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太ったね
と言われることが
多かったのに
痩せたね
と言われることが
最近増えた
必死に
痩せようと
していた頃が
懐かしく
もっと
食べておけば良かった
と後悔する
まさか
食べたくても
食べられなくなるなんて
食欲がなくなったのではなく
食が細くなったのだ
変わらないね
と言われることが
多かったのに
変わったね
と言われることが
最近増えた
必死に
変わろうと
していた頃が
懐かしく
もっと
自分らしくいれば良かった
と後悔する
どんなに
変わりたくないと思っても
変わってしまうのだ
自分らしさを見失って
自分が消えていく
内も
外も
老人ではないが
若者でもない
枯れもせず
瑞々しさもなく
熟した訳でもない
すべてが
中途半端な
わたしは
これから
どうしたらいいのだろうか?
デスクチェアにもたれ
腕を組み
ひとり
悩んだふりをする自分に
自分らしさを見つけ
久しぶりに
ホッとする
この気持ちを詩にしようと
ペンを握ったとき
手が悴んでいることに
ようやく気付くのでした
慌ててストーブをつけて
一息ついた頃
ふと窓のそとに目をやると
空が
朝焼けとも
夕焼けとも思えるような
色をしていることに気付いて
昨日と
今日と
明日の境目が
なくなってしまったことに
ひどく戸惑って
そうこうしているうちに
詩にしたかったことも
忘れてしまって
わけがわからない
ので
これを書き留めている次第です
木木とて知らぬ
山と山とに隠さる地
郷里は受け皿何人の
名無しに敗者 渡来人
渦まく坩堝に啀み合い
凍害の中相斃る
寒ずたものは何であろう
それでも歩み止むには十分で
歩んだ跡は溶け切った
やいや先人 どこにいる
姿も何も見えざるぞ
私に歩めと言うのでしょう
東北流転 日の出るところ
冷たい風が強く吹き荒ぶ頃
僕は独り夜空を見上げていた
柵に凭れていろいろと考えた
何を願えば良いのかと
何を願うかは勿論決まっていない
ただあなたの顔を思い出すばかりで
あなたに逢いたいと願うのか
あなたと話したいと願うのか
はっきりしなかった
遠くの街は夜中でも賑わっている
恋人同士や仕事仲間
言ったら切が無いほど沢山いる
その中にあなたはいるのだろうか
もし近くにいるのであれば
手紙の一通ぐらい欲しいものだ
これ以上淋しい夜は過ごしたくない
そう思っているうちに願いが決まった
ただあなたと逢って話がしたい
強く願い手を拝んだ
また一つ流れ星は舞うように消えていった
また一つ消えていった
夜空に光る星々を見て
あなたは何を思うだろう
あなたは何を願うだろう
冷たい風は強く吹き荒んでいる
目が覚めたら
右手がありませんでした
あなたに手紙を書くことも
丁寧に化粧をすることも
できません
昨日釣った魚が寂しそうです
綺麗に捌くと約束したのに
叶いそうもありません
髪をときながら
ポロポロ流れるのは何でしょう
初めて知る味ではないけれど
いつもと違うこれこそが
何かを失った時の味なのですね
朝露に濡れた選挙ポスターは
嘘がばれて
冷や汗をかいているよう
神との和解を
黒地に黄色で迫る板
それはブロック塀で
静かな怒りを湛えている
赤茶けた喫茶店の軒先に
枯れた花と爛れた看板
忘れられた店先を
前衛的に覆う蔦
中身だけは入れ替わり続ける
00年代を依然背負うスーパーマーケット
それは植物人間の悲しさに似ている
セイウチのように太った老婆や
水色のランドセル背負う少女
バス停にて彼女達は手を振り
しばしの別れを告げる
景色を微かにセピア色にして
切なくさせるのは
窓に張った10年物の土埃
ヒビだらけのアスファルトと
その上をがなりながら走るバス
薄汚れたそして薄ら寒い
見慣れたもう見尽くした
その車窓に
私は人のため息の2つの意味を知るのだ
時間と空間は相対的
アインシュタインは
相対性理論に 気付く前に
時間と空間の相対性に気付いていたはず
実感として 解っていたはずだ
微分積分も 相対的だ
ニュートンも 微分積分に
気付いたなら 相対性理論に
何故 気付かなかった?
音の世界も相対的
音が 大きいか 小さいかは
素人には 絶対的には 解らない
普通の 人にとって 小さな 音でも
ハイ センシティブ パーソンの方には
うるさ過ぎると いうことが ある
試しに 無声音で 喋ってごらん
本当に 小さな音だ
声帯が 振動していないから
まったく かすかだ
その後で 有声音で 喋ってごらん
大きすぎる 自分の 声に
びっくりするから
映画やドラマの効果音も相対的だ
聞こえると思えば 聞こえるけれど
意識しなければ 気付きもしない
ニュースの映像も相対的
内容に合うような モンタージュの
映像が 映っているだけ
あれは リアルな 現実の 実況ではない
詩も相対的
中原 中也の詩でさえ 相対的な言葉だ
しかし 中也の天才性は その詩の中に
絶対的な 感動を 封じ込めている
自我も相対的
モーツァルトは 交響曲を創る時
一瞬で 交響曲を 初めから終わりまで
聴けたと 言われている
それを 楽譜に 落とすのに 数時間を要した
天才は それが できる
私も 時々 何かに 気付くことがあって
「あっ」と 思うが 馬鹿なので すぐに 忘れてしまう
あれを覚えていて 書けたら いいのに
言わゆる「ひらめき」というのは これだろう
しかし もし 私が 天才なら すでに 狂って いただろう
空間は 時間と ともに 動く
私が 歩くと 時間の 経過に 伴なって 空間が 動く
私が 佇むと 空間の動きが とまり 時間だけが 動く
私が 疲れて 歩くのが 遅くなると 空間の動きが 遅くなる
私は 空間の 動きが 遅くなった ことで
自分の歩くのが遅くなったことを 知る
自分が 疲れたのを 知る
私は 訳が 解らなくなって キョトンとする
じいさんが 並木道で 立ち止まって キョトンとしているのは
滑稽だ
ユーモラスであるかも知れない
しかし ユーモアにも 才能が 必要だ
私は 相対的に ユーモアの才能が ない
私は よく 尿意を 感じたとき
尊王尿意(攘夷?)と 言う
妻は 必ず 怒る
中二病だと 言う
こんな 愚劣な ダジャレを 言う おじいさんは いない
私は 反省している
「私」は相対的な時間の中で 老いてしまい
相対的に 悲しい
相対性は 人間の 宿命だ
だから やっぱり 時間も空間も自我も 相対的なのだ
絶対的な 存在の 静寂と 凍結を
「私」は 今日も 恐れている
ピアスホールが
ふさがった
金属アレルギーを
発症して
ぐじゅぐじゅになった
耳たぶは
ピアスを外せば
あっという間に
元通り
二年間だけ
ピアスホールが空いていた
わたし
買ったはいいけど
つけず終いになってしまった
いくつかのピアス
わたしは
ピアスをつけた
わたしが
好きだった
今
店先に並ぶピアスが
目に入るたび
少し
胸が痛む
これが
淋しさだろうか
ピアスをつけたわたしには
もう
会えないから
島秀生様、「ベテラン」に評をいただきありがとうございました。改めて今読むと、ちょっと尻切れトンボに感じなくもないですが。
4連はその通りでベテランの焦点が蛙に移ってます。確かに一言入れるべきですね。おそらくそのあたりから視点が変わっていくよという前提があって初めて「友との便り」のくだりが導入として意味を持ってくるのかもしれません。歌でいうところのフェイクにあたる部分なのですが、ちょっとこのあたりは検討してみます。
ちなみにうちは農家ではないのですが、周りを農家に囲まれてまして、野焼きは普通に年中おこなわれています。うちはもう家庭菜園レベルなので野焼きなんて大胆なことはおっかなびっくりなので、全然ベテランじゃありません。
秀作をありがとうございました。また次回よろしくお願いいたします。
秋の空色ベーカリーは北から南へ キッチンカーで旅を続けています
空色ベーカリーの職人さん
すすきの穂を空に向かって
サッとひとふり
きらきらこぼれ落ちてきた空の高さを味見します
ぺろんと舐めて アップルミントの
味がしてきたら
いよいよ 秋のパンを焼きましょう
今日は 紅葉の葉っぱを1つ
熟したベリーを練り込んで
ほーら 今年最初の 真っ赤な
紅葉のパンが出来上がり
枝に飾ると温かな秋の日差しは
こんがりと紅葉のパンを香ばしく
仕上げていきます
そうして 秋のパンを全部焼き終わったら
今度は可愛いみの虫の蓑を
ホカホカ焼き上げて
今日はそろそろひと休みしましょう