第33課 禁止の“不要”
<おさらい>
パスポートを持っていないので出国できません。
Wo3 mei2you hu4zhao4, bu4 neng2 chu1guo2.
我没有护照,不能出国。
<スキット>
A4! Zhe4me duo1 cai4!
啊!这么多菜!
わあ!こんなにたくさん!
Duo1 chi1 dianr3, bu2yao4 ke4qi.
多吃点儿,不要客气。
たくさん食べて、遠慮しないでね。
Huan1ying2 ni3 lai2 Bei3jing1.
欢迎你来北京。
北京へようこそ。
Xie4xie nin2! Yi3hou4 qing3 nin2 duo1duo1 zhi3jiao4.
谢谢您!以后请您多多指教。
ありがとうございます!今後ともどうぞご指導をお願いいたします。
Na4me, ming2tian1 jiu4 kai1shi3 shi2xi2 ba.
那么,明天就开始实习吧。
ではさっそく明日から実習しよう。
<単語>
@ zhe4me 这么 = こんなに、このように(驚き)
@ dianr3 点儿 = yi4が省略、「少しの量」→表現全体をやわらげている
@ bu2yao4 不要 = 「~しないで」「~してはいけない」
@ ke4qi客气 = 「遠慮する」「気を使う」
@ huan1ying2 欢迎 = 「歓迎する」
@ zhi1jiao4 指教 =指導する
@ yi3hou4 以后 = 以後、今後、これから(他に、hui2tou2 = 振り返る、のちほど)
@ na3me 那么 = それでは、じゃあ(Na4だけでもいい)
@ jiu4 就 = 早速、すぐに
<キーフレーズ>
Bu2yao4 ke4qi.
不要客气。
遠慮しないでください。
@ bu2yao4 不要 = (動詞の前に置いて)「~してはいけない」「~するな」(禁止を表す)
第4声のbuが第2声(bu2)に変調。
Bu2yao4 wang4le chi1 yao4.
不要忘了吃药。
薬を飲むのを忘れないでください。
中国では「薬」は“食べる”もの。
<聞き取り>
Bu2yao4 wang4le zi4ji3 de dong1xi.
不要忘自己的东西。
自分のものを忘れないでください。
<エクササイズ>
@Bu2yao4 不要「~してはいけない」
無理をしないでください。
Bu2yao4 mian3qiang3.
不要勉强。
※もう1つの「禁止」(話し言葉);Bie2 别
パスポートを(携帯するのを)忘れないで。
Bie2 wang4le dai4 hu4zhao4 .
别忘了带护照。
<日本と中国の漢字の違い>
「整形外科」の「整形」は、中国では「美容整形」のこと。
@整形外科=gu3ke1 骨科
@小児科=xiao3'er2ke1 小儿科
@歯科=ya2ke1牙科
@漢方科(中国伝統医学)=zhong1yi1ke1中医科
@漢方薬=Zhong1yao4 中药
<ピンイン> 「反り舌音+i」 以外の母音
舌をそり上げて母音を素早く発音する。
@chen4shan1 衬衫 シャツ
Qing3 zai4 shuo1 yi2 bian4.
请再说一遍。
もう一度言ってください。
<締めくくり>
今日学んだことを忘れてはいけません。
Bu2yao4 wang4le jin1tian1 xue2 de dong1xi.
不要忘了今天学的东西。
子曰く、關雎(かんしょ)は楽しみて淫(いん)せず、哀しみて傷(やぶ)らず。
先生が言われた。「關雎(かんしょ)の詩は、楽しみながらも過度に楽しみ過ぎず、悲しみながらも過度に心身を痛めることもない」。
※浩→孔子は、礼節と音楽(礼楽)が社会秩序の維持に必要不可欠だと考えたように、『詩経』に出てくる詩を音楽として楽しんだようです。『詩経』の「国風」にある「關雎」という歌は、歓喜と悲哀の調和がとれていて、感情の抑制(節度)が適切で絶妙であると評価しています。
關關(かんかん)たる雎鳩(しょきゅう=みさご)は 河の洲(す)に在り
窈窕(ようちょう)たる淑女(しゅくじょ)は 君子(くんし)の好逑(こうきゅう)
參差(しんし)たる荇菜(こうさい)は 左右に流(もと)む
窈窕(ようちょう)たる淑女は 寤寐(ごび)に求む
之を求めて得ざれば 寤寐(ごび)に思服(しふく)す
悠(ゆう)なる哉(かな)悠なる哉 輾轉(てんてん)反側(はんそく)す
參差(しんし)たる荇菜(こうさい)は 左右に采(と)る
窈窕(ようちょう)たる淑女は 琴瑟(きんしつ)もて友(した)しむ
參差(しんし)たる荇菜(こうさい)は 左右に芼(と)る
窈窕(ようちょう)たる淑女は 鐘鼓(しょうこ)もて樂(たの)しむ
なごやかに鳴きあうミサゴの夫婦が川の中州にいる、窈窕たる淑女は、ミサゴの妻のように、君子の妻とするに相応しいものだ
生い茂った水菜は左右に求めて食卓を飾るべきものだ、窈窕たる淑女は、目覚めていても寝ていても、求めに求めて伴侶にすべきものだ
窈窕たる淑女を求めて得ることができないならば、目覚めていても寝ていても残念に思うべきだ、ああ残念のあまり、身のもだえる思いがする
生い茂った水菜は左右に摘んで食卓を飾るべきものだ、窈窕たる淑女は、琴瑟を以てもてなすべきものだ
生い茂った水菜は左右に選び取って食卓を飾るべきものだ、窈窕たる淑女は、鍾鼓を以て楽しんでもらうべきものだ
この詩は、配偶者を求めて歌っていることから、中国人にとっては古来、婚礼の席で歌うべきめでたい歌だとされてきました。ミサゴの夫婦が互いに応じあって声を交わすさまを表しているのでしょう。ミサゴに限らず鳥は夫婦仲が良いものであるから、人の婚礼のめでたさを飾るのに相応しいです。また窈窕とは、つつしみ深い美しさのことで、中国人にとって、女性としてあるべき理想を表わした言葉でした。窈窕、窈窕…美しい言葉なのでよく覚えておきます。
「楽しみて淫せず、哀しみて傷(やぶ)らず」=歓喜の感情がいかにも楽しげでありながら、節度を保って過度でない。悲哀の感情が流れているが、それも節度を保って過度でない。中国の文化が、常に極端な感情の表出を嫌い、節度ある表現を尊んできたのは、孔子のこの言葉に影響されているのでしょうと、吉川幸次郎先生。今の中国もこうあってほしいです。
歓喜と悲哀の調和が絶妙というワードに引かれて、現代の日本の歌でいくつか思い出します。北島三郎さんの「風雪ながれ旅」のイントロの津軽三味線が耳に響いてくるようです。2011年の東日本大震災の直後にNHKで「チャリティーコンサート」があり、名だたる歌手がそれぞれのヒット曲を歌って、被災地のみならず全国を勇気づけました。私はそのうちでこの「風雪ながれ旅」が最も心に響きました。紅白歌合戦では、1980年・第31回から以降1981年・第32回、1996年・第47回、2003年・第54回、2005年・第56回、2010年・第61回、2012年・第63回と合計7回も歌われました。特に、2回目の歌唱となった第32回の大トリの紅白ステージでは、途中から猛烈な吹雪を思わせるような、真っ白い紙吹雪が大量に舞い落ちて、歌唱披露する北島さんが見づらくなるほどで、さぶちゃんの鼻の穴にも入ったようでした(笑)。この歌のモデルは津軽三味線の高橋竹山さんだそうです。あるとき、ラジオの「武田鉄矢、今朝の三枚おろし」で、3番を紹介していました。
「鍋の焦げめし袂で隠し 抜けてきたのか親の眼を 通い妻だと笑った人の 髪の匂いも懐かしい アイヤ アイヤ 留萌、滝川、稚内-」
この曲は、昭和の歌姫美空ひばりさんも歌っていて、そのうまさはさすがだと思いますが、やはり元祖・さぶちゃんのが理屈を越えて素晴らしいです。CDを買おうかと思いましたが、震災から1年後くらいにNHKのFM放送から録音できました。今やわが家の貴重な財産です。青森から北海道にかけての地名がやたら出てきて、覚えやすいです。
定公問う、君、臣を使い、臣、君に事(つか)うるにこれを如何(いかん)。孔子対(こた)えて曰く、君、臣を使うに礼を以てし、臣、君に事うるに忠を以てす。
魯の定公がたずねられた。「君主が家臣を使い、家臣が君主に仕えるにはどのような心がけを持てばいいだろうか?」。孔子は答えて申し上げた。「君主が家臣を使うには礼節をもって臨み、家臣が君主に仕えるには忠実なまごころをもって臨むことです」。
※浩→定公は魯の君主で、兄の昭公が家老たちに追い出されて、国外で野垂れ死にしたあと、権臣たちに擁立されて、BC509年からBC495年まで在位しています。孔子の43歳から57歳までで、かつ孔子が魯の大臣として抜擢されたのは、この君主のときでした。その孔子に定公が問いかけた言葉です。君臣の関係はどうあるべきであるかと。孔子は、君主が家臣に対する場合には「礼の伝統」に依拠し、家臣が君主に対する場合には「忠=まごころ(誠実)」を発揮すべきだと回答しました。
現代の職場、組織で、管理職は部下に「礼」をもって対し、部下は管理職に「忠」をもって臨むと言うと、封建的な感じがするでしょうか?「礼」と「忠」の真の意味をきちんと理解していればそんなことはないと思います。逆を考えるとよくわかります。「礼」の逆は「無作法」で、「忠」は狭義に「忠義」を言うのではなく「まごころ」「誠実」という意味ですから、逆は「裏切り」「不実・嘘つき」になります。こう考えると、現代にも十分適用できそうです。日本人は「まごころ」とか「誠実」いう言葉が大好きです。私が22年間勤めた岡山工業高校の校訓は「誠実勤勉」でしたし、最近非常勤で勤務したる津山の高校は「至誠敢行」でした。幕末の新撰組の旗には「誠」とありましたし、人名にも「誠」のほか別の漢字で「真」や「信」で“マコト”、「真琴」で“マコト”なら女性の名前になります。こんなにも誠が大好きなはずの日本人に最近は嘘つきが増えて困ります。
<ジョブキソ19>
#テーマ
自分が思いついた良いアイデアを同僚にうまく伝えるには?
I just had an idea. Would you like to hear it?
いいことを今思いつきました。聞きたいですか?
@May I ~は、下から上に向かって「~してもいいですか?」とへりくだった感じ。弱さを感じさせる。
@May I interrupt? は、「ちょっとよろしいですか?」(丁寧な言い方)。
即答できないときは、Let me think. 「ちょっと考えさせて」。
#相手の応答
If it must. Okay, let me hear it.
どうしてもって言うなら。わかった、聞こうじゃないか。
子曰く、君に事(つか)えて礼を尽くせば、人以て諂(へつら)えりと為(な)す。
先生が言われた。「君主に仕(つか)えるにあたって礼の義務を尽くせば、人はそれを君主のご機嫌取り(へつらい)だと言う」。
※浩→吉川幸次郎先生の解説が素敵です。人間の善意の表現としての礼の生活、それは身分の差異に応じて、その表現を変えるものであったが、それを美しい秩序として、数学者が数学の秩序に対して感ずるような、美しさを、孔子は感じていたのだと思われる、と。
主君をないがしろにして政権を専横していた魯の三家老(孟孫・叔孫・季孫)を孔子は嫌い、正統な主君である定公に礼を尽くしてお仕えしました。しかし、実力者である三家老に肩入れしている人が多い魯では、孔子は「君主のご機嫌を取って出世を狙っている人物だ」と見なされることもあったそうです。美しい秩序を保持しようとする自分の気持ちを知らない、と孔子は嘆きます。
数学者が数学の秩序を美しいと感じるといえば、映画の「博士の愛した数式」を思い出します。高校の数学の教師、通称“ルート”(吉岡秀隆さん)が生徒に、自分がなぜ数学が好きになったのかを語るところから物語は始まります。原作は、母・杏子が「私」として語る形だそうです。
ルートの母親、杏子(深津絵里さん)は、家政婦として働くシングルマザーでした。杏子は新しい派遣先で「博士」と出会います。博士は交通事故によって記憶が80分しか保てないのだという。そんな博士は、杏子とその息子にさまざまな数式について語るようになり…。杏子は、結婚できない人を愛し、そしてルートを身ごもりました。家政婦として働き、女手一つでルートを育てたのです。家政婦紹介所でのキャリアは10年とベテラン家政婦だった杏子は、9人も家政婦を交代させたワケありの客のもとに派遣されることになります。雇い主はその家の未亡人(浅丘ルリ子さん)。義弟=博士(寺尾聰さん)の世話をしてほしいとの依頼でした。その未亡人から出された条件は午前11時から午後7時までの勤務と、離れと母屋を行き来しないこと。そして義弟が起こしたトラブルは必ず離れの中で解決すること。弟さんに会わせてほしいと話す杏子でしたが、依頼人に義弟は事故の後遺症で10年前までの記憶で止まっていてそれ以降の記憶は蓄積されないのだと言われてしまいます。記憶が持つのは80分。だから今あなたと会っても明日には忘れているのだと。杏子が担当することになった依頼人の義弟・通称博士は、今は亡きひとまわり上の兄のお陰で留学して数学を研究し、日本に帰国したのちは大学で教授を務めていました。しかし事故後は大学を辞めなくてはならず、未亡人となった義理の姉に援助してもらって生活をしていました。杏子が初めて博士の家に出勤すると、いきなり靴のサイズを聞かれます。「24です」と答える杏子に、博士は「実に潔い数字だ。4の階乗だ」と答えます。その後、電話番号の数も聞かれ、博士は数学の研究者らしくその数についての蘊蓄を話します。杏子には何がなんだかさっぱりわかりませんでしたが、その日から最初の挨拶は数字の話をする毎日でした。記憶が保たない博士にとって、杏子はいつでも初対面の相手だったのです。他人と交流するための会話が数字の話でした。そして、80分で記憶がリセットされてしまう博士のジャケットにはたくさんのメモ貼り付けてあり、毎日初対面の杏子ともそのメモを通じて会話を進めていました。杏子は、博士と数学の話をしながら打ち解けていくなか、自分に10歳の子どもがいるという話をします。博士は、杏子が仕事をしているときに子どもが一人でいると聞き、息子をこの家に連れてくるように言います。そして、そのことを忘れないためにジャケットに張り付けてあるメモにそのことを書き足します。翌日、博士の家に来た杏子の息子(齋藤隆成)の頭が平らで記号の√に似ていたので博士に「ルート」と名付けられました。次第に打ち解けながら、博士、杏子、ルートは毎日穏やかな時間を過ごします。ルートと好きな野球チームの話になった博士は、お互いタイガースファンだとわかると好きな投手の話をします。しかし、その投手はもう引退したとルートから聞くとひどく落ち込んでしまいます。記憶が80分しか保たない博士と、ルートのタイガースの好きな時代は違ったのです。その帰り、杏子は博士に悲しい思いをしてほしくないから、「もうその話は聞きました」と決して言わないとルートと約束をします。博士、杏子、ルートの楽しそうな団らんを母屋から見つめる博士の義姉。昔、博士からもらった秘密の手紙を大切そうに読み返します。……あとは映画をご覧ください。これ以上のネタバレはまずいでしょうから。