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「自主的」と「主体的」の違いは?

Q 
 「自主的に動く」と「主体的に動く」の違いは?

A
 わりとみんなこんな質問をしますねえ……。
 「自主的」とか「主体的」とかいうのは、「クジラ」とか「オットセイ」と一緒で、引き出しのラベルなんです。例えば辞書、広辞苑とかその他の辞書を読むと、いろいろ書いてありますが、中身はあんまりアテにならない。辞書というものは、まあ一般的な日本語で書いてあるわけで、辞書に書いてあるのは、ある学者がある論文の中で、ある文脈で使った言葉ではないんです。こういう「主体的」とか「自主的」とかいうのは、まあ哲学的というか科学的な言葉で、そんなのはある学者がある論文なり本の中で、ある文脈で使うから、そのひと言はみんな違います。だからその人の元の文章を読まないとわかりません。
 私には私自身の使い方があって、「自主的」という言葉は使いません。論文の中で学術用語としては使いません。使った覚えはありません。「主体的」は使ったことがありますが、辞書と違う、ものすごく変わった定義で使っています。
 アドラー心理学の基本前提に「個人の主体性」というのがありますが、「自主的」と「主体的」の違いは、私の中では比較できません。なぜなら、「自主的」という言葉を使わないから。そして、私の使っている「主体的」は簡単に説明できないから。何ページも論文を書かないといけないことだから。それは、広辞苑なんかに書いてある意味とは違います。いつも科学的に使われている言葉というのはそうなんです。
 例えば、「サクラ」はバラ科の植物です。でも「サクラ」は「バラ」とは違います。バラ科というのは、「バラ」のことではない。「バラ」と共通のある特徴を持った花の咲く植物の一群を「バラ科」と学者たちが言ったんです。それは「バラ」ではない。「キャベツ」はアブラナ科ですけど、「キャベツ」は「アブラナ」ではない。そんなふうに学術的に使われている単語というのは、たまたま世の中で辞書に載っている単語と一緒であっても、いつも意味は違います。だから、「自主的」とか、「主体的」とかいうのも、使う学者によって全部意味が違います。あまりそんなところにこだわらないほうがいいと思います。ある学者の書いた本とか、論文とかを読んで、そこで使ってあるとおりに使ってあるんです。(回答・野田俊作先生)

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5歳女児が「さびしい」と言い、また怒られることばかりする

Q 
 幼稚園へ来る5歳(年長)の女の子が、「友だちがいないので、さびしい」と言ったり、家では言うこと聞かず、怒られることばかりしています。友だちと遊ぶ姿を見ていると、友だちのイヤがることをしたり、わがままを言ったりしています。この子が悪いのだろうとは思うのですが……。
 1歳4か月で両親が離婚して、父親と祖母が育てています。父親の弟も同居していて、大人の中で育っているといった感じです。どうすればお友だちができて、もっと素直な子になるのでしょうか?何かさびしいのでしょうか? 性格は思いやりのある子で、とても世話好きです。

A
 1つは、「さびしい」という感情が原因で行動するということはない、ということ。
 アドラー心理学はいつもそう考えます。感情は行動の原因ではない。感情は目的のために使われる手段だと思う。「さびしい」という感じを出すと、誰かがそれに反応して動くので便利だから、「さびしい」フリをしているんでしょう。だから、子どもがどんな感情を持っているのかは、あまり気にしなくていいんです。
 まあ、「さびしい」と言うとか、言うことを聞かないとか、怒られることばかりするとか、そういう形で人とコミュニケーションするやり方しか知らないんです。だから、もっと良い形でたまたまコミュニケーションしているときにこっちが応えてあげれば、良い形でコミュニケーションすることを覚えます。
 子どもの不適切な行動にわれわれが反応していると、子どもは不適切な行動でコミュニケーションすることを学びますし、子どもが適切なコミュニケーションしているときにわれわれが反応すると、子どもは適切な行動をすることを学びます。
 だからまず、この子が友だちとたまたま遊んでいるときとか、あるいは、大人に向かってたまたまいいことを言ってくれるときとか、たまたまお手伝いしてくれるときとかに、しっかりお礼を言うことです。「今日はちゃんとお友だちと遊べてステキだね」とか、「お手伝いしてくれて、ありがとう」とか言っていると、適切な行動は増えます。「今日も遊べないの?」とか、「まあ、そんなことばっかりして」とか言うと、その悪い行動は増えます。
 原理は単純です。「不適切な行動に注目を与えないこと」、「適切な行動に丁寧に意識して注目を与えること」、「感情が原因で、子どもが動くと思わないこと」、「感情だけでなくて、すべてコミュニケーションの手段として、何もかもが使われている、ということがわかること」。(回答・野田俊作先生)

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権力争いしている小6男子

Q0470
 小学校教師です。担任ではありませんが、週1回1時間担当クラスの6年男子(1年時から問題を投げ続けている児童だと思います)が、11月中旬くらいから荒れ始めてきました。他の児童に暴力をふるい始め、それを止める方向には成功したのですが、今度は早退という方法を取り始めました。やりとりの失敗から、彼の「顔だけは出す」という早退作戦に苦戦しています。3回ほど続いたので、前回、他の教室にいる彼を戻そうとしたところ、2回ほど蹴られてしまいました。どうもこの件をきっかけにして、担任の教室でも教師への挑発的行動が出てきて、クラスの児童への暴力もエスカレートしてきたようです。学校全体として、今回の教師への暴力について、「捨てておけない!」という考えがあって、これを機に、母親に切り込んでいこうという流れがあります。この母親は大変なパワーの持ち主で、前半やはり今ごろ担任を自さつに追い込み、前前年度は6月に新担任を病欠に追い込みました。今も休暇中です。私は、学校を敵視している母親に挑戦しても何も得られない気がします。付け焼き刃のアドラーで対応していて当然ながら下手に出る私に対して、声が大きいです。まあこれは対教師側の問題なので置いておくとして、彼にクラスに参加してもらうにはどうすべきなのでしょうか?これは彼の課題ですから、これ以上かかわるべきではないのでしょうか?

A0470
 答えは簡単なんですけど、実行できないんですよ。生徒に謝ればいい。これは権力争いですね。典型的な権力争いで、「すみませんでした。私のほうが間違っていました」と言えば全部終わるんですけど、学校の先生が一番できないことは謝ることなんです。もしもこの人が謝ったら、学校中の他の先生から非難囂々になります。学校というのは決して間違わない。いつも常に正しいと彼らは信じているから。構造は権力争いで、教師と生徒がどっちがボスか決めようとしていて、今のところ生徒が勝っているんですね。しかもどっちがボスか決めるゲームにお母さんも乗るのが好きみたいで、今までお母さんが勝ってきたんです。徹底的に打ち負かされる前に早く謝ったほうが傷は小さくてすみます。(回答・野田俊作先生)

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パーキンソン病

Q 
 お姑さんがパーキンソン病になり入院してたのですが、今は退院して家にいます。今日の野田先生のお話を聞き、このお母さんとのつきあいですごく自分の胸に刻むことが多かったです。お話を聞くまでは、鬼になり楽しんでいじめようと思っていました(ひどい目に遭うよ。)楽しんでいじめると私が上になり、かわいい老人になってもらえないので、よその人に「あの娘は悪い嫁だ」と言われても困るのでやめます。尊敬信頼し課題の分離をし過保護にならないようにいじめないでつきあっていこうと思います。私はパーキンソン病に対しての知識がありません。病気について何かお話してください。またこれからこの人とどのようにつきあっていったらいいでしょうか?

A
 あのね、パーキンソン病というのは普通ボケないんです。普通というのはボケるパーキンソン病もあるけど。パーキンソンとボケが一緒に出てくることがないことはないのでね。まあ、普通ボケないです。で、症状は要するに体が動きにくくなるんです。脳のある部分がだんだんすり減りまして、体の基本的な緊張感が変な感じになって、例えば歩いていると歩き始めるのにすごい時間がかかるんです。歩き始めると今度は止まるのに時間がかかるんです。トトトトト…ドスンとぶつかったりするんです。手なんかも動き始めるまですごい時間がかかって、動くと今度は止められなくて向こうへ行っちゃうんです。そういう障害なんです。昭和天皇陛下がパーキンソンでしたね。歩いているお姿が立派なパーキンソンだなと、だいぶ長いことパーキンソンをやられました。10年以上やったんじゃないかな。10年以上パーキンソンでしたけど、ちゃんと公務を最後倒れられるまでなさっていましたから、パーキンソンでも周囲の対応がいいとちゃんとできますので、あんまり心配しなくていい。お薬も根本的に治療するお薬があります。根本的というのは、いっぺん飲んだらずっと飲まなくていいのではなく、ずっと飲まないといけないんですけど、パーキンソンのときに体の中に不足している物質を補うことができるようになっています。根本的に治療できるお薬はあるんですが、ただ副作用があるんです。その副作用のために使えない場合もあるんです。ですからひょっとしたら使えないこともあります。手術はたぶん駄目です。手術法もないことはないけど、あんまり成績は良くない。神経内科の専門のお医者さんに相談してやっていけば、他の病気で死ぬまでやっていけます。昭和天皇がそうであったように、パーキンソン以外の病気で死ぬとか老衰で死ぬとかまではやっていけると思います。あんまり心配しなきゃいけない病気ではないです。まあ、お医者に相談してやっていってください。普通の年寄りとつきあうのと同じようにやってください。ただ動くの手間がかかり、止まるのに手間がかかりますから、家事なんかやってもらうのにちょっと気をつけたほうがいいです。
(回答・野田俊作先生)

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ボケ対策

Q
 最近、ボケに関する本を読みました。公務員、教師、警察官などいわゆる固い安定した職業の人は、定年の1,2年前からボケになる人の割合が他の職種に比べてずっと高いそうです(ありそうですね。)わが身を振り返って恐ろしくなります。野田先生が公務員を辞められたのはリスクを持つ生き方を選ばれたからでしょうか?これがボケに対する最もいい対策なのでしょうか?

A
 私が公務員を辞めた理由は過激発言をするためです。公務員をやっていると、言論の自由がちょっとないんですよ。友だちに2人ほど刑務所に入っている人がいまして、1人は北海道庁なんかに爆弾を仕掛けた罪で、過激派なんですけど、懲役18年をくらいました。今も刑務所にいます。そういう人とつきあうのは、裁判所職員としてはいささかいかんのではないかということが1つ。もう1人は学校の先生で、少女売春を買ったとか良からぬことをいっぱいしまして、いろいろ。で、児童福祉法違反なんかもあって悪質だったので、くらい込んでしまったんです。友だちですしね、その人の減刑嘆願署名なんか来たときに、ちょっと書きにくいんです。これイヤなんです。言論の自由がないんです。役割と自分の立場とがバラバラになっているから、自分の心に正直に生きたいと思ったのが辞めた理由です。でもこれは今の話と関係があるんです。大企業だとか公務員だとかやっていると、強烈にその企業なり役所なりが決めてくる考え方のパターンってあるんです。そのパターンどおり考えないと、はみ出すんです。そのパターンどおり考えるということは、脳のある部分しか使わなくて、残りの部分は使わないということです。そこのところの血の巡りが悪くなって、だんだんチビてくるんです。だからボケるの。そういう決まり切ったパターンの世界から外へ出て、いろんな考え方をしていろんな体験をしてみると、脳のいろんなところを使っているからボケにくいんじゃないかと思います。(回答・野田俊作先生)

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