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(あのーー、私が言うことでもないんですけど、詩は自由を旨としていますから、どこにでも投稿しようと思えば、投稿できないところはないんですけど、いきなり大きなところに挑戦しても、世の多くのものがそうであるように、ポッと書いて、ポッと通用する、ポッと賞が取れる、なんてことは、まずありえないことというか、相当に稀有な話なのです。
やってみることは止めませんけど、大きなところのノー・レスポンスにがっかりしたら、
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編集・削除(編集済: 2025年01月02日 01:55)

重明は毎夜、夢を見る  佐々木礫

 その日、俺は年老いて耄碌していた。
 夕方、中学校の廊下を歩く浮浪者。いつかの秋、この目の水晶体の真ん中で君が炸裂した教室に、別れを伝えに訪れた。辿り着いた教室には、机も椅子も、何も無かった。夕焼けと埃の結晶が静かに舞っている。
 「いない。シにたい」
 そう言って、目を閉じた。黴びた教室の臭いがする。カンカンカン、と段々と近づく足音がして、目を開けた。白と水色のセーラー服の生徒が一人、ひらり、と風のように俺の横をすり抜けた。彼女の手には、懐中時計が握られていた。俺が祖父に貰った懐中時計を、彼女が「きれい」と言うから渡したものだ。
 「も少し生きて、走馬灯にでも浸ろうか」
 と、俺は言った。

 その日、俺は病人だった。
 快晴。緑の生える川沿いの道、君とふたり、ゆっくり歩く。
 君はふと立ち止まり、道脇の草の前にしゃがんだ。
 「ノダイオウ、ヤハズエンドウ」
 少し右を見て、
 「スズメノエンドウ、ムラサキツメクサ」
 立ち上がり、三歩歩いて、
 「ナガミヒナケシ」
 と指さした。
 俺は割り込んで、
 「セイヨウタンポポ」
 と、言った。とたんに、発作の咳でむせ返り、息ができなくなった。
 彼女は、うずくまる俺の背に触れて、
 「はい息吸って。大丈夫だよ」
 と、言った。
 あの頃の、天使のような軽い口調。彼女の顔は太陽の白い逆光に遮られ、表情が見えなかった。しかし、肩ほどの黒髪は艶やかで、可憐に揺れていた。
 ㇵーー、ㇵーー、ㇵーー。
 と、俺は必死に息を吸う。

 その日、俺は若者だった。
 母校でも何でもない中学校の、校門の前で立ち止まる。くすんだ蛍光灯に照らされて、灰色の校舎は、不気味に緑がかって見えた。夜の校庭の花壇の花は、太陽の下の明々とした咲き姿よりも、遥かに愛すべきものに思えた。
 ふと、
 「眠っているものはみな美しい」
 と思った。
 その時、視界がオレンジ色に染まった。
 時計の音がうるさく響く。秒針の音が、カチカチカチカチ、サイレンのように耳元で鳴る。
 西の山から、巨人のような太陽が、慟哭を上げながら徐々に這い昇り、
 雑木林のカラスたちは、一羽、また一羽と、糸で引かれたように舞い上がる。
 目を見開いて、俺はその景色に立ち尽くした。
 巨人の慟哭、カラスの鳴き声、小さな時計の針の音、それらは気づくと止んでいた。わずかに耳鳴りの残る頭で、俺は自分がいる場所を理解した。
 夕方の教室、君は隣の席にいた。俺が横目で見た君は、疲れ目を閉じて昼寝をしていた。姦しくなく、人目を気にせず、見る者に確かな孤独を想起させる。例えるならフェルメールの、寂寞の色、小さな涙の耳飾り、それを着けて目を閉じている、無表情な少女のイマージュ。
「あ」
 俺はいつの間にか、廊下にいた。使い終わった教材を、彼女と二人で、空き教室に運んで来たのだ。俺は彼女を探そうとしたが、
 「しーげあき」
 と後ろから声がした。しーげあき、綺麗でも何でもない音が、そのまま滑稽に校舎に響いた。振り向かずに、「なんだよ」と俺は言った。「呼んでみただけだよ」と彼女は言った。そこから、二人で並んで教室へ帰った。
 少し離れて歩く彼女は、両手を後ろで組んでいた。彼女の細かな表情は、窓辺から差し込む強烈な西日に紛れて見えなかった。しかし、楽しそうに、歩いていた。なんでそんなに楽しそうなのか、俺には全然分からなかった。俺はただもう、苦しかった。
 
 卒業の日に、俺は彼女と会わなかった。俺はてっきり、彼女が颯爽と現れて、「写真を撮ろう」と言ってくるものだと思っていた。しかし、彼女は来なかった。俺も彼女を探さなかった。それからずっと、彼女は多年草のように、俺の脳裏に繁茂する。嫌だな、と思いながら、俺は毎晩、夢を見るために眠っている。

編集・削除(編集済: 2025年01月04日 18:07)

雨音様 評をありがとうございます。 津田古星

こんにちは。
本年もよろしくお願いいたします。
41回目の結婚記念日に考えたことを書き留めておきたくて、書きましたが、半年あれこれ考えて結局、こういう詩になりました。
余白と倒置法と伺いまして、参考にしたいと思いました。
あたたかい評をありがとうございます。

編集・削除(未編集)

三浦志郎様  御礼  静間安夫

新年明けましておめでとうございます。
本年もどうかよろしくお願い申し上げます。

今回も私の詩にお目を通していただき誠にありがとうございます。
そうですね、書いているうちにいつのまにか年末年始のご挨拶に、
また、わたしの日本酒へのオマージュ(つらいときに慰めてもらったり、
気合を入れ直してもらったりしましたから)になっていました。

今後とも、どうかよろしくお願い致します。

編集・削除(未編集)

感想と評 2024年12/27~12/30 ご投稿分 三浦志郎 2025年1/4

今年初めての評です。今年もよろしくお願い致します。


1 荒木章太郎さん 「あたたかい沈黙」 12/27

冒頭佳作と致します。
荒木さん作品の中で、僕は今までの最高度で本作が好きですね。
「沈黙は金」ということわざがあります。この詩はそのことわざを積極的かつ有意義に解釈・翻訳したものと僕は思っています。沈黙することによって、内的には心の整理整頓ひいては心の安定。外的には、防衛・抑止・圧力。「天使」の連が詩的にはとりわけ秀でているように感じます。
案外、この詩は恋愛詩寄りなのかもしれない。「君」との行き違い、ちょっとした諍い。ふと「君」が用いた沈黙。この詩の主人公はそこから何がしかの意義を見出している。そんな詩。
今回は抽象度、難解度をマイルドにして、より伝意性を上げていると思われます。冒頭の感想の所以です。


2 上田一眞さん 「焼失或いは喪失」 12/28

ひと昔前の地方名家の本家は「本家筋」などと呼ばれ、格式があり丁重に迎えられたことでしょう。分家である上田さんは本家に良く仕えている。そんな場面でしょうか。本家のおばあ様は本家だからといって尊大ぶることなく、どころか優しく品位があり、名家のせいか、どこかおっとりしている風情です。そこに情趣を感じさせます。山口県なので、かつて長州藩との関りがあった名家と思われます。おじい様の履歴と収蔵品の重々しさがそれを表していますね。習慣的に「おばあ様」と言い慣わしている点にも環境が垣間見えます。
残念ながら、この詩はタイトルが表す通り、火事の悲劇がメインになります。全焼。人も財産も全て失われた。上田さんの悲しみには察するに余りあるものがあります。慟哭したことでしょう。詩的に響いてくるのは(それから三年の後)のくだりでしょう。当時の悲しみは落ち着いたが「それでも……」といった思いでしょう。鳥の姿におばあ様を重ねているのが印象的。「この地を離れます」は進学とか就職でしょうか?タイトルが事態を雄弁に物語り佳作。実の母上といい、このおばあ様といい、その不幸に言葉もありません。

アフターアワーズ。
大したことではないので、こちらに書きます。「忘れ得ぬ人の一人だ」は意味が重複的で語呂も少し良くないです。「忘れ得ぬ一人だ」か、単に「忘れ得ぬ人」でも可。フィニッシュだけに整えておきたいです。


3 森山 遼さん 「宇宙の私語」 12/29

「宇宙」と「私語」。平文なら結びつきが無いような単語を、詩の妙味を活かして巧みに繋いでいます。ユニークと言えます。タイトルがそうであるなら、本文の思考展開もユニークで暗示的で、すこぶる詩的に仕上がっています。宇宙の起源、そのありようの不思議、宇宙の下に存在する森羅万象の不思議、たとえばそのようなことまで、この詩は象徴しているようにも思えてきます。
4連以降、前連を受けて、詩は希望へと向かいます。最終連は、おそらく希望への言い換えとして解釈できますが、指針を少し変えたのがフィニッシュとして印象的。これは佳作以外考えられないです。うまいですね。

アフターアワーズ。
大したことではないので、こちらに書きます。「そうだ いい」は意味的・リズム的にやや不安定な気がしました。「そうだ それでいい」にすると、リズム的に落ち着くし、ずっしりとした意志が伝わる気もしますね。


4 相野零次さん 「ヒーロー」 12/29

前作「宝石」の実作と雨音さんの評を拝読しましたが、僕も概ね雨音さんの意見に賛成です。
「宝石」はまだしもテーマ・場面がコアでしたが、本作「ヒーロー」では、正直、何が書かれているのか、僕にはさっぱりわかりませんでした。
正月早々、キツイことを言って申し訳ないが、書き過ぎ、拡散し過ぎ、としか思えません。
特に「何が何だか~」の連以前に、それを感じました。

もう少し優しく言うならば―
筆力もあり、想像力もあるのですが、(足し算・引き算しながら)それらを有効に組織立て、テーマとして一篇に仕上げる力が弱い―といったところでしょうか。
例えば、ストーリーとして、よりコアにするには「何が何だか~」以降がテーマとしては立っています。この部分を肉付けして書いた方がいいという意見です。それ以外は余事。
あと前半部分。これは私見なので、スルーされて一向に構わないのですが、―僕もフィーリングで思っていて言葉にはなりにくいのですが―ファンタジーといえど、その土俵内で、つじつま合わせ、理にかなっていないとまずい。そんな気持ちはあります。長いものを書く時は、いかに読み手を納得させ続けるか、飽きさせないで読ませるかの工夫が必要でしょう。相野さんは標準サイズでは、よい味わいがあるのですが、長編は少し熟慮と小まめな推敲が必要でしょう。佳作二歩前で。


5 人と庸さん 「いつもとちがう朝」 12/29
  
これも冒頭佳作と致します。この詩の個性であり長所は“現実の近似値にある幻想”を描いている点だと考えられます。近似値幻想に舞い上がるに、交差点と横断歩道がその滑走路になるかのようです。
「役目を終え→旅」「役目がある→今日を存在する」あるいは「歩み出す、立ち止まる、立ち尽くす」。
これらは正・負共に吞み込んだ人間の営為と言ってもいいでしょう。この詩には、もうひとつトピックスがあって、僕は以下のように感じています。
「日常は常にいつも通り」VS「日常とは細部において同じ日は一日とてない」
人間の営みは、このせめぎ合いの中で推進される、そんなことも、この詩から感じることができるのです。そういった事情をタイトルも予感させるのです。総括するならば、人間社会を、現実⇔幻想のウエルバランスで浮き彫りにしたと言えそうです。
拡大解釈すると新年にも相応しい気がします。


6 静間安夫さん 「日本酒のPR―食中酒を代表して」 12/29

「日本全国酒飲み音頭」というものがございます。全ては歌えないが聴いたことはあります。
試みに時節柄の歌詞を書いてみます。
「12月はドサクサで酒が飲めるゾ~~1月は正月で酒が飲めるゾ」
お酒を代表して登場の日本酒くん。非常に前向きにPRしてますね。料理の引き立て役、味の対応のTPO、健康面への役割、さらには、いにしえまで遡っての由緒・その気高き使命・人々の愛着、現代における「飲みニケーション」の効能まで。全ての側面、網羅。これで決まり!この詩の気分を、より味わう為に僕も飲みながら書いております。この詩は酒もさることながら、静間さんの、酒に託しての年末年始のご挨拶と受け取りました。よって評価は割愛させて頂きます。では、乾杯を! カキン!


評のおわりに。

今回の年末年始は土日のポジションが絶妙でありました。その恩恵で、正月続く。あと二日。
ではまた。

編集・削除(編集済: 2025年01月04日 10:50)

初夢  上田一眞

その1

こころの内に垂鉛をおろすと
底なし沼のように深い
闇の世界
そこに棲むのは眼を失くした魚たちだけだ

盲しいた白い魚を追いながら
暗闇に内包するものを
手掴みで確かめる

 迷い 妬心 困惑
 懊悩 絶望 恐怖 
 憎悪 敵意 猜疑 
 憐憫 愛憎 苦悩 

こころの洞窟に
石ころのように転がっている
感情の山
ただ こ奴らに質量はない
薄い紙っペラ

こんな言葉に動揺する自分が
不甲斐ない  


その2

一人では
生きていくことなど出来るはずもないのに
なぜかこころは独りを志向する

妻も子も いらぬ
友とて いらぬ

私はこころの洞窟を
躓きながらも
静かに 独り歩きたい

書を捨て
ペンを折り
ただ ひたすら歩きたい

洞窟に光明を見つけることができるなら
私の
全てを捧げてよいのだ


**

微睡みのなかから
覚めたのは
夜明け前の時刻だった
まだ薄暗い

それが二つの出来の悪い〈夢〉だと
気づくのに
さしたる時間はかからなかった

令和七年
不本意だが自分らしい初夢だ

編集・削除(編集済: 2025年01月04日 09:39)

詩の評、お礼です。  じじいじじい

雨音様

こんにちは。
詩の評、有難うございます。
クリスマスを題材に親子の絆を作品にしてみました。
文脈や文の整理を反省し次回につなげていきます。

今後もよろしくおねがいします。

編集・削除(未編集)

雨音様 評のお礼です 上田一眞

明けましておめでとうございます。
上田一眞です。
今年最初の評は励ましの心が溢れており、佳作より嬉しい佳作一歩手前でした。
ご指摘の4連ですが、なぜ違和感を持たれたのか掴みかねています。

清く正しく生きるのだと
己に恥じることのないようにと

この4連最初の2行に、表現上ダブりがあって必要ないと思われているのでしょうか。
いずれにしても心象風景を描くことは困難な作業ですね。さらに精進して腕を磨きたいと思います。
今年もどうぞ宜しくお願い致します

編集・削除(未編集)

2024年12月24日~12月26日 ご投稿分、評と感想です。  (青島江里)

◎2024年12月24日~12月26日 ご投稿分、評と感想です。


☆あの人のように  佐々木礫さん

十三歳から十八歳までの男女の出会い。振り返って綴ってくれた記憶。読後、結構辛かったことを乗り越えて今にいらっしゃるのだと感じました。

人生何十年とする中での五年間ほどの歳月は、数字的にはわずかな時間のように思いますが、いわゆる子供から大人への過渡期とされるこの年代は、かなり濃密な人間の成長期なのだと作品から感じることができました。

恋愛は、成就するかしないか、両想い、失恋の二択のみが答えのように捉えられがちですが、こちらの作品を拝読していると、改めて、成就するという言葉は、本人が、その時々に出会った人に何を学ぶことができたのかと、自身で思えるところにあるのだと感じました。恋愛に限らす、人間関係というのは、結構複雑で何歳になっても悩んだりする人も多いと思います。もしも困った時、恋愛とは関係なくても、例えばこの作中の五年間の体験から、人間関係について乗り切ることのできるヒントが見つかることができるかもしれない。そのようなことも感じさせてくれました。

孤独になりたくない。一人になりたい。通じ合いたい。すれ違い。色々な感情が渦巻いていますよね。生きていくということは。

個人的に、詩も生活の一線上にあるのだと思っていますが、誰もが皆、自身の生活を言葉にして表現するということに巡り合えるわけではないですよね。胸の中にあることを自分なりに、書きたいと思う方向に向かって綴ることができる……自分と向かい合うことができ、書き残したことが、将来の自分になんらかの道しるべを与えてくれるかもしれない……。そんなことをこの作品は思わせてくれました。詩を書くことに巡り合えるって、小さな奇跡でもあるのかな。そんな気持ちにもさせてくれる作品でした。



☆君ときどき僕  ふわり座さん

相手を愛おしく思う気持ちで溢れている作品。恋愛感情のアップサイドダウンを感じさせてくれる詩行もありました。自分の話ばかりにならないように、相手を気遣うという一行からは、臆病な気持ちや、迷いを感じさせてくれました。大きな気持ちから細やかな気持ちまで、さまざまな恋愛感情を表してくれているのがこの作品の長所だと思いました。

気になった点は、オープニングの一連目です。

二人階段登って転がり落ちた
心の中は解けて大空いっぱいに
シャボン玉飛ばして一つ一つ割れてゆくけど
二人はいつまでも壊れたりしない

「二人階段登って転がり落ちた」だけ見ていると、一行目ということがかなり影響しているのだと思いますが、個人的には、リアルに階段を転がり落ちたように思えてしまうのです。次の「大空いっぱい」「シャボン玉」というワードから、心の中の世界の投影?と、なんとなく思うことができるのですが、仮に一行目でリアルな風景だと思い込んだままの人がいたら、次のシャボン玉を飛ばしている行を見て「階段から転げ落ちたのに、いきなりシャボン玉を飛ばしている?」となってしまい、情景の整理がつかなくなる可能性がありそうです。リアルとそうでない世界がわかりやすくなるような言葉や表現をあと少し埋め合わせすることが必要なのかなと思いました。或いは一行目をリアルだと思わせないような表現、リアルなようで実はそうでない世界と思えるような独自の表現を考えてみる必要もあるのかなとも思いました。

君ときどき僕 二人の関係はそんな感じだ
それは今年初めての雪の日だった

こちらの表現は、この作品の中で一番、印象に残りました。心模様を天気にたとえているところ。君は太陽で、僕は曇り空の雲のように受け取ることもできるように思いました。恋愛の一喜一憂を感じさせてくれる表現でした。それだけではなく、その表現に実際の天気の様子を続けたところが独自の表現を息づかせているようにも思いました。

初めての雪の日→初恋のような真っ白な雪のような感情、或いはそのもの。ずっと忘れられないような純粋な思い出になりそうな一日……そのような思いがこちらには伝わってきました。今回は佳作一歩手前で。


☆ふくらむすふれ  松本福広さん

とてもやわらか。とてもふかふか。そんな雰囲気が作品全体に広がっていました。それは雰囲気だけではなく、実際にあるものの手触りも同じように感じさせてくれました。

こちらの作品、全部がひらがなで書かれています。子供のような純粋な気持ちを表現するひとつとして用いられているように思いましたが、個人的には拝見している途中に「読み」について、ひっかかってしまいそうというか、つまずいてしまうところがいくつかありました。この作品のやわらかな気持ちに触れるような感覚を損なうことなく、この点を解消することについて考えてみました。

結果的に辿り着いたのは、ひらがなの配分についてでした。けれど、漢字を加えることはなるべく避けたいということを考えた末、出した答えは、幾つかの部分をカタカナ変換すること、もう一つは読み迷いそうなところの間にひとマス空白を加えることでした。以下、まとめてみました。

(カタカナ変換)
◎かーてん→カーテン◎どあ→ドア◎ぱんけーき→パンケーキ◎めれんげ→メレンゲ
◎にゃお→ニャオ

(ひとマス空白加える)
◎ねこのたま→ねこ のたま(或いは、空白ひとマス無しで、ねこのタマ)◎ふくらむすふれ→ふくらむ すふれ
◎終盤にある三行の「ふくらむおなか/ふくらむあさ/ふくらむあたたかさ」のそれぞれの行のふくらむの後にひとマスの空白(ふくらむを強調するため)

私が感じたのは以上です。こちらはあくまで参考になります。詩を生み出した作者さんの気持ちが最優先です。何かのお役の一部になれば幸いです。

ラスト三行。読み手への問いかけのようにも受け取れる表現とともに、やわらかな空気が広がる余韻が同居していると感じさせてくれる、とても素敵な表現でした。読後、優しい気持ちでいっぱいになる作品。今回は佳作半歩手前で。



☆仕事納め  温泉郷さん

タイトルの「仕事納め」という単語をみて、あ~、会社の仕事納めのことについて書いている作品なのかなと、そのまま一行目に目をやりましたが、読み進めていくうち、見事に良い意味でひっくり返されました。樹木の仕事納めの作品でした。う~ん。なかなか思いつかない発想だなぁと思いました。こんな発想ができるのは、ふだんから、作者さんが自然に向けて視線を広げ、心を寄せてきるからなのだろうな……そんな風にも思いました。

作中の色合わせも美しいです。常緑樹の緑と黄色の大ぶりの花に見えたイチョウの葉、そしてバックの街灯のない夜の闇の色。ソヨゴの実の赤。絵画のような、或いは写真のような世界に浮かぶ色を、しっかりと想像させてくれました。

なかでも一番見事だと思ったのは、点字ブロックの部分です。イチョウの葉の同化する黄色。とても鋭い着目点だと思いました。そして、色だけでなく、そこだけ葉の形が崩れない理由として、そうだなぁと気づかせてもらえるところ。サラリと描かれた中に、奥深い意味を込められているところ、自然界とはまた違う、はらりと人間社会を感じさせてくれるところもよかったです。

隣人に黄色い花を贈って
今年の最後の仕事を終えた

上記の二行は、作者さん独自の感性を感じさせてくれました。ラストの一行の「イチョウはしばし冬の眠りに」は、こちらも実際に仕事納めに入る人間のことも感じさせてくれました。広がる季節感とリアルな人間社会の風を感じさせてくれる作品。佳作を。


++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

新しい年がやってきました。みなさま、旧年中はありがとうございました。

2025年初めての評と感想の日となりました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

みなさまの詩生活がすこやかで充実したお年となりますように。

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雨音さま 評のお礼です  相野零次

雨音さま 評ありがとうございます
格闘小説のようなものを一時期書いていた時期があって、格闘部分は長くなりました。
雨音さまは以前にも引き算したほうがよいとのご指摘を頂いた気がします。
どうしても長くなっちゃうんですよね。
それで作品全体としてぼやけてしまう。
ってことでしょうか。
最近、自分の好きな作品が比較的長いものばかりというのも影響していると思います。
また評おねがいします。

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新年明けましておめでとうございます。    かすみ じゅん

昨年もMY DEARの皆様には大変お世話になりました。
感謝しております、有り難うございます。

引き続き枯れることなく、より良き詩を書けるように
努力を重ねて行きたいと思っております。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

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