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実家でお母さんが湯を沸かす
そうめんを茹でるために
鍋で湯を沸かす
鍋の蓋は閉めた方がいいよ
私が言った
何となく
そうかしら
お母さんが応えた
たぶん何となく
年末 久々の帰省
お母さんは
そばを茹でる湯を沸かしてた
鍋で
鍋に向かっていたお母さんは
くるりと振り返った
蓋をして沸かすと
お湯なんてすぐ湧いちゃうね
あんたの言った 通りだね
お母さんは言った
嬉しそうに
そうでしょう
お母さんの嬉しそうなのが
嬉しかった
カガミのヤツは掏摸(すり)なんだ
あいつら 執拗で抜目がない
豪勢な三面鏡にでも
お高く留まってくれりゃ良いんだが
ほんの一瞬だ 気は抜けない
列車の窓やショーウィンドウ
つるつるした面の上なら何にでも
バッチリ間の抜けた相貌を見せつけてくる
目を逸らす他に抵抗があるかい?
全く持って行かれた気分になる
懐を押さえてもお構いなしだ
どんな年期の入った掏摸よりも
あいつらの手並みは鮮やかなのだ
可笑しいだろうか
いや どうか気を付けて
実の話をしておこう と言うのもだ
ぼくはぬけぬけと餌食となった!
ごっそりと持っていかれちまったのだ
くれてやると痩せ我慢したこの始末
その証拠 ぼくはもう自分の顔が見えない
姿見でも写真でも映し出されるのは
特筆する所もない後頭部ばかり
本当さ
合わせ鏡ももう駄目らしい ぼくは
れきれきとつらなり映る像を前に
延々と後頭部を見続けているんだ
いや どうしてくれようか
ごっそりと持っていかれちまったのだ
ぼく自身の 鏡像を
十九歳の夏 中国を旅して
ゴビの荒野に立ったとき
わたし ここでしにたい
と思った
三六〇度見渡すかぎり地平線
青い空と 白っぽい砂地
道路がいっぽん 真っ直ぐに伸びるだけ
ここなら
ちょっと 道から外れた所であれば
野垂れじんで
糞尿をまき散らし
腐臭を放ちながら朽ちていっても
誰にも迷惑をかけずに
土に還れる
アパートの一室が
特殊清掃ののち
事故物件になったり
無縁仏として
行政の金で火葬されたりするような
迷惑をかけずに済むと思った
本気で そう思った
二十歳のわたしも相変わらず
ゴビでしにたいと思っていた
それが本心なのか
自分でもわからないまま
二十一歳のとき
わたしはそう思わなくなった
一年を通して
雨がほとんど降らない
あの場所
あんな所でしんだら
土に還れず
ミイラになるじゃないのと
気付いたから
あんなに真剣で
大真面目だった
かつてのわたしが
なんだか可笑しかった
でも
ちゃんと 覚えていたいよ
大変ご無沙汰しております.
第二連,第四連,第七連にある言葉が掲示板の規制に引っかかって投稿エラーになるため,ひらがなにしてあります.
漢字に置き換えて読んでいただければ幸いです.お手数をおかけして申し訳ありません.
どうぞよろしくお願いいたします.
腕の中で眠っている
いびきをかいてよだれをたらし
だらしない顔した
まっくろねこ
短いヒゲをととのえて
おおきなからだをけづくろい
ごわごわと乾いた毛並みの
まっくろねこ
ごろりとベッドにねころんだ
その無垢な目を覗きこむけれど
見つめあっているわけではないのね
まっくろねこ
あなたはいつも どこかとおく
だれも知らない星に住む
あなたしか知らない星に住む
だれよりやらかく
気高くさみしい
世界でいちばん
まっくろねこ
早朝の冷たい風が
当たり前になってくる頃
散歩の途中で見かけた柿の枝に
たわわに実った黄色い実を
そっと触ってみた
すべすべで冷たい感触
美味しそうなのにまだ渋柿で
固くて食べられない
皮を剥いて最後まで丁寧に
愛情をかけてやらないと
丁度良い塩梅に甘くならない と
祖母が言っていた
もうすぐ皮を剥かれて
無防備な柿の実がカーテンのように
軒先に規則正しく吊るされ
昔ながらの光景が
道行く人達を楽しませてくれる
しばらく経って飴色になる頃には
僕はいつも畳間に寝転がって
家の中から眺めていた
外から見るのとは違って
太陽の光の間から見える萎んだ柿の実が
とても特別なものに思えて
白い粉が吹いてくるのが待ち遠しかった
この時期になると何故かセンチメンタルな
気持ちになってくる
少し腰が曲がった祖母は
今年も干し柿を作るだろう
まだ暖かい陽だまりの中
また柿の皮剥きを手伝いに
久しぶりに帰ってみようか
何だかその昔河童の国と日本に国交があった
河童の国はそれはそれは貧しかった
世界の水辺が汚れてしまい 魚が捕れなくなったから
食べることに困った河童達は日本に出稼ぎに来るようになった
ある地方の河童達は美しかった だから悪い大人達はこの美しさで儲けようと考えた
ショーパブで
河童達に歌を踊りを覚えさせた
星をちりばめたような眩しい衣装も用意して
開店時間は夜8時
今日はお店に新しい河童が入った
初めて日本に来たらしい
まだ河童語しか話せない
エメラルドのような透き通る肌 吸い込まれそうな大きな瞳、それは深い泉を覗き込んだ時のように神秘的な緑
鼻は爪楊枝で軽くつついたようなドット 少し大きめの嘴が何故か調和してる魅力的な顔
ミラーボールに当たる無限の色の照明の下河童の表情は艷めく
まだ善悪がよく分からない産まれたての赤ちゃんのような眼差しで
円卓のソファに腰掛けている新河童
その隣でふいに心の奥にしまっておいた何か大切な重いものが弾けてしまったお姉さん河童
泣き出してしまった(たまにこんなことがある、けど滅多にないこと)
さっきまでにこやかに常連さんに新河童の紹介をしていたのに
急に両手で顔を覆ってわーっと
大きな声で人目も憚らず泣き出した
こんな時常連さんはいつもより優しい
厨房にあれを頼んでくれる
河童達が河童の国で毎日食べていたあの川魚
河童料理のお店から魚は調達するという
常連さんは温かい眼差しをして
ずっとお姉さん河童の頭を優しく黙って撫でている
今は場違いなBGMだけが騒々しく響き
ようやく焼き魚が運ばれてきた
お姉さん河童が少し気持ちを落ち着けようと頑張っている
その横で新河童はキラキラした目で魚を見つめティと発音し始めた
これはティという大好物の魚
今まで緊張して固まっていた体をBGMに合わせて楽しそうに揺らし始める
夜はどんどん更けていく
もう誰も泣かない
またすぐそこに明日が来てるから
故郷に残してきた家族のことを思い出してる河童にも
家と仕事の重みでまだ帰りたくないお客さんにも
みんな同じに朝がくる
夜は今日のみんなの心を キラキラ星にして夜空に留める
そしてほーっと一息ついてから 朝にどうぞと空を譲っている
そこに目覚まし時計の音が混ざってきた
私は河童のショーガールになった夢を見ていた
午前、叱られて
ちょっと拗ねた
お昼ご飯はスパゲッティ
醤油のクリームソースがかかっていて
おいしかったが
好みではなかった
午後、午前中叱られたからか
今度はずん、と落ち込んだ
元気になろうと
好きな曲をリピート再生していたら
ミュージックビデオの見過ぎで
目が疲れた
手帳には
せっかくの三連休に
やりたかったこと
「部屋の片づけ」
「お菓子作り」
「図書館で本を読む」
まだひとつもチェックがつけられていない
これ以上起きていても自己嫌悪に陥るだけだし
私はふて寝することに決めた
ご飯が炊ける前に
お風呂に入った
晩ご飯は白米と、缶詰のコンビーフが入ったコールスロー
栄養バランスはいいはずだ、と
ちゃちゃっと手早く食べた
布団に入ったのは午後七時五十分
こんなにはやく寝るのは何年ぶりだろう
疲れた目もなおってしまった
一日のおわりに限って、へんに頭がさえている
つまんないなあ、と窓から外を眺めた
向かいのマンションには
たくさんの明かり
きっとみんな
まだご飯を食べたり、お風呂に入ったりしているのだろう
この街で八時前に寝るのは
小さな子供を除けばきっと私だけだ
それなら
誰よりもはやく夢をみて
明日、誰よりもはやく陽の光を浴びられるかもしれない
ちょっと嬉しくなって
ごろんと寝返りを打った
こんにちは。お忙しい中にすみません。
投稿した「終わりに」の一番最後の「明日の事さえ分からない」を「もう戻る道が見つからない」に変えさせていただきました。どうぞ宜しくお願い致します。
別れの朝
いつもより朝は長い
静かに落ちる砂時計のように
名前を呼ぶ声に
髪の先まで反応してしまう
人生の終わりでもないのに
涙は震えながら零れ落ち
最後の「ありがとう」は
消えかかる残り火に油を注ぐ
最後に肩を抱くのは
ただの 罪
あなたの匂いを
探してしまうに違いない
今なら
涙で火をつける事もできるの