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◎1月21日(火)~ 1月23日(木) ご投稿分、評と感想です。
☆ 虹蜺(こうげい) 樺里ゆうさん
虹蜺(こうげい)……。普段はあまり耳にしない虹 の漢語表現。虹を雄雌の二匹の龍に見立てるなんて、それ自体が詩的ですよね。
一連目。この言葉を更に輝かせるようなステージ。出雲の空の登場。とても神秘的なイメージに包まれました。単に「出雲の空にふたつの大きな虹がかかりました」としてしまったら、それまでなのですが「出雲の空は よく虹がかかる」という始まり方にしたところは、読み手を「どうしてなのかな?」という気持ちにさせてくれ、もっと次が読みたいなと思わせてくれました。「そうか、不安定な天気が多いからなんだ!」「ん?一日に三度も、四度も虹がかかる時があるんだ!」と、通常ではあまりない天候に驚かされたり、自分の中で新しい発見に巡り合えた気持ちにさせてもらえました。
神秘的というイメージがからのスタートでしたが、二連目になって更に「天気雨」という、これもまた神秘的に輪をかけるような言葉が登場しました。その中にかかっている大きな虹!それも二つ!実際に見たわけではないのに、この詩のステージの中にいる読み手の私は、すごいなぁという気持ちでいっぱいにさせられました。
その後に内容転換。大きな虹がどういうものかという解説のような連になりますね。このままだと解説っぽい連になって、下手するとここだけが浮いてしまう確率が高くなってくるのですが「大学時代の時代に聞いた講義が/頭に浮かんだ」と結びつけているところが、暮らしの一部として結びつくことができ、隠し味のようになっていて、この連が浮いてしまわなかったのでよかったです。あと、とても細かいことをいうなら「頭に浮かんだ」のは、どういう風に浮かんだのか、例えば「ふと」なのか、じわじわと、或いは、ぼんやりと「頭に浮かんできた」ものなのか、副詞などの使用で詩の周辺の様子をより一層、鮮明にさせることもできるので、必要であればぴったりのものを考えてみてくださいね。
最後の方の四行もよかったです。
果たしてこの思いつきが正しいのか
わたしにはもう調べようもないのだけれど
そうだったら いいな
そういうことにしておきたい 今は
古代中国の人たちの気持ちになって持論を発していますが、それは明確と証明できないことを綴ってくれています。正直、自分にはわからないと言って、その後、そうだったらいいのにとなって、そういうふうに思いたいな……「今は」と余白を持たせているところ。重ねて虹がゆっくり消えてゆくような余韻のような雰囲気を、個人的には味わうことができました。「これはこうだ!」とはっきりしてしまうのではなく、ぼんやりとしたもの、そしてまたいつか会えるかも、わかるかもしれないという雰囲気を残していく表現、やわらかい読後感を与えてもらえました。佳作を。
☆「赤い実がひとつ」 森山 遼さん
秋の木の実の様子を描いてくれたのですね。赤い実にも黄色い実にもそれぞれに、人でいう、一生のようなものがあるっていう、こまやかなところに視点をあわせているところには、作者さんの「自然が好き」という気持ちを感じました。
さて、この詩の一番の注目する点は、各連の二行目の「落ちて落ちて」など、同じ言葉を繰り返すところだと思いました。繰り返すことでリズム感が生まれるのですが、せっかくですから、通常に使われるようなワードを重ねるだけではなく、オノマトペなどを使って、個性を出してみるのも楽しいのではないかと感じました。そして、このオノマトペも通常に使われるような「キラキラ」などではなく、自分で想像したものを使ってみるなど。中原中也さんの詩にでてくる「ゆあーん、ゆよーん」のような。きっと、読み手に想像する世界を膨らませてくれるのではないかと思いました。ほんと、せっかくなので、作者さん自身が一番に楽しむくらいの気持ちでもいいかと思いました。読み手によっては、意味わかんないなど思う人もでてきたりするかもしれませんが、学校の学年末テストで進級が関係するというわけでもないのですから、ノビノビと楽しんでみてください。個人的には、四連目までは、それぞれの連の二行目のところに独自のオノマトペを重ねて、最終連の「みんなみんな秋の中」の次の「きれいにきれいに」の分はオノマトペではなく、似たような言葉を重ねて変化をつけたいかなぁと。例えば、秋の醍醐味と言えば夕暮れ。「ゆうやけこやけに」にするかなぁと。想像するだけでも楽しくなりました。森山さんもゆっくり楽しんでみてください。今回は佳作三歩手前で。
☆あの日の二人 ふわり座さん
幼馴染の女の子を一途に思い続ける「僕」について綴ってくれている作品。「人生最後の時を君に見守られながら迎える」という表現から、真剣に好きなんだなぁっていう気持ちが伝わってきました。
それでは、気になったところを。二連目の途中の「一番最後」ですが、重ね言葉になっているので「一番後」もしくは「最後の最後」にする方がよいと思いました。あとは、今回は単独で一文になるあとに、ひとマス空けて一文を続ける方法をとられていることについて感じたことをお伝えしますね。改行については特に絶対こうしないといけないという規定はないのですが、空白をあけてくれているのですが、個人的にはところどころ読みづらい箇所があったので、区切りのしやすくできそうなところは、整理する方法もありかなとも思いました。例えば・・・・・・
僕と君は幼馴染 でも不思議と二人の仲は
今でも新鮮なままだ だからなのか
まだ君を手に入れたという明確な実感がない
↓
僕と君は幼馴染だけど
不思議と二人の仲は今でも新鮮なまま
だからなのか
まだ君を手に入れたという明確な実感がない
別件になりますが……「雨上がりに朝陽が差し虹がかかったなら」→「雨上がりに朝陽が差して虹がかかったなら」という感じで、「て」をいれてあげると「差し虹」って何?となることを防げそうです。以上、これらに関しては個人それぞれなので、あくまで参考の一つとしてお伝えしますね。あとは、最後の方の「あの日幼馴染になった二人の笑顔は」部分なのですが、こちらの表現が、私の方ではっきり把握できなかったかなぁ。「あの日幼馴染になった」ですが、幼馴染というのは昔からの長い付き合いによってなるので、「あの日」急になったわけではないので、別の意味を伝えてくれようとしてくれているのだろうとは思いました。考えた結果「幼い頃にかえった笑顔」ということなのかなと、思ったりしました。それとも、恋人同士になれる可能性のあった二人が、それぞれの夢のために、幼馴染のままでそれぞれの道をゆくということなのか。とも思ったりしました。であれば、「あの日、幼馴染の関係に戻った」になるのかなとも考えたりしました。こちらも、今よりわかりやすい表現があれば、変更されてもいいのかなと思いました。
全体的に拝見して、好きな方への想いということで、書きたいことがいっぱいあったのだろうなと思いました。①幼馴染の君について寄せてきた思いについて②二人、或いは自身についての約束について③君の夢、僕の夢について④僕の君に対する誓いについて…等々、なかなかのボリュームです。なので、どうしても全体的に長い作品になってしまうので、できたら、コレだ!という内容を幾つかに絞って書いていかれると、今以上に凝縮された、そして、深堀できる作品になっていくと思いました。例えば作中の「いつかの約束」とはいったいどういう約束だったのかという詳細がみえてきたり、二人のそれぞれの夢がどういうものだったのかということが、具体的にみえてきたり。そのようなことも期待できそうです。
この作品で一番心に残った表現は「子供の頃から僕が前を走っていた/少し後ろで君が背中を支えてくれてたね」でした。君の人柄を感じさせてくれました。決して出しゃばらず、それでいてしっかりと背中から僕を支えてあげる献身的な人柄。また、幼馴染ということで、幼い頃、電車ごっこをして笑っているかわいい姿も彷彿させてくれました。仲良しの笑い声が響いてきそうな明るい一行でした。幼馴染の君を思う僕のまっすぐな気持ちが作中の端から端まで溢れる作品。今回は佳作三歩手前で。
☆魚類博士の誕生 温泉郷さん
タイトルだけを拝見して、どのような内容の作品になるのだろうか?と、想像の全然つかない作品でした。「石のネコ」と「魚類博士の誕生」のワードの結びつきなんて、なかなか想像つかないなぁって。どんな展開になるの?と興味をそそられました。
一連目なのですが、ちょっと舌を噛んでしまいそうな羅列になっているかなぁと、個人的には思ってしまいました。一旦、切ってしまったらどうでしょうか?例えば、
大きな頭の石のネコが
石の本を読んでいる
その傍らで並ぶ
コートを着た人たち
そのままでも行けなくはないかと思うのですが、石のネコが石の本を読んでいるのか、それとも石の本をコートを着ている人が読んでいるのか、一瞬、混乱してしまったのです。なぜかというと、これがスタートの行だったからです。「大きな頭の石のネコ」というワードから、リアルな内容か、或いはファンタジー系な内容か、石のネコと石の本が同じ石像か何かであるというところまで、想像が追い付かなかったのが要因だったのかなと、読後、思いました。
一連目の末行の「石のネコの固い読書」と言う表現は、石の固さと性格の頑固な感じがほどよく合わさっていて、堅物な猫の像のイメージが勝手に浮かんできました。
二連目以降の展開がとても魅力的でした。子供の純粋な気持ちがいきいきと表現されていて、愛らしさが満開でした。
子どもは石のページを
めくろうとするけれど開けない
ああ
次のページには何があるのだろう?
どんな魚がいるのだろう?
図書館から飛び出して
石のネコと並んで座り
一緒に図鑑を見る
大人には思いつきそうにもない、子供の気持ちが眩しかったです。石のネコと同じ世界の人になってゆくのがよくわかる展開でした。気難しく考え込んでいる石のネコに答えを教えてあげようとしているかのような、子供の所作、魚類図鑑を借りてきて一緒に読むだけではなく、教えてあげようとしているようにも思えるところも魅力的でした。
最終連のワードの「次のページ」ですが、読み手にいくつかの意味を想像させてくれました。一つ目は、子供が頭の中で想像しながら、石のネコと会話している様子。二つ目は、石のネコが、子供に対して感じた思いの想像。「君、なかなかやるじゃないか。将来は魚類博士だ!」というような意味。三つめは、先ほどの石のネコの言葉は、石のネコに代弁してもらっている、子供に対する、付き添いの親の気持ち。「このすごいわ。将来は魚類博士かも!」など、おそらく、作者さんが書き込んでいる本来のこと以上に、色々と想像の世界を広げてくれた展開でした。ストレートに、ほのぼのした気持ちにさせていただきました。今回は、ふんわりあまめの佳作を。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
あっという間に一月もすぎて二月です。寒さもいよいよピーク。
今週は数年に一度の寒波がやってくるかもという天気予報が。
行き先、どうぞあたたかく、ご安全に。
みなさま、今日も一日、おつかれさまでした。
三浦志郎様、今回は感想を誠にありがとうございました。
この詩のモデルはご指摘あったように8割をジャンヌ・ダルクを外殻に、残り2割をそこに独創を加えた女性をイメージして書きました。
完璧に彼女を主人公に出来るほど私はまだ彼女の事を知ることが出来ていないと、この詩を書いている時に思ったためです。時代や場所的な情報のエッセンスを上手く組み込めるように頑張ってみます。
白いガーベラのブローチにつきまして:
白のガーベラには「希望」「純潔」「穢れなき心」といった花言葉から聖女と呼ばれた彼女を感じ、白には門出や新しさをイメージする色として、今までとは生まれ変わるという意味でタイトルと重ね合わせて採り入れました。
いつか、彼女を本当の主役に据えた詩を書いてみたいと思っています。
また次の機会も、是非とも宜しくお願い申し上げます。
今回も私の詩にお目を通していただき、誠にありがとうございます。佳作
との評をくださり、とても励みになります。
そうですか、左手の「ノミ」が「飲み」に通じ、「左党」となったのですか。
今まで、いわれを全然知らずに使ってました...。今晩は、頂戴したつまみで
「左党」にならせていただきます。
今後とも、どうかよろしくお願い致します。
1 津田古星さん 「律儀」 1/24
なかなか面白かったです。日常ありそうなエピソードですね。日本人は比較的曖昧な文化の中で生きているので、こういった事態は欧米人よりもあるでしょうね。単に“お愛想”なのか約束的なのか、判断が難しかったり、ナアナアにしたりします。花束の件はちょっとツライですねえ。大事なのは「人は自分の口にしたことの~」の連ですね。これ、日常よくあることなので、各人、よく考えておきたいところです。僕にも似たような経験はありました。このケースでは相手の出方しだいなので、“こちら”は待っていればいいといった感じ?いわゆる様子を見ればいいってヤツですかね。
いっぽうで、相手の立場を考えると「おあいそのつもりで言ったんだけど」なのかもしれない。そう考えると話は「立場の違いほど恐いものはない」まで行き着いてしまいそうですね。相手を見定めて、いったところでしょうか。ところで「律儀な人=記憶力の良い人」「記憶力=やさしさ」は(他にもありそうといった点で)これだけではない気もします。判断(考え)や行動が主だとは思いますが、ただ、この詩の文脈からすると、上記がふさわしい気もしてくるわけです。ちょっと微妙なところですかね。ともかく“終連でいること”が最も平和なのかもしれません。
「律儀」という言葉は最近あまり使われなくなった気がします。試みに辞書を引くと「ひどく義理堅い、
実直なこと」とあります。いい言葉ですよね。スポットしてくれて大変嬉しく思っています。佳作一歩前で。
アフターアワーズ。
ご主人が仕事柄、日本刀に詳しいのは、なんか凄いですよね。オカリナ、よい趣味をお持ちです。
2 相野零次さん 「漫画」 1/24
結論から書きます。前回の話の拡散に比べ、本作は漫画世界一点に絞られ、コアな雰囲気の中でストーリーが流れていきます。これでいいと思います。得意の想像世界が展開されますが、今回はエリア内設定がしっかりしているので、ぶっ飛ぶような想像展開ながら、前回よりは安心して読めるのです。ただ「また別の巨人か他の何かの手によって行われたのだった」は、ストーリーの終わらせ方としては弱いです。ちょっとうやむや感があります。こういった超空想世界を無事終わらせるのは相当難しいようです。そして、それ以降の論旨をどう解釈するかが大変難しいのです。
想像的かつ創造的なストーリーが漫画世界では常に破綻の危機をはらんでいる、といったことなのか、どうなのか?僕はこのことを考えながら、この詩はそんな漫画世界の謎や不可解を提出したものと思っております。佳作一歩前で。
3 上田一眞さん 「堺」 1/25
珍しく、ちょっと苦渋に満ちた詩でした。まさにアリスの歌詞のような。仕事で約一年の単身赴任。
なにか建築業界向けのメーカーのようですね。どこの業界でもそうですが、メーカーから販売店などに出向したりすると苦労する話はよく聞きました。たぶん、そういった事情と思われます。セールスも又難しいものです。孤軍奮闘、悪戦苦闘ぶりが伝わってきました。父上が亡くなってすぐ、というのもあったのかもしれない。「堺の街には~結界がある」「いやいや そうじゃない」「結界はわがこころの内にあって」はしっかり読んでおく必要がありそうです。異動先での仕事の過酷が、たまたま堺であっただけです。堺が悪いわけではない点は自明です。一族は遠く堺まで船出した。何かの縁もあったのでしょう。古い歴史を持ち商業・工業共に発達。政令指定都市で大阪市に次ぐでしょう。上田さんが当時、鎌倉に来ても同じだったということです。アリスの歌詞が再登場する単元が読みどころ。堺は海も近いんでしたね。海と相対しながら、苦悩が風景と行いに色濃く滲んでいます。詩は苦渋のまま終わっています。このアリスの歌詞の影響力は大きいと思います。苦みがあるので、せめて甘みを入れた佳作とします。
アフターアワーズ。
奇縁と言うべきか。この詩の投稿直前に堺を起点として南下する土地を調べる縁がありました。
地名で言うと、岸和田~貝塚~泉佐野、さらには樫井、少し離れて淡輪(たんのわ)……。
4 白猫の夜さん 「3分間のティー・タイム」 1/25
いつか言おうと思っていましたが、なかなかステキなペンネームをお持ちですね。
この方面に全く疎いので、まともな感想が書けるかどうか? まあ、調べまくったわけです。
初連は抽出ポットで3分間蒸らす場面でしょう。そして茶葉のジャンピング。「魔法使いのおうち」とはそのポットの比喩と見ます。
タルトタタンはすでに調理済みと見られます。3連ではテーブルの様子?「とんがり帽子~小さなほうき」はわかりませんでした。飛ばします。砂時計の3分が「紅茶と私=魔法使いと私」とのワクワクタイムとでも呼びましょうか。最後の一滴(ベストドロップ)が大事のようですね。その次の「クラウン」はわかりません。最後は豊かな味と香りを堪能しています。
けっこう作り方のほうにも比重を置いているのがわかります。正統的な作り方を作者さんのオリジナルな言葉で表現したと言えるでしょう。楽しい時間とちょっと可愛らしい詩行が魅力ですね。
全くの門外漢なので、テーマに対する詩行の具合がよくわかりません。すいませんが、評価は割愛させて頂きます。
5 上原有栖さん 「New Born」 1/25 初めてのかたですので今回は感想のみ書きます。
よろしくお願い致します。
非常に高らかな精神性を感じさせる作品です。この詩を解くカギは……
「祖国を憂いて涙した/あの日の少女はもう居ない」「少女はこの後聖女になった」
この少女が誰か?に尽きる気がします。「行進、鼓舞、旗、前進、祖国、血」などから、僕はなんとなくジャンヌ・ダルクをイメージしたのですが、まあ、たぶん違うでしょう。もっと現代寄りの中国や香港や韓国などに女性活動家がいたのかもしれない。「白いガーベラのブローチ」もヒントになりそうでしたが不明でした。前半にもう少しヒントがあると嬉しいですね。時代や場所的なものを入れてもいいでしょう。あるいは全くモデルとかはなくて、独創かもしれない。「生まれ変わった」とあるので、タイトルは「REBORN」というのもいいかも? これは聞き逃してもらってかまいません。詩には勢いというか推進力がありました。ぜひ、また書いてみてください。
6 司 龍之介さん 「聡明なあなたへ」 1/25
冒頭+上席佳作と致します。
早い段階で「あなたは芸術家」と規定されます。「私」は「あなたという画家」の作品対象者。しかも何度もその対象になったフシがあります。こういった状況では特別の感情が芽生えやすいものであります。すなわち愛であります。詩中にも、それを充分感じさせるものがあります。そして構図上で言うと、二人の立場を明かす、その距離感(前半と終わり近く)がちょっと面白く効果を上げていると言えるでしょう。2連前半の考え方はユニークで印象に残りました。続く3、4連では、―ちょっぴり悲しいけど―物事のいっぽうの真理が語られます。終わり2連は「ふたりのこと」。もしかすると、ふたりは愛しながらも、どこかに相克もあったのかもしれない。
この詩はいろんな言葉で言い表すことができます。曰く―「切なさ、やるせなさ、憂い、哀しみ、諦念」。この詩の良さはそういったものを、淡々と抑制の効いた文体に乗せていることなんです。なにか、突き上げてくるものを懸命に抑えながら綴っているような……。涙が出そうなんだけど、それをこらえる為に無理に笑ってみせるような……。そんないじらしさを行間に残しています。そこがすごくよかったのです。
アフターアワーズ。
大勢に影響ないので、こちらに書きます。「一旦寝て明日になればまた一から」の「一」です。
表記上、ピンと来ないです。意味は理解できますが、誤読を避ける意味からも別表現のほうがいいでしょう。あと最後の「クスッ」はこの詩のイメージとちょっと違う気がします。もそっと抒情的に笑ってもらいましょう。どちらも簡単なことです。
7 松本福広さん 「毒の名はアノン」 1/26
ガードレールや電線の詩。社会派の詩人さんといったイメージがあります。今回はそんな横顔に、より濃度を感じました。注釈助かります(感謝笑い)。テーマくっきり。匿名とは昔からあったんでしょうが、昨今の個人情報保護の観点から、ますます増えているのでしょう。やや負の要素を引きずりながらも、それ自体はまずまずニュートラルなものですが、それだけに悪用されやすい。すぐに浮かぶのはネット上や投書での極端な非難・誹謗中傷でしょう。この詩では「薬→毒」に喩えて展開しています。非常に巧みな喩えです。
2連では効能が書かれますが、それ以降はだんだん怪しくなり、ガラリと毒の表情を見せる。どの連・行もその属性を見事に言い当てています。一番恐いと思ったのは「自らその道へ選択をするよう追い詰められる」、ここですね。殆ど現在形で書かれているのも恐怖を倍加するかのようです。まさに至言での警鐘と言っていいでしょう。佳作です。
8 荒木章太郎さん 「牛丼の旗の下」 1/26
タイトルが珍しいし、それ以上にびっくりしますね。荒木さんの作風としても、ちょっと珍しいと思います。しかし冒頭と4連目には得意の同音異義語が出ました。その意味・状態の対比の面白さがあります。世代交代が意識の隅に表れています。これはそんな父子の日常のひとコマ詩。5連は明らかに今までの生き方の比喩でしょう。これからもそんな時間が待っている。そういった時間作用の中で、息子さんへの願い、やがてバトンが渡されることを思っている。息子さんの側を想像すると、黙々と食べながらも自分達父子の何事かを思っていることでしょう。そこは父子。言わず語らずの内にも、今と先に思いを馳せている。それが父子の証明の旗。こういうリアル詩も好意をもって読むことができます。甘め佳作を。
9 静間安夫さん 「切子の器」 1/27
まずはネット上の写真を見ました。大変美しく、心魅かれるものがあります。まさに工芸品。
値段もなかなかのものがあります。思わず買い求めたのもわかる気がします。詩は時間と光によって、変化する器の表情が美しく活写されます。脆さ、儚さを予感するからこそ、美はそこにある。ガラス工芸のありようが理解されるのです。「とっておきの地酒を新しく美しい器に」。これは左党にとって、この上ない贅沢でしょう。あとは美味なるつまみでキマリ、ですね。やっぱりこういう時ってとびきり美味しく感じるものでございます。もうひとつ語られるのは自身の孤独です。その境遇と酒器との連れ添いも、スペースを取り実感されています。よい酒。よい器。そのくらいの楽しみはあっていいでしょう。ちなみに、つまみに”佳作“をどうぞ。どうか、この器を日々の慰めに―。
評のおわりに。
上記の評に「左党」(酒飲み)を使いました。(なぜ、こう言うんだろ?)―調べたところ、江戸時代の職人は右手に槌(つち)、
左手にノミを持っていたそうです。その左手の「ノミ」が「飲み」に通じ、「左党」とこじつけられたようです。
やれやれ、これで安心して飲めますな(笑)。 では、また。
琥珀色の光を
柔らかく振るわせて
すこし切なく響きわたる
放課後のチャイム
せっかちに号令を言い終えると
一斉に
校庭へ駆け出す子どもたち
みなちりぢりになって
それぞれの遊具をめざす
ブランコ
空中シーソー
恐竜のほね
回旋塔
鮮やかな原色たちの纏う
凛とした冷たさが
子どもたちから放たれる熱と
混ざり合う
砂ぼこりのなか
ランドセルを放り投げ
身軽になった体は
なにも恐れず
いきおいよく
回旋塔を
まわしてまわして
風を起こす
ブランコを
大きく大きく漕いで
いさぎよく
飛び込んだ
自分だけの
空へ
何台もの文明が
ものすごいスピードで駆け抜けていく
道路のわきのすすきの群れは
風になぐられてたおれそうになる
しかしかれらの手のような意志は
いっせいに指し示す
文明が進むのと逆の方向を
ご多忙の中、拙作「屋上の砂」にあたたかいご感想をくださり、誠にありがとうございました。
個人的な経験を書いていても読み手の記憶や思いが想起される詩だと言っていただき、大変恐れ多いですがとても嬉しいです。
また、自分では思いつかなかった新たな見方も提示して頂き、今後詩を書いていくうえで大変参考になりました。
詩の構成については、いろいろな作品を分析して研究してみようと思います。
ぜひ今後ともよろしくお願い申し上げます。
この度は本当にありがとうございました。
(1)
兄が高校生の時
たくさんのチョコレートを持ち帰ったらしく
小学生の私に笑顔で分けてくれた
私はただ美味しいチョコレートを
もらって食べただけで
何も思わなかったけれど
兄の中で 渡されて嬉しい相手と
さほど嬉しくない相手がいたかもしれない
私が初めて
チョコレートを贈った相手は
卒業試験の最中で
「不勉強が祟り苦労してます」と言って
追伸にチョコレートのお礼を書いてきた
本文に第一番に書かなきゃならないでしょうに
そう思って失望したけれど
返事は来たのだからと自分を慰めた
「チョコレートなど贈られたことがなく
恐縮です」と書いてきたから
私はその言葉のまま受け止めた
彼の言葉の裏を読み取ることが
出来なかった私は
そのあともずっと単純に
彼の手紙を読み
希望を持ったり不安になったりを
繰り返していた
愚かだったのか 幸せだったのか
毎年 光の春を感じる頃になると
店頭に並ぶチョコレートを見ては
苦い思いで その日が過ぎるのをじっと待つ
(2)
息子が帰って来て
テーブルに小さな紙包みを数個置く
「あら あなたずいぶん もてるのねえ」と
妻が食卓を整えながら言う
「みんな義理チョコだよ お返しはクッキーでいいな」」と息子
私は 思わず口を挟む
「お返しってするものか?」と
「やっぱりね お父さんはホワイトデーを知らないのよ
私がチョコレートを贈っても何も返したことがない」と
妻が息子に言いつける
その時 私は妻に贈られたものではなく
別の女性に贈られたチョコレートを思い出していた
昔、大学卒業間近の
2月中旬に贈られたチョコレート
最近 正月になると彼女を思い出す
年賀状のやりとりもしていないのに
何故だろうと考えて
ああ、駅伝で優勝を重ねる大学が
彼女の母校だった
妻に話すと
「チョコレートだけでメッセージがついてなかったら
義理だったかもね お礼は言ったんでしょう?」
「うん」と言ったきり黙っていると
「住所が分かるんだったら、ホワイトデーにこの土地の名産品でも送ってあげたら?」と言い
「その人のことを好きだったんなら送らないほうがいい」と付け足した
私は困った
何十年も経ってからお返しを送るのはおかしい
送らなければ 妻にその女性への気持ちを見透かされる
チョコレートにはメッセージがついていた
好きですとひと言
そして私は照れくさかったから
手紙の追伸にありがとうと書いた
一切光の入らない闇の中でじっとうずくまる男がいた
三角座りの姿勢のままぴくりともしない
いったい何をしているのだろう
男の胸に去来するのは過去の栄光のことだった
男はとある事業で大成功し巨万の富を得た
しかし腹心の男に裏切られ全てを失った
今いる場所はかつては豪勢な家具で彩られた自室だ
今は借金のカタに全て持ち去られて空っぽだ
空っぽの部屋の中でむちゃくちゃに嘆き、怒り、涙した
そうして何時間が過ぎただろう
男は気付けば三角座りでじっと黙り込んでいた
暴れる気力も失せてしまったのだろうか
部屋と同じように男の心も空っぽになってしまったのだろうか
すんすん、と男の鼻がうごめいた
どこかから夕餉の香りがしたのだ
腹がぐううとなった
男は苦笑いした
空っぽの部屋で空っぽの心で空っぽの腹が悲鳴を上げたことにまだ自分が生きていることを実感したのだった
男はゆっくりと立ち上がった
一糸まとわぬ全裸であった
引き締まった筋肉と均整の取れたスタイルであった
一流のスーツでも身に着ければ瞠目に値するであろう
そして気をつけの姿勢を取った
男はしっかりと会釈をした
いったい相手は誰だろう
闇の中には他に誰もいない
かつての取引先の相手を思い出しているのだろうか
あるいはかつての腹心と共に会釈したこともあったのだろう
今度はゆっくりと深呼吸した
静謐な部屋で空気が厳かに流動した
男の心は落ち着きを取り戻していた
失くした富は惜しかったが
それよりも裏切られた傷は深かった
身体の傷はすぐに治っても心の傷はすぐには治らない
男はそれなりに修羅場を潜り抜けてきたので
そのことは身体で理解していた
身体には無数の傷跡があった
男はぐっと拳をにぎりしめた
そして空手の型を演じ始めた
高段者であった
静かで真っ暗な部屋の中で男は無言で型を続けた
裂帛の呼吸の音 手足の風切る音 踏み込む足音が響いた
猛獣がそこにいるかのような気配が部屋に満ちた
空手の型が終わると
ゆっくりと部屋を見まわした
一切の光はなかったが
夜目が効くのだろうかあるいは見えない何かを見ているのだろうか
男の眼から大粒の涙がひとつ零れた
頬を伝い
首を伝い
胸を 腹を 足を伝い
地面にまで届いた
深い悲しみの涙であった
男はゆっくりと歩き出した
方向感覚だけでドアの位置を割り出したのであろうか
ドアに辿り着きドアノブを回した
ドアは開いた
光が男を照らした
逞しい身体の影がくっきりと浮かび上がった
「………」
男は何事か呟いた
小さすぎて聞き取れなかったが
きっと前向きな言葉であったのだろう
男の胸の内から一片の希望が生み出された瞬間だった
1. 逍遥
或る冬の日
私はひとりシュラフを持って
深い森を歩いた
白い雪がちらちらと舞い始め
光が粉雪に反射して
きらきらと光る
見とれていると
迂闊なことに自分がどこにいるのか
わからなくなった
当てどなく
雑木林をとぼとぼと歩いた
枯れた蔦の弦が
妙に絡みつく
私はきっと何かを捜しているのだ
何だろう
それが見つかれば
自分が何を欲しているのか
わかるはずなのだが
2. 火焔
谷川に出た
私は暖をとるため
河原に転がる石で炉を組み
火を起こした
枯れ枝を集め 朽ちた木を
火に焚べると
身の丈ほどの焔(ほむら)があがり
赤光を浴びた
焚き火と共鳴して
内部で轟々と燃えあがる焔
こころのうちで
妖しく舞う羽虫たち
自ら火中に飛び込み 身を焦がす
灯蛾の舞い
ああ
これはまるで「炎舞」だ *1
夕方まで足元の焔煙を見続けた
そして 心中で
焦げる虫を
恥多きわが人生に置き換えた
頽齢に至って
心身の衰えがこたえ始めたいま
〈過去〉に拘泥する自分のこころを
情念の焔で焼却し
天上へ昇華させたい
私は火焔を求めるその根っ子にある
わが願いを悟った
そして
焔のなかに
甘美な薫を放つ
冥界への入り口を見つけた
*1 「炎舞」速水御舟作画