MENU
942,375
固定された投稿

★★ << 2つの掲示板のご案内 >> ★★

◆ここは「MY DEAR掲示板」です。
詩をある程度の期間書いている方、詩に意欲的に取り組みたい方、詩人に向け成長を目指す方はこの掲示板をご利用下さい。
あなたの詩をしっかりと読み、評や感想を、しっかりと書かせて頂きます。
ここから詩人として巣立った人は数知れず、です。あなたの詩を継続的に見守り、詩の成長を助ける掲示板です。

なお「MY DEAR掲示板」では、新規ご参加の際に、ペンネームとメルアドの届け出が必ず必要です。
これは掲示板内の安全を守るため、管理人に限って把握させて頂くものです(他へは一切出しません)
新規ご参加の際は、ページ一番下の「お問い合わせ」フォームから、必ず届け出をお願い致します。


◆初めて詩を書く方や、おっかなびっくり詩を書いてみようかなあーという方、
「MY DEAR掲示板」ではハードルが高すぎるよと感じる方には、別途、

   <<初心者向け詩の投稿掲示板>>
https://www3.rocketbbs.com/13/bbs.cgi?id=mydear

をご用意しております。(上記リンクから飛んで下さい)
こちらは、「メルアド届け出不要・いきなり書き込みOK・出入り自由」ですので、
なんら気にするところなく、いつでも詩を書き込んで頂けます。
誰でも、どんな人でも、気軽に詩に親しんでもらうための掲示板です。学生さん、小中学生の方も歓迎です。
投稿された詩については、詩を読んだ感想を、レギュラーメンバーの誰かが、手短なコメント(5行程度)で返してくれます。

どうぞご希望に応じて、各掲示板をご利用下さい!!!

編集・削除(編集済: 2024年09月10日 18:37)

独走  妻咲邦香

どれだけ早く走れようと、はしたないことには変わりがない
空腹なのだ、充たされたいのだ
他人よりも早く食事にありつきたいのだ
だから走っている
一人で走っている
じきに訪れる招かれざる夜のために
孤高で淋しく過ごす老後のために
埃の積もった名前に報いるために
はしたないと自らを奮い立たせ
説き伏せ、暗示をかけ、獣として生を受けた時代を懐かしみ
そうして汗の雨を潜り抜ける

熱を帯びたアスファルトの僅かな窪み
沿道を飾るはメインディッシュの数々
今にも食べてくださいと云わんばかりに
ずらりと、やけに綺麗に並んでいる
いや並べられているのか
木の葉みたいな景色に姿を変え
皿に盛られることもなく

ああこんなに空腹なのに、私ときたら
もっと、はしたなくはなれないものか
浅ましく、意地汚くはなれないものか
ああ、今にも滲み出て来そうだ
破れそうなくらいに薄く心許ない膜という膜から
ぬるっとした下等な生き物が
飛び出て来そうだ、熱く重たい怪物が
喉の奥、腹の底、目を覚ましやがる
美しかったと過去形にされるのは、後日で十分だ

  我々生き物っていうのはね
  皆そういうふうに食べていくんだよ
  知らんぷりで乾いてちゃいけないんだよ

今なら誰を食べても、綺麗に消化してしまうであろう
そして私も今此処で食べられたとしても
同じく消化されるであろう
栄養にするか、血肉にするか、それとも自分がそうなるか
ゴールのおぞましい姿を知ってしまったとしても
まだ終わりじゃない
また誰かの臓腑の中で、次のレースが始まってしまうのではないか
何故もっと早く走れなかったのか
何故先に食べておかなかったのか
はしたなく、ひたすらに、泣きながら、悔やみながら
喰らう、喰い散らかす、ご機嫌になって、食事を摂る
まだ逃げるか、それとも逃げられるか
走れるか、それにありつけるか

空腹だ
ただひたすらに、空腹で
吹き出る汗の雨を潜り抜け、煮えたぎる血の海を泳ぎ切り
もはや料理を手にした給仕の脇をすり抜け
白いクロスの予約席に向けて突進し
着席する以外に完走する術は
無い

編集・削除(未編集)

そら豆  詩詠犬

そら豆って さやが 上に向かってつくから
そういうんだね
そうか あの 豆の匂いは
空の匂いなのか  

空には 死んじゃった いきもののおもいが あるそうな
あれは そのおもいの 匂いなんだね
だから なんだか 悲しいのか
だから なんだか 切ないのか

僕は そら豆の匂いと ずっと生きていく
そして 僕も いつの日か
そら豆の 空の匂いとなって
お空に ぽっかり 浮かぶだろう  

編集・削除(未編集)

武家・古記録―「吾妻鏡」のために―  三浦志郎  9/23

「このドラマって、誰も幸せになってない気がする」

私の先輩がそう言った。大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」についてである。
全く同感であり、正に至言である。当時の古記録を想い、冒頭の言葉を
考えてみた。たとえば、こんな風に―。

*               *               *

武家の記録は
勝者の 覇者のそれで
“裏ありき?”は簡略に
あるいは欠落させもした
謎も多い
くだんの吾妻鏡

記録はドラマではなく
主人公はいない
予定調和もなく
誰かの幸せとは遠い


他者から疑惑や謀略を受け
御所で突然首を掻かれ
幽閉先で惨殺され
軍勢激突の末 誅殺された
此処は鎌倉
生死の境に府だけが栄えた

各々の幸福を目指し
しのぎを削り殺戮し
黒白をつける
果てない武家宿命の修羅

その醜悪は
逆に幸福のほうから
全ての人々を見放したかのようだった
最後の覇者さえ例外ではなく
後の歴史が証明している

一生の命題を
死と名の引き換えとすれば
「名こそ惜しけれ」
討死は武家究極の綺羅


この暗い記憶に
わずかに救いがあるとすれば
幕府の要人でも
ある年を最後に
記録上 消息を絶った人々がいる

消え入るように
歴史から去ったのは
おそらく
病という穏やかさ
病死がかえって幸せ
天命に従順に
自己を終わらせた人々こそ
他者から傷つけられずに
この時代の
せめてもの幸福かもしれない

人生五十年という歳月を
あるいは それ以上を
全うしたか?
―しただろう


このように人々は
記録の中を往来した

闘死した末に名を得たか
人知れず死んで行ったか
どちらが幸せであったかは
わからない

思いつくまま
彼らの名を挙げてみても
ただ虚しいだけだ

今となっては
誰も幸せにはならなかった―と



                           

                          * 吾妻鏡……鎌倉時代の一級史料。
                            北条執権礼讃の傾向あり。
                            源頼朝の死を含む三年間は空白。
                            記述は時代後期で終わっている。  

編集・削除(編集済: 2022年09月23日 06:13)

キャラメル  cofumi

キャラメルを包んでいる
紙はもうベトベトで
それでも手のひらの中で
開けられるのを待っている

幼い頃は
幸せと不幸せが
交互にシーソーして
子供ながらに
大人の目の色を確認してた

ポラロイドカメラで
どれか一枚思い出を写せる
と言われたら
私は今まさに流れ出る
涙を写すだろう

幸せな時間は
確かにあったのに

充分すぎるほどの愛には満たなくて
空になった空き缶を
何度か見返す
手にしてるキャラメルは
ほんの少しまた溶けてゆく

編集・削除(編集済: 2022年09月23日 22:29)

ナツノカゲ おおたにあかり

ざぱん
何の音?
波の音

じゅじゅうじゅう
これは言うまでもなく
肉が焦げていく音よ

太陽に背を向けながらも
にらめっこした
遠ざかったままの歓声に
手を振るだけの
一日がすぎて

麦わら帽子を脱ぎ
立ち上がる
女の子が
ひと夏をあっさり
またいで飛び越える

ざぁざぁざざざざざざ
雨は急に降り出して
「ゲリラだね」
誰かが言う前に
振り返る女の子が先に言う

「急な雨はいつものこと」

夏は行ってしまう
行ってしまっていた
他の季節と同じ
挨拶はしないまま

そして
さっきまで隣りにいた少女も
もうどこにも

いない

編集・削除(編集済: 2022年09月22日 00:38)

クジラ  山雀詩人

朝のバスはいつも遅れる
ちゃんと来たためしがない

まあ、それはさすがに言い過ぎだけど
実際、時刻表どおりに来るのは
週に一回くらいだろうか

でもいい
それでいい
むしろ遅れてほしいくらい
それも一分や二分じゃなく
五分ないし十分
バスが困った顔になるくらい

そう
これは僕の発見なんだけど
バスにはなんと
顔があるんだ

最初は気づかなかった
だから一分でも遅れるとイライラした

しかもここの路線の運転手たち
遅れても絶対に謝らない
それどころか
早く乗ってくださいと
逆に注意してきたりする
顔色ひとつ変えずに

でもあるとき気づいた
バス停のはるか向こうから
現れるときのバスの顔

伏し目がちに
目をしばたたき
叱られた犬みたいに
悪びれた顔

そうか
バスにはあるんだ
人間よりもよっぽど
ちゃんと顔が

以来
遅れるのが楽しみになった

あーあ
また遅れちゃったね

すみませんいつも

いいよいいよ

よくないですよ

いや、いいよ
ぜんぜんいい
だって君は友だちだから

えっ

子供の頃から好きだったんだ
パトカーより消防車より
マイカーという小魚の群れの中を
ゆうゆうと泳ぐクジラみたいな君が

……

いつかさ、連れてってよ
こんなさ、時刻表なんて縛りのない
こんなさ、渋滞なんて争いのない
自由な国へ
見わたすかぎりの草原を
青い青い野っ原を
クジラみたいに
僕を乗せて走ってよ

バスは目をしばたたき
初めてニコッと笑った
 

編集・削除(未編集)

六畳  理蝶

深夜2時の部屋には

事務的な明かり

それだけが光る

それが焦らせる

朝になっても変わらないだろうけど
朝にならねば変わり得ないこと

ただ朝を待つのみだ
冷えた桜桃を噛んで

随分前に買った
冷えた桜桃を噛んで

何かが待っているのか

どこか行かねばならんのか

暗がりの中唸り続ける

冷蔵庫と僕

編集・削除(未編集)

手習い 暗沢

カメを漢字で書いてみよう。
ペンと紙とで、旧字体でね
そう難しいもんじゃない
十六回だけなぞるんです。

録や整と同じだから。
書いたことあるでしょ?
大丈夫、ここに書き順の見本がある
明朝体だし、文句ないですよね。

では、どうぞ。

さあ、実際書くとなると参った
こいつは迷路だね。
十六画だよ?
録や整と同じなんだ。
まず肩を揃えるのが難しい
右肩下がりは忍びないが
脱臼も流石に笑えない
尾っぽの調子なんか大胆すぎるし、
揃える指の細やかさは
六画だって足りなさそうだ。
窮屈申し訳ないが、背伸びしてもらって
何とか開いた空白へ
〆を刻んでみたものの
いや、情けない。こりゃなんてハリガネムシだい?

なかなか侮り難いでしょう。
新字体の俯瞰だけじゃ気付けない
この一見控えめな生き物の
玄妙さは。

※龜 総画数 16画 
 部首  龜部
 音読み キ ク コン
 訓読み かめ

編集・削除(未編集)

斎藤純二様、評のお礼です。  妻咲邦香

斎藤純ニ様、「柿」に評をいただきありがとうございました。
今回はどうしようか迷ったのですが、なかなかこういうの試す機会も少ないので思い切ってばっさり切る方を選んでみました。単純にうちの庭にある柿を見て思いついたのでそのまま。5年前に植えたものが今年やっと実を付けたので。
いやなかなか難しいです。短いと返って難しい。手数を減らした分、行間に力を込めないといけないので。でもたまにこうして違うことしてバランスを取っていくのも必要かなと思います。
勉強になりました。ありがとうございます。またよろしくお願いいたします。

編集・削除(未編集)

瞳、耳、声  朝霧綾め

雨上がりの公園
学校に行く私
木のスケッチをするおじいさん

私の瞳と
あの人の瞳は違うから
きっとみえているものも違う

公園にある木
私の瞳には
 ただのモクレン
おじいさんの瞳には
 凛として咲く白い花々

その人の瞳で世界をみれば
空はキャンバス
雲はアクリル白絵の具
モチーフ、鉛筆、デッサンスケール
射しこむ光は黄色、茶色い地面とのコントラスト

その人の瞳で世界をみれば
あたりは色の洪水

学校
教室でおしゃべりしている友だち二人
タイピングがはやい私
ピアノが上手な隣の席の子

私の耳と
あの子の耳は違うから
きっときこえているものも違う

シジュウカラの鳴き声
私の耳には 
 ツピーツピー、チ、チ、チ
あの子の耳には
 レミーレミー、レ、ミ、ファ

その子の耳で世界をきけば
踏切はアレグロ
猫のあくびはフェルマータ
8分音符、スタッカート、三連符にハ長調
響く靴音は二分の一拍子

その子の耳で世界をきけば
街は五線譜の上をすべりだす

夕暮れの公園
鼻歌うたいながら家に帰る私
砂場ではしゃぎ声あげる子どもたち

あの子たちの声と
私の声は違うから
きっと言いたくなる言葉も違う

五時のチャイム
私の声は 
 一日が終わるなあ
子どもたちの声は
 もっと遊びたい!

子どもの声で私も話せば
砂はごはん
落ち葉はお野菜
おままごとではぜったいにおかあさん役がいい
おかあさん、これから買い物にいってくるわね

子どもの声で世界を話せば
心には平凡な家庭の幸福感

しかし公園を通り過ぎてしばらく経ったとき、
歩きながら気づいた
私は永遠に
あのおじいさんのみている色を
みることはできず
友だちがきいている音を
きくことはできず
子どもたちが発した言葉を
完璧に理解することはできない

ああ、けれど
私が「木蓮」と言えば
おじいさんはほほえむ
「シジュウカラ」と言えば
友だちはうなずく
「五時のチャイム」と言えば
子どもたちは口をとがらす

私の瞳や耳や声を
すべてを知る人はいないけれど
私がひくく童謡歌えば
かならず誰か
一緒に歌ってくれる人が
この世界にはいるのだ  

編集・削除(未編集)
合計4740件 (投稿4740, 返信0)

ロケットBBS

Page Top