こちらでお読みください。↓
http://www2.oninet.ne.jp/kaidaiji/dai1keiji-3-31.html
Q
学校現場では病名に影響されすぎた関わりが多くなって、保護者とともに悩んでいます。具体的にどんな関わりをしたらいいでしょうか?
A
病名に影響されるのをやめようよ。医者じゃない人間が「これは誤診です」と言えないけど、たとえほんとに病名がついたところで、「山田花子さんは山田花子さん」で「中村太郎君は中村太郎君」なんですよ。人間とつきあうべきであって病名とつきあうわけではない。そんな子とつきあえない?そんなことない。僕、統合失調症の患者さんもいるし、躁鬱病の患者さんもいるけど、ちゃんとつきあってますから大丈夫なんです。その人を病人だと思いさえしなければ。この人は生活している人間だ、ある傷害を抱えながら生活している人間とつきあうわけで、そう思えばつきあえる。病気を何とかしようと思うとつきあえない。だって、統合失調症という病気はお薬である程度は症状を抑えることはできるけれど、治るわけではない。完全に症状を全部抑え込めるわけではない。全部抑え込むほどお薬を使うと今度はお薬の副作用がどーんと出てしまったり、かえって具合が悪いから、少し辛抱できる程度に救えるくらいにお薬を使いながら、コントロールします。その状態で例えば会社に勤めたりお稽古事に行ったりするわけです。それを援助するのが僕らの仕事だと思う。病名を持った子も、学校の中で児童・生徒として生活することをどう援助するかが問題であって、病気をどうするかの問題ではないと思う。だからさっきの、クラスの中で子どもが歩いていたら、教頭先生が来て保健室へ連れて行って落ち着くのを待ってまた戻るというのは、すごくリアリティだと思うし、そういうふうな具体的な、病名にかかわらず、その人に対してどういうアプローチをすればいいかを考えればいいんじゃじゃないですか。(回答・野田俊作先生)
Q
なかなか成果が出ないときに管理職からプレッシャーをかけられたらどうすればいいか?
A
管理職も大変だと思ってください。(回答・野田俊作先生)
Q
いじめられている生徒を励ます方法はないか?
A
イジメというのが何のことかわからないので、例えば、恐喝にあっている生徒を励ます方法は何ですかと言われたら、それはないでしょう、そんなもん。警察に言って恐喝をしている子を捕まえてもらうしかないんじゃない。でも、みんなにのけ者にされている生徒を励ます。それはあるでしょう。「のけ者にされるのはどうしてだと思う?」と聞くことでね。僕の患者さんに結構います。「友だちができなーい」とか言うんですよ。話を聞くと、自分がどんなに悲しいかつらいかいっぱい言うんです。それは友だちできないよ。この子の話を聞いても面白くも何ともないもの。「僕のところではとにかく楽しく面白い話をして」って言う。「クラスでどんなにイヤなことがあったって言われたって、先生全然楽しくないし君と友だちになろうとも思わないし、もしも先生と友だちになりたかったら、まず先生が面白がる話を探して、それを次に持っておいで」と、まず言います、1つはね。もう1つは、「どの子と友だちになりたいか決めて」と言います。「クラスのあの子と友だちになりたい」とか。そうすると馬鹿げたことに、クラスで一番人気のある子を言うんです。「どうやったらその子と友だちになれる?」「わからん」「その子のそばへ行って、ニコニコしながらその子の話を1週間聞いておいで。向こうが君をかわいがってくれれば友だちになれるし、『あっちへ行け』という顔をされたら友だちになれないから、また考えようね」と1週間やってもらいます。1週間して「どうだった?」「ダメ。私がそばへ行くとスーっと去って行く」「OK。あの子は友だちになれない。2番目を選ぼう。1番目はダメだったけど2番目はどう?」。2番目の子も派手な子を選んでこれも失敗。3番目を選んでもこれも失敗。最後は自分と同じくらい「暗い子」と2人ペアです。「友だちできたー」と言って、2人で座っているだけ。だから、すべての問題は段階的に解決すれば解決する。一気に何もかも解決しようと思うとできませんが、ちょっとずつやっていくと解決できますから、犯罪じゃないイジメについてはそんなことです。(回答・野田俊作先生)
Q
大人数の非行グループがクラスに存在するようになってしまったらどうしたらいいか。
A
教師を辞める。非行グループが大人数というのは、教室の運営が完全に失敗しているということじゃないですか。この先生に助言しても無駄だと思う。その子たち全部警察のお世話にならないといけない。少人数の問題児は絶対いる。これは人類の遺伝の要請だと思う。昔アメリカのアドラー心理学者・クリステンセン先生に来ていただいて、安芸の宮島へ行った。旅館の2階でご飯を食べていると、下を修学旅行生が通るんです。行列が通ったあとを2人ほどグレた子がグレた格好でグレた歩き方で歩いてる。クリステンセン先生がすごく喜んで、「どこの国にもああいうのがいるんだよ」って。1人や2人はああやって自分の存在を示す子がいるんだって。世界中どこの国でもそれくらいの確率ではいるんです。ひとクラスに1人とか2人とかはいたほうがいい。あの子たちは将来の乱世のためにはいいんです。今は(一応)天下泰平の世でありますから、あの子たちは邪魔ですけど、将来また戦国の世の中になったときに、あの子たちはきっと頼りになるよ。人類はどんなことが起こっても生き残れるように、いろんな種類の子どもを用意している。だからその子たちを邪魔にすることはない。今は非行の子かもしれないけれど、この子たちが残ると人類の将来に役に立つと思って、大事にしてください。それはそうなんですが、クラスの大半が非行少年になったということは、それはクラス運営がおかしい。ちょっとこのクラスがどうかよくわからないけど。それは、別の先生に入ってもらうとか、今のクラス運営そのものに絶望的な欠陥があると思う。普通そんなはずないもの。(回答・野田俊作先生)