小筆遊びの日。忙しいが口癖の師匠、夫と息子が犬を欲しがっているので、、、と、ついにダックスフントを買っていた。前に飼っていたダックスは22歳まで生きて、犬のいるのが当たり前だったので淋しいのだろう。さらに忙しくならねばいいのだけれど(笑)。お吟の経験では、いつも忙しい忙しいと言っている人ほど、要件が済んでも長居したり、電話が長かったり、大安売りを見つけては大量に買ってしまい後始末に時間を取られていたりする。
金蠅銀蠅瑠璃蠅が先日の王子ヶ岳山頂歩きの句を詠んでくれたので、俳画にまとめる♪
亡き犬を訪ひ来し犬や冬木縫ひ 石田あき子
ぐんと気温が下がった今日、岡山県の真ん中あたりのたけべの森へ。高速を走っても走っても、落葉が音を立ててフロントガラスに当たり続けるのが楽しい。
ハイウエイゆく木枯しの一号と お吟
瑠璃蠅お薦めの蕎麦屋<でんしょう坊>が見えたと思ったら、手前の「日本一の鯛焼き」の看板が目に入る。蕎麦の大盛りはやめておこう(笑)。女将さんが、「新蕎麦なので笊はどうですか?」と薦めてくれるも、温かいきのこ蕎麦を頼む。おつゆは薄味で珍しいきのこは香り高い。
新蕎麦や山をまぢかに波硝子
茅葺屋根をトタンで覆った古民家の、建具が好ましい。アルミサッシの窓ではないのだ♪お客さんがつぎつぎ見えるので、さっと食べて鯛焼きの店へ。山村なのに、ここもお客が途切れない。焼きあがるのを畳敷きの椅子で待つ。三畳ほどの畳敷きもあるので、赤ん坊連れにも優しい。
エンジンを切り鯛焼に温まる
たけべの森は、シーズンオフなので人っ子一人いない。歩きはじめに冬菫をみつけた。小道だらけなので、行き当たりばったり適当に、しかし途中からは駐車場方面へと5000歩ほど。落葉は降りどおしで時にどんぐりも。
靴の紐落葉しぐれに結びけり
遊具より少し離れて冬すみれ
和裁の集まりの日。金蠅銀蠅瑠璃蠅は、同窓会の話や、スマホ決済の話や、来春の倉敷ツーデーマーチ(10㌔とか20㌔とかを団体で歩く)の話で盛り上がっているが、お吟は、同窓会嫌い・現金好き・団体嫌いなので、縫いながら静観していた(笑)。
今日縫ったのは、三味線が趣味で地味好みの白髪の美しいマダムからの頼まれもの。大正生まれのお父さんは、お洒落で晩年まで着物を好んで着ていたそう。そのお父さんの形見の紬を、洗い張りして女物に縫ってほしいと見えた。地味好みで、黒やグレーや茶色しか着ないマダムなので、男物が丁度いい。男着物は、対丈で着るので丈が短いが、たいてい腰で内揚げをたっぷりとってあるので、女物に仕立て直すのは可能である。着物のよろしさ。
顔見世や桟敷の舞妓ばかり見て ふく嶋桐里
まるで不思議の国のアリスになったような、異世界へ迷い込んだような、昨日の道に迷ったことより始まった金山寺でのギャッベ展の余韻がまだ続いている。だいたいが、帰ろうとすると、「一服どうぞ」と、椅子に座るよう促される。目の前の無垢板のテーブルには、猫が引っ掻いたようなわざとらしい傷が走り、それをひょうたん型の木でつないでいる、、、という遊び心が見える。ストーブに乗った茶釜から柄杓でついでくれたのは、煎じた桑茶。美味しい。高瀬舟羊羹によく合っている。うん?よく見ると、この茶釜、狸のような顔の彫り物が、、、。やられた、ぶんぶく茶釜ということか?
行きが、細い山道をうねうねと大変だったので、「ゆっくりでいいからね、たいへんだけど頑張ってね」と旧家守り人に声掛けしたのもつかの間、山道無しであっという間に大通りに出たので、ほんと、狐に化かされたようなギャッベ展だった。
今日は、何事もなく図書館で模写(笑)。
化けさうな茶釜もあるや榾の宿 尾崎紅葉
イラン南部のザクロス山脈、標高2000~3000mの山岳地帯で羊とともに遊牧生活を営むカシュガイ族の人々がいる。その女性たちが、天と地にある森羅万象を感性豊かな心でとらえ、家族の幸せを願う模様に織り込んだ絨毯<ギャッベ>の展示を見に、金山寺へ向かった。
ナビに従って、妙に狭くなっていく山道を登っていると、いよいよ車を擦りそうで、前にも後ろにも行けなくなって、運転の旧家守り人が、民家に道を聞きにゆく。旧家守り人が、首を傾げつつ車に戻ると、民家から壮年の男性が出てきて、「先導するから、、」と言って、右手をおいでおいででなく、西洋人のように掌を上に向けて、付いておいでのの合図をしてくれる。その動作があまりに決まっていたので、「あの人は、張り込みの多い刑事か自衛官よ」とお吟はつぶやく。
3、4㌔は先導してくれただろうか、無事に金山寺に着く。私たち、おばちゃんなので、ついつい各自持っていた、三ヶ日みかんやら柿の種やら、お礼に差し上げてしまう。我らがお茶人は、「お仕事は何ですか?」とまで聞いてしまう。答えが、「自衛隊です」だったので、もう、拍手拍手(笑)。
草木染の手しごとの魅力のギャッベに逢う、その前座のように、雑木紅葉はめくるめく美しいし、境内は銀杏落葉の絨毯である。お寺の中、座敷にも板の間にも廊下にもギャッベが敷かれ、客はその上を歩いて鑑賞できる。日がさすとさらに鮮やかに見えるそう。ギャッベは、太陽の下で手織りされるんだものね。
庫裡ふた間赤絨毯を敷き詰めし 右城暮石
