7 青蜜柑姉二人抜く成長期 (コビトカバ)
抜くで、身長のことだとわかります。お子さんのことか、御自分のことか。
いずれにせよ青蜜柑がアクセントとなって、思春期の甘酸っぱい思い出も感じられます。
34 黄落や自閉児の持つ竹箒 (ナチーサン)
寂しいような光景ですが、私は美しい黄落に感じ入ってる子供の句とし、ポジティブな句としていただきました。
自閉症のお子さんは気持ちが向けば非常にコツコツとなしとげます。掃き清められた庭も見えてまいります。
39 毒と言ひ薬と言ふも彼岸花 (てつを)
このように詠まれると、彼岸花の毒も薬のように思えてしまうから不思議です。
それだけ花の幽玄な佇まいを句にした異色作。
53 走る事嫌いなんです秋うらら (コビトカバ)
スポーツの秋といわれていますが、わかります、私も走るの苦手ですと大声で叫びたい。
この句を思い出しながらスポーツ観戦です。
80 やんわりとかわす揉めごと秋桜 (弥生)
今年のコスモスは長持ちですね。さて擬人法かとおもいきや、体言止めで切っておられる。
自分を秋桜に投影したのではなく、秋桜を自分に取り込んだのがとてもよかったです。
91 僧の手にゼンリンの地図秋彼岸 (アイビー)
お彼岸のお坊様のまごつきが素敵かつほほえましい。
手にですから、スマホ版でしょうか。分厚いゼンリンの住宅地図が現代に甦りました。
111 独りごと言ひて夜寒の戸を立てる (あんのん)
長居の来客でもありましたでしょうか。夜寒という厳しい季語からそうおもいました。そこが朧の戸とはちがいますもん。
何と言っても「戸を立てる」がいいですね。これで夜寒が引き立った。
60 寝坊の子いちじくもぎて登校す
なんていい風景でしょうか。皆様にもぽっかりとした寝坊の記憶があるでしょう。絵本にしたいです。
起きてはちょっと恥じ、しかし登校の途中で子供らしさが出たのでしょう。
そんな寝坊の子がとても可愛いのです。こんな子が欲しいw、特選でいただきました。
もう眠いので明日以降に鑑賞文、書きます。
かをりさんへ
イチジクの句を特選に取って頂きました。
ありがとうございました。
よき時代でした。腹ぺこと対で思い出してしまいます。
あんなに睡眠を取ったのに背は余り伸びませんでした。
寝る子は・・・はどうなってるんでしょうか?
食いしん坊の玉虫は食べ物俳句が好きです。
アイビーの俳句鑑賞 その4
今月も無点句が少なからず出てしまった。中には「この句がどうして無点だったんだろう」と首を傾げるような句もあった。不遇な句としか言いようがない。こうした句も含めて、どこをどう直したらよかったのか考えてみたい。ただし、これはアイビーの独断に基づくものであり、違う意見や見方も当然あるべきだ。「何を見当はずれなことばかり書いているんだ」とのお叱りは覚悟の上である。活発な書き込みを期待してやまない。
秋の朝しゃれたお店のラテアート
ラテアートに馴染みが無いことが無点の最大の理由。では、どうすれば良かったのかと聞かれても、返答に窮すが。自分の知らないことは、スルーしがちなのは止むを得ない。「爽やかな目覚めのコーヒーラテアート」ぐらいか。
デパートや鮭弁当にまつしぐら
デパートの北海道フェアの様子を詠んだものか。若干、状況が分かりにくかったかも知れない。しかし、そのことが決定的な瑕疵とも思えないのだが…。
闇の道とぎれとぎれの虫時雨
「闇の道」が具体的にどの時間帯なのかをはっきりさせたい。「とぎれとぎれの虫時雨」というのが形容矛盾で、ひっきりなしに虫が鳴くのを虫時雨と言う。それと虫の種類を出す方が良いように思う。「早暁の間遠にたたく鉦叩」
走り過ぐ始発列車や露時雨
「露時雨」は露が一面、おりている状態で、雨が降ったわけではない。作者の建ち位置が分からない。いっそ、作者自身を始発列車の乗客にしたら面白い。『露時雨始発電車のいま発車』
純真な作風好み水澄めり
季語「水澄む」は、必ずしも川や池と言った水に関係のあるものに使われるとは限らない。むしろ水に関係ない事象に使った方が、俳句に深みが出る。この句のように幅広く使える利点がある。ただ、絵画なのか陶芸なのか、はたまた俳句なのか、ジャンルが不分明なのが難点。「純真な児童の絵画水澄めり」
新米や卵かけにて二膳なり
上五で切れ字「や」を使い、座五を「なり」と強く切るのはいかがなものか。上五は意味の上からも繋がっており、敢えて切る必要がない。「新米に卵をかけてお替りす」
総裁は突撃ラッパで秋もなし
初めての女性宰相・高市早苗新首相の誕生で、なにかと話題の多い最近の政界。その政治の世界を早速に詠んだ。座五の「秋もなし」というのは如何なものか。「総裁の突撃ラッパ天高し」
学びとは省みること道をしへ
「道をしへ」は斑猫の異名で、人が近づくと先に飛び、まるで道案内をするようだということからついた名。
上五と中七で人生の教訓を言っており、座五の「道をしへ」では即きすぎと感じた。ここは思いっきり離して「学びとは省みること小鳥来る」あたりでどうか。
雷鳥や俺を見つめて秋惜しむ
雷鳥と目と目が合った、こういうことはよくあることだ。上五の切れ字「や」は不要ではないか。「雷鳥と顔見合わせて秋惜しむ」
バス停の友見送るや萩ゆるる
助詞の使い方に一考を要する。それと「萩ゆるる」も良いが、友との別れる場面を詠んだのだから「零れ萩」はどうであろうか。「バス停に友見送るや零れ萩」
栗剥くや黒きかたまり虫いたり
表現をできるだけ簡素化し「虫食ひも構はず栗を剥きにけり」
ねこじゃらし空き地でじゃれし夕まぐれ
「じゃらし」が一句の中に2回出てきて煩わしく感じた。「猫じゃらし」は「えのころ」とも言うから、「ゑのころの戯れをりし夕間暮」
野路菊や誰からとなく始む歌
野路菊は菊の一種。座五の「始む歌」が窮屈で、字数の関係から止むを得なかったが文法的にも間違っている。語彙を少し工夫してみたい。語順を「野路菊や誰か歌へばみな歌ふ」
露草の挙る瞳に鳥翔てり
上五で切って二句一章のスタイルにしたい。「露草や眼上げれば鳥翔つて」
アイビーの俳句鑑賞:完
アイビーさんありがとうございます!
我が無点句鑑賞添削ありがとうございます。
やはりご意見いただくとあーそうだなーと
感心しています勉強足りないですね!
アイビーの俳句鑑賞 その2
秋彼岸木魚の漏るる森の寺 (和談)
お彼岸は春と秋、年二回あるが、ただ「彼岸」と言った場合は春の彼岸をさす。秋は「秋彼岸」というのが俳句のルールだ。秋彼岸を題材にして手堅く纏めた。ただ、全体的に句が大人しすぎる印象だ。説法を聞きに来る老人とか、寺の僧侶の仕草とかにスポットを当てるのも面白い。
あせぬまにゴンドラの唄秋夕焼 (えっちゃんあら)
「ゴンドラの唄」は戦前の流行歌だが、黒澤明の名作・「生きる」のラストシーンで志村喬が口ずさむ歌という方が分かりやすい。秋の夕焼けは、夏の夕焼けとは趣きが違い、色も淡く、すぐに消えてしまう。そんな儚い夕焼けのイメージに「ゴンドラの唄」の歌詞を重ねてみると、この句の味わいも増すのではないか。
身にしむや戦力外と言ふ非情 (てつを)
プロ野球も大谷選手らの華々しい活躍の蔭に、球団から戦力外を通告される選手が少なからずいる。勝負の世界とはいえ、非情の感ひとしおだ。考えてみれば、なにもプロ野球の世界だけでなく、一般の社会でも同じことが言える。しみじみと人生の悲哀を感じる今日この頃だ。季語の「身にしむ」が効果的。
人生を語る皺の手温め酒 (あんのん)
職業によっては手の形状も千差万別だ。節くれだった手、華奢な手とあり、人生そのものを雄弁に語る。老人の手であろうか、皺だらけの手もある。皺の一本一本に人生が刻まれているようだ。配するに「温め酒」を持ってきたのがお手柄だ。これしかないという季語だ。
ズック足袋ビリの思ひ出青蜜柑 (ちとせ)
平凡に「運動会」とせずに、季語を「青蜜柑」としたところに作者のセンスが窺える。ちょっと酸っぱい青蜜柑と、懐かしくもほろ苦い少女時代の思い出と取り合わせた。ただ、斜線を引いたところで三段切れになってしまった。「ズック足袋/ビリの思ひ出/青蜜柑」勿論、意味上は上五と中七は繋がっているから、三段切れではないという見方もできるが。やはり字余りになっても適当な助詞を入れたいように思う。
新米の袋を撫でて古米買ふ (ダイアナ)
待望の新米の出回る時期になった。新米だからと言って、袋そのものは古米と同じだ。ただ「新米」と印刷したワッペンが貼られているに過ぎない。お、新米が出たかと、一旦は買う気になって、すぐ考え直す。どうせ新米、新米と騒ぐのは今だけで、そのうち全部新米になる筈と、冷静に判断する。主婦感覚のにじみ出たユーモラスな一句。
モノクロの雨降り止まず破蓮 (ヨシ)
上五の「モノクロ」が良い。モノクロということは無色ということで、陰鬱な雨を思い浮かべる。破蓮のうち枯れた、見るも無残な様子と陰鬱な雨との取り合わせたところが上手いと思った。雰囲気のある一句。
黄落や自閉児の持つ竹箒 (ナチーサン)
特異な題材を俳句にされた勇気に敬意を表したい。俳句をつくってやるという強い気迫を感じた。黄落と自閉児、結びけそうにないものを結びつけ、しかも不自然さが全く見られない。私もあやかりたいと思う。
以下次号、不定期掲載。
玉虫さんへ
やっぱりそういう時代あったんですよね。共感出来て嬉しいです。お昼にジンギスカンとはさすが北海道ですね👍
おお!
同志よ!って思いました。
知ってますとも!何しろ其れを履いて運動会に出たのですから。
でも安いモノは直ぐに破れましたよね?其れで世の中の貧富を学んだのですから。
安いモノは底が破れる。一日だけの運動足袋でした。
当日一日だけの。やあ~ホントに懐かしいです。
私は北海道の空知地方の学校でした。運動会は応援の父兄の昼にジンギスカンを焼く匂いとか。
食いしん坊ですからその記憶が強烈。足の裏の石炭殻を踏んだときの痛さ。
グランドが整備されてなかったんですね。
因みに徒競走で賞を取ったのは、中三の一回きりでした。
運動も苦手。ちとせさん、懐かしかったです!
ちとせです
ズック足袋ビリの思ひ出青蜜柑
先月の自作の青蜜柑、郷愁の内容をとアイビーさんのコメントで再考の句です。皆さんズック足袋ご存知ですか、転校した小3〜6年運動会にズック足袋を履く、馴染みが無く、その後見かけた事が無く、今でも何だったのかと。
ズック足袋にビリの思ひ出青蜜柑
に直しました。アイビーさん有り難う御座います。選句して下さった玉虫さんズック足袋ご存知だったら嬉しいです🙇
管理人さん、割込みます、お許しを
嚶鳴庵俳句教室はあす(22日)です、
兼題は、秋天、猫じゃらしです、兼題と当季雑詠の合計5句を持参してください。
組み合わせは自由ですが、12時50分までに提出してください。
投句用紙は決められたものがあります。ない人には当日配ります。
この教室も、今年は10月、11月、12月の3回となりました。
ほんの少しでも進歩しているのならよいのですが、あれこれと自問自答の時間が増えました。
俳句の勉強はひとりでもできますが、句会だけはある程度の人数が必要です。
俳句仲間の講評にしっかりと耳をかたむけ、進歩につながって行けば、何かが見えてくるはず、
とにかく、お出かけください。
将棋竜王戦7番勝負第2局は68手で後手番藤井聡太竜王が挑戦者佐々木勇気八段を降し2勝目を挙げた。午後3時過ぎの終局であっけない幕切れとなったがこの勝負挑戦者の作戦負けと思われる。佐々木八段の奮起が望まれる。なお第3局は10月31日から京都は仁和寺で行われる。その直前28日には王座戦5番勝負の第5局が山梨県甲府市で伊藤匠八段との間で行われ藤井七冠の正念場が問われることになる。
藤井竜王強し
藤井竜王2連勝おめでとう御座います。
佐々木八段次は頑張れー
28日の王座戦最終局は見逃せませんねー!
アイビーさん、秋桜の鑑賞ありがとうございます。
あまり深く考えずふと浮かんだ「やんわりとかわす」を、褒めていただき恐縮しております。
弥生
アイビーの俳句鑑賞 その1
梯子獅子豊作祝ふ新酒かな (ヨヨ)
梯子獅子は知多市朝倉地域の伝統芸で、見物人をハラハラさせる曲芸に近いこともやる。本来は、豊作を祝い演じる。梯子獅子に新酒を配した作者の意図が明瞭な一句だ。
酢を垂らし骨ごと食らふ鰯かな (ふうりん)
酢と一緒に鰯を煮るのは定番料理だ。今年は鰯の豊漁が伝えられるが、秋刀魚と並んで秋の味覚にとって嬉しいニュースだ。旨くて骨まで食べられるのが鰯の真骨頂。おかげでご飯が進む。
天高くワイヤー太き河童橋 (尾花)
青く澄み渡った空。まさに「天高し」の季節だ。上高地の河童橋はシンボル的な吊り橋で、観光客の旅情を満喫させてくれる。「ワイヤー太き」との描写が上手い。それで季語の「天高く」が生きている。「天高し」と上五で切る手もあったように思う。
主いぬ萩咲く庭にある愁思 (森野)
多分、作者の夫は既に亡くなっているようだ。それでなくとも秋はもの想うことが多いのに、亡き夫遺愛の萩が咲き揃った。風にそよぐ萩を見て亡き夫を偲び、回想に耽る。「萩」と「愁思(秋思)」で季重なりになるが、それを承知の上でのことと思われる。しかし「萩」も「愁思」もこの句の重要なファクタだと私は感じた。「愁思」を別の言葉に置き換えて見たらどうであろうか。私からの提案である。
戒名は要らぬ蓮の実飛びにけり (ABCヒロ)
二句一章の句。蓮の実が飛ぶことと、戒名が不要なこととは、直接に関係しないが、微妙に響き合っている。二物衝撃の効果を狙ったものと思う。「戒名は真砂女でよろし紫木蓮(鈴木真砂女)」を髣髴とさせる一句。
酒飲みの歌聞かされる良夜かな (コビトカバ)
うんざりしたか、うっとり聞きほれたか。「聞かされる」という文言があるので「ぼやき」にも聞こえるが、まんざらでもない雰囲気が伝わるようでもある。その答えは、座五の「良夜かな」で明らかである。
やんわりとかわす揉めごと秋桜 (弥生)
秋桜はコスモスのこと。弱い風でも揺れやまぬコスモス。風とコスモスを詠んだ句は、それこそゴマンとあるが、それを逆手に取って「やんわりとかわす」としたあたり、上手いこと処理したなあと感じ入った次第。
以下次号、不定期掲載。
酒飲みの句を鑑賞頂きありがとうございます!
聞かされ、そして聞かす!!
酒を飲む事と歌を歌う事は切り離せないのです(^з^)
大変失礼なことを申し上げました。確認すれば済むことを、確認を怠りました。
アイビーさん
天高しワイヤー太き河童橋
天高しで切れを入れた方がいいですね! ありがとうございました。
それから
68主いぬ萩咲く庭にある愁思(森野)
この句ですが、森野さんのお知り合いの方の庭と思われます、私も感動して選句させていただきました。
森野家のご当主はとてもお元気でいらっしゃいます、他事ながらご安心を。
令和7年度芭蕉翁献詠俳句大会は、去る10月12日に伊賀市で行われました。特選、入選句の発表がありました。アイビーも投句したのですがカスリもせずにあえなく全滅。
中で連句部門に投句された愛知県・伊賀連句会の皆さんが特選に輝きました。講のメンバーの中に当ネット俳句の常連投句者のヨシさんも入っています。ヨシさん、晴れの特選おめでとうございます。
詳しくは伊賀市の「伊賀タウン情報YOU」をご覧ください。
アイビーさん、連句のことを取り上げていただいて有難うございます。
名古屋から来て頂いた先生のお捌きのもと伊賀連句会の半歌仙が特選を頂きました。松尾芭蕉の生誕地で初の特選なので連衆の皆が喜びと感謝でいっぱいです。
連句は俳句と川柳の原点です。ご興味があればまた…(^^)