
詩作して、とても楽しかったのですが、
火星人しかり、目を引くモチーフを使用して、
逃げ切った感があります。
詩作の力が足りません。
まだまだ勉強が必要だと痛感しています。
ご指導、ありがとうございました。
都心の空き地
四角く何年も放置されている
売地の表示も何もなく
ただ
フェンスで囲われている
人が立ち入ることのない
この空き地に
酷暑の太陽
フェンスには
白い小さな花を付けた
嫌なにおいの
ヘクソカズラ
フェンスの中は
セイタカアワダチソウが
奥に行くにつれて
高く繁るが
外側までは進出できず
ここからは
背の低い植物群が
人に踏まれながら
懸命に広がる
ツタバウンランやトキワハゼが
ぎりぎりの際で
小さな花を咲かせている
家屋 病院 店舗 アスファルト
包囲され 孤立した空き地
植物の贅沢な占拠
に見えるが
周囲には土も砂もない
ここだけが
彼らの舞台
夜になると
空き地の様相は一変し
植物の臭いと
幽霊のような
黒い影が泳ぎ
草のざわめきが
人を遠ざける
深夜の能舞台が始まる
そこでは
植物たちが
自らの短い物語を語り
この地の将来を憂い
冬枯れの
幕間に見た夢を披露する
風にゆられて
草も花も
ゆっくりと歩を運ぶ
観客は
捨てられて久しい
2台の錆びた
自転車だけ
青島江里様 今回も丁寧にお読みいただきまして、ありがとうございました。実は、投稿してから冒頭一行について、修正しようか迷ったのですが、いったん完成させたものを見ていただいた方がいいと思いまして、そのままにいたしました。冒頭一行は、相手がにこやかに笑っていることを表現したつもりだったのですが、後半に宇宙の話が出てきますし、実際は朝か昼下がりのイメージでしたので、混乱させてしまいました。自分でもちょっとひっかかったところこそ大事にしないといけないなと思った次第です。ありがとうございました。引き続き、よろしくご指導ください。
大変お待たせしました。
◎2025年7月8日(火)~7月10日(木)ご投稿分、評と感想です。
☆海なる夜に舟を出す 荒木章太郎さん
構成主義者と構造主義者という言葉が出てきました。普段の生活では耳慣れない言葉でした。どうやら哲学関係の言葉のようですね。今回の作品について、色々な人が色々な読み方をされると思いますが、私自身、哲学の世界は詳しくないので、詳しくない人がそのまま拝見した感想をお届けすれば、作者さんの何かお役に立てるのではないかと感じ、あえて詳しく調べ物などせずに、素のままで感想をお届けすることにしました。
地上に引かれる境界線。住所という決まり事を生み、その上に安定した個々の生活は成り立つ。けれども息苦しく感じる人だっている。作中の「僕」は、まさしくそのような方で、陸の安定よりも海の自由を選ぶということでしょうか。
陸は律法に準ずる
海は掟に従う
こちらの例えは構成主義と構造主義の違いについて、なんとなくこういうものではないかということを感じさせてくれました。言葉も短く整理されていて、頭の中にスッと入ってきました。
陸の上に建つ灯台についての舟で海を行くものとのからませ方も面白かったです。構成主義者ってこうなのじゃない?という「僕」の意見が伝わってきました。
終盤が特によかったです。
闇のままであって欲しいという気持ち
胸に秘めて
目に見えないものを信じて
愛して 闇に漕ぎ出でる
「闇=目に見えないもの」に例える方法が斬新でした。陸から百パーセント頷けない光に助けられながらも、心の中では、目に見えないものを信じたいという気持ちを胸に秘めているというところは、自分を持つという一本筋の通った強さを感じさせてくれました。
前半、「構成主義者」と「構造主義者」という耳慣れない言葉が登場し、難しそうな内容なのかなとも思いましたが、日常で耳慣れた、或いは見慣れた言葉やものを用いて、その二点についての持論を描いてくれたおかげで、肩に力を入れずにリラックスして読ませていただくことができました。大体こういうことなのかと思うこともできました。二つの主義がどういうものかということを書くことにとどまらず、「僕」の意見もしっかりと作中のメインとして描かれているところもよかったです。今回は佳作を。
☆火星人のすすめ aristotles200さん
「火星人のすすめ 」とは、ユニークなタイトルですね。読み手の方にもどういうことが書いているのだろうかと思わせてくれました。
なかなか面白いことの運び方ですね。地球人の不自由さを彷彿させるようなニュアンスの数々。自分なりの考えを地獄の捉え方を一つの視点として展開していくところが面白いですね。ドストレートに持ってきてしまえば、おそらく言っている意味が通じなくなってしまいそうなところを、我慢強く、少しずつ少しずつ自分の考えの方に寄せていく細かい表現の方法が印象的でした。
作中の中で印象深い残った表現、作者さんの持論は次の三点でした。
何故なら人の想像する地獄とは
苦しみ、という感情が必要
無為ではない
死後ですら
自分たちの想像した世界に生きている
永遠を、夢見ている
そう、火星は人間たちの世界ではない
今から、私は火星人であると主張する
その瞬間、私は無に帰する
地獄と天国から解放された
人間の軛から放たれた、宇宙人となる
日頃、当たり前のように思っている、地獄という世界の感じ方、死後の世界の在り方。人間がどれほど、人間自身を窮屈にしているのか。もしかしたらそうなのかもしれないと思わせてくれるような表現の数々でした。
人間のものを考えること自体が苦しみだとまとめ、終盤には、その考えそのものをひっくり返そうとするとろに「私は火星の地表に、一人座る/只、座禅する/私、自身が火星になるまで座禅する」という「動」の動きを表すところに「静」を持ってくるところも予想外でした。独自のユニークな考えをうまくまとめられている作品だと感じました。佳作を。
☆三本の煙突 喜太郎さん
「生きているといろいろあるね」だとか「生きるのって結構辛いよ」なんていうようなことを、自宅の窓から見える三本の煙突を象徴として、見事に表現してくれましたね。
ありのままの生活感や汗や涙に至るまで、詩の端から端まで、生身の人間が感じられる作品となっていると感じました。また、比喩のたて方も言葉を深く意味づけるものになっていて、とても印象的でした。
「何処からも視界に入る煙突」は、その高さから、「支配されている感じ」や「見下されている感じ」等を彷彿させ、いつかこの町を出て行ってやるという、握りしめる拳の力の強さを感じさせてくれるところにも繋がっていくと思いました。
そこから引き続いての拳のシワと脂汚れは、年輪という時間の大きな流れを感じさせ、また、その手の持つものが「食欲のための箸と酒を飲むコップ」ということに繋がってゆくところは、生活の苦しさ、或いは落胆や諦めのようなものまで感じさせてくれました。
更にそこからの「彼女の残した花瓶の花」のレトリック。水も無くなり、茶色く干からびており、触れただけで粉々になったという部分は、うまくいかなかった恋愛で受けた大打撃や失望、それと同時に、思い出にしたくないという気持ちを感じさせてくれました。触れて粉々になったというところは、現実を知らしめるという表現にもなっていて、非常に繊細な気持ちの表れを、身近にある生活用品を使ってうまく描いていらっしゃると思いました。
楽しかった思い出が過去になったのだと思い知らされても、更に「明日もいつもの時間に起きて/あの煙突の下へと向かうのだ」という、現実を見せつけるように、窓から見える三本の煙突を持ってきたところは圧巻でした。そして、人間が生活するために生きてゆく「どうしようもなさ」を強く感じさせてくれました。
ほんの少しだけ気になったのは、後ろから二行の「そこには床に散りばめられたカケラたちが/思い出は儚く遠い遠い昔なのだと教えられた」です。「カケラたちが教えられた」という風に、主語と述語が嚙み合っていない感じになっていて、しっくりこないようだと個人的には思ったので、
床に散りばめられたカケラたちに教えられた
思い出は儚く遠い遠い昔なのだと
或いは、
そこには床に散りばめられたカケラたち
思い出は儚く遠い遠い昔なのだと
このような感じで、主語と述語が繋がるようにすると、スムーズに流れると思います。何かのご参考になればうれしいです。
今回の作品は、私の方へご投稿していただいた作品の中で、一番印象的な作品となりました。一人の人間として生きるということの心の内を、独自の表現で、うまく表現されていると思います。将来、ご自身の詩集をつくられることがあった時、ぜひ入れていただきたいなと思うほどの一作でした。ほんのりあまめの秀作を。
☆永遠の伸縮 温泉郷さん
人間の感情なんて様々で、それこそ宇宙のようで手探りしたぐらいでは、わからないなんて思います。それこそブラックホールのようです。星と星の間の距離も、遠目から見た具合では、実際の距離はわからないなとも思います。
時として、感情とは、宇宙のよう。そのような感覚を表現してくれようとしている作品だと感じました。
気になったのは、一連目です。
最初はお月様
いい香りの
珈琲と休日
休日でコーヒータイムを楽しんでいるのだということは伝わってくるのですが、「最初はお月様」の部分。お月様だけであれば、夜なのかなということで読み進めて行けると思うのですが、「最初は」という部分で躓いてしまいました。読み進めていけばわかるのかなと思ったのですが「最初」から「最後」に或いは、「途中経過」らしいものに値する部分が、個人的には見つけることができませんでした。
車椅子に乗っているということで、介助される側の人間の心のひとつを描いてくれている部分は伝わってくるのですが、終盤には「星の輝き」「ブラックホール」のみしかでてきていなくて、「最初はお月様」とはどういう意味合いであったのかが、気になりました。
お話は変わって、心に残った表現ですが
カーペットの
褐色のにじみ
がちょうど
君のすきだった
白猫の
柄を汚していた
カーペットに褐色のにじみができたとするだけではなく、君の好きだった白猫の柄としたところがよかったです。色々な濃霧が立ち込めてくるような、言葉にしたいけれど我慢、我慢だと顔に出さずにしているような、もやもや感がよく伝わってきました。
宇宙は膨らんでいるといいますが、あるところまで到達すると、収縮しておわりをつげるなんてことを何かで読んだことがあります。これを個人の人間関係にあてはめてみると、似た部分もあるかもしれないなと、感じさせてくれる作品でもありました。今回は佳作一歩手前を。
☆奮い立つ感情 ふわり座さん
大好きすぎたのでしょうか。束縛してしまったような気持ち。登場人物の「僕」の後悔と思えるような気持ち。失恋しちゃったようですが、ひたすら前向きに、前向きに、前向きに。土砂降りの雨が降ろうが、ただ前向きに。とても力強い作品でした。
このままでも充分なのですが、個人的にはなるのですが、以下の部分。
① 沢山残されている君もその一つさ
② もう誰かを求めることはないなんて言えないよ
③ 歩き出すよ君との時間は全力でした恋だったから
① の「その一つさ」を「その一つ」に。②の「言えないよ」を「言えない」に。③の「歩き出すよ」を「歩き出す」にして、同行でひとマスあけて「君との」に続ける。或いは「歩き出す」で改行してみる。①から③の部分、言い切った感を出すことで、この作品の特色である力強さが更に強調できそうだと思いました。
今回の作品で、気持ちに残った表現は次の通りです。
膨れ上がる気持ちは心の奥深くに仕舞い込んだ
だけど爆発寸前の感情は叫び声を上げてる
昔好きだった何かも
これからの新しい何かも
どうでもいい全て無くなってしまえばいいと
拳を握る
失恋して悲しすぎてどうにかなんてしまいそうな、胸の奥にしまい込んでいる感情の表現が強く伝わってきました。辛いことがあって乗り超えていくレトリックとして、自然の中の一本の道を行進していくという組み立ては、多くの人が好んで書かれる表現ですが、感情の込め方の力強さが、独自の色を色濃くしていて、失恋の辛さが痛いくらいに伝わってきました。今回はふんわりあまめの佳作を。
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連日、とんでもない暑さです。気になるのは熱中症。「熱中症には水分塩分クエン酸」などと呪文のような言葉を思い出しつつ、水分多めに取ったり、レモン水を飲んだり、梅干しを食べてみたり・・・・・・。それにしても、暑さの中での元気強い蝉の声。本当にすごいエネルギー。
連日の暑さ、どうぞご自愛ください。
みなさま、今日も一日おつかれさまでした。