MENU
83,809

アドラーのとおりにできないストレス

Q 
 アドラーのとおりにできないことがストレスになります。

A
 はい。私もなります(爆笑)。スポーツに例えると、強打者は打率3割と言うが、それは、ピッチャーが投げたボール3つに1つ打っているわけではない。1打席10球くらい投げるから、それの3つに1つ、つまり30に1つしか当たらない。それで強打者と言われる。その人たちもときどきスランプに陥る。悩む。また立ち直ったりする。アドラー心理学も一緒です。100発100中は当たらない。失敗もする。ムカつきもする。子どもにひどいことを言うかもしれない。
 人間は神様ではないしロボットでもない。中間へんの大変不完全な存在ですから、当然そうです。子どもに悪いことをしたと思ったら、「ごめんね」と謝ればいい。あのやり方は悪かったと思えば次からやめようと思えばいい。
 ずっと一生アドラー育児のほうに「向かって」生きていけばいい。アドラー育児が完璧にできているというのはそれは無茶です。(回答・野田俊作先生)

引用して返信編集・削除(未編集)

過去の体験と似たことが最近あったが……

Q 
 最近、7人の仲間と外国に研修旅行に行きましたが、予想していたのと違い、緊張のなかなかとれない自分がそこにいました。まわりの仲間を見ると、自分とは違い、すっかりリラックスしてすべてを心から楽しんでいるように見え、そのギャップに劣等感を感じてしまいました。そうすると自分に自信がなくなり、話をすることが恐くなり、黙ってしまいがちになるという体験をしました。
 このときの感じって、35~40年くらい前に、1~2年で転校して(小学校から高校まで)新しい学校で過ごしたときと、同じような感じだと気がつきました。こういうことは関係があるのか、それとも、私がこじつけて理由づけをしているのか、よくわからなくなっています。

A
 こじつけてというのも変だけど、アドラーはこう言っています。「記憶は、現在の目的に応じて思い出される」と。だから、昔その出来事があったから、現在があるんじゃなくて、「現在こうだから、これに関係のある出来事はあったかな?……ああ、あれだ、あれだ」というふうに思い出しているんです。だから、記憶が原因で現在が結果じゃなくて、現在が原因で記憶が結果なんです。
 記憶なんかにこだわらないで、「じゃあ、代わりに今何をしたらよかったのか」を考えてみればいい。いつもアクション、体が何をするか、言葉が何をするか、筋肉が何をするかが、自分と世界を変えていくんです。いくら考えたって無駄です。考えは必ずしも外の世界を忠実に反映していません。「こうやったら、うまくいくはずだよ」と言っても、うまくいかないことはいっぱいあります。
 私は、理科系大学の出身ですから、大学生の間も、大学を出てからも、“実験”をよくやりました。“実験”というのは、自分でまず計画を立てます。「こうこうこうしたら、こうなるんじゃないか」と思う。でも、実験したら全然そうならない。全然そうならないから実験するわけじゃないですか。実験する前に考えて、こうやったらこうなるはずだとわかって、そのとおりになるんだったら実験しなくていい。
 人間関係もそうで、「こういうふうにやってみたらどうだろうか、ああだろうか」と考えてみたことは、実験してみないとアテにならない。例えば、子どもがご飯をしっかり食べてくれて、「まあ、全部食べてくれてありがとう」と言うと、きっと子どもは喜んで、勇気づけられて、お母さんにニコッとするだろうと思った。そこで、子どもがご飯を食べたときに、「まあ、全部食べてくれてありがとう」と言ってみた。ところが、実際には、「これが悩みなんだ。これでまた太るんだよ」と、子どもは言うかもしれない。あるいは、「食べてくれてありがとう」と言うと、憎たらしいことに、「お前に感謝される筋合いはない。俺が勝手に食べたんだ」と言うかもしれない。
 実験しないとわからない。失敗だったら、また別のアクションを考えればいい。人間関係というのは、そうやって変わっていくんだと思います。
 こういう、集団の中に溶け込めないというのは、今まで見ていてだいたい答えはわかります。100%そうではないかもしれないけれど、たいていは「人の話に興味を持たない人」がこれに陥る気がします。みんなと一緒にいて、自分が何かしなくてはいけない、自分がイニシアティブをとって、面白いことを言うとか、みんなを笑わせるとか、みんなに聞いてもらうとかしないといけないというところで苦しんでいるみたいです。それをやめればいいんです。
 他の人たちの話を、興味を持って聞くお稽古をすればいい。だから、海外旅行に行ったのなら、旅行先で、「今日、どうだった?」と聞きます。そしたら、誰かがしゃべるでしょう。「そうかそうか、そういう見方もあるんだ。自分は見逃したけど、他の人はそんな体験をしたんだ」「あそこはそんなに良かったのか」とか、そんなふうに人の話を面白がって聞いていると、必ずとけ込めるようになります。
 人の話を聞く力というのは、すごく大きな力です。アドラー心理学を学ぶと、だいたい最初に1つの技術として、聞き上手の技術として、人の話の聞き方を学ぶけれど、技術よりももっと向こうにある、他の人の話に興味を持つこと、アドラーが言ったとおりに言えば、「他人の関心に関心を持つこと」を、われわれは学んでいかなければならない。「他人の関心に関心を持つこと」というのは、アドラーが言った“共同体感覚”という言葉の1つの定義です。
 私は、電車の中でも、隣に座ったおにいちゃんとおねえちゃんが話しているのを結構盗み聞きしています。面白いことを言っています。人間がしゃべっていることって、とても面白いことが多い。だから、家族が話していることとか、おじいちゃんやおばあちゃんが話していることとか、いろんなことを一生懸命聞きたいと思います。
 私は釣りが好きですが、今の季節、3月1日から9月30日までは、渓流で釣りをしますから海には行かないんですが、10月1日から2月28日までは禁漁期になるので、海に行きます。渓流では1人で釣りをしますから、誰とも会わないけど、海にはたくさんの人がいます。海に行って波止場にいると、いっぱいおじちゃんたちが釣りをしていて、これが面白い。何か、「ああでもない、こうでもない」と話している。
 だいたい、おじちゃんたちは家で邪魔にされています。奥さんとか子どもたちに放り出されて、みんな行くところがないから、しょうがなくて波止場に来て、釣れもしない魚をじっと待って、その間暇だからみんなでおしゃべりをしている。そのおしゃべりを聞いています。そんな波止場にいると、身分・階級がない。大工さんでも、日雇い労務者のおじさんでも、お医者さんでも、学校の先生でもみんな平等、同じ釣り人。そこでの話って、まあみんな1杯飲んで話をしてるし、ちょうど立ち飲み屋で話をしてるみたいで、たとえ何も釣れなくても、1日おじさんの話を聞いているの、好きです。この間、沖縄で釣りをしました。そしたら、沖縄の人って、方言で話すから、残念なことにひと言もわからなかった。
 他の人の話に関心を持つ。つまんない話をみんな一生懸命しているのは、きっと面白いからで、それを聞くというお稽古をすると、集団に溶け込めるようになると思う。子どもたちも集団に溶け込めないで悩んでいる子がわりといるので、みんなそうやって教えます。自分で何かしようとするんじゃなくて、相手のお話を、とにかく面白がって聞くというのをお稽古してみましょう。(回答・野田俊作先生)

引用して返信編集・削除(未編集)

21歳息子とうまくいかない母です

Q
 夫との協力関係は良いと感じていますが、息子(21歳)とはなかなかうまくいきません。考えながらできる限り仲良くなれるように努力したいと思っています。

A
 女親に対して、20歳代の男の子があまりなつかないというのは、正常なんです。なついたって別にいいけど、でも、なるべく距離をとっておきたいと思う子たちがいます。それは、大人になるために必要なことみたいです。他に女の人、ガールフレンドとか奥さんとかができて、もう少し大人になったら、母親とまた違う関係を持てるようになります。だから今、20歳代の男の子としっくりいかないのも、あんまり急いで努力しないほうがいいと思う。そんな発達の時期です。
 女の子だって、高校生くらいから25歳くらいまでは、父親にあまりなつかなくても、そう不思議じゃないでしょう。うちはよくなついています。うまく躾けたなと喜んでいます。でも、なつかなかったとしても、そう動揺することはなくて、異性の親に対しては、そういう時期に少し距離をあけたくなる子どもたちがいるんです。それは、彼らの発達のために大事なことだと思うから、慌てないでもう少し時を待ってください。(回答・野田俊作先生)

引用して返信編集・削除(未編集)

子どもの内面に秘められた心

Q
 最近、子どもの内面に秘められている心を理解できなくて悩んでいます。日ごろの関係の至らなさとは思いますが、どんな話しかけをしていったらいいのかわからないので、よろしくお願いします。

A
 内面に秘められた心は、たぶんないと思う。あるかもしれないけど、たぶんないほうに賭けます。
 親に話をしないということについては、2つ理由があります。1つは、何も考えてないからで、もう1つは、考えてるけど、親に話すともっと事態が悪くなると思っているから。そのどっちかです。
 どっちにしても子どもは、さしあたって自分の力でやっていこうとしているんです。だから、子どもが自分の力でやっていくのを信頼しましょう。親子関係が変わってくると、話してくれることもありますしね。
 高橋さと子さんのところにも3人子どもがいて、その子たちが順番に石垣島でお母さんがスマイル(「パセージ」の前身)をするのについて行ってます。一番上の子は27歳かな?今回は、一番末のお嬢ちゃんが来ていて、彼女は22歳じゃないかな?それくらいの年齢の娘さんが、母親と一緒に遠いところに旅行に行くというのは、これはちょっと素敵なことだと思いませんか。萩昌子さんのところは、今度息子と一緒に、モルジブへダイビングに行きます。この子も20歳になりましたが、20歳の男の子が母親と一緒にダイビングに外国まで行くというのも、すごい素敵なことだと思いませんか。娘さんはこの間、お母さんと一緒にスペインに行きました。遊び回っていますね、この母子は。
 そういう関係になるには、長い時間の積み重ねがあって、本当に横の関係でつきあっていて、親は助けにはならないかもしれないけれど絶対に邪魔にならないと、子どもが確信しているんです。アドラー心理学をしっかりやれば、親は子どもの望まないことを押しつけない。それはもう、絶対確実だと思います。
 子どもを助けられないことはあります。例えば、子どもが恐喝に遭って2万円盗られて、すごく落ち込んでいる。そのときは助けられないんです。子どもが落ち込んで、「2万円も盗られちゃった」と言うと、「残念だったね」くらいしか言えない。
 よく考えてみると、子どもは別に、「助けてほしい」と言っているわけではない。ただ、「自分は2万円盗られて馬鹿だった。この次からは、2万円も持って歩かないようにしよう」とか、「ヤバいやつのいるところには、近寄らないようにしよう」とか、子どもが自分で勝手にいろんなことを決心していくのに、しゃべりながらのほうが決心しやすいから、私に向かってしゃべっているだけなんです。
 こんなふうに助けられないこともあるけど、でも助けられることもあります。うちの上の娘が、高校を出て専門学校に行きましたが、1年したらイヤになって、「お父さん、学校やめたいんだけどどう思う?」と言うから、「私がどう言うと思う?」と聞きました。すると、「やめてもいいと言うと思う」と言いました。実際私は「やめてもいいよ」と言って、娘は学校をやめました。
 どんなことであれ、子どもが決めたことに反対しないことにしているんです。極端ですが、ひょっとしたら、「自さつします」と言っても反対しないかもしれません。まあ、「自さつ、退職、離婚はいつでもできるから、もう少し延ばしたほうがいいと思います」くらいは言うかもしれません。ですが、反対はしない。手伝えることがあれば手伝う。
 そのへんがはっきりしてくれば、子どもの話が聞けるんじゃないかな。何しろ、こっちがありがたい言葉をあげようと思っていると、子どもは話をしてくれない。子どもにとってはありがたくないからね。
 秘められた心なんてあるかなあ。言いたくない心はあるけど……。(回答・野田俊作先生)

引用して返信編集・削除(未編集)

小3の子が朝、腹痛・咳で登校しない

Q 
 小学校の養護教諭をしています。3年生の子どもが朝になるとお腹が痛くなったり、咳が出たりで、1か月近く登校していません。担任からどのように助言したらいいかと相談されています。何かアドバイスをお願いします。

A
 子どもが、ぼちぼち登校拒否をしようかと思っているのかな?どうかな?
 こんなときは、子どもから注文を取ります。例えば、「訪宅してもいいかどうか」子どもに聞く。あるいは、「電話に出くれるかどうか」とお母さんを通じて聞く。子どもが「そうしてほしい」と言うことはする。子どもが「それはイヤだ」と言うことはしない。子どもが「来ても会わない」と言えば、「じゃあお母さんと会います。そのとき、あなたは逃げていていいよ。絶対あなたを追いかけないから」と話し、行ってお母さんと会います。そのとき、子どもはきっと隣の部屋とかで聞いていると思います。だから、子どもに聞かれているということを覚悟で話をします。そんなふうに、いつも子どもから注文を取ります。子どもの願うことはするし、願わないことはしない、これが第1点。
 それから、お話をするとしたらどんな話をするか考えなくてはいけない。子どもが勇気づけられる話、元気の出る話をしたい。子どもが不安になる話、焦る話はしたくない。家へ行って、学校に行ってない子どもに、「早く来いよ」と言うと、子どもは勇気づけられるか、勇気づけられないか?「こんなことじゃあ勉強が遅れるぞ」と言うと、勇気づけられるか、勇気づけられないか?「まあ、ゆっくり休めよな」と言うと、勇気づけられるか、勇気づけられないか?「学校の勉強について、何か手伝おうか?」と言うと、勇気づけられるか、勇気づけられないか?「クラスの子どもに来てもらおうか、どうしようか?」と言うと、勇気づけられるか、勇気づけられないか?
 1つ1つ考えないといけない。こんなのをその場で考えると混乱するから、だいたい先にメニューを作り、今日はこれくらいの話をしようと考えておきます。それで、子どもが元気になる側だと思われることを言います。
 それから、クラスの子にどう説明すればいいかも、その子どもに聞きます。子どもが何も言わないんだったら、例えば、「『体の病気で休んでいます』と言おうか?それとも、『少し学校に行きたくない状態で休んでいます』と言おうか?」と聞きます。
 全部そうやって進めるのが一番良いと思います。大人が勝手に決めてしまわない。何しろ大人と子どもは対等ですから、協力ですからね。(回答・野田俊作先生)

引用して返信編集・削除(未編集)
合計728件 (投稿722, 返信6)

ロケットBBS

Page Top