子曰く、君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る。
先生が言われた。「立派な人間は義務に目ざめる。つまらぬ人間は利益に目がくらむ」
※浩→「義は誼(ぎ)なり」で、義は人間の従うべきもの、正しい道理・筋道のことですが、「利」に対して使うときは「義務」のことだそうです。
『孟子』の冒頭を思い出します。「なんぞ必ずしも利をいわん。ただ仁義あるのみ」。天下の覇権を狙う王をたしなめた力強い言葉です。
世間では「権利と義務」と言いますが、アドラー心理学では「権利と責任」と言います。「義務」と言うと権力に強要される感じがしますが、「責任」と言うと自らの意志による決断が感じられます。君子は常に「自己責任」を自覚していて、小人は責任よりも自分が得るもの(利益)に関心があります。人は哺乳類の中では、鋭い牙もなく、俊足の足も持たず、鋭敏な嗅覚も聴覚もなく、生物としては弱い存在です。ですから、他者と協力しないと生きていけないという、生物的宿命があります。人々の協力によって作られたさまざまな文化装置によって人は守られています。小さな悪事も、凶悪な事件も、このことを忘れているから起きるのではないでしょうか。「勇気づけの歌」のトップには「人は1人で生きてはいけない。社会があってはじめて生きる。人の行為の目的は、社会に所属できるため」「人に役立ち所属する道、人の邪魔して所属する道、どちらの道も選べるが、勇気があれば役に立つ道」とあります。勇気ある人は自己責任を果たし、勇気をくじかれた人は、人を蹴落としてでも自分の利益に固執するのでしょう。
パスカルの『パンセ』で最も有名な箇所。「人間はひとくきの葦にすぎない。自然のなかで最も弱いものである。だが、それは考える葦である。彼をおしつぶすために、宇宙全体が武装するには及ばない。蒸気や一滴の水でも彼をころすのに十分である。だが、たとい宇宙が彼をおしつぶしても、人間は彼をころすものより尊いだろう。なぜなら、彼は自分が死ぬことと、宇宙の自分に対する優勢とを知っているからである。宇宙は何も知らない。だから、われわれの尊厳のすべては、考えることのなかにある。われわれはそこから立ち上がらなければならないのであって、われわれが満たすことのできない空間や時間からではない。だから、よく考えることを努めよう。ここに道徳の原理がある」。
第37課 3か月分のおさらい「3つの語尾パターンで」
<直結型>
1,感嘆の表現
就職は本当に難しいですね。
チュイジクン チョンマr オリョmネヨ
취직은 정말 어렵네요.
・「語幹+네요」 =「~(し)ますね」「~ですね」
・パッチムㄹは「ㄹを取って + 네요」
2,同意や確認の表現
うちの息子かっこいいでしょう?
ウリ アドゥr モシッチョ
우리 아들 멋있죠?
・「語幹+죠」 =「~でしょう」
3,並列の表現
飛行機も遅れて道も混んでいてとても大変でした。
ピヘンギド ヨンチャカゴ キrド マッキゴ アジュ ホンナッソヨ
비행기도 연착하고 길도 마히고 아주 혼났어요.
・「語幹+고」 =「~(し)て」「~(く)て」
4,現在進行の表現
仕事を探しています。
イルr チャ’ッコ イッソヨ
일을 찾고있어요.
・「語幹+고 있어요」 =「~(し)て」「~(く)て」
5,逆接の表現
申し訳ないですが全部うそです。
チェソンハジマン モドゥ コジンマリエヨ
죄송하지만 모두 거짓말이에요.
・「語幹+지만」=「~(する)けれど」「~(だ)が」
大変ですが大丈夫です。
ヒmドゥrジマン クェンチャ’ナヨ
힘들지만 괜찮아요.
6,願望の表現
良太さんをスターにしたいのです(←作りたいのです)。
リョウタッシルr スタロ マンドゥrゴ シッポヨ
료타 씨를 스타로 만들고 싶어요.
:「語幹+고 싶어요」=「~(し)たいです」
<問題>
1,この料理はおいしいでしょう?
イ ヨリヌン マシッチョ?
이 요리는 맛있죠?
2,天気が悪いけど遊びに行きたいです。
ナルッシガ ナップジマン ノルロ カゴシッポヨ
날씨가 나쁘지만 놀러 가고 싶어요.
3,駅までは遠いですね。
ヨッカジヌン モネヨ
역까지만 머네요.
<パッチム型>
1,可能の表現
飛行機のチケット2枚手に入れることができますか?
ピヘンギ ピョ トゥジャン クハrス イッソヨ?
비행기 표 두장 구할수 있어요?
・「語幹+ㄹ/을수 있어요」=「~(する)ことができます」
・パッチムㄹは「ㄹを取って+ㄹ수 있어요」
2,不可能の表現
a) 語幹 + ㄹ/을 수 없어요 =「~(する)ことができません」
b) 못 +動詞 =「~(する)ことができません」
못=~(する)ことができない
お母さんは僕と一緒に行くことができません。
オmマヌン ナラン カッチ モッカヨ
엄마는 나랑 같이 못가요.
3,目的の表現
ここに何をしに行かれますか?
ヨギ ムォ ハロ ガセヨ?
여기 뭐 하러 가세요?
・「語幹+러/으러」=「~(し)に」
4,提案の表現
一緒に夕食を食べましょうか?
カッチ チョニョグン モグrッカヨ?
같이 저녁은 먹을까요?
・「語幹+ㄹ / 을까요?」=「~(し)ましょうか?」
5,理由の表現
時間がないから早くしなさい。
シガニ オプスニッカ ッパルリヘヨ
시간이 없으니까 빨리해요.
・「語幹+니까/으니까」=「~(だ)から」「~(な)ので」
5,意志や約束の表現
新しく入る練習生を紹介しますね。
セロ トゥロヌン ヨンスpセンウr ソゲハrケヨ
새로 들어는 연습생을 소게할게요.
・「語幹+ㄹ게요/을게요」=「~(し)ますね」「~(し)ます(から)」
<問題>
作る=만들다
作ることができます=만들 수 있어요
作りに=만들러
作りましょうか?=만들까요?
作るので=만드니까
作りますね=만들게요
<陰陽母音型>
1,依頼の表現
いい所を教えてください。
@教える=갈치다
チョウン テルr カルチョ’ ジュセヨ
좋은 데를 갈쳐 주세요.
・「語幹+아 / 어 주세요」=「~(し)てください」
2,状態の継続の表現
人(たち)が集まっています。
集まる=모이다
サラmドゥリ モヨ イッソヨ
사람들이 모여 있어요.
・「語幹+아/어 있어요」=「~(し)ています」
<ワンポイント>
予約したいのですが。
イェヤカゴ シップ’ンデヨ
예약하고 싶은데요.
予約変更したのですが。
예약 변경하고 싶은데요.
予約取り消したいのですが。
예약 취소히고 싶은데요.
<フィナーレ>
いらっしゃいませ。
オソ オセヨ
어소 오세요.
何をお探しですか?
ムォr チャジュセヨ?
뭘 찾으세요?
ジャケットを買いに来ました。
チェギ ッサロ ワッソヨ
재킷 사러 왔어요.
ジャケット何色ですか?
チェギッ ムスンセッカr?
재킷 무슨 색깔?
黒色ありますか?
ッカマンセk イッソヨ?
까만색 있어요?
黒色のジャケットあります。
ッカマンセk チェギッ イッスmニダ
까만색 재킷 있습니다.
こちらはどうですか?
イゴ オッテヨ?
이거 어때요?
かっこいいですね。
モシンネヨ
멋았네요.
これを着たいです。
イゴr イpコ シッポヨ
이걸 입고 싶어요.
はい、いいですよ。
ネ、チョアヨ
네, 좋아요.
お似合いですね。
オウrリシネヨ
어울리시네요.
いいですね。これを買いたいです。
チョアヨ、イゴr カゴ シッポヨ
좋아요. 이걸 사고 싶어요.
お会計してください。
ケサネ ジュセヨ
계산해 주세요.
これを着てデートしましょうか?
イゴr イpコ デイトゥ ハrッカヨ
이걸 입고 데이트할까요.
お客様、出口はあちらです。さようなら。
ソンニm ムヌン チョジョキmニダ アンニョンイ ガセヨ
손님 무은 저쪽입니다. 안녕히 가세요.
<おまけ>
知ることは力なり。
アヌン ゴシ ヒミダ
아는 것이 힘이다.
子曰く、参(しん)よ、吾が道は一(いつ)もってこれを貫く。曽子(そうじ)曰く、唯(い)。子出(い)ず。門人問いて曰く、何の謂(いい)ぞや。曽子曰く、夫子(ふうし)の道は忠恕(ちゅうじょ)のみ。
先生が曽子を呼んで言われた。「参よ、自分の道は一本を通してきたのだぞ」と。曽子が答えた。「わかりました」。先生が席を立たれたあとで、門人がたずねた。「大先生のおっしゃったのはどういう意味ですか?」曽先生が言われた。「大先生の道は忠恕。つまり真心と思いやりとにほかならない」。
※浩→孔子は、弟子たちの質問に対して、その性格、才能などに応じ、その長所を伸ばし、短所を正すように、それぞれ違う答えをしています。野田俊作先生もそうでした。孔子が最高の理想としていた「仁」や「礼」についての説明はまちまちで、統一されていません。共同体感覚の概念も同じかもしれません。孔子が「仁」や「礼」について多様な説明をしていても、確固とした理想があり、その考えは一つに統一されていて、これを、「一もってこれを貫く」と述べたのです。「忠」は自己の両親に忠実なことですが、それだけでは他人には通用しにくい。そこで、他人の身になって考える「思いやり」が必要である。それが「恕」です。この「忠」と「恕」が結合して一体となっているのが「仁」です。
私は、在職中に「現代社会」や「倫理」の授業で、ここを暗唱文に指定していました。わりと短くてしかも「仁」の意味がよくわかるからです。当時の生徒諸君の多くは、ほとんど意味を解さずに、ただ音声として反復記憶していたようですが、とても熱心に取り組みました。ありがたいことに、一部の元・生徒君から、このことがのちに役立ったという報告をいただきました。
上の解説にあったように、「忠」(真心)のほうは外から見えないので、他人が「忠」か「不忠」かはわかりません。どうやったらわかるでしょうか?それはその人の行い(行動)を見ればわかります。つまり、その人の行為に他者に対する“思いやり”が見えるかどうかです。今の世の中、この“思いやり”が欠如しています。反対にすぐキレる人や、“逆ギレ”する人が多いです。わが家の向かいにアパートがあって、そこの住人でしょうか、ときどき前の道に煙草の吸い殻を捨てています。紅がついているのでたぶん女性でしょう。放っておくと何日もそのままです。ご近所のどなたも拾わないので、結局私が拾って始末します。常にきれいにしておくと、捨てにくくなるはずですが、何日かあとにはまた捨ててあります。カミュの「シーシポスの神話」みたいです。でも愚痴を言っても仕方ないので、見つけたら拾って始末しています。家の前の道がきれいですと、自分の心もきれいになったような気がしますから、これも結局は私利私欲のためです。それでも南隣の奥様はとても綺麗好きで、毎日欠かさずおうちの前の道を清掃されます。この方をお手本にさせていただいています。
第40課 “被bei4”「誰々に~された」(受け身形)」
<スキット>
Ni3 zai4 xiang3 shen2me ne? Bu2 yao4jin3 ma?
你在想什么呢? 不要紧吗?
何を考えているの?大丈夫?
Wo3 jin1tian1 bei4 liu2 shi1fu pi1ping2 le.
我今天被刘师傅批评了。
私は今日劉師匠に叱られました。
Shun4feng1 shuo1 ni3 mei3tian1 lian4xi2de hen3 xin1ku3, rang4 wo3 lai2 kan4kan ni3.
顺风说你每天练习得很辛苦,让我来看看你。
毎日の練習が大変だから様子を見てきてって順風が言ってた。
Zhe4 shi4 ta1 gei3 ni3 de.
这是他给你的。
これは彼から(あなたのものに)。
Zhe4 shi4 liu2 shi1fu de bao1zi shi2pu3……xie4xie nin2!
这是刘师傅得包子食谱……谢谢您!
粒子抄の肉饅のレシピだ!……ありがとうございます。
<単語>
@ 在 zai4 = 「~しているところ」(動作行為の進行)
@ 要紧 yao4jin3 = 深刻だ
@ 批 pi1ping2 = 「批判する」「叱る」
@ 得 de = lian4xi2 とhen3xin1ku3をつなぐ接着剤
@ 你的 ni3 de = deは「~のもの」(名詞化されたde)
@ 食谱 shi2pu3 = レシピ
<キーフレーズ>
Wo3 jin1tina1 bei4 liu2 shi1fu pi1ping2 le.
我今天跟被刘师傅批评了。
私は今日劉師匠に叱られた。
※文型
「A(される人)+B(する人)+動詞フレーズ」=受け身
※Bは省略できる。
Ting1shuo1 ta1 you4 bei4 pian4 le. 听说他又被骗了。 聞いた話によると彼はまた騙された。
<聞き取り>
You3you bei4 lao3shi1 biao3yang2 le.
友友被老师表扬了。
友友は先生にほめられた。
<エクササイズ> 「被(~された)」
私は財布を盗まれました。
Wo3 de qian2bao1 tou1 le.
我的钱包偷了。
☆注意
「盗 dao4」=(大量・貴重なものを)盗む
「偷 tou1」=(こっそり)盗む
私はひとしきり先生に叱られた。
Wo3 bei4 lao3shi1 pi1ping2le yi2 dun4.
我被老师批评一顿。
@ 一顿 yi2 dun4 = 一回分(ひとしきり) / 一度 yi2 du4 = 一度
Min2tian1 wo3 qing3 ni3 chi1 yi2 dun4 gan4 ba.
明天我请你吃一顿饭吧。
明日私がご馳走しますよ。
<ピンイン> 鼻音 n, ng
案内 an-nai (舌先が上顎につく)
案外 ang-ai (舌先は浮いている)
Hong2 deng1 ting2, lü4deng1 xing1.
红灯停,绿灯行。
赤信号で止まり、青信号で進む。
子曰く、位なきを患(うれ)えず、立つ所以(ゆえん)患う。己を知ることなきを患えず、知らるべきをなすを求むる也。
地位のないことが悩みではない、地位を得るだけの実力がないことこそ悩みである。自分を認めてくれる人がないということは悩みではない。人から認められるべき行為をするように心がけよ。
※浩→人間には遇不遇がありますが、それは問題ではない。あくまでも、自己の実力に自信を持ちうるように、実力を培えということで、学而編第一の、「子曰く、人の己を知らざるを患えず、知られざるをこそ患えるなり」、憲問篇第十四の「子曰く、人の己を知らざるを患えず、その能く(よく)せざるを患うるなり」、衛霊公篇第十五の「子曰く、君子は無能を病(なや)みとす、人の己を知らざることを病みとせず」などと同様の趣旨です。
組織の幹部になることを目指している人が多いですが、そういう人はたぶん「ピーターの法則」で、現在のポストより1つ上に上がると、そこで無能さが暴露されて、その位置で停滞してしまうそうです。その位置で有能だった人はすでにさらに上に上がっていますから、今度上がってきた人は、そのポストで無能さを曝すことになります。これを繰り返すことで、組織はいつの間にか無能者の溜まり場になるそうです。かつて、清心女子大の理事長・渡辺和子先生が、「置かれた場所で咲きなさい」とおっしゃっていました。これですね。ポストを気にせず、まず自分の無能をクリアーして研鑽と実践に励んでいると、ポストは向こうからやって来るのでしょう。コロナ以後、私には来ませんが(笑)。いや、私が高齢者になったからでもあるのでしょうか。唯一、完全ボランティアではありますが、月1回の岡工講座だけが「自分の置かれた場所」になっていて、ありがたいことです。